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「ガ、」の修辞学 総集編〈1〉〜〈3〉

「ガ、」の修辞学〈1〉

 下記の仲間。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
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mixi日記2009年12月16日から

【伝言板】の仲間でもある。
【総索引】
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 あんまり使いたくない札だったけど、ちょっと事情があって。
「ガ、」「が、」「~ガ、」「~が、」……どう表現してもいい。本家の清水読本は「が」と表記しているが、これはちょっと違うと思う。

 まずは「赤い本」から引く。
 これは読点の打ち方の一部に当たる。詳細は下記を参照してほしい。
【伝言板 板外編2──読点と使い方の2つの原則と6つの目安】
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6)一文の中に「ガ、」は2回使わない

 これは目安ではなく、「絶対に使ってはいけない」と書きたいぐらいです。
 たとえば、次の文を見てください。

 〈原文3〉
 接続助詞の「ガ」に関してですガ、これは「逆接」の意味で使われることが多いのですガ、ほかにもいくつかの働きがありますガ、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。

 こんな文を書く人は少ないかもしれませんが、座談会などの発言を忠実に文字にすると、このような感じになっていることは珍しくありません。これは、あまり断言調で話してはいけない、という意識が働くためのようです。文章を書く場合にも、あらたまった感じで書こうとして肩に力が入ると、「ガ、」が目立ってしまうことがあります。
〈原文3〉に出てくる「ガ、」は、「関してですガ、」と「ありますガ、」が「順接のガ、」(表記がわずらわしいので、以後は「留保・抑制」の「ガ、」も含めてこう呼びます)で、「多いのですガ、」が「逆接のガ、」になりそうです。「順接のガ、」は、できるだけ使わないほうが文章がすっきりした感じになります。たとえば、次の〈原文4〉と〈書きかえ文4〉を比べてみてください。

 〈原文4〉
 接続助詞の「ガ」に関してですガ、これは多くの場合「逆接」の意味で使われます。
 〈書きかえ文4〉
 接続助詞の「ガ」は、多くの場合「逆接」の意味で使われます。

〈原文4〉でもさほど問題はないと思いますが、特別な理由がない限り、おすすめはできません。〈原文4〉がまだ許容されるのは、一文が短いからです。これが長い文になって「順接のガ、」がいくつもあり、〈原文3〉のように「逆接のガ、」まで出てくると、読み手が戸惑います。
〈原文3〉は次のように書きかえるべきです。〈書きかえ文3-1〉のように「順接のガ、」を消すだけでもマシになります。ただし、この場合は文が少し長いので、〈書きかえ文3-2〉のように分割するほうがわかりやすいはずです。

 〈書きかえ文3-1〉(「順接のガ、」を消した例)
 接続助詞の「ガ」は、「逆接」の意味で使われることが多いのですガ、ほかにもいくつかの働きがあり、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。
〈書きかえ文3-2〉(文を分割してわかりやすくした例)
 接続助詞の「ガ」は、多くの場合「逆接」の意味で使われます。しかし、ほかにもいくつかの働きがあり、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。

 一文の中に「逆接のガ、」が2回以上出てくる文は、たいていの場合、論旨が混乱している「悪文」の一種です。論旨を整理したうえで、書き直さなければなりません。「順接のガ、」と、「逆接のガ、」が一文の中に混在すると、「ガ、」の役割がわかりにくくなり、やはり論旨が混乱しているような印象になります。
 もうひとつ、気をつけなければならないのは、主語の働きをする言葉につくガです。次の用例を見てください。

 a タメになることガ、たくさん書かれている本です。
(ガの直後の読点はなくても構わないが、ほかに読点がないので、打っても問題はない)
 b タメになることガたくさん書かれているので、読んだ人ガ必ず感銘を受ける本です。
 (「タメになることガ」の直後に読点を打つのはヘン。「読んだ人ガ」の直後は読点を打っても悪くはないが、打たないほうがいい)
 c タメになることガたくさん書かれているので、読んだ人ガ必ず感銘を受ける本ですガ、一般の書店には置かれていません。
(一文が長くなって、「逆接のガ、」が出てくる文の場合は、ほかのガの直後には読点を打たない。この文の場合は2つに分割するほうがよさそうだが、もし分割しないのなら、これ以上の読点を打ってはいけない。むしろ、「書かれているので」の直後の読点も取ってしまうほうがわかりやすくなる)
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 この段階ではきわめて基本的なことしか書いていない。
 深く掘り下げる気がなかったし、書き手もそこまで深みにはまっていなかった。
 その後病状は悪化した。読書感想文集から引く。
 こういう話を真剣に読むと激痛の頭痛が痛くなるので、危険を感じたら無視してほしい。「ガ、」にはいくつかの種類があることと、多用するのは(とくに長い一文では)避けたほうがいいことだけを覚えておいてほしい。
 まず、この「ガ、」の話の原点とも言える清水幾太郎『論文の書き方』(略して「清水読本」)の読書感想文から。

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【引用部】
 では、「が」が一般にどういう意味で用いられているか。用途の全体を網羅することは思いも寄らないが、若干の重要な用途を挙げてみると、第一に、「しかし」、「けれども」の意味がある。前の句と多少とも反対の句が後に続く場合である。反対の関係が非常に強い時は、「にも拘らず」の意味に使われる。第二に、前に句から導き出されるような句が後に続く場合に、「それゆえ」や「それから」の意味で用いられる。第三に、反対でもなく、因果関係でもなく、「そして」という程度の、ただ二つの句を繋ぐだけの、無色透明の使い方がある。このほかにも多くの用法があるけれども、差当って、この三者だけを見ても、「が」用途が甚だ広いこと、従って、これが甚だ便利な言葉であることは判る。(p.53)

 第III章のテーマは〈「が」を警戒しよう〉。この記述は広く知られ、多くの文章読本が同様のテーマを扱っている。後世への影響力という点では、「第2章2」で紹介した谷崎読本の接続詞に関する記述と双璧かもしれない。接続詞に関しては、やはり「第2章2」で紹介した清水読本の記述のほうがよほど説得力があると思うが、なぜかあまり注目されていない。
 それはさておき、接続助詞の「が」について見ていきたい。「が」という表記に異和感があるので、以下は「ガ、」と書くことにする(「が」だけだと、主語などを示す格助詞の「が」と区別がつかない)。
 この問題は、個人的にとても興味がある。単なる書きグセなんだろうガ、「ガ、」を使うことが多いからだ。「ガ、」を警戒しなければならないのは正論だガ、実践するのは簡単なことではない。「ガ、」を減らせと書いてある文章読本は多いガ、キッチリと解決策を示しているものはほとんどない……と人工的に「例」を作ってみたガ、「ガ、」を含む文が続くと相当みっともない。
 本書は「ガ、」を3つに分けているガ、〈第二〉と〈第三〉とはどう違うのだろう。いろんな例は出てくるガ、どうもピンと来ない(いくらなんでもしつこいのでもうやめる)。こういうときこそ具体例が欲しい。
 ハッキリしないので、ほかの文章読本を見てみる。

【引用部】
「が」という接続詞の働きには、逆接と順接の2種類がある。逆接とは、「しかし」と同様に「が」の前後で逆の内容を述べるものだ。短い文であれば、逆接の「が」を使っても特に問題はない。一方、順接とは、「それで」や「~ので」と同様に、単純な前後関係を述べるものだ。不用意に「が」を使うと、文脈から順接か逆接かを判断するよう読み手に強いることになる。このため、順接の「が」を使った分は2つに分けた上で、適切な接続語句を補うのがよい。(日経BP社出版局監修『説得できる文章・表現200の鉄則』p.45)

 このあとで、次の【原文】と【修正文】をあげている(体裁と一部の表記はかえている)。
【引用部】
1)「逆接のガ、」を使った長い文を2つに分割
【原 文】現在のシステムでも、輸送サービスの構成要素をひとつひとつシステムに反映させていくことで、やがては問題を解決できるかもしれないガ、膨大な手間とシステム開発費用がかかる。
【修正文】現在のシステムでも、輸送サービスの構成要素をひとつひとつシステムに反映させていくことで、やがては問題を解決できるかもしれない。しかし、膨大な手間とシステム開発費用がかかる。
2)「順接のガ、」を使った文を2つに分割
【原 文】工程表は必要な工程の種類に合わせて作成するガ、以下のような書式を準備しておくと便利である。
【修正文】工程表は必要な工程の種類に合わせて作成する。例えば、以下のような書式を準備しておくと便利である。

 この記述を踏まえて清水読本を読み直すと、〈第二〉も〈第三〉も「順接のガ、」だろう、って気がする。まあ、あまり厳密に考えてもしょうがないか。
「逆接のガ、」が長い文の中に出てきたときには、分割して逆接の接続詞を使ったほうがいい。〈短い文であれば、逆接の「が」を使っても特に問題はない〉ことは、前にも書いたとおりだ。
 一方、「順接のガ、」はできるだけ避けて、文を分割したほうがいい。ここで見た【修正文】では〈例えば〉を使っているガ、どんな接続詞を使うのかはケース・バイ・ケースだ。接続詞を使わずに、単純に分割すればいいことも多い(この【修正文】も、接続詞の〈例えば〉はなくてもいいかもしれない)。分割しないで少し書きかえれば済むこともある。いずれにしても、「順接のガ、」は一文が短い場合でも避けるのが原則。一文が長い場合は避けるのが鉄則、ぐらいのことは書いてもバチは当たらないだろう。
 結論を書くと、一文が長い場合は「逆接のガ、」であっても「順接のガ、」であっても「ガ、」は極力使わないほうがいい、ってことになる。一文の中に「ガ、」が2回以上出てくるのは論外。「ガ、」を使う文が2つ続く、なんてのも避けたほうがいい。
 ここで「ガ、」の話は終わらせてしまえればラクなのだガ、そうはいかない。ここから先は相当メンドーな話になるので、覚悟してほしい(読み飛ばして先に進むって選択肢もある)。
「ガ、」には、基本的に「順接のガ、」と「逆接のガ、」の2種類がある。そのほかに、どちらとも考えにくい「曖昧のガ、」とでも呼ぶべきものがある。厳密にいうと、もうひとつ「仮定のガ、」とでも呼ぶべきものもあり、「雨が降ろうガ、ヤリが降ろうガ、……」のような使い方をする。この「仮定のガ、」はホントに特殊なもので、めったに出てこない。書きかえるのも簡単で、気に入らないなら「雨が降っても、ヤリが降っても、……」とでもすればいい。
 では、「曖昧のガ、」がどんなものなのか、例をあげて見てみよう。

1)意味的には逆接の「曖昧のガ、」
【原文1】
 考えがまとまりきっていないガ、書いてみよう。
 この「ガ、」が「順接のガ、」ではないことは明らかだ。じゃあ「逆接のガ、」と考えて分割してみよう。
【書きかえ文1】
 考えがまとまりきっていない。しかし、書いてみよう。
 分割した2つの文が短すぎて不自然に感じられるので、「逆接のガ、」と考えるのも無理がありそうだ。ただし、意味的には「逆接のガ、」とほとんどかわらないことは、少し書きかえるとハッキリする。
【原文2】
 この問題に関しては考えがまとまりきっていないガ、現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
【書きかえ文2】
 この問題に関しては考えがまとまりきっていない。しかし、現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
 このように「ガ、」の前後が長くなると、フツーの「逆接のガ、」になる。どうやら、「ガ、」の前か後ろかが短いと、「逆接のガ、」のように分割すると不自然になるらしい。文全体はソコソコ長くても、「ガ、」の前か後ろのどちらか一方が短いと、「逆接のガ、」が「曖昧のガ、」になってしまう。次の【原文3】と【原文4】で確認してほしい。
【原文3】(「ガ、」の後ろが短くて「曖昧のガ、」になっている例)
 この問題に関してはいろいろな例外もあり、単純に見えて意外に複雑なので考えがまとまりきっていないガ、書いてみよう。
【原文4】(「ガ、」の前が短くて「曖昧のガ、」になっている例)
 考えがまとまりきっていないガ、この問題に関していくつかの例を示しながら現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
 ただし、この【原文3】と【原文4】は人工的に作った「例」で、実例はあまり見かけない。数少ない実例に出合ったら、文全体があまりにも長くなるときだけ、書きかえればいい。「ガ、」の部分で分割して、短いほうに少し言葉を加えればいいだろう。

2)意味的には順接の「曖昧のガ、」
「順接のガ、」も、「ガ、」の前か後ろのどちらか一方が短いと分割するのがむずかしくなり、「曖昧のガ、」になってしまう。たいていの場合は、ちょっと書きかえれば「ガ、」を消すことができる。しかし、書きかえ方はケース・バイ・ケースなので、簡単には説明できない。いちばん一般的なのは、「~に対する私の意見だガ、……」「次に~についてだガ、……」みたいな用法。この場合は、「だガ、」を「は、」にすればいい。
 問題は、簡単には書きかえることができないケースだ。たとえば、前に「第2章3」で作った次の文にも、2)の「曖昧のガ、」が使われている。
【原文5】
 やってみればわかるガ、「天声人語」の文章みたいになる。
 前に見たように、接続詞を使わずに単純に分割できなくはないガ、かなり言葉足らずになる。「曖昧のガ、」を避けたいのなら、次のように書きかえることになる。
【書きかえ文5-1】(最小限の書きかえで「ガ、」を消した例)
 やってみればわかるように、「天声人語」の文章みたいになる。
【書きかえ文5-2】(大幅に書きかえて「ガ、」を消した例)
 (実際に)やってみると、「天声人語」の文章みたいになることがわかる。
 できれば書きかえが最小限の【書きかえ文5-1】をすすめたいガ、なんかヘンな気がする。【原文5】のままか、【書きかえ文5-2】のほうが自然だろう。
 2)の「曖昧のガ、」は、いろんな形があり、使わないことを徹底するのはむずかしい。「とてもじゃないガ、説明できない。」なんて文になると、無理に書きかえるとニュアンスが大きくかわってしまう。
 1)も2)も簡単には分割できない。書きかえるのもむずかしそうなら、「曖昧のガ、」を使うほうが自然だろう。ただ、ひとつだけ気をつけたほうがいいことがある。1)と2)の「曖昧のガ、」は、文頭に「前置き」みたいなニュアンスのことを書くときに使うことが圧倒的に多い。使った場合は、後ろがあまり長くならないようにすること。この点にさえ注意していれば、さほど神経質になる必要はない。

