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『お言葉ですが10) ──ちょっとヘンだぞ四字熟語』四字熟語って4字の熟語?

『お言葉ですが…10) ちょっとヘンだぞ四字熟語』高島俊男

 2009年3月に出ている。ちょっと事情があって、これは単行本をもっている。しかし、なんとも恐ろしいことに内容はほとんど覚えていないorz。お陰で非常に新鮮な気持ちで読めた。

10-4-9 p.17~のテーマは〈官官接待 言語道断〉。
【引用部】
 最も語数が多いらしく「類書を凌ぐ約五、六〇〇項目」といばっている三省堂編集所編『新明解四字熟語辞典』は、凡例で六分類してある。ごく圧縮してご紹介すると、①現代社会、②日本の成句、③中国典籍、④仏教語、⑤之(の)入り、⑥訓読語、である。
 右の⑤は「背水之陣」のように之がはいっているもの、⑥は「灯火可親」のような通常は訓読みするものである。この⑤⑥あたりが境界線らしく、和語(訓読み)を含むものはとらない、ときめてある辞典もある。たしかにどこかで歯どめをかける必要はあるでしょうね。(p.19)
 下記を書いたときには当然これを読んでいるはずだが、何も覚えていないことがよくわかる(泣)。なんかいまとなっては懐かしい話だな。
独り言です──9 「好ましい日本語」をめぐって【順次追記予定】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1147541985&owner_id=5019671
 結局、熟語って、「音読み」だろうが「訓読み」だろうが構わないみたい。ホントにそうなのかなぁ?
 ↑のときにも書いたけど、「水魚之交」とかも四字熟語なのかな。かなり疑問。「背水之陣」も相当ヤだな。

10-4-10 p.70~のテーマは〈茂吉と兼常博士の大ゲンカ〉。
【引用部】
菓子は喰ふてうまかつたら、その上何にもいふ事はありません。菓子がわかるといふやうな事は意味のない事です。音楽は耳で喰ふ菓子のやうなものです。(p.70) 
 音楽学者兼常清佐(かねつねすけきよ)の文章。芸術論などでよく目にする話だが、文章がえらくわかりやすい。
 で、この兼常清佐に対する高島先生の評。
【引用部】
 もっとも、小生が好きだというくらいだから、こんな穏健なことばかり言っていた先生ではない。しょっちゅう過激なことを言っては物議をかもした。右の発言だってみようによってはかなり過激なのである。(p.70)
 なんて正しい自覚(笑)。
 で、この兼常先生が斎藤茂吉とも舌戦を繰り広げている。なんか、論争の方向性が子供の喧嘩のようで、その意味でタイトルの「大ゲンカ」はきわめて正しい。

10-4-11 p.167~のテーマは〈補助動詞が多すぎる〉。
 補助動詞(もしくは「形式動詞」)とは、「~ている」「~てやる」「~でみる」「~てしまう」などで、なかでも使用例が多いのは「~ている」ではないかとのこと。
 下記は、ちょっと関係あると言えばあるかもしれない。
【「~ていません」「~ませんでした」】☆日本語教師☆
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1453802950&owner_id=5019671
 で、昔の人は、いまほど補助動詞を使わなかったらしい。

【引用部】
 衝撃的と申したのは、いまの人は補助動詞を多用する、むかしの人はめったにもちいない、という事実を、自分がこれまで意識したことがなかったからです。たしかに、「とんぼがとまる」は「とまっている」をも包含していたのでした。(p.169)
 それがなぜ「~ている」を多用するようになったか。筆者は、英語の現在進行形の影響ではないか、と推論している。
 明治期には、「つつある」と訳していた。これがいかにも書き言葉っぽので、だんだん「~ている」になった。いったん「~ている」が定着すると、「雨が降る」では物足りなくて、「雨が降っている」と書くようになった。
 たしかに、「雨が降る」だと中途半端な感じがある。
 過去なら「雨が降った」。現在だと「雨が降る」でもいいはずだが、「雨が降っている」としたくなる。
 実は、当方は書き癖で「~ている」とする傾向があるらしい。昔校閲者に指摘されて気がついた。「~ている」は現在進行形を表わすだけではない。
 たとえば、過去形も「○○は、△△と書いている」と書くほうが、なんとなく落ち着きがいい。あるいは「△△と書くことにしている」なんかもよく使う。
 要は、当方の語感が現代的ってことなんだな。(←違ーーう!)

10-4-12 p.174~のテーマは〈連中、老中、女中〉。
 聞いたこともない話がズラズラ並んでいて、全文を書き写したい衝動に駆られる(笑)。
・「女中」の元々の意味とか
・「○中」が「複数の人たち」を表わすとか
・「御中」は元々「人々御中」(ひとびとおんなか)だったとか
【引用部】
 人を呼ぶ(指して言う)語にふくまれる敬意は時とともに減ずる。人は他人を呼ぶにしばしばその実際の身分よりすこし上の呼称をもってし、やがてそれが一般化する故である。「奥様」がよい例である。(p.178)
「貴様」だの「お前」だのになると、敬意が減ずるが済まなくなっている(笑)。

10-4-13【引用部】
 いま日本で、だれでも知っていて名が体をあらわしていない言葉の双璧は「小説」と「高等学校」でありましょう。(p.190)
 清水の舞台から飛び降りる覚悟(誤用だな)で、インネンをつける。蛮勇をふるって……これもちょっと違うな。
 こういうときに「双璧」と呼んでいいのだろうか。
 双璧、両雄、両輪、竜虎……どれもいい意味限定の気がする。
 個人的には、「双璧?」といった形でギャグとして使う。「バカの二大巨頭」とかならもっとハッキリする。

10-4-14【引用部】
  山峡のとおく入りきていでる湯の丘のはずれにけうも親しむ(p.213)
 斎藤茂吉の作として産経新聞のエッセイ中に引用されたらしい。
 これが、文語がわかる人にはものすごく滑稽らしい。この一首の中に、ありえない数の不自然な点や間違いがある(笑)。

10-4-15【引用部】
 なお日本には、マウリッツより先に織田信長が長篠で「三段射ち」をやったという話があるが、それは大ウソなのだそうですよ。(p.245)
 へーへーへー。

10-4-16【引用部】
 隊員たちが幅広にきりりと締めた鉢巻の、日の丸の右(向って左)に大きな「誠」の字が見える。(p.271~272)
 p.271~のテーマは〈陸軍特攻誠第百十九飛行隊〉。
 これも俎上にのせられているのは産経新聞。あまりにもボロボロで、笑うしかない。
 メモをしたのはまったく別件。H多勝一なら「鉢巻の、」の読点に噛み付くかもしれないが、そんなことをする気はない。この文のようにほかに読点がない文なら問題を感じない。何よりこの文はエッセイだから芸術文の範疇だろう。他者がトヤカク言うようなことではない。
 気になったのは〈日の丸の右(向って左)〉の部分。
 写真の被写体の右横に関して、昔はこういう書き方をしていた。ふと気がつくと、「向って左」のことを「左」と言うようになっていた。
 ガイドブックは写真の説明をすることが多いので、このテの表現が出てくる。
 ただ、少年時代(いつのことだよ)には「向って左」の類いを目にしたけど、仕事でガイドブックにかかわるようになってから見ていない。ってことはこれも死語の類いなのかな。
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『芭蕉のガールフレンド──お言葉ですが…9』──バイト敬語のルーツ

『お言葉ですが…9) 芭蕉のガールフレンド』高島俊男

 2008年6月に出ている。完全に失念していた。切腹ものorz。10)とともに書店で注文する。1月31日に注文して2月6日に到着なら立派なもんか。
 例によって読むと自己嫌悪に陥る。だって「言葉」を扱っているのに、八割方は知らないことなんだもん。いったいどれだけ勉強したらいいんだよう。

10-3-6  p.47~のテーマは〈ケンケンガクガク?〉。
『広辞苑』は1991年の第4版の段階で喧々諤々を採用しているらしい。フーン。ってことは、世間的には「喧々諤々」が誤用と言い切れなくなって20年近くたつのね。 

10-3-7 p.112のテーマは〈文ちゃん文ちゃん〉。
 手紙では、「対称(相手を呼ぶ語)が是非必要になるばあいが、どうしてもある」とのこと。男同士ならいくつがあるが、男が女を呼ぶ対称はないらしい。やはりないんですね。困ったもんだ。結局○○さんしかないらしい。

10-3-8【引用部】
 その際だいじなのは「漢字で考えない」ということですね。「字をかく」のは「書く」で「かゆいところをかく」のは「掻く」だからこれは別のことばだ、などというのはいけません。日本語の本体は漢字である、と思いこみ、何かと言えば漢字を持ち出すのは有害無益、考えまちがい、とこれは毎度申している通りです。(p.136)
 p.133~のテーマは〈かごかく 汗かく あぐらかく〉。
「かく」の正体を考えるのに「かく」などがつく言葉を並べたあとに書いてあるのが↑。一般の編集者とかライターは、用字用語の使い分けなんてことにこだわっているから、こういう考え方ができないorz。

10-3-9 p.145~のテーマ〈ファミレス敬語はマニュアル敬語〉。
「保険証をお持ちでなかったですか?」(妙な過去形)
「天丼になります」(妙な未来形)
 について書いたら、読者が「全疑問一挙解決のめざましい新聞切抜き」を送ってくれたそうな。もしかするとネット上にテキストが転がっていないかと思ったが、見つけたのは2つとも本書からの引用だった。毎日新聞(平成15年5月31日夕刊)で、フリーアナウンサーの長野智子氏が「メディアの手習い スタジオ発」と題したコラムらしいから、今度図書館で探してみようか。
 ちなみに、この文章が書かれた「週刊文春」は2004年1月29日号。
【おぼえがき】
http://wjunya.blog39.fc2.com/blog-entry-72.html
【日刊★気になるフレーズ】
http://randomkobe.cocolog-nifty.com/center/2006/12/index.html
【引用部】
〈…「こちらケチャップになります」(これからケチャップになるのか)「カレーでよろしかったでしょうか」(何故過去形?)「1000円からお預かりします」(どっからじゃい)といった、いわゆるファミレス敬語に不愉快な思いをしている人も多いだろう。実際、TBSラジオ「アクセス」でこの問題を取り上げたら……〉(p.145~146)
「衝撃的な内部告発電話が入ってきた」らしい。「約20年前ファミレスが増え始めた頃、某大手R社が接客ビデオを制作した。現在使用されている変な敬語は、全てそのビデオにマニュアル化されていたのだ」というのである。高島先生はロイヤルホストと推測したら、これはのちにリクルート社と判明したとのこと。とにかく、諸悪の根源はこのビデオらしい。まあ、ほかにもあるんでしょうけど。

10-3-10 p.202~のテーマは〈佐々成政の峠越え〉。
 和暦と西暦の話。長年の疑問がひとつとけた。新聞は最近の年表記を2009年(平成21年)のようにしている。ところが、古いものに関しては、「弘安4年(1281)」のように書けとしている。
 これがどうにも腑に落ちなかった。現代の新聞に合わせるなら「弘安4年(1281年)」だし、論理的に書くなら「弘安4(1281)年」だろう。
 どうやらこういう場合の「1281」は「年」ではないらしい。『岩波日本史辞典』の判例には次のようにあるとのこと。
【引用部】
西暦年次は元号に便宜的に対応させたものであり、和暦年月日から換算した年度ではない。(p.206)
 そう考えないと、西暦と和暦では微妙なズレがある。もう少し怖いことを書くと、たとえば1278年が和暦で何年なのかは、簡単には判断できない。対照表とかを見ればわかると思うが、1278年は建治4年でもあり、弘安元年でもある。正確にはどちらなのかを調べるには、もっと細かい対照表が必要になる。そこまでしている編集者やライターはどのくらいいるんだろう。

10-3-11【引用部】
 この本にかぎらず、概して日本の学者文人は説教を垂れるのが好きなようだ。日本の随筆は支那の学者の随筆を模倣したものだが、あちらのにはそんな野暮なのはめったにない。
 支那でも日本でも、随筆は読みもののなかで最も講習なものである。日本の事情は鴎外が『ヰタ・セクスアリス』で「馬琴京傳の小説を卒業すると随筆讀になるよりほかない」と言っている通りだ。説教は高級ではない。(p.230)
 なんでこんなことになっているのかはわからない。現代人も「説教」が好きだし、自虐思想も好まれる。こういう国は珍しいらしい。

10-3-12【引用部】
 これは、テレビ局の人が若い熱意とテレビの威光をたよりにガムシャラに調べて書いた本である。なにぶん基礎がないこともあり、率直に言って甚だあぶなっかしい。最もいけないのは「何事も手を尽くして調べればわかる」と思いこんでいることだろう。(p.289)
〈最もいけないのは「何事も手を尽くして調べればわかる」と思いこんでいることだろう〉は名言かも。そのへんのバカガキが口にしたらはっ倒すかもしれないが、高島先生が書くと重い。さらに言うと、最近のかたの「手を尽くす」の半分(以上?)は「ネットで検索すれば」の可能性が高い。

10-3-13【引用部】
 金田一春彦先生が学生のころ、国語学をやりたいと父京助に相談した時京助は、それはよいがやってはいけないものが三つある、とその筆頭に語源の研究をあげた。「たいていコジつけだ、学者仲間からは相手にされない」と言ったそうである。(『父京助を語る』補訂版。ちなみにあとの二つは詩の韻律と国語系統論)。(p.291)
 理由はよくわからないが笑ってしまった。本文も「アホ」の語源について3回にわたって書いたあと、〈調べるだけ調べた上で、「わかりません」と降参するのが最も穏当な態度であるかもしれません〉と書いている。
 でもさ。「アホ」の語源ひとつで、こんだけの長さの「読ませる」文章を書ける書き手ってそうはいないと思う。

第960回「あなたの大好物は何ですか?」──この質問は無礼にもほどがある!

そりゃ人並みにムフフ関係は好きだよ。でも「スキモノ」呼ばわりはないだろ。しかも言うに事欠いて「大スキモノ」だと? ふざけるなぁなぁなぁ!! なんか違いました?

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☆冷やかしちゅいったぁ、始めました
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こんにちは!トラックバックテーマ担当の水谷です!今日のテーマは「あなたの大好物は何ですか?」です。みなさんの、好きな食べ物って何ですか?水谷は、子どもっぽいのですが、ハンバーグが大好きです。最近は実家で食べることも少なくなったので「びっくりドンキー」で食べることが多いです。【おろしそバーグ】にするか、それとも【チーズカレーバーグ】にするか・・・いつも悩むところです。ちなみに、トラックバックテーマ担...
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