「的」の話。

1036)【「的」の話────「わたし的には」「個人的には」「将来的には」】 辞書
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1912584154&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2863.html

1229)【「的」の話〈1〉 資料編 辞書】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1932107765&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3092.html

1485)突然ですが問題です【日本語編228】──「的」の使い方 個人的な考え 有効的な方法 直截的な表現 壊滅的な出来の悪さ【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946042907&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3295.html

 ↓
【「的」の使い方──有効的 直截的 「和語+的」「代名詞+的」「壊滅的な出来(の悪さ)」】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12072189199.html


 下記もリンクをたどるとかなり役に立つ(はず)……と言うより笑える。
【有効的って言葉、間違った表現ですよね?】
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12172640097
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「全然」「まったく」「とても」知恵袋〈1〉〜〈3〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年11月20日から

 このテーマに関しては何度か書いている。
【関連トピ紹介】11──全然+肯定形は是か非か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46001081

「全然+肯定形」に関しては下記がわかりやすいと思う。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1449225064
================================
●「全然+肯定形」
 結論だけ書きましょう。必ずしも間違いとは言いきれないようです。
「全然」の後ろは、もともとは肯定でも否定でも○だったようです。一時期肯定は×になったが、最近は「×とは言い切れない」という説が増加傾向にあるようです。
 ただし、現在の出版・編集の現場では基本的に肯定は×です(微妙かもしれませんが、少なくとも当方は×と考えています)。まともな出版物にはめったに出てこないはずです。

「全然+肯定形」をOKとする人は2派に大別できそうです。
  1)なぁーんにも考えてない人
  2)「全然」の使われ方を歴史的に考えて「間違いではない」とする人

 詳細は下記をご覧ください。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/2003/zenzen.htm
※いくつもの辞書を調べた信頼に値するレポート。ただし、これを根拠に「全然+肯定」は元々OKだった、と決めつけるのは短絡的でしょう。「全然+肯定」は「俗」という説もあるのですから。

 下記もご参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E7%84%B6
================================


 これに「まったく」「とても」がからむと、下記がわかりやすいだろう。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-195.html
【追記2】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「とても」「全然」「まったく」について再確認しておく。

「とても」は歴史的に見れば、昔は否定にしか使わなかった。芥川龍之介がそんなことを書いて物議を醸した記憶がある。
【芥川龍之介の「とても」】
http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20070616/p1
 現在の出版・編集の現場では肯定でも否定でも○。

「全然」は歴史的見れば諸説ある。どうやら、昔は肯定でも否定でも使ったらしい。
 現在の出版・編集の現場では否定にしか使わない。なかには許容する人もいるかもしれないが、個人的には×。

「まったく」は原則として否定にしか使わない。ただし、「まったくそのとおり」のように異和感のない場合もある。

「赤い本」には以下のように書いた。
================================
【練習問題18】
 次の文のなかでヘンなのはどれで、なぜヘンなのか理由を考えてください。
  1)この料理は全然おいしい。
  2)この料理はとてもおいしい。
  3)この料理はまったくおいしい。

 副詞のなかには、後ろに決まった表現が来るものがあります。たとえば、「けっして」という副詞を使った場合、後ろに来るのは「~ない」などの否定形で、肯定形が来ることはありません。同様に、「全然」の後ろも否定形が来るのが一般的です。1)のように「全然」が使われているのに後ろが「おいしい」という肯定形では、「係り結ばず」になってしまいます。
 近年、話し言葉の中で使われる「全然+肯定形」が「言葉の乱れ」として取りざたされていることは、ご存じのかたも多いでしょう。将来的にはわかりませんが、現段階では、まだヘンな形と考えられます。「現段階では」と書いたのは、「〇〇+否定形」のルールはくずれていくことが多い気がするからです。
「とても」もかつては後ろに否定形を伴う言葉でした。しかし現在では、2)のように「この料理はとてもおいしい。」といっても問題はありません。
「まったく」は、微妙な段階にあるようです。3)の「この料理はまったくおいしい。」や「まったくタメになる。」はヘンなのに、「まったくそのとおりです。」という使い方なら問題は感じられません。「まったく」は、基本的には後ろに否定形が来るようですが、肯定形が来てもヘンではない場合もあるということです。
 このように考えると、「まったく+肯定形」は近々ふつうの表現になり、やがては「全然+肯定形」もヘンではなくなる可能性があると思います。
================================


 さて、これを踏まえて今回のテーマサイトは下記。
【「全然大丈夫」、「全然いい」の全然に代わる言葉を教えてください!】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1250521727

 質問の内容はタイトルのとおり。
 こういう観点になると、話がちょっとかわってくる。ちょっとメンドーな話なんで、いつも以上にクドく書く(笑)。
 原点に立ち返って辞書をひく。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%85%A8%E7%84%B6&dtype=0
================================
ぜん‐ぜん【全然】
【1】[ト・タル][文][形動タリ]余すところのないさま。まったくそうであるさま。
「―たるスパルタ国の属邦にあらずと雖も」〈竜渓・経国美談〉
【2】[副]
1 (あとに打消しの語や否定的な表現を伴って)まるで。少しも。「―食欲がない」「その話は―知らない」「スポーツは―だめです」
2 残りなく。すっかり。
「結婚の問題は―僕に任せるという愛子の言葉を」〈志賀・暗夜行路〉
3 (俗な言い方)非常に。とても。「―愉快だ」
================================

■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%85%A8%E7%84%B6&dtype=0&dname=0ss
================================
ぜんぜん0 【全然】
1 (副)
[1](打ち消し、または「だめ」のような否定的な語を下に伴って)一つ残らず。あらゆる点で。まるきり。全く。
雪は―残っていない
金は―ない
―だめだ
[2]あますところなく。ことごとく。全く。
一体生徒が―悪るいです〔出典: 坊っちゃん(漱石)〕
母は―同意して〔出典: 何処へ(白鳥)〕
[3]〔補説〕 話し言葉での俗な言い方
非常に。とても。
―いい
2 (ト|タル)
[文]形動タリ
すべてにわたってそうであるさま。
実に―たる改革を宣告せり〔出典: 求安録(鑑三)〕
================================

 ほぼ同じなので、以下は『大辞泉』をベースに書く。
 副詞の「1」は「全然+否定形」。ここはスルーしていいだろう。
「2」と「3」を見ると、「全然+肯定」は2種類あることがわかる。
「2」の意味だと、「まったく」にできなくはなさそうだ。ただし、例文を見ればわかるように、これが現代の用法になるか否かは疑問。
「3」の「非常に、とても」の意味は「俗な言い方」になっている。

 さて、元々の質問を見よう。
「全然大丈夫」「全然いい」はOKか。偶然か必然か、この質問は非常によくできている。
「全然大丈夫」は「2」の用法で、「全然いい」は「3」の用法だろう。この用法の是非は今回の話題ではないのでパス。
「代わる言葉」を考える。
「2」はあえて言うなら「まったく大丈夫」。ただ、これはちょっとヘン。↑に書いたように「まったく」は「まったく+肯定形」にできるが、「まったく大丈夫」は……(詳しくは↓参照)。
 回答コメントのなかに「まったく問題がない」とかにするべきといった記述がある。そのとおりだと思うが、それなら「全然問題がない」でも問題がなくなる。
「全然大丈夫」の「全然」にかわる言葉ってないんじゃないだろうか(だからこそ、「全然大丈夫」の類いが広まる)。
 イチバンわかりやすいのは「全然」を使わずに「大丈夫」にしてしまうこと。(←オイ!)
 どうしてもというなら、「全面的に大丈夫」とか「どこから見ても大丈夫」とか……かなりヘンだよ。強調したいなら、「盤石」とか「万全」などに言いかえるべきでは。
「3」の言いかえはいろいろありそう。「very」の意味になるものならほぼOKみたい。
「非常にいい」「とてもいい」「すごくいい」……etc.
 語感が近いという意味では「断然いい」がオススメかも。


 以下は泥沼に足を踏み入れるヨタ話。やや錯綜気味(泣)。
「大丈夫」関係だと、最近こんな話があった。
【「大丈夫ですか」考 日本語】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1553.html

「大丈夫」の用途が広がっていることと、「全然大丈夫」が広まっていることは、多少は関係あるのかも。

 もっと大きな発見をした。
「まったく」は基本的には「まったく+否定形」だが、場合によっては「まったく+肯定形」も成り立つ理由は、辞書の記述で一応の説明ができる気がする。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8F&dtype=0
================================
まったく【全く】
[副]《形容詞「まったい」の連用形から》
1 完全にその状態になっているさま。すっかり。「―新しい企画」「回復の希望は―絶たれた」
2 打消しの語を伴って、完全な否定の意を表す。決して。全然。「彼は事件とは―関係がない」「―話にならない」
3 ある事実・判断を強調する気持ちを表す。本当に。実に。「今日は―寒い」「―けしからん話だ」「―君の言う通りだよ」
================================
 この『大辞泉』の記述は相当ヒドい。うっかり騙されるところだった。

 気を取り直して『大辞林』をひく
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8F&dtype=0&dname=0ss&stype=0&index=118493700000&pagenum=1
================================
まったく0 【全く】
(副)
〔補説〕 形容詞「まったい(全)」の連用形から
[1]否定表現と呼応して、それを強調する。全然。まるっきり。
―お酒を飲まない
人が―訪ねて来ない
[2]
(ア)完全に。すべて。
家具を―新しくする
―健康になった
―の素人
勝負―終へて帰途に就く頃は雨も―晴れにき〔出典: 筆まかせ(子規)〕
(イ)肯定表現と呼応して、それを強調する。自分の言うことにうそや誇張のないことを示す。本当に。実に。
―彼にも困ったものだ
―其のつもりで言つたんですが〔出典: 婦系図(鏡花)〕
(ウ)相手の言うことに同感であることを示す。本当に。実に。
―そのとおりだ
『末が思いやられるね』『―だ』
→(句)全くのところ
→(句)全くもって
================================

(ア)は「全面的に」に近い。 
  家具を全面的に新しくする
  全面的に健康になった
  全面的に素人(これは相当ヘン)
(イ)は「very」に近い。(ア)か(イ)か微妙な例がけっこうある気がする。
  非常に彼にも困ったものだ
 この語順だと少しおかしいが、「彼にも(まったく/非常に)困ったものだ」なら異和感は薄れる。「彼は(まったく/非常に)困ったものだ」の形ならさらに自然になる。
(ウ)は書きかえがむずかしいが、「まさに」あたりだろうか。

