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特定形の話 尊敬語 謙譲語I 謙譲語II 丁寧語(?)一覧 資料編

 各所で目にした敬語の「特定形」(と呼んでおく)をメモしておく。
 尊敬語、謙譲語I、謙譲語IIなどの基本的な分類に関しては下記参照。

 敬語の3分類と5分類に関してはWikipediaの表がよくできているので、引用しておく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E8%AA%9E
3分類 5分類

【敬語の基本資料】敬語の心得/敬語の基本/尊敬語/謙譲語……etc.
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n158066
 ↓ ↓ ↓ ↓
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12281119438.html
===========引用開始
 代表的な一般形の例。
●尊敬語  『敬語再入門』P.44〜参照
 お/ご〜になる
 お/ご〜なさる
 このほかに「〜なさる」「〜(ら)れる」などがある。

●謙譲語  『敬語再入門』P.68〜参照。
 お/ご〜する(謙譲語I)
 お/ご〜申し上げる(謙譲語I)
 お/ご〜いたす(謙譲語II)
===========引用終了

【20200328追記】
 ちょっと違いますね。「謙譲語」の部分を下記のように修正します。
●謙譲語  『敬語再入門』P.68〜参照。
 お/ご〜する(謙譲語I)
 お/ご〜申し上げる(謙譲語I)
 〜いたす(謙譲語II)
 お/ご〜いたす(謙譲語I兼謙譲語II)
 お/ご〜させていただく(謙譲語Iだが、謙譲語II化が進んでいるらしい)


 このほかの特定形に関してネット上で閲覧できる一覧。
※疑問のメモ
「拝聴する」……単に抜けただけだろう。
「承知する」……微妙だけど、謙譲語ではないみたい。
「かしこまる」さらに……微妙だけど、謙譲語ではないみたい。

●ネット上で閲覧できる一覧 表組形式
【1】『敬語再入門』P.226~
「1)主な動詞の尊敬語形・謙譲語形」
特定形


【2】三省堂 Web Dictionary
http://www.sanseido.net/main/words/hyakka/sonkei/
j三省堂1
j三省堂2


【3】【京都府若年者就業支援センター(ジョブカフェ京都)】
http://www.pref.kyoto.jp/jobcafe/e-learning/b-manner/data/saho.pdf
jジョブカフェ京都


【4】Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E8%AA%9E
※「ございます」が「謙譲語」になっていたが、2014年6月4日に「丁寧語」に修正された。
【2】とほとんど同じなのかも。
jWikipedia1.jpg
jWikipedia2.jpg


●ネット上で閲覧できる一覧 テキスト形式
【1】『敬語再入門』P.226~
「1)主な動詞の尊敬語形・謙譲語形」
================引用開始
        尊敬語        謙譲語I       謙譲語II
会う      お会いになる     お目にかかる
        お会いする
あげる(注1) おあげになる(注1)  さしあげる
言う      おっしゃる       申し上げる     申す
行く      いらっしゃる      伺う(注2)     まいる
        おいでになる      お伺いする(注3)
いる      いらっしゃる                おる
        おいでになる
思う      お思いになる                存じる
借りる     お借りになる      拝借する
                    お借りする
聞く      お聞きになる      伺う
                    お伺いする(注3)
                    お聞きする
気に入る    お気に召す
着る      お召しになる
来る      いらっしゃる      伺う(注2)     まいる
        おいでになる      お伺いする(注3)
        見える(敬度軽い)
        お見えになる
くれる     くださる
死ぬ      おなくなりになる    
知る      ご存じ(知っている意) 存じ上げる      存じる
住む      お住まいになる
        (お住みになる)
する      なさる                    いたす
尋ねる     お尋ねになる      伺う
                    お伺いする(注3)
                    お尋ねする
訪ねる     お訪ねになる      伺う
                    お伺いする(注3)
                    お訪ねする
食べる     召しあがる                  いただく
        お召しあがりになる(注4)
飲む      お飲みになる                 いただく
        召しあがる
        お召しあがりになる(注4)
(風邪を)ひく お召しになる
        おひきになる
見せる     お見せになる      お見せする
                    お目にかける
                    ごらんに入れる
見る      ごらんになる      拝見する
もらう     おもらいになる(注5) いただく
やる(する意) なさる                    いたす
やる(与える意)おやりになる(注6)  さしあげる
読む      お読みになる      拝読する
================引用終了

【2】三省堂 Web Dictionary
http://www.sanseido.net/main/words/hyakka/sonkei/
================引用開始
基本語から引く尊敬語・謙譲語・丁寧語
尊敬語―― 動作・存在の主体を高め、その人に話し手が敬意を表すもの。
謙譲語―― 動作(存在)の主体を低め、動作の客体または聞き手に話し手が敬意を表すもの。
丁寧語―― 動作・存在を、話し手が聞き手に敬意を表して言ったり、上品に言ったりするもの。
| ▼ 動作・存在 | 人称代名詞 | 丁寧な言い方 | 手紙などで |
見出し語 尊敬語 謙譲語 丁寧語
会う お会いになる
会われる お目にかかる
お目もじする
(注…女性語。現在ではあまり使われない)
お会いする 会います
与える お与えになる
与えられる さしあげる
あげる▼
「あなたにこの本をあげましょう」
献上する
献呈する
献じる
進呈する あげる▼
「花に水をあげる」(注…是非について議論がある)
与えます
ある おありになる ございます
あります
言う おっしゃる
言われる 申し上げる
申す▼
「父が申しました」 申す▼
「論より証拠と申します」
言います
いる いらっしゃる
おいでになる おる▼
「孫がおります」 おる▼
「あそこに犬がおります」
います
受ける お受けになる
受けられる 拝受する
(注…主に書き言葉として用いられる)
お受けする 受けます
思う おぼしめす
(注…現在ではあまり使われない)
お思いになる
思われる 存じる 思います
買う お求めになる
求められる
お買いになる
買われる 求める
買います
借りる お借りになる
借りられる 拝借する
お借りする 借ります
聞く お聞きになる
聞かれる
(~が)お耳に入る うかがう
うけたまわる
拝聴する
お聞きする 聞きます
着る 召す
お召しになる
着られる 着ます
来る いらっしゃる
おいでになる
見える
お見えになる
お越しになる
来られる 参る▼
「私は昨日こちらに参りました」 参る▼
「郵便が参りました」
来ます
くれる くださる
たまわる
(注…主に書き言葉として用いられる) くれます
死ぬ お亡くなりになる
亡くなられる
逝去する
おかくれになる
(注…身分の高い人に用いる) 亡くなる
死にます
知らせる お知らせになる
知らせられる お耳に入れる
お知らせする 知らせます
知る ご存じだ
お知りになる
知られる 存じる▼
「その件については存じません」
存じ上げる▼
「お名前は存じ上げております」
承知する 知ります
する なさる
あそばす
(注…現在はあまり使われない)
される いたす▼
「私がいたします」 いたす▼
「波の音がいたします」
します
訪ねる お訪ねになる
訪ねられる うかがう
参上する
あがる
お邪魔する
お訪ねする 訪ねます
尋ねる お尋ねになる
尋ねられる うかがう
お尋ねする 尋ねます
食べる 召し上がる
あがる
お食べになる
食べられる いただく▼
「お昼は外でいただきました」
頂戴する いただく▼
「さめないうちにいただきましょう」
食べます
寝る おやすみになる
やすまれる
寝られる やすむ
寝ます
飲む 召し上がる
あがる
お飲みになる
飲まれる いただく▼
「牛乳は毎日いただきます」
頂戴する いただく▼
「ご一緒にコーヒーでもいただきましょう」
飲みます
見せる お見せになる
見せられる お目にかける
ご覧に入れる
お見せする 見せます
見る ご覧になる
見られる 拝見する 見ます
命じる おおせつける
(注…日常会話ではあまり使われない)
お命じになる
命じられる 命じます
もらう おもらいになる
もらわれる いただく
頂戴する
たまわる
(注…主に書き言葉として用いられる)
拝受する(同上) もらいます
行く いらっしゃる
おいでになる
お越しになる うかがう
参上する
あがる
まいる▼
「先日、北海道にまいりました」 まいる▼
「もうすぐ春がまいります」
行きます
読む お読みになる
読まれる 拝読する 読みます
================引用終了

【3】【京都府若年者就業支援センター(ジョブカフェ京都)】
http://www.pref.kyoto.jp/jobcafe/e-learning/b-manner/data/saho.pdf
================引用開始
2-2-3.主な用語
(1)主な動詞の敬語

普通の言い方  尊敬語     謙譲語              丁寧語
する      なさる     いたす              します
いる      いらっしゃる  おる               います
        おいでになる
行く・訪ねる  いらっしゃる  参る・伺う・上がる・参上する・  行きます
        おいでになる  お邪魔する・お伺いする      訪ねます
来る      いらっしゃる  参る・伺う・上がる・参上する・  来ます
        お見えになる  お邪魔する・お伺いする
        お越しになる
        おいでになる
見る      ご覧になる   拝見する             見ます
        ご覧くださる  見せていただく
見せる     お見せになる  ご覧に入れる・お目にかける    見せます
聞く      お耳に入る   伺う・拝聴する          聞きます
聞かせる    お聞かせになる お耳に入れる           聞かせます
言う      おっしゃる・  申し上げる・申す         言います
        仰せになる
思う      思し召す    存ずる              思います
        お思いになる
知る      ご存じ     存ずる・存じ上げる        知ります
あげる     賜る・くださる 差し上げる            あげます
もらう     お受けになる  頂戴する・いただく賜る・承る   もらいます
食べる     召し上がる・  いただく・頂戴する        食べます
        あがる
死ぬ      お亡くなりになる 亡くなる            死にます
気に入る    お気に召す    ―               気に入ります
着る      召す       ―               着ます
確認する    改める      ―               確認します
会う      お会いになる   お目にかかる・お目もじする   会います
借りる     お借りになる   拝借する・お借りする      借ります
承諾する    お聞き入れになる かしこまる・承る        承諾します
呼び出して   お呼び出しになる お呼び立ていたしまして     呼び出しまして
================引用終了

【4】Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E8%AA%9E
※現在「ございます」は「丁寧語」に修正されている。


不規則動詞一覧 [編集]
「お~になる」「~れる・られる」(尊敬語)、「お~する」(謙譲語)、「~ます」(丁寧語)のようにいろいろな語に適用できる一般的な語形(一般形)ではなく、特定の語形(特定形。補充形とも言える)が用いられる動詞とその特定形の一覧を示す。ただし特定形に限定されず一般形を使える場合も多いことから、「三省堂 Web Dictionary」の一覧表において一般形が挙げられず特定形のみ示されているケースを太字で示す[6][5]。
(注)空欄は一般形のみ存在するケース。「-」は一般形も存在しないケース[† 1]。

一般   尊敬語     謙譲語        丁寧語
会う           お目に掛かる    
             お目もじする[† 2]    
与える          差し上げる      上げる[† 3]
やる           上げる    
             献上する    
             献呈する    
             献じる    
             進呈する    
ある    ―      ございます    
言う    おっしゃる  申し上げる      申す
             申す    
行く    いらっしゃる 伺う         参る
      おいでになる 参上する    
      お越しになる 上がる    
      .[† 4]    参る    
いる    いらっしゃる おる         おる
      おいでになる        
      おられる[†5]        
受ける          拝受する[† 6]    
思う    思し召す[†7] 存じる    
買う    お求めになる    -        求める
      求められる        
借りる          拝借する    
聞く (~が)お耳に入る 伺う    
             承る    
             拝聴する    
着る    召す        
      お召しになる        
来る    いらっしゃる 参る    参る
      おいでになる        
      見える        
      お見えになる        
      お越しになる        
くれる   下さる    ―    
      賜わる[† 8]        
死ぬ  お亡くなりになる ―      亡くなる[† 9]
    亡くなられる        
    逝去する        
知らせる         お耳に入れる    
知る  ご存じだ[†10]  存じる    
             存じ上げる    
             承知する    
する    なさる    いたす    いたします
      あそばす[† 11]        
訪ねる          伺う    
尋ねる          参上する    
             上がる    
             お邪魔する    
食べる   召し上がる  頂く     頂く
飲む    上がる    頂戴する    
寝る    お休みになる ―      休む
      休まれる        
見せる          お目に掛ける    
             ご覧に入れる    
見る    ご覧になる  拝見する    
命じる 仰せ付ける[† 12] ―    
もらう          頂く    
             頂戴する    
             賜わる[† 13]    
             拝受する[† 13]    
読む           拝読する[† 14]    

1.^ 表中の「-」は、特定形が無く「お~する」の一般形も作れないケース(<向かう先>に人物が想定できない動詞、あるいは<向かう先>に人物があっても慣習上使われなくなった場合)。
2.^ あまり使われない女性語
3.^ 旧来の規範では謙譲語とされていたが「謙譲語から美化語に向かう意味的な変化」が定着しつつあり、文化審議会答申「敬語の指針」において敬語意識の多様性に留意すべき一例とされた。
4.^ 「敬語の指針」では「行かれる」で相手に対する敬語の程度が十分な地域もあれば不十分になりかねない地域(例:東京圏)もあることを例示し、敬語には地域差があることを指摘した(参照:敬語#方言における敬語表現)。「お行きになる」は統語的に間違いではないが慣習上あまり使われない。
5.^ 「おる」と「おられる」の用法は地域差が大きい。「おる」は元々西日本的な表現であり、「おられる」も西日本で多用される。「いる」を常用する東日本では「おる」は謙譲語であるとの意識が強く、「おられる」に抵抗を持つ者もいる。また京阪地域では「おる」は軽い軽蔑語・謙譲語に用いられ本来尊敬語には用いられないが、共通語の影響から現在では「おられる」が多用されている(参照:おられる - ウィクショナリー日本語版[1])。「いられる」は統語的に間違いではないが、共通語では慣習上ほとんど使われない。
6.^ 主に書き言葉として使用
7.^ あまり使われない
8.^ 主に書き言葉として使用
9.^ 日本国語大辞典(小学館)は「尊敬表現や謙譲表現を用いるべき人に対しても、単に「なくなる」ということもできる。」としている。
10.^ 「ご存じだ」は「知っている」の尊敬語(参照:「敬語の指針」(文化審議会答申 平成19年2月2日))。
11.^ あまり使われない
12.^ 日常会話ではあまり使われない。
13.^ a b 主に書き言葉として使用
14.^ 例外として名前等の文字の読み方を尋ねる場合などは「拝読する」ではなく「お読みする」を使う。

そろそろ ますます いよいよ〈1〉 日本語 辞書

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671

mixi日記2011年10月27日から

 テーマサイトは下記。
【「そろそろ」が不適当な理由】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65860876

 質問文を一部加工して転載する。
================================
 母になる日はますます迫ってきます。
*母になる日はそろそろ迫ってきます。

という問題について、なぜ「そろそろ」ではいけないのか、という質問を受けました。

①「そろそろ」は、話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明であるとの記述を『基礎日本語辞典』(森田良行)で読んだだめ、「母になる日」が確実な時間だから「そろそろ」が使えないのかと考えましたが、
 ・母になる日がそろそろ迫ってきます。
と、「は」を「が」に変えると不自然さが激減するように思います。
そうすると、「母になる日」が確実な時間かそうでないかは、「そろそろ」が使えるか使えないかには関係がないのでしょうか。

② ①で「は」を「が」に変えると「そろそろ」が使えるように思えたので、「は」と「が」の問題かと考えましたが、
 ・「そろそろ」は話し手の主観を述べる
 ・「が」は主観的判断を入れない現象文に使う
と考えると筋が通りません。「はとが」と、「そろそろ」が使えないことには何か関係があるのでしょうか。
================================

