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第1020回「あなたのパソコンの壁紙を教えてください!」──本体のボディが無機質で殺風景なので

……花柄の包装紙を張……ったりすると熱で自然発火しそうだよな。

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【10分の読み方は「じっぷん」か「じゅっぷん」か、はたまた……】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年07月11日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1535051181&owner_id=5019671

テーマトピは下記。
【「4分」「10分」の読み方について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=54614817

 トピ主の「0」から抜粋する。
================================
初級クラスで、時刻の表現を導入しようとしています。
「4分」と「10分」の読み方について、養成講座では「よんぷん」「じっぷん」と習いましたが、
●4分については、Japan Timesから出ている辞書に
「『~分』という単位の発音は、『~本』と同じ変化をするが、数字が3のときだけ『b』音ではなく『p』音になる」(つまり、数字が3のとき以外は、「~本」と同じ発音になるということで、「4分」も「4本(よんほん)」と同じく「よんふん」と読む)
と書いてあり、
●10分については、Japanese For Busy Peopleに
「じゅっぷん(Juppun)」
という表記が出ています。
================================

「4分」は「よんぷん」が一般的らしい。「よんふん」でも間違いではないと思うけど、天下のNHKに逆らう気はない。受信料を払う気はもっとない。これが漢字の読み方のテストに出ることはないだろうな。
「9」「10」のかたが歴史的な音韻変化?についてふれた。これに関しては『大野晋の日本語相談』に同じような記述がある。「9」「10」コメントと大野晋説がどう違うのか、当方の知識ではなんとも言えない。
 大野晋先生も「三杯」「三本」がb音になり、「三敗」「三泊」「三発」「三歩」がp音になった理由は「ちょっとわかりません」と書いている。そんな難問が当方にわかるわけがないorz。
 かなり専門的な話なんで、どこを抜粋したらよいかもわからない。しかたがないので、全文をスキャンして末尾に転載する。ちょっと問題がある行為なので、この画像はしばらくしたら削除する。
 あれ? 「9」「10」のコメントが消えてるorz。

 問題は「10分」。これは昔からよく話題になるテーマで、「じゅっぷん じっぷん」で検索すると山ほど出てくる。歴史的なことも踏まえた下記がわかりやすいかも。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail.php?qid=119628801&sort=1

 問題を切り分ける必要はないのかな。
 そもそも「10分」と「十分」って、読み方はおなじなの?(意味がかわる「じゅうぶん」に関しては考えない)
 たとえば「一人」「一つ」を「ひとり」「ひとつ」と読むのはOKだが、「1人」「1つ」を「ひとり」「ひとつ」と読むのはおかしい、と主張する人がいる。一理あると思う。そういう主張をする人は「10分」をなんて読むのだろう。「10」は「じゅう」としか読まないだろう。少し無理すれば「とう」なんだろうな。
 そんな意地悪を言ってもしょうがないから、「10分」と「十分」はほぼ同じということにしよう(笑)。
 編集・出版業の常識として、「十分」を「じゅっぷん」と読んだら間違い。アナウンサーの現場では「じゅっぷん」も許容とか言われても困る。
 歴史的なことはよくわからないが、常用漢字表を見れば明らか。「十」の読みは「ジュウ・ジッ・とう・と」しかないから、「じゅっぷん」にはならない。これは小学校の低学年で習うらしい。一般には「じゅっぷん」と言っている人が多いかもしれないが、だからと言って常用漢字表を無視してもらっては困る。学校教育は常用漢字表に準じているはずだし、編集・出版業だって、基本的には常用漢字表に従っている。
「実際にはこう言っている」なんてことを言いはじめると、「女王」はどうする「体育」はどうするという話になる。そーゆーことって書くのか、って話も出てくるし、はては最近は「ふいんき」と言う人が多いなんてヨタ話も出てくる(笑)。
 ちなみに、「一人」を「ひとり」と読むのも変則的だが、これは常用漢字表の【付表】にあるから何も問題はない。

【追記】
 信頼できるサイト(国立国語研究所)を見つけたので、転載しておく。
http://www.ninjal.ac.jp/products-k/kokken_mado/qa/
【「十本」などの「十」の発音は?】(第9号)
http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/kokken_mado/09/06/
================================
質問
「十本」などの「十」の発音は,辞書には「ジッ」とありますが,「ジュッ」と発音するアナウンサーもいます。どちらが正しいのでしょう。

回答
現在刊行されている国語辞典を引いてみると,見出し項目としていずれも「ジッ」の方を主に採用しています。「常用漢字表」にも「十」の読み方として,「ジュウ」と「ジッ」はあっても「ジュッ」はなく,語列として「十回」は「ジッカイ」を採っていることから,「十本」などの「十」の発音は,一般に「ジッポン」のように「ジッ」とするのが標準的であると言えそうです。

歴史的仮名遣いでは「じふ」と書くように,漢字音の系統からもともと「十」の字音は「ジフ」でした。「フ」を末尾に持つ字音は,サ行,タ行,カ行,パ行の音で始まる語に続いていくとき,例えば「合 カフ→カッ(合戦)」「執 シフ→シッ(執権)」のように促音化しました。17世紀初頭の『日本大文典』『日葡辞書』にも,当時の発音として「ジッ」に当たる発音が示されているだけで,「十本」は本来「ジッポン」であったと判断できるわけです。その一方,この「ジフ」は長音化して「ジュウ」に変化していきます。「ジュッ」が生じたのは,おそらく「ジフ」から長音化した「ジュウ」が,先のサ行等の音で始まる語に続いていくときに,既存の「ジッ」という発音に影響を受けて,「ジュウ」→「ジュッ」と類推してしまったと考えられます。

では,「ジュッ」は間違いかというと,平成5年のNHK言語調査では「十中八九」について「ジュッ」の支持者が61%と多いように,現在では「ジュッ」と発音する人がかなりいます。さらに,昭和41年のNHK放送用語委員会で「20世紀」の発音として「ニジッ・ニジュッ」の両様を採ること,また「十」の発音の「ジッ」「ジュッ」については,他の用例についてもすべてこの決定を準用することを決めています。放送での標準発音の集大成とされるNHK編『アクセント辞典』でも,41年版から「二十本」「五十歩百歩」など,両様の発音を平等に認めています。つまり,伝統的には「ジッ」であるというだけで,実際には年代層あるいは地域によっていろいろであり,同じ東京でも「ジッ」と発音する人も「ジュッ」と発音する人もいるというのが現状なのです。

時代とともに言葉は変化し,発音にも「ゆれ」が生じます。伝統的な規範があったとしても何を規範とするかについては多様性があると考えられます。
================================



【引用のご作法10 「十」の読み方の話
──「ジュウ」「ジッ」「とお」「と」……「ジュッ」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2827.html

mixi日記2013年07月11日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1906878854

 2010年(平成22年)に常用漢字表が改定された。
 変更の概要はWikipediaが詳しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E7%94%A8%E6%BC%A2%E5%AD%97

 主な改定内容。
●追加(196字)
(略)

●削除(5字)
(略)

●追加音訓(29音訓)
(略)

●変更音訓(1訓)
(略)

●削除音訓(3音訓)
(略)

備考欄等について以下の通り変更された。
(略)

付表は以下の通り追加、変更された。
(略)

 さて、これを踏まえて本題に入る。
 問題は「十」の読み方。
 従来は「ジュウ」「ジッ」「とお」「と」だった。
 ただし、備考欄の変更のところに下記のようにある。
================引用開始
十 - 備考欄に〈「ジュッ」とも。〉と注記。
================引用終了

 どういうことなのか【改定常用漢字表】を確認すると、下記のようにある。
【改定常用漢字表】
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/kaitei_kanji_toushin.pdf
================引用開始

ジュウ  十字架,十文字  十重二十重(とえはたえ)
             二十・二十歳(はたち)
             二十日(はつか)
ジッ  十回       「ジュッ」とも。
とお  十,十日
と   十色,十重
================引用終了


「十」の読みとして「ジュッ」が認められたのか? 
 今回の改定に準拠している『記者ハンドブック』を見ると、「十」の読みは従来どおりになっている。
 なんでこんなことするのかな。「ジュッ」の読みを認めるならちゃんと認めればいいのに。こういう中途半端なことはやめてもらいたい。これでは、認められてはいないけど間違いではなさそう、くらいに考えるしかない。
 小学校ではどう教えるんだろうね。



【追記】
 下記を見ると、『言葉に関する問答集 総集編』という本に詳しく出ているらしい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1496924774
 でも例によって引用のしかたがホニャララなので、本当はどんなことが書いてあるのかわからない。
 いったいどこからが、『言葉に関する問答集 総集編』にのっているのだろう。常識で考えれば、冒頭から罫線までだろう。
 しかし、『言葉に関する問答集 総集編』は常用漢字表が改訂される前に出版されているのだから、〈〔備考〕欄に、「ジュッ」とも.....と記載されて〉いるはずがない。
 2段落目の2行も『言葉に関する問答集 総集編』の記述とは思えな。いったいどこからどこまでが『言葉に関する問答集 総集編』からの抜粋なのだろう。


 下記を見るに、2014/01/31の段階で、小学校の教科書の大半は「ジュッ」を認めてないらしい。
 子供に訊かれたら、親はどうしたらいいんだろう(黒笑)。
http://www.889100.com/midori/category/qa/000228.php
==============引用開始
 現在、小学校で使用されている教科書では、一年生で学習する「十」の読みとして、「ジュウ ジッ とお」の三つをあげているものが多いです。(「と」は他の学年で学習します。)ただし、例えば、光村図書の教科書にはかっこ書きで(ジュッ)の読みが掲載されています。これは、常用漢字表の備考欄に「ジュッ」という読みが掲載されたことを受けての対応とのことです。
 「学研教室」の国語教材では、常用漢字表に掲載されている「ジッ」という読みを学習しますが、昨年4月から、(  )に入れた形で、(ジュッ)という読みも紹介しています。
==============引用終了




「早急」の読み方は「そうきゅう」? 「さっきゅう」?

