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「自然に」と「自然と」の違い3※微毒アリ編

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月29日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1571263432&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「と」の使い方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55864554

 下記の続きでもある。
29)【日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い】(2009年04月03日)(以下【1】と表記)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-305.html
30)【日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い2】(2009年04月07日)(以下【2】と表記)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-588.html

 毒アリ編ですが、当面は公開制限はしません。トピにリンクを張ることもないでしょう。リンクを張る場合は前半を削除します。

(中略)

 なんでそんな強引な考え方をする必要があるのかな。当方は副詞の「自然」に「と」がついたものだと思う。そのほうが素直だから。「自然と」が1語の単語として認められているかは微妙。たぶん現段階では辞書にもないから認められていないんだろうね。

 ここから先は毒控えめで少しまともなこと?を書く。
 【1】から抜粋する。(【一覧】部を再度調べ直してみた)
================================
1)副詞の働きをする「○○に」と「○○と」の違い
 同じように両方の形をとるものとして思いつくもの。
  「意外に」「意外と」
  「割合に」「割合と」
  「割に」「割と」
 以前は「意外に」「割合に」「割に」が正しい日本語で、「意外と」「割合と」「割と」は俗語、話し言葉の類いとされていたはず。最近は採用している辞書もあるらしい。古い話は記憶に頼っているだけなので、強く主張する気はない。
「自然に」「自然と」も、ほぼ同様だと思っていた。古い用例があるから、「自然と」もアリなんだろう。ただ、個人的には、「自然と」は使いにくい。原則として「自然に」を使う。ほかも同様で、「○○に」が自然な日本語だと思う。

 念のため、ネット辞書と手元の『広辞林』(1988年版)で調べてみる。
     大辞泉  大辞林  広辞林  
意外と  有    無※1  無    
割合と  無    無※2  無
割と   有※3  有    有
※1 なぜか調べることさえできない(泣)
※2 「割と」の意味に「わりあいと」があるのに項目がない(笑)
※3 「割に」と同じ、とあるからフツーに考えれば「割に」が本筋だろう。
================================

【一覧】部分の再調査結果
     大辞泉  大辞林  広辞林  品詞
意外と  無※1  有    無    「意外」名詞/形容動詞
割合と  無※2  無※3  無    「割合」名詞/副詞
割と   有※4  有    有    「割」名詞
自然と  無※5  無※6  無※7  「自然」名詞/形容動詞/副詞
※1 「意外」の項に下記の注あり。
◆現在では「意外に」と同様、「意外と知られていない事実」のように「意外と」の形も用いられる。
※2 「割合」の項の副詞の用例に「―(と)やさしい問題」とあり。
※3 「割合」の項の副詞の用例に「―(と)早く治る」とあり。「割と」の意味に「わりあいと」があるのに項目がない(笑)
※4 「割に」と同じ、とあるからフツーに考えれば「割に」が本筋だろう。
※5 「自然」の項の副詞の用例に「無口だから―(と)友だちも少ない」「大人になれば―(と)わかる」とあり
※6 「自然」の項の副詞の[1]に(「に」や「と」を伴うこともある)とあり。
※7 「自然」の項の副詞の用例に「―(―に・と)ねむくなる」とあり。

 
 3つの辞書を見比べた結果わかること。
  意外と 1語と見るか否かは説が分かれる。
  割合と 1語ではないらしい。副詞の「割合」+「と」と考えるのが素直だろう。
  割と 1語と考えることができる。
  自然と 1語ではないらしい。副詞の「自然」+「と」と考えるのが素直だろう。
 疑問が残るのは「意外と」。1語ではないとすると、「意外と」をどう考えればよいのか。この「と」はなんなのか。【1】で見たように、『大辞泉』によると「ある状態を説明する意を表す」のは副詞に付いた場合だけ。これは『大辞泉』がヘンなんだろう。
 ほかの辞書をひく。

■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A8&dtype=0&dname=0ss&stype=1&pagenum=1&index=113712900000
================================

1 (格助)
[5]動作・状態の様子を表す。
きっぱり―あきらめる
ぐらぐら―揺れる
あふれた水が道路を川―流れる
貴公子然―すます
意外―いい出来だ
================================

