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46定番の質問──とんでもございません とんでもありません とんでもないです

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n149774から。


「とんでもございません」について下記に書いたことを転載します。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1495922284

 正確に書こうとすると、とんでもなく長くなります。文字数制限があるので適宜リンクを張ります。申し訳ございません(こちらは「間違い」だと思いますか?)。
 個人的にどう思うか、という話ならグレーゾーンと考えています。「間違いに決まっている」と主張したいところですが、「間違い」とするには無理が感じられます。異和感が強いので自分では使いませんが。
 辞書のとおりに考えるなら、「とんでもない」は一語の形容詞としているものが多いので、「とんでもございません」(「とんでもありません」も同様)は間違いでしょう。
しかし、間違いとは言い切れない理由がいくつかあります。

1)文化庁が許容してしまった

先行コメントにある「敬語の指針」の47ページをご参照ください。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf


2)文化庁の影響を受けてか、辞書類も許容するようになってきた

 詳しくは下記をご参照ください。
【よくある誤用6──誤用とは言い切れない例 申し訳ありません とんでもありません とんでもないです】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n116373
================引用開始
「とんでもありません/ございません」は誤用で、「とんでもないです」が正しい、と書いてあるとサイトを見たことがあります。
 これがまた微妙な話で、「形容詞+です」(「うれしいです」「楽しいです」など)を認めるか否か、という問題が関係します。昭和27年に文化庁が「形容詞+です」を許容してしまったため、現在の文法書や辞書は許容しているはずです。
 当方はこの形に異和感があるので、原則的に使いません。
 ただし、「形容詞+です」には異和感がない人でも、「ないです」には異和感があるのでは。これは「ありません」にするほうが自然で、「ないです、は間違い」と主張する人もいるようです。
 この形には個人的に「とんでもありません/ございません」以上に強い異和感があるので原則として使いません。
================引用終了


3)名著と評判の高い『敬語再入門』はきわめて歯切れの悪い書き方をしている

【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
================引用開始【引用部】
 もっとも、ありうることと使うことは別ですし、過度にかばう気もありません。そもそも「とんでもない」は何かを難じるか、相手の言動を強く打ち消す語なので、概して敬語になじまない(相手から過分な贈答・評価・申し出などを受けた際の受け答えとしてならまだしも、という面はあり、「とんでもございません」もそうした場合に使われるようですが、それにしても相手を否定することが敬語と合わない)、というのが不自然な一因ではないでしょうか。「おきれいですね」と言われたら「とんでもございません」などと言うより、ただ「いいえ、そんな……」とはじらっているほうがよほど好感がもてるというものです。それにしても、“正解”とされる「とんでもないことでございます」は、受け答えとしてはかなり変ではないでしょうか。(P.161)
 歯切れの悪さに著者の迷いが見える、なんて書いたら怒られるかな。「ありうる形なので間違いではないが、積極的には支持できない」ってところだろうか。最後の書き方は、総理に醤油をとってもらう話を想起させる。

 この【引用部】の前にあるのは、「とんでもない」の分析。
【引用部】
①「とん」が名詞性の語で、「Nで(も)ない」式のでき方なら、丁寧形として「Nで(も)ございません」はありうる形です。
②「とんで」が「動詞+て」、つまり「Vて(も)ない」なら、さらに二つの場合に分かれます。
(a)「Vてある」の否定なら「Vて(も)ございません」はありうる形です。
(b)「Vている」の否定(「Vていない」の「い」の脱落)なら、「Vて(も)いません」/おりません」となるはずで、「Vて(も)ございません」とはなりません。(P.160)
 と分析しているが、結論はよくわからない。「とん」の語源が不明だからしかたがない。不明ながらも、もし名詞性で①なら「とんでもございません」はありうる形、としながら、先のP.161の【引用部】に続く。
 結局、専門家が見てもよくわからないってことだろう。素人にわかるわけがない(笑)。
================引用終了

 個人的には下記のように考えています。
【「~ない」形の形容詞の迷宮】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1814.html



【お品書き】よくある誤用/定番の質問
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365

45定番の質問 「~たり」の使い方

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n148591から。

下記に書いたコメントから。
【助詞「たり」について】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1350899583

そのテの問題を、当方は「片たり」と呼んでいます。
最近は「片たり」の例が多すぎて、もうメクジラを立ててもしかたがないか、という気もします。ただ、大半は単に無神経な文章って気がします。「誤り」とまでは思わなくなりましたが……。
質問者のあげた例文も、後半にも「たり」をつけるのが本来のルールです。それがもたついて感じられるなら、別の書き方をするべきです。