3)逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」
 まったく別の「曖昧のガ、」の例もある。「逆接のガ、」とも「順接のガ、」とも考えにくいものを全部まとめて「曖昧のガ、」なんて呼んでいるから、こういうことになる。
【原文6】
 小林はクリームパンを食べたガ、中村はカレーパンを食べた。
 この「ガ、」は「逆接のガ、」とも「順接のガ、」とも考えられる。それぞれの形に書きかえてみよう。
【書きかえ文6-1】(「逆接のガ、」と考えた場合)
 小林はクリームパンを食べた。しかし、中村はカレーパンを食べた。
【書きかえ文6-2】(「順接のガ、」と考えた場合)
 小林はクリームパンを食べた。そして、中村はカレーパンを食べた。
 なんでこんなことになるのかはわからない。さすが「曖昧のガ、」ってことにしておこうか。どちらの意味になるのかは、文脈しだいだ。文脈しだいでどちらにもとれるのはやはりわかりにくい文なので、避けたほうがいい。使うとしたら、文脈で明らかに逆接とわかる場合に限るべきだ。順接の意味なら、「食べたガ、」ではなく「食べ、」ぐらいにしておけばいい。3)の「曖昧のガ、」に関しては、これが最も基本的な対処法だ。もちろん、文を分割する方法もある。
 これ以上ウダウダ書いているとなんの話をしているかわからなくなるので、清水読本の話に戻る(もう手遅れかな)。

 本書では、「ガ、」の曖昧さを示すために次の例をあげ、両方が成り立つとしている。
  1)彼は大いに勉強したガ、落第した。
  2)彼は大いに勉強したガ、合格した。
 この例文をそのまま引用している文章読本を見ることがあるガ、そんなに好例とは思えない。1)が「逆接のガ、」で、2)が「順接のガ、」なんだろう。「ガ、」が逆接にも順接にも使えるのはたしかだガ、2)は日本語としてヘンなのでは。自然な日本語にするには、もう少しヒネる必要がある。
  1)-2 彼はすべてを犠牲にして勉強したガ、その努力はムダになった。
  2)-2 彼はすべてを犠牲にして勉強したガ、その努力はムダではなかった。
 ここまで変形してしまうと、2)-2は「順接のガ、」ではなくなってしまう気がする。先に見た例と同様で、2通りの書きかえができる。
【書きかえ文2)-2-1】(「逆接のガ、」と考えた場合)
 彼はすべてを犠牲にして勉強した。しかし、その努力はムダではなかった。
【書きかえ文2)-2-2】(「順接のガ、」と考えた場合)
 彼はすべてを犠牲にして勉強した。そして、その努力はムダではなかった。
 やはり2)-2は、逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」と考えるべきだろう。ただし、この場合は順接にするために「基本的な対処法」を使うのはむずかしい。「勉強したガ、」を「勉強し、」にすると、ちょっとヘンだ。次のように書きかえることになる。
【書きかえ文2)-2-3】(「順接のガ、」と考えた場合)
 すべてを犠牲にして勉強した彼の努力は、ムダではなかった。
 とにもかくにも、一文が長いときには「ガ、」を使わないほうがいい、ってことは間違いない。一文がさほど長くなくても、意味が曖昧になるときには「ガ、」は極力使わないほうがいいのだろう。書いているほうも頭が痛くなってきたので、とりあえず「ガ、」の話からは離れる(あとでもう少しだけ書くが)。
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 さらに病状は悪化する。
 次は、野口悠紀雄『「超」文章法』の読書感想文から。

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【引用部】(一部の表記をかえている)
「曖昧接続の『……が』を使うな」という忠告がある。「曖昧のガ、」とは、つぎの文中の「ガ、」のようなものである。
  「彼は頭はよいガ、走るのも速い」というような表現がよく使われるガ、この
  「ガ、」は明確な意味を持たない。頭のよい人は必ず遅いというなら、この
  「ガ、」は〈しかし〉の意味になるガ、そうとも限らない。
「曖昧のガ、」を使うと、論理関係がはっきりしなくとも文を続けられる。そこで、非常に頻繁に使われる。
「作文の際の留意事項だガ、最も重要なのは、曖昧表現しないことだ」
というように。
「〈曖昧のガ、〉を排除せよ」という注意は、正しい。ただし、これは正論である。正論の常として、息がつまる。一度、「曖昧のガ、」をまったく使わずに本を一冊書いたことがあるガ、息がつまった。「死ぬまでに一度たっぷりつゆをつけてそばを食いてえ」という気持ちがよくわかった。ただし、一つのパラグラフに三度以上は現れないようにしたい。
 私が初めて「〈曖昧のガ、〉を使うな」という注意に接したのは、清水幾太郎の『論文の書き方』である。しかし、いまこの本を読み直してみると、「曖昧のガ、」が何度も出て来る。「私が言うとおりにせよ」と注意するのは簡単だガ、「私がするとおりにせよ」と示すのは至難のわざだ。(p.210~211)

 お待たせしました。「曖昧のガ、」の話の続きです(誰も待っちゃいないか)。
 引用部の最後から2行目の「簡単だガ、」の「ガ、」に傍点がついているのは、「このように」ぐらいの意味だろう。残念でした。これは「曖昧のガ、」ではなく、「逆接のガ、」の可能性が高い。フツーに「。しかし」に書きかえられる。数行前の「書いたことがあるガ、」の「ガ、」は、意味的には順接の「曖昧のガ、」。書きかえるなら、「書いたところ、」ぐらいか。
 本書はこういう「技」をいくつか使っているガ、ここはちょっとスベったみたい。文章読本の中では、このテの「技」をよく見かける。気持ちはわかる。あんなシンキ臭い文章を書いていると、少しは息抜きもしたくなるって。なかには、盛大にスベっている例もある。ユーモアをはき違えてる例も多い。そんなことをしなくても、大丈夫なのにね。大マジメに書いてギャグになってるとこがたくさんあるんだから。
 さて、「曖昧のガ、」の話だ。引用部の例文には、「ガ、」が3回出てくる。

1)彼は頭はよいガ、→逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」
「彼は頭はよい。しかし、走るのも速い」の意味にもとれるし、「彼は頭はよい。そして、走るのも速い」ともとれる。どっちの意味になるかは文脈しだいだ。たとえば、「頭のよい人はたいてい運動が苦手だ」みたいな流れだったら、「逆接のガ、」になる。
 一方、「天は二物を与えず、が当てはまらない人もいる」みたいな流れなら、「順接のガ、」になる。ただし、その場合はこんな文を書くヤツが悪い。順接の意味なら、「よいガ、」を「よく、」とか「よいうえに、」ぐらいにするほうがずっと自然だ。その場合は「頭は」ではなく、「頭も」のほうが自然かもしれない。

2)よく使われるガ、→逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」
 1)で見たものとはちょっとタイプが違うガ、やはり逆接・順接のどちらにもとれる。「ガ、」を「。しかし、」に書きかえれば逆接になる。1)と違い、順接と解釈して「。そして、」に書きかえるとヘンになる。「。」に書きかえるなら、少しマシかもしれない。次のように書きかえれば、もう少しマシになる。
【修正案】
「彼は頭はよいガ、走るのも速い」というような表現でよく使われる「ガ、」は、明確な意味を持たない。

3)意味になるガ、→意味的には逆接の「曖昧のガ、」
 ちなみに、「作文の際の留意事項だガ、」の「ガ、」は、意味的には順接の「曖昧のガ、」。この場合は、「だガ、」を「は、」にすると、直後の「重要なのは、」と「は、」が重複するのでヘンになる。書きかえるなら、「のなかで」(もしくは「として」)ぐらいか。
 こうやって例をあげて考えていくと、「曖昧のガ、」の話はやはり相当むずかしい。あまり深入りしないほうがいいのかもしれない。
 それはさておき、最後の一文は、すべての文章読本の書き手が肝に銘ずるべき至言。
〈「私がするとおりにせよ」と示す〉ことを少しでも意識してくれたら、もうちょっとわかりやすい文章になると思う。自分でも守れないようなムチャな心得を、ズラズラと並べたてたりもしないはずだ。
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【続きは】↓
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 やはりどうしたって下記あたりと関連してくるんだろうな。
【第2章2】接続詞
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-76.html
【第2章3】一文の長さ
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-80.html
【第2章4】句読点の打ち方
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html


■総索引&文章の書き方
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「ガ、」の修辞学〈2〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
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mixi日記2012年04月23日から
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 下記の続き。
【「ガ、」の修辞学】
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 Yahoo!知恵袋の質問に答えたところ、【補足】の質問をいただいた。
 いろいろ考えるところがあり、改めて「曖昧のガ、」について考えてみたい。
【やっぱり曖昧接続の「ガ」が分かりません……。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1285892422
================================引用開始
2つ目は微妙です、とはどういうことです? ブログでは『逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」』と記載。私も2つ目の「ガ」を、逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」だと、理解し納得しました。
ブログを拝見して納得がいかないことは→意味的には逆接の「曖昧のガ、」とか意味的には順接の「曖昧のガ、」という概念です。意味的に逆接とか順接とか分かれば、それはもう「曖昧のガ、」ではなく、逆接であり順接だと。
================================引用終了

 基本的な考え方として、接続助詞の「ガ、」の働きは「逆接のガ、」と「順接のガ、」の2種類に大別できることを前提にしたい。この考え方している書籍を目にすることがある。気になる人は↑の【「ガ、」の修辞学】を参照してほしい。あるところで「逆接」や「順接」は術語(専門用語)だという指摘を受けたが、当方は専門家ではないのでそんなに厳密な意味では使っていない。フツーの辞書に出ている程度の意味で使っている。
 ただ、細かく見ていくと、文脈によって「逆接」にも「順接」にもなるものがある。これは「曖昧のガ、」などと呼ばれる。
 通常はこの3分法でいいと思う。
 当方は書きかえ案を考えることを重視しているので、機械的な書きかえのできないものも「曖昧のガ、」にしている。【「ガ、」の修辞学】では暫定的に「曖昧のガ、」を3つに分けている。こう考えたほうが「ガ、」のもつ曖昧さを排除してわかりやすい文に書きかえるにはわかりやすと思うからだ。
 ……この分類法自体を見直す必要があるかもしれない。

【補足】の質問について考えてみる。質問は2つあるようだ。
  質問1)2つ目は微妙です、とはどういうことです?
「2つ目」とは、【「ガ、」の修辞学】で引用した下記の例文の「使われるガ、」のこと。
  「彼は頭はよいガ、走るのも速い」というような表現がよく使われるガ、この
  「ガ、」は明確な意味を持たない。
 これは質問者の理解で間違いない。〈逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」〉だろう。ただ、「。しかし、」にはできても「。そして、」にはしにくい。【「ガ、」の修辞学】にも下記のように書いた。
================================引用開始
「。そして、」に書きかえるとヘンになる。「。」に書きかえるなら、少しマシかもしれない。次のように書きかえれば、もう少しマシになる。
【修正案】
「彼は頭はよいガ、走るのも速い」というような表現でよく使われる「ガ、」は、明確な意味を持たない。
================================引用終了
 書きかえの法則から外れる(理由は不明)ので、〈逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」〉とはちょっと違うと判断したので「微妙」という書き方をした。
 3分法なら、「曖昧のガ、」で問題はない。

質問2)意味的には逆接の「曖昧のガ、」とか意味的には順接の「曖昧のガ、」という概念です。意味的に逆接とか順接とか分かれば、それはもう「曖昧のガ、」ではなく、逆接であり順接だと。
 これも質問者の理解で間違いない。「分類」を重視するなら、そのとおりだと思う。
 ただし、「書きかえ方」を重視するなら、機械的に「。しかし、」にかえられる「逆接のガ、」と、〈意味的には逆接の「曖昧のガ、」〉は分けて考えるほうがいい気がする。〈意味的には順接の「曖昧のガ、」〉も同様。


●Web辞書『大辞林』の記述から
 基本に戻って、接続助詞の「ガ」について辞書を確認する。『大辞泉』の記述は言葉足らずの気がするので、『大辞林』をひく。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8C&dtype=0&dname=0ss&stype=1&index=102907300000&pagenum=1
================================引用開始


2 (接助)
1 の用法から転じてできたもので、院政時代から見られる。現代語では終止形、古語では連体形に、それぞれ接続する。
[1] 前置き・補足的説明などを後に結びつける。
  次に予算の件です―、重要なので今日中に決めてください
  御存じのことと思います―、一応説明します
[2] 二つの事柄を並べあげる場合、時間的前後・共存など、それらの時間的関係を表す。
  驚いて外に飛び出した―、何事もなかった
  しばらく見ていた―、ふっといなくなった
[3] 対比的な関係にある二つの事柄を結びつけ、既定の逆接条件を表す。けれども。
  学校へ行った―、授業はなかった
  君の好意はうれしい―、今回は辞退する
[4] どんな事柄でもかまわない、の意を表す。「…うが」「…まいが」の形をとる。
  どうなろう―知ったことではない
  行こう―行くまい―、君の勝手だ
================================引用終了
[4]はちょっと違う用法なのでパス。
[1]~[3]の例文を逆接と順接の観点で見てみる。「逆接・順接のどちらにもとれる」ものを「逆接or順接」と表記する。

