fc2ブログ

【微毒】こうして●●は増殖する

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月25日から

 テーマサイトは下記。
【あの…今年書初めしたいのですが書くことばを自分で決めないといけないんです】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1052451220
================================
あの…今年書初めしたいのですが書くことばを自分で決めないといけないんです…
4字熟語か5文字ぐらいの言葉がいいんですが…
いいのあったら教えてください!!
ちなみに私ゎ今中1です
中1らしい言葉でお願いします!
================================
 まずこの質問が●●。
「書初めしたい」って、宿題ではなく自分の意志だよね。「自分で決めないといけない」ことをなんで人に訊く。中学1年からこんな手抜きを覚えて、またそれに回答するホニャララがいるから、立派な「教えてちゃん」が育つのね。
「私ゎ」だと? 小学校行ってやり直してこい。
 ε= (´∞` ) ハァー
 で、回答が●●。どうこまで「書きたいちゃん」なんだろう。「雪月風花」か。それは「中1らしい」や。
「花鳥風月」じゃなくて「雪月風花」「風花雪月」なんて言うんだ。初めて聞いた。調べてみると、Wikipediaにもあった。へー、中国ではこう言うんだ。日本人やめなよ。「書き初め」をナメてるだろ。
 我流の説明もちょっとズレている気がする。「詩や歌を創ったりする」って、誰がそんなこと言ったよ。しかも、そういう場合「創る」のかな。「歌を創る」って作曲家か?

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E8%8A%B1%E9%9B%AA%E6%9C%88
================================
風花雪月(ふうかせつげつ)とは、自然の美しい風景や、そこから生じる情緒情趣を意味する中国語。日本語の花鳥風月に相当する。また、これから派生して以下のような意味でも使われる。なお、中国語では、日本の花鳥風月とは違い「美辞麗句にすぎないものごと」といった負のニュアンスを帯びる場合がある。
================================

 ほかにもユニークな回答がある。「故き(ふるき)を温めて、新しきを知れ」か。温めてどうする。孵化でもさせる気か? 大根を温めて、酒肴にでもするか?(←それは「ふろふき」!) 末尾も命令形じゃないだろ。
 辞書をひいてみる。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%8A%E3%82%93%E3%81%93%E3%81%A1%E3%81%97%E3%82%93&stype=0&dtype=0
================================
おんこ‐ちしん〔ヲンコ‐〕【温故知新】
《「論語」為政から》過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと。
◆「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」と訓読する。「温」を「あたためて」と読む説もある。なお、「温古知新」と書くのは誤り。
================================
 
 へー。「あたためて」と読む説もあるんだ。ウカツなことは書けないな。もう書いちまったけど。
スポンサーサイト



【全方位毒吐き11──甘毒】日本語教師

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月24日から

下記の仲間でもある。
【全方位毒吐きのお品書き】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1419571128&owner_id=5019671

 下記の仲間でもある。
【黒いコレクション──日本語教師関連28】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1442972256&owner_id=5019671

 今回も全体公開なので毒抜きでサラリと書く。これを毒入りで書くと数倍の長さになるし、人間性がいま以上に歪みそう(黒笑)。モゴモゴ探しも極力しない。見ればわかるか?

【事例1──通43】【ずくめ、ばかりの違い】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58735583&comm_id=19124

 いったいどんな問題だよ。「1」のコメントを読んで、「なるほどー」と感心してしまった。
 たしかに「ずくめ」は「良いことずくめ」「黒ずくめ」くらいしか聞かない。ホントに2つしかないのか?
 念のため辞書をひく。
■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%9A%E3%81%8F%E3%82%81&stype=0&dtype=0&dname=0ss
================================
ずくめ[づくめ] 【▽尽くめ】
(接尾)
名詞およびそれに準ずる語句に付いて、何から何まで、そればかりであることを表す。すべて…である。
  うそ―の言いわけ
  いいこと―
  黒―の服装
  結構―
================================
 あれ? 用例が4つも出てる。
 手元の『朝日新聞の手びき』にも記載があったはず……。
「おもしろずくめ」「絹ずくめ」
 あれ? また用例が2つも増えた。でもなぁ。「良いことずくめ」「黒ずくめ」以外は見たことない。判断不能。

 それにしてもスゴい問題だな。
 こんな微妙なことを訊かなくても、ほかにいくらでも選択肢につくり方があると思うんだけど。
「ずくめ」と「づくめ」とか
 ※「づくめ」も間違いではないから問題にしにくいかな
「ずくめ」と「づめ」とか
 ※「働きずくめ」とかってけっこう見る。

 それにしてもどこからこんな微妙な問題を見つけてくるんだろうな。何度も言うけど出典を書いてもらえないかな。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1467084766&owner_id=5019671
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1469148509&owner_id=5019671
 ところで「日本語しつもん箱」のコミュで同じような質問を連発していた人はどこに言ったんだろうな。音沙汰がなくなったと思ったら、入れ違えのように「☆日本語教師☆」にこの人が登場した(笑)。Yahoo!知恵袋で同じような質問をする人が何人もいるのはなんなんのだろう(黒笑)。
 それにしてもスゴいキャラだよ。下記あたりはもはや「英雄伝説」と呼びたい。
【極意の日本語文法選択問題がありますか】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58091620&comm_id=19124
================================
極意の日本語文法選択問題がありますか2010年11月20日 23:12
ヒーロー

よく友達と日本語の文法について議論します、何か面白い日本語文法の選択問題がありませんか、ぜひ教えていただたいです。

日本語能力検定1級の問題が一杯あるけど、面白くないし、すこし考えていたら、簡単に解けます。しかもネットで検索すると、答も出ます。

何方が何か超複雑な文法問題あれば、ぜひお願いします。

よろしくお願いします。
================================
「簡単に解け」るんなら、トピで妙な質問するのはやめてもらえませんか。
 日本語の問題はクイズじゃないの。マジメに訊く気がないなら、ヨソに行ってよ。


【事例2──通44】【質問です。】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58725096&comm_id=19124
 この質問には虚をつかれた。思いつかないなぁ。
 まだ「私のものではない」から「私の薬」と言うのはおかしい。
 そうとも言える(笑)。わからん。誰か答えてくれよ。
「の」はホントに融通無碍。「私の学校」なんかは母校のことだよね。理事長じゃあるまいし。「私の会社」って、社長さんですか? 「私の国」って……。
 昔、英語のことで考えたことがあった。
「物 of 人」と「人's 物」ってどう違うんだろう。


【事例3──通45】【第三者が「くれる」を使う場面】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58756543&comm_id=19124
 肝心のところが文字化けしてるんで何がなんだか……。
 ブラウザをかえれば見えるんだけど、メンドーだからいいや。
 トピ主が「5」で締めた。ホントにわかったのかな?