 ここで『大辞泉』の「1」「3」用例が(ア)~(ウ)のどれになるか考えてみる。
「まったく新しい企画」……おそらく(ア)の意味で使っているが、(イ)の意味にもとれなくはない珍例。説明もなしにこれを出すのは不適切だろう。
「回復の希望はまったく絶たれた」……(ア)の意味
「今日はまったく寒い」(イ)の意味
「まったくけしからん話だ」(イ)の意味 ※(ア)ともとれる?
「まったく君の言う通りだよ」(ウ)の意味
 不用意に珍例をもってきているうえに、相当ニュアンスが違う(イ)と(ウ)を混同している。

 個人的な語感では、(イ)の用法には異和感がある。
「まったくけしからん」とか「まったくくだらない」が許容できるのは、形は肯定形だけど意味が否定的だからだろう。「まったく寒い」「まったくおもしろい」「まったくきれい」などの肯定的な使い方は相当ヘン。「まったく大丈夫」がヘンなのもそのせいだろう。
「まったく大丈夫」は特殊で、たぶん一般には許容されている。「大丈夫=問題ない」のニュアンスが強いので、肯定形なのに否定形のニュアンスを含んでいる気がする(なんのこっちゃ)。「全然大丈夫」が受け入れられている理由は、こうとでも考えないと納得がいかない。
 これが「まったくすばらしい」だとアリの気がする。大絶賛だと(ア)に近づくからだろうか。
 同じように否定的なのに「まったくダメだ」はアリで「まったくヘンだ」はヘンに感じる。
 おそらく、「まったくダメ」は「全面的にダメ」のニュアンスが強いからOKなのだろう(「とてもダメ」にはしにくい)。「まったくヘン」は「とてもヘン」のニュアンスが強いから×なのだろう。
「とてもヘン」とは言っても、「非常にヘン」がちょっとヘンなのはなぜ、とか考えると深みにはまる(泣)。
「まったくヘン」は「全面的にヘン」ともとれるのでは、とか考えると深みにはまる(大泣)。
 
 さらに言うと、「全然ダメ」はなぜか許容できる。理由はまったくわからない(号泣)。


 最後に、根拠の希薄な暴論を吐いておく。
 あくまでも個人的な語感で……。
「まったく」は「おもしろい」などの肯定的な言葉とは相性が悪い。しかし、否定的な肯定形となら使える。
「全然」もその傾向がある。ただ、現状で許されるのは「全然ダメ」「全然違う」「全然別」あたり。「全然つまらない」は微妙。
 今後、「全然」の浸食は次の順で進む。どこまで立ち会えるんだろう(泣)。
  否定的な肯定形(現状はここくらい?)→フツーの肯定形→「very」の意味


【追記】
「否定的な肯定形」(形は肯定形だけど意味が否定的なもの)にはいろいろある。
「違う」「別(のこと)」……etc.
 これらと「まったく」「全然」などの組み合わせの是非を確認しておく。

       まったく 全然 とても 非常に
〈「very」系〉
けしからん  ○    X  △    ○ 
 ※「とてもけしからん」が△の理由は不明
くだらない  ○    X  ○    ○  
つまらない  ○    △  ○    ○ 
 ※「全然つまらない」は微妙

〈「全面的」系〉
ダメ     ○    ○  X    X   
違う     ○    ○  X    X
別(のこと) ○    ○  X    X

 一部の例外はあるが、だいたい以下の傾向がある。
まったく 「全面的」「very」の両方の意味で使える
全然   「全面的」の意味で使える
とても  「very」の意味で使える
非常に  「very」の意味で使える
 ただし、「否定的な肯定形」で、「全面的」の意味であっても、個人的には避けたい。

【2011年02月03日追記】
 昨日、ドラマ『美しい隣人』の中で仲間由紀恵が「全然平気」と言った。
 困ったことに、「全然大丈夫」に覚える異和感さえなかった。
「全然+フツーの肯定形」がOKになる日は近いのか。
 あるいは「全然大丈夫」と同様に「全然問題がない」と同じ意味だからなのか……。
 論理的に考えれば、「全然大丈夫」「全然平気」がOKになる理由はない。


 もろもろのことを考慮して下記にコメントした。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1074563295

================================引用開始
「全然」の使い方。

Yahoo!知恵袋に限っても過去に多数の質問が出ています。

歴史的なことに関しては、下記が詳しいようです。
【「全然大丈夫」というような全然~ないの言葉遣い】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1333690543
【「全然」の使い方】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1374560098
チェックすべきポイントは下記でしょう。
================================
ところが、昭和35年の文部省による教育指導要領で、多数=正しい、として、全然は否定を伴う、と規定してしまったために、話がややこしくなったわけです。 これは、当時、森鴎外の次女で随筆家・評論家の小堀杏奴(あんぬ)が、若者言葉への批判で「全然は否定形を伴わなければならない」と断言したことが大きな影響を及ぼした、とも言われているそうです。でもこの方、別に国語学者でもなんでもなく、洋画を学び画家と結婚し、その後、鴎外の回想記などを書いて鴎外研究に貢献した方です。
================================
この話はNHKの番組で紹介されて有名になったようです。
「小堀杏奴 みんなでニホンGO 全然」で検索するといろいろヒットします。

各種の辞書の解説は、下記をご参照ください。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/2003/zenzen.htm

個人的には下記のように考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1053406780
================================引用終了

 下記の2記事は読みごたえがある。なくなると悲しいので、全文を転載しておく。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2444.html


●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html


「全然」「まったく」「とても」知恵袋〈2〉


 以下は泥沼に足を踏み入れるヨタ話。やや錯綜気味(泣)。
「大丈夫」関係だと、最近こんな話があった。
【「大丈夫ですか」考 日本語】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1553.html

「大丈夫」の用途が広がっていることと、「全然大丈夫」が広まっていることは、多少は関係あるのかも。

 もっと大きな発見をした。
「まったく」は基本的には「まったく+否定形」だが、場合によっては「まったく+肯定形」も成り立つ理由は、辞書の記述で一応の説明ができる気がする。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8F&dtype=0
================================
まったく【全く】
[副]《形容詞「まったい」の連用形から》
1 完全にその状態になっているさま。すっかり。「―新しい企画」「回復の希望は―絶たれた」
2 打消しの語を伴って、完全な否定の意を表す。決して。全然。「彼は事件とは―関係がない」「―話にならない」
3 ある事実・判断を強調する気持ちを表す。本当に。実に。「今日は―寒い」「―けしからん話だ」「―君の言う通りだよ」
================================
 この『大辞泉』の記述は相当ヒドい。うっかり騙されるところだった。

 気を取り直して『大辞林』をひく
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8F&dtype=0&dname=0ss&stype=0&index=118493700000&pagenum=1
================================
まったく0 【全く】
(副)
〔補説〕 形容詞「まったい(全)」の連用形から
[1]否定表現と呼応して、それを強調する。全然。まるっきり。
―お酒を飲まない
人が―訪ねて来ない
[2]
(ア)完全に。すべて。
家具を―新しくする
―健康になった
―の素人
勝負―終へて帰途に就く頃は雨も―晴れにき〔出典: 筆まかせ(子規)〕
(イ)肯定表現と呼応して、それを強調する。自分の言うことにうそや誇張のないことを示す。本当に。実に。
―彼にも困ったものだ
―其のつもりで言つたんですが〔出典: 婦系図(鏡花)〕
(ウ)相手の言うことに同感であることを示す。本当に。実に。
―そのとおりだ
『末が思いやられるね』『―だ』
→(句)全くのところ
→(句)全くもって
================================

(ア)は「全面的に」に近い。 
  家具を全面的に新しくする
  全面的に健康になった
  全面的に素人(これは相当ヘン)
(イ)は「very」に近い。(ア)か(イ)か微妙な例がけっこうある気がする。
  非常に彼にも困ったものだ
 この語順だと少しおかしいが、「彼にも(まったく/非常に)困ったものだ」なら異和感は薄れる。「彼は(まったく/非常に)困ったものだ」の形ならさらに自然になる。
(ウ)は書きかえがむずかしいが、「まさに」あたりだろうか。

 ここで『大辞泉』の「1」「3」用例が(ア)~(ウ)のどれになるか考えてみる。
「まったく新しい企画」……おそらく(ア)の意味で使っているが、(イ)の意味にもとれなくはない珍例。説明もなしにこれを出すのは不適切だろう。
「回復の希望はまったく絶たれた」……(ア)の意味
「今日はまったく寒い」(イ)の意味
「まったくけしからん話だ」(イ)の意味 ※(ア)ともとれる?
「まったく君の言う通りだよ」(ウ)の意味
 不用意に珍例をもってきているうえに、相当ニュアンスが違う(イ)と(ウ)を混同している。

 個人的な語感では、(イ)の用法には異和感がある。
「まったくけしからん」とか「まったくくだらない」が許容できるのは、形は肯定形だけど意味が否定的だからだろう。「まったく寒い」「まったくおもしろい」「まったくきれい」などの肯定的な使い方は相当ヘン。「まったく大丈夫」がヘンなのもそのせいだろう。
「まったく大丈夫」は特殊で、たぶん一般には許容されている。「大丈夫=問題ない」のニュアンスが強いので、肯定形なのに否定形のニュアンスを含んでいる気がする(なんのこっちゃ)。「全然大丈夫」が受け入れられている理由は、こうとでも考えないと納得がいかない。
 これが「まったくすばらしい」だとアリの気がする。大絶賛だと(ア)に近づくからだろうか。
 同じように否定的なのに「まったくダメだ」はアリで「まったくヘンだ」はヘンに感じる。
 おそらく、「まったくダメ」は「全面的にダメ」のニュアンスが強いからOKなのだろう(「とてもダメ」にはしにくい)。「まったくヘン」は「とてもヘン」のニュアンスが強いから×なのだろう。
「とてもヘン」とは言っても、「非常にヘン」がちょっとヘンなのはなぜ、とか考えると深みにはまる(泣)。
「まったくヘン」は「全面的にヘン」ともとれるのでは、とか考えると深みにはまる(大泣)。
 
 さらに言うと、「全然ダメ」はなぜか許容できる。理由はまったくわからない(号泣)。


「全然」「まったく」「とても」知恵袋〈3〉

 最後に、根拠の希薄な暴論を吐いておく。
 あくまでも個人的な語感で……。
「まったく」は「おもしろい」などの肯定的な言葉とは相性が悪い。しかし、否定的な肯定形となら使える。
「全然」もその傾向がある。ただ、現状で許されるのは「全然ダメ」「全然違う」「全然別」あたり。「全然つまらない」は微妙。
 今後、「全然」の浸食は次の順で進む。どこまで立ち会えるんだろう(泣)。
  否定的な肯定形(現状はここくらい?)→フツーの肯定形→「very」の意味