  [1]-1 次に予算の件です―、重要なので今日中に決めてください→順接
  [1]-2 御存じのことと思います―、一応説明します→逆接
  [2]-1 驚いて外に飛び出した―、何事もなかった→逆接
  [2]-2 しばらく見ていた―、ふっといなくなった→逆接or順接
  [3]-1 学校へ行った―、授業はなかった→逆接
  [3]-2 君の好意はうれしい―、今回は辞退する→逆接

 ちょっと意外に思ったことがある。
 まず、[1]の意味で逆接があったこと。このテの「前置き」は順接が多い印象だった。[1]-1が典型だし、[1]-2も「御存じのことと思いますガ、昨年の業績は最悪でした」なら、ありがちな(前置きの)順接になる。
 いままで確認している逆接or順接は、かなり特殊な形だと思っていた。[2]-2を見るに、逆接or順接の例はほかにもありそうだ。
[3]の例文はちょっと疑問。これって「対比的な関係」なんだろうか。「対比的な関係」の典型は「昨日は雨だったガ、今日は晴天だ」あたりでは。


●「ガ、」の種類の判定法
 接続助詞の「ガ、」が逆接か順接かを判断するのに、当方は安直な方法を使っている。
  「。しかし、」にかえられるもの→逆接
  「。そして、」にかえられるもの→順接

 この判定法で大半の例に対応できる。
[2]-2が逆接&順接であることも確認できる。どちらになるのかは、例によって文脈しだいなんだろう。ただ、この場合、それぞれがふさわしい文脈が想定しにくい気もする(詳細は後述)。
  しばらく見ていた。しかし、ふっといなくなった
  しばらく見ていた。そして、ふっといなくなった

「逆接のガ、」でも「順接のガ、」でもないものを、当方は「曖昧のガ、」と呼んでいる。接続助詞の「ガ、」の大半は「逆接のガ、」か「順接のガ、」で、まれに「曖昧のガ、」があるってことだと思う。「曖昧のガ、」のうちでわかりやすいのが逆接or順接の「ガ、」。
 この3分法でいいと思うが、厳密に言うとどれにも属さない例がある。
 ↑の例文で言うと、[1]-1。ここで使われている「ガ、」は、意味的には順接なのだが「。そして、」にはしにくい。これを当方は〈意味的には順接の「曖昧のガ、」〉と呼んでいる。同様に〈意味的には逆接の「曖昧のガ、」〉もある。このあたりは【「ガ、」の修辞学】に書いた。こちらはピンポイント(これで?)なので転載する。
================================引用開始
1)意味的には逆接の「曖昧のガ、」
【原文1】
 考えがまとまりきっていないガ、書いてみよう。
 この「ガ、」が「順接のガ、」ではないことは明らかだ。じゃあ「逆接のガ、」と考えて分割してみよう。
【書きかえ文1】
 考えがまとまりきっていない。しかし、書いてみよう。
 分割した2つの文が短すぎて不自然に感じられるので、「逆接のガ、」と考えるのも無理がありそうだ。ただし、意味的には「逆接のガ、」とほとんどかわらないことは、少し書きかえるとハッキリする。
【原文2】
 この問題に関しては考えがまとまりきっていないガ、現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
【書きかえ文2】
 この問題に関しては考えがまとまりきっていない。しかし、現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
 このように「ガ、」の前後が長くなると、フツーの「逆接のガ、」になる。どうやら、「ガ、」の前か後ろかが短いと、「逆接のガ、」のように分割すると不自然になるらしい。文全体はソコソコ長くても、「ガ、」の前か後ろのどちらか一方が短いと、「逆接のガ、」が「曖昧のガ、」になってしまう。次の【原文3】と【原文4】で確認してほしい。
【原文3】(「ガ、」の後ろが短くて「曖昧のガ、」になっている例)
 この問題に関してはいろいろな例外もあり、単純に見えて意外に複雑なので考えがまとまりきっていないガ、書いてみよう。
【原文4】(「ガ、」の前が短くて「曖昧のガ、」になっている例)
 考えがまとまりきっていないガ、この問題に関していくつかの例を示しながら現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
 ただし、この【原文3】と【原文4】は人工的に作った「例」で、実例はあまり見かけない。数少ない実例に出合ったら、文全体があまりにも長くなるときだけ、書きかえればいい。「ガ、」の部分で分割して、短いほうに少し言葉を加えればいいだろう。
================================引用終了


●gooの「類語辞書」の記述
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17237/m0u/
================================引用開始
〔が〕▽(1)雨が降ってきましたが、試合は続行します▽(2)天気はよいが、風が冷たい▽(3)ここだけの話だが、彼は秋に結婚するそうだよ

【2】「が」は、一般にもっぱら逆接を表わす接続助詞のように思われがちであるが、接続助詞の「が」は格助詞の「が」から発達したもので、本来は順接とか逆接には関わりのない接続関係を表わす。したがって、現代語でも逆接の確定条件(例文(1))のように、前件と後件が特別な因果関係にあることを表わす用法だけではなく、前件と後件とを対比・対照させていることを表わす用法(対比・対照。例文(2))や、後件の断り書きのように前件を提示して後件に接続させる用法(単純接続。例文(3))などがある。そのほかにも、「顔もいいが性格もいい」のような順接の並列や、「課長でしたらもう帰りましたが」のような終助詞的な用法もある。
================================引用終了
 終助詞を別にすると、「ガ、」には4つの働きがあるとしている。
 ↑の『大辞林』の分類と比べると微妙に食い違って気持ちが悪い。やっぱりちゃんとした文法辞典を調べたほうがいいのかな?
 見比べると、gooの「類語辞書」の分類のほうが適切な気がするので、『大辞林』の例文をこちらに合わせる。
  A逆接の確定条件
  A-1 雨が降ってきましたガ、試合は続行します→逆接
  [1]-2 御存じのことと思いますガ、一応説明します→逆接
  [3]-1 学校へ行ったガ、授業はなかった→逆接(対比ではないだろう)
  [3]-2 君の好意はうれしいガ、今回は辞退する→逆接(対比ではないだろう)
  [2]-1 驚いて外に飛び出したガ、何事もなかった→逆接
  B対比・対照
  B-1 天気はよいガ、風が冷たい→逆接
  C単純接続
  C-1 ここだけの話だガ、彼は秋に結婚するそうだよ→順接
  [1]-1 次に予算の件ですガ、重要なので今日中に決めてください→順接
  [2]-2 しばらく見ていたガ、ふっといなくなった→逆接or順接
  D順接の並列
  D-1 顔もいいガ性格もいい→逆接or順接

 分類の名称が本当に適切か否か、個々の例文の分類が本当に適切か否か、当方には見当もつかない。それは学者の仕事だろう。当方の主目的は、文章を書くときに「ガ、」の曖昧さを排除すること。
「A逆接の確定条件」と「B対比・対照」の例文は、どれも「。しかし、」にかえられるから、「逆接のガ、」。
「C単純接続」は、通常は順接。前置きなどに出てくることが多い。ただ、[2]-2がなぜ逆接or順接になるのかわからない。
「D順接の並列」は呼称がヘンだろう。これは【「ガ、」の修辞学】で見た〈彼は頭はよいガ、走るのも速い〉と同様で、逆接or順接の形。順接になるか逆接になるかは文脈次第だと思う。
================================引用開始
1)彼は頭はよいガ、→逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」
「彼は頭はよい。しかし、走るのも速い」の意味にもとれるし、「彼は頭はよい。そして、走るのも速い」ともとれる。どっちの意味になるかは文脈しだいだ。たとえば、「頭のよい人はたいてい運動が苦手だ」みたいな流れだったら、「逆接のガ、」になる。
 一方、「天は二物を与えず、が当てはまらない人もいる」みたいな流れなら、「順接のガ、」になる。ただし、その場合はこんな文を書くヤツが悪い。順接の意味なら、「よいガ、」を「よく、」とか「よいうえに、」ぐらいにするほうがずっと自然だ。その場合は「頭は」ではなく、「頭も」のほうが自然かもしれない。
================================引用終了

 課題がいくつか残ってしまった。ネットで閲覧できる辞書類の限界なのかもしれない。こういうことを細かく分析するがするほど学者の仕事に近づき、本来の目的から離れるような……。
課題1)「昨日は雨だったガ、今日は晴天だ」は逆接or順接なのかもしれない
※「対比・対照」は基本的には逆接だが、少し特殊な文脈をつくれば順接にできることもある。
課題2)「対比・対照」と「並列」っはどう違いのか
※逆接なら「対比・対照」で、順接なら「並列」なのかもしれない。
課題3)[2]-2がなぜ逆接or順接になるのか
課題4)分類のしかたの再検討
課題5)あのとき話した例の書類だけど、見つからないの
※「順接のダケド、」もあるのね。これを「ガ、」にすると、接続助詞ではなく格助詞になりそう。先祖帰り?



「ガ、」の修辞学〈3〉
──「ガ、」の修辞学 外伝

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【13】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929935424&owner_id=5019671

mixi日記2014年11月13日から

 直接的には下記の続きだろうな。
110)【「ガ、」の修辞学】2009年12月16日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-915.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1364668143&owner_id=5019671

757)【「ガ、」の修辞学〈2〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2374.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1839875398&owner_id=5019671

 テーマサイトが2つある。
テーマサイト1)【「山田ですが」 の 「が」 は 「but」?】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8723742.html
 ここから下記が派生?している。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10137332810/a343140381

テーマサイト2)【ウサイン・ボルトがドーピングしてるかどうかは分からないが、ドーピングは良くないことだ。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12138129092

 まずテーマサイト1)のベストアンサーから転載する。
==============引用開始
日本語の接続助詞の「が」(「が」と「け(れ)ど(も)」を一緒にして「が・けど類」とも呼ばれます)は、

1.逆接・対比
2.並列・累加
3.主題の提示
4.補足説明・前置き
5.注釈
6.言い切り回避

といった用法があります。(これ以外にも、あると言っている人もいます)
「山田ですが、田中さんはいらっしゃいますか?」の「が」は、4の補足説明・前置きの用法ですね。
==============引用終了

 出典が知りたい。文法辞典だとこういう書き方になるのだろうか。
 疑問もある。
「3.主題の提示」は、一般には主格(厳密には違う)を示す格助詞の「が」だろう。
「僕が食べました。」「天気がいい。」……etc.
「6.言い切り回避」は、文末の「が」だろう。これも格助詞かな。
「そんな気もするのですが……。」……etc.
 接続助詞の「が」は次の3つに絞れるのでは。
1.逆接・対比
2.並列・累加
4.補足説明・前置き

 これが当方の従来の分類だと下記の3つになる。
「逆接のガ、」
「順接のガ、」
「曖昧のガ、」
 このうち「曖昧のガ、」は、やはり2つに分けたほうがよさそうだ。新たな分類。
1)「逆接のガ、」(「。しかし、」に書きかえられる)
2)「順接のガ、」(「。そして、」に書きかえられる)
3)「曖昧のガ、」(「。しかし、」にも「。そして、」にもしにくい)
4)「両義のガ、」(文脈しだいで「。しかし、」にも「。そして、」にもなる)
 一般的な呼称に当てはめると、「順接のガ、」は「並列・累加」とか「単純接続」になる。
「曖昧のガ、」は「補足説明・前置き」だろう。
「両義のガ、」の典型は110)【「ガ、」の修辞学】でひいた『「超」文章法』の例文がわかりやすい。「彼は頭はよいガ、」が「両義のガ、」になる。
==============引用開始
【引用部】(一部の表記をかえている)
「曖昧接続の『……が』を使うな」という忠告がある。「曖昧のガ、」とは、つぎの文中の「ガ、」のようなものである。
  「彼は頭はよいガ、走るのも速い」というような表現がよく使われるガ、この
  「ガ、」は明確な意味を持たない。頭のよい人は必ず遅いというなら、この
  「ガ、」は〈しかし〉の意味になるガ、そうとも限らない。
「曖昧のガ、」を使うと、論理関係がはっきりしなくとも文を続けられる。そこで、非常に頻繁に使われる。
「作文の際の留意事項だガ、最も重要なのは、曖昧表現しないことだ」
というように。
「〈曖昧のガ、〉を排除せよ」という注意は、正しい。ただし、これは正論である。正論の常として、息がつまる。一度、「曖昧のガ、」をまったく使わずに本を一冊書いたことがあるガ、息がつまった。「死ぬまでに一度たっぷりつゆをつけてそばを食いてえ」という気持ちがよくわかった。ただし、一つのパラグラフに三度以上は現れないようにしたい。
 私が初めて「〈曖昧のガ、〉を使うな」という注意に接したのは、清水幾太郎の『論文の書き方』である。しかし、いまこの本を読み直してみると、「曖昧のガ、」が何度も出て来る。「私が言うとおりにせよ」と注意するのは簡単だガ、「私がするとおりにせよ」と示すのは至難のわざだ。(p.210~211)

(略)

1)彼は頭はよいガ、→逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」
「彼は頭はよい。しかし、走るのも速い」の意味にもとれるし、「彼は頭はよい。そして、走るのも速い」ともとれる。どっちの意味になるかは文脈しだいだ。たとえば、「頭のよい人はたいてい運動が苦手だ」みたいな流れだったら、「逆接のガ、」になる。
 一方、「天は二物を与えず、が当てはまらない人もいる」みたいな流れなら、「順接のガ、」になる。ただし、その場合はこんな文を書くヤツが悪い。順接の意味なら、「よいガ、」を「よく、」とか「よいうえに、」ぐらいにするほうがずっと自然だ。その場合は「頭は」ではなく、「頭も」のほうが自然かもしれない。
==============引用終了

