よくある誤用9──それも誤用とは言えない 一所懸命/一生懸命 独壇場/独擅場 喧々諤々/喧々囂々/侃々諤々

 本来は○○だけど、△△も許容される……という例は多いようです。どちらが正しい形か、というのはもっともな疑問ですが、あまりこだわっても仕方がない気がします。
 Yahoo!知恵袋に限っても、そういった質問が繰り返し登場していて食傷気味です。

一所懸命/一生懸命
 これがイチバン知られているのでは。
 本来は「一所懸命」。元々は土地を命懸けで……そのとおりです。
http://gogen-allguide.com/i/issyoukenmei.html
 でも「一生懸命」が「間違い」ではありません。現代の出版物などは、ほとんどが「一生懸命」を使っています。

独壇場(どくだんじょう)/独擅場(どくせんじょう)
 本来は「独擅場」でした。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1412335714
 でも「独壇場」が「間違い」ではありません。むしろ「独擅場」などと書いたら、そちらのほうが間違いと思われかねません。

喧々諤々/喧々囂々/侃々諤々
 本来は「喧々囂々(けんけんごうごう)」と「侃々諤々(かんかんがくがく)」です。意味は辞書をひいてください。
 いつからか、両者も混交した「喧々諤々(けんけんがくがく)」が使われるようになりました。「それは誤用」と主張する人も多いようです。
 でもちょっと待ってください。
『広辞苑』は、1991年の段階で「喧々諤々」を採用しています。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-date-20120323.html

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2346.html
================================引用開始
『お言葉ですが…9) 芭蕉のガールフレンド』高島俊男
10-3-6  p.47~のテーマは〈ケンケンガクガク?〉。
『広辞苑』は1991年の第4版の段階で喧々諤々を採用しているらしい。フーン。ってことは、世間的には「喧々諤々」が誤用と言い切れなくなって20年近くたつのね。
================================引用終了
Web辞書『大辞泉』も「喧々諤々」を認めています。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=けんけんがくがく&stype=0&dtype=0
 ↓
https://kotobank.jp/word/%E5%96%A7%E5%96%A7%E8%AB%A4%E8%AB%A4-491774#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
================================引用開始
けんけん‐がくがく【×喧×喧×諤×諤】
[ト・タル][文][形動タリ]《「けんけんごうごう(喧喧囂囂)」と「かんかんがくがく(侃侃諤諤)」とが混同されてできた語》大勢の人がくちぐちに意見を言って騒がしいさま。「―たる株主総会の会場」
================================引用終了
 個人的には、さすがに「喧々諤々」は使いません。でも、「誤用」と主張する気もありません。こんなに古くから許容されているのですから、しかたがありませんって。
スポンサーサイト

50定番の質問──表記(漢字の使い分けなど)の問題 生かす/活かす 子供/子ども 速い/早い 

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n151111から。

 表記(漢字の使い分けなど)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。

1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合

 たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。

 一方、「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
 汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。

95)表記の話1 「生かして」と「活かして」の違いはわかりますか
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-871.html

100)表記の話【2】「子供」か「子ども」か/「障碍」か「障害」か
↓下記参照。
【よくある誤用29──知恵袋の定番4 初め/始め 早い/速い 子供/子ども】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n128695
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-956.html

表記の話【3】「障碍」か「障害」か
(略)

125)表記の話【4】「一人」か「独り」か「ひとり」か
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1014.html

356)【表記の話5──「生まれる」か「産まれる」か】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1684.html

突然ですが問題です【日本語編14】──「速い」か「早い」か
↓下記参照。
【よくある誤用29──知恵袋の定番4 初め/始め 早い/速い 子供/子ども】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n128695
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1379.html

469)表記の話7──【「形式名詞」の話】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1915.html

478)【表記の話8──「他人事」「人事」「人ごと」「ひとごと」「たにんごと」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1941.html

 これを〈9〉扱いにしよう。
295)突然ですが問題です【日本語編19】──正油/醤油 玉子/卵──【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1510.html

699)【表記の話10──みいだす 見出す 見いだす 見い出す】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2316.html

710)【表記の話11──「1か月」「1カ月」「1ヵ月」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2324.html

49定番の質問──重言 重ね言葉

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n150890から。

 重言(重複表現)にはいくつかの種類があります。
 作家の井上ひさしは「強調表現」の一種と主張していたはずです。それもケースバイケースでしょう。
 重言は「間違い」ではありませんが、たいていの場合「無神経な表現」になると思います。
 詳しくは下記をご参照ください。
【重言の話4(第1稿)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-863.html
 以下は一部の抜粋(これも厳密には重言)。