 トンデモ問題集の類いだろうな。
178【トンデモ参考書……なんだろうな】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1469148509&owner_id=5019671

 不適切な問題だけど、おもしろいテーマを含んでいる気がする。
『基礎日本語辞典』の「話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明である」って記述もイマイチわからない。「確実な時間が不明」がヘンなことは、コメントで指摘したかたがいる。いずれにしても、こういう場合はもっと明確に引用してほしい。
 そもそもの例文に異和感がある(相当微妙な問題なんで、非文などと主張する気はない)。
 副詞(オノマトペか否かはおいておく)の選択が不適切なこと以外にも原因がある気がする。シンプルな形にしてみる。

  母になる日は迫ってきます。

 こうしても異和感がある。「母になる日が迫ってきます。」のほうが少し自然だが、まだヘンな感じが残る。下記の形なら異和感がない。

  母になる日が迫っています。
  母になる日は迫っています。
  母になる日が来ます。
  母になる日は来ます。

「は」はちょっとひっかかる気がする。とくに「母になる日は来ます。」は微妙だけど、この際だから目をつぶる。これが下記だと、「は」のほうが自然な気がする。理由を考えはじめると泥沼が待っている(笑)。

  母になる日はもうすぐそこです。
  母になる日は来ません。
 否定形に関しては、下記が参考になるかも。
22)続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42113447


 閑話休題(お手本にし……やかましいわ)。
突然ですが問題です【日本語編12】──「閑話休題」の使い方
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55754361

 元々不自然な例文で考えてもわかりにくいので、自然な例の下記で考える。
  1)母になる日が(  )迫っています。
  2)母になる日が(  )来ます。

 1)と2)の(  )に入る副詞としてふさわしいのは「ますます」か「そろそろ」か。 
 当方の感覚だと、1)は「そろそろ」は△。「ますます」も△だけどほとんど×。イチバン素直なのは「いよいよ」だろう。原文でも同じことが言える気がする。
 これが2)だと、「そろそろ」も○で、「ますます」は×。

 さらに主観的で微妙な話をする。
「そろそろ」はどのように使うべきか。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%9D%E3%82%8D%E3%81%9D%E3%82%8D&stype=0&dtype=0
================================
そろ‐そろ
[副]
1 動作が静かにゆっくりと行われるさま。そろり。「―(と)歩く」「幕が―(と)上がる」
2 ある時期・状態になりつつあるさま。ぼつぼつ。「話が―佳境にはいってきた」「―出かけよう」
================================

 話題になっているのは「2」の意味だろう。類語として「ぼつぼつ」があげられている。下記だと「ゆるゆる」「ゆっくり」があげられている。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/2724/m0u/%E3%81%9D%E3%82%8D%E3%81%9D%E3%82%8D/
 つまり「そろそろ」は時間的(「精神的」でもいいけど)にゆとりがあるときに使われる傾向があるんじゃないかな。そういう言葉と「迫る」じゃ相性が悪いよ。
 下記なら異和感がない。

  3)母になる日がそろそろ近づいてきた(ようだ)。
  4)母になる日がそろそろ来た(ようだ)。

「ようだ」がつくほうが自然に感じられるのは『基礎日本語辞典』のいう「話し手の主観として推量的に述べる表現」だからなんだろう。いくら辞書でも、もう少しわかりやすく書いてくれないかな。


 さらにヨタ話を加えよう。
 質問文中に使われている丸付き数字は、Macでもバケないタイプ。Windowsでこれを出すにはどうやるのだろう。ケータイで見るとバケるのかもしれないが、そこまでは関知しない。まあ、使わないほうが無難だろう。
※あれ? 見えていたはずの丸付き数字が、しばらくしたらバケた。なんてこったい。バケないやつにさしかえるか。

「不適当な理由」は「不適切な理由」とほぼ同義なのね。「適当」だと二義性があるのに、「不適当」だと意味が限定されるのか。発見だった。


【20111027追記】
 乗りかかった船なので、「ますます」に異和感がある理由も考えてみた。こういうのは、スッキリと説明できるほうが少ない気がする。そういうときは……「ヘンなものはヘン」で押し切るしかないような。
 まず、辞書をひく。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99&stype=0&dtype=0
================================
ます‐ます【▽益/▽益▽益】
[副]《動詞「ま(増)す」を重ねた語》程度が一層はなはだしくなるさま。いよいよ。「風雨は―激しくなる」「老いて―盛んだ」
================================

「程度が一層はなはだしくなるさま」を表わすのか。なるほど。でも「迫る」だって程度と言えなくはない、と主張されるとちょっと困る。意味に「いよいよ」もあるしなぁ。
 
 別の辞書をひく。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/16819/m0u/%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99/
================================
【4】「ますます」は、プラス・マイナスの程度が高まることを表わす。価値判断の入っていない文では使えない。
================================

 ここでも「程度」ですか。
「激しくなる」にはどんな価値判断が入るんだろう。
  ますます離れる……ちょっとヘン
  ますます遠ざかる……ほんのちょっとヘン
  ますます近づく……ほんのちょっとヘン 
  ますます遠くなる……○
  ますます近くなる……○
  ますます疎遠になる……○
  ますます親密になる……○

 o( ̄ー ̄;)ゞううむ 。
「遠い」「近い」は間違いなく「程度」だよな。
 形容詞だとおかしくないのに、動詞になると異和感が生じる。
 もしかすると「~(に)なる」がキーワードかも。
 ギブアップか?
 でもヘンなものはヘン。だってトンデモなんだから。(←オイ!)


【20111002追記】
 なんと申しましょうか。
 コメント[11]のような適確な指摘に対してもヨタが入るんですね。困ったもんだ。
 もし本当に「積極的に論点にしよう」と思わなかったのなら、最初からそう書けばいい。「気にならなかった」「気がつかなかった」のならそう書くべきでしょ。なぜそういうホニャララな書き方をするのだろう。
「漂白」ってどういう意味?  


そろそろ ますます いよいよ〈2〉

mixi日記2011年10月29日から

 テーマサイトは下記。
【「そろそろ」が不適当な理由】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65860876

 元々のテーマを少し変形する。
 下記の文の(  )に入る副詞は何か。

  母になる日は(  )迫ってきます。
 
 日本語学習者がどこかから見つけてきた問題とのこと。その問題には「ますます」は○で「そろそろ」は×とあったらしい。
 質問が2つある。
  1)なぜ「そろそろ」ではいけないのか
  2)「ハ」を「ガ」にかえれば、「そろそろ」を使えるのか

 まず1)に関して。
 当方は、そもそもの問題がトンデモだと思う。理由は↑の〈1〉で書いた。
 副詞を削除した形ですでに不自然なのだから、何を入れても自然にはならない。
 では正解はナシかと言うと、そうとも言えない。当方の「感覚」で言えばどちらも不自然だけど、どちらも「間違い」ではない。
 不自然でも通用する表現なんていくらでもある。なぜおかしいのかをハッキリ説明できないのなら、「間違い」とすることはできないだろう。それは「感覚」(「主観」でもいいけど)でしかなく、このテの問題は「感覚」を試すものではないはず。「日本語ネイティブ」でさえ説明できないような微妙な問題を出すほうがおかしい。トンデモと書いたのはそういう意味。
 どちらもヘンだから「正解ナシ」と主張する人がいるなら、逆らう気はない。それならそれでもいい。いずれにしてもマトモな問題ではない。
 ただ、あえて理由付けをするなら……ということで「そろそろ」は「迫る」と相性が悪いのでは、と書いた。【追記】で「ますます」がおかしい理由も書いた(これは微妙すぎてなんとも言えないかも)。

 泥沼を回避した2)の問題について考えてみた。
「ガ」にしたほうが自然、というトピ主の「感覚」には賛成。しかし、「ハ」を×にする根拠もない。あるのかもしれないが、少なくとも当方には思いつかない。ただし、〈1〉で書いたとおり、「ガ」にしたほうが自然なのは「そろそろ」とは関係ないと思う。
 以下は、1)の問題以上に「あえて理由付けをするなら」ってことです。

 元々の質問にある下記の部分がよくわからない。
================================
 ・「そろそろ」は話し手の主観を述べる
 ・「が」は主観的判断を入れない現象文に使う
================================

 前者は、『基礎日本語辞典』にあったという「話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明である」から来ているのだろう。この記述がいろいろな意味でわからない。いつになく悪い性格全開で細かく見ていく。
 1)なぜ「話し手」限定
 当然のことながら、「書き手」の場合もある。これはさすがにインネンか(笑)。
 2)「主観」って
「主観」か「客観」かと考えるなら、副詞は「主観」になるほうが多いのでは。おそらく、「形容詞」も「形容動詞」も。なぜわざわざ「主観」と断わるのか不明。
 3)「主観として推量」って
「推量」はたいてい「主観」だろう。誰の主観かと言えば、話し手(書き手)の「主観」に決まっている。結局、「話し手の主観として」は不要なのでは。
 4)「推量的に述べる」って
「そろそろ」は「推量」表現を伴うことが多い。伴わない場合も、「推量」のニュアンスを含む(例外もあるかな?)。だから「推量“的”」なんだろうな。
 5)「確実な時間が不明」  
 これは間違いだろう。「不明」なことが多い気はする。でも、定刻が決まっているもの(重言)に対して「そろそろ○○の時間だ」と使うこともある。ここに誤解があるから、「推量」なんて表現が出てきたのでは。「そろそろ」が「あと何分」という「確実な時間が不明」という意味ならOKだけど、そんな●●なことをわざわざ書く理由がわからない。
 結論として、『基礎日本語辞典』の記述はほとんど意味がなくて相当あやしいってことになる。(←オイ!)
 まあ、引用がどこまで正確なのかわからないし、5000円もする辞書がそんなにいい加減なわけはないから、あんまり悪口を言うのはやめておく。ただ、この記述に限ると……。

 後者はどこから出てきたのだろう。
 たしかに「夜が明ける」なら「主観的判断を入れない現象文」だろう。
 しかし、「夜が明ける頃だ」なら、「主観的判断」が入っている。
 当然「そろそろ夜が明ける頃だ」という文も成立する。きわめて自然な文だと思う。
 何か当方が誤解しているのだろうか。

 本題に戻る。
  1)約束の日(  )来る。
  2)約束の日(  )来た。
  3)待ち人(  )来る。
  4)待ち人(  )来た。
 
 原文をできるだけシンプルにしたのが1)と2)。これは現象文だろうな。
 主語(的なもの)を人間にしたのが3)と4)。
 いずれも「ガ」が自然な気がするが、それなりの文脈を用意すれば「ハ」だっておかしくはない。
「どちらが自然か」という「感覚」を問う問題なら、「ガ」だろう。しかし、「どちらが正解か」という問題は成立しない。細かいニュアンスの違いも考えたくない。
 個人的には、これが否定文になると「ハ」のほうが自然だと思う。
 ……と、通い慣れた迷路に入る(笑)。

【もうダメかもリスト】〈3〉──けっこう厳選(笑) 20130701

〈1〉
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1793371384&owner_id=5019671
〈2〉
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1811633671&owner_id=5019671

 詳しくは下記参照。
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12281405565.html



【1】これはもうダメだろう(新聞や辞書でも目にする)
1-1  一生懸命
1-2  独壇場
1-3  喧々諤々
1-4  潮時
1-5  ぎこちない
1-6  まぬがれる
1-7  逆王手
1-8  組みしやすい
1-9  檄(げき)を飛ばす
1-10  忸怩(じくじ)たる
1-11  知恵熱 ※これは新聞では見かけない?
1-12  確信犯
1-13  とても+肯定形
1-14  ★全然+肯定形(個人的には× 新聞も使わないだろうな)
1-15  なるほど(好ましくない相槌)
1-16  こだわり(本来は否定的な語)
1-17  生き様(微妙。本来は否定的な語)
1-18  さらなる(微妙)
1-19  破天荒
1-20  助長
1-21  ごぼう抜き
1-22  手をこまねく
1-23  憮然
1-24  白羽の矢が立つ
1-25  ジンクス
1-26  斜に構える
1-27  とんでもありません
1-28  とんでもございません
1-29  せめぎ合う
1-30  他人事(たにんごと)
1-31  王道
1-32  善し悪し(よしわるし)
1-33  私淑
1-34  つぶやく
1-35  鳥肌が立つ
1-36  心が折れる
1-37  あげつらう
1-38  真逆
1-39  悪貨は良貨を駆逐する
1-40  登竜門
1-41  満を持す
1-42  最も○○な人のひとり
1-43  最も○○なもののひとつ
1-44  難易度/技の難易度
1-45  負けられない一戦(ともに~、絶対に~)
1-46  申し訳ありません
1-47  申し訳ございません
1-48  十本
1-49  目の当たりに見る
1-50  バーター
1-51  にやける
1-52  割愛する
1-53  見える化
1-54  さりげに
1-55  何気に

 個々の説明は長くなるので、下記あたりをご参照ください。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=125916&id=76241185
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1932140209
 ↓
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3099.html

【2】どこが誤用かわかりますか?
2-1  火蓋が切って落とされる
2-2  青田刈り
2-3  悪どい
2-4  味あわせる
2-5  足元をすくう
2-6  いい意味で期待を裏切る
2-7  上へ下への大騒ぎ
2-8  うる覚え
2-9  風の噂
2-10  極めつけ
2-11  鼻にもかけない
2-12  微に入り細に入る
2-13  焼けぼっくりに火がつく
2-14  至極の味わい ※微妙か
2-15  直裁な表現
2-16  ★うず高く積み上げる
2-17  結果を出す
2-18  評価できない
2-19  人数合わせのメンツ
2-20  参考/先生の忠告を参考する
2-21  愚にもつかない ※これは誤用じゃないなorz
2-22  病膏肓に入る(やまいこうもうにはいる)
2-23  世に盗人の 種はつきまじ
2-24  倖田來未による国歌斉唱
2-25  いぎたない食べ方
2-26  結果を出す(重複)


【3】誤用が目立つ言葉
3-1  敷居が高い
3-2  さわり
3-3  役不足
3-4  爆笑
3-5  失笑
3-6  やおら立ち上がる
3-7  ご賞味
3-8  煮詰まる
3-9  なしくずし/なし崩し
3-10  雨模様
3-11  ご教授ください
3-12  ご存知ですか
3-13  小洒落た
3-14  ★あげつらう
3-15  坦々と過ごす
3-16  性癖
3-17  すべからく努力している
3-18  気軽にからんでください
3-19  「片たり」
3-20  ように+否定形
3-21  潮時
3-22  ほしいまま
3-23  姑息
3-24  ダントツ/断トツ
3-25  号泣
3-26  ひとつとない
3-27  押しも押されぬ


【4】諸説あるところだが、一般的には×
4-1  全然+肯定形(個人的には× 新聞も使わないだろうな)
4-2  的を得る
4-3  ラ抜き言葉
4-4  普通においしい
4-5  うれしいです
4-6  イ抜き言葉
4-7  サ入れ言葉


 【5】逃れにくい重言(「誤用」ではなく)
5-1  排気ガス
5-2  古来から/古来より
5-3  犯罪をおかす
5-4  立場にたつ
5-5  うず高く積み上げる
5-6  壇上に上がる
5-7  前後の文脈
5-8  従来から/従来より
5-9  従来までの
5-10  被害をこうむる
5-11  違和感を感じる
  
  
6-0  【6】ことわざの迷走
6-1  犬も歩けば棒に当たる

情けは人のためならず
6-3  隗より始めよ
6-4  人間万事塞翁が馬
6-5  他山の石
6-6  枯れ木も山のにぎわい
6-7  君子は豹変す


【7】辞書の限界
7-1  お伝えしておきます
7-2  いちいち親切に教える
7-3  要領がいい
7-4  やぶさかでない
7-5  ご苦労さまで(ございま)す
7-6  めざとい
7-7  お局(様)
7-8  ご高説
7-9  吊るし上げる
7-10  生理的に
7-11  御託
7-12  成功の可能性が高い
7-13  了解いたしました
7-14  抜け目がない
7-15  くらい/ぐらい
7-16  毎度毎度
7-17  ご苦労(さま)なことです
7-18  ありがとうございました
7-19  うまく立ち回る
7-20  目端がきく
7-21  如才(が)ない
7-22  ~のわりに
7-23  おめでとうございました
7-24  ご苦労さまです
7-25  お疲れさまです
7-26  
7-27  
  
  ●逆はありやなしや
  ヒケをとる/ヒケをとらない
  腑に落ちる/腑に落ちない
  気が置ける(気の置ける?)/気が置けない(気の置けない)
  取り留める/取り留めない
  取り留めのない/取り留めのある
  
  細やか
  目を見張る
  2年に渡って

 主なものの詳細は下記参照。
【お品書き】よくある誤用/定番の質問
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365
 ↓
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12281405565.html


【類似サイト】
単語記事: 誤用の多い日本語の一覧
http://dic.nicovideo.jp/a/%E8%AA%A4%E7%94%A8%E3%81%AE%E5%A4%9A%E3%81%84%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671

mixi日記2011年11月25日から

 文化庁が平成19年(2007)2月2日に発表した「敬語の指針」というものがある。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
  ↓
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/sokai/sokai_6/pdf/keigo_tousin.pdf
「形容詞+です」などはそのはるか昔に発表したものなので、いわば集大成的なものなのだろう。敬語の問題などを考えるときには非常に有意義だが、よくわからない記述も多い。
 

【事例1】【伝言板【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
〈文化庁は昭和27年の段階で「大きいです」「小さいです」の形を認めています。 〉の根拠になるリンクが2つとも切れている。油断も隙もない(泣)。
 代わりになりそうなのは……2007年の「敬語の指針」の28ページの下記の部分かな。
================================
4 丁寧語
「です「ます」を付ける上で留意を要する点は特にない。( 高いです。」のように形容詞に「です」を付けることについては抵抗を感じる人もあろうが,既にかなりの人が許容するようになってきている。特に「高いですね「高いですよ「高いですか」などという形で使うことに抵抗を感じる人はほとんどいないであろう。)
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【事例2】221)突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n132890
 ↓
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1500159854&owner_id=5019671
================================
1)相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現
  コピーを取らせていただけますか。
2)研究発表会などにおける冒頭の表現
  それでは,発表させていただきます。
3)店の休業を張り紙などで告知するときの表現
  本日,休業させていただきます。
4)結婚式における祝辞の表現
  私は,新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です。
5)自己紹介の表現
  私は,○○高校を卒業させていただきました。
6)ビストロSMAPでの中居クンの口上
  なんでも作らさせていただきます。
================================
 上記の例1)の場合は,ア),イ)の条件を満たしていると考えられるため,基本的な用法に合致していると判断できる。2)の例も同様だが,ア)の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため,「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようである。3)の例は,条件を満たしていると判断すれば適切だが,2)と同様に,ア)の条件がない場合には「休業いたします。」の方が良いと言えるだろう。4)の例は,ア)とイ)の両方の条件を満たしていないと感じる場合には,不適切だと判断される。5)の例も,同様である。ただし,4)については,結婚式が新郎や新婦を最大限に立てるべき場面であることを考え合わせれば許容されるという考え方もあり得る。5)については,「私は,卒業するのが困難だったところ,先生方の格別な御配慮によって何とか卒業させていただきました。ありがとうございました。」などという文脈であれば,必ずしも不適切だとは言えなくなる。
 なお,ア),イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。上記の2)~5)についても,このような用法の具体例としてとらえることもできる。その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。
================================

●第2段階の説明(中級向け)
「敬語の指針」は一応の解説にはなっています。ただ元々の問題が微妙なんで、スッキリしない部分が残ります。
 結局どうすればいいのかがわかりません。
 よく見る解決策として、「〜いたします」にすればいい、というのがあります。
 そのとおりだと思います。↑の「敬語の指針」の例で言うなら、下記のようになります。

1)取る→?
2)発表する→発表いたします
3)休業する→休業いたします
4)勉強した→勉強いたしました
5)卒業した→卒業いたしました

 2)〜5)はこの形でOKでしょう。でも1)はどうしますか?
 悪い例としてあげられることが多い「歌わせていただきます」場合はどうしますか?

 結論としては、「〜いたします」にできるものはそうすればいいことが多い、くらいでしょうか。「誤用」だとか「クドい」だとかメクジラを立てるのはどうかと思います。

 「~させていただく」がすべておかしいわけではないので、個々の例で判断するしかないということでしょう。

 その際には以下の点に注意するとよいでしょう。

①「許可」「受益」の2つの要件を満たしているか
②「〜いたします」で十分ではないか
③敬語ではない形にして考えてみる

 具体例は下記をご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13101909118
※なんで削除されたのだろう?

突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html


●第3段階の説明(上級向け)

 敬語関連の名著と言われる『敬語再入門』に重要な記述があります。
 下記の引用部だけではわかりにくいかもしれません。詳しくは同書をお読みください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
================引用開始
【引用部】
 ところが、謙譲語IIの代表選手「──いたす」は、「──する」型(サ変)の動詞でなければ使えない、また、文末以外では使いにくい、という制約があります。つまり、先程の例なら「開発いたしました」と言えますが、「新製品を作りました」は、「──する」型動詞でないので「作りいたしました」と言えないし、「新製品を開発した業者です」も、文末ではないので「開発いたしました業者です」は不自然です。この「いたす」の守備範囲の不足を補うように「作らせていただきました」「開発させていただいた業者です」と言う、という面がありそうです。「守備範囲の広い謙譲語IIの形」を求める心理が潜在的にあって、そこに「させていただく」が入り込もうとしているのです。(P.196)
 つまりそのなんだ。こういうのを読んでしまうと、「プチ発見」のはずが単なる勉強不足になるってことだ(泣)。
================引用終了

Yahoo!知恵袋だと下記のBAが参考になると思います。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362602693

下記もご参照ください。
【法則10 ベタベタ敬語ナンバーワン「させていただく」は控えめに】
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20120416/122404/



【事例3】246)【「やる」 「あげる」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1378.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1523098273&owner_id=5019671
================================
2 世代や性による敬語意識の多様性

 言葉遣いや言葉についての考え方は,世代によって,あるいは性によって異なる場合が少なくない。敬語の使い方や敬語についての考え方もその例外ではない。
 例えば,「植木に水をあげる」と言うか「植木に水をやる」と言うかについて,文化庁「国語に関する世論調査」(平成18年2月調査)においては,「あげる」と言う男性回答者の割合は,10代・20代では30~40%台であるのに対して,50代・60代以上では5~10%台であって世代による違いが見られる。同じ質問について女性回答者は,多くの世代において「あげる」と答えた人の割合が男性より高いが,同時に男性と同様の世代差も見られる。また「ふだん「弁当」という言葉に「お」を付けるかどうか」について「お弁当」と言うと回答した人の割合は,すべての世代を通じて,男性は10~30%台にとどまるのに対して,女性はすべての世代で約70~80%台の高い割合である。
 こうした敬語の使い方についての世代や性による違いに関して,本指針は以下の2点を指摘する。
 一つは,敬語の使い方の違いには,その敬語についての理解や認識の違いが反映していることを考慮すべきだということである。例えば,「植木に水をやる」を適切な言葉として選ぶ人は,「あげる」に謙譲語的な旧来の意味を認め「植木」はその種の言葉を用いるべき対象物ではないと考えている可能性がある。一方,「あげる」を使うと答える人は,この語の謙譲語的な意味が既に薄れていると考え,同時に「やる」という語に卑俗さ・ぞんざいさを感じてこれを避けている可能性がある。現代は,この二つの考え方が言わば拮抗している時代であろう。「植木に水をあげる」という場合の「あげる」は,旧来の規範からすれば誤用とされるものであるが,この語の謙譲語から美化語に向かう意味的な変化は既に進行し,定着しつつあると言ってよい。
 敬語の使い方や意見の異なりを考える際,例えば「あげる」と「やる」についての理解や認識にこうした違いがあるように,それぞれの使い方や意見のよりどころとなっている別の理解や認識があること,つまり,自分自身とは異なる感じ方や意見を持つ人が周囲にいることに留意する必要がある。
================================

 ところで、この文化庁の「敬語の指針」はどこまで信用できるのだろう。
 少なくとも〈「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である〉はおかしい。「申す」は謙譲語のこともあれば、そうでないこともある。「申し上げる」の形にしないと、謙譲語とは言いきれないはず。
「お申し出」の類いが謙譲語でないのは、複合語だからではなく、「申す」自体が謙譲語でないことがあるからだと思う。


【事例4】337)【「ご持参ください」は失礼な言い方か】Yahoo!知恵袋
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1637.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1622163409&owner_id=5019671
================================
(前略)「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である。しかし,「御持参ください」,「お申し出ください」,「お申し込みください」などといった表現の中に含まれる「参る」や「申す」は,謙譲語IIとしての働きは持っていないと言ってよい。したがって,これらの表現を「相手側」の行為に用いるのは問題ない。
================================

【事例5】413)【「~ない」形の形容詞の迷宮──【2】「とんでもございません」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1814.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1674741224&owner_id=5019671
=====================================
実は、H15年度、文化庁が「とんでもございません」が気になるかどうか調査したところ、およそ7割の人が「気にならない」と答えたのです。これらのことから、文化庁はH19年2月「敬語の指針」の中で、【褒められたことに対し、謙遜して否定する場合の言い方としては、問題がない】と発表しました。
=====================================

 文化庁が認めたのでは、「誤用とはいいきれない」と考えるしかないのでしょう。
 しかしながら、個人的には当分は認めたくありません。自分では使わないし、校正の仕事で目にしたら、修正します。ただ、世の趨勢がそこまで来ていることは覚えておくことにします。

 個人的には、
「申し訳ございません」は誤用とはいえない(自分で使うのはできるだけ避ける)
「とんでもございません」はほとんど誤用(自分では使わない)
 と考えることにします。下記のトピをご参照ください。


【事例6】443)【「召し上がってください」「お召し上がりください」は二重敬語か】

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1855.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691635798&owner_id=5019671
================================
(2) 「二重敬語」とその適否
 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば「お読みになられる」は「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
 ・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
 ・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================================

 こんな書き方でわかるのかな。
 Wikipedaのように「不規則動詞一覧」をつけてくれないと誤解されるよ。そうでなくても、当方のレベルだと「同じ種類の敬語」ってあたりで躓きかける。
 たとえば、「召し上がりました」は「召し上がる」(尊敬語)+「ました」(丁寧語)だから二重敬語ではないってことだろう。



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈2〉

mixi日記2013年01月27日から
【事例7】突然ですが問題です【日本語編2】──「お疲れさまです」「ご苦労さまです」  解答編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1300.html
================引用開始
3 「ねぎらい」と「褒め」の問題

【27】 時間外に仕事を教えてくれた上司に「どうも御苦労様でした。」と言ったら,「御苦労様はないだろう。」と笑われてしまった。それで,書類作成に追われた上司が帰る時には「御苦労様」以外の言い方を考えてみたのだ が,適切な表現が浮かばず,そのままになってしまった。そういう気持ちを表したい場合には,どうすれば良いのだろうか。

【解説1】仕事について教えてくれた上司に対しては,「どうもありがとうございました。 (大変助かりました。)」と感謝の表現にすれば良い。また,書類作成に追われた上司に対しては,「(本当に)お疲れ様でございました。」などと言えば良いだろう。
【解説2】「御苦労様」は,基本的には,自分側のために仕事をしてくれた人,例えば, 配達をしてくれた店員などに対して,「ねぎらい」の気持ちを込めて用いる表現である。(なお,このような場合に「お疲れ様」と言うのは不自然である。)ねぎらいは, 上位者から下位者に向けたものとなるため,目上の人に対しては,「御苦労様(でし た)」を用いない方が良い。
これに対し,「お疲れ様」は,「ねぎらい」の気持ちを込めて使われる表現ではあるが,一緒に仕事をした後など,お互いに声を掛け合うような場合にも多く用いる表現 である。(なお,このような場合に「御苦労様」と言うのは不自然である。)そのよう な状況であれば,「お疲れ様」ではなく「お疲れ様でございました」などを用いると いうような丁寧な言い方であれば,だれに対しても使える表現である。したがって, 仕事上の上司であっても使うことができる。
要するに,時間外に仕事を教えてくれた上司に対しては,「御苦労様でした」というねぎらいの言葉ではなく,「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表す言い方に変えた方が良く,一緒に書類作成に追われていた上司に対しては,「お疲れ様で ございました」と,気持ちを込めて表現すれば良いわけである。
ただし,このような定型的な表現ではなく,例えば「おかげ様で仕事が少し分かる ようになってきました。」などと,別の観点に立った表現を使うことで,上手に自分の気持ちを相手に伝えることも可能である。(P.45~46)
================引用終了

「敬語の指針」の最後の段落部は正論だけど、わざわざこんなことを書く意味があるのだろうか。
「可能ではある」けど、独自の言い方をするのがむずかしいから、こういう「定型的な表現」が求められているのでは。その「定型的な表現」のなかで何が適切か、何が無難かということを説明した結論がこれって……。
「AとBのどちらがいいですか。ほかにいい言い方はありませんか」
 という質問に対して、
「そんな紋切り型ではなく、独自の言い方を工夫しましょう」
 って答えてるんだよな。スパルタ式だな~。



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈3〉

「敬語の指針」ってあんまりにも長いもんで通してマジメに読む気にならないけど、やっぱいろいろヘンなとこがあるみたい。

【事例8】「敬語の指針」P.39に下記の記述がある。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
================================引用開始
4 自分側に「お・御」を付ける問題

【16】自分のことに「お」や「御」を付けてはいけないと習ったような気がするが,「お待ちしています」や「御説明をしたいのですが」などと言うときに,自分の動作なのに,「お」や「御」を付けるのは,おかしくないのだろうか。
これは,どう考えれば良いのだろうか。

【解説】自分側の動作やものごとなどにも,「お」や「御」を付けることはある。自分の動作やものごとでも,それが<向かう先>を立てる場合であれば,謙譲語Iとして,「(先生を)お待ちする。」「(山田さんに)御説明をしたい。」など,「お」や「御」を付けることには全く問題がない。また「私のお菓子」など,美化語として用いる場合もある。
「お」や「御」を自分のことに付けてはいけないのは,例えば,「私のお考え」「私の御旅行」など,自分側の動作やものごとを立ててしまう場合である。この場合は,結果として,自分側に尊敬語を用いてしまう誤用となる。
================================引用終了

【20190407一部を書きかえました】 
 詳しくは下記をご参照ください。
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12452630150.html