「よく使われるガ、」も「両義のガ、」の一種だと思うが、話が長くなるのでパスする。
 で、やっとテーマサイト2)の話になる。
 まず全文をひく。
==============引用開始
① ウサイン・ボルトがドーピングしてるかどうかは分からないが、ドーピングは良くないことだ。
② 以前から思っていたが、ローラはとても可愛い。
③ 大げさかもしれないが、私は人生の殆どを棒に振ってしまった。
④ どこのどいつだか知らないが、舐めた真似をしてくれるもんだぜ。
⑤ 昨日も言いましたが、体調管理をしっかりして下さい。
⑥ 昨日出された宿題ですが、全部解き終わりました。
⑦ 同じ中学に通ってたから分かるんだが、彼の身体能力は凄い。

①〜⑦の文章の「が」はここでは逆接の働きをしてるのではなく、単純に文と文を接続してるんですよね?
もし、上の文章の中に逆接の「が」があるのなら指摘をお願いしますm(._.)m
==============引用終了

 基本的にはすべて「順接のガ、」(単純接続)でいいと思う。しかし、やや苦しくても前後の文脈(重言)をによっては「逆接のガ、」になりそうなものもある。少し言葉を加えてみるとわかる。
①ウサイン・ボルトがドーピングしてるかどうかは分からないが、(いずれにしても)ドーピングは良くないことだ。
「いずれにしても」を入れると、「が、」は「。しかし、」にできる気がする。
②ハーフの芸能人はどこか作り物っぽくて好きになれない。(そう)以前から思っていたが、ローラはとても可愛い。
 これだと「逆接のガ、」だろう。
③その出来事が、私の人生観をメチャクチャにした。(そこまで言うと)大げさかもしれないが、(その出来事のせいで)私は人生の殆どを棒に振ってしまった。
 これだと「逆接のガ、」だろう。
④(こんなことをしでかしたのが)どこのどいつだか知らないが、舐めた真似をしてくれるもんだぜ。
 これは原文のままでも「逆接のガ、」になりそう。要は前半が言葉足らずのため「曖昧のガ、」(前置き)っぽくなっているのでは。
⑥昨日出された宿題(は常識では考えられないような量)ですが、全部解き終わりました。
 これは原文のままでも「逆接のガ、」になりそう。要は前半が言葉足らずのため「曖昧のガ、」(前置き)っぽくなっているのでは。

「ガ、」の修辞学 改(仮)
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12322820213.html

mixi日記2017年10月25日から

 直接的には下記の続きだろうな。
【「ガ、」の修辞学 総集編〈1〉~〈3〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3324.html


「ガ、」の話はずいぶん前に散々書いている。↑の〈1〉を元に「パンドラ」でもいろいろ書いた。
 その後、ちょっと書きかえる必要を感じて……〈3〉を書いたあたりで決定的になったかも。

 書きはじめるとえらいことになるのがわかっているので、概略だけ。

 改稿のの趣旨を簡単に書くと、「曖昧のガ、」ってのがあまりにもいろいろありすぎるんで、少し分けた。まず「両義のガ、 」と「前置きのガ、」に分け、後者をいくつかに分けた。そこまで細かく分けてどんないいことがあるのかは不明。

 結論はかわらない。「ガ、」を使うなら一文は短くするほうがいい。


「ガ、」の働きには以下のようなものがある。

【1】逆接のガ、(「。しかし、」に書きかえられる)
 いちばん一般的かな。
  これはなんでもいいと思うが、具体例をあげるとなると何がよいのか迷う。

【2】順接のガ、(「。そして、」に書きかえられる)
 以下、例文は基本的に〈1〉〈2〉からとる。
  ほかにもいくつかの働きがありますガ、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。

【3】両義のガ、 (「。しかし、」にも「。そして、」にも書きかえられる)
 これはきわめて珍しい。
〈2〉から引用する。
===========引用開始
【原文6】
 小林はクリームパンを食べたガ、中村はカレーパンを食べた。
 この「ガ、」は「逆接のガ、」とも「順接のガ、」とも考えられる。それぞれの形に書きかえてみよう。
【書きかえ文6-1】(「逆接のガ、」と考えた場合)
 小林はクリームパンを食べた。しかし、中村はカレーパンを食べた。
【書きかえ文6-2】(「順接のガ、」と考えた場合)
 小林はクリームパンを食べた。そして、中村はカレーパンを食べた。
 なんでこんなことになるのかはわからない。 
===========引用終了
 
 もうひとつ、〈2〉から引用する。前半は『「超」文章法』の感想文から。 ここでは当方も「曖昧のガ、」という言葉を使っている。
===========引用開始
【引用部】(一部の表記をかえている)
「曖昧接続の『……が』を使うな」という忠告がある。「曖昧のガ、」とは、つぎの文中の「ガ、」のようなものである。
  「彼は頭はよいガ、走るのも速い」というような表現がよく使われるガ、この
  「ガ、」は明確な意味を持たない。頭のよい人は必ず遅いというなら、この
  「ガ、」は〈しかし〉の意味になるガ、そうとも限らない。 

(略)

1)彼は頭はよいガ、→逆接・順接のどちらにもとれる「曖昧のガ、」
「彼は頭はよい。しかし、走るのも速い」の意味にもとれるし、「彼は頭はよい。そして、走るのも速い」ともとれる。どっちの意味になるかは文脈しだいだ。たとえば、「頭のよい人はたいてい運動が苦手だ」みたいな流れだったら、「逆接のガ、」になる。
 一方、「天は二物を与えず、が当てはまらない人もいる」みたいな流れなら、「順接のガ、」になる。ただし、その場合はこんな文を書くヤツが悪い。順接の意味なら、「よいガ、」を「よく、」とか「よいうえに、」ぐらいにするほうがずっと自然だ。その場合は「頭は」ではなく、「頭も」のほうが自然かもしれない。
===========引用終了

 このあたりまでは、そんなにむずかしくない。「両義のガ、」の例文を考えるのはむずかしいが(「言いさし」? たぶん倒置だろう)。

【3】前置きのガ、
 これがいくつかに分かれる。以下、↑の〈1〉からひいて少し加工する。

1)意味的には逆接の「前置きのガ、」
【原文1】
 考えがまとまりきっていないガ、書いてみよう。
 この「ガ、」が「順接のガ、」ではないことは明らかだ。じゃあ「逆接のガ、」と考えて分割してみよう。
【書きかえ文1】
 考えがまとまりきっていない。しかし、書いてみよう。
 分割した2つの文が短すぎて不自然に感じられるので、「逆接のガ、」と考えるのも無理がありそうだ。ただし、意味的には「逆接のガ、」とほとんどかわらないことは、少し書きかえるとハッキリする。
【原文2】
 この問題に関しては考えがまとまりきっていないガ、現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
【書きかえ文2】
 この問題に関しては考えがまとまりきっていない。しかし、現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
 このように「ガ、」の前後が長くなると、フツーの「逆接のガ、」になる。どうやら、「ガ、」の前か後ろかが短いと、「逆接のガ、」のように分割すると不自然になるらしい。文全体はソコソコ長くても、「ガ、」の前か後ろのどちらか一方が短いと、「逆接のガ、」ではなくなってしまう。これを〈意味的には逆接の「前置きのガ、」〉と呼ぶことにする。次の【原文3】と【原文4】で確認してほしい。
【原文3】(「ガ、」の後ろが短い例)
 この問題に関してはいろいろな例外もあり、単純に見えて意外に複雑なので考えがまとまりきっていないガ、書いてみよう。
【原文4】(「ガ、」の前が短い例)
 考えがまとまりきっていないガ、この問題に関していくつかの例を示しながら現段階でわかっている範囲のことを書いてみよう。
 ただし、この【原文3】と【原文4】は人工的に作った「例」で、実例はあまり見かけない。数少ない実例に出合ったら、文全体があまりにも長くなるときだけ、書きかえればいい。「ガ、」の部分で分割して、短いほうに少し言葉を加えればいいだろう。

2)意味的には順接の「前置きのガ、」
 こいつがいちばんの難物。「順接のガ、」と同様に悪文の原因だと思うガ(逆接のガ、)、こいつはそう簡単には排除できない。
 おそらく、2種類ある。
①「ガ、」の前後が短くて「順接のガ、」にできないもの
 これはある意味↑の1)と同様。いまちょっと頭が回らないので例文は省略。これは実例はそう多くないので、あまりこだわる必要はなさそう。
②逆接ではないけど「。そして、」には書きかえられないもの
 たいていの場合は、ちょっと書きかえれば「ガ、」を消すことができる。しかし、書きかえ方はケース・バイ・ケースなので、簡単には説明できない。いちばん一般的なのは、「~に対する私の意見だガ、……」「次に~についてだガ、……」みたいな用法。この場合は、「だガ、」を「は、」にすればいい。 「。」や「である。」あたりもできそう。
 問題は、簡単には書きかえることができないケース。たとえば、前に「第2章3」で作った次の文にも、2)の〈意味的には順接の「前置きのガ、」〉が使われている。
【原文5】
 やってみればわかるガ、「天声人語」の文章みたいになる。
 前に見たように、接続詞を使わずに単純に分割できなくはないガ、かなり言葉足らずになる。〈意味的には順接の「前置きのガ、」〉を避けたいのなら、次のように書きかえることになる。
【書きかえ文5-1】(最小限の書きかえで「ガ、」を消した例)
 やってみればわかるように、「天声人語」の文章みたいになる。
【書きかえ文5-2】(大幅に書きかえて「ガ、」を消した例)
 (実際に)やってみると、「天声人語」の文章みたいになることがわかる。
 できれば書きかえが最小限の【書きかえ文5-1】をすすめたいガ、なんかヘンな気がする。【原文5】のままか、【書きかえ文5-2】のほうが自然だろう。
 意味は……順接だろう。だが、「。そして、」にはしにくい。文を強引に分割するなら。「。」にするのが素直な気がする。

【3】「前置きのガ、」はいろんな形があり、使わないことを徹底するのはむずかしい。「とてもじゃないガ、説明できない。」なんて文になると、無理に書きかえるとニュアンスが大きくかわってしまう。
 1)も2)も簡単には分割できない。書きかえるのもむずかしそうなら、「前置きのガ、」を使うほうが自然だろう。ただ、ひとつだけ気をつけたほうがいいことがある。「前置きのガ、」は、当然のことながら文頭に「前置き」みたいなニュアンスのことを書くときに使うことが圧倒的に多い。使った場合は、後ろがあまり長くならないようにすること。この点にさえ注意していれば、さほど神経質になる必要はない。
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世に誤用の種は尽きまじ 総集編〈1〉〜〈3〉

 ちと事情があって、古い日記をまとめる。
 いただいたコメントもかなり興味深い。この頃はmixiも活気があったなぁ。…(  = =) トオイメ

【世に誤用の種は尽きまじ〈1〉】
mixi日記2008年08月09日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=896040364&owner_id=5019671&org_id=897188119

あなたの日本語間違ってますよ!
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=571857&media_id=10

=====================================
●「憮然」「檄を飛ばす」…

 先日、文化庁が発表した「国語に関する世論調査」を見て「へえ~っ」と思った人も多いだろう。「憮然」の意味は「腹を立てている様子」ではなく、正解は「失望してぼんやりしていること」。「檄を飛ばす」は「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」と思いがちだが、実は「自分の意見や考えを広く人々に知らせて同意を求めること」の意味だ。調査ではどちらも7割以上の人が間違って理解していた。

 こうした紛らわしい言葉はほかにもある。

●おっとり刀…のんびりしている様子をイメージしてしまうが、正解は急な用事などで取るものも取りあえずかけつけるさまをいう。刀を腰に差す余裕もなく手に持っている姿からきた言葉だ。

●辛気臭い…陰気な雰囲気の相手に「なんやその辛気臭い顔は!」などと言ってしまいそうだが、実は思い通りにならず、気分が晴れないさまの意味。

●したり顔…知ったかぶりしている表情ではない。「したり」は物事が成功したときなどに発する言葉。したり顔は得意そうな顔つきのことをいう。

●臍(ほぞ)を噛む…どうしようもないほど悔しい思いをするようなときに使ってしまいがちだが、本当は後悔するという意味。

●慇懃(いんぎん)…「慇懃無礼」という言葉があるから、相手を見下したような態度だと思ってしまうが、慇懃はへりくだって丁寧なさまや礼儀正しいことをいう。ちなみに「慇懃を重ねる」は親しく交際するの意味。

●広言…「あちこちで広言するな」などと言いふらすことのように使ってしまうが、本来の意味は調子よく大きなことを言うこと。

●業腹…「あいつは業腹な性格だ」など人の性格だと勘違いしがちだが、実は非常にしゃくにさわること。「こちらから謝るのは業腹だ」と使う。

 賢くなった――?