【「たり」を使わない修正案】
1)「身分統制令により武家奉公人が町人・百姓となることや、百姓が商業や賃仕事に出ることを禁じた」
2)「~に殺される。あるいは、労働運動の指導者ら約10名が警察署で軍隊によって殺害されるといった、社会運動にたいする弾圧事件などもおきた」

少し気をつければ「片たり」は防げるはずです。
詳しくは下記をご参照ください。
以下は一部の抜粋(重言)。
伝言板【板外編1】「〜たり」の使い方
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-278.html
================================
●「〜たり」の使い方


【練習問題26】
次の文の「〜たり」の使い方は適切なものか、考えてください。
1)昨夜は、飲んだり歌って大騒ぎしました。
2)昔は朝まで飲んだりしたものです。

「〜たり」の用法は、2つに大別できます。
第1に、動作などを並列させていることを示す1)のような使い方です。この場合は、2つ目以降の「〜たり」は省略できません。動作を3つ並列させていれば、3つすべてに「たり」をつける必要があります。1)の文も、「飲んだり歌って」ではなく、「飲んだり歌ったりして」にしなければなりません。
第2に、ひとつの動作などを示すことで、同様のことを暗示する2)のような使い方です。この場合は、「〜たり」は1回しか使いませんが、言外にほかの動作を含んでいます。
ここまでは「文章読本」などに書かれていることがあるので、ご存じのかたも多いでしょう。そういった記述を目にしたことがなくても、1)の文は言葉足らずの感じがするはずです。しかし、実際には「〜たり」がひとつしかない文(「片たり」と呼ぶことにします)をしばしば目にします。あまりにも頻繁に目にするので、ごく近い将来には許容されるのではないか、と思ってしまうほどです。
「片たり」になってしまう理由は、よくわかります。たとえば、次の文を見てください。

〈原文1〉
子供がある程度の年齢になれば、親にいえないような秘密をもったり、親の意見に反発するのは当然のことです。

さほどヘンではない気がしませんか。
おそらく、1)の「歌って」に比べて〈原文1〉の「親の意見に反発する」の部分が長いために、「片たり」でもおかしくない気になるせいです。「〜たり」を含む部分が極端に長くなると、前の「〜たり」からずいぶん離れたところに後ろの「〜たり」が唐突に出てきた感じになるので、「片たり」のほうが自然に感じられることさえあります。
2つ目以降の「〜たり」も省略しないのが日本語のルールなので、〈原文1〉は次のようにしなければなりません。

〈書きかえ文1-1〉(「〜たり」を機械的に入れた文)
子供がある程度の年齢になれば、親にいえないような秘密をもったり、親の意見に反発したりするのは当然のことです。

「〜たり」の正しい使い方どおりに書くと、「したりする」の部分がもたついた感じがして、語感が非常に悪くなります。「正しい使い方であれば語感が悪くても構わない」と考える人は、〈書きかえ文1-1〉のように機械的に「〜たり」を入れればよいでしょう。
しかし、もう少しマシな文にしたければ、次のことを考えてみてください。文によっては、もたついた感じが緩和できます。
1)「〜たり」を含む部分をできるだけ短くする
先に書いたように、「〜たり」を含む部分が長いときは、ルールからはずれた「片たり」でもおかしくない気になります。逆に「〜たり」を含む部分が短いときは、ルールどおりでないとリズムが悪く感じられるはずです。そのため、「〜たり」を含む部分を短く書くことを心がけると、「片たり」にならずに済みます。

〈書きかえ文1-2〉(「〜たり」を含む部分を短くした文)
子供がある程度の年齢になれば、親に対して秘密をもったり、反発したりするのは当然のことです。

2)「熟語+する」の形の動詞を前にもってくる
(略)
3)動詞を名詞にする
(略)
4)「〜たり」を含む文をできるだけ短くする
(略)
5)「〜たり」を使わない形に書きかえる
(略)
================================

【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365

44定番の質問/バイト敬語。「~させていただく」「~させていただきます」

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n148456から。

 ちょっと事情があって、下記を一部加筆して再アップします。
【よくある誤用32──敬語編2「~させていただく」「~させていただきます」「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n132890

「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」と書くほうが正確でしょうが、こう書いておきます。
 下記の【参考資料】を要約します。
 近年評判が悪い敬語表現のひとつが、「~させていただく」です。「~させていただく」が「二重敬語だから誤用」という珍説も目にします。
「~させていただく」自体は「誤用」などではありません。「乱用するとみっともないので気をつけよう」ということです。 


●第1段階の説明(初級向け)

 文化庁の「敬語の指針」のP.40~41に解説があります。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
 基本的には「ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる」とのこと。 「許可」と「受益」ということでしょう。

================================
1)相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現
「コピーを取らせていただけますか。」
2)研究発表会などにおける冒頭の表現
「それでは,発表させていただきます。」
3)店の休業を張り紙などで告知するときの表現
「本日,休業させていただきます。」
4)結婚式における祝辞の表現
「私は,新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です。」
5)自己紹介の表現
「私は,○○高校を卒業させていただきました。」

 上記の例1)の場合は,ア),イ)の条件を満たしていると考えられるため,基本的な用法に合致していると判断できる。2)の例も同様だが,ア)の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため,「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようである。3)の例は,条件を満たしていると判断すれば適切だが,2)と同様に,ア)の条件がない場合には「休業いたします。」の方が良いと言えるだろう。4)の例は,ア)とイ)の両方の条件を満たしていないと感じる場合には,不適切だと判断される。5)の例も,同様である。ただし,4)については,結婚式が新郎や新婦を最大限に立てるべき場面であることを考え合わせれば許容されるという考え方もあり得る。5)については,「私は,卒業するのが困難だったところ,先生方の格別な御配慮によって何とか卒業させていただきました。ありがとうございました。」などという文脈であれば,必ずしも不適切だとは言えなくなる。
 なお,ア),イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。上記の2)~5)についても,このような用法の具体例としてとらえることもできる。その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。
================================

●第2段階の説明(中級向け)

「敬語の指針」は一応の解説にはなっています。ただ元々の問題が微妙なんで、スッキリしない部分が残ります。「第1段階の説明」で納得できる人もいるのでしょうが、少なくとも当方は納得できません。
 解決策も書かれていないので、結局どうすればいいのかがわかりません。
 よく見る解決策として、「~いたします」にすればいい、というのがあります。
 そのとおりだと思います。↑の「敬語の指針」の例で言うなら、下記のようになります。

1)取る→?
2)発表する→発表いたします
3)休業する→休業いたします
4)勉強した→勉強いたしました
5)卒業した→卒業いたしました

 2)~5)はこの形でOKでしょう。でも1)はどうしますか?
 悪い例としてあげられることが多い「歌わせていただきます」場合はどうしますか?
 「~いたします」にできるものはそうすればいいことが多い、くらいでしょうか。「誤用」だとか「クドい」だとかメクジラを立てるのはどうかと思います。
 もうひとつ大きな問題があります。
 厳密に考えると「発表させていただきます」と「発表いたします」には、意味の上で大きな違いがあります。このことは敬語でない形にするとハッキリします。

 発表させていただきます→発表させてもらう
 発表いたします→発表する

「発表いたします」は、「発表する」を敬語にしただけです(厳密に言うなら、「発表する」を丁寧語にしたのが「発表します」。それをさらに謙譲語にしたのが「発表いたします」)。つまり、「発表させてもらう」にあった「させてもらう」のニュアンスがなくなっているのです。「敬語の指針」があげた「許可」も「受益」もなくなっています。そう考えると、「発表させていただきます」を「発表いたします」にするのは無理があるとも言えそうです。

 この「敬語でない形にする」は、適否の判定のためのヒントになるかもしれません。
1)取る/取らせてもらう
2)発表する/発表させてもらう
3)休業する→休業させてもらう
4)勉強した→勉強させてもらった
5)卒業した→卒業させてもらった

 こう並べると、4)5)に強い異和感があります。ただ、このあたりは個人の主観にもよるでしょうから、強く主張する気はありません。

 結論としては、「~させていただく」がすべておかしいわけではないので、個々の例で判断するしかないのかもしれません。
 その際には以下の点に注意するといいでしょう。

①「許可」「受益」の2つの要件を満たしているか
②「〜いたします」で十分ではないか
③敬語ではない形にして考えてみる

 具体例は下記をご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13101909118

●第3段階の説明(上級向け)

 敬語関連の名著と言われる『敬語再入門』に重要な記述があります。
 下記の引用部だけではわかりにくいかもしれません。詳しくは同書をお読みください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
================引用開始
【引用部】
 ところが、謙譲語IIの代表選手「──いたす」は、「──する」型(サ変)の動詞でなければ使えない、また、文末以外では使いにくい、という制約があります。つまり、先程の例なら「開発いたしました」と言えますが、「新製品を作りました」は、「──する」型動詞でないので「作りいたしました」と言えないし、「新製品を開発した業者です」も、文末ではないので「開発いたしました業者です」は不自然です。この「いたす」の守備範囲の不足を補うように「作らせていただきました」「開発させていただいた業者です」と言う、という面がありそうです。「守備範囲の広い謙譲語IIの形」を求める心理が潜在的にあって、そこに「させていただく」が入り込もうとしているのです。(P.196)
 つまりそのなんだ。こういうのを読んでしまうと、「プチ発見」のはずが単なる勉強不足になるってことだ(泣)。
================引用終了


【参考資料】
突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html

「出場する」なら、「出場させていただきます」までへりくだらなくても「出場いたします」で十分ってことがある。ところが「出る」には「もっと丁寧な形」がないから、いきなり「出させていただきます」になりがちなのでは。
「出ます」では敬度が低いと感じるときに使える「もっと丁寧な形」がないからこんなことになる。

表は省略。

【「させていただく」=この言葉、気になる? 気にならない?】
http://www.excite.co.jp/News/laurier/column/E1347412552614.html
※さすがに乱暴でしょう。文脈もなしに、「~させていただく」が気になるも気にならないもないでしょうに。 こういうホニャララが流布するから……。

Yahoo!知恵袋だと、下記のBAが圧倒的に説得力があります。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362602693



●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html

【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365


petit_puisさん へ

 はじめまして(でもありませんか)。
 いつも回答のコメントを拝見し、勉強させていただいています(この使い方ならOKですよね)。
 なんらかの形でご挨拶をしようと思っていたところ、コメントをいただいて光栄です。
 Yahoo!知恵袋の常連回答者同士は仲が悪いことが多く、残念に思っていました。
 petit_puisさんとはいい関係が築ければ、と願っています。

 少し気になることがあり、現在確認しています。
 回答を数日待っていただけないでしょうか。申し訳“が”ございません。
 今後ともよろしくお願いします。


petit_puisさん へ〈2〉【20130219】

 回答が遅くなって申し訳がございません。
 重ねてお詫び申し上げます。
「確認」がとれないので、見切り発車で返信いたします。
 失礼があったらお許しください。

【アドバイス1】=========引用開始
「させていただく」要件を満たさないものだけ、「いたします」にすれば良いかと。許可や受益がもともとないものたちです。「いたします」がつかないものは、「します」が嫌なら「させていただけますか?」と疑問文。
==========引用終了
 基本的に同意します。このところ、〈「~いたします」で十分〉という主張が強くなってきた気がしますが、それは極論で当方の主張は「一概には言えない」ということです。問題点はおそらく2点あります。
1)「~いたします」の形にできないものがある
2)「~(さ)せていただく」のほうがふさわしい場合がある

「ふさわしい場合」とは、「許可」と「受益」の要件を満たしている場合なのでしょう。この判定が微妙なことがあって……。敬語を外した形で、〈「~(さ)せてもらう」と「~する」のどちらがいいか〉と考えれば、だいたいわかる気がするのですが。

「させていただけますか?」と疑問文にするのも、場面によっては使えるかもしれませんね。


【アドバイス2】=========引用開始
「作りました」「開発した業者です」はそのままで行くしかないですが、「させていただきます」乱用よりは害も抵抗もまだマシだと思います。
================引用終了
 そのとおりだと思います。個人的には、この例なら「~(さ)せていただく」は必要ないと思います。おそらく、著者の菊地康人氏も、積極的に「~(さ)せていただく」を使え、とは考えていないでしょう。


 この知恵ノートに限らず、不明点や当方の間違いなどにお気づきでしたら、ご指摘いただければ幸いです。

43定番の質問/バイト敬語。「よろしかったでしょうか?」

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n146529から。

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 直接的には下記の続きだろうな。
314)【バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1572.html

444)【「よろしいですか?」の謎】Yahoo!知恵袋
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1861.html

369)【読書感想文/『続弾! 問題な日本語』1(北原保雄編/大修館書店/2005年11月3日初版第1刷発行)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1717.html


 テーマサイトは下記。
【「~でよろしかったでしょうか?」は文法的にも間違いですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1080382975


「~でよろしかったでしょうか?」に関しては何回か書いてきた。
 いろいろな話を目にするので、改めて書いてみる。過去に書いたもののポイントも抜粋して決定版(大きく出たもんだ)にしたい。
 そもそも、なぜこの表現に異和感をもつ人が多いのか。