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月06日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1554744798&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【日頃おかしいと思う日本語の使われ方】日本語の乱れが気になる会 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=697073

「874」で「早急」の読み方に関するコメントが入った。
「876」のコメントは「さっきゅう」派(根拠は「記憶」)。
「879」のコメントは「さっきゅう」派(だと思う。根拠は不明)。別な意味で非常に興味深い。後述する。
「881」で質問者のコメント。もともとは「さっきゅう」(根拠は「聞きかじり」)。
================================
で、今の多数派は、たぶん『そうきゅう』でしょう。
でもNHKのアナウンサーだけは、今も『さっきゅう』と読んでいるようですよ。
================================
「882」は本線は「さっきゅう」(根拠は「記者ハンドブック第10版」共同通信社)

 この問題は、いろいろなところで目にする。
 本来は「さっきゅう」で、現状は「そうきゅう」が優勢……というのが大勢なんだろうか。
 常用漢字表を見ると「早」の読みは「ソウ・サッ・はや」。「サッ」は特殊な場合の読み方になっている。「早速」「早急」のほかに何かあったかな。
 で、本来はどちらなのかをWeb検索すると、いろいろな意見が飛び交っていて収拾がつかない。ほかの例をいろいろあげている1)-1や1)-2は信用できるように見えるが、「早急」以外の記述を見ると首を傾げたくなるところがある。

1)本来は「さっきゅう」派
1)-1【誤用・慣用】
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/nihongo/kanyouon.htm
1)-2【慣用讀み 言葉の誤讀と慣用讀み】※リンク切れ
http://nippongo.hp.infoseek.co.jp/nippongo/content/kanyou.html
1)-3【■漢字の読み方・問題3の解答■】※リンク切れ
http://gakken.hp.infoseek.co.jp/yomi.kaito.3.htm
※多数の辞書からの引用あり。

2)本来は「そうきゅう」派
2)-1【Wikipedia】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%A3%E7%94%A8%E9%9F%B3#.E5.AD.97.E8.A8.93.E3.81.AE.E5.AD.97.E9.9F.B3.E5.8C.96

3)よくわかりません
3)-1【漢字の読みや文字の正確なつづりがわかりません。】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1594228.html

 個人的にどうしているかと言うと、そんな言葉を使った記憶がないのでなんとも言えない(←オイ!)。仕事の原稿に出てきた場合も、何も考えたことがない。「早急」って言葉自体を目にする機会が少ないし、ルビを振った経験はない。
 実際にはいろいろな書籍で目にしているはずだが、なんにも記憶がないorz。
 どちらでもOKであることは間違いない。どちらが本来の形なのかも、現状でどちらが本線なのかもよくわからない。↑の1)-3を見ると、辞書によっても見解が分かれていることがわかる。安易に口を挟める問題ではない気がする。

 で、「879」のコメント。
================================
 国会中継での『ソウキュウすぎるのが問題では~』という発言に、なんだか変だなと感じました。早急であるというのは、どちらかといえばポジティブな印象で捉えていたので。
 そこで、この人は『性急(せいきゅう)』と言いたかったのかなと思い至りました。
 もしかすると早急(さっきゅう)をソウキュウと読むのは、性急との混交の可能性も?
================================
「早急」の読み方の話は離れる。
 確かに「早急すぎる」にはちょっと異和感がある。
「性急」との混交……可能性はありそう。
 もうひとつ可能性があるのは「早計」との混交。これも「ソウキュウ」が優勢になりつつある一因になっている?
「性急すぎる」「早計すぎる」が重言か否か、ってのはまた別の話になる。

【「早計すぎる」「早計にすぎる」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1468139824&owner_id=5019671


【トピへのコメントを日記形式で書く理由──返信コメントは原則的にトピにお願いします】※あくまで原則論
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1468087432&owner_id=5019671

【「お座りください」は失礼な言い方なのか?】☆日本語教師☆

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月05日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1554047911&owner_id=5019671

 下記の仲間でもある。
【黒いコレクション──日本語教師関連28】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1442972256&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【ご着席下さいとお座り下さい】☆日本語教師☆ トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=54960574
※場合によってはトピ主にコンタクトをとるので、いつもより抑え気味に書く。敬語は苦手という自覚はある当方でも、あそこまでムチャクチャだとさすがにヘンだと思う。

 トピ主の質問をほぼ全文転載する。
================================
最近日本語の勉強をはじめたのですが、昨日バスのなかで「お座り下さい」と年配の方に若い男性が言っていました。「お座り」は犬に使うのでとても違和感がありました。また、よく聞いているとバスアナウンスも「お立ちのお客様はつり革や…」とながれていてその場合は間違ってないのでしょうか。またそれに関しての良い教科書等ありましたら教えて頂けないでしょうか。
================================

 質問がいくつもあり、わかりにくい気がするので箇条書きにする。
  質問1)「ご着席ください」と「お座りください」のニュアンスの違いは?
  質問2)「お座り」は犬に使う言葉では?
  質問3)「お立ちのお客様」の「お立ち」は誤用ではないか?
  質問4)敬語表現に関するよい教科書があったら教えてほしい。

 当方は、質問4)に関しては門外漢なのでコメントは控える。最後に参考になりそうなリンクだけ張っておく。
 回答コメントのほとんどは質問2)に集中し、ほかの質問にはふれていない気がする。
 まず質問2)以外から片づけていこう。

質問1)「ご着席ください」と「お座りください」のニュアンスの違いは?
 タイトルはこういうことだと思う。なぜか本文中にはいっさい出てこないが。
 意味に大きな違いはない。前者は漢語系の表現で、後者が和語系の表現と考えるのが素直だろう。おおざっぱに言って、前者のほうが堅苦しいイメージがあるので、バスで座席を譲るときに「ご着席ください」は相当不自然(間違いとは言いきれないけど)。「1」のコメント主が微妙な違いを書いているが、根拠は不明。
 元々座っていたかどうかで使い分けるなんてことはないだろう。
 たとえば、裁判の最中に自分の席から立ち上がった傍聴人を制するのに、裁判長が「お座りください」と言うのは何も問題はないだろう。もちろん「ご着席ください」でもOK。裁判長の言葉なら「ご着席ください」のほうがふさわしいのでは……というのはまったく別の問題。

質問3)「お立ちのお客様」の「お立ち」は誤用ではないか?
「お立ち」は、名詞(動詞の連用形)に「お」がついた形なので何も問題はないはず。この接頭語の「お」は、尊敬語のときと、丁寧語(美化語)のときがある。この場合は「お客様」の行為だから尊敬語。「お待ちのお客様」「整理券をお持ちのお客様」なども同様。通常、接頭語の「お」は着脱可能だが、この場合はつかない形でも使えるか否かは微妙な気がする。

質問2)「お座り」は犬に使う言葉では?
 さて、問題の質問2)。質問者は勘違いをしている気がする。「お座り」と「お座りください」は別に考えるべきだろう。

 例によって辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8A&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=11&index=02618502053600

 犬に対して言う「お座り」は「4」だろう。「お座り!」と書きたくなる。
================================
4 動詞の連用形に付いて、軽い命令を表す。「用がすんだら早く―帰り」「―だまり」
================================
 このほかに「お食べ」「お待ち」「お入り」「お休み」なども使えそうだが、ちょっと古くさい。これが「お食べなさい」のような形なら現代でも使えるだろう。「お休みなさい」は別の意味合いになってくる。

 命令ではない「お座り」もある。「赤ん坊がお座り(を)している」「犬がお座り(を)している」
 ↑の質問3)「お立ち」と同様だろう。こちらは尊敬語ではなく丁寧語(美化語)。

「お座りください」は「3」1)。「くださる」の命令形。何も問題はない。尊敬語を命令形にしていいのか、と考えると迷路に入るのでパスしておく。詳細は最後のリンク先参照。
================================
3 動詞の連用形に付く。
1)その下に「になる」「なさる」「あそばす」「くださる」などの語を添えた形で、その動作主に対する尊敬の意を表す。「―連れになる」「―書きなさる」「―読みあそばす」「―話しくださる」
================================