【追記】
「否定的な肯定形」(形は肯定形だけど意味が否定的なもの)にはいろいろある。
「違う」「別(のこと)」……etc.
 これらと「まったく」「全然」などの組み合わせの是非を確認しておく。

       まったく 全然 とても 非常に
〈「very」系〉
けしからん  ○    X  △    ○ 
 ※「とてもけしからん」が△の理由は不明
くだらない  ○    X  ○    ○  
つまらない  ○    △  ○    ○ 
 ※「全然つまらない」は微妙

〈「全面的」系〉
ダメ     ○    ○  X    X   
違う     ○    ○  X    X
別(のこと) ○    ○  X    X

 一部の例外はあるが、だいたい以下の傾向がある。
まったく 「全面的」「very」の両方の意味で使える
全然   「全面的」の意味で使える
とても  「very」の意味で使える
非常に  「very」の意味で使える
 ただし、「否定的な肯定形」で、「全面的」の意味であっても、個人的には避けたい。

【2011年02月03日追記】
 昨日、ドラマ『美しい隣人』の中で仲間由紀恵が「全然平気」と言った。
 困ったことに、「全然大丈夫」に覚える異和感さえなかった。
「全然+フツーの肯定形」がOKになる日は近いのか。
 あるいは「全然大丈夫」と同様に「全然問題がない」と同じ意味だからなのか……。
 論理的に考えれば、「全然大丈夫」「全然平気」がOKになる理由はない。


 もろもろのことを考慮して下記にコメントした。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1074563295

================================引用開始
「全然」の使い方。

Yahoo!知恵袋に限っても過去に多数の質問が出ています。

歴史的なことに関しては、下記が詳しいようです。
【「全然大丈夫」というような全然~ないの言葉遣い】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1333690543
【「全然」の使い方】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1374560098
チェックすべきポイントは下記でしょう。
================================
ところが、昭和35年の文部省による教育指導要領で、多数=正しい、として、全然は否定を伴う、と規定してしまったために、話がややこしくなったわけです。 これは、当時、森鴎外の次女で随筆家・評論家の小堀杏奴(あんぬ)が、若者言葉への批判で「全然は否定形を伴わなければならない」と断言したことが大きな影響を及ぼした、とも言われているそうです。でもこの方、別に国語学者でもなんでもなく、洋画を学び画家と結婚し、その後、鴎外の回想記などを書いて鴎外研究に貢献した方です。
================================
この話はNHKの番組で紹介されて有名になったようです。
「小堀杏奴 みんなでニホンGO 全然」で検索するといろいろヒットします。

各種の辞書の解説は、下記をご参照ください。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/2003/zenzen.htm

個人的には下記のように考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1053406780
================================引用終了

 下記の2記事は読みごたえがある。なくなると悲しいので、全文を転載しておく。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2444.html


●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html

「~なのかな」「~とは思います」「~と思います」〈1〉〜〈3〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671

mixi日記2013年08月05日から

 テーマトピは下記。
【「なのかな」と「とは思います」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48610257&comm_id=222342
================引用開始
「なのかな」と「とは思います」
2009年12月03日 17:17

今週発売の週刊朝日。その連載コラムで作家の内館牧子が辛辣に批判して書いています。「かな」の乱用、誤用、悪用の数々。私は数年前から非常に不快な思いでいました。やっとプロも気がついたか、とね。

以前にも類似トピを立てたのですが、以外にも反応はありませんでした。

断定してもいい表現の最後に「かな」(なのかな)をつけるタレント、スポーツ選手、そして政治家や官僚、一般市民たち。

どうしてこんな表現がまかり通るのでしょう。

最悪はこの「かな(なのかな)」に「とは思います」を続けること。

「やってもいいのかな、とは思います」
「面白い試合になるかな、とは思います」
「来年度にでも企画してもいいのかな、とは思います」

なんなんだよ、これ…。絶滅させましょう。
================引用終了


 何年も前に立ったトピで、頓挫していた。
 原因? 言葉の神様に訊いてください。
 当方はトピ主の責任が大きいと思う。いくつかあったちゃんとしたコメントに対してあんな書き方をしていたら、コミュニケーションにならない。
 数年ぶりにカラアゲされたので、思うところあって[29]のコメントを入れたが……やっぱりダメみたい。
 これ、ちゃんと書こうとするとものすごくたいへんだと思う。だって、文脈によっては何も問題がない表現なんだから。当然、文法的には何も問題がない。
 こういうのは、本来はインネンをつける側が論理的に説明すべきものだろう。論理で説明できないのなら、ヘンに感じる例を集めて考えるしかないのかな、とは思う(これはOKだよね)。
 問題を切り分けながら、順番に考えていきたい。以下、煩わしいので基本的にデス・マス体ではなく常体で見ていく。

【1】「~と思う」と「~とハ思う」の違い
 まず、この「ハ」の働き。辞書の全文は末尾に。
 かなり微妙で「3 強調」でもいいんだけど、説明の都合上「2 対比」と考えておく。このほかに「限定」なんて働きもあったと思うけど見つからない。このあたりをあまり厳密に考えても意味はないだろう。
「~と思う」は、ごくフツーの表現。どんな意味になるのかは説明不能。これに「ハ」がついて「~とハ思う」になると何がかわるのか。
 おそらく、この「ハ」は「モ」に近い。
「Aとハ思う」けど「Bとモ思う」し、「Cとモ思う」……かもしれない。
 大元を「Aとモ思う」にしても、大きな違いはないだろう。
 つまり、「~と思う」と比べると「~とハ思う」には「逆接」(「躊躇」と言ってもいい)のニュアンスがある。実際に言葉にはしなくても、含意している、と思われる。
 
【2】「~と思う」と「~と思いハする」の違い
 コメント[42]でおもしろい話が出る。なんでトピ主はスルーしているのだろう。ちゃんと「議論」に付き合ってくれそうな人が登場したのに。
【2】と【1】の「ハ」の働きはよく似ている。「~とハ思う」と「~と思いハする」はほぼ同義と言ってもいいかも。
 もちろん厳密に考えれば違っている。
「Aとハ思う」の含意は「でもBとモ思う」「でもCとモ思う」が本線。
「Aと思いハする」の含意は「でも疑問が残る」「でも賛成できない」「でも現実には無理」……etc.が本線だろう。
「逆接」や「躊躇」の方向性が微妙に違う。当方は通常、この程度のことは「大差なし」で押し切ることにしている。(←オイ!)

【3】「~かな」の問題点
 近年若年層の流行とされる曖昧表現のひとつなのだろう。個人的には若年層特有とは思わない。トピにも口癖にしている上司の例が出てくる。さらに言うと、「曖昧表現」が広がっているのではなく、「曖昧」と「極論」の二極化だと思う。もっとさらに言うと、単に日本語を使えない人が増えたので、こういう安易な表現に流れるのだと思う。
「~とか」「~のほう」などの仲間なのかな、とは思う(これはOKだよね。以下略)。
 ただ、そんなふうに乱暴にひとくくりにして「全部ダメ」と言うと、単なる●●になりかねない。「~とか」あたりは、フツーに使うなら何も問題はない。度が過ぎるとヒステリックな言葉狩り(重言?)にしか見えなくなる。
 まあ「~かな」と「~とハ思う」を組み合わせると、文脈によっては曖昧さが強調されることはありそうなんだけど、何も問題がないこともある。適切な文脈を用意してくれないと、何も判断できない。
696)【バイト敬語/若者言葉──「~とか」の話】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1820136974&owner_id=5019671
【バイト敬語/若者言葉の話】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824951700&owner_id=5019671

【4】「~かな、とは思う」の実例
 トピに出てきた例文で確認する。

1)やってもいいのかな、とは思う
※これを「やってもいいのだろうか?」と異議を唱える表現と解釈しているが、それはムチャでは。「そんなことをやってもいいのかな、と思う」くらいならそのとおりかもしれないかな、とは思う。コメント[4]に出てくる書きかえ案は「私はやりたい、と思う」。それはそれでムチャじゃないかな、とは思う。
2)面白い試合になるかな、とは思う
※書きかえ案は「面白い試合になると思う」。ニュアンスがかなり違うかな、とは思う。
3)来年度にでも企画してもいいのかな、とは思う
※書きかえ案は「来年度に企画してみてはいかがですか? 」。ニュアンスがかなり違うかな、とは思う。なんで1)の書きかえ案と主語がかわっているのかな、とも思う。
4)もうそろそろ販売の方法を変えてみてもいいのかなぁ、とは思います
※上司のこの発言に対して「それは、変えるってことですか?」と訊くのはどうなんだろう。上司の答えは5)。
5)「いや、そうではなくて検討する時期に来ているのではないのかなぁ、と言うことです」
※これに対して「また同じことを言いましたね。じゃ、販売方法の見直しを検討するんですか?」って、喧嘩売ってるのかな?
「~とは思います」はどこに行ったの? これは単に上司の曖昧な表現(たぶん口癖)に苛立っているだけじゃないかな。個人的な苛立ちでしかなければ、共感してもらうのはけっこうたいへんだよ。

 前半が感覚的なのがマズいのか、とも思ったが、違うようだ。結局、これは個人の好みの問題じゃないのかな。
 文脈によってハ、「そこまで曖昧にする必要はない」ってケースもあるかもしれない。でもその文脈を示してもらえないと、判断できない。

6)そういう考え方もアリなのかな、とは思う
※これを「そういう考え方もアリだと思う」と同義と考えるのはいくらなんでも乱暴だろう。少なくとも当方はそんな無茶な発送はしない。配送センターが混乱しかねない。

 

■Web辞書『大辞泉』から
http://dictionary.nifty.com/word/%E3%81%AF?dic=daijisen
================引用開始


