下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.htmlhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671
mixi日記2010年06月15日から。
以前に読書感想文の中で取り上げた新聞記事の原本をコピーしてきた。かなり重要な話なので、ねちっこく書く。まず以前の話を再掲する。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1141.html■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
p.145~のテーマ〈ファミレス敬語はマニュアル敬語〉。
「保険証をお持ちでなかったですか?」(妙な過去形)
「天丼になります」(妙な未来形)
について書いたら、読者が「全疑問一挙解決のめざましい新聞切抜き」を送ってくれたそうな。もしかするとネット上にテキストが転がっていないかと思ったが、見つけたのは2つとも本書からの引用だった。毎日新聞(平成15年5月31日夕刊)で、フリーアナウンサーの長野智子氏が「メディアの手習い スタジオ発」と題したコラムらしいから、今度図書館で探してみようか。
ちなみに、この文章が書かれた「週刊文春」は 2004年1月29日号。
【おぼえがき】
http://wjunya.blog39.fc2.com/blog-entry-72.html
【日刊★気になるフレーズ】
http://randomkobe.cocolog-nifty.com/center/2006/12/index.html
【引用部】
〈…「こちらケチャップになります」(これからケチャップになるのか)「カレーでよろしかったでしょうか」(何故過去形?)「1000円からお預かりします」(どっからじゃい)といった、いわゆるファミレス敬語に不愉快な思いをしている人も多いだろう。実際、TBSラジオ「アクセス」でこの問題を取り上げたら……〉
「衝撃的な内部告発電話が入ってきた」らしい。「約20年前ファミレスが増え始めた頃、某大手R社が接客ビデオを制作した。現在使用されている変な敬語は、全てそのビデオにマニュアル化されていたのだ」というのである。高島先生はロイヤルホストと推測したら、これはのちにリクルート社と判明したとのこと。とにかく、諸悪の根源はこのビデオらしい。まあ、ほかにもあるんでしょうけど。
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この訳のわからない一連の敬語の呼称は諸説ある。Wikipediaでは「バイト敬語」と呼んでいるようだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%88%E6%95%AC%E8%AA%9E
ほかにもいろいろ呼称が出ている。
バイト語
コンビニ敬語・コンビニ言葉
マニュアル語・マニュアル敬語
ファミレス敬語・ファミレス言葉
ファミコン言葉(敬語)
主なバイト敬語としてWikipediaでは以下のものをあげている。
※【10月28日追記】下記の記述はこの数か月後には削除された。
2.1 名詞+の+ほう(方)
2.2 名詞/金額+になります
2.3 金額+から
2.4 よろしかったでしょうか
2.5 いらっしゃいませこんにちは
2.6 ~する形になります
2.7 「お」の多用
2.8 お返しになります
2.9 お召し上がりですか
2.10 温めますか
2.11 複合型
で、問題の毎日新聞の記事を全文チミチミと入力する。
(画像は「大人の事情」で省略)
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『メディアの手習い スタジオ発』
変な敬語の元凶は?
身近にある意外な事実に、どのくらい「へえー」と感心したかを「10へえー」とか「50へえー」とか点数つける「トリビアの泉」という番組があったが、最近私にとって「300へえー」だった話。ファミレスやコンビニでよく耳にする「変な敬語」に関する「へえー」である。
「こちらケチャップになります」(これからケチャップになるのか)「カレーでよろしかったでしょうか」(何故(なぜ)過去形?)「1000円からお預かりします」(どっからじゃい)といった、いわゆるファミレス敬語に不愉快な思いをしている人も多いだろ
う。実際、TBSラジオ「アクセス」でこの問題を取り上げたら、70%近くの人が「敬語をきちんと話すべき」だとし、最近の若者言葉はまこと聞き苦しい、とお怒りだという結果がでた。
