下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.htmlhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671
mixi日記2010年05月17日から。
いつまでも放っておくわけにもいかないので、解答編です。
まず問題を再掲する。
================================
【問1】次の「手数」の読み方を答えなさい。※複数回答可
1)(ボクシングの試合結果)手数の差が勝敗をわけた
2)お手数をおかけしました
【問2】次の「逆手」の読み方を答えなさい。※複数回答可
1)相手の腕を逆手にとる
2)刀を逆手に握る
3)相手の言葉を逆手にとる
【問3】次の言葉の読み方を答えなさい。※単数回答不可
人気
【問4】次の「上手」「下手」の読み方を答えなさい。※1問のみ複数回答可
1)下手⇔上手(相撲)
2)下手⇔上手(舞台)
3)下手⇔上手い
4)下手⇔上手(「下手」の読み方は3)と同じ)
5)下手(人)
6)下手(物)
================================
【問1】
1)は「てかず」(「てすう」が間違いとも言い切れない気もする)。
問題は2)の読み方。「てすう」か「てかず」か。
まず下記を見てほしい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1340215948
4人が4人とも「てすう」としているから「てすう」だろう。ホントか?
こういう意見もある。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111026881
「両方あり」「本来は〈てかず〉」という意見が出てきた。
ここでやおら(正しく「おもむろ」の意)辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E6%89%8B%E6%95%B0&stype=1&dtype=0
================================
て‐かず【手数】
1 「てすう(手数)1」に同じ。「―をかけた料理」
2 「てすう(手数)2」に同じ。「お―ですが、よろしくお願いします」
3 囲碁・将棋などで、ある手段を施すのに必要な着手の数。また攻め合いで、石を打ち上げるために詰めなければならない駄目の数。「―を読む」「白のほうが―が長い」
4 ボクシングで、パンチを出す度数。「―は多いが有効打が少ない」
================================
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E6%89%8B%E6%95%B0&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=1&index=14716212697500
================================
て‐すう【手数】
1 それをするのに要する動作・作業などの数。てかず。「―のかかる料理」
2 他人のためにことさらにかける手間。てかず。「お―でもよろしく」「お―をかけて恐縮です」
================================
これを見る限り、1)は「てかず」。2)はどちらでもいいけど、本来は「てすう」ってことになる。
『大辞林』だとちょっとかわってくる。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A6%E3%81%8B%E3%81%9A&dtype=0&stype=1&dname=0ss
================================
てかず1 【手数】
[1]ある事をするための労力。手間。てすう。
・―のかからない仕事
[2]碁・将棋などの手の数。てすう。
・―が少ない
[3]ボクシングで手を出す回数。
================================
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A6%E3%81%99%E3%81%86&dtype=0&stype=1&dname=0ss
================================
てすう2 【手数】
それをするのに必要な動作・細工などの数。また、それが多くて面倒なこと。てかず。
・―ばかりかかる仕事
・お―ですがよろしくお願いいたします
================================
2)の意味の「手数」に関しては「てかず」でも「てすう」でもどっちでもいい感じだけど、「お手数ですが~」の用例がなぜか「てすう」にしかのっていない。
手元の『広辞林』だと、「てかず」をひくと「てすう」を見よ、とある。つまり、本来は「てすう」と言うこと。ただし、「てすう」の項目にはボクシングや囲碁・将棋関係のことは書いてない。
この「てかず/てすう」問題に関しては10年以上前に身内で話題になり、「本来はテカズ」で決着がついたと記憶している。いまとなっては根拠は示しようがない。
現在の趨勢としては下記のようになる。
1)てかず/てすうのどちらでもいいが、一般には「てかず」が優勢。
2)てかず/てすうのどちらでもいいが、一般には「てすう」が優勢。
【問2】
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E9%80%86%E6%89%8B&stype=1&dtype=0
================================
ぎゃく‐て【逆手】
1 柔道などで、相手の腕の関節を逆に曲げる技。
2 相撲で、禁じ手のこと。
3 相手の攻撃をそらし、逆にそれを利用して攻め返すこと。また、ある状況などに対して、ふつう予想されるのとは反対の方法で応じること。さかて。「不利な条件を―に取る」
4 物の持ち方や握り方が普通とは逆であること。さかて。⇔順手。
================================
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E9%80%86%E6%89%8B&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=1&index=08391807182200
================================
さか‐て【逆手】
《普通とは逆にした手の使い方の意》
1
1)刃物の柄を、親指が柄の端、小指が刃の方になるように握ること。切腹するときの短刀の持ち方。
2)器械体操で、鉄棒などを、手のひらを手前に向けて下から握る握り方。⇔順手。
2 相手の攻撃を利用して、逆にやり返すこと。ぎゃくて。「発言を―にとってやりこめる」
3 「逆手投げ」の略。
4 上代、人をのろうときや凶事に際して打ったという手の打ち方。詳細は未詳。天(あま)の逆手。
================================
要はどっちでもいいみたい。
笑ってしまったのは相撲の話。「ぎゃくて」だと禁じ手全般のことを指し、「さかて」だと技の名前……なんてわかりやすい。
『大辞林』には相撲の話は出てこない。あとはほとんど同じ。
手元の『広辞林』だと『大辞泉』とほぼ同じ。相撲の話もほぼ同じ。
ということで、1)~3)はいずれも「ぎゃくて」でも「さかて」でもOK、が正解。
昔調べたときには、ちょっと違った。
好い加減な記憶で書くと、1)は「ぎゃくて」、2)は「さかて」。3)は本来は「ぎゃくて」だが、「さかて」の例が増えている、だった。個人的な語感だと、いまでもこのとおり。
言葉は日々かわっていくのね。
【問3】
「ひとけ」とも「にんき」とも読むとか書いてある雑学本がある。
これ、「じんき」とも読むのよ。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E4%BA%BA%E6%B0%97&stype=1&dtype=0
【問4】
1)したて⇔うわて
2)しもて⇔かみて
3)へた⇔うまい
4)へた⇔じょうず
5)げしゅ(人)
6)げて(物)
……と考えるのがフツー。これ5)がひっかけで、「げしゅ」のほかに「げし」とも読む。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E4%B8%8B%E6%89%8B%E4%BA%BA&stype=1&dtype=0
【追記】
【問2】3)相手の言葉を逆手にとる
の読みが本来は「ぎゃくて」だった根拠として下記をあげておく。
o( ̄ー ̄;)ゞううむ
本体 http://www.nhk.or.jp/a-room/kininaru/2005/04/0420.html がエラーで「キャッシュ」しか読めない。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:M-mgg6lzjN0J:www.nhk.or.jp/a-room/kininaru/2005/04/0420.html+%22%E9%A0%86%E6%89%8B%22%E3%80%80%E8%AA%AD%E3%81%BF%E6%96%B9&cd=4&hl=ja&ct=clnk&gl=jp&client=safari
================================
4月20日(水)
「逆手」はぎゃくて?
さかて?
「逆手」は何と読みますか。「さかて」それとも「ぎゃくて」?実はどちらの読み方もあり、それぞれ意味が違うのです。まず【ぎゃくて】ですが、柔道などの技で、相手の腕の関節を反対に曲げて攻める技があり、これを『ぎゃくてを取る』と言います。そこから、相手の手段を逆用するという比喩的な言い方『ぎゃくてに取る』が出来たのです。しかし、『さかてに取る』と使う人が多いように感じますよね。H2年の調査ですが、NHK放送文化研究所が行ったアンケートで、7割の人が「さかて」と読んでいました。辞書の多くは、「ぎゃくてに取る」とあるのですが、「さかて」を載せているものも出てきています。『逆手に取る』の読み方は、1. ぎゃくて、2. さかて、の順位と言えるでしょう。では【さかて】ですが、例えば刀などを持つとき、普通の持ち方とは逆になるように持つ、つまり“小指の方が刃に近いように持つこと”を『さかてに持つ』と言います。また、体操競技の鉄棒で、手の甲を下にして棒を下から握る方法も『さかて』です。逆上がりをする時の手を思い出してください。順手の逆が、「さかて」ですね。まとめますと、○柔道など「逆手を取る」=ぎゃくて、○相手の出方を「逆手に取る」=1. ぎゃくて 2. さかて ○刀を「逆手に持つ」=さかて ○体操の鉄棒「逆手車輪」=さかて、ということになります。同様に二通りに読める漢字は、他にも色々ありますよね。例えば博士。「はかせ」は、“学位などを持たないもの、物知りはかせ”など、「はくし」は“学位規則に基づく正式な称号”と、使い分けることができます。同じ漢字でも読み方によって、意味が異なるなんて、不思議ですね。
================================