伝言板【あとがき】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月22日から

 久々の【伝言板】です。
 最後の部分なんで、【お品書き】には入っていません。このあと入れておきます。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=949412201&owner_id=5019671

 当方の文章読本に対するスタンスは、ほぼ決まっている。
 ひと言でいうと、役立つものはきわめて少ない。ただ、役に立たないとは思わない。
「あんなもの読んでも……」という意見には、反論する気はないが、同調する気はもっとない。
 レベルと目的(対象文章)に合った文章読本なら、役に立つ可能性は高くなる。まず、書き手(読み手?)のレベルを把握し、目的が何かを明確にすることが先だろう。


あとがき――文章読本は誰のためのものか

■数字で見る(?)文章読本が役に立つ可能性
 アナタが文章の書き方を学ぶために、1冊の文章読本を手にしたとする。その文章読本が役に立つ可能性はどのぐらいあるのか、確率的に考えてみよう。
 いままでにどのぐらいの数の文章読本が書かれてきたのか、なんて正確な統計は存在しない。1995年に刊行されたある文章読本に〈累積でぼつぼつ四桁に届くかもしれない〉と書いてあるから、キリのいいところで1000冊と考えようか。このうち読む価値がある文章読本は、どんなに多く見積もったって100冊ってとこだ。役に立つ可能性は、とりあえず1割になる。
 ここで考えなきゃならないのは、アナタの書き手としてのレベルだ。初級者が上級者向けの文章読本を読んでも、むずかしくて役に立たない。逆に、上級者が初級者向けの文章読本を読んでも、バカバカしいだけで役に立たない。
 考えなきゃならないことがもうひとつある。アナタがどんな種類の文章を書こうとしているのかってことだ。書こうとしている文章を対象にしている文章読本じゃないと、役に立つ可能性は低い。身辺雑記を書こうとしている人が論文を対象にしている文章読本を読んでも、当てはまらないことが多いに決まっている。
 こういうふうに絞りこんでいくと、アナタにとってホントに役に立つ文章読本は、10冊ぐらいじゃないだろうか。確率で考えると1%だ。ちょっと書き方をかえると、100冊読んで、やっとホントに役に立つ1冊にめぐりあえる計算になる。これだも。ほとんどの文章読本が役に立たないのは当然だ。
 このあたりのことを考えて、第3章で文章読本を紹介する際に「レベル」や「対象文章」を付記した。レベルや対象文章なんてそんなにカッチリ分かれるものではないことを承知で勝手にやったことだから、単なる目安でしかない。
 もしかすると、すべてのレベルの人に役立つ文章読本や、すべての種類の文章を書くときに役立つ文章読本があるのかもしれない。心当たりがないので、ご存じのかたは教えていただきたい。仮にそういう「奇跡の文章読本」が何冊かあったとしても、役に立つ可能性が1%から2%になる程度のことだけど。
 レベルや対象文章を限定した文章読本のほうが役に立つ可能性が高いのは、誰が考えたって当たり前だ。しかし、そういうことをハッキリ断わっている文章読本は少ない。そりゃそうだろう。読者を限定するよりは限定しないほうが、本の売れる可能性が高い。著者のセンセーだって出版社だってそのことをわかっているから、あえてレベルや対象文章をハッキリさせない。そんな策略の犠牲になるのは、読者のほうだ。
 実際には、1000冊の文章読本の大半は淘汰されているので、簡単には手に入らないものも多い。したがって、アナタが一般の書店で手にした文章読本が役に立つ可能性は、もう少し高くなる。何%ぐらいだと思いますか?
 ちなみに、数字を使ったこういう説明は、どんなにもっともらしく書いてあってもたいていマヤカシだと思って間違いない。都合の悪いことを無視して、自分に都合のいい数字をもってきているだけのことが多い。この場合も、重要な部分をあえて無視している。それがどこなのかはお考えいただきたい。
 もうひとつちなみに、どこがマヤカシなのかがわかっても、あまり意味のあることじゃない。文章読本が役に立つ確率はきわめて低い、って事実にかわりはないんだから。

■文章読本は誰が読んでいるのか――素朴な疑問で申し訳ない
 文章読本って誰が読んでいるんだろう……長年疑問に思ってきた。わざわざあのテの本を読むんだから、上達志向(なんかヘンな言葉だな)がある人ってことは間違いない。そういう人たちは、どういう職業なんだろう。
 学生って可能性はある。レポートなどを書く機会は多いはずだし、「ジャーナリスト志望者必読」みたいにうたっている文章読本もある。ただ、そういうマジメな学生がどのぐらい生存しているのかは不明だ。
 一般の社会人について考えると、文章を書く機会がない人は読まないよな。「文章を書く機会はないけど、ああいう本を読むのが趣味」って人には何もいう気はない。
 フツーに考えると、なんらかの形で文章にかかわる仕事をしている方々だろう。そう考えるのが素直なんだけど、どうも実態は違うらしい。知り合いの編集者やライターにきいてみたところ、読んでいる人は意外なほど少なかった。曲がりなりにもプロだけあって、何冊かは読んでいる(なかには「まったく読んだことがない」ってツワモノもいた)。しかし、「3冊も読んでいれば多いほう」って印象だった。文章読本に対して、露骨に嫌悪感を示した人も少なくない。
 じゃあいったい誰が読んでいるのか?
 消去法で考えると、プロではないけど文章を書くのが好きな人、ってあたりになるのだろうか。この疑問はひとまずおいといて、なんで文章のプロが文章読本に興味をもたないのか、ってことを考えてみたい。
 もしかすると、文章のプロのなかでもマジメな人は、多数の文章読本を読破して修業しているのかもしれない。そういう人が、たまたま自分のまわりにはいないだけ……可能性は否定できない。それはさておき、あんまりマジメじゃない文章のプロの意見を聞くと、大きく2つのタイプに分かれる。
 1つ目のタイプは、本物の上級者。何冊か読んだうえで、文章読本の主張をアホくさく感じている。当たり前のこと(あるいは、的外れのこと)を偉そうに書いてあるだけだから、読む気にならない。ただし、そんな人はほんのひとにぎりで、たいていは勘違いしているだけだ。
 2つ目のタイプは、文章を論理的に考えるのが苦手なタイプ。あんなもの、メンドくさくて読んじゃいられない、と考えている。この人たちが上級者なのかエセ上級者なのかは、一概にはいえない。「文章を論理的に考える能力」と「文章を書く能力」とは、まったくといっていいほど別物だからだ。
 ここから先は、文章を論理的に考えて書ける能力を「論理型文才」と呼び、文章を論理的に考えずに書ける能力を「感覚型文才」と呼ぶ。うんと乱暴に書くと、論理型文才は実用文向きで、感覚型文才は芸術文向きといえるかもしれない。

■センスがなけりゃウマい文章は書けない――そりゃそうでしょ
 少し具体的な書き方をしよう。
 知り合いに、マニアックな旅好きの校正者がいる。この人が経験してきた旅は信じられないような話が多く、冒険物語みたいでメチャクチャおもしろい。「本を書けばいい」とアドバイスをする人も多いそうだが、本人にはまったくその気がない。「自分が書く文章はツマラナイ」ということを思い知っているらしい。簡単にいってしまえば、優秀な校正者である彼は論理型文才はあっても、感覚型文才がない。だから、おもしろい文章(「名文」とか「ウマい文章」といいかえても大きな違いはない)は書けない。
 別の例でいえば、自分では文章が書けても、他者が書いた文章を手直しするのが苦手な編集者がいる。ヘンな文章であることはわかっても、どうしてヘンなのかがわからない。当然、どう手直しすればいいのかもわからない。コチャコチャ直すぐらいなら、全面的に書き直してしまうほうがラクらしい(気持ちはよーくわかる)。この人の文才は感覚型であり、論理型ではないってことだ。
 名文やウマい文章を書くのに必要なのがどっちの文才なのかはハッキリしている。感覚型文才だ。才能やセンスといいかえてもいい。「日本語に関して理屈っぽいことをいうヤツに限って、文章を書かせるとつまらない」なんて説を耳にするのは、このあたりのことと関係するのだろう。論理的なことと理屈っぽいことは、厳密にいえば別のことだから、こういう極論はあまり認めたくない。しかし、論理型文才に基づいた文章ほどつまらない傾向があることは否定できない。
 感覚型文才は、努力や勉強でどうにかなるもんじゃない。まして、文章読本を何冊か読んだぐらいで身につくもんじゃない。芸術文向けの文章読本を片っ端から読みまくれば多少は磨かれるかもしれないが、道ははるか遠く、とてつもなく険しい。
 しつっこく繰り返すけど、だから文章読本なんて読んでもムダ、ってことじゃないからね。「文章読本なんか読んでも、センスがなけりゃウマい文章は書けない」みたいなことを、したり顔でおっしゃる人は多い。そんなのは当たり前なの。ワザワザ口にするなら、このぐらい理屈っぽく(「論理的に」とは思ってもらえないよね)説明しなよ。
 センスなんてことをいいはじめたら、何を書いてもムダになる。
 たしかに文章読本には、「いい文章を書きたければセンスを磨け」なんて堂々と書いてあったりする。それができりゃ誰も苦労しないよ。こういう無意味な精神論はやめてほしい。よせばいいのに、「センスの磨き方」をウダウダ説明していることさえある。そんなノウハウがあると本気で思ってるんだったら、そのセンセーのセンスはどうかしている。文章を書くのやめたほうがいいよ。
 ああいうムチャなご高説を真剣に読む人なんているのだろうか。ちょっと考えりゃ、どんなにヘンな話かわかるはずだ。センスのある人(あるいは「あると思っている人」)は、そんなものを読みはしない。かといって、「センスの磨き方」なんてものを真に受ける人が、センスをもっているとは思えない。ないものは磨けません。

■論理型文才は努力しだいでどうにかなる可能性はある
 一般に、作家と呼ばれる人たちは感覚型文才が突出している。だから読者を魅了するような文章が書けるのだが、論理型文才を兼ね備えているかというと、疑問が残る人もいる。たとえば……さすがに書けません。ご想像ください。ちなみに、実用文向けの文章読本を書くセンセーは、論理型文才の持ち主であることは間違いない(程度には個人差がある)。しかし、感覚型文才をもっているセンセーはあまりいないようだ(これも当然個人差がある)。ここから必然的に導き出される結論も、ご想像におまかせする。
 感覚型文才が突出していれば、論理型文才がなくても作家になれる。感覚型文才が多少あっても論理型文才がないと、三流のライターになるのがせいぜいだ。
 そういうヤカラの文章を読んでいると、イライラしてくる。テニヲハはメチャクチャ、言葉の使い方は間違いだらけ、一文はヤタラに長いから意味がわかりにくい。ヒドいのになると、どこで覚えたのかウマそうな文章を書くための小手先のテクニックだけはもっていたりする。
 半ば本気で腹を立てながら「もったいない」とも思う。少し論理型文才を伸ばせば、格段に文章が上達するのがハッキリしているからだ。すっごくおもしろいネタを台なしにしていたりすると、「もう少し基本的なことを勉強しなよ」と余計なことをいいたくなる。
 話の成り行きで、一応文章のプロといわれる方々のことを書いてきた。セミプロやアマの場合も、事情はほとんど変わらないはずだ。まあ、ひと口に文章のプロといっても、レベルには恐ろしく幅がある。上を見たらキリがないし、下を見てもこれまたキリがない。このあたりのことを考えると気持ちが暗くなる。自分がどのあたりに位置しているか、なんてことを考えると……そういう恐ろしいことを考えてはいけない。近年、レベルの平均値が著しく低下していることだけは痛感している。例なんていくらでもあげられるし、原因もいくつか思い当たる。書きはじめると長くなるので、パスしておく。
 感覚型文才は努力でどうにかなるもんじゃないが、ソコソコの文章を書くための論理型文才なら、どうにかなる可能性はある。この点は、プロでもセミプロでもアマでも同じ(クドい書き方だな)。「どうにかなる」なんて書いたが、具体的にどうすればいいのかは、一概にはいえない。要は自分に合った修業法を見つけることなんだろう。選択を間違えなければ、文章読本を読むことだって有力な修業法だ。
 どんな文章読本でも、ジックリ読んでみると「なるほど」と思えるような新しい発見がある(例外は多い)。「バッカじゃないの」と笑うしかない記述もある(例外は少ない)。問題は、それぞれの出現率(なんのこっちゃ)だ。
 この本で好意的に紹介した文章読本なら、「なるほど」の出現率が比較的高いはずだ。レベルや対象文章を間違えなければ、ソコソコ役に立つのではないかと思わなくもない。とくに注意が必要なのはレベルに関して。猫に小判の場合も、釈迦に説法の場合も、読むだけムダになる。
 もちろん、ほかにも役に立つ文章読本は数多くあるのだろう。「奇跡の文章読本」にめぐりあえる可能性だって否定する気はない。
 健闘を祈ることしかできません。

逆接の接続助詞「ものの」「ながら」「つつ」「にもかかわらず」「のに」の微妙なニュアンスの違い【1】&【2】

 トピにリンクを張る関係があって、下記の日記(公開制限あり)の毒抜き編です。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1364851493&owner_id=5019671

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

mixi日記2010年02月24日から

 予想どおり、下記のトピが妙な展開になった(泣)。
【日本語の難しさはここだ】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48876406

 とりあえず、トピ主が書いた「0」を要約する。

================================
 下記の接続詞の使い分けが知りたい。

1.ものの
2.ながら
3.つつ
4.にもかかわらず
5.のに
================================

 トピを立てた文章を読んで、「なんかヘン」な感じがわかるようになってきた。
「なんかヘン」と思ったときは、トピ主の真意を確認するようにしている。多少感じが悪いかもしれないけど。
 もちろん、フツーの人で単に言葉足らずだったなんてときもある。そのときはそのときで改めてコメントを入れて非礼を詫びる。以降はフツーのコミュニケーションになる。余計な手間かもしれないけど、徒労に終わるよりはずっとマシだ。

 まず、ミニ知識。
 トピ主がこういう高飛車な書き方をする人だと、トピがグチャグチャになる可能性が高い。人の話を聞こうとしないから、まともな展開にはならないことが多い。
 様子を見る意味も含めて下記のコメントを入れた。

================================
1 2009年12月13日 13:43
tobirisu
 相当日本語が達者な方のようなので、それなりの書き方をします。

 当然辞書は引いてますよね。
 1~5を接続詞と考えた根拠はなんでしょうか。
 1~5に関してそれぞれ例文をあげていただけませんか。
 まずそこから始めませんか。

>基本的には”のに”という意味になるらしい

 なぜそうお考えですか? とくに「2.ながら 」「3.つつ 」は疑問です。
================================

 コメントが歯抜けになって流れはズタズタ。
 すみません。どなたか「9」のコメントの意図を教えてください。機種依存文字がバケているせいか、何が目的なのかサッパリわかりません。

「12」で「9」のコメントの補足があった。そういうことになるでしょうね。
 だから当方が「1」で書いてるでしょ。〈とくに「2.ながら」「3.つつ」は疑問です〉って。
 以下は某所に書いたコメントです。

【tobiクンのコメント】=====================
>これは「同時並行」の「つつ」で、逆接の「つつ」ではありません。
>「ながら」にも「逆接」と「同時並行」があります。

 当方がトピの「1」のコメントで言いたかったのもこの点です。
「ながら」「つつ」とも逆接以外の用法があります。むしろ、「同時並行」のほうが一般的でしょう。その点で、ほかの「接続助詞」(だと思います)とは違うでしょう。
 あのなかで比較するなら「ながらも」「つつも」でないと話がグチャグチャになると思います。

 コメントの「1」に関してはほかにも補足したいことがあるのですが、トピ主のコメントがないならそんことをする気にはなれません。
 気が向いたら、例によって公開制限つきの日記でグチグチ書くかもしれません。
================================

 そういうことも、辞書をひけばわかるはず。辞書というものには通常品詞がのっているし、ちゃんと読めばいろいろなことがわかる。接続する品詞なんかものってるんじゃないかな。

 一般的な接続詞なら、下記のように分類しているサイトもある。
http://www.scribd.com/doc/2346343/%E3%82%88%E3%81%8F%E4%BD%BF%E3%81%86%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E6%A9%9F%E8%83%BD%E5%88%A5%E4%B8%80%E8%A6%A7

 以前、接続詞に関しては当方も下記で分類している。ああ、この一覧も整理しないと。
【第2章2】接続詞
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=900405956&owner_id=5019671

 でもここでトピ主があげたものは、一般には接続詞でないからそういう分類とかには入ってこない。「にもかかわらず」あたりになると、「接続詞と同じような働きをすることがある言葉」(井上ひさし流に言えば「接続言」)だろう。こんなのほかにもいろいろあるんじゃないかな。そういうものの「使い分け」を考えるのは気が遠くなるような作業だけど、どんな意味があるの? まして、「応用」って何?
 たとえば、「逆接の接続詞」をどう使い分けるのか、と訊かれたらどう答えるべきか。「基本的には同じだけど、文脈による」としか言えないと思う。違う言葉なんだから、微妙なニュアンスは違うだろう。文脈によってAは入るけどBは入らない、ってことはある。
 ものすごく簡単な例をあげると、かたい文体なら「でも」より「しかし」のほうがふさわしい。でも意味はかわらないし、「でも」が間違いってわけではない。それもこれも文脈しだい。
 だから、「例文をあげていただけませんか」と書いたの。この場合はどれがふさわしいか、という問題なら、考えようもある。でも、具体的な例文もなしに、似たような言葉をあげて使い分けを考えるなんて……で、できるんだろうか。

「18」のコメントの趣旨はわかる。でも、この書き方で伝わるのかね。「ガ、」の問題ってものすごく奥が深い。よほど整理して書かないとむずかしいと思う。
 ちなみにこれに関連して用意したのが下記。こんだけ書いても、いまだによくわからないのは当方がバカだから?orz。
【「ガ、」の修辞学】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1364668143&owner_id=5019671


逆接の接続助詞「ものの」「ながら」「つつ」「にもかかわらず」「のに」の微妙なニュアンスの違い【2】

 トピでやり取りしたコメントを転記する。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

24
2010年12月08日 10:09
>18
 なんで清水幾太郎ごときを出されるのか分かりませんが、私が知っている限り、この現象は50年代に国立国語研究所によってまとめられています。
『現代語の助詞・助動詞:用例と実例』秀英出版
『話しことばの文型1:対話資料による研究』秀英出版
 初出がどうとか言うことに何の意味があるか分かりませんが。最新のまとまったものは、既出かもしれませんが、
白川博之2009『「言いさし文」の研究』くろしお出版

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

26
自分のコメントを削除する2010年12月08日 21:17
tobirisu

>24

 これはひょっとすると当方の「22」に対するコメントでしょうか。
 その前提で書きます。

>なんで清水幾太郎ごときを出されるのか分かりません 
「ごとき」ですか……。
 何冊かの文章読本にそう書いてあったもので……。
 一例をあげるなら、野口悠紀雄『「超」文章法』です。
 ただ、専門的には先に書かれたものがあるのですね。ご指摘ありがとうございます。
「ガ」の話には興味があります。できればどのような内容なのか教えていただけませんか。当方が理解できるようなものなら、ぜひ読んでみたいと思います。
 清水幾太郎の文章の一部は↑をご参照ください。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

27
2010年12月09日 00:18

>26tobirisuさん
 間違いのご指摘ありがとうございます。仰る通り22です。
 リンク先の清水からの引用箇所、拝読しました。一見して、無定義な文法用語(「逆接」「順接」)を多用した言語指南書であると分かりました。術語の意味する内容が、同じ文章の中で一貫していません。清水とも共通しますが、野口の「曖昧」の意味も一貫しないものです。一つの術語を一貫した内容で使っていないというその点だけをとっても、これらの文章は、文章読本類の精神に沿って添削されるべきものです。
 文章読本の類に功徳がないとは思いません。いい文章を書くにはそれなりのガイドラインと訓練が必要でしょう。
 ただ、そのためにしては、多くの言語指南書は、提供するものがずれています。いい文章を書くために必要なことは、大抵、論理的に考えて読み手の立場に立って何度も推敲する、という大枠だけで済んでしまうもので、細かい語法などに拘るのがいい文章への道であるとは思えません。
 人間に正しい言葉はこれだと教えるのは、カラスに巣の作り方が正しくないと非難するのと同じような感覚を覚えます。古い本ですがピンカー『言語を生みだす本能(下)』NHK出版の12章「言語指南役たち:規範的ルールの誤り」は何度読まれてもいい文章だと思います。言語指南役たちが文法を碌に理解していないことが暴かれています。これの日本語版も書かれれば面白いかと思いますが、多分、言語指南役の本よりも売れないので出版されないでしょう。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 コメントをくれたかたは当方のよりはるかに文法に詳しいかたなので、言葉を返すのはちょっと心苦しい。当方は文法の専門用語などほとんど知らないし、ちゃんと勉強した経験もない。ただ、「文章読本」に関しては、多少知っている(笑)。

 大前提として清水幾太郎〈ごとき〉という書き方には異和感がある。かの『文章読本さん江』が文章読本の「御三家」に入れた名著である。なんの根拠も示さずに〈ごとき〉とか言われても……。
 たぶん、清水幾太郎は「順接」とか「逆接」という言葉は使っていない。当方がこの言葉を初めて目にしたのがいつなのかは記憶にないが、いろいろな本で見るし便利なのでよく使う。接続詞の分類をするときなどに便利。文法用語か否かは知らないが、Web辞書にもあるし、わかりやすい言葉だと思う。「術語の意味する内容が、同じ文章の中で一貫」しているか否か、具体的に書いてもらわないと判断できない。
「曖昧のガ、」と言いはじめたのは野口悠紀雄だと思う。それについてはリンク先http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1364668143&owner_id=5019671に書いた。
 野口悠紀雄のあの本はいろいろ不備があり(下記参照)、「曖昧のガ、」に関する記述にも疑問がある。その点に関しても、当方の「曖昧のガ、」についての考えも、リンク先に書いた。少なくとも自分が書いた部分に関しては一貫性があると思っている(たぶん)。

>ただ、そのためにしては、多くの言語指南書は、提供するものがずれています。
 それに関しては、大きく2派に分かれる。
1)主題・構成を重視するべき
2)表現を重視するべき
 それに関しては、以前書いた。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=728372985&owner_id=5019671
 結論部だけ書く。主題・構成のほうが重要に決まっている。しかし……。
================================
 表現に関する心得は、文章道のなかでは瑣末な問題だ。しかし、ソコソコの文章を目指すなら、非常に重要になる。ソコソコの文章ってどういう文章なのか、ってことを一応ハッキリさせておきたい。頭が痛くならずにスンナリ理解できる程度の文章、と考えてほしい(ちっともハッキリしていないが、正確な定義なんてできません)。
「そのぐらい誰だって書ける」と思う人もいるだろう。逆にきいてみたい。ここまでに引用してあった文章は、すべてスンナリ理解できただろうか(引用部以外についてはきいてないんだから考えなくてよろしい)。引用した当人は、頭痛を感じたものがけっこうある。
 文章読本を書くほどのセンセーでさえ、こうなのだ。フツーの人がフツーに書いた文章は、頭痛のタネになることがあっても不思議ではない。
 主題や構成に関しては、文章の種類によってさまざまな意見が飛び交ったりして、収拾がつかなかった。しかし表現に関しては、ちょっと事情が違う。テーマによっては意見が飛び交うこともあるが、さほど複雑ではない。しかも、表現の問題は文章の種類を問わずに通用することが多い。この点がとっても大事。
================================

>ピンカー『言語を生みだす本能(下)』NHK出版の12章「言語指南役たち:規範的ルールの誤り」
 ですか。図書館で探してみます。

『文章読本さん江』に関しては下記。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=794869993&owner_id=5019671
『「超」文章法』に関しては下記。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=954734558&owner_id=5019671

テーマ : ことば
ジャンル : 学問・文化・芸術

「頑張れ」「がんばれ」

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月20日から

テーマサイトは下記
【昔は「がんばれ」を「しっかり」と言った(か)】
http://yeemar.seesaa.net/archives/201008-1.html

 これもどこかに書いたと思ったが見つからない。記憶障害の後遺症だろうか。
 あえて言えば下記だろうか。こんなに古いことをよく覚えていたもんだ。
【2010年11月の朝日新聞から】(10-11-5)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1631167853&owner_id=5019671
================================
 ちなみに、新聞には関係ないが、優勝が決まったあとのテレビインタビューで、白鵬は「豊ノ島関が頑張っていたから……」とか言っていた。そりゃ横綱は偉いけど、「頑張っていた」はどんなもんだろ。
================================

 この「頑張れ」の評判が急落しているような気がする。

●余計なお世話
 よく見聞するのは「がんばっている人に言ってはいけない」という意見。
 当方がこのテの話を初めて聞いたのはテレビドラマ(それ以前は覚えていないだけだろうな)。
 中居正広版の『白い影』で、末期ガンのいかりや長介が言っていた。
「いまでも精一杯頑張ってんだから、そういう患者に頑張ってなんて言っちゃいけねえよ」みたいなことを言っていた。たぶん原作にあるんだろう。原作『無影灯』の刊行は1972年だから、少なくともここまでは遡ることができる。

●応援の言葉としてはポピュラー
 有名なのは1932年(昭和7年)のロサンゼルスオリンピックの「前畑頑張れ」だろうな。遡りすぎ?
 現代だと、マラソン選手を応援する街頭の人が言ってそう。
 あとは選挙の立候補者に対する「頑張ってください」。

●「頑張った」は上から目線?
 印象に残るのは小泉首相が貴乃花にかけた言葉。
「痛みに耐えてよく頑張った! 感動した! おめでとう!」
 これもかなり有名で、Wikipediaにも出てるほど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%B4%E4%B9%83%E8%8A%B1%E5%85%89%E5%8F%B8
================================
そして2001年(平成13年)5月場所は初日から13連勝して完全無敵の強さだった。しかし14日目の武双山戦で、土俵際で巻き落としを喰らって右膝半月板を損傷する大けがを負った。もはや立つことも困難なほどの重傷であり、本来休場するべきところであった。二子山親方ら関係者も休場するよう貴乃花に勧めたが、幕内優勝が掛かっていたため、周囲の休場勧告を振り切り、翌日の千秋楽は無理矢理強行出場した。しかし本割りの仕切り最中にすら右膝を引き摺るような仕草があり、勝負にならないことは明らかであった。予想通り千秋楽結びの一番の武蔵丸戦では、自ら負けるような内容で全く相撲にならず、武蔵丸と相星となった。
続く優勝決定戦は誰もが武蔵丸の勝利を確信せざるを得なかったが、大方の予想を覆し、武蔵丸を豪快な上手投げで破った。勝利を決めた直後の鬼の形相と奇跡的な優勝に、当時の首相であった小泉純一郎は表彰式で「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!」と貴乃花を賞賛した。後世相撲史に語り継がれる大一番となった。
================================

 このシーンは中継をリアルタイムで見ていて、相当ムカツいた。
 少し話は遡る。そもそもこの2001年(平成13年)5月場所の貴乃花はものすごく強かった。盤石の13連勝で迎えた14日目に武双山と対戦し、ユルフンに破れた。このときの武双山は、最初からまわしがゆるんでいるように見えた。おそらく同部屋の横綱・武蔵丸を援護するつもりだったのだろう。まわしを取られないようにかたく締めるという話は聞いたことがあるが、まわしを取られてもいいようにゆるめておくのは非常に危険な行為で反則だろう。案の定貴乃花はすっぽ抜けるような感じで転がされ、膝に大けがを負う。この段階で休場すればよかったに、責任感の塊だった貴乃花は強行出場する。
 気の毒なのは人のよさで知られる対戦相手の武蔵丸。本割では貴乃花が自分から崩れるように倒れたため、優勝決定戦に。もはや相撲ではない。鬼の形相の貴乃花に気後れして(「遠慮」かな)、武蔵丸は半泣きの表情で勝ちを譲る。あれはなぜ「八百長」と言われないんだろう。
 奇跡の優勝を遂げた貴乃花をたたえたのが、先述の小泉総理に言葉。
 あのさ。総理大臣と横綱のどちらが偉いのかは知らない。しかし、少なくとも土俵の上では素人より横綱のほうが偉いに決まっている。それを「痛みに耐えてよく頑張った」だと。ふざけんな。それは子供に向かって言う「痛いのによく頑張ったね」とどう違うんだ。
 スポーツ選手や立候補者を応援するのに「頑張って(ください)」「頑張れ」はアリだと思う。
 しかし、「よく頑張った」なんて言えるのは、よほど格下の人間に対してだけだろう。
 貴乃花の力士生命は、事実上あの千秋楽で終わったようなものだ。なぜ休場させなかったのか、いまでも惜しまれる。もちろんそれ以前に責められるべきはユルフン武双山だが、休場させなかった周囲も罪が重い。
 何を書いているかわからなくなったが、とにもかくにも、このところ「頑張れ」って言葉の印象は悪くなる一方の気がする。

「~すぎる」の反対語は?【1】&【2】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

mixi日記2010年01月29日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1400545218&owner_id=5019671

 下記のトピの「66」で微妙な質問があった。
【質問トピ。】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46131413

 このコミュのグズグズの展開については何度か書いているので、そちらを参照してほしい。
【独り言です39くらい──全方位毒吐き4(甘毒)※全体公開】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1303817954&owner_id=5019671
独り言です28くらい?──全方位毒吐き【公開制限あり】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1254138874&owner_id=5019671

 質問内容から抜粋する。
================================
「○○過ぎる」の反対は何でしょうか?

例えば、食べ過ぎるや飲み過ぎる
そして、丁寧すぎるや安すぎる
================================

 これは簡単な問題ではない。
~すぎる」のような複合語を作る動詞?の問題はいろいろな問題を含んでいるので、しばしば話題になっている。
 問題を切り分けていく。「反対語」って言葉はなんかイヤだけど、とりあえず使っておく(反義語、対義語、対句……何が一般的なんだろう)。

1)「過ぎる」の反対語は何か
 補助動詞?の「~すぎる(~過ぎる)」について考える前に、フツーの動詞「過ぎる」について考えてみる。
「過ぎる」の反対語が「過ぎない」というのは小学生の考え方。それは「否定形」ではあっても反対語ではない。「長い」の反対語を「長くない」と答えるようなものだろう。
 と言いながら、適切なものが浮かばない「足りない」「届かない」などは小学生の答えと大差がない。「過剰」の反対語は「不足」だと思うから「足りない」にしたい気持ちはあるけど。
 意味で考えると「戻る」あたりも反対語になりそうだけど、無理だろうな。
「過ぎる」の適切な反対語がないんだから、「~すぎる」の反対語もないのかな。

2)「食べなさすぎる」と「食べなすぎる」はどちらが本来の形か
 これはトピにも書いたとおり、本来は「食べなすぎる」で、「食べなさすぎる」はあくまでも許容だろう。
【関連トピ紹介】12──「動詞+ない+そう」は「動詞+なそう」か「動詞+なさそう」か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46807737
 どちらが正しいにしても、1)と同様で、「否定形」ではあっても反対語ではない。

3)「食べ過ぎる」の反対語は「腹八分目」か
 微妙。「食べ過ぎ」(名詞)の反対語は「腹八分目」(名詞)と言えなくはないかもしれない。しかし(複合)動詞の反対語が名詞というのはヘンだろう。
 さらに、そこだけ無理矢理反対の意味になる言葉をもってきても、元々の問題の解決にはならない。

4)補助動詞の反対語
 複合語の後半の部分を仮に「補助動詞」と呼ぶ。
 下記のWikipediaだと、「機能上の補助動詞」ってことになるだろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%8B%95%E8%A9%9E

 Wikipediaによると、「機能上の補助動詞」には以下のものがある。
================================
相を表す「始める」「出す」「続ける」「終わる」「過ぎる」
相互の行為を表す(態)「あう」
位置変化・存在を表す「出す」「込む」
敬語の「なさる」
可能性・容易性を表す「う(得)る」「かねる」
また複合形容詞・形容動詞を形成する「やすい」「にくい」「がちだ」なども同様の性格を持つ。
================================

 偶然か必然か、反対語の対になるものが少ない。
・「~始める」と「~終わる」(厳密に言うと対になるのは〈「~始める」と「~終える」〉〈「~始まる」と「~終わる」〉かもしれない)
・「~やすい」と「~にくい」(複合動詞ではないけど)
 フツーに考えれば「出す」の反対は「入れる」だと思うが「~出す」の反対語は不明。あえて言えば「~終わる」かな。


~すぎる」 【2】

mixi日記2010年12月19日から

 関連項目は下記あたり。
122【「~すぎる」の反対語は?】2010年01月29日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-995.html
177【「早計すぎる」「早計にすぎる」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1220.html
325)【よい(いい) よさそう よすぎる よさすぎる よげ よさげ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1611.html
326)【ない なさそう なさすぎる ない目? なさげ なげ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1612.html

 下記のニュースが気になった。全文は末尾に。
【ブームになった「美人すぎる××」は日本語としておかしい】
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20101217/Postseven_8342.html

「美人すぎる○○」が文法的に問題がないと主張する気はない。
~すぎる」の接続を確認しておこう。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%8B&stype=0&dtype=0
================================
す・ぎる【過ぎる】
[動ガ上一][文]す・ぐ[ガ上二]
7 (動詞の連用形、形容詞・形容動詞の語幹などに付いて)行為・状態などが度をこえている。はなはだしく…する。または、はなはだしく…である。「めだち―・ぎる」「働き―・ぎる」「テレビの音が大き―・ぎる」「欲がなさ―・ぎる」「地味―・ぎる着物」
================================

 ニュース中の解説のとおりだ。
 ただ、ちょっと疑問もある。「地味すぎる」は形容動詞の語幹についているからOKで、「美人すぎる」は名詞についているから×なのだろう。 
「バカすぎる」「アホすぎる」「たわけすぎる」「白痴すぎる」
 さて、×はどれでしょう。
「チビすぎる」「デブすぎる」「ブスすぎる」「ハゲすぎる」
 さて、×はどれでしょう。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 これは次回の「問題」にしよう。
376)突然ですが問題です【日本語編29】「すぎる」のナゾ──【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1739.html

================================
2010年12月17日 10時00分
ブームになった「美人すぎる××」は日本語としておかしい

「美人すぎる市議」なんてものが話題になりだしたのは、今から2年ほど前のこと。以来、雨後の筍のごとく、「美人すぎる」女性たちが世の中に溢れ出した。「美人すぎる海女」「美人すぎる書道家」「美人すぎる首相」「美人すぎる歯科医」──。しかし、このブームに違和感を覚える人も多い。
 * * *
「美人すぎる××」の“元祖”は、テレビなどでもおなじみの藤川優里・八戸市議だ。2007年4月、同市議選挙でトップ当選をした彼女。翌2008年、青森のローカルテレビで紹介されたのをきっかけに火がつき、誰が呼んだか、「美人すぎる市議」として全国的にブレーク。その後、スペイン紙のウェブサイトで行なわれた、「世界で最も美しい女性政治家」を選ぶランキングで「世界一」となるオマケまでついた。
 その後、「美人すぎる海女」大向美咲さんがメディアに頻繁に登場する2009年になると、「美人すぎる××」を発掘しようという動きがメディアやインターネット上で活発になった。
 
 そうした中で、「美人すぎるヴァイオリニスト」の宮本笑里さん、「美人すぎる日本画家」の松井冬子さんが取り上げられ、ウクライナの「美人すぎる首相」ことティモシェンコ前首相、中国の「美人すぎる屋台の売り子」や「美人すぎるバス車掌」が話題になるなど、外国人にまで飛び火。さらには「美人すぎる料理研究家」の森崎友紀さん、「美人すぎる書道家」の涼風花さん、「美人すぎる女力士」の大高静流さんなど、次々に「美人すぎる××」が世に出てきている。
 ところがこのブーム、冒頭で紹介した通り、違和感や疑問を持つ向きも少なくない。その原因の一つが、「美人すぎる」という言葉そのものである。
 日本語とフランス語の教師として都内の大学などで教鞭を執り、『かなり気がかりな日本語』(集英社新書)の著書がある野口恵子氏は、こう解説する。
「もともと、『すぎる』という言葉は、『食べすぎる』や『大きすぎる』のように、動詞や形容詞、形容動詞と一緒に使われるものであって、『美人』のような名詞と一緒に使われることは基本的になく、現代用語の辞典にもこうした用法は掲載されていません。それに、『過ぎたるは猶及ばざるが如し』という言葉があるように、『すぎる』はもともとマイナスイメージの意味を含む言葉だった。ところが、『美人すぎる××』では肯定の意味で使われています。こうした意味でも比較的新しい言葉の使われ方だと言えるでしょう」
※SAPIO2011年1月6日号
================================

 ちなみにこんなランキングもある。
http://cache001.ranking.goo.ne.jp/crnk/ranking/999/beautiful_woman/

1) 100藤川優里(美人すぎる市議)
2) 52.5宮本笑里(美人すぎるヴァイオリニスト)
3) 46.2大向美咲(美人すぎる海女)
4) 18.9涼風花(美人すぎる書道家)
5) 10.7中田彩(美人すぎる歯科医)
6) 6.3豊田麻衣(美人すぎるリポーター)
7) 5.7松井冬子(美人すぎる日本画家)
8) 4.4岩渕真奈(美人すぎるサッカー女子選手)
9) 4.1小松美羽(美しすぎる銅版画家)
10) 3.8大高静流(美人すぎる女相撲取り)

テーマ : ことば
ジャンル : 学問・文化・芸術

突然ですが問題です【日本語編28】──「から/ので」辞書へのツッコミ

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月17日から

【問題】
 次の日記を参考に、下記の辞書の記述に全力でツッコミを入れなさい。相手が泣くまで許してはいけません。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1680.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1635961440&owner_id=5019671

================================
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17210/m0u/%E3%81%AE%E3%81%A7/

から/ので
[共通する意味]
★原因・理由・根拠を表わす。
[使い方]
〔から〕▽(1)もう遅いから早く帰りなさい▽(2)家が近いから一緒に帰りましょう▽(3)明日は晴れるだろうから洗濯をした▽(4)遅刻したのは、電車が遅れたからです▽(5)子供だからといって、甘えてはいけない
〔ので〕▽(1)事故が多いので運転を休止した▽(2)下記に転居いたしましたので一度お越しください
[使い分け]
【1】接続助詞「から」と「ので」は、それぞれ「X(だ)からY(だ)」および「X(な)のでY(だ)」の文型で、後件Yの内容に対して前件Xがその原因・理由・根拠となることを表わす。
【2】「から」は、前件と後件とが主観的な立場で結びつけられるときに用いられやすい。したがって、後件が命令(例文(1))・禁止・勧誘(例文(2))などの表現のように、話し手の判断や気持ちを表わす場合には、「から」が用いられることが多い。また、前件が推量表現である場合に接続する用法(例文(3))は、「ので」にはない。「から」にはほかに、結果にあたる事柄を先に述べて原因を後で述べる用法(例文(4))や、「~からといって…(否定)」の形で、前件から帰結されるべき結論とは逆の内容を後件におく用法(例文(5))などがある。
【3】「ので」は、前件と後件との間に客観的な因果関係が認められる場合に用いられやすい(例文(1))。したがって、「ので」の後件には断定や事実の叙述などの表現がくることが多い。
【4】話し手の気持ちを表わす表現でも、「ので」の例文(2)のように、丁寧な表現や書き言葉では一般に「ので」が用いられる。これは、自分の気持ちを前面に出すのを避けるためである。このような場合に「から」を用いると、ぶっきらぼうな表現や押しつけがましい表現となりやすい。
[参照]
から⇒が/で/に/から/の・から/に・から/を・で/から・で/から/に・に/から
[対比表]
   寒い…服を着た  相手は強そうだ…注意しろ  未熟者です…ご指導ください
から ○        ○             -
ので ○        -             ○
================================

【表記の話5──「生まれる」か「産まれる」か「生む」か「産む」か】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月10日から

 下記の続きでもある。
95)【表記の話──「生かして」か「活かして」か】2009年11月30日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-871.html

100)【表記の話2──「子供」か「子ども」か】2009年12月04日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-956.html

125表記の話4──「一人」か「独り」か「ひとり」か(【3】は欠番)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1014.html

 表記の話も書きはじめるキリがなくなる(泣)。
 ちょっと必要があって、下記のトピのコメントを回収しておく。
【雑談用トピ】正しい日本語を愛しましょう トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=15311971

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

160
2009年05月12日 19:49
tobirisu

>158
>○○ さん

 表記(漢字の使い分け)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。

1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合

 たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。

「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
 汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。
 
 世間で広く使われている新聞の表記の基準だと、「生まれる」(生む)と「産まれる」(産む)の使い分けはおおむね以下のとおりです。
【生】〈死の対語〉
生まれ変わり、生まれ月、生みの親、傑作を生む、新記録が生まれる、明治生まれ、利潤を生む
【産】〈主として出産関係〉
産みの苦しみ、産み月、卵を産む

 上記の例のうち、「生みの親」あたりは悩ましいところかと思います。
「傑作を生むための産みの苦しみ」はヘンじゃないか、と言われても当方は責任がもてません。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

163
2009年06月11日 21:46
tobirisu

>161
>○○ さん

「160」で書いたつもりですが、そんなにわかりづらかったでしょうか。
 
>『生まれました』『産まれました』どちらでも良いのですか?
 どちらでも間違いではありません。
 ただ、新聞などでは「産まれました」と書くと思います。それはそういうルールになっているからです。単に「決め」(「社内ルール」のようなもの)の問題です。
 ただし、「160」で書いた1)のようなケースは別です。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

170
2009年06月18日 12:59
tobirisu

>169
>△△さん

>新聞用語には詳しくないので言及を避けます。
>一般用語(?)としては、「産まれました」だと自分への敬語みたいな気がしてしまいます。

 それは「159」で書いていることに通じますよね。
 その話を始めるとメンドーなので、ふれないようにしたのですが……(笑)。

 当方が書いたのは「用語」というより、あくまで「表記」の問題です。

 言葉として「産まれました」を使うか否かと言うと、あまり使わない気がします。当然「生まれました」も使いません。
 この言葉を使う状況がないとは思いません。

 たとえば、ある老人がいます。彼には2人の娘がいて、それぞれに1人の子供がいます。上の娘が昨日、2人目の子供を出産しました。そのことを近所の人に話します。
「昨日、3人目の孫が産まれました」
 これが「できました」だと「妊娠した」の意味になると思います。

 もっとシンプルに考えます。出産の報告を受けたときの第一声。
「無事に産まれたか。よかったよかった。で、男の子か、女の子か?」

「産んだ」本人が「産まれました」(生まれました)と言うのは、敬語みたいでもあるし、妙に他人事みたいでもあり、相当ヘンな感じです。たぶん、個人的にはこの使い方をする機会はないと思います(笑)。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

172
2009年06月18日 21:43
tobirisu

 当方が「160」で引いたのは『朝日新聞の手びき』です。
 どうにもイヤな異和感が残ったので、ほかの用字用語集をひいてみました(このテの表記の使い分けに関して、一般の辞書をまったく信用していなもので)。
 
 まず共同新聞社の『記者ハンドブック』。朝日新聞社版とほぼ一緒ですが、違う点が数点。

1)生〔誕生、死の対語、一般用語〕  とあります。

「生」の使用例として以下のものがありました。
2)赤ちゃんが生まれる
3)生み〔創作〕の苦しみ(「産」の使用例には産み〔出産〕の苦しみがアリ)


 もう一冊『例解辞典』(ぎょうせい)もひいてみました。この辞典を基準にしている出版社は多く、項目を細かく立てているのが特徴です。
「うむ」と「うまれる」も別の項目になっていました。

「産まれる」の使用例 赤ん坊が産まれる
「生まれる」の使用例 京都に生まれる/当たらしい市が生まれる
「産む」の使用例 卵を産む
「生む」の使用例 子を生む/利息を生む/新記録を生む


 結論。
「赤ちゃん」は生まれる
「赤ん坊」は産まれる
「卵」は産む
「子」は生む
 そんなバカな(笑)。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ……オヤジギャグか?
 最後の「子を生む」は実際の出産の現場ではなく、「彼女は合計3人の子を生んだ」みたいな使い方ですかね。

「赤ちゃん/赤ん坊」の場合はどっちもアリってことになりそうです。
 ただ、「産む」「生まれる」というふうに、いわゆる他動詞と自動詞で使い分けるのは、経験的に矛盾が出てくる気がします。