「4」で新たな問題が出る。
「お座りください」より「お掛けください」のほうが適切ではないか。
 たしかに「お掛けください」のほうが丁寧な感じがして、シックリ来る。ただ、辞書類を見る限り、理由は不明。「掛ける」のほうが丁寧な感じなので、「お○○ください」の形になじみやすいので、こちらを使うほうが無難ということだろう。これをちゃんと説明するのは相当の難問なのでパス。
 ただし、↑の裁判長の言葉としては「お掛けください」より「お座りください」のほうがシックリくる。尊敬語の形をとっていても実質上は命令だからだろうか。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=1&index=03855403133000
================================
か・ける【掛ける/懸ける】
[動カ下一][文]か・く[カ下二]
16 1)物のある部分を他の物の上に置いて支える。「いすにお―・けください」「肩に手を―・ける」
================================

 質問4)敬語表現に関するよい教科書があったら教えてほしい。
 敬語全体については別にして、今回の問題に関して、下記は読んでおいて損はないと思う。
【「ご○○する」「お○○する」【仮】日本語】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1549552703&owner_id=5019671
【「お○○してください」「ご○○してください」☆日本語教師☆ 】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1515394161&owner_id=5019671
【「ください」は命令口調なのか?】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1553319113&owner_id=5019671


【追記】
 いただいたコメントへの返信を書こうとして考え込んでしまった。
 立ち止まっていてもしかたがないので、少しでも前に進む。

【1】「こちらにお座りして、お待ちしてください」はなぜ無礼か
 若い店員に言われた言葉とのこと、そりゃ怒って当然。いくつかの要素が絶妙にからんでいる。

1)「お座りして」「お待ちして」はなぜヘンか
「お座りして」は「お座りする」(謙譲語)の連用形に「て」がついた形(ちょっと違うか?)。
 つまり「お座りして~」は、相手に謙譲を強制することになるから×(「お待ちして」も同様)。
 待つ側が「こちらでお待ちしてよろしいでしょうか」というのは正しい謙譲語。ただし「こちらにお座りしてよろしいでしょうか」は相当不自然。「こちらに掛けさせていただいてよろしいでしょうか」くらいが自然だろうか。
 店員が言うなら「こちらにお座りになって、お待ちください」くらいだろう。すでに書いたように「お座りになって」より「お掛けになって」のほうが丁寧な印象になる。

2)「お○○してください」の話再び
 ↑にリンクを張った下記のトピに出てきた話。
【「お○○してください」「ご○○してください」☆日本語教師☆】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1515394161&owner_id=5019671
「お○○してください」が成立するのは特別な状況設定のときだけ。
「お座りください」(尊敬語)もしくは「座ってください」(丁寧語)がフツーだろう。

3)「お座りして」は犬への命令?
 1)2)の不自然さに加え、「座る」を「お座りして」の形にすると、〈「お座り!」して/「お座りして!」〉のニュアンスになりかねない。人によっては「犬扱いする気か!?」ということになっても不思議ではない。
 店員も悪気はなかったのだろうが、ここまで言葉づかいがヘンだと接客には向かない。


【2】「お座りになってください」がちょっとヘンなのはなぜ?
「お座りになってください」は敬語の使い方としては間違っていない。ただ、当方はちょっとヘンな感じがする。
「お○○になる+ください」だから、「お座りください」よりも丁寧な言い方だろう。これがちょっとヘンに感じる理由は、主観としか言いようがない。
 無理に理屈をつけると次のようになる。
「お座りください」より「お掛けください」のほうが丁寧。
 つまり、やや丁寧さに欠ける「お座りください」を、丁寧な言い方の「お○○になる」にすることにチグハグ感がある。「お掛けになってください」にするほうが素直。ちょっと強引かな。

天然(ボケ)とオバカの違い

 下記の仲間。
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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月02日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1551966618&owner_id=5019671

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【3】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

「綾瀬はるか、堤に“天然”バラされた」というmixiのニュースを見て考えてしまった。
 綾瀬はるかの素顔に関しては、下記で少し書いた。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1400.html
================================
 このドラマは、主要登場人物が楽しんで演技をしていることがうかがえる。主役の綾瀬はるかの「干物女」ぶりは、演技と言うよりほとんど地らしい。バラエティ番組に出た藤木直人があまりにもキャラのまんまなんで「ガッカリした」と言ったとか。
================================

 バラされたも何も、綾瀬はるかのホニャララぶりはすでに知られているのでは。
 偶然か必然か、綾瀬はるかはバラエティ番組にはほとんど出ない。スケジュールが立て込んでいると考えよう。
 で、彼女は「天然」なんだろうか。「天然」は元々は「天然ボケ」のこと。この「天然ボケ」と「オバカ」は全然違うはず。「天然ボケ」は一般とは常識(の感覚)や価値観が異なっていることではないだろうか。まあ、「笑いがとれる」という意味では「天然ボケ」と「オバカ」は共通しているけど。
 たとえば、いわゆる「学者バカ」は学問的知識があるから「オバカ」ではないが、「天然ボケ」の可能性が高い。
 逆に学歴(この話を持ち出すのは危険?)は低くて学問的知識がなくても、いわゆる「世間知」にたけている人もいる。こういう人は「オバカ」ではあっても、常識人。
 ただね。学問的知識なんか一般人には必要ないが、最低限知っておきたい「一般常識」はある。
 大阪城が寺か否かは、学問的知識ではなく「一般常識」の問題。これがわからないのは「オバカ」。
 ってことは、「天然」で「オバカ」……女優でよかったね。

【『天然(ボケ)』と『バカ』の境界線】
http://questionbox.jp.msn.com/qa600104.html
※BAがイマイチわからない。おもしろい観点だが、ちょっとズレている気がする。
================================
自分が時折ボケたことを言ってしまうことを理解していて、それが回りにどんな影響を与えているかと心配できる人は天然ボケ。
自分がボケたことを言ってるのにも気がつかず、なお且つ回りへの影響など省みない人はバカ。
================================

■Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%84%B6%E3%83%9C%E3%82%B1
================================
概要

言動が常識から少々ずれており、しかも自分が何をしているのかはよく理解しているものの、それが周囲の一般的観点から少しばかりずれている事に気がついていない人に対して用いられる。単に知識や経験の不足であったり、育った環境により間違った知識を植え込まれたことが原因で起こりうる。

その言動によって周囲が困惑しても、悪意が無いのと実質的な被害がほとんど発生しないのとで、基本的には否定的な意味ではなく、むしろ「幼さ」を連想させる「かわいらしさ」や笑いの要素と捉えられる。その無邪気(あるいは素直)な行動が周囲を和ませる点で、しばしば癒し系と同様に語られることもある。ただし、女性の場合は「周囲に甘えている」と誤解されたり、男性の場合は「男らしさや頼りがいが欠けている」と見なされる場合も多い。

しかし、一方では馬鹿という言葉の代わりに使われたり(はっきりとバカと言ってしまうと、角が立つので)、厳密には天然ボケではないものの、ちょっとしたミス、またただ単に雰囲気や言動がおっとりしているというだけで、天然と言ったり、何でもかんでも少しでも周りと違うところがあるだけで、簡単に天然と言ってしまうような傾向も見受けられ、天然ボケの定義があいまいなまま、言葉だけが独り歩きしている様でもある。
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【ネタ元】デイリースポーツ
http://www.daily.co.jp/gossip/article/2010/08/02/0003267781.shtml
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綾瀬はるか、堤に“天然”バラされた

 女優・綾瀬はるか(25)が1日、大阪府庁で行われた出演映画「プリンセス トヨトミ」(2011年初夏公開)の撮影に参加し、主演の堤真一(46)らから爆笑天然エピソードを暴露された。

 作品は、大阪を舞台にした“日本版ダヴィンチ・コード”とも呼ばれる歴史謎解きミステリー。謎を解き明かす会計検査院の調査官を演じる綾瀬だが、堤をはじめ、共演の岡田将生(20)から「天然」と早くもいじられまくり。綾瀬は「天然じゃありません」と声を高くして否定したが、堤からは「大阪城をお寺だと思っていたでしょ」と暴露され、頭をかいた。

 また、府庁を使用しての映画撮影は、故松田優作さんが出演した「ブラック・レイン」(1989年公開)以来。橋下徹大阪府知事(41)も14、15日の撮影に、エキストラで参加する計画もある。なお、中井貴一(48)、和久井映見(39)、沢木ルカ(12)、森永悠希(14)の出演も発表された。
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綾瀬はるか、堤に“天然”バラされた
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1295468&media_id=30

【「係り受け」は一文内で完結するべきか】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月01日から

 テーマトピは下記。
【係り受けに関しての質問です。】日本語しつもん箱 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55208777

 トピ主の質問を一部加工して転載する。
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「なぜなら~から」の係り受けは、文を跨ぐことがありますか?
 たとえば「なぜなら彼は忙しかった。そればかりではなく、物理的な拘束もあったからである。」のような文です。
 そんな文が、あるところで堂々と使われていて、びっくりしてしまいました。
 私は、呼応はひとつの文の中で完結しなければならないと考えているのですが、それは、間違った思い込みでしょうか?
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 大前提として「係り受け」という言い方はアリなんだろうか。なんか違う気がするが、いい代案が浮かばないのでこう呼んでおく。
「係り受け」は一文内で完結するべきか。
 文脈しだい、としか言いようがない。一般論で言うなら、完結するほうが自然だと思う。当方の感覚は「6」のコメントの前半部にきわめて近い。
・正しい/正しくないで判断すべき問題ではない
・どちらが自然かと言えば、一文で完結するほうが自然
・「なぜなら」は「~から」などで受ける必要がある

 ただ、「なぜなら」がないほうが自然か否かも文脈しだいだろう。「これから理由を述べる」という一種の目印になるから、「なぜなら」があったほうがわかりやすいことが多い(これは接続詞の重要な役割)。以前書いた下記のことを思い出した。「接続詞+文末」でも「文末だけ」でもOKだろう。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1551101443&owner_id=5019671

 トピ主がひいた例文だと、かなり不自然な気がする。「なぜなら(理由)。そればかりではなく(別の理由)からだ」になっているから。だから、「そればかりではなく」(「しかも」でも「そのうえ」でも「さらに」でも同様)が必要になる。
 これが「なぜなら(理由)。(補足情報)からだ」だったらもっと自然になる。「そればかりではなく」などがなくても気にならない。
【例文案】
 彼はなかなか連絡しなかった。なぜなら彼は猛烈に忙しくてそれどころではなかった。元々懸案事項が山ほどあるのに日々新たな問題が起き、一分一秒もムダにできないような気持ちになっていたからだ。
 一文で完結させるためには2つ目の文と3つ目の文を結合して一文にする必要があり、かなり長くなる。
【無理矢理一文にした例】
 なぜなら彼は猛烈に忙しく、元々懸案事項が山ほどあるのに日々新たな問題が起き、一分一秒もムダにできないような気持ちになっていてそれどころではなかったからだ。
 こんなことをするくらいなら、元の【例文案】のほうがマシだろう。もちろん、「からだ」を前にもっていく方法もある。これも素直だろう。
【「からだ」を前にもっていった例】
 なぜなら彼は猛烈に忙しくてそれどころではなかったからだ。元々懸案事項が山ほどあるのに日々新たな問題が起き、一分一秒もムダにできないような気持ちになっていた。
「なぜなら」を削除して「文末だけ」にしてもいい。その場合は、文頭の「彼は」も削除したくなる(「彼は」で始まる文が続くのは避けたい)。
【「なぜなら」を削除して「文末だけ」にした例】
 猛烈に忙しくてそれどころではかったからだ。元々懸案事項が山ほどあるのに日々新たな問題が起き、一分一秒もムダにできないような気持ちになっていた。

「文脈しだい」と書いたけど、もうひとつ大切な要素は一文の長さだろう。一文が長くなると「係り」と「受け」が離れてしまいがち。
  1)一文を短くする
  2)「文末だけ」にする
 などの工夫をしないと、わかりにくい文になる。↑のリンク先に書いた「おそらく~でしょう」「たぶん~でしょう」「つまり~ということです」などの場合も同様。
 結局、長い一文はいろいろな意味で問題が出てくるので避けたほうがいい、ってことになる(笑)。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=897820190&owner_id=5019671


【トピへのコメントを日記形式で書く理由──返信コメントは原則的にトピにお願いします】※あくまで原則論
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1468087432&owner_id=5019671

【知る 知らない 知っている 知っていない】日本語〈1〉&〈2〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月01日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1551147702&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【知ってない】日本語しつもん箱 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55215383

 おもしろいテーマを思いつく人がいるもんだ。
 ああ、アンケート大好きさんか。まだ検索にはかからないけど、このテーマもマルチポストでアチコチで訊いているのだろうか。困ったもんだ。ヘタに絡むとコミュ追放の道連れにされるから避けとこ。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1544027582&owner_id=5019671

 トピ主の質問を要約する。「知ってるんでしょ?」という問いに「知ってない」ではなく「知らない」と答えるのはなぜか。
 ネット検索してみるといろいろヒットする。1)はいろいろリンクも張られている。どうやら当方の知識では手に負えない気配が濃厚(泣)。
1)【「知っている」の否定形は、どうして「知らない」になるのでしょう?】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/4064557.html
2)【面白いことを発見してそれを面白がる: 知ってない問題 (3)】
http://cellistmiya.typepad.jp/blog/2008/12/3-8b33.html?cid=17881966

 まず考えるべきは「知る」「知らない」「知っている」「知っていない」の関係。「知ってない」は「知っていない」の「イ抜き」なので、まぎれをなくすために、イを入れる。
 活用が似ている「持つ」、意味が似ている「わかる」「覚える」と比較する。

  1基本形  2否定形   3状態を表わす形  4状態を表す形の否定形
  知る    知らない   知っている     ×知っていない
  持つ    持たない   持っている     持っていない
  わかる   わからない  わかっている    わかっていない
  覚える   覚えない   覚えている     覚えていない(活用が違うのでなんとも)
 
 論理的に考えると「知っていない」を間違いとする理由はないはず。でもヘンなものはヘン。
「知っていないはず」「知っていないと~」「知っていないようだ」など、後ろに言葉が続くとマシだけど、少しヘンな感じが残る。「知らない」のほうが自然だろう。
「わからない」と「わかっていない」では、ニュアンスが相当違う。だとすると、「知らない」で「知っていない」の代用にするのはムチャなはず。
 このあたりから完全に主観になる(笑)。
「わからない」はやや主観的で「わかっていない」は客観的。
  私(に)はわからない
  彼にはわからない
  私はわかっていない(強い自嘲?)
  彼はわかっていない


【追記】
「知っていない」が相当ヘンで、「気に入っていない」がちょっとヘン。
 ここに着目して形が似ている言葉で考えてみる。

●語幹が「イの段」の1字の動詞(5段活用)
 知っていない/知らない
 気に入っていない/気に入らない
 言っていない/言わない
 逝っていない/逝かない
 行っていない/行かない 
   ──  /要らない
 煎っていない/煎らない
 切っていない/切らない
 散っていない/散らない

 やはり「知っていない/知らない」以外は相当意味がかわり、同じような現象はなさそう。「~っていない」を使わないのは「要る」だけど、これは「要っている」も使わないからちょっと違う。
 挫折orz。

【追記】
「15」で下記が紹介された。
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/87817
 ついていけない(泣)。


【知る 知らない 知っている 知っていない】〈2〉
mixi日記2011年03月15日から

「自粛期間」のはずだが、今月中にある程度のカタをつける必要がありそうなもんで焦り気味に……。

 テーマサイトは下記。
【動詞「知る」の可能形と 助詞・・・?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1456748914

 テーマサイトの質問を一部加工して転載する。
================================
動詞「知る」の可能形と 助詞・・・?
動詞を可能形につくるときは、

1.動詞を「レル」「ラレル」に変える
2.動詞の辞書形に「ことができます」をつける

上記の二通りの方法があると思いますが、

「知る」の場合は、1.を適用すると「知れる」になります。
ところが、「知れる」は「知る」の自動詞ですので、
※ <他動詞→自動詞>
「切る→切れる」「売る→売れる」「取る→取れる」
などの動詞を可能形につくるときには、他動詞に「ことができる」をつけるのでよいでしょう。

でしたら、「知る」の可能形も「知れる」ではなく「知ることができる」の方が正しいことになりますね・・・

だとしたら・・・

例1.山田さんの電話番号が(を)知れますか?→X
例2.山田さんの電話番号を知ることができますか?→O

例1は間違いで、例2.が正しいですか???
※注意:「知っていますか?」の質問ではありません。

ちなみに、例1.に「電話番号が・を」助詞は「が」と「を」どっちた正しいでしょうか?

どうか解りやすくよろしくお願いします。


補足 >>>>

※ 可能動詞にはだいたい助詞「が」がつきますが、場合によっては「に、を・・・」などの助詞もくると知っていますが・・・

では、上の質問(例1.の「電話番号が・を」助詞は「が」と「を」どっちた正しいでしょうか?)に加えて、

・鈴木さんがピアノを弾く→

1.鈴木さんはピアノが弾ける。
2.鈴木さんにピアノが弾ける。
3.鈴木さんがピアノが弾ける。
4.鈴木さんがピアノを弾ける。

1~4のうちどっちが正しいでしょうか?

※ 「わかる」の可能形はないと知っていますが・・・ないでしょうか?
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 簡単な問題でないことは半ば本能的に(笑)わかる。
 下記のトピを立てることにした。
「知る」に関しては、以前アンケート好きの暴言語学者が立てたトピが不完全燃焼だったので、新たに問題提起した。当方の「0」だけを転記しておく。
【「知っている」の否定形は?/「知る」の可能形は?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=60595454&comment_count=16&comm_id=2748

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「知っている」の否定形は?/「知る」の可能形は?
2011年03月05日 21:47
tobirisu

 動詞の「知る」についてわからないことが2点あります。

1)「知る」の否定形は「知らない」? 「知っている」の否定形は……。
 以前、他のコミュであるかたが【知ってない】というトピを立てました。いくつかコメントがついたのですが、なぜかトピが突然削除されました。
 詳しくは下記をご参照ください。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1551147702&owner_id=5019671

 テーマは「知っている」の否定形が「知っていない」にならないのはなぜ、ということでした。
 そのときに考えたこと
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 活用が似ている「持つ」、意味が似ている「わかる」「覚える」と比較する。

1基本形  2否定形   3状態を表わす形  4状態を表す形の否定形
知る    知らない   知っている     ×知っていない
持つ    持たない   持っている     持っていない
わかる   わからない  わかっている    わかっていない
覚える   覚えない   覚えている     覚えていない
                       (活用が違うのでなんとも)
================================

 調べてみると、「知っている」の特殊性は有名なようで、いろいろ資料は見つかりましたが、どうもハッキリしません。考えはじめると、「知る」の否定形が「知らない」ということまで疑問に思えてきました。
 どのように考えればよいのでしょうか。


2)「知る」の可能形(可能動詞?)は?
 フツーに考えると「知れる」でしょうが、これは別の意味になってしまいます。
 そうなると「知ることができる」にするしかないのでしょうか。
 同様に「わかる」(「理解する」の意味)の可能形も「わかれる」はヘンな気がします。
 どのように考えればよいのでしょうか。

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 いくつかコメントはついたのだが……。
 大前提として、こういうトピにコメントする場合は、「0」の文はちゃんと読むものだよね。リンク先があったら、そっちもザッと目を通すものだよね。それさえもしていないとしか思えないコメントへの返信ってどうしたらいいんだろう。
 だって、一応ここまでの積み上げはあるのよ。いまさら前に戻って話をしなきゃいけないのかな。
 おまけに、ほかのコミュでもほとんどホニャララとしか思えないコメントを見かけるヘニャララ好きまで湧いてきて、収拾つきませーん。
 このコミュって比較的まともだと思ったんだけどなぁ。勘違いかな。
 辛口の某氏には「並んだ、並んだ、意味不なコメント」とか揶揄されるし(泣)……。
「16」のコメントを読んで、やっと少し前進できるような気がしてきた。
 ということで、前に進もう。
「16」のコメントの中にあった下記の記述は心に染みた。
「言語学」の門外漢の当方が言うのもなんだが、周知徹底願います。<(_ _)>
================================
 私以降に投稿される方に、要らぬ世話とはしりつつもここで明言しておいた方がいいかもしれません。 『言語学』コミュであるからには、先行研究に敬意を払いつつ、学問的に、トピ主の疑問に解説されることが望まれるのではないでしょうか。
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●1)「知る」の否定形は「知らない」? 「知っている」の否定形は……。
「16」のコメントを、思いっきり乱暴に書きかえる。
「知る」のようにきわめて使用頻度の高い基本語句は、特殊な性質をもつことがある。「知っている」の否定形が「知っていない」にならないのは、そういう特殊な性質のひとつと考えるべき。
 文法的には「知っていない」だけど、実際にはほとんど使われない、って言うほうが正確かな。
 そういうことなんだろうな。言葉の問題に関しては、理論的に割り切れないことが多々ある。
 たださぁ。常識はなくても知識だけは豊富な暴言語学者は、そんなことは当然知っているはずだよな。なんであんなトピを立てたんだろう。
 ……どうやら知らなかったようだorz。
http://mnojima.blog12.fc2.com/?q=%C3%CE%A4%C3%A4%C6%A4%CA%A4%A4


●2)「知る」の可能形(可能動詞?)は?
 まず例によってWeb辞書をひく。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E7%9F%A5%E3%82%8B&stype=0&dtype=0
================================
し・る【知る】
【1】[動ラ五(四)]
1~10 省略
[可能] しれる
【2】[動ラ下二]「し(知)れる」の文語形。
================================

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0na/11445409434300/
================================
し・れる【知れる】
[動ラ下一][文]し・る[ラ下二]
1 他の人の知るところとなる。知られる。「名の―・れた人」「親に―・れては困る」
2 知ることができる。自然にわかる。判明する。「気心の―・れた人」「行方が―・れない」「あんなことをするなんて、気が―・れない」
3 大したことではないとわかる。それほどではないと見当がつく。「たかが―・れている」「一人の力なんて―・れたものだ」「集まるとしたって―・れた数だ」
4 (「しれたこと」の形で)わかりきっていて言うまでもない。「―・れたことよ」「金がないのは―・れたことだ」
5 (「どんなに…かしれない」などの形で)予想がつかないほど甚だしい、の意を表す。「どんなに心配したか―・れない」「どれほど待ち望んでいるか―・れない」→かも知れない
================================

■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0ss/109870300000/
================================
し・れる0 【知れる】
(動ラ下一)
[文]ラ下二 し・る
[1]人に自然と知られる。
  少しは名の―・れた会社
  お里が―・れる
[2](多く打ち消しの形で用いる)話し手にそのことがわかる。
  あいつの気が―・れない
  えたいの―・れないやつ
  底―・れぬ力を持った人
[3](「しれている」の形で)はじめからその範囲がだいたいわかっている。たいしたことはない。
  行き先はだいたい―・れている
  たかが―・れている
[4](「どんなに…かしれない」の形で)非常に…するであろう、という予測や、非常に…したという気持ちを表す。
  どんなに喜ぶか―・れない
  どんなに迷惑したか―・れない
[5]知らせる。
己(おの)が辺りを人に―・れつつ〔出典: 万葉 1446〕
→かもしれない
================================

 2種類のWeb辞書を読み比べて、ポイントになることがいくつかある。
『大辞泉』の【1】の意味の最後にポツンと書かれている〈[可能] しれる〉の文字。なんでこんなことを特記しているのだろう。「知る」の可能形が「知れる」って、わざわざ書くようなこと?
 さらに『大辞泉』の「知れる」の項には「知ることができる」とある。
 一方『大辞林』だとかなり違ってくる。
『大辞林』の「知れる」の項には、「人に自然と知られる」(「知る」の「受身」とも「自発」ともとれる)があっても「可能」は見当たらない。
 そうか。「知る」の「自発」は「知られる」になる。つまり、「お里が知れる」は、あくまでも下一段動詞の「知れる」の話で、「知る」とはちょっと違うのね。
 これじゃ何もわからない。
 うんと素直に考えることにする。「知る」の可能形は「知れる」。でも下一段動詞の「知れる」とまぎらわしいせいもあってか、めったに使われない(このあたり、辛口の某氏に丸め込まれている気配濃厚)。

 で、トピの「16」のコメントに戻ろう。
================================
 そもそも「知る」に可能形がなければならないとお考えの理由を教えてください。「知られる」では駄目なのでしょうか。また、「知れる」でダメという理由をお書き願えればと思います。
 あるいは「知る」の特殊性がここでも発揮されていて、スルの可能形がデキルでありアルの否定形がナイであるように、「知る」の可能形も「分かる」である、と考えて、何か不都合があれば教えてください。
================================

 質問を箇条書きにして答えていこう。
1)「知る」に可能形がなければならないと考える理由
 現実に「ある」と思う。
2)「知られる」ではダメか
「知られる」は「知る」の本来の可能形。現代では「受身」として使われることが圧倒的に多い気がする。
3)「知れる」でダメという理由
「知れる」は「知る」の一般的な可能形。ただし、実際にはほとんど使われない(下一段動詞の「知れる」とまぎらわしいせい?)。
4)「知る」の可能形も「分かる」と考えるとダメか
 それはさすがに少し強引だと思う。



【知る 知らない 知っている 知っていない】〈3〉
mixi日記2015年03月01日から

 テーマサイトは下記。
【「聞かされていないこと」を表す二字熟語。】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8932031.html
==============引用開始
「聞かされていないこと」を表す二字熟語。

●聞いていないこと
●聞かされていないこと
を表す二字熟語を教えてください。

【補足】
●知らなかった
●知らされていなかった
を表す二字熟語を教えてください。
==============引用終了

〈1〉&〈2〉で主なテーマになっていたのは「知っている」の否定形が「知っていない」ではなく「知らない」になるのはなぜか。
 諸説があるようだが、結論としては〈「知っている」の特殊性〉としか言いようがない。
 今回は「知らない」を表わす二字熟語。「知らされていなかった」「聞いていないこと」「聞かされていないこと」も結果的にはほぼ同じになる。
 パッと浮かぶのは「未知」。これだとニュアンスがちょっと違う。
「無知」だともっと違う。

 いろいろ考えて「初耳」という飛び道具を思いついた。
 結果的にはOKなんだけど、反則に近い。
 でも質問者の伴侶も同じことを考えたらしい。質問者も納得しているようだ。

「反則」と思ったのは、一見まったく違う系列の言葉に見えるから。
 でも、「初耳」ってことは「(それまでは)聞いていない」ことにほかならない。つまりは「知らない」とほぼ同義になる。
「知らない」を表わすほかの二字熟語が見当たらないないのなら、「初耳」でいい気がする。
 聴覚ではなく視覚を重視するなら「初見」なんて言葉あるが、これもちょっと用法が限られる。

 類語辞典も確認したが、適切なものがなさそうなので、「初耳」にしておこう。
http://thesaurus.weblio.jp/content/%E5%88%9D%E8%80%B3 

「ご○○する」「お○○する」【仮】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年07月30日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1549552703&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「ご相談」は謙譲語?】日本語しつもん箱 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55108713

 まずトピ主の「0」を一部加工して転載する。

================================
自分が行う行為について、相手への敬意を表す謙譲語として
「ご案内」「ご説明」「ご連絡」などがありますよね?
 (例:私がご案内/ご説明いたします。)

で、「ご相談」も謙譲語だと思っていたのですが、
 (例:ちょっとご相談したいことがございまして・・・)
企業などの相談窓口を「お客様ご相談窓口」としているところが
結構見受けられます。
もし「ご相談」が謙譲語なら、おかしな表現ですよね?

「お客様のご相談」を受け付ける窓口という意味なら、
この「ご相談」は尊敬語になるはず・・・。

それとは逆に、自分の会社の電話番号を「ご連絡先」としている
会社も「お客様ご相談窓口」を使っている会社にあったのですが、
敬語の使い方として正しいのでしょうか?
(「ご連絡先」は尊敬語だった気がするのですが・・・)
================================

■第1段階の回答例(基本編)
【1】「ご○○」(「お○○」も同様。以下同)だけだと謙譲語にはならない。
「ご○○」は、聞き手に関する言葉にも、話し手に関する言葉にも使う。基本的に、聞き手側のものにつければ尊敬語、話し手側のものにつければ丁寧語。
 けっこう微妙な場合もあるような気がする。たとえば、翌日一緒にゴルフに行く予定の上司に向かって「あしたのお天気は……」と言ったら、「お」は尊敬語なのか丁寧語なのか、当方には判断できない(たぶん丁寧語だろうけど)。
「丁寧語」より「美化語」のほうがより正確な言い方かもしれない。話が複雑になるので、基本的に「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3分類で考える。下記のWikipedia参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E8%AA%9E

※【2】の部分は加筆・訂正した。原文は最後に。
【2】「ご○○する」になると謙譲語。主として、話し手の行為を表わす。通常、その行為は聞き手にも関係がある。

「0」にある例について考える。
  1)ご相談したい→「ご○○する」の変形なので謙譲語。
  2)ご相談窓口
   →「ご○○」なので丁寧語か尊敬語(たぶん尊敬語)。
   「客がご相談をする窓口」と考えるなら丁寧語。
   「企業が客のご相談を受ける窓口」と考えるなら尊敬語。
    ※企業側が表示しているのだから尊敬語だろう。
  3)ご連絡先
   →「ご○○」なので丁寧語か尊敬語
    「ご連絡先」は客への「ご連絡先」と、企業への「ご連絡先」(トピ主があげているのはこっち)がある。 
    客への「ご連絡先」は尊敬語。客から見るとか企業から見るとかは無関係。
    「ご連絡先(尊敬語)にご連絡いたします(謙譲語)」
    企業への「ご連絡先」は丁寧語。単に「連絡先」でもいいはず。
    「ご連絡先(丁寧語)にご連絡ください(尊敬語)」
     ウウッ……何がなんだか。

 ほかには以下のような形がある。
  4)ご相談します→「ご○○する」の変形(丁寧語)なので謙譲語。
  5)ご相談いたします
   →「ご○○する」の変形なので謙譲語。
    4)「ご相談します」より丁寧な言い方で、これがイチバン一般的では。
  6)ご相談いただく
   →これがよくわからない。
   「ご○○する」の丁寧な受け身の形なので謙譲語にしておく。
    ※Wikipediaも「ご○○いただく」を謙譲語にしている。
  7)ご相談ください
   →「ご(お)~ください」の形で尊敬語。
  8)相談してください
   →意味としては7)と同様だと思うが、フツーの依頼(命令)表現(丁寧語)。

「14」の分類は非常に参考(厳密に言うと誤用らしい)になった。ただ、下記が謙譲表現というのはちょっと疑問を感じる。これは丁寧表現では。意味的には限りなく謙譲表現だと思うが、「ご○○がある」は形としては丁寧表現の気がする。このあたりはホントにわからない。
・先生、ちょっとご相談があるんですが、いまよろしいでしょうか?

■第2段階の回答例(ヨタ話編1)──『問題な日本語』の話
 基本的な考え方は「第1段階の回答例」のとおりでいいと思う。ただ、ちょっと違う考え方もできる。以降はヨタ話に近い。
『問題な日本語』(大修館書店)に以下のような記述がある。
〈おビールをお持ちしました〉(p.12-15)のテーマは、美化語と「ご○○する」(同書では「お~する」と表記しているが、ほぼ同様)。美化語の話を始めると長くなるので、ここでは話を「ご○○する」に限定する。実は美化語の話も興味深いのだが……。
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多くの人は、「お~する」は全体で謙譲語だがら問題ないと考え、違和感を持っていないのですから、ことさら問題を提起することはないのですが、金田一京助博士は「お~する」を謙譲で使うのは間違いだと書いていますから、大正の頃は正しくない表現だと考えられていたようです。現在では、「(先生を)お誘いする」「(先生のために)お調べする」などは最も普通の謙譲表現ですが、以前は不自然だと感じられていたのです。現在ではさらに、「(私は会社を)お休みします」のように行為が相手に及ばず謙譲にはならない「お~する」も使われますが、美化語としか言いようがありません。(p.14-15)
================================
 一文が長くてわかりにくい文章だが、ポイントは2点あると思う。
1)大正の頃は「お~する」を謙譲で使うのは間違いと考えられていたらしい
 こういう言葉の歴史のような話は苦手なので、スルーしたい。「ことさら問題を提起することはない」だろう。ただ、現在でも疑問に思う人が多いことと、比較的最近まで「間違い」と考えられていたことは無関係ではないと思う。
2)「(私は会社を)お休みします」のように行為が相手に及ばず謙譲にはならない形も使われる
 微妙。単にヘンな表現ともとれる。
 自分が「休む」ことが同僚に影響を及ぼすともとれる。
「休み」に丁寧語(美化語)の「お」がついた結果、「お休みする」で動詞のような扱いになっている気もする。同様の例が思い浮かばない……。あえて言えば「お泊まりする」かな。「ご欠勤する」「ご宿泊する」だと、相当おかしい。
 結論としては、得体がしれない。個人的には「(私は会社を)お休みします」にはかなり異和感がある。とは言え、×かと訊かれれば、そこまで言う根拠もない。

■第3段階の回答例(ヨタ話編1)──「ご伝言いたします」は誤用か?
「ご○○する」に関係する話で、少し前から気になっていることがある。下記の「145」~「155」でした話。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1736067&page=8&id=15311971
 当方のコメントを転載する。

================================
145
2009年01月23日 19:17
tobirisu

 似たような問題で当方が最近気になっているのは下記です。

「ご伝言いたします」

 当方はずいぶん前から保険会社ともめています。電話をしても担当者が不在のことが多いため、電話に出た人が「ご伝言いたします」 と言うたびに、違和を感じます。
 たしかに当方の「伝言」ではありますが、いったい誰が誰に伝えるのでしょうか。「電話に出た人」が「担当者」に伝言するのだから、敬語を使う理由はないのでは、というのはクレーマーの言い分でしょうか。 
「ご伝言を伝えます」なら、重言ではあっても間違いではない気がします。「ご伝言いたします」は、その省略形と考えるべきでしょうか。
================================
151
2009年01月24日 00:19
tobirisu
>146
>「ご伝言いたします」はかなり違和感ありますねえ(^_^;。

>やはり「ご伝言いたします」はおかしいですね。

 少し気がラクになりました。やはりおかしいのですね。
 たしか別の機会にも同様のことを言われて妙な気がした記憶があります。
================================
155
2009年04月29日 13:24
tobirisu

 ずーっと頭にひっかかっていたのですが、「誰が」「誰に」とかは関係なく、「ご○○する」を単純に謙譲表現と考えれば、「(お客の言葉を私が上司に)ご伝言いたします」はアリなんでしょうか。そうなると、「お伝えします」もアリって気がします。
================================

 何もコメントをもらえなかったので、仕方がないので自力で考える(泣)。
「ご伝言いたします」(「お伝えいたします」も同様)は上司に対する謙譲語になり、身内に敬語を使うことになるので×。「(上司に)ご相談いたします」がおかしいのと同様。話の内容が当方に関係することであっても×。
「ご伝言を伝えます」なら、「ご伝言」は当方に向けた尊敬語なのでOK(ただし重言)。
「(上司に)相談いたしまして、結果を(必ず)お伝えいたします」なら通常の謙譲語なのでOK。
 この場合、なぜ「ご伝言いたします」だとちょっとヘンなのかは不明。「ご連絡いたします」ならOK。
「結果」を「伝言する」のはおかしい、という考え方もできそう。じゃあ下記の形に変形する。
「(上司に)相談いたしまして、上司の見解を(必ず)お伝えいたします」
 この形にしても、やはり「ご伝言いたします」はヘンな気がする。

 下記はけっこう関係するかも。
【「お~してください」「ご~してください」☆日本語教師☆】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1515394161&owner_id=5019671


■■■■■【2】の部分の原文■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【2】「ご○○する」になると謙譲語。主として、話し手の行為を表わす。通常、その行為は聞き手にも関係がある。

「0」にある例について考える。
  1)ご相談したい→「ご○○する」の変形なので謙譲語。
    こう変形すると「ご」が着脱可能なので丁寧語の可能性もある。
  2)ご相談窓口
   →「ご○○」なので丁寧語か尊敬語(たぶん尊敬語)。
   「客がご相談をする窓口」なら丁寧語。
   「企業が客のご相談を受ける窓口」なら尊敬語。
    ※企業側が表示しているのだから尊敬語だろう。
  3)ご連絡先→「ご○○」なので丁寧語か尊敬語(たぶん尊敬語)。
   「客がご連絡をもらう先」と考えるなら丁寧語。
   「企業が客にご連絡をする先」と考えるなら尊敬語。
    ※企業側が表示しているのだから尊敬語だろう。
※3)の「ご連絡先」は客への「ご連絡先」と、企業への「ご連絡先」(トピ主があげているのはこっち)がある。 
 客への「ご連絡先」は尊敬語。客から見るとか企業から見るとかは無関係。
「ご連絡先(尊敬語)にご連絡いたします(謙譲語)」
 企業への「ご連絡先」は丁寧語。単に「連絡先」でもいいはず。
「ご連絡先(丁寧語)にご連絡ください(尊敬語)」 
 ウウッ……何がなんだか。

 ほかには以下のような形がある。
  4)ご相談します→「ご○○する」の変形(丁寧語)なので謙譲語。
  5)ご相談いたします
   →「ご○○する」の変形なので謙譲語。
    4)「ご相談します」より丁寧な言い方で、これがイチバン一般的では。
  6)ご相談いただく
   →これがよくわからない。
   「ご○○する」の丁寧な受け身の形なので謙譲語にしておく。
    ※Wikipediaも「ご○○いただく」を謙譲語にしている。
  7)ご相談ください
   →これもよくわからない。6)の変形と考えると謙譲語。
   「くださる」の変形と考えると尊敬語。
   「14 OMIさん」が尊敬語にしているので、尊敬語にしておく。
   ※コメントをもらった。「ご(お)~ください」の形で尊敬語になる。
  8)相談してください
   →意味としては7)と同様なので、
   「ご○○」ではないがこれも尊敬語にしておく。
   ※コメントをもらった。フツーの依頼(命令)表現(丁寧語)。


【20120626追記】
【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)──予想していたことではあるが……。】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2415.html
================================引用開始
【引用部】
 「お/ご〜〜する」という形自体は古くから散見するのだが、本書のいう〈一般形〉として使われるようになったのはさほど古くはなく、小松寿雄氏の調査によると明治三十年代ごろからのようである。ただし、その当初からしばらくの間は、実際には次第に使われるようになってはきても、「お/ご〜〜いたす」や、当時の代表的な謙譲語「お/ご〜〜申す」のほうが規範にかなった言い方だという意識があったようで、小松氏によれば、昭和十年代になっても(一部には戦後になっても)「お/ご〜〜する」という言い方は認めないとする向きがあったという(言葉についてやかましく論評する人は、いつの世にもいるもののようである)。「お/ご〜〜する」が、規範的な立場からも一般に認められるようになったのは、戦後のことのようである。(P.282)
 言葉の歴史的な変遷に関しては、できるだけかかわらないようにしている。なんらかの根拠がある確度の高い説には耳を傾けるが、そうでないものは聞き流す。当方が興味をもつのは、主として現在使われる言葉限定。この〈「お/ご〜する」未熟説〉(なのか?)については、Wikipediaか何かで、金田一(ファミリーの誰か)が同じようなことを主張したという記述を見た。
 気になってあれこれ検索して見つけた。ああこんなことを書いていると終わらない(泣)。
================================引用終了

突然ですが問題です【日本語編17】──あえて/わざと/わざわざ

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年07月28日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1548484882&owner_id=5019671

【問題】

【問1】
 下の文には、あえて/わざと/わざわざ どれが入るでしょうか?(複数回答可)
  1)小学校に入学した太郎クンは、好きになった花子チャンに(   )意地悪をする。
  2)遠いところを(   )来てくれてありがとう。
  3)言いにくいことだか、彼の成長のために(   )言おう。

【問2】
 下の文には、あえて/わざと/わざわざ どれが入るでしょうか?(複数回答可)
  1)小学校に入学した太郎クンは、好きになった花子チャンに(   )意地悪をする。
  2)花子チャンが話しかけたのに、太郎クンは(   )答えなかった。
  3)言いにくいことだか、彼の成長のために(   )言おう。
  4)手伝ってもいいのだが、彼の成長のために(   )手を貸さなかった。

【参考文献?】
【「あえて」と「わざと」※毒抜き編☆日本語教師☆】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1098.html

【解答?】は下記。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1502.html

突然ですが問題です【日本語編16】──間違い/間違え 寝違い/根違え【解答編】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年07月日から

 まず問題を再掲する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1529579379&owner_id=5019671

================================
【問題】
 問題と言うよりアンケートです。
 次の1)~6)の言葉の組のどちらを使うか答えなさい。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
「の」の4連発だ。

1)間違い/間違え
2)寝違い/寝違え
3)仲違い/仲違え
4)場違い/場違え
5)着替い/着替え
6)しつらい/しつらえ
================================

【解答例】
1)間違い ※「間違え」も間違いではない
2)寝違い/寝違え ※両方ともアリ
3)仲違い
4)場違い
5)着替え ※読みは「きがえ」。ちなみに「着替える」は「きかえる」が本来の形らしい
6)しつらい ※「しつらえ」も間違いとは言いきれない

「間違い 間違い」で検索するといろいろヒットする。気になったものがいくつかあるが、最後に回す。
 けっこうたいへんなことになる予感はあったが、予想以上に訳のわからないことになった。
 泣きながら書く。次回はもっと簡単な問題にしよう……(泣)。
 以下、辞書はWeb辞書の『大辞泉』をひいている。

1)間違い ※「間違え」も間違いではない
 よくわからないないなりにまとめると、まず動詞の形が2つあることが、紛らわしさの根源。
  間違う(五段活用)
  間違える(下一段活用)
「間違う」は本来は自動詞だったが、現在では他動詞としても使うらしい(そのことが今回の問題と関係あるか否かは不明)。自動詞/他動詞問題には極力近づかない。コソコソ。
 動詞の連用形が名詞化するのはよくあること(厳密に言うと卵と鶏のどちらが先かは不明の気がする……動詞の連用形が名詞化したのか元々名詞があったのかは不明ってこと)。
  「間違う」の連用形が「間違い」。
  「間違える」の連用形が「間違え」。
 だからどちらも間違いではない。
 ただし、一般的には「間違い」が優勢。個人的には「間違え」には相当異和感がある。

 2)以降のこともザッと書いておこう。
2)寝違い/寝違え ※両方ともアリ
「寝違う」「寝違える」も1)とほぼ同様だろう。ただ、こちらの場合は「寝違い」と「寝違え」のどちらが優勢なのかは不明。
 ↓の参考2)で「寝違い」がナシとしいている根拠はなんなのだろう。個人的な語感ではたしかに「寝違え」だが、法則性(後述)を考えると「寝違い」が正しい気がする。

3)仲違い
 読みは違(たが)い。辞書には「仲違(ちが)い」もあるが無視する。(←オイ!)
 動詞の「違(たが)う」「違(たが)える」も1)とほぼ同様。名詞形は「違(たが)い」「違(たが)え」の両方があることはあるが、圧倒的に「違(たが)い」が優勢だろう。とは言っても、「違(たが)い」単独で使うことはほとんどない。
 辞書をひくと下記のような言葉が目につく。
  方違い/心違い/仲違い
 このうちイチバン目にするのは、「仲違い」じゃなかろうか。
 ちなみに「違え」で終わるほうは下記。こんな言葉知らんよ。
  忌み違え/方違え/言葉違え/節分違え/所違え
 なぜ「仲違え」とは言わないか。そんなことは言葉の神様でないからわかりません。

4)場違い
「間違う/間違える」の「間」がとれるとちょっと事情がかわる。
「違(ちが)う」は五段活用の動詞で「違(ちが)える」は下一段活用の動詞という点は同じ。しかし名詞形は「違い」で、複合語でなければ「違え」とはまず言わない。
「場違い」には動詞形がないので、「場」+「違い」と考えるのが素直だろう。
 同様に動詞形をもたない言葉は「~違い」になる
  板違い/従兄弟違い/色気違い/色違い/お門違い/思惑違い/顔違い/
  門違い/考え違い/管轄違い/勘違い/気違い/季違い/桁違い/見当違い/
  ※以下略
 動詞形をもつ言葉には以下のようなものがある(微妙なものもある)。これらのなかには1)2)と同様に「○○違い」のほかに「○○違え」の形をもつものもありそうだ。なかには「食い違い」のように、「食い違える」の形がない(たぶん)ので「食い違え」とは言わないものもある。
 このあたりは未検証です。キッパリ<( ̄- ̄)>
  行き違い/入り違い/入れ違い/打ち違い/思い違い/掛け違い/聞き違い/
  食い違い/組み違い
  ※以下略

 以上のことから導き出される暴論。
 現状では2つの形が共存している。
  A「○○違い」と「○○違え」の両方の形があるもの
  B「○○違い」の形しかないもの
 このように似た形がある場合、簡明な形、汎用性のある形に統合されている傾向がある。その統合は、多くの場合、使用頻度の高いものから進んでいく。
 なんの理由もなく「間違い」が優勢になっているのが、その典型。
 わかってます、わかってます。例外は多数あります。「はき違い」より「はき違え」のほうが優勢です。と言うより、辞書を見る限り、「はき違う」も「はき違い」もない。なんで?
「取り違え」も同様か。ほかにもありそうだな。 

6)しつらい/しつらえ
 この問題に関しては何度か書いてきた。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1337.html
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-925.html
※P.68~の〈愁ひつゝ岡にのぼれば花いばら〉の項参照。

 今回の法則にのっとって考える。
  「設う」の連用形が「しつらい」。
  「設える」の連用形が「しつらえ」。
 だからどっちもアリってこと。でもなぁ。「室礼(しつらい)」と書く語は、まったく出自が違う気がする。

 ここから先は完全なヨタ話。下記あたりは、一応今回の法則で説明できる。
  誘う→誘い
  ※「さそう」と読むか「いざなう」と読むかは知らない
  誂える→誂え
  ※文語形の「誂う」があるんだから「誂い」があってもおかしくはない
  拵える→拵え
  ※「設う」「誂う」があるのになぜか「拵う」はない

 いろいろ考えているうちに、強力な例外にブチ当たった。
  整う(五段活用のいわゆる自動詞)
  整える(下一段活用のいわゆる他動詞)
「整う」の連用形の「整い」も、「整える」の連用形の「整え」も辞書には見当たらないorz。


参考1)「間違い → 間違う(五段活用)の連用形 間違え → 間違える(下一段活用)の連用...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q118623441
※質問がちょっと違うせいもあって、何がなんだか。

参考2)【「着替える」「寝違える」の名詞形は「着替え」「寝違え」ですよね。なぜ「間違え...】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1243135982
※どこまで正しいのかよくわからん。

『間違い』『間違え』の違い
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa479177.html
※肝心のNHKのリンクは切れている。ほかのコメントをよく読むとかなり悩ましい。

「間違え」「間違い」どっちが正解?
http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa4920098.html

参考3)【「間違え」という言い方について】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1813575.html

 mixiで関係しそうなのが、ありそうで見つからない。
 とりあえず下記くらいか。
【間違うと間違える】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=16240231

参考4)【あくまでもあくま。】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=27752558
※「6」のコメントに補足がないのはなぜ? 質問者が納得したからいいか。

参考5)【気になってる日本語】(51~59)誤用が気になる派(日本語) トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=3&comm_id=222342&id=11795092
※「間違い/え」とは関係ないが、ちょっとメモしておく。


【追記】
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/057.html
================================引用開始
間違う? 間違える?

2001.12.01
「間違う」と「間違える 」とは、どう違うのでしょうか。

非常に微妙な違いがあります。「間違う」は「正しい(あるべき)状態から外れていること」、「間違える」は「AとBとを取り違えること」がそれぞれ意味の中心になっていると言えます。
解説
まず「間違う」は、ある「正しい状態」があるのにそのようになっていない、というときに使われます。例えば「人として間違った道を歩む」の場合、「道義的に正しい生き方」というものがあるにもかかわらずその道を歩んでいない、ということを表します。この場合、「人として間違えた道を歩む」とはふつう言いません。
一方「間違える」は、ある2つのものについて「取り違える」ことを表します。「ブーツの左右を間違えて履いてしまった」と言った場合、「右と左とを取り違えてしまった」という意味になります。ただし、右用は右足に、左用は左足に履くのが正しい履き方だ」というニュアンスがあれば、「間違って履いてしまった」と言うことも可能です。
何かの試験を受けたときに、「あるべき正解から外れた」という意味では「答えを間違った」ですし、「正解はAであるのにBと書いてしまった」という意味では「答えを間違えた」ということになります。多くの場合には両方とも使えることが多いのですが、とらえ方が違うのです。
なお名詞の形になると、どんな場合でも「間違え」より「間違い」のほうが多く使われるようです(例「[間違い/間違え]を見つけた」)。
(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)
================================引用終了

【待ちに待った 悔やみに悔やんだ 走りに走った ……etc.】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年07月24日から

 テーマトピは下記。
【枕を濡れに濡らした】日本語しつもん箱 トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=54979013

 まず「0」を一部加工して転載する。
================================
「待ちに待った日」、「泣きに泣いた」、「遅れに遅れた」のような使い方があるのですね。
 最近気にかかっている一つの文ですが、「私は枕を濡れに濡らしてしまった」。
 似たような文型ですが…
 けど、「濡れに濡れた」「濡らしに濡らした」という言い方をしていないでしょうかなぁ…
================================

 いやー。おもしろいところに気がつくもんだなぁ。感心してしまう。Web検索してみたが、何も見つからない。ずいぶん前にどこかのトピに書いた気がするが……。
 この「畳語」(と呼んでおく)の形で、日常的に目にすることが多いのは、「待ちに待った」だろうか。「悔やみに悔やんだ」あたりも見るかも。あとは……バリエーションは相当ありそうな気がするが、あんまり目にした記憶がない。

 まずはヨタ話から。
 この形の畳語を愛用していた書き手がいた。たぶん、近藤唯之(でなければ海老沢泰久)だったと思ったが、著書をざっと見直しただけでは見つからなかった。野球関係のエッセイ(ルポ?)の中に、この類いの表現がよく出てきた。
「走りに走った」(メロスのようだ(笑)「投げに投げた」「打ちに打った」……いろいろあったような気がする。ちょっと似た表現で「投げも投げたり」とか「打ちも打ったり」って言い回しもあったな。
「0」を読んでもうひとつ思い出したのは、有名な和歌。
  見せばやな 雄島(をじま)の蜑(あま)の 袖だにも
  濡れにぞ濡れし 色は変はらず
http://www.ogurasansou.co.jp/site/hyakunin/090.html
 これはたぶん関係ないだろうな(笑)。

 あとは、「飲んで飲んで飲まれて飲んで……」。これも100%関係ないだろうなorz。

 で、本題。
「私は枕を濡れに濡らしてしまった」
 これには相当異和感がある。
「1」のコメントにあるように、「○○が濡れに濡れた」や「○○を濡らしに濡らした」ならアリだろう(自分では、まず使わないけど)。
 前半が自動詞(的)で、後半が他動詞(的)で異和感がない形が想起できない(その逆のパターンも同様)。まあ自動詞と他動詞の組み合わせはひと筋縄にはいかない気がするんで、いろいろ考えれば出てくるかもしれない。
【関連トピ紹介】4──立ち上げる(「自動詞」と「他動詞」を組み合わせた「複合動詞」)は不自然なのか?
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41778919

「4」のコメントは興味深い。
 たしかに、後半だけ使役の形にするものは、異和感が薄れる。
  「選手たちを走りに走らせた」(走らせに走らせた)
  「生徒に漢字を書きに書かせた」(書かせに書かせた)
 さほどおかしくない気がする。
 
 後半だけ、いわゆる「被害の受け身」の形にするものも、異和感が薄れる。
  「昨日は雨に降りに降られた」(降られに降られた)
  「彼女に泣きに泣かれて困った」(泣かれに泣かれた)

 ただ、どちらも「まったく問題を感じないか」と訊かれたら、自信がない。やはりフツーの形にするべきだろう。
 もうひとつあげられた「受け身・尊敬などの“(ら)れる”」に関しては、かなり異和感がある。このあたりは各自の主観にもかかわってくるだろう。許容しはじめると収拾がつかなくなる気がする。

176【トピへのコメントを日記形式で書く理由──返信コメントは原則的にトピにお願いします】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1468087432&owner_id=5019671
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