●注文した直後なのに「過去形」を使うのは×
 一般的な意見は、注文した直後なのに「なぜ過去形を使う?」だろう。「過去形」は正確な言い方ではないが、ここでは「よろしかった」の類いを過去形、「よろしい」の類いを現在形と呼ぶことにする。
 ほかにも理由があるにせよ、異和感のイチバンの原因はこれだと思う。
 あえて過去形を使うのは、「過去形のほうが丁寧な印象がある」という幻想があるからだろうか。感覚的にはわからなくはないが、信憑性は……。ルーツには、「北海道の方言説」「過去形のほうが丁寧になるのは日本語も英語も共通」などがある(↑「351)」参照)。
 このあたりは「314)」に書いたとおり。
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 注文を聞いた直後に過去形で確認するからヘンなだけではないか。
 いったん注文を受けたあと、しばらくしてから何か理由があって「ご注文の品は、○○でよろしかったでしょうか?」と確認するなら何も問題はない(「よろしいでしょうか?」と現在形を使ってもおかしくないけど)。
 あるいは注文の料理を全部出して、「ご注文の品は、以上でよろしかったでしょうか?」と確認するのもさほどおかしくない(これも「よろしいでしょうか?」と現在形を使ってもおかしくないけど)。
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●「よろしかったでしょうか?」を確認を求める表現だから×
 ──国立国語研究所の主張
「314)」に引用した国立国語研究所のサイトhttp://www.ninjal.ac.jp/products-k/kokken_mado/11/05/が主張している。
================================引用開始
広報紙「国語研の窓」 > 第11号(2002年4月1日発行) > ことばQ&A
ことばQ&A
質問

最近,ファーストフード店やファミリーレストランで品物を注文すると,店員が「○○で,よろしかったでしょうか?」と,注文を繰り返すことがよくあります。なぜ過去形で問われるのかと違和感を覚えます。「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」の方が適切ではないのでしょうか。

回答

「よろしかった」の「~た」は,過去の意味だけでなく,確認の意味で使われることもあります。店員が注文を復唱する場面で使われている「~た」は,確認の意昧ではないかと考えられます。

それを確かめるために,ファーストフードのM社に尋ねてみました。同社では,各店の店長がアルバイトの店員に,客の注文をしっかり確認するよう指導し,「○○で,よろしかったでしょうか?」という接客敬語を口伝えで教えているそうです。店員はこのような接客マニュアルにしたがって応対しているのです。ついでに,ホテルや洋品店にも尋ねてみたところ、この場面では,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」が適切だ,ということでした。いずれも敬語を含む丁寧な表現ですが,「よろしかったでしょうか?」は,客に確認を求める丁寧表現,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」は,客に許可を仰ぐ丁寧表現という違いがあります。

なぜ,「○○で,よろしかったでしょうか?」に違和感を覚えるのか,質問者のお気持ちを推察してみましょう。質問者は,この場面は,客に許可を仰ぐべき場面とお考えのようです。それなのに,確認を求められるから,違和感を持たれるのでしょう。客の中には,値段の安い品物を注文して,「○○で,よろしかったでしょうか?」と確認されると,もっと高い物でなくていいのか,と言われているような気がする人もいるでしょう。食べ物だけ注文して,「お飲み物は,よろしかったでしょうか?」と確認されると,セットでの注文を迫るような,おしつけがましさを感じる人もいるでしょう。このように,「よろしかったでしょうか?」という確認の表現は,客の場面や状況の捉え方しだいでは違和感を持たれることになります。

例えば,ズボンの裾上げを頼んでおいた洋品店で,確認のため試着した後に,「この長さで,よろしかったでしょうか?」と言われたらどうでしょうか。違和感を覚えない人も多いだろうと思います。もちろん,この状況でも「よろしいでしょうか?」の方が適切だと考える人もいるでしょう。

客にはそれぞれ個性があります。敬語の使い方についての規範意識も人それぞれです。接客マニュアルどおりの画一的な応対は,能率的に均質なサービスを提供できる長所もあるのですが,客の個性に対する配慮が足りないという欠点もあります。客の気持ちに配慮して,場面や状況に応じた表現の工夫をすることが,大切なのではないでしょうか。

(吉岡 泰夫)
================================引用終了

 どうやら「よろしかったでしょうか?」は確認を求める表現だから×で、「よろしいでしょうか?」は許可を仰ぐ表現だから○ということらしい。この主張は、当方にはまったく理解できない。注文直後の「よろしいでしょうか?」は、確認を求める表現だと思う。


●そもそも「よろしかった」という表現自体がヘン
 ──『問題な日本語』『続弾! 問題な日本語』』の主張
「でしょうか」がつかない「よろしかった」は、たしかに使用頻度が低い気がする。とくに男性はあまり使わないような……。
 だからと言って、そもそも「よろしかった」がおかしいから「~でよろしかったでしょうか?」もおかしいという論理が成り立つのだろうか。
 上品(一応)な女性が「~でよろしかったかしら」と口にするなら不自然とは思えない。「~でよろしかったでしょうか」だって丁寧な言葉づかいとしてどこが不自然なのか、わからない。↑に書いたように、〈しばらくしてから何か理由があって「ご注文の品は、○○でよろしかったでしょうか?」と確認する〉などのケースなら、何も問題はないと思う。
「テーマサイト」にも2冊の書籍からの引用が見られるが、あの引用のしかたで適切なのだろうか。

「369)」からひく。
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「ふたたび よろしかったでしょうか」(p.104~)
【関連日記】http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1572.html
 書き手は北原保雄。
 この問題は前弾でも扱っている。そのときの結論は下記。
================================
し終わった注文について「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」と言うのは、〈過去のことについての現在における評価〉を表す表現と理解できます。
================================

 この問題に対する意見はいろいろあるが、この説はけっこう珍しい。再度質問が来たのはこの説明では納得できない人が多かったからでは。
 今度の結論は下記。
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一連の流れの中で行われている事柄について「~た」と過去形を使うのは間違いではありませんが、「よろしかったでしょうか」の場合は、そもそも「よろしかった」があまり使われない表現であるため、不自然に感じられるのでしょう。
================================

 そうなのだろうか。文中の説明では、「昨日の料理はよかった」とは言えても「昨日の料理はよろしかった」はヘンだと言っている。
 ということは、「注文は以上でよかったでしょうか」ならおかしくないことになる。違うんじゃないかな。
「よかった」に比べると「よろしかった」のほうが丁寧で上品なイメージがある(説明は省略)。だから接客業では現在形なら「よろしいでしょうか」、過去形なら「よろしかったでしょうか」を使うほうが多い。これを「よかったでしょうか」ならOKなんてムチャだよ。
 これはやはり、過去形だろうが現在形だろうが、聞いた直後に確認するから押しつけがましいと考えるべきでは。
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●「~でよろしかったでしょうか?」と「~でよろしかったですか?」の違い
 ちょっと気になることがあるので、〈過去形と現在形〉のほかに、「です」と「でしょう」などに関してもふれておく。

 【よろしい】を使った形
  1)~でよろしいですか(これを「原形」とする)
  2)~でよろしいでしょうか(「ですか」を「でしょうか」にした形)
  3)~でよろしかったですか(過去形)
  4)~でよろしかったでしょうか(過去形&「ですか」を「でしょうか」にした形)

 【よい】を使った形
  1)~でよいですか(これを「原形」とする)
  2)~でよいでしょうか(「です」を「でしょう」にした形)
  3)~でよかったですか(過去形)
  4)~でよかったでしょうか(過去形&「です」を「でしょう」にした形)

 一般に、疑問文の「ですか」を「でしょうか」にしたほうが丁寧な印象になる。ちゃんと説明するのはメンドーだから、↑の例文を比べてほしい。一般論では、「曖昧な表現のほうが丁寧な印象になる」ってことだろう。近年の「バイト敬語」のようになんでもかんでも曖昧な表現にすると、気持ちが悪くてかえって失礼になる(時には誤用になることも)……というのは別の話になる。
 ついでに書いておくと、「よい」と「よろしい」の印象の違いも↑の例文で確認してほしい。
「よい」のほうが自然だし、こちらのほうが丁寧な感じになるとお考えの人は、ご自由にお使いください。
 もうひとつ気になるのは、「形容詞+です」の問題。
 うしろに「か」がつくと、異和感が緩和されるはず。「よろしいですか」にはほとんど異和感がないが、「よいですか」(「いいですか」なら少しマシ)だと相当異和感がある。
「形容詞+です」は後ろに「か」「よ」「ね」などがつくと異和感が緩和される。「よろしかった」が後ろに「かしら」「でしょうか」がつくと使用頻度が上がる気がすることと、関連がありやなしや。
【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671

 そういったことを考えると、現在形だろうと過去形だろうと、〈「ですか」を「でしょうか」にした形〉のほうが丁寧なはず。
 もちろん、丁寧でなかればダメというわけではないし、できる限り丁寧なほうがいいというわけでもない。
 ただ、「でしょうか」の形に慣れている人にとっては「ですか」の形が敬度不足に感じられる可能性がある。それでも「ですか」を使いたい人はどうぞご自由に。
 一般には2)と4)で考えるほうが簡明だろう。1)や3)を考慮していると、話がメンドーでしかたがない。アチコチのやり取りを見ていると、ここを意識していない人も多い気がする。
「~でよろしかったでしょうか」は×で「~でよろしいですか」が○などと主張されると、どこがポイントなのかわからなくなる。



【20110205追記】
 ↑の話は、主として注文を受けた直後に「ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか?」と訊く類いの話。
 少し違う形もある。
 ファストフードで、入ってきた客にいきなり「いらっしゃいませこんにちは。店内でお召し上がりでよろしかったでしょうか?」と言うことがあるらしい。
「いらっしゃいませこんにちは」「お召し上がり」の話はパスするとして、いきなり「~でよろしかったでしょうか?」はナシだろう。バイト敬語(マニュアル敬語)おそるべし(笑)。
 事態はもっと深刻で、笑ってもいられないようだ。ホテルでの実体験を踏まえたコメントをもらった。ホテルを訪れたらドアマン(ベルボーイ)が歩み寄り、「チェックイン(のほう)でよろしかったでしょうか」と言ったとか。
 これはムチャクチャ。「のほう」までついたら、支配人を呼ぶかもしれない。
 ある意味ファストフードより罪が深い。ファストフードの選択肢は「店内でお召し上がり」か「お持ち帰り」にほぼ限られる。
 ところがホテルの場合は選択肢は多い。
 チェックインなのか待ち合わせなのか、デイユース(だったかな。要は「ご休憩」)なのか、トイレを借りるだけなのか……それを問い質すのは「いらぬ詮索」ってもんだ。「いらっしゃいませ」で十分だろう。あるいは、ドアマンなら無言という選択肢もあるかもしれない。
 これがフロントなら話は別。
 それでも「チェックインでよろしかったでしょうか?」はナシだろう。
「チェックインでよろしいでしょうか?」だってちょっとひっかかる。「チェックインでございますか?」あたりのほうが自然では。とにかく正しい接客の代表格のはずのホテル従業員が「~でよろしかったでしょうか?」はナシ。
「314)」で引用したサイトにも下記のようにある。
================================
ホテルや洋品店にも尋ねてみたところ、この場面では,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」が適切だ,ということでした。
================================


【20120206追記】
 下記のサイトはかなりおかしい。
【これでも「よろしかったでしょうか」を認めない奴は何が不満なんだ!】
http://anond.hatelabo.jp/20091010002215
 ほかの人の意見が聞きたくてトピを立ててみた。いまのところ反応はない。あのコミュもホニャララなのかな。
【「~でよろしかったでしょうか?」の「た」の働き】
(略)


●遠慮がちな結論
 結論めいたものを何も書いていない気がするので、遠慮がちに書いておく。
「~でよろしかったでしょうか?」は文法的には間違っていない。注文を聞いた直後に「~でよろしかったでしょうか?」と確認するのはちょっとヘンだと思うが、メクジラを立てるようなことではないだろう。もしホントに「~でよろしかったでしょうか?」がダメなら、「~でよろしいでしょうか?」だってダメな気がする。
 ただ、接客の基本を考えてほしい。これだけ「~でよろしかったでしょうか?」が問題視されてしまうと、正当化する論理があっても、使うべきではない。よけいなトラブルの元だもん。「それはおかしい」と指摘する客を論破して何かいいことあるの?
 さらにイヤなのは、こういう妙な表現が広まると、拡大解釈する●●が出てくること。【20110205追記】で書いた「いきなり」も相当イヤだけど、もっとトンデモナい使い方も出てくる気がする。
 そんなことになるくらいなら、「~でよろしかったでしょうか?」を封印するほうが無難じゃないかな。
 
 ただ、個人的な感覚だと「~でよろしいでしょうか?」も積極的にはオススメできない。
「~でございますね」がイチバン無難な気がするけど、丁寧すぎるかな。丁寧すぎて何が悪いの?

●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html



【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365

42──定番の質問/バイト敬語。「〜になります」「〜円になります」「コーヒーになります」

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n146519から。

詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1201.html

 以下は一部の抜粋(重言)。

「~になります」についてのまとめ。
 過去のリンクを張るが、たどらなくていいように要点を抜粋していく。
 いろいろな資料を目にして、何がなんだかわからなくなっている。

●「変化を表わす」(本来の用法)
 まず「~になります」の本来の用法を確認しておく。
 本来の用法は「変化を表わす」もので、典型的なのは「あと5分で3時になります」のような形。これの仲間と考えられるものに以下のようなものがある。
  1)(会計時の)合計で○○円になります
  ※1品で「○○円になります」だと、下記の問題視されている用法になるらしい。
  2)この子は来月3歳になります
  ※(すでに3歳になっている子のことを)「この子は3歳になります」という用法もある(これはちょっと分けて考えるべきかも)。
「~になります」が目の敵にされた結果、こういうまともな用法まで妙な感じに聞こえる印象がある。そこまでいくと「言葉狩り」に近づく。


●料理を運んできて「~になります」
 これが一般に問題視されている例。
 ただ、メニューの表示が曖昧な場合はアリとする説もある。
 これに関しては、〈2〉にいただいたコメントのリンク先が詳しい。
http://www.surugadai.ac.jp/sogo/media/bulletin/Ronso31/Ronso31honda.pdf
================引用開始
(2) a. こちらが若鶏のプロヴァンス風になります。
   (NHK アナウンス室ことば班(2005: 63))
  b. こちらが和風セットになります。
  (矢澤(2004: 31))
 (2a)については,「メニューで料理名を見ただけでは予想がつかない,不確定なもの を指して言う場合には,さほど違和感がないかもしれません」という観察(NHK アナ ウンス室ことば班(2005: 63-64))がある。
================引用終了

 (2b)に関しては、〈3〉で詳しく引いた。
 むずかしく考えずに、(2a) と同様と考えておく。要は、「料理名だけではわからないでしょうがこういうものです」くらいの意味らしい。
 ただ、そんなことを言いだすと、わかるかわからないかは個人差があるので全メニューが「~になります」でもおかしくないってことになりかねない。
 ありふれたコーヒーに見えても、店主がとんでもないこだわりをもっている特殊なコーヒーなら、「(これが当店自慢の)コーヒーになります」もアリになる。
 そんな微妙な考え方をする必要があるのだろうか。
 まあ、「こんな粗末な(期待外れかもしれない)もので申し訳ない」という下手に出る意識から出た言い回しなら、大目に見るべきだろう。「この子は3歳になります」もこのニュアンスに近い。そういう殊勝な言葉づかいも、マニュアルどおりの言葉になると「とにかく下手に出ておけばいい」という感じになりやすいんだけど。


●「~になります」にひそむ心理1
「~になります」には責任転嫁のニュアンスがあるらしい。
「お届けは来月になります」ならフツーの言い方だろう。
「そんなに細かい注文をつけられると今月中の納品はむずかしく、来月になります」になると責任転嫁の気配が濃厚になる(「言い訳」とも言う)。
 これについてはいろいろな言い方がある。
・結果としてそうなったという客観性を強調し、行為者の主体性をぼかす(Wikipedia/↑〈1〉 )
・非人為的な推移(『問題な日本語』/↑〈3〉)
 多くの場合、使うほうはそういうことは考えていない。むしろ、先に書いたように(本来は)下手に出ている。しかし、受け取る側はそういう気配を微妙に感じて不快になることがある。「~になります」が嫌われる背景には、この意識があるんじゃないだろうか。


●「~になります」にひそむ心理2
「~になります」にかわる言い回しはいくつかあるが、一般的なのは「~です」と「~でございます」だろう。
 敬度で考えると、
「~です」<「~になります」<「~でございます」
 だろう。
 客商売だと「~です」が使いにくい気持ちはわかる気がする。それなら「~でございます」を使えばいいと思うが、これを嫌う人も多いらしい。
 理由は、〈2〉で教えてもらった論文だと〈「高級店であればまだしも,ファミレスやコンビニで使うには堅苦しすぎる」と感じる〉らしい。職業差別じゃないかな。
〈3〉で見た『問題な日本語』にいたっては、〈「ございます」が用いられなくなったことを受けて〉と決めつけている。根拠は見当たらない(泣)。使う人は使うと思うよ。
 もうひとつ、「お~になります」との混同って説も捨てきれない。このあたりは〈2〉に詳しく書いた。


●遠慮がちな結論
「~になります」は文法的には間違っていない。料理をもってきたときなどに使うのは相当ヘンだと思うが、何も言う気はない。接客業の慣用句と考えればいい。
 ただ、接客の基本を考えてほしい。これだけ「~になります」が問題視されてしまうと、たとえ正当化する論理があっても使うべきではない。よけいなトラブルの元だもん。「それはおかしい」と指摘する客を論破して何かいいことあるの?
 どこかで読んだ気がある人は記憶力を誇っていい。下記で書いた結論をベースにしている。
693)【バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考 3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2303.html
「~です」では敬度が足りないと思うなら「~でございます」でいいじゃない。それで「バカ丁寧すぎる」と言うクレーマーは相手にしなければいいだけ。

●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html

【お品書き】よくある誤用
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