 この[5]と考えるのが妥当だろう。「意外と」の用例も出ている。ほかの用例を見ればわかるように、副詞のほかに名詞に付くことがある。手元の『広辞林』には「状態を強めていう」として、何につくと限定してはいない。
 そう考えると、「自然と」は名詞の「自然」+「と」と考えてもいいのかもしれない。
(中略)

 ここで話は少しかわる。
 自分ではどう使っているか、ってことなら事情は大きくかわる。
 【1】で書いたように「意外と」「割合と」「割と」「自然と」は原則的に使わない。どうしても俗語っぽく感じるので、原則的には「に」を使う。話し言葉っぽい雰囲気を出すために、あえて「と」を使うこともあるけど。
「○○と」と「○○に」ではニュアンスが異なるという主張を目にすることがある。否定する気はないけど、肯定する気はもっとない。そんな微妙な違いは理解できないし、説明のしようもない。
「自然」を副詞で使うか否かに関しては、使わない。なんか異和感があるから。
 さらに言うと、「自然に」も滅多に使わない気がする。「おのずと」「必然的に」などを使う。
 ただ、このあたりは好みの問題だから、人に強制する気はさらさらない。まして自分の異和感を理由に「自然」の副詞用法はおかしい、なんてムチャを書いたりはしない。
 仕事のゲラでまじめな文章に「割合と」とあったら、〈本来は「割合に」〉くらいのメモはつけるかもしれないけど。ホントにつけたこともあったような……。

「○○と」と「○○に」は基本的にいれかえが可能だと思うが、例外もある。
  1)割に安い
  2)割と安い
 1)と2)はほぼ同義で、どちらでもおかしくない。
  3)その割に安い
  4)その割と安い
 4)はかなりヘン。理由は見当もつかない。

  5)意外に安い
  6)意外と安い
 5)と6)はほぼ同義で、どちらでもおかしくない。
  7)意外に感じられる
  8)意外と感じられる
 8)はちょっとヘン。理由は見当もつかない。

【1】で書いたように、『大辞泉』の用例にある「無口だから―(と)友だちも少ない」も「に」にはしにくい。この理由も見当がつかない。
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【「はじめに」は「はじめ+に」なのか「はじめに」で一語なのか】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年09月13日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1581939011&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「はじめに」の品詞は?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56230766

 トピ主の質問を要約する。
================================
「はじめに」は副詞ですか?

辞書には「はじめに」という項目がなく、類語辞典で「はじめ+に~」という用例が出ています。
ということは

名詞「はじめ」+に
「に」は、時+に の「に」
と考えてもいいのでしょうか?
================================

 トピの「5」のコメントにも書いたが、このトピは「1」のコメントで解決している気がする。非常に大事なコメントなので、丸々転載する。
================================
はじめに、最初に、一番目に、二番目に、最後に、間に、途中に・・・・
「時間や場所の語」+「に」ですね。

様態を表す「な形容詞(形容動詞)」の連用形
例  真面目に話す。
ならば副詞的用法でしょう。

「はじめ」が様態を表すとは考えにくいです。
時間的位置、やはり「位置」を表していると思います。

「ここに置く」「九月十日に来る」「机の上に並べる」「間に割り込む」などと同様に、
「はじめに」も副詞(用法)とは考えにくいでしょう。
================================

 辞書を見ると、「はじめに」という項はない。したがって、「はじめに」には品詞もない。
 一応辞書をひく。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81&dtype=0
================================
はじめ【始め/初め】
1 はじめること。また、はじめた時期。「勤め―」「タバコの吸い―」⇔終わり。
2 物事の起こり。起源。「国の―」
3 物事を行う最も早い時期。最初のころ。副詞的にも用いる。「五月の―」「何をするにも―が肝心だ」「―から終わりまで読み通す」「―君だとは気づかなかった」
4 順序のいちばん先。序列の第一。「―の話のほうがおもしろい」
5 (「…をはじめ」「…をはじめとして」の形で用いる)多くの中で、主となるもの。また、先に立つもの。「校長を―、教師全員」「米を―として食品の多くが」
6 一部始終。事の次第。
「御無心ながら乳を少し貰ひましょ、と―を語れば」〈浮・一代男・一〉
◆ふつう345は「初め」と書く。
================================

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&dname=0na&stype=1&pagenum=1&index=16866613940200
================================

【1】[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
1 動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時―間に合わせる」「紙上―発表する」
================================

 何もむずかしく考える必要はないだろう。一般の辞書に項目があったら、その品詞に従えばいい。項目がなかったら、「名詞+に」と考えればいい。
 それが一語として認められるか否かは一般人が考えるようなことではない。辞書に従うのがイチバン無難。もし辞書によって項目があるときとないときがあったら、それは「どちらの解釈もできる」ってこと。
 これを理屈で考えようとすると大変なことになる。
 たとえば、「はじめに」が「名詞+に」で、「次に」が接続詞である理由を論理的に説明することなど、当方にはできない。一般的な辞書がそうなっているから……それ以上の理由は考えられない。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E6%AC%A1%E3%81%AB&dtype=0
================================
つぎ‐に【次に】
[接]前に述べた事柄に付け加える内容を導く語。それから。それにつづいて。「会長のあいさつが終わると、―来賓の祝辞がある」
================================
 ただし、この「次に」が副詞ではなく接続詞であることが疑問の人は、ほかの複数の辞書をひいてみてください。 辞書によって違う。

「はじめに」は副詞ではないが、副詞的な働きをしているか否か。
 それは考え方しだいなので、どちらでもいいと思う。
 たしかに意味を考えると副詞的な働きをしている気もする。少し例文をかえよう。
「1月に開かれる」の「1月に」は副詞的な働きをしているのか?
「朝食後に薬を飲む」の「朝食後に」は副詞的な働きをしているのか?
 このテのことを全部副詞的な働きをしていると考えるのは無理ではないか。

 そんなことより、もっと考えなければならないことがあると思う。

●「はじめ」の副詞的な用法
 ↑の『大辞泉』の「3」に「副詞的にも用いる」とある。例文で言うなら「―君だとは気づかなかった」。
 辞書が認めているのであまり文句は書きたくないが、この「はじめ」の用法はちょっと特殊で、省略した形ととるべきではないか。元の形は、「はじめは」のときと「はじめに」のときがある。
「―君だとは気づかなかった」の場合は「はじめは」。この場合、トピ主が「7」で書いているとおり、〈「はじめに」と少し意味が違う〉。それは当然だろう。
 しかし、下記ならどうだろう。
「(まず)はじめ、電源を入れます」
 この場合は「はじめに」の意味だろう。
 これが下記になると微妙で、「はじめは」とも「はじめに」ともとれる。
「はじめ、君が殴った」
 これと同じような現象が、「最後に/は」「一番目に/は」などで起こることがある。「第一に/は」ではなぜか起こりにくい。その理由を考えはじめると大変なことになる(笑)。

●「はじめ」は「初め」か「始め」か
 これは実に悩ましい。
「初めて」「始める」の違いはわかる。これが「はじめ」になると途端に訳がわからなくなる。
『大辞泉』には「◆ふつう345は「初め」と書く」と書いてあるが、このテの表記の微妙な使い分けに関して、辞書はあまり信用できない。
 とくに「5」の「…をはじめとして」はひらがなで書くほうがフツーだろう。

 手元の『朝日新聞の用語の手びき』から抜粋する。
================================
初〈主として時間に関連する名詞、または副詞に〉秋の初め、年の初め、物事の初め
始〈主として動詞、または物事に関連する名詞〉年始めの行事、始めと終わり、……を始めとして
================================
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 朝日新聞は「……を始めとして」か。
「年の初め」で「年始め」と使い分けるのか。 
 こんな微妙な使い分けが常人に理解できるのだろうか。そんなことができない当方は「はじめ」と書くことにしている。
「その年のはじめと終わり」の場合はどうするんだ?
「年のはじめ」は「年の初め」で、「はじめと終わり」は「始めと終わり」だよね(笑)。 

【「のだ」 「のである」 「のです」】日本語教師

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年09月13日から

 テーマトピは下記。
【「~のです」の使い方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56195942

 まずトピ主の質問の全文を転載する。
================================
「~のです」の使い方
2010年09月08日 22:08

日本人らしい日本語を書けるように、最近、日本語の小説、エッセーを読み始めました。気付いたことですが、「~のです」がよく使われているようです。

私が文を書くとすれば、大抵「~てしまう」、「過去形」を使いがちになります。

「~のです」は強調している言い方だと重々に分っておりますが、なぜ使うたびに、難しさを感じてしまうのでしょうか。
================================