[係助]名詞、名詞に準じる語、活用語の連用形、助詞などに付く。
1 判断の主題を提示する意を表す。「犬―動物だ」「教育―国民の義務である」「黒牛潟潮干の浦を紅の玉裳裾引(すそび)き行く―誰(た)が妻」〈万・一六七二〉
2 ある事物を他と区別して、または対比的に取り立てて示す意を表す。「風―強いが、日―照っている」「夕されば小倉の山に鳴く鹿―今夜(こよひ)―鳴かず寝(い)ねにけらしも」〈万・一五一一〉
3 叙述の内容、またはその一部分を強調して明示する意を表す。「喜ばずに―いられない」「やがてわかって―くれるだろう」「死を恐れざるに―あらず、死の近きことを忘るるなり」〈徒然・九三〉
4 (文末にあって)感動・詠嘆を表す。…ことよ。…だなあ。…よ。「されど、門の限りを高う作る人もありける―」〈枕・八〉
5 (形容詞・打消しの助動詞「ず」の連用形に付いて)順接の仮定条件を表す。…のときは。…の場合は。…ならば。「験(しるし)なきものを思はず―一坏(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあるらし」〈万・三三八〉
◆係助詞「は」は現在では「わ」と発音するが、「は」で表記するのが普通。格助詞「を」、また「ときに」に付くときは、音変化して「をば」「ときんば」の形をとることもある。4については終助詞とする説もある。また、5については近世初期以降には「は」が音変化して、「くば」「ずば」の形をとることもあり、「ば」を接続助詞と解して仮定条件を表すこともあった。→をば →ときんば →ずば →ては
================引用終了


「〜していきます」「~していきたいです」「~していきたいと思います」
──「~なのかな」「~とは思います」「~と思います」〈2〉

mixi日記2014年07月08日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1929188749

 下記が関係あるかも。
1020)【「~なのかな」「~とは思います」「~と思います」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2842.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1908860625&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【「~して行きたい」「~して行きたいと思う」など。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12131579487

 まず質問の全文を引く。
================引用開始
「~して行きたい」「~して行きたいと思う」など。
例えば不祥事を謝罪するときに「今後このようなことの無いように気を引き締めて行きたい」と気を引き締めるのではなく 引き締めて行きたい。
「ただいまから成績を発表して行きたいと思います」発表するのではなく発表して行きたいなど。
何故ぼかすような表現なんでしょうか。
================引用終了

 発言者の立場によって、事情が微妙にかわってくる。話の内容を考慮して、例文は基本的にデス・マス体で考える。
 断定的な言い方から曖昧な言い方まで、いくつか段階がある。

●謝罪の言葉
1)今後このようなことのないように気を引き締めます
  ↓
2)今後このようなことのないように気を引き締めていきたいです
  ↓
3)今後このようなことのないように気を引き締めていきたいと思います

 大前提として、謝罪の場合は「いきたいと思います」ではなく「いく所存でございます」くらいのほうが自然だろう。
 1)が一番スッキリしている。「引き締める」か否かは個人の心がけの問題だから「たい」をつけるのはおかしい、というのはごもっとも。「たい」は希望や願望を表わす(辞書の引用は末尾)。
 このように断言すると、同じような事態が再発したときに責任を追及されそう。
 だから少しボカすのだろう。政治家などの常套手段(笑)。そこで2)のように「たい」をつける。「いく」とは断言できないが、「いきたい」。「いく」努力はするけど、「いけなかった」ら許してね。
 デアル体で「いきたい」と言えば何も問題がないが、これに「です」をつけて「いきたいです」にすると、ちょっと問題がある。むずかしい話は別として、「たい」の活用を見ると形容詞とほぼ同じことがわかる。
 つまり、「たいです」(「たかったです」も同様)に覚える異和感は「うれしいです」に覚える異和感とほぼ同じもの。「間違い」ではないが、『大辞林』が〈現在かなり広がっているが,多少ぎこちなさも感じられる〉としているのだから、避けるべきだろう。
【この文章〈「形容詞終止形」+「です」〉は文法的に正しいですか】教えて!goo
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2891.html

 避ける方法はいろいろ考えられるが、一番安直なのは「〜と思います」をつけること。こうして3)のような形が広まることになる。
 2)の形を避けるのが「たいです」に対する異和感のせいか否か正確なところは、本人に確認しないとわからない。
「希望」にさらに「〜と思う」をつけるんだから、クドい印象になるのは当たり前。

●所信表明の言葉
「所信表明」というといかめしいが、プロ野球の新人の入団挨拶と考える。
1)一生懸命頑張ります
  ↓
2)一生懸命頑張りたいです
  ↓
3)一生懸命頑張りたいと思います
 1)がスッキリしているが、ちょっと控えめに言うなら2)、「たいです」に異和感があれば3)になるのだろう。
 これが「一生懸命頑張って新人王をとります」だとビッグマウスになる。3)のパターンが自然だろう。

 これが子供の将来の夢で「野球選手になります」だと2)が自然な気がする。もちろん3)でも構わない。「海賊王に、おれはなる」のほうが威勢はいいけど(笑)。



http://kotobank.jp/word/%E3%81%9F%E3%81%84?dic=daijisen&oid=11083400
================引用開始
デジタル大辞泉の解説
たい 【たい】

[助動][たかろ|たく・たかつ|たい|たい|たけれ|○]《希望の助動詞「たし」の連体形「たき」の音変化》動詞、および助動詞「れる」「られる」「せる」「させる」の連用形に付く。
1 話し手の希望を表す。「御飯を食べたい」「日比(ひごろ)月日がおがみたいと思うたに」〈虎明狂・腰祈〉
2 話し手以外の人の希望を表す。「読みたいなら貸すよ」「やめたい人はやめればいい」
3 「ある」「である」「なさる」「くださる」や尊敬の助動詞「れる」「られる」に付いて、他に対する希望・要求を表す。…てほしい。「正直者がばかを見ない世の中でありたい」「別表を参照されたい」
◆「たい」が他動性の動詞に付く場合、希望の対象を表すのに、「水を飲みたい」「水が飲みたい」のように「…ヲ…タイ」「…ガ…タイ」の両形を、室町時代以来用いてきている。連用形「たく」の音便形「とう(たう)」は中世から行われているが、現代語では、「ございます」「存じます」を伴うときにかぎって行われる。また、接続助詞「て」を伴う場合、「たくって」となることもある。3は多く文章語に用いる。
================引用終了

 ちょっとメモ。
バイト敬語/若者言葉──「~とか」の話
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2310.html
================引用開始
 こうなると、近年の若者言葉に特有の曖昧表現、というククリ方もできそうな気がする。ただ、それは少し違うのでは、って気もする(「曖昧表現」の一方で「氏ね」などの直截な表現も目立つ。二極化と言うほうが正確だろう。)。
================引用終了


──「~なのかな」「~とは思います」「~と思います」〈3〉
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12245302735.html

 テーマサイトは下記。
【「は」が入ると、途端にやる気がないように思えるのはなぜ?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9624045.html
===========引用開始
以下の文章をご覧ください。

A「頑張ってみようと思います」
B「頑張ってみようとは思います」

A「やってみたいと思います」
B「やってみたいとは思います」

A「続けてみたいと思います」
B「続けてみたいとは思います」

A、Bどちらもほとんど同じ文章ですが、Aと比較してBは、「は」が入っています。
この「は」が入るだけでAと比較すると途端に「やる気のなさ」「100%全力を尽くす気がない」「上辺だけ」「本音じゃないよ、建前さ」という感じが際立ちます。

なぜでしょうか? 
===========引用終了

「途端にやる気がないように思える」ってフレーズに笑ってしまった。
 この「ハ」は【限定】と考えると判りやすいだろう。

A「頑張ってみようと思います」
B「頑張ってみようとは思います」
「頑張ってみようと思う」はそのままの意味。
「頑張ってみようハ思う」だと、その気があるけど、【あるだけ】。ほんとに「頑張ってみる」ことができるかは未知数。そりゃ覇気が感じられない。

 似たような言い方に下記がある。
C「頑張ってみようと思いハします」
 こちらも、思うけど【思うだけ】。そりゃダメだって。これはBよりもヒドい気がする。

【限定】も悪い意味だけではない。もっと元気いっぱいの場合もある。 
A「腹筋なら500回できる」
B「腹筋なら500回ハできる」
 これだと、Bでも覇気が感じられる。まあ限定しないAのほうが元気って気もするけど。


 以下は余談。
 格助詞の「ハ」にはいくつかの働きがある。
 かのベストセラー『日本語練習帳』は「ハ」お働きを4つに分けている。
===========引用開始
1)問題(topic)の下に答えを持ってくるよう予約する
2)対比
3)限度
4)再問題化  
===========引用終了

 説明はむずかしいだけでちょっとヒドいので、おすすめハ【限度……対比かも】できない。
 今回「ハ」は厳密に言うと「4)再問題化」だと思うけど、難しく考える必要はない。「3)限度」でいいだろう。
 一般的な「ハ」の用法のほとんど1)だけど、それだけでは説明できない例が出てくる。
 詳しくは下記をご参照ください。すんごく長い。勉強が好きな人にハ【対比かな】おすすめかも。
【チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編 〈1〉~〈7〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-592.html

 ちなみに名著の4分類にも入らない特殊な用法もある。これはホントに特殊なんで、別に考えるほうがよいだろう。
【「ハ」の用法 男は度胸、女は愛嬌 春はあけぼの 東京は浅草にやってまいりました〈1〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2177.html


【20170207追記】
 いかんなぁ。焦り気味で書くとボロボロだな。
〈格助詞の「ハ」〉って、いつから「格助詞」になったんだよ。じゃあ何助詞かって言うと、係助詞だろうな……メンドーなんで「助詞」って呼んでおく。文法音痴がバレバレ(泣)。まぁ、本題には関係しないからいいかっ。

 本題の「ハ」の働きを【限度】と言い切れるか否かは、実はけっこう微妙。
 念のため、辞書を再掲する。
https://kotobank.jp/word/%E3%81%AF-597777#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
===========引用開始
大辞林 第三版の解説