 これ相当マズいんじゃない?
 大前提として、自分の行動や持ち物につく「お/ご」は2種類あることを説明するべきでは。
 まず、動詞について謙譲語になる場合。
 もうひとつは、名詞について謙譲語や美化語になる場合。
 ↑の説明が悪いのは、美化語と謙譲語の説明がないこと。
「結果として,自分側に尊敬語を用いてしまう誤用」がどういうことか、この説明でわかるのだろうか。
 たとえば、「お考え」。「先生のお考え」なら尊敬語で問題がないだろう。「私のお考え」の場合は美化語とも謙譲語とも考えにくい。そうなると、「自分側に尊敬語」を用いているような感じになるので「誤用」になるということなんだろう。
 かなり言葉足らずだと思う。
 名詞につく「お/ご」は尊敬語、謙譲語、美化語の3通りがある。いずれの場合も「お/ご」がつきにくい言葉がある。これはある程度は理屈をつけられるが、最終的には「慣習」によるとしか言いようがない。詳しくは『敬語再入門』の詳細なリストを見てほしい。
 ただ、名詞につく「お/ご」は、尊敬語か美化語か不明のものや、謙譲語か美化語か不明のものもある。さらに言えば、美化語の適否は使い手の性別やキャラクターにかかわってくるので、一概には判断できない。

■相手側の事物につく場合
 基本的には、尊敬語と考えるのがわかりやすい。美化語とまぎらわしいものもある。
■自分側の事物につく場合
1)相手に関わる事物
 基本的には、謙譲語と考えるのがわかりやすい。これも美化語とまぎらわしいものもある。「相手に関わる事物」はやや曖昧だけど、ほかに言いようがない。
「敬語の指針」の〝<向かう先>を立てる場合〟がわかりやすいと思う人は、そちらで考えてもいい。
『敬語再入門』は〈「主語」「補語」「高める」をキーワードにして説明〉している。こちらのほうがわかりやすいと思うが、あまりにも長すぎて引用できない(泣)。
2)相手に関わらない事物
 謙譲語ではないので美化語になる。美化語の適否は相当微妙な例が多数ある。

 少しだけ具体例をあげておく。
 たとえば、「敬語の指針」に出てくる「私の御旅行」(「御」は相当イヤなので、以下は「ご」と書く)。
 たしかに「私のご旅行」は基本的に×だろうが、下記ならどうだろう。
「わたくし、来月お友達とご旅行にいきますのよ」
 言葉遣いの丁寧な(ある程度の年の)女性なら、この程度の言葉は使うのでは。
「お友達」も「ご旅行」美化語だろう。「敬語の指針」が「私の御旅行」を誤用としている理由はわからない。

 あるいは、「おビールをお持ちしました」。
 外来語に「お/ご」をつけるのは間違いと主張する人もいる。原則的にはそうだと思うが、客商売では「おビール」のほうがフツーでは。「お酒」もフツーだろう。しかし、「おウイスキー」「お焼酎」 とは言わない。このへんは「慣習」としか言えない。
 で、「おビール」の「お」はなんなのか。
 一般には美化語だろう。「暑い時期のおビールはホントにおいしい」と呟く人もいるだろうしね。
 しかし、「お客様のおビール」と考えるなら尊敬語だろう。
 支払いが済むまでは、店に所有権があると考えるなら謙譲語?
 正体は不明だが、小料理屋の女将さんやクラブのママさんが「おビールをお持ちしました」と言うなら、別に不自然とは思わない。
 でもね。苦み走った板さんや、バーの渋いマスターが「おビールをお持ちしました」と言ったら、相当不気味だろう。まぁ、それでも間違いではないだろうが。

 名詞につく「お/ご」だけでもこんな感じになる。動詞につく「お/ご」に関してはもっとたいへんなことになる。それは↑に書いた【自分の行動などにつく「お/ご」】 あたりで許してほしい。

 下記の「おみやげ」とか「手紙」との違いを説明するのはけっこうむずかしいかも。
【自分の行動などにつく「お/ご」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2437.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1859751167&owner_id=5019671

2)名詞につくもの
 名詞につく「お/ご」も尊敬語と考えられがちだが、謙譲語のときと、美化語のときがある。
 たとえば、「先生からのお手紙」の「お」は尊敬語。これが「先生へのお手紙」になると手紙を書いたのは自分だから、「お」は謙譲語になる。
「近頃の若い方はメールばかりで、お手紙なんてお書きにならないようです」なら、美化語だろう。これは過剰敬語気味か。
『敬語再入門』のP.124に、もっと適切な例がある。
================================引用開始
 なお、一つの語がいくつかの用法をもつ場合もあります。§48では、「お手紙」のように尊敬語・謙譲語I両方の用法をもつ主な語をリストしましたが、その中でも「おみやげ」などは、「先生からのおみやげ」(尊敬語)・「先生へのおみやげ」(謙譲語I)のほか「子どもへのおみやげ」のように美化語としても使います(あるいは、初めの二つも美化語と見てしまったほうがよいのかもしれません)。(P.124)
================================引用終了


文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈4〉

「敬語の指針」に関するメモ。
 一般に「敬語の指針」と呼ばれているもののほかに、「叩き台」「答申案」がネット上に転がっているらしい。どこがどう違うのかは知りません(笑)。

■「敬語の指針(たたき台)」(平成18年11月○○日 文化審議会国語分科会報告案)
http://www.bunka.go.jp/1kokugo/pdf/keigo_shouiinkai181002_siryou_2.pdf

■「敬語の指針(答申案)」(平成19年1月15日 文化審議会国語分科会)
http://www.bunka.go.jp/1kokugo/pdf/kokugo_bunkakai190115_siryou2.pdf#search='%E6%95%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%8C%87%E9%87%9D+%E7%AD%94%E7%94%B3%E6%A1%88'

■「敬語の指針」(平成19年2月2日 文化審議会答申)
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf

「敬語の指針」に基づいてつくられたと思われるサイトが下記。動画が見られなくなったのは残念だが、動画部分の下の〈「敬語の基本」理解度チェック〉をたどるとわかりやすい解説がある。
■敬語おもしろ相談室
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/keigo/index.html



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈5〉
Googleのコーパス?的な利用法 直裁 直截 お揃いですか お運び漏れ〈1〉~〈3〉
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3020.html
(2014年05月29日)

【事例9】
1)【「敬語の指針」】(P.50)平成19年(2007年)2月
 検索でヒットするのは、【第五話「間違いやすい敬語(2)」 ~尊敬語あれこれ】だが、ほぼ同じ内容なので、「敬語の指針」をひいておく。

http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/keigo/guide.pdf
================引用開始
6 いわゆる「マニュアル敬語」の問題

【解説1】「御注文の品はおそろいになりましたでしょうか。」という表現は,敬語が誤っ て使われている。「お......になる」というのは尊敬語の形であるため,「おそろいにな る」では「御注文の品」を立てていることになってしまうからである。したがって, 「御注文の品は,そろいましたでしょうか。」,あるいは「御注文の品は,以上でよろ しいでしょうか。」などと言えば良いだろう。

【解説2】マニュアル敬語は,言葉の上のサービスの質を,ある水準に保つために考えら れている。したがって,そのような敬語を使う人が,それぞれの言葉に,どのような 気持ちが込められているのかをよく考えれば,その有効性が期待できるものである。 ただし,それを真に生かすためには大切な条件がある。使う側,また指導する側が, マニュアルという「型」を基礎としながらも,絶えず表現について考え,工夫を重ね ていく姿勢を持つことである。マニュアル敬語にかかわる問題の多くは,この実践の 欠如に起因すると言えるだろう。
 しかし,こうしたマニュアル敬語は,アルバイトの若者や,彼らが働くレストラン やコンビニエンスストアなどだけに特有の問題では決してない。敬語の使い方に問題 はなくても,お客の顔を全く見ないまま接客を済ますなど,態度が言葉を裏切ってい る大人も世の中には少なくない。形だけの敬語では,敬意は伝わらない。相手の表情 や動作ににじみ出た気持ちを察知する,相手の言葉にしっかり耳を傾ける,そしてそ の場面の意味と相手の気持ちを十分に踏まえた上で,敬意を言葉に乗せて表す,その ような姿勢を持つことが何よりも大切だと言えよう。
================引用終了

 さらに根本的なことを書くと……。
 1)【「敬語の指針」】(P.50)平成19年(2007年)2月 の書き方はあまりにもホニャララじゃないか?
 だって、テーマは「マニュアル敬語」でしょ? なぜ「御注文の品はおそろいになりましたでしょうか。」の話になる。これだけを対象に、「マニュアル敬語」について語る気か? まさか。
 しかし【解説2】を読むに、その「まさか」らしい。これって、「マニュアル敬語」の解説になっているのかな。〈マニュアルという「型」を基礎としながらも,絶えず表現について考え,工夫を重ね ていく姿勢を持つことである〉……ある意味名言だな。そのとおりだと思う。で、マニュアルってどういうものだかわかっているのだろうか。そんな姿勢が必要だと、マニュアルにならないと思うよ。



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈6〉
747)【「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2357.html

mixi日記2012年04月03日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1835110167&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【これって正しいですか? 「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383384438

 テーマトピは下記。
【「ご挨拶にお伺いさせていただきます」はなぜヘンな言い方ですか】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=68622653

 当方が立てたテーマトピの「0」を一部省略して転載する。
================================引用開始
「ご挨拶にお伺いさせていただきます」はなぜヘンな言い方ですか

 下記のサイトを読んで疑問に思いました。
【これって正しいですか? 「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383384438

1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
2)ご挨拶にお伺いいたします
3)ご挨拶にお伺いします
4)ご挨拶に伺わせていただきます

 1)~4)のうち、どれがダメな二重敬語で、どれが許容されている二重敬語で、どれが「くどい言い方」なのでしょうか。
================================引用終了

 テーマサイトに出てきた4つの例文について考える。どれも「間違い」ではないはず。当然どれが「正しい」という問題でもない。ただ、細かく見ていくとちょっと(では済まない?)違いがあって、どこまで許容できるのかは個人差があるだろう。
 Yahoo!知恵袋を読んでやや混乱した。2)~4)は修正案として提示されているのだが……。
 トピにいただいたコメントを読んでかなりわかったような気がする。いただいたコメントを参考(誤用?)にしつつ(「いいとこ取り」とも言う)、例によってクダクダと書いていく。

「原形」とも言えるのが「伺う」。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BC%BA%E3%81%86&stype=0&dtype=0
================================引用開始
うかが・う〔うかがふ〕【伺う】
[動ワ五(ハ四)]《「窺う」と同語源。目上の人のようすをうかがいみる意から、その動作の相手を敬う謙譲語となる》
1 「聞く」の謙譲語。拝聴する。お聞きする。「おうわさはかねがね―・っております」
2 「尋ねる」「問う」の謙譲語。「この件について御意見をお―・いします」
3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。「明朝、こちらから―・います」
4 神仏の託宣を願う。「御神託を―・う」
5 《「御機嫌をうかがう」の意から》寄席などで、客に話をする。また、一般に、大ぜいの人に説明をする。「一席―・う」
[可能] うかがえる
================================引用終了

 例文になっているのは〈3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。〉だろう。より厳密に言うと謙譲語I。
 これを謙譲語Iの「お~する」と組み合わせたのが「お伺いする」。通常ならバキバキの二重敬語だが、一般には許容されている。
629)【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1798665663&owner_id=5019671
「敬語の指針」p.30から====================引用開始
(2) 「二重敬語」とその適否
 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば「お読みになられる」は「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
 ・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
 ・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================================引用終了

「お伺いする」だけではなく「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」まで許容されている。「習慣として定着している」か否かの基準は不明。
 2)ご挨拶にお伺いいたします
 3)ご挨拶にお伺いします
 は文化庁が許容したものを丁寧語(~ます)にした形なので、「許容されている二重敬語」ってことになる。
 ちなみに「お伺いいたす」は「伺い」+「お~する」+「~いたす」の三重構造と考えることもでき、この段階でクドいと言えば相当クドい。
 二重敬語のうえに三重構造は×、と考えることもできる。その一方で、文化庁が許容しているから○、と考えることもできる(たしかに「定着している」って気はするし)。
「お伺いいたす」を〈「お伺いする」+「~いたす」〉と考えると、「拝見いたす」(「拝見する」+「~いたす」)と同様と言えなくはない。三重構造の「お伺いいたす」に相当するなら「ご拝見いたす」ではないのか、って話は無視する。

 4)ご挨拶に伺わせていただきます
「伺う」+「させて」+「いただく」+「ます」
 これは「ご挨拶に」を除くと「拝見させていただきます」と同様と言ってもよいだろう。
  伺う→「訪れる」の謙譲語I
  させて→使役などの意味の助動詞「させる」の連用形+助詞「て」
  いただく→「もらう」の謙譲語I
  ます→丁寧語
「敬語連結」であって「二重敬語」でさえない。その意味では非難される理由はない。
 悪名高き「させていただく」が使われているが、「訪れる」ことに関する許可を求め、そのことによって「受益」がありそうだから問題はないだろう。ただ、これがオススメできるかと言うと疑問。
【関連トピ紹介】10──敬語の話2 「~させていただく」は是か非か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45983063
 2)と4)に関しては、「拝見いたします」「拝見させていただきます」と微妙に関係していると思う。下記のコメント[4]までを参照してほしい。[5]以降はお好みで……。
【「拝見する」の使い方──「拝見いたします」「拝見させていただきます」は二重敬語?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=67150294&comm_id=398881

 最後は元々の例文。
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
 これは4)の「伺う」を「お伺いする」(許容されている二重敬語)にかえたもの。
 文化庁が許容しているのだから、「間違い」とは言えない。ただ、これは4)よりもさらにクドい(はず)。


 ここから先は当方の主観(いえその、ここまでも主観が入っているけど……)。 
 質問したトピでは、ほぼ全員が「ご挨拶に伺います」派。Yahoo!知恵袋に出てきた例文は全滅(笑)。みなさん厳しい。「ご挨拶に」が影響している観もある。
 最もシンプルな形とも言える「5)ご挨拶に伺います」を加えて比べてみる(Yahoo!知恵袋にこの形が出ていないのはなぜなんだろう)。
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
2)ご挨拶にお伺いいたします
3)ご挨拶にお伺いします
4)ご挨拶に伺わせていただきます
5)ご挨拶に伺います

 このうち、1)2)3)は許容されている二重敬語を含む。たとえ許容されていても二重敬語は避けるべき、という考え方もアリだろう。
 クドさの程度で考えると、たぶん以下のようになる。下に行くほどクドくなるという意味。二重敬語を使っていない4)の位置づけは微妙かも。
5)ご挨拶に伺います
  ↓
3)ご挨拶にお伺いします
  ↓
2)ご挨拶にお伺いいたします
  ↓
4)ご挨拶に伺わせていただきます
  ↓
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます

 個人的な感覚では、3)が許容できるか否かの境界線で、2)はアウトだろう。このへんはかなり微妙で、過剰気味の敬語が蔓延していると、5)では敬度不足ととられかねない。
 これが「ご挨拶に」を「明日、(読み方は「みょうにち」もしくは「あす」。この文脈だと「あした」はちょっとヘン)」にすると、敬語の重複感が軽減するのでちょっと事情がかわる。「明日、」だったら、3)は許容範囲で、2)も相手によってはアリかも、って気になる。

 敬語の重複感に関して『敬語再入門』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671は下記のように書いている。著者は「敬語の指針」を作成した(主要)メンバーのひとり。この本は信頼してるんだけどさぁ……。
================================引用開始
このように、各語がそれぞれ敬語になり、それをつなげただけのものは、二重敬語と呼ぶべきものではありません。実際、「お読みになっていらっしゃる」は正しい敬語です。「お嬢様はお手紙をお書きになっていらっしゃる」も、四つの別の敬語をつなげただけで、四重敬語などとは言いません。この文も、多少くどくはありますが、問題のない敬語で、言葉の丁寧な人なら、この程度の敬語は使います。(P.148)
================================引用終了

 やはり個人差は大きい(笑)。こういう風に言われちゃうと……たぶん「言葉の丁寧な人」なら「ご挨拶にお伺いさせていただきます」程度の敬語も使うんだろうな。
 少なくとも「敬語の指針」や『敬語再入門』を見る限る、「お伺いいたす」は許容範囲だし、「ご挨拶」や「させていただきます」との併用を×にする根拠はない気がする。そうなると、「クドい」「クドくない」は個人の好みで判断するしかない、ってことになるのだろうか。
「ご挨拶にお伺いさせていただきます」は相当クドくて相当ヘンだと思う。Yahoo!知恵袋でもmixiのトピでも、細かい点は別として、これを支持している人はいない。でも……ちゃんと説明するにはかなりの力業が必要になりそう。なんかハガユい。
 
 結論。
 やっぱり文化庁の「敬語の指針」は嫌いだ。(←オイ!)

チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編 〈1〉〜〈9〉

 下記のシリーズです。
【 日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html


mixi日記2009年04月25日から
 最近、まったく別のトピで【「は」と「が」】をテーマにしたトピが相次いで立った。

【この二つ文の違うところ】(日本語が上手く話せません。 トピック)
(2009年04月23日 23:48)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41976504

【「は」と「が」】(言語学 トピック)(2009年04月24日 20:18)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41999401

 前者はすぐに終わったが、後者が意外なほど伸びている。
 いままでこういうやり取りを何度見たかわからない。
 とくに「☆日本語教師☆」のコミュではしつこいほど繰り返されている。
 そのことは「3」の段階でリンクを張ってコメントを入れたけど、わかりにくかったせいか誰も読んではいないみたい。「19」で丁寧にリンクを張った人がいるけど、やっぱり誰も読んじゃいないみたいorz。

 この件に関しては以前(2008年09月17日)日記に書いた。
 あまりにも毒があったんで、内容を非公開にした。
【チャレンジ日記──「は」と「が」】(友人まで公開)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=936154320&owner_id=5019671

 トピに放り込むために、一部コメント部から加筆し、毒を抜いてリライトする。
これを書いたときには、この問題は「日本語教師」が扱う問題ではないと思った。もう少し正確に書くと、手に負える問題じゃないだろう。言語学か国語学の分野ではないかと思った。
 偶然か必然か今回は言語学のトピでやり取りが続いている。「日本語教師」のコミュよりははるかに意味のあるコメントが多い気がするが、やはり無理だろう。mixiで扱うような問題ではない気がする。

================================
 ちょっとした成り行きで「は」と「が」について書く気になった。
 いくらなんでも無謀だよ。国語学なんかの専門家が何十年だか知らないがずいぶん長い間研究しても結論が出ない話なんだよ。
 それがmixiだと大胆な方々が論争をしている。

【1】☆日本語教師☆「が」 「は」(2008年09月09日) 
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=34847505&comment_count=13&comm_id=19124
【2】☆日本語教師☆「は」と「が」(2008年02月06日)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=27764805&comment_count=5&comm_id=19124
【3】☆日本語教師☆「は」と「が」(2008年02月07日)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=27800832&comment_count=11&comm_id=19124

 何より恐ろしいのは、【3】の「1」のコメントのリンク先。
 このコミュ内だけで、同じようなトピがどんだけ立ってんだよ。
 検索もせずに立てる人も悪い(何回も同様のトピを立てている人は何者?)が、過去のトピも教えずに自説をズラズラ並べることに熱中している人も相当おかしい。
 そもそも、なぜ「日本語教師」のコミュでこんな話で盛り上がるのかがわからない。これって「言語学」とか「国語学」のジャンルの問題だろう。ためしに「言語学」のコミュで検索してみた。そんなテーマのトピはない。そりゃそうか。ちゃんと日本語をわかっている人なら、mixiで扱うべきテーマでないことはわかるはずだも。
 たとえば高校の教師がませたガキにこんな質問をされたら、答える必要あるの? それ以前に、正確に答えるだけの知識をもってるの?
 無理だよ。ホントに基本的なことだけ説明して、あとはいい参考書を教えて「自分で研究しなさい」って言うしかないでしょ。
 たとえば、数学の先生が高等数学の超難問に関する質問をされても、答える必要はないでしょう。そのくらいメンドーな問題ってこと。サラリと答えることができればカッコいいのだろうが。
 まあ、「日本語学習者」に質問されたら答える必要があるんだろう。どう答えてるんだろう。どれどれ。うわー、何言ってるか全然わからん。なかでもすごいのは【2】。コメント「141」まで伸びて、結論はどうなった? ケンカになってるorz。
 
 これほど危険なテーマとわかって何か書こうとするtobirisuもチャレンジャーだよなあ。
 他者と意見交換するよりはずっとマシだと思う。半端な知識の持ち主同士が意見を交換しても、なんの役にも立たない。平行線になるかケンカになるか。そんなバカなことするより、資料本の情報を交換をするべきだろう。
 こういうのは、先生の立場の人間が講義をするしか有意義な情報にはならないと思う。もうひとつ可能性があるとすると、ドンキホーテが叩き台を提出してツッコミを待つ。そしてボロボロにされて泣きながら帰る……ということで少し書いてみる。


 さて、ここまでは単なる悪態と予防線です。本題はここから。
 マトモなアプローチで書いている書籍は山ほどあるだろうから、通常とは少し違うアプローチで書く。まず、一般人は専門書ではなく、辞書を索くべき。「は」も「が」もいくつかの働きがあるが、主格につく場合に限って引用する。厳密に言うと主語とか主格とかって安易に使っちゃいけないんだけど、ここではフツーに使ってしまう。
 インターネット辞書『大辞泉』はあまりよくないので、『大辞林』から抜粋する。これも単に辞書の抜粋なんで、フツーに日本語を知ってる人はパスしてほしい。

=====================================
は(係助)
[1]特に一つの物事をとりあげて提示する。
・お酒―ぼくが買う
・食事―もうすんだ
[2]題目を提示して、叙述の範囲をきめる。
・象―鼻が長い
・ぼく―学生だ
・今日―よい天気だ
[3]二つ以上の判断を対照的に示す。
・行き―よいよい、帰り―こわい
・親に―孝行、友人に―信義
[4]叙述を強める。
(ア)〔補説〕 格助詞・副詞などに付いて意味や語勢を強める。
・たいてい―、そのまま帰る
・君と―もう会わない
(イ)〔補説〕 動詞・形容詞の連用形、および助詞「て・で」に付いて一続きの叙述の一部分を強調する。
・絶対に行き―しない
・なるほど美しく―ある
・まだ書いて―いない
・真実で―ない
[5]〔補説〕 「…(で)は…(だ)が」の形で譲歩の気持ちを表す。活用語の連用形に付くこともある。
・雨も、降り―降ったが、ほんのわずかだ
・ごめんどうで―ございますが
[6]動作・作用の行われる条件・事態を表す。現代語では「ては」の形で用いられるが、古語では「ずは」「くは」「しくは」などの形をとることもある。
・不正があって―ならない
・おこられて―大変だ
・会社として―万全の備えをするつもりです


が(格助)
体言および体言に相当するものに付く。
[1]主格を表す。古語では従属節の主格表現にのみ使用されたが、中世の頃より用法が広まり、一般に主格を表すのに用いられるようになる。
・ぼく―やります
・花―美しい
・先生―書いた本
[2]希望・能力・好悪などの対象になるものを表す。
・リンゴ―たべたい
・あの人―好きだ
[3]指示語に付いて、接続詞のように用いる。
・それ―ね、また大変な人なんだ
[4]連体修飾格を表す。「の」と同じ。現代語では文語的表現のみに用いる。多く、所有・所属・同格などの関係を表す。
・我―校の名誉
・梅―香
=====================================

 ちなみにこのテの専門書なんて手にしたこともない当方は、「は」と「が」って話になると、反射的に先日(9月15日)の日記でもふれた『日本語練習帳』を思い出してしまう。
 この名著?には、「は」の働きが4つあると書いてある。

1)問題(topic)の下に答えを持ってくるよう予約する
2)対比
3)限度
4)再問題化

 済みません。当方には、これが辞書以上のことが書いてあるとはとうてい思えないんだけど。
 1)がどういう意味なのかわかる人、教えてください。『大辞林』の[1]([2]もかな?)をものすごくむずかしく書いているだけなんて書いたら怒られる?
 2)は『大辞林』の[3]のこと。2つ並べるとは限らず、「猫は嫌い」と書くだけで言外に「○○は嫌いではない」とにおわすことがあるってのは、辞書にはないといえばないけど。そんなことフツーわかるだろう。
 3)は『大辞林』の[4]だろう。「限度」と「強調」のどちらが適切なのかはわからない。
 4)はグチャグチャ書いているけどサッパリわからない。当方には2)か3)に入るものって気がする。

 今度は「が」について見てみよう。
「が」の働きは2つあるとのこと。

1)名詞と名詞をくっつける
2)現象文をつくる

 1)は『大辞林』の[1][2]を無理矢理まとめてわかりづらくしている気がする。
 2)も『大辞林』の[1]だろ。
 
 このあと、『日本語練習帳』は「ハとガを同じと思わないこと」と解説している。そりゃ違うに決まっているけど、この記述を読んだ限りではどう違うのかどうにも理解できないのは、当方の理解力に問題があるのだろうか。
『日本語練習帳』ってそんなに真剣には読んでいなかったことに気づいた。文章の書き方に関するところはしっかり読んだが、ほかの部分は「何言ってんだか」って態度だった。
 今回辞書の記述と見比べながら「は」と「が」の説明を読んでビックリした。これって辞書に書いてある以上のことはほとんど書いてない。もちろん、入門者向けにそういうふうに書いたんだろう。それにしても、アンマリ。
 しかも、ものすんごくわかりにくい。これを読んだ当時より、当方が数段バカになっているのかもしれないが……否定できないorz。
 当時は、「素人にもわかりやすく噛み砕いて書いている分中身が薄い」という印象を持った。そのなかで、「は」と「が」に関してはうまくまとめている、と思った。じっくり読み直して、とんでもない勘違いだったとわかった。

【tobirisuの...ψ(。。)メモメモ...】
 ひょっとすると、ここからが本題? そうかもしれない。
 文法のことをガチャガチャ書く気はない。そんなことをすると、わかっていたはずのことまでわからなくなる。「は」と「が」が違うことは、長年日本語を使っている人ならわかるはずだ。その違いを本気で知りたければ専門書を読みなさい。ああいうトピで、知りたければ『○○』を読みなさい、というコメントがほとんどないのはどういうことなんだろう。訳のわからない個人的な意見を並べるのと、どちらが有効な情報か判断できないの? そうは言っても、『○○』を読みなさいと教えてもらっても読まないだろうな。

 ただ、覚えておいたほうがいいことがいくつかある。

1)希望・能力・好悪などの対象になるものを表す「が」は「を」でもいい
『大辞林』の「が」の記述中
[2]希望・能力・好悪などの対象になるものを表す。
・リンゴ―たべたい
・あの人―好きだ
 の「が」は、近年「を」にする人が多い。個人的にはイヤだけど、多くなっているんだからしょうがない。
「この店では新鮮な魚(  )食べられる」(能力……というより「可能」のほうが正確だと思う)
『大辞林』に従うなら、(  )に入るのは「が」。しかし、「を」と書く人も多い。辞書でも、そのことを認めているものがある。このヘンは「赤い本」に詳しく書いた。

2)初出の「が」、既出の「は」
 初出だの既出だの言うからメンドーに見える。昔話を思い出してほしい。

  昔々、あるところにおじいさんとおばあさんガ住んでいました。
  ある日、おじいさんハは山へ柴刈りに、おばあさんハ川へ洗濯に……。

 こういうこった。最初に出てくるときは「が」だけど、次に出てくるときは「は」。日本語ってそういうものなの。理由をちゃんと説明するのはものすごくむずかしい。
『日本語練習帳』の「ハとガを同じと思わないこと」の記述の中には、このことをうんと難解にしている(としか思えない)部分がある。なんでそんなことをしたのかは知らない。
 このことをトピに書いたことがあるけど、「そうじゃないこともある」とか反論された。下記のトピ参照(「2」と「3」)。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=27871409&comm_id=19124
================================
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさん( )おりました。
ある日、おばあさん( )川へせんたくに行きました。

この( )に何が入ると思いますか。これは坪田譲治の「うりひめこ」の冒頭なんですけど,二つとも「が」が入っているんです。

最初の( )は「が」しか入らないと思われますが,「あるところ」が「深い山奥」であれば,「は」を入れてもおかしくないでしょう。

新聞のニュースや小説の書き出しを見ますとね,修辞テクニックの問題なんでしょうけど,こういう一般に日本語教育で言われるセオリー通りではないものが結構あるんです。

出来上がった問題の正解は一つだけじゃないかもしれないという視点は必要だと思います。
================================

 それはそういう使い方をする人もいるってこと。そういう特別な文学作品をもってきて語られてもなあ。句読点の話をしているときに、野坂昭如の小説をもってきて「例外もある」と語っても意味がないでしょう。

3)「が」の後ろにはムヤミにテン(読点)を打ってはいけない。
 こういうふうに書けば、誰だって「でも〈は〉の後ろならいいのね」と感じる。それは「は」に対比の働きがあるから。フツーはわかるわい。
 テンの話に関しては「伝言板」の「句読点の打ち方」を見てほしい。いけね。この部分は書いてないや。これも「赤い本」を見てね、と書くと「いい加減にしろ」って言われそうなんで、赤い本から抜粋しておく。

 以下に書いたのは句読点の話で、直接「は」と「が」の話とは関係ないので省略。興味のある方は下記をご覧ください。

【伝言板 板外編2──読点と使い方の2つの原則と6つの目安】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-145.html



【チャレンジ日記──「ハ」と「ガ」〈2〉】

mixi日記2011年11月02日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1791581415&owner_id=5019671


 直接的には下記の続きだろうな。
【チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編】(2009年04月25日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1148330346&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「[N] がありますか」と[「N] はありますか」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65898419&comm_id=398881

 下記のコメント欄もご参照ください。
突然ですが問題です【日本語編79】──この近くに駐車場{ハ/ガ}ありますか。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1790973508&owner_id=5019671


 以前にも書いたように、「ハ」と「ガ」全般のことを語ろうとしたら、相当量の専門書や論文を読まないと無理だろう。少なくとも当方はそんな恐ろしいことをする気はない。
 ただ、具体的な例文を出して、「どちらが適切か」「どちらが自然か」を考えることなら、できなくはない気がする。
 今回は「適切」「自然」という書き方をする。「不適切」はたいていの場合ヘンだが、「不自然」はそれなりの文脈を用意すればOKになることが多い……くらいに考えてほしい。

 まず、質問文を一部加工して転載する。機種依存文字を使うのはやめてもらえないかな。
================================
 Japanese for busy people�を使用して日本語を教えています。教案を作っているうちに、助詞の「が」と「は」について自分も混乱してしまい、整理できない点が出てきました。

 Lessonn9(存在文)[Target dialogue]
 かとう:すみません。【この近くに駐車場がありますか。】
 店の人:ええ、ありますよ。
 かとう:どこですか。
 店の人:あそこにコンビニがありますね。駐車場はあのコンビニのとなりです。
 かとう:どうもありがとう。

 最初の【この近くに駐車場 が ありますか】と言う文ですが、私は【この近くに駐車場 は ありますか】の方が自然に感じてます。
 
 新しい情報を提示する際の助詞は「は」ではなく「が」を使うと教科書内でも説明しています。私もその点は理解しています。

 練習問題にも
 ・この近くにバス停がありますか。
 ・この近くに郵便局がありますか。
 のように、「が」を使用して所在を聞く練習問題が掲載されています。

 質問�→質問1)
 みなさまは、会話の最初の一文として【この近くに駐車場 が ありますか】と【この近くに駐車場 は ありますか】では、どちらの文がより自然だとお考えでしょうか。自分の感覚だけで指導するのが少し心配になったので質問をさせていただきました。(地方出身者なもので、それが関係してるのだろうかと考えました。)

 質問�→質問2)
 この会話文のように、所在を聞くときの質問文では、やはり新しい情報の提示と言うことで、「が」を使用して質問をすると指導する方がよいのでしょうか。
================================

 コメント[1]に出てくる〈相手が「駐車場」という施設を知っていると確信している〉をめぐって、以下のコメントが混乱している気がする。コメント[2]と[4]の間でトピ主の理解が大きくかわっていることを知っている人は何人くらいいるのだろう。この点にこだわると話が煩雑になるので無視する。
 下記【事例3──通93】参照。※公開制限あり
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1790846512&owner_id=5019671

  【テーマ例文】
  この近くに駐車場(  )ありますか。

【テーマ例文】の(  )に入るのは「ハ」か「ガ」か。
 これはコメント[0]に出てくる『Japanese for busy people I』にあるもの。コメント[3]に出てくる「華東師範大学出版の聴解の教科書」も、同様の例文を「ガ」にしているらしい。
 個人的な感覚だと「ハ」だと思う。でも「ガ」が間違いと言い切る根拠もない。つまり、自然なのは「ハ」。「ガ」は決して不適切ではないが、「ハ」よりもちょっと不自然。なぜそうなるのかは不明だけどさ。
 では、2冊の教科書?はなぜあえて不自然な「ガ」を使っているのか。
 理由は2つ考えられる気がする。
  1)何も考えてないホニャララ本だから
  2)学習者を混乱させないため

 1)の可能性が高いが、それではミもフタもないので、あえて2)と考えることにする。


●存在文だから疑問文も「ガ」にしちゃえ(←オイ!)
  1) この近くに駐車場(  )あります。
  2) この近くに駐車場(  )ありますか。
 
 1)は存在文(でいいのかな?)の基本形で、「ガ」が自然(「ハ」は不自然)。
 これを2)の疑問文すると、なぜか「ハ」が自然になる(「ガ」はほんのちょっと不自然)。
 理由を簡単に説明できるならするべきだけど、けっこう難問。だったらどっちも「ガ」で通したほうが学習者が理解しやすいのでは。
 教科書制作サイドがそう考えたのだとすると、ホニャララ本なんて失礼なことは書けない。

 ただし、存在文であっても下記の場合は「ハ」のほうが自然になる。5)あたりになると、「ガ」は不適切な気さえする。理由は不明。上記の教科書ではどう扱っているのでしょ。さすがにこれを全部「ガ」で押し切るのは無理だろう。
  3) この近くに駐車場(  )ありません。
  4) この近くに駐車場(  )ありませんか。
  5) この近くに駐車場(  )ありませんよね。

 個人的には、3)は否定文だから、という仮説を根深くもっている。存在文の「ガ」より、否定文の「ハ」のほうが強いってこと(ホントか?)。4)や5)が「ガ」になりにくいのも、「ありません」の影響だと思う。
 もしそうなら、〈存在文は基本的に「ガ」だけど、否定文は「ハ」になる傾向がある〉で済む。否定文ではない疑問文はどう扱うべきなのだろう。
 下記参照。
続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42113447&comm_id=2748


●道などを訊くときの前提
 コメント[5]に〈そもそも道を聞くなんてことは、相手が多分知っているだろうと思っているからできる〉とある。そうなると、既知(既出)だから「ハ」が自然。常識的にはそのとおりだと思う。ただし、そういう「前提」ではあっても「確信」ではないだろう。
 そうではないという非常識?な考え方もできる。
 以下は某所に書いたこと。これは「未知(未出)」だろう。でも「ハ」が自然。
================================
 わかりやすくするために、うんと極端な例をあげます。
 車を運転している当方が、まったく未知の土地で駐車する場所を探しているとします。人通りが少なく、やっと出会ったのが、どう見ても運転とは縁のない老婆です。当方が老婆に声をかけます。(  )に入るのは「ガ」でしょうか「ハ」でしょうか。
「もしご存じだったら教えてほしいのですが、この近くに駐車場(  )ありますか」
 当方は「ハ」が自然だと思います。しかし、老婆が〈近辺の「駐車場」の場所を知っている〉と確信しているからではありません。むしろ「たぶん知らないだろうな」と思っています。
================================


●前後の助詞との関連
 〈「ハ」と「ガ」のどちらが入るか〉を考えるとき、前後の助詞の話も重要になってくる。ここでは前後に「ハ」や「ガ」があるかないかだけを考える。厳密に考えると、役割分担みたいなことになりそうだが、無視する。
「論理」で考えるとむずかしいから、「生理」で考える……と言ってもいい。
  6) 来週の月曜日ハ、予定(  )ありますか。
  7) 来週の月曜日ですガ、予定(  )ありますか。
  8) 来週の月曜日、予定(  )ありますか。
  
 6)は両方OKだけど、「ガ」のほうが自然に感じる。
 7)は両方OKだけど、「ハ」のほうが自然に感じる。
 8)は両方OK。しいて言えば「ハ」って気がするが、理由が説明できないから個人的な趣味でしかない。
 こういうことは、話し言葉だとそんなに神経質になる必要はないかもしれないが、書き言葉だとけっこう気になる。
 直前に「ハ」や「ガ」があるから……以外の理由があるのだろうか。↑の老婆への質問も、「ハ」が相当イヤなのは直前の「ガ」の影響もありそうだ。
 こうでも考えないと、某所に書いた下記の説明ができない(泣)。
================================
 ちなみに、下記だと「ガ」のほうが自然だと思います。
「確信」なんて関係ありますか? 既知とか未知とか関係ありますか?
「この近くにハ駐車場(  )ありますか」
================================
 ってことで、下記を9)にする。
  9) この近くにハ駐車場(  )ありますか。


●疑問詞との組み合わせ
 以下はほぼヨタ話……と言うより詭弁に近い。
 疑問文と「ハ」と「ガ」って話になると、〈疑問詞を使う場合は「ガ」〉という説が出ることがある。
  10) 誰ガ担当者ですか。
 たしかにハにはしにくい。ほとんど「不適切」だろう。
 語順を入れかえる。
  11) 担当者ハ誰ですか。
 これならガにはしにくい。ほとんど「不適切」だろう。
 つまり、〈疑問詞を使う場合は「ガ」〉ではなく、〈疑問詞に直接つくのは「ガ」〉ってことじゃないかな。〈疑問詞の前に来るのが「ハ」で、疑問詞の後につくのが「ガ」〉と言うべきかな。疑問詞の前に来ると〈主題のハ〉になる、とも言える。
 このあたりのことも、〈続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです 〉のトピに出てくる。雑音も多いけど、役に立つトピだ。

 ここから妙な論理展開を思いつく。
  12) どこガ駐車場ですか。
    ※ちょっと不自然な気もするけど、「ハ」よりはマシ。
  13) 駐車場ハどこですか。
    ※11)と同様で、ガにはしにくい。ほとんど「不適切」だろう。
 この流れで考えると、下記は「ハ」のほうが自然だろう。
  14) 駐車場ハどこにありますか。
  15) 駐車場ハありますか。

【テーマ例文】に関しては、「ハ」でも「ガ」でもOKとしか言いようがないだろう。「どちらが自然」なのかは論理的は説明できない。
 あえて理由をつけるなら、「ガ」がOKなのは存在文の変形と考えることができるから。
「ハ」がOKなのは、↑のような理由から。簡単に言うと、「(後ろに)疑問詞を内在している文型」だからかな。15)に「この近くに」がついていると考えればOK。厳密に言うと、「駐車場ハどこにありますか」なら前段は「この近くで」だろうけど。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 我ながら強引だ。穴がいろいろありそうだけど、許して。やっぱヨタ話レベルだな。
 フツーに考えたら、「ハ」と「ガ」の問題なんてわかんないよ。なんで【テーマ例文】は「ハ」が自然なんだろう。

 
 矛盾点を探してみた。例外はどこまでもつきまとう(泣)。
  a あそこ{ハ/ガ}さっきから話題の駐車場です。→既知だけど「ガ」が自然
    「さっきから話題の駐車場」を「目的地の○○」にするともっとハッキリする?
  b さっきから話題の駐車場{ハ/ガ}あそこです。→既知だけど両方OK?
  c 駐車場{ハ/ガ}どこか教えてください。→疑問詞の前だけど両方OK?


【チャレンジ日記──「ハ」と「ガ」〈3〉日本語】
「ほぼお手上げ」ってことで話を済ませようと思ったが、妙な例文を見つけたんで【テーマ例文】の3)にする。素朴な疑問なんだけど、このベストアンサーみたいな解説って、日本語学習者が理解できるのだろうか。「近接回避」(仮称)なんていい加減なことを言わずに。「ハがついたほうが主題……」とか書くほうが正確だとは思う。でもこれがイマイチ理解できない当方の立場は……(泣)。
【A社に外国人の社員さんがいますか】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1186851806

【テーマ例文】
1)この近くに駐車場{ハ/ガ}ありますか。  
2)今月の26日に空室{ハ/ガ}ありますか。
3)A社に外国人の社員さん{ハ/ガ}いますか。

 2)はトピに出てきた例文を少し加工した。元の文は「今月の26日ですガ、部屋ガ空いていますか」。これだと「ガ」の「近接回避」のために「ハ」のほうが自然だろう。
 1)~3)はほぼ同じ構文だと思う。
  (場所/時)に(物/人){ハ/ガ}(ありますか/いますか)
 個人的な感覚では、どれも「ハ」のほうが自然。「ガ」を自然にするためにはそれなりの文脈が必要になる。具体例が意外に難物で……。
 理由はまったくわからないが、1)2)は「ガ」でもさほど異和感がないのに、3)には相当異和感がある。
 ついでに書くと、1)は「この近くに」でもいいと思うし、2)は「今月の26日に」でもいいと思う。しかし、3)は「A社にハ」と「ハ」を入れるほうがずっと自然な気がする。そうなると、「近接回避」(仮称)のルールに従い、「社員さんガ」のほうが自然になる。
 おそらく、〈会社は無数にあるけど、ほかでもない「A社にハ」いるのか〉ってことなんだろう。
 一方1)の〈この近く〉と対比される言葉はそれほど多くはない。仮に〈駅前にハ云々〉がすでに話題になっているのなら、「この近くにハ」にしたくなるけど。2)の〈今月の26日〉は1)と3)の間くらいかな。
 ↑のYahoo!知恵袋でイチバン過激な意見は、〈「A社に外国人の社員さんがいますか。」は不自然な日本語〉で〈現実性の乏しい作文〉であり〈実際に使うタイミングはありません〉としている。気持ちはわからなくはないけど、ここまで断言する勇気はない。それなりの文脈があればOKになるはず……とは思いながら、適切な文脈が思いつかない。
 1)2)に比べて3)の異和感が強い理由もわからない(泣)。


【チャレンジ日記──「ハ」と「ガ」〈4〉

 テーマトサイトは下記。
【日本語の「が」と「は」の違いについて教えてください。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1494031699
================================引用開始
日本語の「が」と「は」の違いについて教えてください。
外国人に日本語を教えています。

「質問はありますか?」という問いに対して答える文として、
A「質問はありません」 もしくは B「質問があります」ということを教えた際に、

どうしてAのときは「は」で、Bのときは「が」を使うのかと聞かれました。
わたしにはうまく答えられなかったので、どなたか教えてくださると助かります。

よろしくお願いいたします。

補足
ありがとうございます。「質問はありますか」が一般的でないなんて驚きました。まずは自分の日本語を見直さないといけないですね。

それでもよくわからないのですが、「質問があります」のとき「が」になる理由は、2)形容詞述語文内に書かれている“強調“ですか?
================================引用終了

 最初のコメントが削除されたので、質問者の【補足】が浮いている。
 たしか、「質問ありますか?」は×で、「質問ありませんか?」にするべきとしていた。これはこれでひとつのテーマになりそう。たしかに「質問ありませんか?」のほうがいい気がするが、「質問ありますか?」が×とは思えない。
 本題は、下記の問題とほぼ同様だろう。ちとウッカリして、このトピの話を回収していなかった。

【続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42113447&comment_count=76&comm_id=2748
 
 当方がトピ立ての際に書いたコメントが下記。
================================引用開始
1)明日、父が帰ってきます。
2)明日、父は帰ってきません。

3)明日、雨が降るそうです。
4)明日、雨は降らないそうです

 1)は「は」でもいいのかもしれません。
 しかし、2)~4)は「は」を「が」にかえる(逆に「が」を「は」にかえる)と不自然な気がします。

 このようになる理由をおわかりの方はいらっしゃいませんか。
 疑問は主として2つあります。
A 肯定文と否定文で「が」が自然になったり「は」が自然になったりするのはなぜか
B 1)だけが「が」でも「は」でも不自然でない気がするのはなぜか
================================引用終了

 いろいろあって、仕切り直して書いたコメント[60]の一部が下記。
================================引用開始
 タチの悪いイタズラをしでかした犯人を捜すために先生が子供に訊く……くらいの状況を考えてください。
先生「あのイタズラをしたのは太郎ですか、次郎ですか」
三郎「太郎はしてません。次郎がしました」
 ※三郎の言葉は「次郎がしました。太郎はしてません」と入れかえることも可能でしょう。
 ※この例文だと、既出(旧情報)&初出(新情報)は無関係だと思います。「文脈のよる」とも言えない気がします。

 さらにこれは次のような形も考えられます。
先生「あのイタズラをしたのは太郎ですか、次郎ですか」
太郎「ボクはしてません。次郎がしました」
 ※太郎の言葉は「次郎がしました。ボクはしてません」と入れかえることも可能でしょう。
 ※第三者と当人では違いがあるのかないのか不明です。とりあえずいまのところは、違いはないようです。

 こうなると、「肯定文では〈が〉になりやすく、否定文では〈は〉になりやすい」と言えるのでは……という気がします。
================================引用終了

 コメント[62]以降で、興味深い話になる。
 否定文だから「ガ」になるのではなく、〈No.1(複数犯のなかの主犯or単独犯)をマークするときに「ガ」〉になる、と考えられるらしい。
 だから、質問が「宿題をやってこなかったのは太郎ですか、次郎ですか」という形になると「ガ」と「ハ」が逆転する。
三郎「太郎はやってきました。次郎がやってきてません」
太郎「ボクはやってきました。次郎がやってきてません」
 この場合は、なぜか「次郎はやってきてません」でもさほどおかしくないのかもしれない。
 うーん。困った(泣)。

 ネット上で閲覧できる論文などを見ても、こういう考え方をしているものが見当たらない。論外なのかな。論文になると、当方の読解力を超えているという説もある。
 下記は前に別のトピで紹介されていた例。
http://park21.wakwak.com/~attire/research/hatogayousi.htm
http://www.pantomime.org/nihongo-tusin/note.html

 気になったのは下記の冒頭近くにある一文かな。
http://homepage2.nifty.com/arima-yty/misc/waga.html
>新しい話題は<が>だとか、否定になると<は>だとか、一元的な説明をあきらめているふしもあるようである。
 この場合「一元的な説明」がどういう意味かわからないが、「否定になると<は>」という考え方はあるらしい。

 適確な説明はできないが、「否定文では〈は〉になりやすい」と言えそうな気がする。
 そうとしか言えない例に遭遇した。
【チャレンジ日記──「ハ」と「ガ」〈2〉】に出てきた下記もそう。
================================引用開始
  1) この近くに駐車場(  )あります。
  2) この近くに駐車場(  )ありますか。
 
 1)は存在文(でいいのかな?)の基本形で、「ガ」が自然(「ハ」は不自然)。
 これを2)の疑問文すると、なぜか「ハ」が自然になる(「ガ」はほんのちょっと不自然)。
 理由を簡単に説明できるならするべきだけど、けっこう難問。だったらどっちも「ガ」で通したほうが学習者が理解しやすいのでは。
 教科書制作サイドがそう考えたのだとすると、ホニャララ本なんて失礼なことは書けない。

 ただし、存在文であっても下記の場合は「ハ」のほうが自然になる。5)あたりになると、「ガ」は不適切な気さえする。理由は不明。上記の教科書ではどう扱っているのでしょ。さすがにこれを全部「ガ」で押し切るのは無理だろう。
  3) この近くに駐車場(  )ありません。
  4) この近くに駐車場(  )ありませんか。
  5) この近くに駐車場(  )ありませんよね。

 個人的には、3)は否定文だから、という仮説を根深くもっている。存在文の「ガ」より、否定文の「ハ」のほうが強いってこと(ホントか?)。4)や5)が「ガ」になりにくいのも、「ありません」の影響だと思う。
 もしそうなら、〈存在文は基本的に「ガ」だけど、否定文は「ハ」になる傾向がある〉で済む。否定文ではない疑問文はどう扱うべきなのだろう。
================================引用終了


【チャレンジ日記──「ハ」と「ガ」〈5〉

 コメントを回収しておく。なんで皆さんこんなメンドーな話が好きなんでしょうね。どっちもOKではダメだんだろうか。
 テーマトサイトは下記。
【授業はありませんか? 授業がありませんか? この2つの文章は自然でしょうか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1295608092

【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「授業はありませんか?」「授業がありませんか?」

結論だけを書くと、2つとも不自然とは言えません。
個人的には「授業ハありませんか?」のほうが自然に感じます。文脈によっては「ガ」が自然なこともあるでしょう。
日本語学習者向けの教科書には、下記の例文が出ているそうです(詳しくは下記のリンク先参照)。

この近くに駐車場がありますか。
今月の26日ですが、部屋が空いていますか。

おそらく「存在文」の「ガ」と同様に扱うためと思われます。これは下記の②と同じ形でしょう。ご質問の例は④ですよね。

①授業があります。……「存在文」の基本形
②授業がありますか。……「存在文」の疑問文
③授業がありません。……「存在文」の否定文
④授業がありませんか。……「存在文」の否定文の疑問文

①~④をすべて「ガ」にするほうが学習しやすいので、そうしているような気がします。それで大きな問題はないと思います。
こういう事実を無視して、④は「ハ」のほうが自然とするのは無理を感じます。
個人的には、②~④は「ハ」のほうが自然だと思います。しかし、その理由を論理的に説明するのはむずかしいので、強く主張する気はありません。過去にいろいろな説明を目にしましたが、ニュアンスの違いはきわめて微妙で、少なくとも当方が納得できる説明は見たことがありません。
この問題に関しては、SNSのmixiのトピでかなり突っ込んだやり取りをしたことがあります。専門的な話も出ましたが、結局は「よくわからない」としか言いようがありません。「文脈しだい」ということでしょう。


以下は、「あえて説明するなら」という話です。余談とお考えください。ご質問の例は下記の4)と同様だと思います。
詳しくは下記をご参照ください。なお、文中で「不自然」としているものでも、やや特殊な文脈を用意すれば「不自然」ではなくなりそうです。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-592.html
以下は一部の抜粋(重言)。
================================引用開始
1) この近くに駐車場(   )あります。
2) この近くに駐車場(   )ありますか。

1)は存在文(でいいのかな?)の基本形で、「ガ」が自然(「ハ」は不自然)。
これを2)の疑問文すると、なぜか「ハ」が自然になる(「ガ」はほんのちょっと不自然)。
理由を簡単に説明できるならするべきだけど、けっこう難問。だったらどっちも「ガ」で通したほうが学習者が理解しやすいのでは。
教科書制作サイドがそう考えたのだとすると、ホニャララ本なんて失礼なことは書けない。

ただし、存在文であっても下記の場合は「ハ」のほうが自然になる。5)あたりになると、「ガ」は不適切な気さえする。理由は不明。上記の教科書ではどう扱っているのでしょ。さすがにこれを全部「ガ」で押し切るのは無理だろう。
3) この近くに駐車場(   )ありません。
4) この近くに駐車場(   )ありませんか。
5) この近くに駐車場(   )ありませんよね。

個人的には、3)は否定文だから、という仮説を根深くもっている。存在文の「ガ」より、否定文の「ハ」のほうが強いってこと(ホントか?)。4)や5)が「ガ」になりにくいのも、「ありません」の影響だと思う。
もしそうなら、〈存在文は基本的に「ガ」だけど、否定文は「ハ」になる傾向がある〉で済む。否定文ではない疑問文はどう扱うべきなのだろう。
================================引用終了

下記も参考になると思います。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1294434767


【追記】
 余計なことかもしれないが、〈初出の「が」、既出の「は」 〉について補足しておく。
 mixiのトピに書いたら、〈日本語ってそういうもの〉ではない、と反論されてビックリしたことがある。あんまり古いことなんで、どこに書いたのか忘れてしまったorz。
 そんなのは当たり前で、もしこれが絶対的なルールなら、長編小説の冒頭で「ガ」を使ったあとは「ハ」は使えなくなる。それは困るだろう(笑)。
※いかんなぁ。〈長編小説の冒頭で「ガ」を使ったあとは「ハ」〝しか〟使えなくなる〉だ。

 そもそも、〈ある日、おじいさんハは山へ柴刈りに、おばあさんハ川へ洗濯に……。 〉だって「対比?」の「ハ」じゃないかって気がする。
 これが〈ある日、おばあさんガ川へ洗濯に行ったときのことです。 〉なら「ガ」のほうが自然だろう。
 ただね。
 入門者に、「ハ」と「ガ」の違いに興味をもってもらうには好例だと思っている。
 いきなり「主題」だ「主語」だと始めるより、ずっとマシじゃないだろうか。



【教えて! gooで庭三郎氏発見 改──
チャレンジ日記 「ハ」と「ガ」〈6〉

mixi日記2015年10月15日から

 下記を書き直しました。
【教えて! gooで庭三郎氏発見】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12068140547.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945601510&owner_id=5019671

 ちょっと驚いたんだけど、教えて! gooに、庭三郎氏が参加しているらしい。
 これはmixiに金谷武洋氏が参加していることを知って以来の衝撃かも。
【第20回 「は」と「が」はどう違う?】
http://blog.goo.ne.jp/shugohairanai/e/89f68f5696c3dcad4cbdf059d39da6a3

 庭三郎氏に関して当方も詳しいことは知らないが、下記あたりを参照してほしい。日本語教師の世界ではかなり知られた人らしい。Macintoshだとフツーにアクセスすると文字化けするのがタマにキズ。
【庭 三郎 の 現代日本語文法概説】
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/

 下記で初めて知った。「なりすまし」の可能性もあるが、ほかのコメントを読むとどうも本物らしい。今後は勉強させてもらう。
【「しつつある」という表現について】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9050839.html

 教えて! gooでのHNはnwsaburoo。
 ほかに下記あたりでコメントしている。専門家がこういう平易な文章で解説してくれると助かる。せっかくのコメントが、グダグダのコメントに埋もれてしまっているのが残念。
【「私は花が好きだ」の「花が」】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9048593.html
==============引用開始
こんにちは。

以前、「学校文法」について書いたものをコピーします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7878213.html

(前半省略)
学校文法のことを少し書いておきます。
ここでの問題は、「学校文法」というものの内実です。これもくわしく書くと長くなるので、はしょって書きますが、学校文法というのは非常に不完全な、説明能力の限定された文法です。

ここでまた、たとえを出して説明します。今、中学で教えている学校文法というのは、算数にたとえれば、自然数の範囲で四則演算(+-×÷)をやっているようなものです。足し算は自由にできますが、引き算の練習では負の数が出ないように、(5-3)のような練習問題しかできません。(3-5)はできないのです。同様に、かけ算は自由にできますが、割り算は必ず割り切れるものだけにします。分数はまだ知らないのです。余りが出るのは美しくないでしょう。

このたとえと同じで、中学で習う文法の練習問題は、必ず答えがすっきり出るような例文ばかりです。日常的な、実際の日本語の中の、学校文法の枠組みでは答えが出にくいものは、慎重に排除されています。
上の「ハ・ガ文」はまさにそのようなものです。

学校文法は、子どもに日本語の中の規則性をごくかんたんに教えるには、それなりに教育的価値のあるものですが、不合理なところがいろいろあり、現在の文法研究者で学校文法を良いものだと思っている人はほとんどいないでしょう。
なんと言っても、戦前の、日本語の文法研究がまだ始まったばかりと言ってもいい時代に作られた枠組みを、そのまま教えているのです。古典文法の理解のためには、それなりに役立つのでしょうが、それにもいろいろ批判があります。早くやめたほうがいいのですが、一つの体制が確立してしまうと、その改革には非常に大きな労力が必要で、一部の文法研究者が取り組んでいるようですが、難しい問題です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「主題」も「対象語」も「補語」も「目的語」も、学校文法の用語にはありません。それらが分析のための用語として使われるようになったのは、戦後のことです。(「目的語」は英文法の用語です)
現実の日本語を、納得がいくように分析することは、学校文法では無理なのです。残念ながら。

saburoo
==============引用終了

 ほかに、同じnwsaburoo名義でAmazonのレビューも書いている。これを読むだけでタダモノではないことがわかる。残念なことに当方にはやや難解。
http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/A3V4N23K6JCVYA?ie=UTF8&sort_by=MostRecentReview

 ブログもあるのね。これは要チェックかも。
http://blogs.yahoo.co.jp/niwasaburoo


 ちなみに、以前〈「ハ」と「ガ」の違い〉に関し、自分の手に余るので庭三郎氏のサイトから引用した(コメントNo.3)。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9003546.html
 No.4で大胆な感想を書いた人がいる。

==============引用開始
#3さんが専門家?の説明を紹介していますので、若干、感想を。
第一印象は、わたしのような頭の悪い人間にとっては、あまりに煩雑すぎる・・・ですね。
挙げている参考文献が膨大なのですが、なるべくたくさん取り込もうとして、そうなってしまったような気もします。
まあ、それは好き好きですからとやかく言うつもりはありませんが、解説文自体も、結構、回りくどい印象を受けます。
たとえば、ほんの一例ですが、
------------------------------------------------------
「は」の用法の基本:
1 何かを頭の中に思い浮かべて、それについて情報を述べたり、質問したりするとき。 
    えーと、財布、財布、、、あ、ここにある。 → 財布はここにある。
   (人を探して)陳さーん、陳さーん。陳さんはどこへ行ったんだ?

2 話の場にあるもの、話に出てきたものなどについて情報を述べたり、質問したりするとき。
   あ、おいしそうなお菓子! (食べてみて) このお菓子はおいしいね。
   もしもし!(あなたは)どちらへいらっしゃいますか?
   「これはどこにおく?」「それはあっちに持って行って。」
   「中学の時の先生が亡くなったって聞いて悲しくなっちゃった。」「その先生は何歳だったの?」

3 一般的な事実(真理)などを述べるとき。(「が」の用法1との違い)
    学生は学校に毎日通う。
    電車は線路を走る。
    植物は肥料をやるとよく育つ。
    雨は冬より夏にたくさん降る。(東京では) cf. 雨が降っている。(今、目の前で)
(1・2・3は結局、「話し手(と聞き手)がその場で頭に思い浮かべられるもの」とまとめることができる。) 
   
4 何かの部分や「~は~が」文の「~が」について、特に対比の意味を持たせて言いたいとき。
私は中国語は少しわかる。(韓国語はぜんぜんわからない。)
    象は、鼻は長いが、足は短い。 
    私は日本酒は好きだけれど、ウイスキーは好きじゃない。
------------------------------------------------------
のような記述があります。4つも例を挙げる必要がありますかね。まあ、親切心からだと思うので、文句は言いたくないのですが、絞り込んだほうが本質が理解しやすくなることは結構多いでしょう。
単純に、
【○○は】⇒○○を主題提示して、「○○」に関して「は」以降で話を展開する用法。
と言えば済むと思うのですけどね・・・。
文中の表現を使っても、『1 何かを頭の中に思い浮かべて、それについて情報を述べたり、質問したりするとき。』だけで全て網羅できているでしょう。
誤解なさらないでいただきたいのですが、必要性があるなら、いくら回りくどくても長くても良いと思います。
しかし、無闇に長けりゃ良いということにはならないはず。
==============引用終了

 大前提として、この引用は庭三郎氏のサイトのどこにあるのだろう。
 ずいぶん探してしまった。なぜか検索してもヒットしにくい。
 下記からたどれる。
【5.「は」について 】
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/09wa.html 
【補説§5】
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/09wahosetu.html
§5.2 「は」と「が」の基本
 
 どちらの説が説得力があるのか当方にはわからない。
 ホントにひとつに集約できるのなら、それに越したことはない。
 いろいろあげているのは、ひとつだけでは網羅できないからじゃないかな。ほかの専門家の説を見ても、いくつもあげている。
 たとえばかの『日本語練習帳』の記述(「たとえ」の後に読点を打ってはいけない)。
 この名著?には、「は」の働きが4つあると書いてある。
 入門者向けにかなり絞り込んでいるけど、それでも4つある。よく読むと内容にはいろいろ問題を感じるんだけどさ……。
【チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-592.html
 以下は一部の抜粋(重言)。
==============引用開始
1)問題(topic)の下に答えを持ってくるよう予約する
2)対比
3)限度
4)再問題化

 済みません。当方には、これが辞書以上のことが書いてあるとはとうてい思えないんだけど。
 1)がどういう意味なのかわかる人、教えてください。『大辞林』の[1]([2]もかな?)をものすごくむずかしく書いているだけなんて書いたら怒られる?
 2)は『大辞林』の[3]のこと。2つ並べるとは限らず、「猫は嫌い」と書くだけで言外に「○○は嫌いではない」とにおわすことがあるってのは、辞書にはないといえばないけど。そんなことフツーわかるだろう。
 3)は『大辞林』の[4]だろう。「限度」と「強調」のどちらが適切なのかはわからない。
 4)はグチャグチャ書いているけどサッパリわからない。当方には2)か3)に入るものって気がする。

 今度は「が」について見てみよう。
「が」の働きは2つあるとのこと。

1)名詞と名詞をくっつける
2)現象文をつくる

 1)は『大辞林』の[1][2]を無理矢理まとめてわかりづらくしている気がする。
 2)も『大辞林』の[1]だろ。
 
 このあと、『日本語練習帳』は「ハとガを同じと思わないこと」と解説している。そりゃ違うに決まっているけど、この記述を読んだ限りではどう違うのかどうにも理解できないのは、当方の理解力に問題があるのだろうか。
==============引用終了

 冒頭の金谷武洋氏だって、ひとつにはしていない。考えれば考えるほど例外が出てくるのに、あくまでも「ひとつで済む」と考えるんですかね。それで済むならラクでいいなぁ。
 しかも、そのあと〈感心な点〉をあげている。
 ここまで〝上から目線〟で高飛車な書き方ができるのは、よほどハイレベルの専門家なのだろう。

【20190617追記】
 やはり「よほどハイレベルの専門家なのだろう」。そうでなきゃコメントNo.31のような書き方はできない。
【次の文で、どれが主語、動詞、目的語でしょうか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/11135069.html




チャレンジ日記 「ハ」と「ガ」〈7〉

 テーマサイトは下記。
【「~がありますか?」と「~はありますか?」の違い】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9082804.html
==============引用開始
お店に入って、店員に「Advilがありますか?」って聞くなんて不自然な日本語でしょうか?