 質問の意味がイマイチわからない。
 おそらく下記のようなことなのだろう。
 トピ主は「~のです」という表現に異和感がある。そのため下記のような表現にすることが多い。
  走るのです  → 走ってしまう
  ※厳密にはデス・マス体で「走ってしまいます」にするべきだろう。
  走ったのです → 走りました

 これはデス・マス体の根源的な問題にかかわる話で簡単には説明できない。「うれしいのです」の類いはどうするのか、という問題もある。そのせいかどうかわからないが、なかなかコメントがつかない。前にやり取りをしたこともある人なので、下記のメッセージを書いた。リンク先はちょっとむずかしいとは思ったが、相手のレベルがわからないと書きようがない。

================================
☆日本語教師☆のトピックを興味深く拝見していました。

日付
2010年09月11日 13時54分

○○ さん

 ご無沙汰しております。
 下記のトピックを非常に興味深く拝見していました。
【「~のです」の使い方】☆日本語教師☆ トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56195942&comm_id=19124

「~のです」の使い方をむずかしく感じる感覚はすばらしいと思います。日本人でも無神経にこの言葉を使っている人が多いもので……。
 ただ、この話は相当難物です。
 そこで提案があります。
「日本語しつもん箱」のコミュにトピを立て直してはいかがですか。「日本語しつもん箱」では訊きにく事情でもありますか?
 その場合、「☆日本語教師☆」のトピには「以降は下記で」とコメントし、新しいトピには「☆日本語教師☆」のトピのリンクを張ればいいと思います。
 このあたりの処理に関しては、下記が参考になると思います。
【取るために】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=52408338&comm_id=19124

 事情があってトピにコメントを入れることができないので、下記の当方の日記をご参照いただければ幸いです。
【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671
 多少は参考になると思います。
 感想や追加の質問がありましたら、日記にコメントとしてお書きください(当方はメッセージが苦手なもので)。
================================

 2010年09月12日 10時29分に返信メッセージがあった。
 今回はコメントが入ったので、引っ越しは見合わせるとのこと。
 当方の日記に関する感想・追加の質問はなし。やはりちょっとむずかしかったか。
 で、トピのほうを確認して愕然とする。
================================
1
2010年09月11日 16:20

「のだ」は強調、説明、関連付けとか、どんどん細分化されています。
でも、もっと単純に考えたほうがいいと思います。私独自の考えですが、基本的に濃淡はあっても「意外性」を表したり、「意外情報」を伝えるときによく使うと思います。(これは以前、雑誌に投稿しましたが。)
例1
A「お疲れのようですね。」 B「ええ、軽い風邪みたいです。大丈夫です。」
A「お疲れのようですね。」 C「ええ、癌なんです。それも末期なんですよ。」
       (このときに「ええ、癌です。それも末期です。」はちょっと変な文です。)
例2
4月の東京で。D「あしたは雨だって。そしてあさっては雪なんだって。」
       E「えー、4月に雪ふるんだ。」
================================

 基本的な話。テーマは「~のです」だよね。
 Cに出てくるのは「~んです」。意味合いは同じだが、なぜ「~のです」にしないのだろう。混乱のモトでは。
 Dに出てくるのは「~んだ」。意味合いは同じだが、なぜ「~のです」にしないのだろう。混乱のモトでは。

 しかも「意外情報」ですか。いくつか疑問を感じる点がある。
・Bが「軽い風邪みたいなんです」と言うとヘンなのだろうか。
・Cがデス・マス体を使うような間柄の人にいきなり「ええ、癌なんです。それも末期なんですよ。」と言うのは自然なんだろうか。
・Dが「あしたは雨なんだって。そしてあさっては雪だって」と言うのは不自然なんだろうか
・こういう「独自性」あふれる意見を採用する雑誌ってどんな雑誌なんだろう。

 辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99&dtype=0
================================
のです
[連語]《準体助詞「の」+断定の助動詞「です」》「のだ」の意の丁寧な表現。
1 理由や根拠を強調した断定の意を表す。「注意をしないからけがをする―です」
2 (「のですか」の形で)相手に対する要求・詰問の意を表す。「事故の損害賠償はどうしてくれる―ですか」
3 (多く「のでした」の形で)事柄のようすやあり方を強調して説明する意を表す。「彼は彼なりに努力をしている―でした」
◆話し言葉では「んです」の形をとることが多い。
================================

 ほかの辞書もひいたが、同じようなもの。イチバン多いのは「強調」だろう。かの『日本語練習帳』にだったそう書いてあった。
「意外情報」ってニュアンスがあるのだろうか。
 そういえば、以前こんなやり取りもあった。これは参考になるかもしれない。重要なのは「24」以降だろう。こうやって細かく考えると、「意外情報」もアリなのかな。
【綺麗だったんです】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=34957359&comment_count=4&comm_id=365263

【ところ ばかり ~したところ ~したばかり】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年09月10日から

 テーマトピは下記。
【「ところ」と「ばかり」の違い】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56078852

「1」のコメントで終わってしまったのだろうか。2年近くも前のトピを掘り起こすなんて、すばらしい検索能力。この適確な誘導に対するトピ主のコメントがないのはなぜなんだろう。

 元々話題になっていたのは下記のトピ。
【「~したばかり」の使い方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=35500461
 テーマは「~したばかり」だったのに、「5」で余計なことを書くヤツがいて、話が混乱した気がする。改めて考えてみた。
 根本的には「大差はない」と思っているが、いつもそんなことを書いているので、今回は少し違いを考えてみる。

 まず辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D&dtype=0
 下記の「2」だろう。「5」もあるかと思ったがちょっと違う。
================================
ところ【所/▽処】
【1】[名]
2 抽象的な場所。場面。範囲。多く、連体修飾語によって限定される場所や部分をいう。
5)ちょうどその所。場合。際。おり。「さっき着いた―だ」

5 (「…したところ」の形で接続助詞的に用いて)上述した内容を条件として文を続ける。順接にも逆接にも用いる。「訪ねた―、不在だった」「依頼した―、断られた」
================================

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%B0%E3%81%8B%E3%82%8A&dtype=0
================================
ばかり【▽許り】
[副助]名詞、副詞、活用語の連体形、一部の助詞に付く。
5 (「…たばかり」の形で)動作が完了してまもない状態にある意を表す。「銀行から引き出した―のお金」「今出かけた―だ」
================================

■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D&dtype=0&dname=0ss
================================
ところ0 【所・▽処】
〔2〕抽象的な事柄についての位置や場面など。
 [3]連体修飾語を受けて用いる。
(ア)ちょうど何かをしようとする、あるいは、何かをしたばかりの場面・状況であることを表す。ちょうどその時。ほかならぬその時点。
  出かけようとする―に来客があった
  もうすぐ式が始まる―だ
  今し方外出した―だ
================================

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%B0%E3%81%8B%E3%82%8A&dtype=0&dname=0ss
================================
ばかり
(副助)
〔補説〕 動詞「はかる」の連用形から転成した名詞「はかり」から。話し言葉でのくだけた言い方に「ばっかり」「ばかし」「ばっかし」などの形を用いることがある
体言または体言的なもの、副詞、活用語の連体形などに接続する。活用語に付く場合、古くは終止形にも接続した。

[2]物事の程度を表す。活用語に付く場合、古くは終止形に接続することが多い。
(オ)(「…たばかり」の形で)動作が完了して、まだ間もないことを表す。
  作った―の洋服
  建てた―の家
  いま出かけた―です
================================

 辞書に出てきた例文で、互換性の有無を考えてみる。

  1)さっき着いた―だ          →ところ/ばかり
  2)銀行から引き出した―のお金     →ばかり
  3)今出かけた―だ           →ところ/ばかり
  4)出かけようとする―に来客があった  →ところ
  5)もうすぐ式が始まる―だ       →ところ
  6)今し方外出した―だ         →ところ/ばかり
  7)作った―の洋服           →ばかり
  8)建てた―の家            →ばかり
  9)いま出かけた―です         →ところ/ばかり

「ばかり」しか使えない例が3つあるが、3つとも「したばかりの(名詞)」の形。「したところの(名詞)」の形も文脈によってはあると思うが、とりあえずナシで考える。
「したばかりの(名詞)」は下記のように書きかえることができる。
  2)-2 このお金は銀行から引き出した―だ
  7)-2 この洋服は作った―だ
  8)-2 あの家は建てた―だ
 8)-2は「建った」のほうが自然だろう。3つとも「ところ」にはしにくい。しかし、下記のようにすると、なぜか両方使える気がしてくる。
  2)-3 (ちょうど昨日)お金を銀行から引き出した―だ
  7)-3 (ちょうど昨日)洋服を作った―だ
  8)-3 (ちょうど昨日)あの家が建った―だ

「ところ」しか使えない例は4)と5)。
 4)は、「ちょうど何かをしようとする、あるいは、何かをしたばかりの場面・状況であること」を表わしている例。「~しようとするところに」「~しようとしたところに」の形で、「ばかり」にはしにくい。「(あんなことを)したばかりに」とか「(あとは出発する)ばかり」あたりと混同しそう。
 ちなみに、この「ところ」の使い方は、『大辞泉』の「5」の用法にきわめて近い気がする。
 5)は未来を表わしている。この場合は「ばかり」にしにくい。

 ここまで見ておいて、トピのコメントを読んでみる。
「14」までに書いてあることが当方には理解できない。「11」のコメントの一部を加工して転記する。
================================
  10) ○今、起きた―
  11) ○今、朝ごはんをたべた―
  12) ×今、思い出した―
================================
 いろいろな意見が出ているが、10)と11)は「ばかり」でも「ところ」でもおかしくない。逆に12)は「ばかり」だと少し不自然。「ところ」ならややマシかな。微妙。どちらも成立させるためにはそれなりの文脈が必要な気がする。

「15」「16」のコメントは考えさせられるが、いろいろあげた例文のなかには、両方とも使えるものがかなりある。片方しか使えそうにないものだけを転載する。あとはどちらでもOKって気がする。ってことは……。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 よくわからない。
================================
  13) 先月生まれたばかりなのに、もう言葉をしゃべるなんて信じられない。
  14) いやだ、あの子ったらさっき言ったばかりなのに、もう忘れてる。
  15) だんだん部屋があったまってきたところだよ。
================================

 13)が「ところ」ではおかしい理由を論理的に説明できるのだろうか。
 少しかえて下記のようにすると「ところ」でもよくなる理由を論理的に説明できるのだろうか。
  13)-2 先月弟の子供が生まれた―なのに、今度は妹の子供が生まれるからお祝い続きでうれしい悲鳴だ。

 14)はこのままでは「ところ」ではヘンな気がする(OKかもしれないけど)。
 少しかえて下記のようにすると「ところ」でもよくなる理由を論理的に説明できるのだろうか。
  14)-2 いやだ、あの子ったらさっき言ったきかせた―なのに、もう忘れてる。

 15)は「~してきたところ」って形なのだろうか。下記だとむしろ「ばかり」のほうが自然だろう。
  14)-2 二軍から昇格してきた―の選手が大活躍した。
 さらに次の形ならどちらも使える理由を論理的に説明できるのだろうか。
  14)-3 あの選手は二軍から昇格してきた―だ。

 で、両方使える場合の意味の違いは何か?
 大きな違いがあるとは思えない。
 ニュアンスの違いは何か?
 そんなむずかしいことは当方にはわかりません。


【追記】
 12)の「思い出したところ」「思い出したばかり」が不自然ではない文脈を無理矢理作ってみた。

「ところで、この前どうしても思い出せないって言ってたバンドの名前はわかった?」
「オレの記憶力を甘く見るなよ。と言ってもついさっき思い出した―だけどさ」

 これならおかしくないだろう。「ついさっき」を「昨日」にしてもおかしくないだろう。「1週間前に」にすると、「ところ」はほんの少しヘンな気がする(原因は不明)。「たったいま」ならどちらでもおかしくないだろう。そうなると、トピで話題になっている〈「今」感〉はどうなるのだろう。
「ついさっき」を削除して何もつけないと、「ところ」はかなりヘン。「ばかり」もちょっとヘンな気がする。 

 ただ、こういう強引な文脈を作っても、本題の解決にはあまり関係ない気もする。


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