(日刊ゲンダイ2008年8月5日掲載)15489
=====================================

 本文にはないけど、mixiニュースの見出しは「間違いがちな言葉 本当の意味」になっている。あのー。これって「間違えがち」ですよね……と細かいツッコミを入れてみる。このテの文章で間違いがあると相当恥ずかしい……と自分の首を絞めてみる(泣)。
 これは日刊ゲンダイの責任ではなく、mixiの責任か? ついでに書くと「本当の意味」もちょっと異和感がある。フツーは「正しい意味」だろう。
 先日の文化庁の発表に関しては7月25日の日記に書いた。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=881031344&owner_id=5019671

「おっとり刀」は有名。と手元の『広辞林』を索いて青ざめる。漢字で書くと「追っ取り刀」だとばかり思っていた。たしか、誤用関係の本にそう書いてあった。世の中には恥知らずが多いようだ。正解は「押っ取り刀」。ちなみに「押っ取る」という言葉もあり、「急に手に取る」という意味。なるほどそれはわかりやすい。
 ところで、「取るものも取りあえず」って、たまに目にするけど、よく考えると訳のわかんない言い回しだな。「かけつけるさまをいう」は余計なことを書きすぎ。もしそうだとすると、「おっとり刀で駆けつける」はビキビキの重言になる。「(急な用事などで取るものも取りあえず)何かをするさまをいう」くらいが無難。
 ウーム。「辛気くさい」は誤解していた気がする。ただ、この正用と誤用の差はかなり微妙だろう。
「広言」なんて言葉は見たことも聞いたこともないorz。似たような意味の「公言」ならよく見る。こちらは、「人前で隠しだてすることなく堂々と言うこと」。『広辞林』には、「一般に通じる言葉」という意味も出ている。公用語ってことですかい。

 こうして細かく見ていくと、この記事は相当ヘンだ。


【世に誤用の種は尽きまじ〈2〉】
mixi日記2008年08月10日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=897188119&owner_id=5019671&org_id=896040364

 8日の夜、暦の上では9日の朝、バカなことをしでかしてしまった。
「世に誤用の種は尽きまじ」のタイトルで日記を書き、ニュースから検索できる形にした。アップした直後からそこそこ足跡がつく。
 ふと思い立って、同じニュースから検索できる日記がどんな内容なのかチェックしてみた。いちいち確認したわけではないが、書き手が若いのが意外だった。最年少は18歳(mixiの規則上、これ以下はない。正確には「未満」だろうが、なぜか「以下」のほうがシックリ来る。あるいは一番いいのは「これより下」なのかな)。ほとんどが20代だった。
 若い世代が言葉に興味をもっていることを喜ぶべきだろうか。まあ、フツーに考えれば、年寄りはニュースに絡めて日記なんて書かないか。ってことはtobirisuは20代の感覚? ほんの少しだけ若返ったー(←いい加減にしろ)。
 ザッと読んだところ、3つに大別できる。

1)意味不明派
 ただ足跡が欲しいんだろうな。記事をそのまんま引用して終わりなんて人もいる(マイミクに紹介したかったのかな。それなら数行程度はコメント入れるでしょうに)。もっと極端になると、全然違う内容の日記を書いている。
2)無知お手上げ派
 ニュース内容を見て、「知らなかった」と落ち込んでいる。あんなのフツーの人は知らないよ。
3)無知開き直り派
 7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない、と嘯いている。一理なくはないんだけど、誤用は誤用。 
 思うところがあって、そういう書き方をしている日記に片っ端から乱入する。

【乱入コメント】=============================
 突然の乱入失礼します。
 どんなに使用者が増えても、
 誤用は誤用です。
=====================================
 
 ウワー。好青年で知られるtobirisuとは思えない感じの悪さ。
 まともに反応したかたがいた。
「たしかに言葉の問題をまじめに考えられているかたには不愉快な書き方でした。申し訳ございません」
 いや、その。そんなに真っ向から反省しなくてもいいのよ。これも定型文なのか?
 なかにはゴチャゴチャ反論してくるかたもいた。
 さらに感じ悪くダメを押す。

【ダメ押しコメント】===========================
 少し挑発的に書きます。
 いろいろな研究をした学者がそう言うなら「そうでしょうね」と聞く気にもなります。
 当方の数少ない経験をもとにして書かせていただくと、若い人で「言葉がかわっていくのは当たり前」と言う人は、ほとんどが「無知の開き直り」です。
「それは誤用だ」と言われても、「だってそう言うしー」のレベルです。たとえば当方がリンクを張った
 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=881031344&owner_id=5019671

 を全部読んでも、同じことを言えますか。
 あるいは、下記のサイトを見ても、同じことが言えますか。

http://www.shos.info/doc/misuse.html

 口うるさいオヤジと思われても構いません。
 でも、それが言葉なんです。
 上記の2つのリンクに目を通してからなら、どんな暴言でも聞きます。
=====================================

 そのうちメンドくさくなって、いきなり「乱入&ダメ押し」をするようになった。いろいろおもしろい意見が聞けた。ただ、こういうことに興味を持つ割には日本語があやしい人が多い(しかたないか)。あまりにも日本語がおかしくて何を書いているのかわからない箇所を指摘したら、逆ギレした人がいた。

【無知の開き直りの例】==========================
>>tobirisu
んじゃーそれでいいやーw

だな
=====================================

 こんなかたに、まじめにコメントを入れたtobirisuがバカでした。

 で、本題に戻ろう。
 7割以上が誤用していたら、それはもはや誤用ではないのか?
 考え方しだいだろう。多数派なんだからOKと胸を張れる人はどうぞ。勝手に恥をサラしなさい。
 逆に考えれば、3割弱の人に「この人日本語が不自由?」と思われるんだよ。当方はそんなのは絶対にイヤだ。まして、目上の人とか知性の高い人は3割弱の側の可能性が高いのよ。ぜえったいにイヤだ。少なくとも、言葉にかかわる仕事をしている身としては、それは屈辱的すぎる。何より、そんなバカなことをしていたら、仕事にならん。
 マトモな文章を書くことに縁のないバカガキが勝手にそう思っているのなら、「どうぞご自由に」としか言いようがない。でも、ムヤミにそういうことを主張しないでほしい。
 結局のところ、いつも書いているとおり、「使える言葉がどんどん減っていく」ってことになる。アタシャそれが情けない。
 昔、後輩が恥をかいた話を聞いたことがある。お偉いさんに仕事の進捗状況を訊かれ、「完全に煮詰まってます。アドバイスをいただけませんか?」と言ってしまったそうだ。
「オマエはオレをなめてんのかー!」と一喝され、延々と説教されたらしい。
 誤用ひとつにメクジラを立てるのもどうかと思うが、このお偉いさんはそういうキャラだからしかたがない。「煮詰まる」と「行き詰まる」を間違えると、こういうことが起こりかねない。
 実社会で使っちゃいそうで、使っちゃうと相手が逆上しかねない誤用って、ほかにもいろいろある。
「ご苦労様でした」
「役不足」
「枯れ木も山の賑わい」
 そういうのは知っておかないとダメだろ。

 言葉はかわっていくもの。そんなことはみんな知っている。別にどんな言葉も本来の意味で使うべきだなんて主張する気はない。もともとは誤用だがとっくに定着していると思われるものはフツーに使う。「とても」がアータラとか「全然」がコータラなんて話は聞き飽きた。これは前にも書いた。

「とても」は肯定・否定両方使う。
「全然」は否定にしか使わない。
「まったく」は原則として否定にしか使わない。「まったくそのとおり」とかならアリだろう。
「確信犯」は、誤用と言われるとムカツクので原則的に「確信犯的」の形で使う。
 ただ、過渡期にある言葉を、何も知らず誤用の意味で使うのはバカみたいだからやめたほうがいいってこと。

 似たような話で、以前日記に書いたことがある。あれは公開制限があるので転載する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=859173054&owner_id=5019671

【トピ主のコメント】===========================
さっき ニュースで 野口みずき選手が 「これを言うと 勝てるってジンクスがある」とか言って 中国語で何か叫んでました

ジンクスって 普通に日本語に使われてますが 英語の意味は 悪いことが起きる、不運をもたらすって意味なんですよね~

ひと昔前までは 本来の意味で使われていたのに 今は反対の意味で 普通に使われてますね
=====================================

【「3」のコメント】===========================
そんなに難く考えることはないのではないでしょうか?
私は個人的には乱れとは感じませんが・・・

時代と共に言葉が変わるのは当たり前のことだと思います。特に今回は一般的にもジンクス≒おまじないというイメージが強くなって「今まさに言葉の意味が変わっていく環境に立ち会っている」と考えるとちょっと気持ちが和みませんか?
=====================================

 この「3」のコメントにカチンと来た。tobirisuの書き方は傲慢丸出しなので読み流してほしい。

【「3」のコメントに対するtobirisuの感想】=================
 これがネットコミュニケーションの怖いとこです。同じことでも、書き手のプロフィールによってニュアンスが大きくかわる。
 アンタ何歳なのよ。プロフィールを詐称してなければ、この人は21歳の大学生。中年のオヤジがこういうふうに語るなら聞き流してもいい。でもオマエが言うな。
 細かく書くよ。まず「難く」ってなんて読むのよ。常用漢字表なら「カタく」。ちょっと無理するなら「ニクく」。まさかと思うけど「ムズカシく」なのか? どうやったらそんな変換するのよ。と書いてやっと誤解に気づく。そんなに堅苦しく考えるなってことなのね。そんな無礼なことをよく書いたもんだ(無礼になるという感覚がないのね、可哀想に)。漢字で書くと「堅く」かな? 

>時代と共に言葉が変わるのは当たり前のこと

 口のきき方に気をつけろよ。んなことはみんなわかってるの。それはオマエが口にするのは、単に無知の開き直りでしかない。黙って先輩の話を拝聴しなさい。反論するならせめて辞書くらい索けよ。
「本来はそういう意味だということは知っていますが、私のまわりではどちらの意味でも使っています」くらいなら聞いてやってもいい。それなら事実の報告だからね。無知に基づく意見を垂れ流すのはやめようね。

>特に今回は一般的にもジンクス≒おまじないというイメージが強くなって

 もう少し日本語の勉強してから出直しておいで。

>と考えるとちょっと気持ちが和みませんか?

 なごむわけないだろ。小娘にそんな口を叩かれて納得する大人はいないよ。
 こちとら「環境に立ち会っている」気はないけど、「過渡期に直面して」戸惑って、苛立って、ムカツいてるよ。
 別に「若造が偉そうに書くな」と決めつける気はない。若くたって高い見識をもっている人はいる。ちゃんとした意見なら聞くよ。自分の無知を公言するような書き方は控えなさい、と老婆心ながら忠告しているだけだよ。
=====================================

 要約しよう。「まとまな日本語も書けないヤツが偉そうに開き直るな。単なる無知にしか見えんぞ」

 そもそも8日の夜に当方がこんなバカなことをしでかしたのは、日本語の問題を話せる知り合いを増やしたかったから。
 年齢や知識量はさほど関係ない。あんまりにも無知だと疲れるけどさ。
 要は、日本語に対する態度が常識的であること。自分の間違いや無知は素直に認められること(ネット上だと、これができないヤツがけっこう多い。そういう人って普段は間違いを指摘されたらどうしてんだろう)。その上で、知識量が豊富なら申し分ない。
 少しばかり知識があっても性格が歪んでいるのは論外……オ、オレのことか?
 σ(^_^;)アセアセ...


【追記】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 誤用の話に興味がある人は、下記の日記は読んでおいて損はないと思う。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=746503742&owner_id=5019671


【追記2】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「とても」「全然」「まったく」について再確認しておく。

「とても」は歴史的に見れば、昔は否定にしか使わなかった。芥川龍之介がそんなことを書いて物議を醸した記憶がある。
【芥川龍之介の「とても」】
http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20070616/p1
 現在の出版・編集の現場では肯定でも否定でも○。

「全然」は歴史的見れば諸説ある。どうやら、昔は肯定でも否定でも使ったらしい。
 現在の出版・編集の現場では否定にしか使わない。なかには許容する人もいるかもしれないが、個人的には×。

「まったく」は原則として否定にしか使わない。ただし、「まったくそのとおり」のように異和感のない場合もある。

「赤い本」には以下のように書いた。
================================
【練習問題18】
 次の文のなかでヘンなのはどれで、なぜヘンなのか理由を考えてください。
  1)この料理は全然おいしい。
  2)この料理はとてもおいしい。
  3)この料理はまったくおいしい。

 副詞のなかには、後ろに決まった表現が来るものがあります。たとえば、「けっして」という副詞を使った場合、後ろに来るのは「~ない」などの否定形で、肯定形が来ることはありません。同様に、「全然」の後ろも否定形が来るのが一般的です。1)のように「全然」が使われているのに後ろが「おいしい」という肯定形では、「係り結ばず」になってしまいます。
 近年、話し言葉の中で使われる「全然+肯定形」が「言葉の乱れ」として取りざたされていることは、ご存じのかたも多いでしょう。将来的にはわかりませんが、現段階では、まだヘンな形と考えられます。「現段階では」と書いたのは、「〇〇+否定形」のルールはくずれていくことが多い気がするからです。
「とても」もかつては後ろに否定形を伴う言葉でした。しかし現在では、2)のように「この料理はとてもおいしい。」といっても問題はありません。
「まったく」は、微妙な段階にあるようです。3)の「この料理はまったくおいしい。」や「まったくタメになる。」はヘンなのに、「まったくそのとおりです。」という使い方なら問題は感じられません。「まったく」は、基本的には後ろに否定形が来るようですが、肯定形が来てもヘンではない場合もあるということです。
 このように考えると、「まったく+肯定形」は近々ふつうの表現になり、やがては「全然+肯定形」もヘンではなくなる可能性があると思います。
================================


【世に誤用の種は尽きまじ〈3〉】
mixi日記2015年10月27日から

「つぶやき」にもらったコメントを読んで、いろいろ考えてしまった。
 mixiの「つぶやき」ってあとから確認するのがけっこうたいへんなの。直リンク(ハイパーリンク?)を張るのが手間だし、あまり前だと探せない(泣)。うまい方法はありませんか?
 いまのうちにバックアップをとっておく。
http://mixi.jp/home.pl?from=global#!/voice/5019671/20151027113225

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ブログを更新しました。 『「性癖」という言葉の意味の変化』 ⇒ http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12088817884.html

@kuroracco

2015年10月27日 11:32

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燃える闘魂
2015年10月27日 14:01
> 「意味が通じるから誤用ではない」「使用例が多いほうが正用」などのムチャクチャな話が出てきます。     まったくで、じゃあ「みんながやれば殺人もオッケーね!」と言いたくなります。

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tobirisu
2015年10月27日 14:35
> 燃える闘魂さん 「意味が通じるから誤用ではない」……あちこちのコミュでそんなふうに書いている人がたくさんいます。そのテの極論はパスしたい。問題は「正用だけど通じにくくなる」ことです(泣)。

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燃える闘魂
2015年10月27日 15:37
> tobirisuさん     「極論」なんていう、それなりに意味はあるが極端であるという、そんな過剰な褒め言葉を充てたくありません。こんなの、「ライオンは犬だから植物だ」と同じレベルだと思います。  

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燃える闘魂
2015年10月27日 15:38
「正用だけど通じにくくなる」の悩みはたしかにあり、「○○が、おっと、これはよく△△って言われるけどそれは間違いね。ええと、それでその○○が」としないと、「間違ったと思われてしまう」という、あれですね。

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 で、更新したブログの内容は下記。

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「性癖」という言葉の意味の変化
2015-10-27 11:32:07NEW !
テーマ:2013教えて! gooに書いたこと
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8121419.html
 質問の内容。
==============引用開始
61歳の「男子」です。

このサイトでもよく見かけるのですが、
最近「性癖」という言葉が
もっぱら「性的な面での癖、嗜癖」という意味で使われているようです。

私の若い頃まではそれは
「性格のある部分に偏りがある」
とか
「くせ」という意味で
使われていたものです。
特別セクシャルなことを表す言葉ではなかったのです。

今でも昭和以前の文学などを読み返しても
いうまでもなくその意味で使われていることは
明瞭に認められます。
私の使っているいくつかの
辞書はどれも昭和に編纂されたものなのですが
それにも同様の意味しか
挙げられていません。

私はつい最近このサイトを見るようになって
このことばの使われ方が変化していることに
初めて気づいたのですが、
以来気になり、またその変化のきっかけなどについて
共時性などの点から興味をもっております。

この変化していく過程にお気づきになってた方はいらっしゃるでしょうか。
それはいつ頃お気づきになりましたか?

ウィキペディアでは21世紀初頭とあるのですが、
だとしたらその時なにかきっかけでもあったのでしょうか?

ご存知の方、お教えください。

==============引用終了

No.3
回答者:1311tobi 回答日時:2013/06/06 11:32
「性癖」の意味。
 質問者の感覚とほぼ同じです。
 現段階では「誤用」です。下記の辞書を見てもそう明記されています。この辞書の書き方には疑問点がいくつかありますが。
■Web辞書『大辞泉』から
https://kotobank.jp/word/%E6%80%A7%E7%99%96-546340#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
================================引用開始
せい‐へき【性癖】
性質上のかたより。くせ。「大言壮語する―がある」

◆「性」を性質の意ではなく性交の意ととらえ、誤って、性的まじわりの際に現れるくせ・嗜好、交接時の習慣・習性の意で用いることがある。
================================引用終了

 ちなみに『大辞林』の記述は下記です。
================================引用開始
せいへき0 【性癖】
性質の片寄り。くせ。
  誇大妄想の―
================================引用終了

 ただし、インターネットの普及によって、このようなありがちな「誤用」はあっという間に広まります。そうなると「意味が通じるから誤用ではない」「使用例が多いほうが正用」などのムチャクチャな話が出てきます。
 詳しくは下記をご参照ください。
【突然ですが問題です【日本語編121】── 性癖】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2398.html

【もうダメかもリスト】〈2〉──けっこう厳選(笑)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2266.html
「性癖」は、現段階では「【3】誤用が目立つ言葉 」あたりでしょう。

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 tobiクンは基本的に〝薬舌〟なので、〈こんなの、「ライオンは犬だから植物だ」と同じレベル〉なんてヒドいことは書かない。書かないけど、そのとおりだと思う。
「言葉はかわっていくものです」とか言う人も多い。そんなことは当たり前だけど、それを書けるのは国語学の大家だけだと思うよ。
 ところが、mixiのコミュを見ても、質問サイトを見ても、「言葉はかわっていくもの」とかのたまっている大家が多い。
「人の命には、だいたい限りがあるものです」
「春が過ぎれば、たいてい夏が来るものです」
 そりゃそうだよ。
 おっしゃるの籠屋だホイサッサ。(←オイ!)


【世に誤用の種は尽きまじ〈4〉】
日本語は誤用がそのまま定着する例が多いのか 教えて!goo

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【23】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1975055968&owner_id=5019671

mixi日記2020年08月05日から

 テーマサイトは下記。
【ふと思ったのですが、日本語で誤用が多くそれがそのまま定着したって事がよくあるじゃないですか。】2020/08/03
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/11807474.html
===========引用開始
ふと思ったのですが、日本語で誤用が多くそれがそのまま定着したって事がよくあるじゃないですか。これってすごい怖い事だと思いませんか?
本来の意味(真実、正しい事)ではない間違った意味の使い方が広まり、下手すると半数以上の人が誤用しており、それが皆使っているからという理由で間違いじゃない事になる、一般化するという。真実がマイノリティに押しやられて、間違ったマジョリティがのさばる。民主主義の怖いところとかにも繋がってきますが、日本語の誤用の定着でこのように考えた方いらっしゃいますか?
===========引用終了

 すごく懐かしい話を思い出してしまった。
 質問者は意外に若い人らしい。その世代だと「すごい怖い事」なのね。
 コメントを回収する。


 ほかの言語のことはよくわかりませんが、日本語特有のことではないと思います。
 間違った使用例が多数派になり、やがては正用になるのは、さほど珍しいことではないようです。

 こういう話になると下記のような例が引き合いに出されます。
新(あらた)しい→ 新(あたら)しい
山茶花(さんざか)→ さざんか
しだらない→ だらしない
https://japanknowledge.com/articles/blognihongo/entry.html?entryid=295

 こういうのは、あって当然だと思います。
 ただ、こういう変化は長い期間に少しずつかわっていくものでしょう。
 近年の日本語に起きている現象は、ちょっと違っています。

「言葉はかわっていくもの」
 長年にわたって言葉の研究をしている学者がこう言うなら、「そのとおりでしょう」と思います。
「誤用する人が多くなれば、やがてそれが正用になる」というのも、そのとおりなのかもしれません。

 しかし現実にこういう言葉を安易に使っているのは、言葉を知らない連中です。
 以前、誤用に関する記事に関して暴言を吐いている人に対して、おとなげないことをしたことがあります。いまはこんなことをする元気はありません(泣)。
【世に誤用の種は尽きまじ 総集編〈1〉~〈3〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3326.html
 以下は一部の抜粋(重言)。
===========引用開始
 少し挑発的に書きます。
 いろいろな研究をした学者がそう言うなら「そうでしょうね」と聞く気にもなります。
 当方の数少ない経験をもとにして書かせていただくと、若い人で「言葉がかわっていくのは当たり前」と言う人は、ほとんどが「無知の開き直り」です。
「それは誤用だ」と言われても、「だってそう言うしー」のレベルです。たとえば当方がリンクを張った
 
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=881031344

 を全部読んでも、同じことを言えますか。
 あるいは、下記のサイトを見ても、同じことが言えますか。

http://www.shos.info/doc/misuse.html

 口うるさいオヤジと思われても構いません。
 でも、それが言葉なんです。
 上記の2つのリンクに目を通してからなら、どんな暴言でも聞きます。 
===========引用終了

 インターネットの普及によって、何も考えない連中が誤用を垂れ流し、それをウノミにした●●が同じようなことを書き……という連鎖で、とんでもないはやさで誤用が広まっていくのは、「すごい怖い事」だと思います。日本語という言語が大きな地殻変動を起こしているような気さえします。 

mixi日記2015年10月27日から

学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671

mixi日記2012年01月12日から

 直接的には下記の続き。
【完全毒日記──全方位毒吐き30 公開制限あり】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1808391282&owner_id=5019671
 公開制限のある日記なので、関係箇所だけ転載する。
==============引用開始
 で、引用?されていた論文http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/3498/1/34014.pdfを読んでちょっと驚く。当方のレベルでもすらすら読める。ほぼ理解できるから、内容がムチャクチャだということもよくわかる。
 少なくとも、「助詞なしでなければならない場合」はこんなにないよ。「助詞なしでもOK」ならわかるけど。本気で書いているのだろうか?
 この論文に関しては、改めて書いてみたい。
 わかりやすいムチャクチャがいいのか、わかりにくい正論がいいのか……究極の選択だな。
==============引用終了

 一部訂正する。「当方のレベルでもすらすら読める」はオーバーだった。わからないところがけっこうある。それでもいままで目にした(とても「読んだ」とは言えない)学者の論文よりはずっとマシだろう。
 ただ、問題は内容。ヒトサマの文章を「内容がムチャクチャ」などと書きっぱなしにするのは失礼なので、少し具体的に書く。どちらが失礼なのかは微妙かもしれない。(←オイ!)
「4.無助詞文の分類」(p.81~)で、「無助詞文」(「助詞がないほうが自然な文」の意味。「助詞なしでなければならない場合」とまでは書いてないと思う。じゃあそもそも誰が誤読したんだ?)の例をあげている。とりあえず「4.2.1. 」だけ引用する。「無助詞(文)」と「助詞の省略」は厳密には違うようだ。一応理解したつもりだが、当方に厳密な使い分けができているとは思えない。詳しくは論文をお読みください。
 なお、〈助詞のない部分はφの記号で示し、「*」は不適当、「?」は文法判断が揺れるものである〉とのこと。
==============引用開始
4.2. 文単位からの分類
4.2.1. 聞き手の情報を求める文
「聞き手の情報を求める文」とは、話し手が聞き手に能力、知識、所有、嗜好、経験、 聞き手の行為の完了等を尋ねる文である。

(15)〔バスの中で高校生が友人に大学入試試験の過去問を見せながら言う。〕
なあ、これ (φ/ * ハ/ * ガ/ )、わかる? (ケ)
(16)〔弁護士探しをしている村長と役場職員だったが、上手く引き受けてもらえず落
胆している。今日はもうあきらめようということになって、村長が言う。〕
どっか、いいホテル(φ/ * ハ/ * ヲ )知ってる? (合)
(17)〔旅行先で、シャワーを浴びようと思ったが石鹸を持ってくるのを忘れてしまっ
た。友人の部屋をノックしながら言う。〕
柴田 せっけん(φ/ * ハ/ * ヲ )持ってねーか (継)
(18)〔コーヒーをいれながら友人に尋ねる。〕
ミルク(φ/ * ハ/ * ヲ )入れる? (ビ)
(19)〔小売店の娘が客の友人に尋ねる。〕
ねえ、ニコちゃんストアー、行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ )ある? (合)
(20)〔図書館司書が親しい利用者に声を掛ける。〕
『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ )読破?
(ビ)
 本稿は、無助詞文の出現理由を、主題の重なりという点から分析する。久野(1973:30- 31)が以下のように述べているように、一文の中で最も述語から遠くにある名詞句、つま り最も文頭に近い名詞句は主題として捉えられる。しかし、それ以外の名詞句に「ハ」が付く場合、それは対比として捉えられる。
==============引用終了

「自然」か否かは主観にかかわることが多いのであまり強くは言えないが、ちょっとヘンじゃないか?
 とりあえず、(16)(17)(18)は助詞アリでもおかしくないと思う。無助詞とどちらが自然なのか、当方には判断できない。

(16)どっか、いいホテル(φ/ * ハ/ * ヲ )知ってる?
「ヲ」はなぜ * なの? 「ハ」はたしかに少しヘンかも。
(17)柴田 せっけん(φ/ * ハ/ * ヲ )持ってねーか
「ヲ」はなぜ * なの? 「ハ」は微妙かな……。
(18)ミルク(φ/ * ハ/ * ヲ )入れる?
「ハ」はなぜ * なの? 「ヲ」は微妙かな……なんでだろう。

 (15)(19)(20)あたりはたしかにφのほうが自然な気がするが、別の理由があるのでは。
 何も考えずに思いつくことをあげていく。
●「無助詞文」になりやすいのは話し言葉である。
 これは大前提で、論文の冒頭に書いてある。ただ、文字で書かれている小説のセリフは話し言葉か書き言葉か、と厳密に考えると泥沼にはまる可能性が高いのでスルーする(個人的には話し言葉だと思う)。
●「呼びかけ」(「注意喚起」と考えるほうがいいらしい)は「無助詞」になりやすい。
●「目上の人」に対しては「無助詞文」になりにくい。
 同じ内容でも、「親しい同格以下の人に話す場合」は「無助詞文」になることがある。言葉づかいがラフになればなるほど、その傾向が強くなる。相手が子供だと、「無助詞文」だらけになることもある。
●「省略」(もしくは「無助詞」)が「省略」(もしくは「無助詞」)を呼ぶ傾向がある。
●「聞き手の情報を求める文」と言うか、要するに疑問文だと「無助詞文」になる傾向が強い。
 こういうことをどこかに書いてあるのかな。
 あとは考えはじめると泥沼が待っている予感。
 (15)(19)(20)は同じ意味でも言葉づかいをもう少し丁寧にするとかなりかわる。

(15)なあ、これ (φ/ * ハ/ * ガ/ )、わかる?
「なあ、」と「わかる?」がタメ口なんで、φが自然なのだろう。しかも直後に読点があるから、無助詞文のほうがずっと自然になる。
(15)’ 済みませんが、これ (φ/ * ハ/ * ガ)わかりますか?
 これなら「ハ」が自然だろう。(「ガ」の近接の影響もある?)

(19)ねえ、ニコちゃんストアー、行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ )ある?
「ねえ、」があるうえに直前の「に」が省略されている。
(19)’ (つかぬことをうかがいますが、)ニコちゃんストアーに行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ)ありますか?
 これなら「ハ」「ガ」もアリだろう。

(20)『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ )読破?
「読破?」だもん。相当ラフ。あれ、このセリフは図書館司書だから常磐貴子だよね。このなれなれしさはキムタクっぽいけど(これは『ビューティフルライフ』のセリフらしい)。
(20)’ 『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ)もう読破したのですか?
 これなら一番自然なのは「ハ」だろう。「ヲ」もアリかな。

 以下、論文の例文を読み進めていくと、同様の疑問がブクブクと湧き立ってくる。なかには、φのほうが自然ってケースもあるけど、割合としては……。どなたか検証してください。
 何か当方が大きな勘違いをしているのだろうか……。

 ちなみに、無助詞の話は過去にトピも立っている。
【「助詞」の有る無し】 
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=30473460
 上記の論文よりはずっとまともな気がするが、当方にはむずかしいorz。「呼びかけ」ではなく「注意喚起」ってコメントには感心した。例によって、おひとかた以外のコメントが……。

「無助詞文あるいは助詞の省略」に関しては下記参照。
【学者の言葉〈外伝〉──無助詞文あるいは助詞の省略〈2〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2447.html


学者の言葉〈2〉
──「わからない」「わかりにくい」ということ

mixi日記2012年01月24日から

 下記が公開制限のある日記なので、関係箇所だけ転載する。
 以下は、とある「学者の卵」が書いたものから抜粋している。
 著作権? まあ厳密に言えば問題があるだろうな。(←オイ!)
【完全毒日記──全方位毒吐き30 公開制限あり】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1808391282&owner_id=5019671
================================
●キーワード集
1)「学者の言っていることがわからん」のはある程度当たり前
2)ある程度の知識がある事を前提としてアカデミックな議論というものは成り立っている
3)知識が無い人間にとって学者のいう事がわからないのは当たり前
4)専門知識が無い一般人向けに専門分野を紹介する文献(新書に多い)も存在する
5)一般人にもわかりやすく理論を単純化し、それでいて本質を外れない記述というのはなかなか難しく、普通の学者に出来る事ではない
================================


「●キーワード集」の1)~3)は一種の居直りでしかない。
 こういう考え方をしている限り学者と一般人の間の溝は埋まらず、コミュニケーションはむずかしい。編集の世界で「学者と医者の原稿は使いものにならない」と言われるのは、そのせいだろう。
 ただ、4)5)にあるように、一般人に通じる文章が書ける学者も存在する。当方が仕事で読んだ原稿のなかにも、そういう例はいくつもあった。
 おもしろいもので、まともな文章を書ける人は、不明点を指摘すると理解して修正してくれる。文章が書ける人は読解力もあるから、こういうまともなコミュニケーションができる。
 まともな原稿を書けない人に「わかりにくい点」「わからない点」(場合によっては「間違っている点」)を指摘しても、理解できない。妙な理屈をこねて言い訳をすることはあっても修正はしない、と言うよりできない。理解できたら、そもそもそんな原稿は書かないか(これは学者でもライターでも同じかも)。
 しかもそういう人に限ってプライドが高いから、ウカツなことを指摘すると逆ギレする。こうなると泥沼。「こんな原稿は使えない」と突き返すしかなくなる。そういうめったにない扱いをしてしまった人が、最近テレビで講釈を垂れているのを見ると、ちょっとホニャララな気持ちになる。

 やさしく書こうとしても限界があるジャンルもある。たとえば医学。これはきわめてむずかしい。病名ひとつとっても、素人が理解できるように書くのはむずかしい。「くも膜下出血」あたりだと、脳の構造から始まってクダクダ書くと、それだけで数百字は必要になる。
 もっと身近な病名だって、簡単に説明するのはむずかしい。いまでも覚えているのは「頭の片側がズキズキと痛む偏頭痛」ってフレーズ。これはギャグではなく某健康雑誌の常套句になっていた。ちなみに、その編集部では医者に原稿を書かせることはハナからあきらめていた。誌面の体裁としては医者の記名原稿だが、実際に書くのは取材したライター。きわめて正しい態度だと思う。
 IT関係(例によっていい加減なイメージで、「コンピュータ関連」とほぼ同義)の記事あたりも、素人にわかるように書くのはむずかしいかも。そのテのマニュアルがむずかしいのは仕方がないかも。


●そもそも「わかりにくい」とはどういうことか
「わかりにくい」とか「わからない」とはどういうことか。 
 これを厳密に考えはじめると、禅問答に近くなる。うんと意地悪に考えると下記のようになる。
================================
「わかりやすく書け」という、だれにも反対できないように思える理屈にも、落とし穴はある。「わかりやすい」かどうかは、たぶんに書く人と読む人との関係性によるのである。極端な話、数式や楽譜は「わかやすく」(ママ)するために発案された書法である。しかし、わからない人にはわからない。万人にわかりやすい文章など、厳密にいえばありえないのだ。(『文章読本さん江』)
================================

 ここまで考えはじめると、グチャグチャになりそうだ。なかにはツワモノもいて、ごくフツーのショップ紹介を、ものすごくわかりにくく書く人もいる。それはそれで一種の才能なのかもしれない。
 そういう話を別にすると、要は「専門用語の使い方のサジ加減」ってことになると思う。「くも膜下出血」という病名も一種の専門用語だろう。医者同士の会話なら当然通じる(別の呼称がありそうだな)。一般人でも、少し医学の知識のある人ならわかる(知識が正確か否かは別問題)。しかし、どんな病気かまったく知らない人に伝えようとすると、かなりむずかしい。ヘタに噛み砕くとかえってわかりづらくなり、ウソになってしまうことも多い。専門分野に特化したライターでもむずかしい話なんだから当然だ。このあたりは↑の「キーワード集」の5)に通じる。
 このへんのサジ加減がむずかしく、どの程度なら一般人にも理解できるのかわかったうえで解説できるのが、「普通の学者」にない能力をもった「貴重な学者」なんだろう。
「普通の学者」が書いた文章は、一般の人には通じない。たいていの学者はそのことを自覚しているから、一般の人に向かって講釈を垂れたりしない。
 したがって、フツーの生活をしている人は「普通の学者」の念仏に出会うことはめったにない。新書の類いで目にするのは「貴重な学者」の文章だから、一般人でも理解できる(例外は多々ある)。
 これがインターネットの世界だとちょっと事情がかわってくる。
 本来は学者の世界の内部資料とでも言うべき論文(紀要)や念仏が飛び交っている。ちゃんとした論文のpdfが手軽に手に入るのは喜ばしいことなのだろう。基本的に一般人はそういうものに近づかないから、ある意味棲み分けができている。
 学者が参加する掲示板にどんな専門用語がとびかっても、それはそれ。どうぞご自由としか言えない。
 困るのは、一般人に世界に「普通の学者」(「もどき」を含む)が進出してくること。専門的な話をわかりやすく解説してくれるなら大歓迎だが、そんな「貴重な学者」はめったにいない。
「全方位毒吐き30」で紹介した「学者の卵」が困ったちゃんなのは、一般人の話に学者の理論を持ち込んできたから。それで居直られたら、コミュニケーションにならない。
 質問サイトの掲示板のホニャララぶりは何度かレポートしてきたたが、不思議なことに学者の言葉で回答する人は見かけない。
 本能的に避けているのか、バカバカしくて寄り付かないのかはわからない。もしかすると、そういう勇敢な人もいたのかもしれない。でも誰にも相手にされないからフェードアウトしたのかもしれない。
 そういう意味では、ああいう質問板は自分の言葉の「わかりやすさ」や「正し(いっぽ)さ」を判定するのに適したツールかもしれない。Yahoo!知恵袋でBAが50%を超えている人のコメントなら、かなり信頼できる。もちろん、もっともらしいウソって可能性はある。


●mixiで見かける学者(もどき)
 これがmixiのコメントになると、そういう判定の基準がないせいか、偉そうに専門用語をふりかざすホニャララがけっこういる。
 当方が首を突っ込んでいる日本語関係だと、何人か思い当たる。
 少数ではあるが、学者の言葉と一般の言葉の両方を使い分けている人もいる。当方がこの面で信頼しているのは、SさんとOさん。この2人のコメントはよくわかるし、間違いもない。通常のコメントは当方でもわかる書き方をする一方、学者とのやり取りになれば、当方にはチンプンカンプンの書き方もする。簡単に言えばバイリンガル? ほかにもバイリンガルが何人かいるようだが、コメントすることが少ないので存在感がない。
「学者同士のやり取り」がどのようなものかは、当方が「コミュズレ3部作」と呼んでいる下記を見てほしい。
【独り言です56くらい──日本語教師関連編27 モゴモゴ王決定か※公開制限あり】K
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1417110060&owner_id=5019671
================================
 以下のコミュズレ3部作はあまりにもレベルが高すぎて、当方には何がなんだかわからない。たぶん「こどもの学習者」なら理解できるのだろう。「言語学」あたりのコミュならそう悪くないやり取りなのかもしれない。
 一部、コメントを入れてるマイミクさん。こんな書き方してゴメンナサイ。でも、この3部作はコミュのフツーの参加者には理解できないと思う。

【総記でしょうか中立叙述でしょうか】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48489573
 これってコミュズレだと思う。
【~おいてもらう VS ~もらっておく】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=49551162
 コミュズレ気味のうえ、何が論点なのか……
【格と副の交渉】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=50361254
 これもコミュズレだと思う。
================================


 下記だと少しマシかもしれないが、やはりコミュズレだと思う。
【「あげる」「くれる」「もらう」と第4の幻の動詞について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56252538&comm_id=398881

 別にこういうトピがあってもいいのかもしれない。当方は分をわきまえているから近づかない。できればヨソでやってほしいけど。
 困るのは、一般の人のやり取りに学者が口を挟むこと。繰り返すが、専門的な話をわかりやすく解説してくれるなら大歓迎だが、そんな「貴重な学者」はめったにいない。
 その結果、一般人のやり取りの間になんだかわからん念仏が剥き出しのまま投げ込まれる。そりゃ浮くでしょ。当然のことながら、書いてる当人は自分の文章が一般人には理解できないことを自覚していない。その自覚があって書いているなら、単なる迷惑行為だよ。
 多少わかりにくくても正しいことが書いてあるならまだ救われる。ヒドいのは、コンスタントにピント外れのコメントを書くあのおかた。当方の日記の中には消し逃げ癖のある人として何回か登場しているので、ご推察ください。
 難解なピント外れも困るけど、実はもっと困るのは、一見わかりやすそうにピント外れのことを書いてあるコメント。難解なことを噛み砕くにはそれなりのテクニックが必要で、ヘタに噛み砕くとかえってわかりづらくなり、先に書いたようにウソになることも多い。
 ウソにはならなくても、まるで小学生に語りかけるような口調で冗長になる。それでいて噛み砕くポイントが違うから、ちっともわかりやすくない。妙な表記を使っていると、その傾向がさらに強くなる。
 ここに悪意までついてくると、単なる荒らしよりはるかにタチが悪い。末期の糖尿病って呼んであげよう。
 あ~あ。せっかく少しまじめなことを書こうとしたのに、飽きてくるとこんなしょうもないオチになるのね。


学者の言葉〈3〉
── 専門用語の誘惑

mixi日記2012年02月11日から

 直接的には下記の続きだろうな。
【「そのようにおっしゃられても困ります」〈2〉毒抜き編 規範文法と記述文法】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1799904762&owner_id=5019671
【学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1813322718&owner_id=5019671
【学者の言葉〈2〉──「わからない」「わかりにくい」ということ】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1816531968&owner_id=5019671

 最近、『敬語再入門』(菊地康人)を読んでいる。1項目ずつ噛み締めているからなかなか進まない。もう少しで読み終わるので、『敬語』のほうに進みたい。「進みたい」は正確には「戻りたい」にするべきだろう。元々あったのは『敬語』で、その入門編とも言えるのが『敬語再入門』。『敬語』のほうがボリュームが倍近くあり、内容も盛りだくさん。当方の手に負えるのだろうか?
 それはさておき『敬語再入門』いついて。いやー、スゴいわ。訳のわからないバイト敬語を別にすれば、各種の質問板でとびかっている敬語関係の疑問のほとんどが解決する気がする。手元にある敬語関係の本がいかにいい加減かよくわかる。ネットでとびかっている珍説が哀れにさえ思える。
 言語学の専門家であることが随所にうかがえ、解説がイチイチ論理的で深みが感じられる。
 しかも、むずかしい言葉はほとんで出てこないので、当方のレベルが読んでもよくわかる。不明点もいくつかあるが、それは単に当方の勉強不足だろう。一般人がわからない言葉は使っていない。こういうのが「貴重な学者」の業績なんだろう。
 むずかしい文法用語や、一般人がわからない専門用語なんか使わなくてもあれだけの文章が書けるのは驚異なのかもしれない。あやかりたい、あやかりたい。


●使ってみたい専門用語集
 文法に関係するようなことを読んでいると、「この言葉をキッチリ使えたら便利だろうな」と思う言葉がある。
 使ってみたい誘惑に駆られるが、ヘタに使うとそれだけで文章が難解に見えてしまう恐れがある。微妙に使い方を間違うと恥さらしなる恐れさえある。
 完全な的外れかもしれないが、算数と数学の話を思い出す。
 算数の問題で、連立方程式を使えば簡単に解ける問題がある(鶴亀算とか?)。それを算数の解法でなんとかしようと思うと、けっこう難問になる。未知数が3個以上出てきたりすると、すんごい難問になる。だからと言って、算数の問題を連立方程式で解くのは反則だろう。小学生に円周率がなんで3.14かと訊かれて、高等数学を用いた証明を語り始めたら単なる●●だろう。
 文法の問題も、難解な専門用語を使うほうが説明が簡単なケースもあるだろう。「それは○○的に考えれば△△だから」で済むことがあるのかもしれない。そのほうがずっと簡潔で正確なんだと思う。でも「○○」も「△△」も知らない者には呪文でしかない。
 呪文が通じる相手には呪文を使い、呪文が通じない相手にはそれなりの説明をする。そういうことができる知恵者を当方はバイリンガル?と呼んでいる。「貴重な学者」も、バイリンガルの一種ってことになる。相手構わず呪文を唱える人はなんて呼べばよいのだろう。