( 係助 )
〔現在では「わ」と発音する。助詞「を」の下に付くとき、「をば」となることがある〕
種々の語や文節、活用語の連用形などに接続する。多くの事柄の中から、一つのものを取り出して提示するのが本来の用法である。
①特に一つの物事をとりあげて提示する。 「お酒-ぼくが買う」 「食事-もうすんだ」
②題目を提示して、叙述の範囲をきめる。 「象-鼻が長い」 「ぼく-学生だ」 「今日-よい天気だ」
③二つ以上の判断を対照的に示す。 「行き-よいよい、帰り-こわい」 「親に-孝行、友人に-信義」
④叙述を強める。
㋐〔格助詞・副詞などに付いて〕 意味や語勢を強める。 「たいてい-、そのまま帰る」 「君と-もう会わない」
㋑〔動詞・形容詞の連用形、および助詞「て・で」に付いて〕 一続きの叙述の一部分を強調する。 「絶対に行き-しない」 「なるほど美しく-ある」 「少なくともわかって-いる」 「まだ書いて-いない」 「真実で-ない」
⑤〔「…(で)は…(だ)が」の形で〕 譲歩の気持ちを表す。活用語の連用形に付くこともある。 「雨も、降り-降ったが、ほんのわずかだ」 「ごめんどうで-ございますが」
⑥動作・作用の行われる条件・事態を表す。現代語では「ては」の形で用いられるが、古語では「ずは」「くは」「しくは」などの形をとることもある。 「不正があって-ならない」 「おこられて-大変だ」 「会社として-万全の備えをするつもりです」 「忘れて-夢かとぞ思ふ/伊勢 83」 「あらたまの年の緒お長くあひ見ず-恋しくあるべし/万葉集 4408」 「鶯の谷よりいづるこゑなく-春くることをたれかしらまし/古今 春上」 「恋しく-形見にせよとわが背子が植ゑし秋萩/万葉集 2119」 → ずは(連語) ・ ずば(連語)
⑦文末にあって、終助詞的に用いられる。体言や活用語の連体形に接続して、感動の意を表す。よ。「はも」「はや」などの形をとることがある。 「歯固めの具にももてつかひためる-/枕草子 40」 「あはれ、それを奉り鎮め給へりし-や/大鏡 道長」
⑧(文末にあって終助詞的に用いられ)話し手自身に対して、念を押すような気持ちでの詠嘆を表す。 「すはよい-とて追たそ/史記抄 3」 「又五十字、百字有る歌もあらう-さて/狂言・萩大名 虎寛本」 〔⑦ は上代では「はや」「はも」の形をとる。⑧ は中世以後の用法。近世では「わ」と表記されることが多くなり、現代語で主として女性が用いる終助詞「わ」の源流となる〕 → はや ・ はも(連語) ・ わ(終助)
===========引用終了

「再掲」してみてもそんなに大きくかわっているはずはなく、ほぼ記憶どおり。
『大辞林』の[4]は【限度】ではなく【強調】と考えている。このあたりは、どちらでもいいとも言える。
 その気ハあるけど、【あるだけ】 ……なら【限度】。
 一応頑張ってハみるけど、みるけどさぁ……なら【強調】。このあたりは【言い訳】のほうがピッタリだと思うが、辞書はよほどのことがないとそんな書き方はしない(笑)。

平成23年度「国語に関する世論調査」に対する疑問 失笑 失恋 失効 失念 失禁〈1〉〜〈3〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671

mixi日記2012年09月29日から

 下記の続き。
【「言葉遣いに気を使っている人」が8割超……噓おっしゃい(失笑)】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1871850778&owner_id=5019671

 文化庁の平成23年度「国語に関する世論調査」の結果が発表されたのが20日。いろいろ疑問を感じ、書こう書こうと思って書けずにいた。もう夏炉冬扇(どこのジジイだ)かと思ったが、29日の「天声人語」が扱っていたので、考え直して書いておく。

>「なにげなくそうした」ということを,「なにげにそうした」と言う
 で、文化庁様としては「なにげに」はまだ許容してないということでよろしいのでしょうか。下記の●●辞書の版元をご指導いただけませんか。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%92%E3%81%AB&dtype=0&dname=0na&stype=3&index=20456800&pagenum=1
================================引用開始
なにげ‐に【何気に】
《「何気ない」の「ない」を取り、形容動詞活用語尾「に」を付けて副詞化した語》⇒何気ない[補説]
================================引用終了

>「寝る前に歯を磨きます。その時に…」ということを,「寝る前に歯を磨くじゃないですか,その時に…」と言う
 これは例文が悪い。そもそも「寝る前に歯を磨きます。その時に…」って言い回しが使われるのはどういうときか考えましょうよ。「歯の磨き方」という解説書ならアリでしょうが、会話でこんな言い方しますか? 「~じゃないですか」を使う人でも、こんな妙な使い方はしないでしょう。

 以下、◎印が正解です。メンドーなのでデアル体で書く。

>煮え湯を飲まされる
>  (ア) 信頼していた者から裏切られる◎・・・・・・・・・・・・・・・・・64.3%
>  (イ) 敵からひどい目に遭わされる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23.9%
 うーん、微妙。当方は両方の意味で使えると思っていたような……。味方限定ですか。しかも「信頼」している。こういう言葉を自分で使うことはまずないからなぁ。ちなみに「敵から」ではなく「敵に」では。

>うがった見方をする
>  (ア)物事の本質を捉えた見方をする◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・26.4%
>  (イ)疑って掛かるような見方をする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48.2%
 これも微妙。当方の語感だと「うがった見方」は「深読みした見方」くらいの意味(妙な日本語だな)。ほぼ(ア)だろな。(イ)ってことはない。
 下記にある古い辞書の記述は興味深い。ただ、この記述が「疑って掛かるような見方をする」と通じるか否かはなんとも……。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7710167.html
 下記あたりだともう何が争点なのか……。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1494524579
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1494524484

>にやける 例文:彼はいつもにやけている。
>  (ア)なよなよとしている◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.7%
>  (イ)薄笑いを浮かべている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76.5%
 これには参った。個人的には「正用」の使い方は目にしたことがない。しかも「誤用」のほうはかなりの頻度で見聞している。ほとんど使われない言葉なら辞書の意味と合致していてもいなくてもあまり問題はない。でもこれは……。

>失笑する 例文:彼の行為を見て失笑した。
>  (ア)こらえ切れず吹き出して笑う◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27.7%
>  (イ)笑いも出ないくらいあきれる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60.4%
「笑いも出ないくらいあきれる」なんて解釈があることに驚く。「笑いを失う」と考えれば、そうとれなくもない。失格/失恋/失効……の仲間かも。以前、別の意味で「失笑」について教えてもらった。
【気になった言葉を挙げていきます】(226&243~245)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=12&comm_id=365263&id=2501635
 当方の語感では、「失笑する」は「こらえ切れず苦笑してしまう」くらいの意味。「吹き出し」はしない。

>割愛する 例文:説明は割愛した。
>  (ア) 不必要なものを切り捨てる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65.1%
>  (イ) 惜しいと思うものを手放す◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17.6%
 これも異和感がある。「割愛」をよく見るのは「紙面の都合で一部割愛する」のような例文。「手放す」よりも「(やむをえずに)省略する」に近い。

「天声人語」の全文は下記。
================================引用開始
2012年9月29日(土)付

 生まれては消え、消えては生まれ。うたかたのような言葉の中にも、生き延びて市民権を得るものがある。腹が立つ意味の「むかつく」もどうやら根を張ったらしい。日常会話で使う人が全体の約半数、30代までに限れば4分の3を超えるそうだ▼文化庁の国語世論調査は毎年、ひとしきりの話題を提供してくれる。今年の調べでは、「なにげなく」を「なにげに」と言う人が約3割いた。「正反対」を「真逆(まぎゃく)」、「中途半端でない」を「半端ない」がともに2割強と聞けば、言葉は生きものだと痛感する▼この手の言葉は、若者の間から生まれて、年かさの世代へ攻め上がる。年配層は眉間(みけん)にしわが寄るが、「真逆」も「半端ない」も16~19歳では6割以上が使っている。遠からず定着と相成るのだろう▼これを乱れと見るか、言葉の賑(にぎ)わいと見るか。茨木のり子さんに「日本語」と題する詩がある。〈制御しがたい奔流は/濁りに濁り/溌剌(はつらつ)と流れてゆくがいい/決壊を防ごうと たとえ百万人/力を併せて清潔なダムを作ってみても/そこに魚は住まないだろう〉▼茨木さんは別の随筆で、聞き苦しい言葉は無数にあると言いつつ、「いやな日本語を叩(たた)きつぶせば、美しい日本語が蘇(よみがえ)るというものでもないだろう」と書いていた▼曖昧模糊(あいまいもこ)を「あいもこ」、かくかくしかじかでを「かくしかで」――などと若者言葉は多彩だ。眉が八の字になりかけるが造語の才には脱帽する。頑迷にならず、迎合もせず、生きた濁流を眺めようか。
================================引用終了


失笑 失恋 失効 失念 失禁〈2〉  
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12244656755.html

 直接的には下記の続きだろうな。
【平成23年度「国語に関する世論調査」に対する疑問】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2518.html
 以下は一部の抜粋(重言)。
===========引用開始
>失笑する 例文:彼の行為を見て失笑した。
>  (ア)こらえ切れず吹き出して笑う◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27.7%
>  (イ)笑いも出ないくらいあきれる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60.4%
「笑いも出ないくらいあきれる」なんて解釈があることに驚く。「笑いを失う」と考えれば、そうとれなくもない。失格/失恋/失効……の仲間かも。以前、別の意味で「失笑」について教えてもらった。
【気になった言葉を挙げていきます】(226&243~245)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=12&comm_id=365263&id=2501635
 当方の語感では、「失笑する」は「こらえ切れず苦笑してしまう」くらいの意味。「吹き出し」はしない。
===========引用終了

 トピのやり取りを保全しておく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[226] 2008年05月28日 19:30

S
>225

(略)
それと、意外に思われるかもしれませんが、「失笑」には本来、「軽蔑して笑う」というニュアンスはありません。ほとんどの人が間違えていますので気をつけましょう。(^^;

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[243] 2008年05月30日 01:35

tobirisu

(略)
>225
>Sさん

>それと、意外に思われるかもしれませんが、「失笑」には本来、「軽蔑して笑う」というニュアンスはありません。ほとんどの人が間違えていますので気をつけましょう。(^^;

 あせり気味に辞書を確認しました。たしかにおっしゃるとおりですね。誰も食いつかないってことは常識……と考えてさらに汗が(泣)。
 ただ、「失笑を買う」とか「失笑を禁じえない」という慣用句の場合は「軽蔑して笑う」のニュアンスですよね。
 これは誤用が広まってからできた慣用句ってことでしょうか。

 恥をかくついでに質問をもうひとつ。
「失笑」の「失」ってどういう働きをしているのでしょうか。 
  1)うしなう……失格/失恋/失効など
  2)そこなう……失策/失言など
「失礼」あたりはどちらともとれる……。
 で、「失笑」は、「笑いをそこなう」?

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[244] 2008年05月30日 02:08

A
>243 2008年05月30日 01:35 tobirisu さん

(略)
>「失笑」の「失」ってどういう働きをしているのでしょうか。

「失禁」の「失」と同じだと思います。
「無意識に~してしまう」「~をとめられない」というところでしょうか。

とすると、今気づきましたが、
「失禁」って、「“禁”を禁じえない」のような、ちょっと面白い言葉かもしれません。

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[245] 2008年05月30日 02:27

A
追って気づきましたので、連投失礼します。

243 2008年05月30日 01:35 tobirisu さん
>「失笑を買う」とか「失笑を禁じえない」という慣用句の場合は「軽蔑して笑う」のニュアンス

いや、「失笑を買う」のほうは、本来の「失笑」を「されてしまう(ようなことをした)」ということで
意味は通ると思います。

「失笑を禁じえない」のほうは、言われてみれば、
本来の意味だとすると重複表現っぽくなってしまいますね。

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[246] 2008年05月30日 18:17

S
225で最初に「失笑」について書いたSです。

実はこれ、最近の「おバカブーム」「インテリブーム」「雑学ブーム」でその種のTV番組が乱立していますが、そういった番組のひとつで紹介されていたもので、私自身、それまでは誤解した意味で「失笑」を捉えていました。

「軽蔑して笑う」意味としては、「冷笑」というのがありますが、最近は「失笑」が幅を利かせていて、あまり耳にしません。
ただ、自分の感覚では「冷笑」には「とことん見下す」ニュアンスがあるのに対し、「失笑」(もちろん誤用としてですが)には「軽く見下す」ニュアンスがあって、そんなに悪くないと思っています。

「一生懸命」が本来「一所懸命」の誤用でありながらも、もはや主流になっているように、「失笑」も誤用の意味が定着してもそんなに悪くないんじゃないかなと思っています。

ついでに似たような事例を幾つか。

「姑息」に「ひきょう」や「ずるい」というニュアンスはありません。
「陳腐」に「古臭い」や「程度が低い」というニュアンスはありません。
「憮然」に「むっとして不機嫌になる」というニュアンスはありません。
「こじゃれた」に「ちょっとお洒落な」というニュアンスはありません。

全部最近のTVを観て自分の用法が誤っていたことを知らされた言葉です。

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失笑 失恋 失効 失念 失禁〈3〉  
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12244668613.html

 テーマサイトは下記。
【失笑の誤用の方の意味の熟語ってないですか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9620268.html
===========引用開始
文章を書くときに「呆れて笑いを失う、まったく笑えない」
みたいな状況を表したい事態によく直面します。
つい、失笑した…と書きたくなるのですが、それは誤用なので、
その間違った方の意味の熟語があれば教えて欲しいです。
===========引用終了

 まず「失」の働きを確認する。
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%B1-521044#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
===========引用開始
デジタル大辞泉の解説
しつ【失】
1 うしなうこと。損失。
2 あやまち。失敗。「利潤に耽るは商人の失」
3 きず。欠点。「学者の失は人を侮(あなど)る」
4 野球で、失策の略。エラー。「三失」「遊失」


しつ【失】[漢字項目]
[音]シツ(漢) [訓]うしなう うせる
[学習漢字]4年
1 なくす。うしなう。うせる。「失業・失点・失望・失恋/遺失・消失・焼失・喪失・損失・得失・紛失・忘失・滅失・流失」
2 うっかり出してしまう。「失禁・失言・失笑」
3 あやまち。しくじり。「失策・失敗/過失」 
===========引用終了

[漢字項目]のほうがわかりやすいだろう。『大辞泉』の[漢字項目]は、ちょっとした漢和辞典のように使える(「使えない」ことも多かった気がするけど)。
 うーむ。「うっかり出してしまう」か。これは「うっかり〜してしまう」でよいのでは。「うっかり禁を出す」って……。「うっかり出してしまう」だとほかにもいろいr……ぐゎ、何をするんだ。
 言うまでもなく、「失笑」の誤用は「1」の意味で解釈したのだろう。ただなぁ。〈1〉〈2〉で見た「国語に関する世論調査」だと6割超が誤用しているそうな。そんな●●がホントにそんなにいるんだろうか。

 それは別にして、本題。
「正用」の「失笑」の類語なら「苦笑」「苦笑い」「微苦笑」「薄笑い」あたりが近いかな。
「誤用」の「失笑」の類語は……熟語限定だと浮かばないorz。
「茫然(自失)」「唖然」あたりだろうか。
 ちょっと捻って「脱力」かな。
 熟語でなければ、「ドン引きする」「しらける」「呆れる」「言葉を失う」あたりだろうか。
「言葉を失う」つながりで「閉口(する)」もアリかも。

 こういう事態がさらに悪化すると、「失言」は「言葉を失う」こと、なんて珍解釈も出てくるのだろうか。なんだかなぁ。

総集編 【従来から 従来より 従来まで】

【伝言板 板外編5──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html

 いろいろあって、行きがかり上、「赤い本」の重言関係の記述を一部抜粋(これも重言)します。こんなにポロポロ抜粋して、お買い上げくださった読者の立場はどうなるんだ? 少しだけ胸が痛みます(←少しだけかよ!) でもね。重言に関する記述はこれだけじゃないの。

一応下記の続きです。
【重言の話2】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1003738264&owner_id=5019671


●頻繁に見かける重言・重言風の表現

【練習問題21】
 次の重言を修正するにはどうすればよいのか考えてください。
  1)だいたい60字ぐらい
  2)古来から
  3)第1回目
  4)まず第1に
  5)1階~3階までは

 ヘンな文章の原因になることが多い表現のひとつに、重言があります。重言はさほど大きな問題ではないので、文章自体がわかりにくくなるわけではありません。しかし、書き手の日本語力を疑われかねないので、注意が必要です。なかでも、1)~5)の重言は頻繁に見かけます。
1)の重言の修正案
  だいたい60字/60字ぐらい/約60字/60字前後
 ほかにも、いろいろな修正のしかたがあります。「だいたい〇〇ぐらい」は、「約〇〇前後」と似た印象の重言です。「だいたい〇〇ぐらい」のほうが目にすることが多いのは、言葉の響きがやわらかいために重言の程度が軽く感じられるせいでしょう。「だいたい〇〇ぐらいを目安に」という「三重言」と呼びたくなるような表現を目にしたこともあります。
2)の重言の修正案
  古来/古くから
 重言の例として指摘されることが多い用法で、同様の例としてあげられるのが「従来から」「旧来から」です。「来」の字に、時間的な始まりを示す「から」と同様の意味合いがあるため、重言になってしまいます(「から」のかわりに「より」を使う場合もあります。ほぼ同義なので、「から」に限って話を進めます。「から」と「より」に関しては★ページ参照)。
3)の重言の修正案
  第1回/1回目
 3)~5)はなぜ重言なのかを説明するのがむずかしく、「重言風の表現」とでも呼ぶべきかもしれません。
 3)の重言に関して、漢語表現の「第」と和語表現の「目」が併用されていること自体が不自然、という説明を見た記憶があります。いささか強引とは思いますが、妙に説得力を感じました。「第1回」でも「1回目」でもよいのに「第1回目」にするのは言葉がダブっている感じがするので、やはり重言と考えたほうがよさそうです。この「第」と「目」の例は、重言になるか否かを考えるときに応用できます。一方の言葉だけでも意味が通じるのに、両方の言葉を使っている場合は、重言ではないかと疑ってみるべきです。
4)の重言の修正案
  まず/第1に
「まず」だけでも「第1に」だけでも使えるのに、「まず第1に」とするのは重言でしょう。ちなみに、文章が「第2に……」「第3に……」と続く場合は「第1に」を使い、「まず」を使うなら、続きの文章は「次に」とか「さらに」とするべきです。
「第1に」が出てきて「第2に」が出てこない文章や、逆に「第1に」がないのにいきなり「第2に」が出てくる文章は、読み手を戸惑わせます。よく似た例でしばしば見かけるのは、「ひとつは……」という表現が出てきただけで、いつまでたっても「もうひとつ」が出てこない文章です。いずれも、「係り結ばず」の一種と考えられます。
5)の重言の修正案
  1階~3階は/1階から3階は/1階から3階までは
「~」は「から」の意味をもつ記号です。しかし、「1階~3階」と使った場合には、「から」だけではなく「まで」の意味も含むため、「1階~3階までは」は重言風の表現になります。同様の理由で、「東京~大阪間は」なども重言風の表現です。「1階から3階までは」が重言か否かはさらに微妙ですが、削除しても問題がないなら、「まで」は入れずに「1階から3階は」にするほうが無難でしょう。
 ちなみに、「1階~3階」と「1~3階」のどちらの書き方を選ぶかは趣味の問題でしかありません。個人的な感覚としては、「1~3階」のほうが簡潔な気がします。

●重言を修正しにくい例

【練習問題22】
 次の重言を修正するにはどうすればよいのか考えてください。
  1)消費者の立場にたって考える
  2)なぜ犯罪をおかすのか
  3)東日本が甚大な被害をこうむった

 重言の例として「馬から落ちて落馬する」という言葉が取りあげられることがあります。これは冗談に近いレベルなので、だれでも重言だと気づくでしょうし、修正するのもむずかしくありません。
【練習問題22】にした1)~3)も、つい使ってしまいがちな重言の例です。それぞれの文の動詞を漢字にして「立場に立って」「犯罪を犯す」「被害を被った」と書くと、重言であることがはっきりします。しかし、1)~3)の重言を修正するのは簡単ではありません。
1)の重言の修正案
  側に立って/立場になって/立場で/立場から
 これらの修正案は、いずれも「立場にたって」よりも語感が悪い気がします。つい重言を使ってしまう例が多い理由は、この語感の悪さです。原文が「消費者の立場にたって商品を開発する」なら、「立場を考えて」「立場を考慮して」など、修正の選択の幅が多少広がりますが、やはり語感は「立場にたって」より劣る気がします。
2)の重言の修正案
  罪を犯す/犯罪に走る
 ここであげた修正案は、あまりよい例とはいえません。「修正するにはどうすればよいのか考えてください」と問いかけておいてこう書くのは心苦しいのですが、修正するのが非常にむずかしい例です。「犯罪を犯す」と「罪を犯す」では、言葉のニュアンスが違ってきます。「犯罪」は刑法に背く行為で、「罪」は良心に背く行為という感じでしょうか。「犯罪に走る」なら意味はかわりませんが、大げさな印象になります。
3)の重言の修正案
  害を被った/損害を被った/被害を受けた/被害に遭った
 これもあまりよい修正案とはいえません。「被害」と「害」「損害」とでは、「犯罪」と「罪」以上に言葉のニュアンスが違っていると思います。「被害を受けた」は、厳密に考えると重言でしょう。「被害に遭った」は有力な修正案ですが、この例文の場合はしっくりしない気がします。
 言葉のニュアンスをかえずに重言を修正するためには、次のように書きかえる方法もあります。
  2)なぜ犯罪をおかすのか     →なぜ犯罪が生まれるのか
                  →なぜ犯罪が起きるのか
  3)東日本が甚大な被害をこうむった→東日本では甚大な被害が生じた
 ただし、2)の原文が「人はなぜ犯罪をおかすのか」のときには、この書きかえはできません。
 このように、書きかえができても語感が悪いことや、適切な書きかえがむずかしいことが、1)~3)の重言が使われることが多い理由になっています。