そのセリフはどうしても間違ってる気はしますが、なぜ間違ってるかちゃんと説明できず困っています。

これは100%ミスですか?それとも、「Advilがありますか?」が正しい日本語の場合もありますか?

ご存知の方がいらっしゃったら是非教えてください。
==============引用終了

 こういう問題に深入りしてはいけないと思いつつ……No.9のコメント(下記)に反応してしまう。
==============引用開始
「は」と「が」の違いについての質問はくり返し続いています。わたし自身も回答者の一人になったことがあります。しかし、これぞ回答としてふさわしいという回答には、(自分の回答も含めてですが)お目にかかっていません。もし、そういう回答があれば、それを引用したり、更に補足するだけで回答が成り立ってしまうはずです。
 ところで、今回の皆さんの回答を読んで、面白いことに気づきました。ひとつは、No.5の方の回答で、既に何回か目にしているのですが、 「変形生成文法」とでもいうのでしょうか、ほとんど理解不能の点が多かったのですが、今回の質問に関して

(15) お尋ねの文としては 基本的に次のふたつの表現に分かれるかと考えます。:
  (そ) このお店ハ Advilガ ありますか?
  
  ☆ (そ)の 《このお店ハ》は つうじょう省かれないものと思われます。中心主題が何であるかを提示しなければならないゆえ。
 と述べられています。

 《このお店ハ》をつけるとすれば、「このお店ハ、Advilガ ありますか?」になりやすいということです。
 そして、このことは、ほとんど関係なく挙げられたNo.4のかたの
   「この近くに駐車場(  )ありますか。」
が、中国で出版されたという日本語指導の教科書では「この近くに駐車場<が>ありますか」になっている事とが、偶然にも同形になっていることです。「この近くに」は「この近くにハ」と変形する事は可能です。
 『このお店ハ Advilガ ありますか?』
 『この近くにハ 駐車場ガ ありますか。』
 教科書は中国人が編集したのかどうかは知りませんが、意外に日本人的語感を持っているのではないでしょうか。

 実はわたしも、この質問を初めて読んだときは、「Advilは」が普通だろうと思ったのですが、今は「が」かも知れないと思えてきました。しかし、どちらか断言出来るほどの見識は持ち合わせていません。
 おそらくこれからも、「は」か「が」かという問題は続くでしょう。
 その解決のヒントは次のようなところにあるかも知れません。

  http://www.geocities.jp/niwasaburoo/09wa.html
    5.3 主題化
==============引用終了

 末尾のリンク先の庭三郎氏のサイトは、非常に勉強になると思う。
 以前、同じように紹介した(コメントNo.3)ところ、痛烈に批判されてしまった(No.4)。世の中にはいろいろな考え方があるようだ。
 語気の荒いこの批判が、不当なのか正当(妥当?)なのかは関知したくない。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9003546.html

 で、本題は下記の話。
  このお店ハ Advilガ ありますか?
  この近くにハ 駐車場ガ ありますか?

 これはかの有名な「象は鼻が長い」の話になりそう。
 ほかに「うなぎ文」だの「こんにゃく文」だの、泥沼が待っている(泣)。

 一般的な「ハ」と「ガ」の話に加え、当方は2つの仮説を持っている……なんて大層なものではなく、「理由はよくわからないけどなんとなくこんな傾向があるのでは……」と思っていることが2点ある。

I 否定文は「ハ」になりやすい
 ↑の〈4〉参照。
 たぶん「ハの排他性」がキーワードになるが、むずかしいので考えたくない(泣)。

II 意味がウンチャラより「近接回避」が重要では
 ↑の〈3〉参照。

 IIに関して、再度まとめておきたい。
1)このお店にハ Advilハ ありますか?
 これを原形と考える。これも「間違い」ではないが、通常は下記のほうが自然だろう。
2)このお店にハ Advilガ ありますか?
 ハを省略してみる。 
3)このお店に Advilガ ありますか?
4)このお店に Advilハ ありますか?
 こうなると微妙。個人的には、4)が自然に感じるが、3)も「間違い」とは思えない。2)からの流れで考えると、2)のハを省略したものと考えるなら3)のほうが自然なのかもしれない。
 さらに「このお店に」を省略する。
5)Advilガ ありますか?
6)Advilハ ありますか?
 これが元々の質問の文。こうなると「このお店に」がなくなったせいか、5)に対する異和感が強くなる。

 1)から2)にかわる段階でハがガになる。2)から4)にかわる段階でガがハになる。
 それぞれの役割がコロコロかわるからだろうか。もちろん、それぞれの文で「主題がウンチャラ」「主語がナンチャラ」と分析することも可能だろう。
 当方はそんなメンドーな話は遠慮したい。「近接回避」と考えるのが簡明では。
 下記の場合も同様だろう。
  この近くにハ 駐車場ガ ありますか?

 これが下記になるとさらに混迷が深くなる。
7)今月の26日{に/にハ/φ(、)}空室{ハ/ガ}ありますか?
 φは無助詞を表わす。
 7)の場合はφもありうる。当方の語感だと、下記が自然。

今月の26日に空室ハありますか?
今月の26日φ(、)空室ハありますか?
今月の26日にハ空室ガありますか?
 前の2つはハが自然に感じる。理由は、存在文の単純な疑問文はハが自然に感じるから。それ以上は考えたくない。
 3つ目だけガが自然に感じる。理由は「近接回避」。それ以上むずかしいことは考えていません。

 あえて避けてきたが、
Advilφ(、)ありますか
今月の26日{に/にハ/φ(、)}空室φ(、)ありますか?
 という形もありうる。
 無助詞に関してはテーマサイトのコメントNo.8参照。
■■■■■■■■■■■■■■引用開始
「無助詞」「助詞の省略」に関して補足しておきます。
 mixiで「この近くに駐車場(  )ありますか。」についてやり取りしたとき、「無助詞」の話も出ました。
「この近くに駐車場ありますか。」という文も可能でしょう。
「ハ」と「ガ」ではニュアンスが大きく違うと主張するかたは、無助詞だとどう考えるのでしょうかね。
 当方は下記のように考えています。

「この近くに駐車場ありますか。」は話し言葉的ですし、疑問文なので無助詞でも自然なのでしょう。
【学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略】 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2295.html
 以下は一部の抜粋(重言)。
==============引用開始
 (15)(19)(20)あたりはたしかにφのほうが自然な気がするが、別の理由があるのでは。
 何も考えずに思いつくことをあげていく。
●「無助詞文」になりやすいのは話し言葉である。
 これは大前提で、論文の冒頭に書いてある。ただ、文字で書かれている小説のセリフは話し言葉か書き言葉か、と厳密に考えると泥沼にはまる可能性が高いのでスルーする(個人的には話し言葉だと思う)。
●「呼びかけ」(「注意喚起」と考えるほうがいいらしい)は「無助詞」になりやすい。
●「目上の人」に対しては「無助詞文」になりにくい。
 同じ内容でも、「親しい同格以下の人に話す場合」は「無助詞文」になることがある。言葉づかいがラフになればなるほど、その傾向が強くなる。相手が子供だと、「無助詞文」だらけになることもある。
●「省略」(もしくは「無助詞」)が「省略」(もしくは「無助詞」)を呼ぶ傾向がある。
●「聞き手の情報を求める文」と言うか、要するに疑問文だと「無助詞文」になる傾向が強い。
 こういうことをどこかに書いてあるのかな。
 あとは考えはじめると泥沼が待っている予感。
(略)
==============引用終了
■■■■■■■■■■■■■■引用終了







チャレンジ日記 「ハ」と「ガ」〈8〉

 下記へのコメント。
【「は」と「が」の違いについて教えてください 私は外国人です 私が外国人です 私は好きです】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9464945.html
==============引用開始
「は」と「が」の違いについて教えてください

私は外国人です
私が外国人です

私は好きです
私が好きです

私はやろうか?
私がやろうか?

日本人はどういうふうに使い分けているのかを聞かれて困っています
こんなものは感覚ですが、外国人にはその感覚がわからないため、使い方を苦労しているそうです

基本的に「は」や「が」という助詞は、名詞の後ろに置き、直前の名詞が主語になることを意味しているということはわかっているようですが、使い分けがよくわからないそうです

どっちを使っても伝わるといえば伝わりますが、

私はやろうか?
は、おかしいのに
私がやろうか?
は、おかしくない

この理由についても説明に困りました

使い分けるときに、基本となるルールみたいなのは、法則はあるのでしょうか?
==============引用終了

【tobiクンのコメント】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
No.3
回答者: 1311tobi 回答日時:2016/10/18 14:55
「は」と「が」の話はちゃんと書こうとすると論文になります。
 実際にそういう書籍も相当数出ています。
 教えて! gooに限っても、下記のような状態です。
〈「は」「が」〉の検索結果。
https://oshiete.goo.ne.jp/search_goo/result/?MT= …

 個人的には「は」と「が」の違い全体について書こうなんて考えません。部分的なことしか考えませんが、それでも下記のようになります。
【チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編 〈1〉〜〈7〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-592.h …

 外国人のかた向けの解説で、「私{△は/が}やろうか?」限定ということで少し書きます。以下、デアル体で失礼します。

「は」と「が」の違いはいろいろある。「まったく違う」と考える人もいるくらい。
 質問の件に関しては、まず「私{は/が}やります」で考える。
 これを、こういう答えになるのはどういう質問か、という角度から考える。

1)「あなたはこの仕事をやりますか?」「(私は)やります」
 「彼はこの仕事をやりますか?」「(彼は)やります」
※実際には(私は)(彼は)はつかないほうが自然かも。

2)「誰がこの仕事をやりますか?」「私がやります」

 つまり、「誰が」にスポットがあたったときは、「私が」になりやすい。
 一方、誰かが「やる」か「やらない」かにスポットがあたったときは、「私は」になりやすい。

 この場合の「は」は「主題」(「主語」でもいいでしょう)を示す「は」などと言われる。たいていの「は」の働きは「主題」を示す。
 このほかに、「対比」の「は」というのもある。
「彼はやりません。彼女もやりません。でも私はやります」
 といった場合はほかの人と「対比」している。
 ほかにもいろいろな状況は考えられるが、それを知りたければ専門書を読むことをすすめる。

 さて、「私{は/が}やります」の使い分けはわかったことにして、「私{△は/が}やろうか?」の話。
 これも想定質問を考える。

「誰かこの仕事をやってくれる人はいませんか?」「私がやろうか?」
「誰がこの仕事をやってくれるくれるのですか?」「私がやろうか?」
 これは↑と同様。

 一方「私はやろうか?」という答えになる質問は想定しにくい。だから「私はやろうか?」という言い方が不自然なのでは。
「やる」か「やらない」かにスポットが当たっているのに、そこを疑問形にしたのではヘンなことになる
 ちょっと強引ですが、この程度の説明でわかってもらえませんかね。




チャレンジ日記 「ハ」と「ガ」〈9〉

mixi日記2016年10月27日から

 テーマサイトは下記。
【『は』と『が』についてです】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9479241.html
==============引用開始
我々が取材に出かけている間、彼ら(は/が)勝手に創造を膨らませていて、伝言ゲームの末に総局長の耳まで届いたニュースはすっかり変わり果てていた。

この文の答えは『は』でした。
しかし、『彼ら(は/が)勝手に創造を膨らませていて』は理由節ではないかと思います。もし理由節だったら、『彼らは』ではなく、『彼らが』のほうを使うべきではないかと思います。ぜひ、お教えいただきたいと思います。
==============引用終了

 以前から繰り返されている「は」と「が」の問題。少しでも新しい観点があるとつい口を挟みたくなるから困る。
 ち先日も下記にコメントを書いた。
【「は」と「が」の違いについて教えてください 私は外国人です 私が外国人です 私は好きです】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9464945.html

 今回の問題について考えていいて、ちょっと新しい発見があったんで、書いておく。
 質問の場合は「は」で「が」でもOKだろう。〈答えは『は』でした〉ってどういう意味なんだろう。こんな恐ろしい穴埋め問題があって、正解が「は」なんだろうか。そんなバカな。
 どこかからもってきた文で、原文は「は」だったくらいの意味なんだろうな。それは「答え」ではない。だって「が」でも問題はないのだから。
 そもそも元の文がグチャグチャすぎて、どっちでもいい、って感じになる。
「理由節」って初めて聞いたけど、「理由」を示す従属節くらいなんだろう。皆さん、「従属節」と聞いてジンマシンは出ないのだろうか。
 理屈をこねることはできる……できるけどさぁ、ということで話を始める。
 もっとシンプルな話から始める。
 例の昔話。
==============引用開始
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさん( )おりました。
1)ある日、おばあさん( )川へせんたくに行きました。
==============引用終了

 よく言われるのは、未知の「が」と既知の「は」の話。
 ↑の例なら、最初の空欄は未知なので「が」、次は既知なので「は」になる。
 初心者向けの導入話としてはそれでいいと思う。
 現実には違うよ。だってこれが本当なら、最初に「が」を使ったら、そこから先は「は」しか使えなくなる(笑)。
 
 2つ目の文を少しかえる。
  2)(ある日のこと)おじいさん( )山へ柴刈りに、おばあさん( )川へ洗濯に行きました。
 この場合は、どちらも「は」が素直。これは「既知」だからって言うより、「対比」だろう。
 両方の人物が並列だから、どちらも「は」になる。
 これがどちらかに重心をずらすと少しかわる。
  3)おじいさん( )山へ柴刈りに行っている間、おばあさん( )川へ洗濯に行きました。
 こうなると、1つ目が「が」で、2つ目は「は」が自然になる。理由は……よくわかりません。そういうものなの、ってことにしておく。3)で終わっていればこのとおりなんだが、下記になると、事情がかわる。
  4)おじいさん( )山へ柴刈りに行っている間、おばあさん( )川へ洗濯に行くと、川上から大きな桃( )流れてきました。
 こうなると、3つとも「が」が自然。理由はわからんって。さらにかえてみる。
  5)おじいさん( )山へ柴刈りに行っている間、おばあさん( )川で洗濯に夢中になっていたので、大きな桃( )流れていってしまいました。おしまい。(←オイ!)
 こうなると、1つ目が「が」のまま、3つ目は「は」。2つ目は「が」が自然な気もするが「は」でもさほどおかしくないだろう。
 質問の原文は5)と同じはず。だから、〈「が」が自然な気もするが「は」でもさほどおかしくないだろう〉ってことになる。
 3)の構造が優先と考えるなら、「は」になる。
 4)の構造に近いと考えるなら、「が」になる。
 どう考えるかは、その人しだいだろう。
 どちらが正しいとか、どちらが正解なんてことはない(はず)。

〈10〉は下記。
【チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編 〈10〉 ハは射程(「鼻」ではない)が長い・改】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12347461179.html

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