「規範文法」「記述文法」
 使ってみたいけど、禁じ手にしている。一応辞書にはのっているけど、こんな言葉を素人が使ってもロクなことがない。下記などで教えてもらったからなんとなくわかった気になっているけど、そういうのは「生兵法」と言う。
【デス・マス体が書きにくいワケ4──デス・マス体のナゾを考えるヒント】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1539218404&owner_id=5019671
 ちなみに、『敬語再入門』には当方が読んだ限りそんな言葉は出てこない。「規範的に」という表現は何回か出てくる。これは「規範文法」とも読めるが、一般の言葉(「ルール」くらいの意味)と解釈しても支障がない。このへんのサジ加減は見事。


「共起(する)」
 これは使える気がしたけど、辞書をひいてあきらめた。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%85%B1%E8%B5%B7&stype=0&dtype=0
================================
きょうき1 【共起】
(名)
スル
〔専門〕 言
〔補説〕 co-occur
複数の言語現象が同一の発話・文・文脈などの言語的環境において生起すること。「しとしと」は「雨が降る」とは共起するが、「雪が降る」とは共起しないといえる。アメリカの言語学者ハリス(Z. S. Harris (1909- ))の用語。
================================
 
 国語辞書が専門用語にしている。文法音痴の素人がそんな言葉を使ってはいけない気がして尻込みしている。
 初めてこの言葉を聞いたときにはたしかに異和感があったが、いまはない。ひとつ賢くなったとも言えるが、一種の感覚麻痺とも言える。やはり、一般の辞書が専門語扱いしているような言葉は使うべきではない。でも便利そうなんだよな~(泣)。
「非文」なんかも国語辞書にはのっていない。やはり使っちゃダメなんだろう。しかも「非文」は「規範文法」の用語ではなく「記述文法」の用語らしい。そりゃ避けといたほうが無難だ。


「コンテクスト」「コンテキスト」
「文脈」にしておくべきだろうな。ちなみに「前後の文脈」ってよく目にするけど……やはり重言だろう。


「逆接」「順接」
 以前、「専門用語」だと指摘を受けた。でもフツーの国語辞書にのっているしなー。非常にわかりやすい言葉だし、よく目にする。そんな言葉まで避ける気はない。専門用語ではどういう意味なのかは知りません。


「蓋然性」
 これはどちらかと言うと数学系の言葉だと思う。国語辞書にものっているので専門用語ではないのだろうが、要注意。「蓋」は常用漢字に追加されたらしい。字面が森駅の名物弁当っぽいし、なじみが薄い。当方なら「必然性」とか「確率」に書きかえる。微妙なニュアンスの違いはあえて無視する(わかってないだけ?)。


「恣意的」
「恣」も新たに常用漢字に加わったらしいけど、なじみが薄い。これは一般語だと思うけど、個人的には使えない。「(自分)勝手」とか書いてしまう。微妙なニュアンスの違いはあえて無視する(わかってないだけ?)。


【新常用漢字(常用漢字に追加された196字)】
http://www.kanjijiten.net/joyo/newjoyo.html

これならわかる!? 助詞の「ハ」の使い方  教えてgoo

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【18】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1955992054&owner_id=5019671

mixi日記2017年月日から

 テーマサイトは下記。
【日本語文法 「は」と「が」の違いについて】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9803715.html

===========引用開始
みなさんこんばんは、質問させてください。
下記リンクの8ページ目の問題です。
http://www.jlpt.jp/samples/n4/index.html
(以前住んでいたアパートは、大学まで1時間半かかった。)
でも、今のアパート(は)大学まで歩いて10分位です。
4.は が答えですが、正直「は」と「が」の違いが分かりません。

例えば、「今日は誰が来ますか。」「ナンシーが来ます。」
の時に”が”になるのは分かるのですが、それ以外に主語に”が”を選ぶ理由が分かりません。
よろしくお願い致します。
===========引用終了

 まっとうな解説としては、No.3のかたがひいた『「は」と「が」』あたりが正解なんだろう。
 せっかくだから、そのまま引用させてもらう。
===========引用開始
 『「は」と「が」』野田尚史著 (くろしお出版 1996)より


 『「は」の基本的な性質のまとめ』

1) 格を表す「が」や「を」などとは違い、文の主題を表す助詞である。

2)「は」が使われる文……「~が」や「~を」のような格成分の名詞が主題になった文のほか,連体修飾の「~の」の中の名詞が主題になった文,被修飾名詞が主題になった文など,いろいろなものがある。

3)文章・談話の中の「は」……「は」が使われる文は,前の文脈にでてきたものや,それに関係のあるものを主題にする。そして,文章・談話の中では,話題を継続するのに使われる。

4)従属節の中の「は」……主題の「~は」は,「~たら」,「~とき」,「ため」のような従属節の中にはでてこない。

5)「は」の対比的な意味……主題を表す働きが弱く,対比的な意味を表す働きが強いものがある。
    第一は仕事で、第二は家庭だ。

  『「が」の基本的な性質のまとめ』

1)「が」の文法的な性質……「を」や「に」などと同じく,述語と名詞との格関係を表す助詞である。

2)「が」が使われる文…… ア)とイ)の2種類がある。
 ア)主題をもたない文
     八木がホームランを打った。
 イ)述語が主題になっている文
     八木がキャプテンだ。→キャプテンは八木だ。

3)文章・談話の中の「が」
 ア)主題をもたない文……前の文脈とつながりをもたず,話題を導入したり,転換したりするのに使われる。
 イ)述語が主題になっている文……前の文脈にでてきたものや,それに関係のあるものを主題にして,話題を継続するのに使われる。

4)従属節の中の「が」……「~たら」,「~とき」,「~ため」のような従属節の中では,文の主題は問題にされないので,主題を表す「~は」は使われず,格を表すだけの「~が」が使われる。

5)「が」の排他的な意味……主格を表す働きが弱く,排他的な意味を表す働きが強いものがある。
    おれがやる。(君らではなくて) 
===========引用終了

 定評のある書籍だから、この解説にイチャモンをつける勇気はない。
 ただ、これで一般の日本人が納得できるかというと……無理だろうね。当方はこのテーマに関してそこそこ勉強しているつもりだが、この解説にはついていけない観が強い。
 かと言ってあんまり省略すると、それはそれでわからなくなる。
 助詞の「ハ」について、こんな説明なら一般人でも納得できるのでは……って説明を試みてみたい。無謀だとは思うけど、ちょっとほかとの兼ね合いもあってね。
 ハの働きの分類に関しては、かの『日本語練習帳』にご登場いただこうか。
 詳しくは下記をご参照ください。
【チャレンジ日記──「は」と「が」 毒抜き編 〈1〉~〈7〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-592.html

1)問題(topic)の下に答えを持ってくるよう予約する
2)対比
3)限度
4)再問題化
 
 この分類はよくできていると思う。ただ、同書の解説がホニャラララ。サラリと読んだときには「なるほど」と思ったが、じっくり読むと……。
 詳しくは↑のチャレンジ日記の〈1〉を読んでほしい。
 で、改訂版(エラいセンセーの説に改竄を加えるのは、とっても失礼。よい子は絶対にこういうマネをしてはいけません)。

1)主題
2)対比
3)限度・強調
4)その他

 いろいろな文献がいろいろな分類を試みている。読んでて実感が湧かない理由のひとつは、どれが大事なのかを書いてないからじゃないだろうか。
 実態は膨大な量の例文を解析しないとわからないだろう。そんなことをしているとたいへんなので、予想値で書いてしまう。それぞれの出現割合は下記くらい。煩わしいので「約」さえつけない。

1)主題         80%
2)対比         10%
3)限度・強調+4)その他 10% 
 だいたいこんなもんだろう。異論がある人はどうぞ。ちゃんとした統計に基づく異論があればすぐに訂正します。(←オイ!)
 全体の80%を占めるのが、「主題」のハ。問題になることはあまりないから、細かい話はとりあえずパスする。だって、ほとんどの人はわかっているから。
 問題は、それ以外の20%の部分。ちなみにこういう場合に「残りの20%」と書くのは誤解のもと。20%の20%だと全体の4%になってしまう、って考え方もできる。
 主題以外の半分を占めるのが「対比」。
「彼ハ賢いが、僕ハ愚かだ」 
 こういう場合のハは対比の働きと考えるのが素直。
 とは言っても、けっこう微妙なことが多い。たとえば、ある人が「彼ハ賢い」と書いたときに、ほかの誰かと対比しているか否かは他者にはわからない。この段階では単なる主題と考えるべきだろう。「彼ハ賢いが、僕ハ愚かだ」と並べられると、「対比」であることがわかる。
 そう考えると、「主題」に見えるハのかなりの部分は「対比」かもしれない。何%なのかはわかりません。
 2)3)4)の違いを見るための例文を考えた。文法の話でこんなバカな例文を持ち出すヤツはいないだろうな。
 説明の都合上、一文ずつ改行して番号をつける。

①大食い自慢の彼ハ、実際には牛丼を2杯しか食べられなかった。
②僕ハもっと食べられる。
③たぶん4杯ハ食べられる。
④でも、5杯ハ無理だな。
(……実際に食べてみる)
⑤4杯ハ食べられると言いハしたけど、考えが甘かった。
⑥3杯でギブアップだった。

 ①だけなら「主題」と考えるのが素直だろう。①②がセットになったら「対比」でいいだろう。
 ③は「限度・強調」だろう(微妙なことが多いので、この分類にした)。どちらにもとれる。これが④だと「限度」だろうな。
 ⑤の1つ目も「限度」だろう。これがペロリと食べたのなら「強調」になりそう。
 メンドーなのは⑤の2つ目。『日本語練習帳』が「再問題化」と呼んでいるのは、こういう用法らしい(正確にはわからない)。
 大野先生でも持て余したのね。そういうのは一種の特殊用法なんだから、「その他」にしておくほうが無難だろう。ちなみに、ハにはほかにも特殊用法がいくつかある。そういうのも全部「その他」のしておけばいいの。全部を網羅しようとするとむずかしくなる。
 ↑の1)~3)を知っていけば、90%以上は理解できるはずだから大丈夫だって。
【「ハ」の用法 男は度胸、女は愛嬌 春はあけぼの 東京は浅草にやってまいりました〈1〉〈2〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2177.html


これならわかる!? 助詞の「ハ」の使い方  教えてgoo〈2〉

 ご意見をうかがうために、mixiでトピを立てた。
【【「は」と「が」】外伝 初心者にもわかる助詞の「ハ」の使い方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2748&id=83095700
 知識はあっても常識がないいつものホニャララのコメントがついてゲンナリした。
 この鼬コメントに関してはいろいろ思うところがあるが、それは別の機会に。

 で、あまり必要ではない後半部。
 〈1〉では助詞のハの80%は「主題」と書いた。
「主題ではなく主語を表わすのでは」という疑問が湧かないだろうか。このあたりをちゃんと説明しないと、「主語」「述語」になじんできた日本人はピンと来ない気がする。
「日本語には主語がない」って考え方はそのとおりだと思う。
 そのとおりだとハ(強調? 再問題化?)思いながら、自分の中にも納得できに気持ちがある。
「私は学生です」の「私」は主語じゃないのか?

 基本を理解するための考え方として、これは「主語」でもいいと思う。厳密に言うと「主語」ではない、と考えるのは上級者の仕事。もちろん、日本の国語教育が「日本語には主語がない」という考え方をしてくれるなら、それでもいい。
 現実には「主語」「述語」で育ってきてんだから、それを引っ繰り返すのはたいへんじゃないかな。だったら、そのまま「主語」でいいじゃん。「日本語には主語がない」と考えるのは、専門的な勉強を始めてからで十分だよ。
 もちろん、「主語」とはいいにく例も多々見られる。「きょうは……」あたりが典型だろうか。
「きょうは私がご飯を作る」の主語は……「私」だろうな。

 うんとシンプルに考える。
 助詞のハの80%は「主題」。ただ、そのなかには、義務教育で「主語」とされているものが相当含まれる。割合としては半分くらいでいいや。つまり、「主題」のうち半分は、「主題=主語」で、残りは、「主語」とは言いいにくいもの。
「私ハ学生です」とか「私ハご飯を作る」なら「主題=主語」だから、義務教育レベルの考え方で問題がない。うんと乱暴に書くと、ガに置きかえられそうなハは、「主題=主語」と考えていいはず。

 ついでに書くと……。
「きょうハいい天気です」だけなら「主題」。
「きょうハいい天気です。だから洗濯をします」でも、この段階では「主題」。
 これが「きょうハいい天気です。きのうまでハ雨続きでしたが」となるなら「対比」。
「きのうまでハ雨続きでしたが、きょうハ(試合があるので)晴れてほしかった」だと「対比」を通り越して「限度・強調」だろう。
 このあたりはいろいろな考え方ができると思う。

「的」の話。

1036)【「的」の話────「わたし的には」「個人的には」「将来的には」】 辞書
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1912584154&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2863.html

1229)【「的」の話〈1〉 資料編 辞書】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1932107765&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3092.html

1485)突然ですが問題です【日本語編228】──「的」の使い方 個人的な考え 有効的な方法 直截的な表現 壊滅的な出来の悪さ【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946042907&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3295.html

 ↓
【「的」の使い方──有効的 直截的 「和語+的」「代名詞+的」「壊滅的な出来(の悪さ)」】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12072189199.html


 下記もリンクをたどるとかなり役に立つ(はず)……と言うより笑える。
【有効的って言葉、間違った表現ですよね?】
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12172640097
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