【Coffee Break】

重言に関する頭が痛くなりそうな話
 この重言に関する【Coffee Break】は、ほとんど言葉遊びに近い(これも重言です)ものなので、途中で頭が痛くなりそうになったら遠慮なく読み飛ばしてください。

●「特別な例外を除く」は「三重言」なのか
「犯罪を犯す」や「被害を被る」をつい使ってしまう理由は、ほかにもある気がします。まず、次の表現がなぜ重言なのか考えてください。
  ・特別な例外を除く
 この表現はかなり特殊なものなので、本文からははずしました。「三重言」の一種で、「だいたい〇〇ぐらいを目安に」よりも、「馬から落ちて落馬する」に近いものと考えられる表現です。
「だいたい〇〇ぐらいを目安に」は、「だいたい」「ぐらい」「目安」の3つの言葉が同じような意味なので、どの2つを組み合わせても重言になります。ところが、「馬から落ちて落馬する」は、「馬から落馬する」と「落ちて落馬する」は重言なのに、「馬から落ちる」は重言ではありません。同様に、「特別な例外を除く」は、「特別な例外」と「例外を除く」は重言なのに、「特別な例を除く」は重言ではなくなります。
 正確にいうと、「特別な例外」は重言風であって、重言とはいいきれません。「例外が特別なのは当たり前で、平凡な例外などはない」と考えれば重言ですが、「例外のなかでもとりわけ特別なものを指す」と考えれば重言にはならないからです。「きわめて特殊な例外」なら、強調表現であって重言ではない気がします。
「例外を除く」はよく目にする重言で、修正するには次のような書きかえが必要です。
  例外にする/例外と考える
 ここからが本題です。
 おそらく、「犯罪」「被害」「例外」が重言になりやすい理由のひとつは、「〇〇(を)する」「〇〇を行う」の形で使えないことです。「例外」の場合は「にする」や「と考える」の形なら使えますが、「犯罪」「被害」は、それすらも使えません。そのため、「犯罪を犯す」や「被害を被る」としてしまいがちなのではないでしょうか。
 たとえば、単語の構造が「被害」とよく似ている「負傷」は、「負傷する」の形があります。しかも、「傷を負う」としても「負傷する」と言葉のニュアンスがさほどかわりません。「負傷を負う」という重言をほとんど見かけないのは、このように適切な書きかえができるためです。

●「日ごろから」「ふだんから」は重言なのか
「古来から」(「従来から」「旧来から」も同様です)が重言であることは、かなり古くから指摘されています。しかし、つい使ってしまうのは、見た目と語感の問題が関係しているのではないでしょうか。
 次の3つの文を比べてみてください。
  1)この重言に関しては、古来多数の識者が指摘しています。
  2)この重言に関しては古来、多数の識者が指摘しています。
  3)この重言に関しては、古来から多数の識者が指摘しています。
 1)は「古来多数」と漢字が続くので見た目がよくありません(「多数」を「多く」にかえると、少しマシです)。「古来」の直後に読点を打ちたくなりますが、直前の読点と位置が近いことが気になります。かといって、2)のようにするのもヘンな感じです。3)のほうが見た目がずっとすっきりとしています。さらに問題なのは、「古来」よりも「古来から」のほうが語感がよいことです。読点の位置を意識しながら、1)~3)を音読してみてください。いちばん語感がよく感じられる(これも重言です)のは、3)のはずです。
「日ごろから」「ふだんから」にも、似たような問題があります。「から」をとって「日ごろ」「ふだん」にしても意味がかわらないので、重言風の表現です。この2つ言葉の場合は「から」がついてもつかなくても語感はさほどかわらない気がしますが、「日頃」「普段」と漢字で書くと、「古来」と同様に見た目の問題が出てきます。
 もちろん、見た目や語感がよいからという理由で重言を使うのは間違いです。しかし、本書で再三繰り返して(これも重言風です)いるように、多少ヘンでも語感のよい表現なら定着してしまう可能性があります。この場合は、「定着してしまう」ではなく「誤用がなくならない」とするほうが正確でしょうか。

●「第1号機」は重言なのか
 次の表現が重言か否か考えてください。
  ・第1号機目
  ・第1号機
「第1回目」が重言だとすると、「第1号機目」も重言になることはすぐにわかります。では、「第1号機」は重言ではないのでしょうか。
「号機」が「回」と同様に単位の働きをしているので、「第1号機」でも何も問題はなさそうです。しかし、たいていの場合は「第」を削除して単に「1号機」といっても文意に影響がなさそうなので、重言とも考えられます。さらに、「号機」が単位なら「1号機目」としてもよさそうですが、ややヘンな感じです。きわめて硬い語感の「号機」に、和語の「目」がつくからでしょうか。

 重言の問題を深刻に考えはじめると、文章が書けなくなってしまいます。本文で書いたように、重言があったからといって、文章がわかりにくくなるわけではありません。厳密に考えると重言ではないか、と思われる表現で許容されている例はいくらでもあります。あまり神経質にならずに、「重言っぽいな」と感じたら修正することを考えればよいでしょう。

【研究課題9】
 次の表現が重言か否か考えてください。
  おのずから/献身的に尽くす/自然の生薬/新発売/総称で呼ぶ/常日ごろ/
  排気ガス/みずから墓穴を掘る

●重言関連の話一覧
7)【重言の話1】(2008年07月30日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-284.html

8)【重言の話2】(2008年11月24日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-58.html

9)【伝言板 板外編4──重言の話3】(2008年11月25日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html

90)【重言の話4(第1稿)】(11月21日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-863.html


【追記】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A2%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5
================引用開始
範囲[編集]
波ダッシュは、範囲を表すために用いられる。
場所に対して: 東京~大阪
時間に対して: 5時~6時(もしくは5~6時)
数量に対して: 100人~150人(もしくは100~150人)
一般に、波ダッシュの前後の語を限界として含む(100人~150人の場合は、100人および150人を含む)。
日本語では、波ダッシュを「から」と読む。「……から……まで」のように、波ダッシュの後ろの語に「まで」を付けて読むこともある。
================引用終了

 音読するときに、〈波ダッシュの後ろの語に「まで」を付けて読む〉のはちょっとやりすぎの気がする。校正で「読み合わせ」をするなら、「5時~6時」は「5じから6じ」。もう少し正確にやるなら「5じなみだっしゅ6じ」だろう。



【板外編6】「起点のヨリ」と「比較のヨリ」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-685.html
「校正・校閲」のコミュで、非常におもしろいテーマのトピが立った。
【予て、予てより】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39339875&comment_count=7&comm_id=6251

 トピが立った当初から、どうコメントを入れればいいのか考えていた。満を持して(だからそれは誤用だって)コメントを入れることにしたが、とんでもなく長くなる気がしてためらいを覚えている。
 資料として、まず例によって「赤い本」からここに引いておく。
「予てから」と「予てより」はどう違うのか。

================================
●「起点のヨリ」はできるだけ使わない

【練習問題36】
 次のA群とB群の表現がどう違うのか考えてください。
  A群      B群
  駅ヨリ3分    駅カラ3分
  10時ヨリ営業  10時カラ営業

 A群で使われているヨリは、空間や時間の起点などを示す表現です(このような用法を「起点のヨリ」と呼ぶことにします)。「文章読本」のなかには、「起点のヨリ」は使わずにカラを使いなさい、と主張しているものがあります。理由は「意味がわかりにくくなる場合がある」とのことです。そういった記述を目にしたことがある人は、カラを使っているB群のほうがよい、と考えるでしょう。
【練習問題36】にあげた例では、ヨリとカラのどちらを使っても同じ意味ですし、少しもわかりにくくはありません。別の例で見てみましょう。

【練習問題37】
 次の故事に使われているヨリの働きを考えてください。
  1)花ヨリ団子
  2)栴檀(せんだん)は二葉ヨリ芳し
  3)青は藍ヨリ出でて藍ヨリ青し

 1)のヨリは、「AヨリBのほうが〇〇だ」のように、いくつかのものを比べるときに使います(このような用法を「比較のヨリ」と呼ぶことにします)。1)のヨリを「起点のヨリ」と誤解する人はいないでしょう。
 2)のヨリは「起点のヨリ」です。これは「比較のヨリ」ともとれるかもしれません。「比較のヨリ」と考えてしまうと、「栴檀(という植物)と二葉(という植物)を比べると、栴檀のほうが芳しい」ぐらいの意味になり、何をいいたいのかわからなくなってしまいます。
 3)は2種類のヨリが使い分けられている例です。少しまぎらわしいかもしれません。1つ目のヨリが「起点のヨリ」で、2つ目のヨリが「比較のヨリ」であることがわからないと、やはり意味がわからなくなってしまいます。
 このように、「起点のヨリ」が誤解される可能性があることはたしかです。しかしそのことを理由にして、「起点のヨリ」を使ってはいけない、とするのは無理があります。
 ここであげたのは特殊な例で、ふつうの文章中に出てくるヨリが「起点のヨリ」か「比較のヨリ」かまぎらわしい例は、ほとんどないからです。「カラよりもヨリのほうが語感がいい」と思うなら、「起点のヨリ」を使っても問題はありません。基本的には「起点のヨリ」を使い、どうしてもまぎらわしいときに限ってカラを使う、という方針でもよいでしょう。
 誤解のないようにお断りしますが、「起点のヨリ」を使うべきだ、とすすめているのではありません。「起点のヨリ」が原因で意味がわかりにくくなることはほとんどない、といいたいだけです。
 本書では、原則的に「起点のヨリ」を使っていません。「比較のヨリ」とまぎらわしいからではなく、「起点のヨリ」が文語調に感じられるからです。

【練習問題38】
 次の2つの表現の違いを考えてください。
  1)心ヨリお待ちしております
  2)心カラお待ちしております

 1)のヨリは、「起点のヨリ」です。1)と2)のどちらの表現を目にすることが多いでしょうか。おそらく、1)のほうが一般的です。
 1)と2)は同じ意味ですが、厳密にいうと、1)のほうがほんの少していねいな感じがあります。例文のような内容のときに1)が使われやすいのは、この「ほんの少し」の違いが重視されているからでしょう。
 文語調の言葉のほうが「立派に見える」印象があることは、すでに書いたとおりです。そのため、「起点のヨリ」はパンフレットの文章、あいさつ文、手紙文などでよく見ます。「ていねいに書こう」という気持ちが強い文章ほど、「起点のヨリ」を使うことになるようです。
 本書で「起点のヨリ」を使わないようにしているのは、そのほうが読みやすい印象になると思うからで、あくまでも感覚の問題にすぎません。決して「わかりにくいから使ってはいけない」表現ではないはずです。
================================

 その後、とあるサイトに下記のように書き込んだことがある。

================================
 ヨリとカラについて、手元にある資料から索いておきます。
 愛用している「朝日新聞の用語の手びき」の「慣用句」の使い方の注意に、次のように書いてあります(これは1986年発行の第22刷のポケット版です。現在のものは違っていると思います)。
 
【引用部】
 蛍光灯より冷たい光線が流れている
 この文は「冷たさ」を比較しているようにも受け取れる。場所・時間の起点を示す場合の助詞は「から」を使い、「より」は使用しない。同様に引用の出所を示す場合も「〇〇図鑑より」とはせず「〇〇図鑑から」とする。「より」は比較の場合だけに使う。

 この解説を信じて、基本的に「起点のヨリ」を使わずにきました。しかし、引用の出所を示す場合は「ヨリ」のほうが自然な気がして、例外にしています。ただ、ここであげられている例文が「比較のヨリ」と解釈できるか否かは微妙だと思います(個人的には、「起点のヨリ」としか思えません)。

 1998年にP社から発行された「文章読本」には、次のような例文が紹介されています(この本はあまりにも問題も多いので、名前は伏せます)。
「彼より、あなたが好きという手紙が来た」
「比較のヨリ」と解釈して、「彼とあなたを比較して、あなたのほうが好きである」という意味に誤解されかねないそうです。
 よく判らないのは、なんで「彼より、」と読点をつけたのか、ということです。読点があると、「起点のヨリ」としか読めません。読点を削除すると、たしかに「起点のヨリ」とも「比較のヨリ」ともとることは可能でしょう。しかし、受取人の性別を考えれば、その問題も解決されます。そんなことより、この例文はいかにも人工的で無理があります。といったことを考えると、「起点のヨリ」はまぎらわしい、という主張自体に無理がありそうです。

『理科系の作文技術』(木下是雄/中公新書/1981年9月25日初版)の149~152ページには、「私の流儀の書き方」が紹介され、次のように書かれています。
【引用部】
「よい」、「ゆく」、「より」、「のみ」は、私の語感では、話しことばとしてはもう死語になっているからだ。実をいうと私は「10時より午前の部の講演をはじめます」、「これより先、空港待合室では……」などと言われるとぞっとするのである。

 ちょっと補足します。この前には、「書きことばは話しことばとは明らかにちがう」としながら、「書きことばが話しことばに接近していく傾向があることも事実」とし、「その変化を先取りするほうらしい」木下氏は

  ……するほうがよい
  ……読んでゆくうちに
  8時より9時までのあいだ
  下地に膜をつけた場合と下地のみの場合とをくらべて……

 とは書かずに、それぞれ「いい」「いく」「から」「だけ」とするそうです(ただし、goの場合には「行く」と書き、読み方は読み手にまかせる)。
 ヨリとカラ以外に関しては賛成できない部分もありますが、ヨリとカラに関しては同感です。ほかの記述などを見ると、木下氏は1917年生まれとしては驚異的な若々しい言語感覚をもっていると思います。
================================

「古来から」「古来より」に関しては、下記の日記を参照してほしい。うーむ。どこまでも迷路にはまっていく。
【伝言板 板外編4──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1004398693&owner_id=5019671

【20120626追記】
【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)──予想していたことではあるが……。】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2415.html
================================引用開始
【引用部】
「もっていく」に対する「携行」、「買う」に対する「購入」、冒頭で見た「(包装を)開ける」に対する「開封」や、「だんだん」に対する「次第に」などの漢語系のもの、I-2で触れた「わたくし」なども改まり語の一種といえよう。やはり「だんだん」と同義の「漸く」のような、いわば優美な和語(雅語)にも一種の改まりの趣がある。「只今より……を開催いたします」というような「より」も──私自身の感覚では、「から」と言えば十分ではないかと思って聞くことも多いのだが──、「から」よりも改まった表現という気持ちで使われているのであろう。(P.377)
 漢語系の改まり語もあれば、和語(雅語)の改まり語もある。どちらがMAX敬語なんてことは一概に言えない。どちらかと言うと、漢語系のほうが多い気がするけど。
 さて、「から」と「より」の話。
【板外編6】「起点のヨリ」と「比較のヨリ」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-685.html
 同様の例に「で」と「にて」がある「(交通手段など)にて」「(場所)にて」あたりも当方の感覚では、〈「で」と言えば十分ではないか〉と思う。
 つい先日、似た例を思い出した。「工夫がされている」と「工夫がなされている」。これはこれでひとつのテーマになる気がする。
================================引用終了


【従来から 従来より 従来まで】Yahoo!知恵袋
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1844.html

mixi日記2011年03月09日から
 テーマサイトは下記。
【「従来までの」という言葉は二重言葉ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1157221871

 質問文を転載する。
================================
「従来までの」という言葉は二重言葉ですか?
「従来から」だと誤用になるようですが…
================================
 
 盲点をつかれたような気がする。
 とりあえず過去に書いたこと。

【伝言板 板外編5──重言の話3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-59.html
================================
2)の重言(古来から)の修正案
  古来/古くから
 重言の例として指摘されることが多い用法で、同様の例としてあげられるのが「従来から」「旧来から」です。「来」の字に、時間的な始まりを示す「から」と同様の意味合いがあるため、重言になってしまいます(「から」のかわりに「より」を使う場合もあります。ほぼ同義なので、「から」に限って話を進めます。「から」と「より」に関しては★ページ参照)。
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 下記も関係あるかな。
【板外編6】「起点のヨリ」と「比較のヨリ」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-685.html

 まず辞書をひいておく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%BE%93%E6%9D%A5&stype=0&dtype=0
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じゅう‐らい【従来】
以前から今まで。これまで。従前。「―の方式」「―定説とされてきた学説」
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 辞書を見れば明らかなように、「従来」(「古来」「旧来」も同様)は「まで」の意味合いを含む。
 したがって、「従来まで」は重言になる(誤用か否かは別問題)。
 類語から考えるに、これは「来」の働きだろう。
「から」の意味があるとは思っていたが、「まで」の意味もあるとは……。
「から」と「まで」の兼任ってことになると、↑の【伝言板 板外編5──重言の話3】でふれた「~」と同様ってことになる。
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5)の重言(1階~3階までは)の修正案
  1階~3階は/1階から3階は/1階から3階までは
「~」は「から」の意味をもつ記号です。しかし、「1階~3階」と使った場合には、「から」だけではなく「まで」の意味も含むため、「1階~3階までは」は重言風の表現になります。同様の理由で、「東京~大阪間は」なども重言風の表現です。「1階から3階までは」が重言か否かはさらに微妙ですが、削除しても問題がないなら、「まで」は入れずに「1階から3階は」にするほうが無難でしょう。
 ちなみに、「1階~3階」と「1~3階」のどちらの書き方を選ぶかは趣味の問題でしかありません。個人的な感覚としては、「1~3階」のほうが簡潔な気がします。
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【従来から 従来より 従来まで】〈4〉? 辞書
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12242209104.html

「従来から」はやはり重言なんだろう。
「従来より」も同様になる。「従来まで」はちょっと違うが、まあ同じ扱いでよいと思う。
「朝日新聞の用語の手びき」(1986年発行の第22刷のポケット版)の記述はとっくに引用したと思ったが、別の話だった。「誤りやすい慣用句」(P.475)に下記の記述がある。
===========引用開始
従来から(より)→ 従来
「従来」だけで「以前から今まで」。「から」「より」は不要。「古来から」も重言。
===========引用終了

『記者ハンドブック』(第13版/共同通信社)の「誤りやすい語句」にはこのテの記述はない。こちらは本編とも言える「用字用語集」に注意書きがあった。 
===========引用開始
じゅうらい 従来
〔注〕「従来から」は重複表現。 
===========引用終了

 ちなみに、第12版も同様だけど、第6版だと微妙に違う。
===========引用開始
じゅうらい 【誤】従来から・より→ 従来
===========引用終了
【誤】は原本では丸つきの「誤」。「誤った表現」の意味らしい。
 
 昔は「誤用」だったけど、現代では「重複表現」だから「誤用」ではないと考えているのだろうか。それとも「重複表現」も「誤用」の一種なんだろうか。そんな微妙な話はどうでもいい。こういう辞書類の版の違いを調べだすとキリがない。
 新聞系では「使わないほうが無難」にしているのだろう。
 ただ、「から」をとると語呂が悪くなることがあるのも事実で……。「従来からある方式」あたりを「従来ある方式」にするのはためらいを感じる。まぁ、「従来の」にすれば済むんだけど。
 雑学本の類いでは、たぶん重言(重複表現)としていると思う。信頼のおける資料がないものか、と探していた。
 灯台下暗しと申しましょうか……。Web辞書にはなんの記述もないと思っていたが、こういう探し方ができるんだった。もっと早く気づけよ。
 ほかの語句の説明中に出てくる「従来から」。『大辞泉』『大辞林』を合わせて24例。こんなにあるのか……。
http://dic.search.yahoo.co.jp//dsearch?p=%E5%BE%93%E6%9D%A5%E3%81%8B%E3%82%89&stype=full&dic_id=jj&ei=UTF-8&b=1

「従来より」。『大辞泉』『大辞林』を合わせて8例。ただしそのうち7例は「比較のより」だろう。
http://dic.search.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%BE%93%E6%9D%A5%E3%82%88%E3%82%8A&dic_id=jj&stype=full&b=1

 これだけ使っていて、「従来より」を否定する記述が付け加えられたら笑える(黒笑)。
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