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第1103回「あなたの2010年一大ニュース!」──えーと、当方に何があったかと言うと……。

「一」に「大」で「夫」と読みました。「夫ニュース」……とくにニュースはありません。(←オイ!)
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出ネ/72『KAGEROU』最速(?)レビューのレビュー

 下記の仲間です。
【出版とネットをめぐるあれこれ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-468.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1234202257&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月15日から

 辛口で知られる(たぶん)大森望としてはかなり好意的な書き方だな。
 いくつか気になったことを。
「午前0時から販売開始」……「販売開始」としなかったから三重言はまぬかれたが、やはり「~から開始」は美しくない。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1262.html
 直後には「村上春樹『1Q84 BOOK3』発売時以来」とある。こっちは余計なものがないから「発売」でもいいのかな。
「40歳の中年ダメ男が主人公の脱力系ドタバタコメディ」なの? 内容を考えるとそれはちょっと。
「かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る」……何を「抱いた」のか。たぶん「切なさ」なんだろうな。帯文の結びなんだからもう少し考えようよ。

>よくある"悪魔との契約"もの。ただし、ファンタジーでもホラーでもSFでもなく、一応は現実に立脚している点がユニークといえばユニーク
 意味不明。このあとの文章も意図がよくわからない。決して褒めてはいないことだけはうかがえる。

>232ページの誤植にいちいちシール
 うわー。そんなことやってるんだ。すでに4刷らしいけど、どの段階で気づいたんだろう。

 文芸作品の感想なんだから、実物を読まない限りこれ以上のことは書けない気がする。ただ、そうなると永遠に書けない可能性が高い(泣)。


【ネタ元】WEB本の雑誌
http://www.webdoku.jp/newshz/ohmori/2010/12/14/234300.html
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『KAGEROU』最速(?)レビュー

文=大森望

『KAGEROU』
齋藤智裕
ポプラ社
1,470円(税込)

>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
 第5回ポプラ社小説大賞を受賞した齋藤智浩のデビュー長編『KAGEROU』が12月15日午前0時から販売開始。青山ブックセンター六本木店はじめ、終夜営業の書店にはワイドショーの撮影クルーが詰めかけ、村上春樹『1Q84 BOOK3』発売時以来の大騒ぎとなった。
 人気俳優・水嶋ヒロの処女長編とあって、同書は発売前から話題が沸騰。刷り部数は、すでに4刷43万部に達している。歩安入帳の責任販売制(返品時には掛け率が低くなるため、売れ残った場合には一定のリスクがある)で各書店からの予約注文を積み上げた結果らしいが、新人の小説デビュー作としては記録的な数字だ。
 小説の中身は、予想に反して、40歳の中年ダメ男が主人公の脱力系ドタバタコメディ。帯裏の内容紹介、
"廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。/「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。/そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。命の十字路で二人は、ある契約を交わす/(中略)深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。/そこで彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。"
 というのは確かにそのとおりだが、この要約から想像される作風とはほとんど対極にある。
 物語のパターンとしては、よくある"悪魔との契約"もの。ただし、ファンタジーでもホラーでもSFでもなく、一応は現実に立脚している点がユニークといえばユニーク。ふつうの小説ではありえないキャラ、ありえない組織、ありえない設定が続出するものの、全体にコミカルなタッチなのでさほど気にならない。主人公の愛すべきダメっぷりと文章の素人っぽさが相俟って、それなりに好感のもてる小説に仕上がっている(関係ないけど、本文の最後、232ページの誤植にいちいちシールを貼って訂正してあるのもご愛敬)。
 38字×14行というゆったりした文字組のおかげもあってか、あっという間に最後まで読めるのも長所のひとつ。小説好きの読者には物足りないだろうが、ふだん本を読まない人には歓迎されそうだ。主人公が連発するオヤジギャグ(一応、それなりの必然性はある)を水嶋ヒロファンがどう受けとめるかに注目したい。
 なお、同日発売の「SWITCH」2011年1月号は、水嶋ヒロのロングインタビューを掲載。『KAGEROU』についても熱く語られているようだ。

(大森望)
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『KAGEROU』最速(?)レビュー
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1439443&media_id=90


【追記】
 マジメ?に考えていた当方が間違っていました。ごめんなさい。これは長めのコントなんですね。20代でこれが書けるのはスゴい才能かも。

【ネタ元】エキサイトレビュー
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20101215/E1292356005801.html
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中2病? オヤジギャグ? 本日発売、水嶋ヒロ『KAGEROU』を読んでみた


第五回ポプラ社小説大賞受賞作『KAGEROU』齋藤智裕/ポプラ社
2010.12.15発売。人気俳優水嶋ヒロが作家に転身! 出版界ひさびさの大話題作です。
[拡大写真]

読み始めてどうしても気になるのは、主人公のヤスオがなぜ四十一歳なのか。正確には四十一歳の誕生日直前。『KAGEROU』はそこからスタートする。

〈「いや、違うんですよ! 違います」
慌てふためくヤスオに、男がその場にはそぐわないヤケにのんびりとした口調で聞いた。
「なにが違うんですか?」
「だから、その……自殺とかそういうあれじゃなくて……あ! 景色を見ようとしただけで」〉

なのにこの軽さ。
廃墟と化したデパートの屋上から飛び降り自殺をしようとするヤスオ。その寸前、キョウヤという謎の美青年に見とがめられ、必死に言い訳をする。最初のほうのシーンだ。

〈「タバコ持ってないですよね?」
「すみません、吸わないもので」
「そっか……すいません。吸いません、なんちゃって」
「え?」
「なんでもないです」〉

自殺を阻止したキョウヤとヤスオ、そのしばらく後の会話である。いやいますよこういう四十歳だって。むしろイマドキの人物造型としてはリアルですらあるのかも。
だけど、この超話題作ですよ。若手人気俳優がその栄光を捨てて小説家を志し、賞金2000万円のポプラ社小説大賞を獲ったなあと思ったら賞金辞退したんですよ。帯には〈人生と賭してまで伝えたかったメッセージとは何か?〉とまで書かれちゃってるじゃないですか。
ここは、主人公も二十代後半くらいの青年でいいじゃないですか! どうせなら水嶋ヒロに置き換えさせてよー! てか、ポプラ社さんなぜそこ変えてもらわなかったの? 戦略として考えなかったの? 著者主演の映画とかさ、いろいろ展開しようもあるじゃない?(ん? キョウヤが美青年なのが保険?)
なのにどうしてヤスオは、〈そりゃあ確かに営業マンとしてはそんなに冴えなかったかもしれないけどさ、それでも十年以上会社に忠誠を尽くして働いてきたんだよ〉というバブル入社組の冴えないリストラオヤジ社員なんだあ!?  と、頭の中に「?」がとぐろが巻いた状態で読み進んでいくわけです。

と、ここまで。
『KAGEROU』って発売前情報とかなり印象違いませんか? だって記者会見で内容について話されたときは、ひたすら深刻で真面目、「命です」「自殺防止です」ってことしか頭に入ってこなかったし、予約開始時にamazon に掲載された「内容紹介」では、
 
〈『KAGEROU』ーー儚く不確かなもの。
廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。
「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。

そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。……〉

と来たもんだ。ツイッターのタイムラインに
「『KAGEROU』の内容紹介から中二病な漢字だけを抜くと「儚」「廃墟」「屋上」「遊園地」「かげろう」「人生」「絶望」「冷笑」「黒服」……」
みたいなツイートが流れて来たときは爆笑したものです。で、あーこういう耽美で自己満足的なよーわからん心象風景みたいなのがえんえん続くやつか、あるある~、あー読みたくねーと思った。

だけどぜんぜん違ったんです。
『KAGEROU』のいちばんの魅力は、なんと「ギャグ会話」だった。それも少しオヤジくさい、なつかしいテイストの。
まあ最初の章あたりは新人っぽい気負いというかおおげさな修辞がちょっとくすぐったい。でも、三分の一くらい読み進むと、そういうのはほぼ消えて、テンポのよいコミカルな会話が続いていくのです。自殺に関するうんちくをキョウヤがこんこんと語り、彼の属する謎の組織の全貌が明らかになっていくところなど、気持ちよくつるっつる読めます。

そして、わかりました。
そのコミカルさを象徴するのが、じつは、「ヤスオがなぜ四十一歳なのか」ということだったんです。
いいですか? 本筋にはあんまり関係ないけど、一応ちょっとネタバレなのでご注意。
以下、引用しますよ。やはりキョウヤとの会話です。


〈「とうとう四十一歳になっちゃったか。これでバカボンのパパと同い年だ」
「……すみません、どちらのお父様ですか?
「知らないの? 『これでいいのだ~』ってヤツ」〉

水嶋ヒロ……じゃなくて、齋藤智裕は、これがやりたかったのか!
そう合点がいったとたんこの作者がけっこう好きになりました。
これでいいのだ~。

物語の中心にあるのはたしかに自殺、命。
だけど、ぜんぜん重くないです、だれにでも安心して読めて、オヤジギャグに和む。
そういうチャーミングな新人賞作品でありました。
齋藤智裕って、案外ジュブナイルが似合う作風かもな。……はっ! ポプラ社!(アライユキコ)
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tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

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