しかし、何ゆえこのような変な敬語が蔓延したかに関して、様々なご意見や言い分が全国各地から寄せられたのである。「よろしかったでしょうか」という表現については、北海道の方言だというご意見がきた。なんでも北海道では過去形で言うと丁寧になると思われていて、電話で名乗るときも、いきなり「長野でした」と言うそうな。ファミレス創生期に、大量の道産子が就職したというのか。ちなみに、英語でも丁寧に言うときは「CAN」ではなく、「COULD」ではないか、という強引なご意見もあった。次に「1000円から」という言い方は消費税導入を背景に生まれた表現というご意見。つまり端数の支払いが増えたため、客が小銭を出すか確認するため「から」という言葉を使ってしまうという言い分である。なるほど。するとそこに衝撃的な内部告発電話が入ってきた! なんと「約20年前ファミレスが増え始めた頃、某大手R社が接客ビデオを制作した。現在使用されている変な敬語は、全てそのビデオにマニュアル化されていたのだ」というのである。電話をくださったのは、他ならぬビデオを作った当人。何とその後、そのビデオで敬語を勉強したという店員、そのビデオで店員を教育したというトレーナーからも続々と電話が入り、「アクセス」は実に短時間に、現代社会に蔓延する変な敬語の元凶を暴くに至ったのである。ラジオってすごいですね。
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平成15年(2003年)の約20年前ってことは、1980年くらいということか。根は深いな(笑)。
ポイントになりそうなことがいくつかある。
1)〈70%近くの人が「敬語をきちんと話すべき」だとし、最近の若者言葉はまこと聞き苦しい、とお怒り〉
それを言ってしまうと、はるか昔から現代まで、「若者言葉の乱れ」を嘆く年寄りはもんのすごくいた。と言うより、「若者言葉の乱れ」が気になりはじめたら老化現象を疑うべき。その点当方は、若者の頃から世の中全体の言葉の乱れが気になって、気になって、木になって……ワタシは食べ頃の果実ハート……もはやどうでもいい感じになりつつある。
2)〈北海道の方言だというご意見〉
この説もよく聞くけどマユツバもの。筆者も「大量の道産子が就職したというのか」と疑問に感じている。
一応道産子として言わせてもらうと、当方にはこの妙な過去形が北海道弁という感覚が薄い(弱い?)。この話は比較的近い時期に書いたはずなんだが、どこだったか見当がつかないorz。で、もう一度書く。北海道のビジネス用語としては一般的なのかもしれないが、当方は北海道で働いた経験がないのでなんとも言えない。
北海道のガイドブックを作るために札幌の人間とコンタクトをとっていた時期がある。「長野でした」は記憶にないが、開口一番「お世話さまでした~」と言うのはいつものこと。初めて聞いたときは電話を切りそうになった(笑)。ただ、「過去形のほうが丁寧」という意識があるか否かは不明。英語でも「could」(would)のほうが丁寧なのはたしかだが、ちょっと強引だろう。
3)〈「1000円から」という言い方は消費税導入を背景に生まれた表現〉
これも後づけくさい。たしかに「1000円からでよろしいですか?」だとさほど異和感がない。それは、たとえば201円の支払いのときに「1000円からで1円の持ち合わせはナシってことでよろしいですか?」ってニュアンスだから。これって消費税導入以降に限るの? じゃあ消費税導入以前は、どんな会計も半端はなかったのか? 1円硬貨、5円硬貨はなんのために存在したのよ。
消費税を理由にするなら、「お預かりします」のほうだろう。頂いた代金の中にはそのまま納税する消費税の預かり分があるから、「お預かりします」が正確……これも後づけだろうな。
バイト敬語が一般的になる以前も、若いバイトは存在したし、けっこういい加減な言葉を使っていたはず。だって当時の若者はまともな日本語を話していたなんて考えにくいよ。
じゃあなんで急に「バイト敬語」が問題視されるようになったか。
とりあえず仮説として2点あげておく。
1 画一的なヘンな敬語が広がった
各自がバラバラにヘンな敬語を使っていたら、「最近の若いモンは……」ってことになる。マニュアル化が進んだためにヘンな敬語の画一化が起きた。それが耳障りなために問題視され、「バイト敬語」なんて言い方が生まれた。
2 しょもないことを発信する人が増えた
昔から「しょもないこと」を考える人はいた。でもまわりの人が相手にしなければ、単なる独り言だったので感染はこの段階で食い止められた(受け身か可能か)。いまはどんな「しょもない」ことでもネットやら何やらで発信すると、えらい勢いで広まることがある。だって昔は情報の「発信者」はごくごく限られた人たちだったんだから。
ことの善悪は別にして、「バカが意見を言うようになった」http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-925.htmlってことなんだろう。
4)〈ラジオってすごいですね。〉
平成15年はまだ平和な時代だった。2ちゃんねるはさほど普及してなかった(?)し、Twitterももちろんなかった。その頃のラジオは、まだスゴかったのかもしれない。
●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html