2011年5月の朝日新聞から
【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html
●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html
【2011年5月】
11-04-8
4月30日
最善の注意を払った。(朝刊15面)
渡辺崇記者。間違いとは言い切れないかもしれない。でも一般には「最善を尽くした」か「細心の注意を払った」だろう。
11-05-1
4日
4月下旬。国技館内で立ち話をしていた、ある親方の携帯電話が鳴った。(朝刊12面)
記者不明。大相撲の混迷ぶりを伝えるシリージ記事。読点の使い方が気になってメモした。例によって本多読本が目の仇にする読点。つける理由は何もない。だが、たしかにないとなんかヘン。「国技館内である親方が立ち話をしていると携帯電話が鳴った」にしても何も問題はないけど、これでもなんかヘン。結論を書くと、ヘンにカッコよく書こうとするから、こんな妙なことになる。
11-05-2
4日
どうか簡単に「がんばれ」なんて言わないでください。せめて「負けるな」と、そっと肩を抱いてください。(朝刊10面)
須賀川市の49歳の主婦の投書。書き手の自宅は福島第一原発から約60kmで、軽い程度の被災で済んだらしい。タイトルは〈「がんばれ」って言わないで〉。素人さんの投書の文書にインネンをつけるほどヤボではない。内容が気になった。近年、鬱病や震災で「がんばれ」って言葉が急に忌み語になった印象がある。趣旨はわかる。問題はかわりにどう言えばいいか。「負けるな」なのかな。誰と勝負していて、どうなったら「勝ち」なんだろう。これだと「がんばれ」と大差がないような気がする。
11-05-3
4日
著名
な料理研究家の写真が出題されると「ご飯を食べる人」
という珍解答が生まれ、司会の紳介は爆笑する。(朝刊18面)
記者不明。番組紹介記事。最近、ひとりで「爆笑」するのは誤用、と言われるようになった。辞書を引くとそのとおりなんだけど、問題は言いかえがむずかしいこと。無難なのは「大笑い」くらいかな。もうダメ、って気がする。
11-05-4
5日
もうひとりの1敗組の山下敬吾とともに、3人が挑戦者争いを演ずると見るのが妥当だが、もつれる可能性大あり。(朝刊20面)
春秋子記者。囲碁の観戦記。読んでいて一瞬かたまった。「可能性大」「可能性あり」「可能性がある」……言い方はいろいろありそうだ。
11-05-5
8日
KO勝利とはいえ、日本人初の3階級制覇の「実力」を証明するには役者不足だった。(朝刊21面)
近藤幸夫記者。亀田興毅の初防戦の記事。挑戦者の力不足を指摘している。正統派の「役者不足」のコレクションとして。
11-05-6
10日
(キャプション)
約50人が避難して命をとりとめた(朝刊39面)
(見出し)
「津波避難ビル」命救う
(リード)
このビルに命を救われた住民もいる。内閣府は指定基準の見直しが必要かを検討したうえで、全国的な普及を目指す方針だ。
記者不明。「津波避難ビル」の必要性を伝える記事。まずキャプション。間違いとは言い切れないが、慣用句は「一命をとりとめた」だろう。こういう微妙な言い回しは気持ちが悪い。さすがに「死を免れた」とは書けないか。「最悪の事態は免れた」ならアリだろう。見出しにある「命救う」でいいじゃん。リードは「命を救われた」になっている。ちなみにリードの「見直しが必要かを」の部分が言葉足らずでは。「見直しが必要か否かを」「見直しの必要性を」くらいだろう。
11-05-7
11日
これまで直接対決は5試合で互いに2勝ずつ。(朝刊25面)
坂名信行記者。これは初めて見た。すんごく微妙だけど、重言だろうな。「5試合で互いに2勝」「5試合で2勝ずつ」でこと足りる
11-05-8
17日
石川、由規、館山と中心となる3投手がそろって勝っている点からも、大崩れしなさそうだ。(朝刊18面)
衣笠祥雄記者?。ウーン。出てしまったか「しなさそう」。原則に従うなら「しなそう」。新聞なんだから、そうするべきだろうな。もっとフツーに「しそうにない」「しないだろう」でいいでしょうに。誰かフォローしてやれよ。厳密に言うと「そろって勝っている」もヘン。1勝しかしてなくても「勝っている」ことになる。無難なのは「そろって勝ち星を伸ばしている」「それって○勝以上をあげている」くらいかな。
11-05-9
26日
5年以上先発ローテーションを守り続ける勤続疲労は、否めない。(朝刊25面)
山口史朗記者。オイオイ。もちろん正しくは「金属疲労」。これを「勤続」にするオヤジギャグは何十年も前からあるが、文章にするなら「 」とかをつけないとムチャ。
11-05-10
28日
(見出し)
来月から乗り物の一部再開(朝刊27面)
(本文)
東京ドーム(文京区後楽)は27日、遊園地「東京ドームシティアトラクションズ」にある乗り物のうち、観覧車など10機種で6月1日に営業を再開すると発表した。
松本千聖記者。東京ドームシティのアトラクションの営業再開を伝える記事。まず見出し。別にこれでもいいけど、この「から」はやっぱり気になる「乗り物の一部来月再開」にすればいいでしょうに。2字減るから「営業」も挿入できる。ちなみに本文は「に営業を再開」にしている。これなら何も問題がない。ただし、「10機種で」の「で」にはちょっと異和感がある。「10機種の営業を6月1日に再開」が自然だろう。
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●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
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●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
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【2011年5月】
11-04-8
4月30日
最善の注意を払った。(朝刊15面)
渡辺崇記者。間違いとは言い切れないかもしれない。でも一般には「最善を尽くした」か「細心の注意を払った」だろう。
11-05-1
4日
4月下旬。国技館内で立ち話をしていた、ある親方の携帯電話が鳴った。(朝刊12面)
記者不明。大相撲の混迷ぶりを伝えるシリージ記事。読点の使い方が気になってメモした。例によって本多読本が目の仇にする読点。つける理由は何もない。だが、たしかにないとなんかヘン。「国技館内である親方が立ち話をしていると携帯電話が鳴った」にしても何も問題はないけど、これでもなんかヘン。結論を書くと、ヘンにカッコよく書こうとするから、こんな妙なことになる。
11-05-2
4日
どうか簡単に「がんばれ」なんて言わないでください。せめて「負けるな」と、そっと肩を抱いてください。(朝刊10面)
須賀川市の49歳の主婦の投書。書き手の自宅は福島第一原発から約60kmで、軽い程度の被災で済んだらしい。タイトルは〈「がんばれ」って言わないで〉。素人さんの投書の文書にインネンをつけるほどヤボではない。内容が気になった。近年、鬱病や震災で「がんばれ」って言葉が急に忌み語になった印象がある。趣旨はわかる。問題はかわりにどう言えばいいか。「負けるな」なのかな。誰と勝負していて、どうなったら「勝ち」なんだろう。これだと「がんばれ」と大差がないような気がする。
11-05-3
4日
著名
な料理研究家の写真が出題されると「ご飯を食べる人」
という珍解答が生まれ、司会の紳介は爆笑する。(朝刊18面)
記者不明。番組紹介記事。最近、ひとりで「爆笑」するのは誤用、と言われるようになった。辞書を引くとそのとおりなんだけど、問題は言いかえがむずかしいこと。無難なのは「大笑い」くらいかな。もうダメ、って気がする。
11-05-4
5日
もうひとりの1敗組の山下敬吾とともに、3人が挑戦者争いを演ずると見るのが妥当だが、もつれる可能性大あり。(朝刊20面)
春秋子記者。囲碁の観戦記。読んでいて一瞬かたまった。「可能性大」「可能性あり」「可能性がある」……言い方はいろいろありそうだ。
11-05-5
8日
KO勝利とはいえ、日本人初の3階級制覇の「実力」を証明するには役者不足だった。(朝刊21面)
近藤幸夫記者。亀田興毅の初防戦の記事。挑戦者の力不足を指摘している。正統派の「役者不足」のコレクションとして。
11-05-6
10日
(キャプション)
約50人が避難して命をとりとめた(朝刊39面)
(見出し)
「津波避難ビル」命救う
(リード)
このビルに命を救われた住民もいる。内閣府は指定基準の見直しが必要かを検討したうえで、全国的な普及を目指す方針だ。
記者不明。「津波避難ビル」の必要性を伝える記事。まずキャプション。間違いとは言い切れないが、慣用句は「一命をとりとめた」だろう。こういう微妙な言い回しは気持ちが悪い。さすがに「死を免れた」とは書けないか。「最悪の事態は免れた」ならアリだろう。見出しにある「命救う」でいいじゃん。リードは「命を救われた」になっている。ちなみにリードの「見直しが必要かを」の部分が言葉足らずでは。「見直しが必要か否かを」「見直しの必要性を」くらいだろう。
11-05-7
11日
これまで直接対決は5試合で互いに2勝ずつ。(朝刊25面)
坂名信行記者。これは初めて見た。すんごく微妙だけど、重言だろうな。「5試合で互いに2勝」「5試合で2勝ずつ」でこと足りる
11-05-8
17日
石川、由規、館山と中心となる3投手がそろって勝っている点からも、大崩れしなさそうだ。(朝刊18面)
衣笠祥雄記者?。ウーン。出てしまったか「しなさそう」。原則に従うなら「しなそう」。新聞なんだから、そうするべきだろうな。もっとフツーに「しそうにない」「しないだろう」でいいでしょうに。誰かフォローしてやれよ。厳密に言うと「そろって勝っている」もヘン。1勝しかしてなくても「勝っている」ことになる。無難なのは「そろって勝ち星を伸ばしている」「それって○勝以上をあげている」くらいかな。
11-05-9
26日
5年以上先発ローテーションを守り続ける勤続疲労は、否めない。(朝刊25面)
山口史朗記者。オイオイ。もちろん正しくは「金属疲労」。これを「勤続」にするオヤジギャグは何十年も前からあるが、文章にするなら「 」とかをつけないとムチャ。
11-05-10
28日
(見出し)
来月から乗り物の一部再開(朝刊27面)
(本文)
東京ドーム(文京区後楽)は27日、遊園地「東京ドームシティアトラクションズ」にある乗り物のうち、観覧車など10機種で6月1日に営業を再開すると発表した。
松本千聖記者。東京ドームシティのアトラクションの営業再開を伝える記事。まず見出し。別にこれでもいいけど、この「から」はやっぱり気になる「乗り物の一部来月再開」にすればいいでしょうに。2字減るから「営業」も挿入できる。ちなみに本文は「に営業を再開」にしている。これなら何も問題がない。ただし、「10機種で」の「で」にはちょっと異和感がある。「10機種の営業を6月1日に再開」が自然だろう。
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