【1】不注意もしくは無神経の例

1)だいたい60字ぐらい
2)古来から
3)第1回目
4)まず第1に
5)1階~3階までは
※1)~5)に関しては下記参照。
【伝言板 板外編4──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html
炎天下の下→炎天下/炎天のもと
一番最初→最初/一番はじめ
ダントツの1位→ダントツ/断然トップ/大差の1位
過半数を超える→過半数に達する/半数を超える
思いがけないハプニング→思いがけない出来事/ハプニング
返事を返す→返事をする(「言葉を返す」だと意味がかわる。何を返せばいいのだろう)
射程距離→射程/射程圏
元旦の朝→元旦/元日の朝
お体御自愛下さい→お体にお気をつけください/御自愛下さい
あらかじめ予約する→予約する/あらかじめ申し込む
収入が入った→収入があった/○○が入った
満○周年→○周年/満○年
すべて一任する→すべてまかせる/一任する
捺印を押す→捺印する/印を押す
はっきりと断言する→ハッキリ言う/断言する
頭をうなだれる→うなだれる
秘密裏のうちに→秘密裏に/秘密のうちに
違和感を感じる
162【重言の話5──「まず第1に」「違和感を感じる」】(2010年04月17日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1176.html

各店舗により→店舗により/各店舗で
※これは最近街で見かけた。
(略)

【2】重言っぽいが直せない

1)消費者の立場にたって考える
2)なぜ犯罪をおかすのか
3)東日本が甚大な被害をこうむった
※1)~3)に関しては下記参照。
【伝言板 板外編4──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html
4)違和感を覚える?
事前予約
最後の切り札

【3】動詞などによって主語などが限定されるため、重言っぽくなる例

献身的に尽くす?
馬がいななく


【4】同族目的語

着物を着る?
旅行へ行く?
寝言を言う?
ひと言で言う

歌を歌う
走者が走る

【5】微妙な例

1)特別な例外を除く
2)日頃から/ふだんから
3)第1号機
※1)~3)に関しては下記参照。
【伝言板 板外編5──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html
2時から会議を始める
おのずから→これはフツーの日本語
自然の生薬
新発売
総称で呼ぶ
常日頃
排気ガス→排気/排ガス
みずから墓穴を掘る


【ほとんどネタ】

あとで後悔する/まだ未定/エントリーナンバー○番/まずはじめに/
永遠に不滅/わたしのマイミク(笑)

トピ主があげた例はどれに属するのだろう。下記くらいかな。
【1】不注意もしくは無神経の例
賞を受賞する→受賞する/賞を受ける
馬から落馬する→落馬する/馬から落ちる
貯金を貯める→貯金する/金を貯める

【3】動詞によって主語が限定されるため、重言っぽくなる例
馬がいななく(けっこう珍しいので、上にも入れておく)

【番外】これは重言じゃないだろう
はさみで切る
ベッドで寝る

●有名なフレーズ?

いにしえの昔 武士と言わねどさむらいが 木曽山中の山中(やまなか)で 馬から落ちて落馬して 女の婦人に笑われて 赤い顔して赤面し 家に帰って帰宅して 仏の前の仏前で 短い刀の短刀で 腹かき切って切腹した


よくある誤用4──「重言」は誤用ではないが…… 立場に立つ 犯罪を犯す 被害を被る
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n115756

48定番の質問──「〜から」と「〜ので」と「〜ため」のニュアンスの違い

※47は欠番。

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n150531から。

 〈「〜から」は主観的、「〜ので」は客観的〉という説をよく見聞しますが、実際にはほとんど差はないようです。

 下記の3)の論文に下記の記述があります。
================引用開始
その他では、『男性に比して、女性に好んで「ので」を多用する傾向がみられる』と『日本文法大辞典』は指摘している。これも、女性の方が自己の正当性を主張するような表現よりも、因果関係を前面に押し出さない控えめな表現を好むためであろう。
================引用終了

 これにしても、「傾向がみられる」程度のことのようです。ホントにそんな性差があるのか、という疑問も残ります。
 詳しくは下記をご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1294599677
================引用開始
 「主観」と「客観」に関してもかなり異和感がある。
 仮に「から」が主観だとしたら、「ので」だって十分主観なのでは。「のため」あたりなら客観なのかもしれない。
 たとえば、事故で電車が遅れたことを表現する。

  事故があったから電車が遅れた
  事故があったので電車が遅れた
  事故があったため電車が遅れた

 テレビのニュースはどれを使うか。たぶん「ため」だろう。もちろん、「事故のため」「事故があり」でもいい。
 これは「主観」「客観」と言うより、「から」「ので」が話し言葉的で、「ため」が書き言葉的ってことだと思う。
 話し言葉的だから、ラフな感じで、どちらかと言うと「主観的」になる。
 書き言葉的だから、フォーマルな感じでどちらかと言うと「客観的」になる。
 「から」と「ので」についても同じことが言えるのでは。

 「から」のほうが話し言葉的だから、ラフな感じで、どちらかと言うと「主観的」になる。
 「ので」のほうが書き言葉的だから、フォーマルな感じでどちらかと言うと「客観的」になる。
 でもその差はほんのわずかで、ほとんどの場合は互換性がある。

 「から」と「ので」にどの程度のニュアンスの違いがあるのかは、当方には判断できない。
 ついでに書いておくと、このニュアンスの違いは、接続詞?の「だから」「なので」「そのため」にもあてはまると思う。
================引用終了


 ネットで閲覧できる論文を確認してみた。「主観/客観」を否定しているものが多い。
【「だから」「なので」の違い〈5〉 「~から」「~ので」「~で」「で」「から」「ので」】資料編

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3045.html






 ほかにYahoo!知恵袋では下記のBAの回答をよく目にします。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1476608574
 下記の3つの論文やサイトの要点をうまく切り貼りしていると思います。著作権的には問題も感じますが……。細かく見ると、1)〜3)はいずれも少し問題がある気がします。
1)【接続助詞「から」と「ので」の違い】
http://hdl.handle.net/10091/1843
2)【日本語講師のひとりごと】
http://blog.goo.ne.jp/kaoriam/e/c846817c27b0d3526dc92242b13727ff
3)【「から」と「ので」の使い分け】
http://www2.dokkyo.ac.jp/~esemi008/kenkyu/miki.html

 詳しくは下記をご参照ください。
「で」と「から」の区別〈2〉
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2599.html


 ↑のつぎはぎホニャララ回答には、下記のときに気づきました。
 なんでこんなことが許されるのでしょう。
【「で」と「から」の区別を教えてください】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1198615231

46定番の質問──とんでもございません とんでもありません とんでもないです

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n149774から。


「とんでもございません」について下記に書いたことを転載します。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1495922284

 正確に書こうとすると、とんでもなく長くなります。文字数制限があるので適宜リンクを張ります。申し訳ございません(こちらは「間違い」だと思いますか?)。
 個人的にどう思うか、という話ならグレーゾーンと考えています。「間違いに決まっている」と主張したいところですが、「間違い」とするには無理が感じられます。異和感が強いので自分では使いませんが。
 辞書のとおりに考えるなら、「とんでもない」は一語の形容詞としているものが多いので、「とんでもございません」(「とんでもありません」も同様)は間違いでしょう。
しかし、間違いとは言い切れない理由がいくつかあります。

1)文化庁が許容してしまった

先行コメントにある「敬語の指針」の47ページをご参照ください。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf


2)文化庁の影響を受けてか、辞書類も許容するようになってきた

 詳しくは下記をご参照ください。
【よくある誤用6──誤用とは言い切れない例 申し訳ありません とんでもありません とんでもないです】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n116373
================引用開始
「とんでもありません/ございません」は誤用で、「とんでもないです」が正しい、と書いてあるとサイトを見たことがあります。
 これがまた微妙な話で、「形容詞+です」(「うれしいです」「楽しいです」など)を認めるか否か、という問題が関係します。昭和27年に文化庁が「形容詞+です」を許容してしまったため、現在の文法書や辞書は許容しているはずです。
 当方はこの形に異和感があるので、原則的に使いません。
 ただし、「形容詞+です」には異和感がない人でも、「ないです」には異和感があるのでは。これは「ありません」にするほうが自然で、「ないです、は間違い」と主張する人もいるようです。
 この形には個人的に「とんでもありません/ございません」以上に強い異和感があるので原則として使いません。
================引用終了


3)名著と評判の高い『敬語再入門』はきわめて歯切れの悪い書き方をしている

【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
================引用開始【引用部】
 もっとも、ありうることと使うことは別ですし、過度にかばう気もありません。そもそも「とんでもない」は何かを難じるか、相手の言動を強く打ち消す語なので、概して敬語になじまない(相手から過分な贈答・評価・申し出などを受けた際の受け答えとしてならまだしも、という面はあり、「とんでもございません」もそうした場合に使われるようですが、それにしても相手を否定することが敬語と合わない)、というのが不自然な一因ではないでしょうか。「おきれいですね」と言われたら「とんでもございません」などと言うより、ただ「いいえ、そんな……」とはじらっているほうがよほど好感がもてるというものです。それにしても、“正解”とされる「とんでもないことでございます」は、受け答えとしてはかなり変ではないでしょうか。(P.161)
 歯切れの悪さに著者の迷いが見える、なんて書いたら怒られるかな。「ありうる形なので間違いではないが、積極的には支持できない」ってところだろうか。最後の書き方は、総理に醤油をとってもらう話を想起させる。

 この【引用部】の前にあるのは、「とんでもない」の分析。
【引用部】
①「とん」が名詞性の語で、「Nで(も)ない」式のでき方なら、丁寧形として「Nで(も)ございません」はありうる形です。
②「とんで」が「動詞+て」、つまり「Vて(も)ない」なら、さらに二つの場合に分かれます。
(a)「Vてある」の否定なら「Vて(も)ございません」はありうる形です。
(b)「Vている」の否定(「Vていない」の「い」の脱落)なら、「Vて(も)いません」/おりません」となるはずで、「Vて(も)ございません」とはなりません。(P.160)
 と分析しているが、結論はよくわからない。「とん」の語源が不明だからしかたがない。不明ながらも、もし名詞性で①なら「とんでもございません」はありうる形、としながら、先のP.161の【引用部】に続く。
 結局、専門家が見てもよくわからないってことだろう。素人にわかるわけがない(笑)。
================引用終了

 個人的には下記のように考えています。
【「~ない」形の形容詞の迷宮】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1814.html



【お品書き】よくある誤用/定番の質問
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365
プロフィール

tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード