下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.htmlhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671
mixi日記2010年06月06日から。
下記の仲間。
【突然ですが問題です お品書き】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1429470515&owner_id=5019671
まず問題を再掲する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1500171771&owner_id=5019671
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いままでのモロモロのまとめのようなものです。
【問1】
「繙く」と「紐解く」の違いを説明しなさい。
【問2】
「しつらい」「しつらえ」の違いを説明しなさい。
【問3】
「違和感を感じる」は誤用か否か。
【問4】
次の空欄に入る助詞を「ガ」「ヲ」「ハ」のなかから選びなさい。
1)本( )好きだ(好悪)
2)本( )読みたい(希望)
3)本( )読める(可能)
【問5】
次の空欄に入る言葉を「運航」「就航」のなかから選びなさい。
1)現在( )している船
2)新しい船が航路に( )した
【問6】
次の( )の中の言葉を漢字にしなさい。
太郎は足が(はや)い
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解答例
Web辞書に従うと、以下のとおりなる。
【問1】
「繙く」と「紐解く」は同義。
【問2】
「しつらい」「しつらえ」はほぼ同義。
【問3】
「違和感を感じる」は誤用ではない。
【問4】
1)~3)のいずれも、「ガ」「ヲ」「ハ」が入る。
一般に問題にされることが多いのは、「ガ」と「ヲ」。本来がどちらなのかには諸説ある。
【問5】
1)「運航」「就航」ともOK
2)「就航」
【問6】
「早」「速」ともOK。
この数年、紙の辞書をひく機会がメッキリ減った。
たいていWeb辞書で済ませている。
ただ、このWeb辞書というのは相当の曲者だと思う。節操なしに新しい用例をガンガン取り入れているのは、ある意味正解だろう。ただ、程度問題だと思う。本来の意味がわからなくなるのも問題だろう。ちょっと疑問を感じて調べるとたいていヤバいことがわかる。
そんなネタをメモしていく。
【事例1】ひもとく
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-32.html
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07-5-2
3日
大ヒット作『天才柳沢教授の生活』『不思議な少年』の背景を紐解き、豊穣な物語世界を紹介する。(朝刊1面)
某出版社の広告。小うるさいことを言うと、「天才」のあとにアキが欲しいところだが、手元の資料本でもアキなしになっている許されるのかもしれない。問題は「紐解く」。
goo辞書(大辞林)だと以下のとおり。
ひもと・く 3 【▼繙く/▼紐解く】
(動カ五[四])
(1)〔巻物のひもをほどいて広げる意〕書物を読む。ひもどく。《繙》
「史書を―・く」
(2)衣の下紐(したひも)を解く。男女が共寝する。
「にこ草の花つ妻なれや―・かず寝む/万葉 3370」
(3)つぼみが開く。
「御前の梅、やうやう―・きて/源氏(初音)」
これだとよくわからないが、手元の『広辞林』だと、「繙く」と「紐解く」は別の項目になっている。「繙く」は上の(1)の意味で、「紐解く」は上の(2)(3)の意味とのこと。表記の問題だから、どちらでも間違いではないのかもしれないが、相当強い異和感がある。この「紐解く」の表記は定期的に読んでいる某週刊誌でよく見かけるもので、気になってしかたがない。いつからこんな気持ちの悪い書き方をするようになったのだろう。たしかに「繙く」が読みにくいのは事実だけど、それを言ったら「紐」だって常用漢字表外でしょ。ルビをふるスペースがとれないなら「ひもとく」でいいじゃない。
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参考トピ【「紐解く」と「繙く」の違い】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=18459809
【事例2】しつらい/しつらえ
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-201.html
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08-7-13
26日
和のしつらえで、美しく暮らす(夕刊2面)
広告がのっていた書籍のタイトル。「しつらい」なのか「しつらえ」なのかは、積年の課題。ネット辞書は、もう両方認めている。
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●大辞泉
しつらい〔しつらひ〕【▽設い】
1「設(しつら)え」に同じ。「テーブル―をする」
2(「室礼」「補理」とも書く)平安時代、宴・移転・女御入内などの晴れの日に、寝殿の母屋や庇(ひさし)に調度類を配置して室内の装飾としたこと。
しつらえ〔しつらへ〕【▽設え】
しつらえること。用意。準備。「客室の―が済む」
●大辞林
しつらい[しつらひ] 03 【▽設い】
[1]構え作ること。ととのえ準備すること。しつらえ。
[2](「室礼」「鋪設」「補理」とも書く)平安時代、娘の女御としての入内(じゆだい)・婿取り、客を招いての宴、移転など晴れの祝いの日に、寝殿の母屋・庇(ひさし)に調度を立て室内を飾ったこと。
しつらえ[しつらへ] 03 【▽設え】
しつらえること。準備。
・食事の―がしてある
・会場の―をする
・照明の―がない
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この記述を読んで「しつらい」と「しつらえ」の違いがわかる人がいたら教えてください。当方は余計に混乱した。『大辞泉』のほうは、「しつらい」のほうが広義で、「1」の意味に関しては「しつらえ」が本来の形、と読める。
『大辞林』のほうだと、「しつらえ」のほうが用途が広く、「会場のしつらえをする」がアリなんだから、「しつらい」の意味を含むととれる。
ホントか。少し古い辞書だと「しつらえ」なんて言葉はない。1988年刊行の『広辞林』だと、「しつらい」の意味は以下のとおり。
1)構え作ること。飾り付け。装置。
2)(古)御座所。おまし。
本来の形はって話をするなら、「しつらい」に決まっている。疑問のあるかたは下記のトピの「42」&「43」をご覧下さい。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=28491946&comment_count=15&comm_id=398881
じゃあ、なんで「しつらえ」なんて誤用が生まれたのか。そんなことは国語学者に訊いてください。
まったくの推測で書くと、「誂(あつら)え」とか「(急)拵(こしら)え」って名詞形があるから混同したんだと思う(まあ、「あしらい」なんて言葉もあるけど)。本来は「しつらい」で、もしかすると「しつらえ」もアリかなって言葉なんだから名詞形が「え」しかないものは参考にならない。むしろ近いのは「浚(さら)い」(「渫い」とも書く)。「浚い」が本来の形だが、「浚え」もアリらしい。
今回辞書を索いて初めて知ったが、「ドブさらい」「おさらい」「総ざらい」などは「さらい」で、「川ざらえ」「棚ざらえ」などは「さらえ」なのね。日本語はむずかしい。
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【事例3】違和感を感じる
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1176.html
「違和感を感じる」は重言だろう。誤用ではないと思うが、無神経な言葉づかいと言われてもしかたがない。「あえて」用例に入れるのなら、それなりの説明をしてもらわないと困る。なんの説明もなしにこういう用例を入れていると、「何も考えてないのか?」と疑ってしまう。
辞書にこういうことが書いてあると、下記のような説も流布する。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q119333986
【事例4】説明になってねえよ
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1205.html
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「を」に関する記述はどちらも相当ヒドい。
まず『大辞泉』は論外。〈「水を飲みたい」など〉の「など」が何を表わすのか不明。こんなの辞書じゃねえよ。『大辞林』のほうは一応説明してある。これと「が」の記述を合わせるとどういうことになるか。
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【事例5】「現在就航している船」って、それはいくらなんでも……
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1262.html
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先日、本来は「瞬間」のはずの「就航」にも「継続」の意味が認められていることを発見して驚いた。思わず【「故障中」は誤用なのだろうか】に追記してしまった。ちょっと教えてほしいんだけど、船舶や航空機の場合は「運行」っていうのかな?
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E5%B0%B1%E8%88%AA&stype=1&dtype=0
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しゅう‐こう〔シウカウ〕【就航】
[名](スル)
1 船舶や航空機が初めて航路につくこと。「世界最大のタンカーは明日―する」
2 船舶や航空機がその航路で運行されていること。「現在―している船」
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【事例6】太郎君は足がはやい
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1278.html
ほかにもいろいろあったはずだが、思い出せないorz。