 昔、自動詞は「現れる」、他動詞は「表す」だと言い張る人がいました。
 たしかにそういう用例が多いのですが、「姿を現す」とか「気持ちが表情に表れる」 みたいな例外が出てきて破綻しました。ちょっと例がズレてますかね。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【「おばあさん」「おじいさん」にあてる漢字について】日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671

mixi日記2010年12月08日から

 テーマサイトは下記。
【「おばあさん」「おじいさん」にあてる漢字について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58527136

 なんという微妙な話を。
 常用漢字表の盲点をつくような鋭い質問だ。
 まず、「0」の全文を転載する。
================================
ドイツで初級のクラスを持っています。
家族の呼び方について、丁寧な言い方と身内を指す場合の違いについて教えたところ、教科書に載っていた漢字での書き方について次のような質問を受けました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お父さん」には「父」という漢字が入っている。「お母さん」にも「母」が入っている。「お姉さん」「お兄さん」「弟さん」「妹さん」も。
なのになぜ、「おばあさん」「おじいさん」には「祖母」「祖父」という漢字が入らず、ひらがなだけなのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私がその場で答えるにあたって、思い浮かんだ漢字が「お婆さん」「お爺さん」でした。そのため、「祖母」「祖父」ではない別の漢字を使うのだけど、これらの漢字はあまり一般的には使われないのです、とだけ簡単に答えてしまいました。
そのような説明でよかったでしょうか。 もう少し良い説明方法があるのではないかとも思うので、ご意見いただけるとありがたいです。

また、「婆」「爺」という漢字はあまりよいイメージでないため、とまで言おうかと思いましたが、それはもしかしたら個人的な印象に過ぎないかもとも思い、言及しませんでした。これについてはどう思われますか?

家に帰って調べると「お祖母さん」「お祖父さん」と書く例もありましたがこれって当て字ですよね。
日本語の表記方法は書き手の趣味によるところが大きいですが、でも最低限のルールはあるわけだし・・・混乱させないように教えるのは難しいなといつも感じています。
================================

 いろいろな問題を含んでいるので、ちゃんと書くとトンデモナいことになる。順番に行こうか。

●常用漢字表のルール
 トピ主は以下のものをあげている。
「父」「母」「祖父」「祖母」「兄」「姉」「弟」「妹」「爺」「婆」
 このうち、常用漢字表には「爺」だけがない。先頃追加された漢字にもない(たぶん)。先頃の改正に関して詳しいことは知らないので、以下はそれ以前の知識で書く。(←オイ!)

 ただし、常用漢字表では「父」の字に「とう」という読み方はない(「母」の「かあ」なども同様)。あくまでも「付表」扱い。「付表」とは何かと言われると正確には知らないが、「例外的に認められている特殊な読み方」くらいだろう。
 今回のテーマ関係だと、「付表」には以下のものがある。
  お父さん/お母さん/兄さん/姉さん
  ※なぜ「お」があったりなかったりするのかは不明
  伯父、叔父/伯母、叔母

 つまり、常用漢字表のルールに従うと以下のようになる。
  1)お父さん/お母さん/兄さん/姉さん
   ……正式な読みにはないが、特別に認める
  2)「婆」
   ……読みは「バ」だけ。「お婆さん」は常用漢字表外。
  3)「爺」
   ……常用漢字表外字。「お爺さん」に限らず、使ってはいけない。

●「当て字」とは何か
 ここまでに何種類かの「当て字」が出てきた。当て字の正確な定義を考えはじめると、それだけでトンデモナいことになるのでパス。一般にどこまでを当て字と言うのかは当方には判断できない。
 ↑の1)も当て字と言えば当て字だが、一応お上のお許しが出ているんだから、フツーに使えるだろう。
 ↑の2)3)は常用漢字表外だが、一般には通じる。これも当て字だろうか。
「お祖父さん」「お祖母さん」はさすがにあまり目にしない。これは当て字の可能性が高い。

●他人の「おじさん」「おばさん」「おじいさん」「おばあさん」
「2」のコメントに〈親戚には叔父さんまたは伯父さんのようにいえますが、親戚関係にない人には漢字は使えません〉とある。そういう考え方もあるのか。
 一般には、親戚関係にない「おじさん」「おばさん」は「小父さん」「小母さん」と書くことができるらしい。これはさすがに当て字だろうな。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%B0
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%98

 辞書で「おじ」あたりをひくと、このほかにいろいろな書き方があることがわかる(笑)。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%8A%E3%81%98&dtype=0

●常用漢字表のナゾ
 常用漢字表の採用基準にはナゾが多い。
「婆」がアリで、「爺」がナシの理由はなんなのだろう。
 ついでに書いておくと「翁」(読みは「オウ」だけ)だけがアリって理由もよくわからない。
 一般には「翁」とセットになるのは「嫗」の気がする。
 だが、これは「翁(おきな)」&「嫗(おうな/おみな)」がセットって気がする。「媼」なんて漢字もあったな。「嫗」も「媼」もめったに見ない。
「翁(オウ)」は「沙翁」(辞書にも掲載!)をはじめ、よく目にするもんな。

●日本語学習者に教えるなら……
 さて、本題に戻ろう。(←オイ!)
 日本語学習者に↑のような話をしても、理解できる(これを「出来る」と書くのも当て字)可能性はきわめて低い。「日本語ネイティブ」でも……。
 実践的(実戦的?)には「1」のコメントあたりが正解だろう。


【追記】
 あれ? 
 肝心の「1」のコメントが消えている(泣)。トピズレだから管理人が削除したのだろうか? マサカ。
 バックアップを転載しておく。発言者名はカットしておきます。
================================
1
2010年12月08日 10:30

私は手紙などでは「お婆さん」「お爺さん」を使います。

三省堂の「類語実用辞典」で「年寄り」を調べると以下のように記載されています。

▽〈隣の〉爺(じい)さん お爺さん ・・・ 
▽〈隣の〉婆(ばあ)さん お婆さん ・・・ 

「▽」は、「常用漢字音訓表にはない読み」であることを示しています。
つまり「使われているけれど、規範的な読み方ではない」というわけです。
だから教科書などでは使われないのでしょう。

「お祖母さん」「お祖父さん」もおっしゃるとおり当て字です。
大辞泉には以下のようにあります。

「お祖母さん」
お‐ばあ‐さん【▽御祖=母さん】
祖母(そぼ)を親しみ敬っていう語

同じように「▽」がついています。

> これらの漢字はあまり一般的には使われないのです・・・
むしろ
「一般的によく使われるけれど正式な読み方とされていない」
と説明するのが良いと思います。
外国人に教える場合は避けて逃げるか、
「~と書く場合もあります。」くらいにサラリと触れる程度にするのがよいと思います。
非漢字圏の学生には却って負担になるので避けるほうが賢明でしょう。
もちろん「常用漢字表」「常用漢字音訓表」を扱うような上級者相手ならば、ちゃんと説明すれば良いと思います。
================================


【追記2】
 常用漢字表の問題点に関しては、下記あたりをご参照ください。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1146356095&owner_id=5019671

 元々のキッカケになったトピも、いま読み返すと懐かしい。...( = =) トオイメ
 ここもマルチポストが原因でグズグズになりかけたのね。
 あれほど明言していたトピ主の「報告」はいったいどうなったのでしょう。

 ほかのコミュの話は下記をご参照ください。
【関連トピ紹介】27──常用漢字表
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58551525
プロフィール

tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

カレンダー
11 | 2010/12 | 01
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード