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なんかなぁ──読み方間違う「カタカナ言葉」?

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
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mixi日記2011年08月29日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1768623965&owner_id=5019671

 ウーン。
 こういうのを「読み方間違う」と言うのかな? 「カタカナ言葉」って言い方もどうなんだろう。まあそれはおいとこう。
「ひっくり返して読んでしまいがち」(専門用語でなんて言ったっけ?)限定だとこんなものかな。
 シュミレーションとコミニュケーションは、誤用の例としてよくあげられる。外来語をカタカナ書きする場合、ムヤミに間違いとは言えない。「v」「f」関係は日本語表記が基本的にむずかしい。
 でも、ここにあげられた例は、あからさまにおかしい。「誤用」と考えていいだろう。
  1)○シミュレーション ×シュミレーション
  2)○コミュニケーション ×コミニュケーション
  3)○アガリクス ×アガリスク
  4)○エベレスト ×エレベスト
  5)◯コモドオオトカゲ ×コドモオオトカゲ
  6)○サブリミナル ×サブミリナル
  7)○アイソトープ ×アイトソープ
  8)○アニミズム ×アミニズム
  9)◯フレキシブル ×フレシキブル
  10)○スプリンクラー ×スクリンプラー


 1)2)は定番だけど、3)になると途端に見聞する頻度が低くなる。「リスク」って日常語に引っ張られるのかな。4)以降はどうなんだろう。
 実際に見聞するのは清濁の間違いが圧倒的に多い。ほとんどは余計な濁点がつく。日本語のほうが濁点がとれる有名な例があったんだけど、思い出せない。

  ○アボカド(avocado) ×アボガド
  ○ケージ(cage) ×ゲージ(計りなどの意味のgaugeは別の言葉)
  ……etc.
 ただ、スムーズ(smooth)のようにすでに日本語としてなじんでしまったものはどうにもならんのよね。たしかクローズアップ(closeup)も濁点になるのは日本流。

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
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【ネタ元】gooランキング
http://news.nifty.com/cs/item/detail/gooranking-2011082916983/1.htm
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ひっくり返して読んでしまいがちなカタカナ表記言葉ランキング

 外来語や新語、IT用語などカタカナ表記で使われている言葉は、そのカタカナ表記ゆえに読み方を間違えて覚えてしまう事って多いですよね。中でも多いのが、言葉の一部をひっくり返して読んでしまうというパターンです。

  そんな間違いを犯しやすい代表的なものが、《シミュレーションをシュミレーション》と読んでしまうパターンです。アルファベットでの表記なら「Simulation」、日本語であれば「模擬実験(goo辞書より名詞表記の一例)」などの書き方になるので読み間違える人はまずいないと思いますが、カタカナ表記にしたとたんに間違えやすくなるというのは何ともおもしろい現象ですよね。 続いて多かったのが、《コミュニケーションをコミニュケーション》と読み違えてしまうパターン。《シミュレーションをシュミレーション》、《アンタッチャブルをアンチャッタブル》と読み違えるのも同様ですが、拗音や促音のような小文字を含む言葉は特に間違えやすい傾向があるようです。

 予想外に多かったのは、5位にランク・インした《コモドオオトカゲをコドモオオトカゲ》と間違えるパターンでしょうか。《アガリクスをアガリスク》、《アイソトープをアイトソープ》のような、あまり使う機会のない言葉を間違えてしまうのは仕方がない所もありますが、こちらはさらに日本語に「コドモ(子供)」という似た読み方の言葉があるために、間違えやすい人が多いのかもしれませんね
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ひっくり返して読んでしまいがちなカタカナ表記言葉ランキング
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1722857&media_id=45


なんかなぁ──読み方間違う「カタカナ言葉」?〈2〉

mixi日記2011年08月30日から

 清濁に関しては下記のトピが詳しいことを思い出した。日本語には促音のあとの濁点が存在しないみたい。
【ベッドをベットと言うのは】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=27215896
 コメント「9」のリンク先を確認してビックリ。mixiニュースってすぐに消えるのに、コラムだとずいぶんあとまで残るのね。このランキングは納得できる。「ひっくり返して読んでしまいがち」な例は数個しか入っていない。当たり前だよ。
 コメント「9」のリンク先の全文を転載しておく。

 ランキングは下記のとおり。
1)アタッシェケース
 誤:アタッシュケースなど
2)リラクセーション
 誤:リラクゼーションなど
3)ナルシシスト
 誤:ナルシストなど
4)エキシビション
 誤:エキシビジョンなど
5)アボカド
 誤:アボガドなど
6)シミュレーション
 誤:シュミレーションなど
7)ジャクジー
 誤:ジャグジーなど8)
※原音に正確なのは「ジャクージ」って説も聞いたことがある
8)エンターテインメント
 誤:エンターテイメントなど
9)アフィリエイト
 誤:アフェリエイトなど
10)ギプス
 誤:ギブスなど
11)アニミズム
 誤:アミニズムなど
12)キューピッド
 誤:キューピットなど
13)フィーチャリング
 誤:フューチャリングなど
14)バングラデシュ
 誤:バングラディッシュなど
15)グラウンド
 誤:グランドなど
16)コミュニケーション
 誤:コミニュケーションなど
17)ブダペスト
 誤:ブタペストなど
18)バドミントン
 誤:バトミントンなど
19)ティーバッグ
 誤:ティーパックなど
20)バッジ
 誤:バッチなど
21)ジャンパー
 誤:ジャンバーなど
22)シチュエーション
 誤:シュチエーションなど
23)ブロマイド
 誤:プロマイドなど
24)トートバッグ
 誤:トートバックなど
25)ハイブリッド
 誤:ハイブリットなど
26)マニキュア
 誤:マニュキアなど
27)マウスパッド
 誤:マウスパットなど
28)ドッグフード
 誤:ドックフードなど
29)ベッドルーム
 誤:ベットルームなど
30)ユビキタス
誤:ユキビタスなど

【ネタ元】gooランキング
http://ranking.goo.ne.jp/column/article/goorank/4163/
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間違いやすいカタカナ語ランキング

間違っていてもキニシナイ?

 ポルトガル語の 「タバコ」やオランダ語の 「ビール」など、さまざまな国の 外来語が使われている日本。日常生活の中で誰もが当たり前のように使っている外来語ですが、もともと日本には存在しない発音やアクセントが使われているため、間違った読みや発音でそのまま使われていることも少なくありません。「間違いやすいカタカナ語ランキング」でトップとなったのは《アタッシェケース》でした。 「アタッシュケース」と覚えていませんでしたか。
 《アタッシェケース》はフランス語から来ている言葉で「attache case」の「attache」を「アタシェ」と読むのが正しい発音。日本では誤読である「アタッシュケース」の方が広く認知されていますが、これは英語圏でフランス語の アクセント符号が省略され、変化したものが日本に入ってきたからという説もあるようです。2位の《リラクセーション》は、英語の「relaxation」からきた言葉で、本来発音には濁音が含まれません。ただし、世間では「リラクゼーション」と発音する方が一般的になっており、すっかりと誤読の方が定着してしまった感があります。こうした発音の読み違いがそのまま定着したものとは別に、「意図的な誤読が行われるようになったのではないか?」と考えられる言葉もあります。例えば、5位の《アボカド》や10位の《ギプス》などは、それぞれ「avocado」、「gips(ドイツ語)」と表記するため、誤読される可能性は本来なら低いはず。なぜ誤読されるのようになったのかは明らかになっていませんが、日本人にとって読みやすい発音が定着してしまったという説が最も有力なようです。
 ここまでに挙げた言葉のように定着してしまったものは日常生活での使用に支障がなく、あまり神経質になる必要もありませんが、14位の《バングラデシュ》や17位の《ブダペスト》のように国名や都市名を間違えることは失礼に当たるので、ぜひ気を付けたいですね。
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「きちんと」「ちゃんと」「しっかり(と)」の違い〈1〉 日本語

 下記の仲間。
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1737578274&owner_id=5019671

mixi日記2011年08月02日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1757800134&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「きちんと」「ちゃんと」「しっかり」の違い】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63912148&comm_id=398881

 コメントが入らない。コメント「1」が悪かったのだろうか?
 あくまでも「基本的な資料」として入れたつもりだったのだが。「基本的な資料」を踏まえた話し合いを期待したのに……。
 まずコメント「1」を転載する。
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 とりあえず、基本的な資料です。

きちんと/ちゃんと
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/16925/m0u/%E3%81%8D%E3%81%A1%E3%82%93/

しっかり/がっちり/がっしり
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/14425/m0u/%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%82%8A/

「ちゃんと きちんと しっかり」の検索結果。
 類似の質問が多すぎて、何がなんだか……。
http://www.google.co.jp/search?client=safari&rls=ja-jp&q=%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%A8%E3%80%80%E3%81%8D%E3%81%A1%E3%82%93%E3%81%A8%E3%80%80%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%82%8A&ie=UTF-8&oe=UTF-8&redir_esc=&ei=iHspTu_HL4aOmQXZuv3wCw
================================

 昔から話題になっているテーマらしい。こんなテーマに{きちんと/ちゃんと}した答えがあるとは思えないが、少し書いてみる。
 おそらく、「きちんと」と「ちゃんと」はきわめて近い言葉で、「しっかり(と)」は、少し違う。直前に使った例も、「きちんと」「ちゃんと」はOKだけど、「しっかり(と)」は△。
 ただ、この△の理由を説明するのはけっこうむずかしい。少なくとも、当方の文章力では、日本語学習者が理解できる理由を書くことなんてできない。
 仮に日本語学習者に対する回答なら以下の感じになると思う。

「きちんと」と「ちゃんと」はほぼ同じ言葉。「しっかり(と)」もほとんど同じ意味で使えることがある。ただし「しっかり(と)」は「○○」のニュアンスもあり、そちらの意味で使うほうが自然なことが多い。
 さて「○○」に入るのはなんでしょう。
 微妙な話なんでいつにもましてくどーい書き方をする。

 まず「きちんと」と「ちゃんと」の違い。↑のgoo辞書の全文をひく。
================================
きちんと/ちゃんと
[共通する意味]
★整っていて、乱れがないさま。
[英]
neatly
[使い方]
〔きちんと〕(副)スル▽きちんと並ぶ▽帽子をきちんとかぶる▽きちんとした服装
〔ちゃんと〕(副)スル▽ちゃんと座る▽ネクタイをちゃんと締める▽先生の前ではちゃんとしていなさい
[使い分け]
【1】二語とも、ほぼ同意で、同じように使われるが、「きちんと」のほうが、整い、乱れのないさまをいう感じがより強い。「ちゃんと」は、口語。
【2】二語とも、他に、「箱にきちんと(ちゃんと)納まる」のように、物がよく当てはまるさまや、「時間をきちんと(ちゃんと)守る」のように、正確で間違いのないさまの意でも用いられる。また、「ちゃんと」は、「ちゃんとやっておいた」のように、確かであるさまの意でも用いられる。
================================

 こんな感じだと思う。意味も用法もほとんど同じ。微妙な違いを箇条書きする。
1)「ちゃんと」のほうが話し言葉的
2)「きちんと」のほうが整っている感じが強い(あくまでも「感じ」)
「箱に{きちんと/ちゃんと}納まる」なら同義。しかし「箱の中は{きちんと/ちゃんと}整頓されていた」だと、「きちんと」のほうがほんの少し自然だろう。
3)「ちゃんと」は「確かであるさま」の意味で用いられる
 これが微妙でなんとも言えない。「ちゃんとやっておいた」は「きちんと」でもOKじゃないかな。

 個人的には、1)はそのとおりだと思うが、2)3)の違いは無視してもいいと思う。そのかわりもうひとつ加えたい。
4)「ちゃんと」のほうが「しっかり(と)」に近いニュアンスがある(ほんの少しね)

 どういうことか考えるのに、「しっかり」をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%82%8A&stype=0&dtype=0
================================
しっかり【▽確り/×聢り】
[副](スル)

1 物事の基礎や構成が堅固で安定しているさま。
①かたく強いさま。「ロープを―(と)結ぶ」
②確かでゆるがないさま。「土台の―(と)した建物」
2 考えや人柄などが堅実で信用できるさま。「―(と)した意見の持ち主」「論旨の―(と)した論文」
3 気持ちを引き締めて確実にするさま。「―(と)勉強する」「上級生らしく―しなさい」
4 身心が健全であるさま。また、意識がはっきりしているさま。「―(と)した足どり」「高齢でも頭は―している」
5 十分であるさま。たくさん。皮肉をこめていうこともある。「今のうちに―(と)食べておく」「金を―ためこんでいる」
6 相場が上昇傾向にあるさま。
================================

 ちなみに「しっかり」と「しっかりと」はほぼ同じもの。「と」はあってもなくても意味はかわらない。「しっかり者」のように「と」が入りにくいことがたまーにあるけど。ただし、『大辞泉』の例文で「(と)」が抜けているものが2つあるのは意味不明。ほかと同じように「しっかり(と)」でいいだろう。
【日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い】(2009年04月03日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1127505631&owner_id=5019671

 ここまで出た例文で、互換性を考えてみる。「きちんと」と「ちゃんと」は同様なので、「ちゃんと」は省略する。
  1) {きちんと/しっかり(と)}と並ぶ
  2) 帽子を{きちんと/しっかり(と)}とかぶる
  3) {きちんと/しっかり(と)}とした服装
  4) {きちんと/しっかり(と)}座る
  5) ネクタイを{きちんと/しっかり(と)}締める
  6) 先生の前では{きちんと/しっかり(と)}していなさい
  7) ロープを{きちんと/しっかり(と)}結ぶ
  8) 土台の{きちんと/しっかり(と)}した建物
  9) {きちんと/しっかり(と)}した意見の持ち主
  10) 論旨の{きちんと/しっかり(と)}した論文
  11) {きちんと/しっかり(と)}勉強する
  12) 上級生らしく{きちんと/しっかり(と)}しなさい
  13) {きちんと/しっかり(と)}した足どり
  14) 高齢でも頭は{きちんと/しっかり(と)}している
  15) 今のうちに{きちんと/しっかり(と)}食べておく
  16) 金を{きちんと/しっかり(と)}ためこんでいる

 こうして例文を並べて見比べると、微妙な違いが浮かんでくる。
 注目したいのは、まず1)。
「しっかり(と)」は少しヘンだろう。「きちんと」は「整然」のイメージだが、「しっかり(と)」だと「脱落せずに」「忘れずに」くらいのイメージになる。3)6)になると、「しっかり(と)」はかなりヘン。
 次に注目したいのは、7)。
 緩まないようにがっちり結んでいるのはどちらだろう。
 13)~16)は「きちんと」だと少しヘンな感じになる。
 15)に関しては、ヘンではないがニュアンスがかわる。もっとわかりやすい例をあげよう。
  17) 毎日朝ご飯を{きちんと/しっかり(と)}食べる
「きちんと」だと、規則正しく毎朝食べていれば、内容は問わないイメージ。「しっかり(と)」だと、充実した内容を「がっちり(ガッツリ)食べる」。

  18)このシャツは縫製が{きちんと/しっかり(と)}している。
「きちんと」だと縫い目が揃ってきれい。「しっかり(と)」だと「丈夫」。
 これが「縫製」ではなく「生地」だともっとわかりやすい。「きちんとした生地」は意味がわかりにくい。おかしな素材を使っていない安物ではないくらいのイメージだろうか。一方「しっかり(と)した生地」なら「丈夫」。

 以上でうかがえるように、「しっかり(と)」は「きちんと」とほぼ同じ意味のほかに、「がっちり」「丈夫」などの意味がある。ただし、建物の土台などは「きちんと」していれば必然的に「丈夫」なので、違いがわかりにくい。
 
 以下はほぼヨタ話。
 話し言葉的か否かという判断基準で考えると、「きちんと」もかなり話し言葉的。「しっかり(と)」も「きちんと」ほどではないが話し言葉的だろう。オノマトペに近いイメージのある副詞は、どうしても話し言葉的になる気がする。たとえば、「鍵を(  )締める」という場合、「しっかり(と)」よりも「間違いなく」のほうが書き言葉的になる。もしかすると「確実に」のほうがもう少し書き言葉的かもしれないが、微差。「ぬかりなく」ならもっと書き言葉的?
 こういうことを考えていくとMAX敬語のようになるのでパス。そういえば、『ジャポニカロゴス』でこういう訳のわからない副詞の程度の比較をいろいろやってたな(笑)。
  話し言葉的←                     →書き言葉的
  ちゃんと<きちんと<しっかり(と)<間違いなく/確実に<ぬかりなく

「整然」のニュアンスのある「きちんと」と、「丈夫」のニュアンスのある「しっかり(と)」を比べると、「きちんと」が外見で「しっかり(と)」が内面と言えなくもない。
 親が子供を叱る場合、「{きちんと/しっかり(と)}しなさい」ならどちらでも同じかもしれない。
 しかし「もっと{きちんと/しっかり(と)}した服装をしなさい」になるとちょっと違いが出る。「しっかり(と)」はかなりヘン。
「きちんとした人」は、「外見」「礼儀作法」のニュアンスで、「しっかりとした人」のほうが頼れるニュアンス。だから「しっかり者」と言うんだろう。

 最初のほうに書いた〈4)「ちゃんと」のほうが「しっかり」に近いニュアンスがある(ほんの少しね)〉に関する補足。これは直前にあった〈3)「ちゃんと」は「確かであるさま」の意味で用いられる〉と同じこと、と言えなくはない。
 下記の例文で考える。「きちんと」はヘンだけど、「ちゃんと」はおかしくない。
  足腰はまだ{きちんと/ちゃんと/しっかり(と)}している。

 さらにその前に書いた「{きちんと/ちゃんと}した答え」が「しっかり(と)」だと△になる理由……まったく見当がつかないorz。

 ちなみに、きちんと言えば台所だけど、ちゃんと言えば大五郎、石狩地方の中心は札幌です。


「きちんと」「ちゃんと」「しっかり(と)」の違い〈2〉

mixi日記2011年08月05日から

「きちんと」と「ちゃんと」の微妙な違いを説明する方法を考えてみる。
〈1〉でふれたわずかな違いを転載する。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 こんな感じだと思う。意味も用法もほとんど同じ。微妙な違いを箇条書きする。
1)「ちゃんと」のほうが話し言葉的
2)「きちんと」のほうが整っている感じが強い(あくまでも「感じ」)
「箱に{きちんと/ちゃんと}納まる」なら同義。しかし「箱の中は{きちんと/ちゃんと}整頓されていた」だと、「きちんと」のほうがほんの少し自然だろう。
3)「ちゃんと」は「確かであるさま」の意味で用いられる
 これが微妙でなんとも言えない。「ちゃんとやっておいた」は「きちんと」でもOKじゃないかな。

 個人的には、1)はそのとおりだと思うが、2)3)の違いは無視してもいいと思う。そのかわりもうひとつ加えたい。
4)「ちゃんと」のほうが「しっかり(と)」に近いニュアンスがある(ほんの少しね)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 最初のほうに書いた〈4)「ちゃんと」のほうが「しっかり」に近いニュアンスがある(ほんの少しね)〉に関する補足。これは直前にあった〈3)「ちゃんと」は「確かであるさま」の意味で用いられる〉と同じこと、と言えなくはない。
 下記の例文で考える。「きちんと」はヘンだけど、「ちゃんと」はおかしくない。
  足腰はまだ{きちんと/ちゃんと/しっかり(と)}している。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 トピに入った例文で考えてみる(申し訳ないが、表記は当方流に書きかえる)。

A(子供が)「ボク、{ちゃんと/きちんと}できるもん」
「きちんと」ではおかしいらしい。たしかにちょっとヘンな気もするが、「きちんと」が間違いと言えるのだろうか。あえて言うなら、子供が「ちゃんと」と言ったり、子供に対して「ちゃんと」と言ったりすることが多いのは、幼児語の一種って気がする。↑の1)と関係があるのかもしれない。

B「{ちゃんと/きちんと}片づけておきなさい}」
 2)の「整頓」の仲間だろう。

C「3歳だけど、{ちゃんと/きちんと}自転車がこげる」
 この例文は適切なんだろうか。「自転車がこげる」と「自転車に乗れる」はどう違うのだろう? 「自転車に乗れる」に{ちゃんと/きちんと}がつくのが自然か否か当方には判断不能。これが下記くらいなら自然だろう。
C-2「3歳だけど、{ちゃんと/きちんと}お箸が使える」
 これだと{ちゃんと/きちんと}がどう違うのか不明。

D「今晩は{ちゃんと/きちんと}早く帰ってきなさいよ」
 こんなことを言う妻がいたら別れたほうがいい。(←オイ!)
 子供に言うのなら、「ちゃんと」だろう。Aと同様。

E-1(ふざけている学生に)「ちゃんと折りなさい!」
E-2(力を入れる必要のあるところで「しっかり折ってください」
E-3(端を揃えなければいけないところで)「きちんと折りましょう」
 E-1は学生(いままでは子供)を叱ってるんだからしょうがないけど、E-2とE-3の文末の形が違うのはなぜなんだろう。比較するなら、できるだけ同じ形にするべきでは。
 E-1はAと同様。
 E-2。なんでいきなり「しっかり(と)」の話が……。〈1〉で書いた「がっちり」の仲間か?
 E-3。2)の「整頓」の仲間だろう。「ちゃんと」でもOKだと思う。
 E-2とE-3はどちらも「きっちり」にできる気がする。そうなると、「きちんと」と「しっかり(と)」にも共通点があるのだろうか……。


「きちんと」「ちゃんと」「しっかり(と)」の違い〈3〉

mixi日記2011年08月24日から

 すでに自分が思いつくことは書いた気がするが、トピに入ったコメントが理解できずに悩んでいる。

 コメント「7」
>「きちんと」は結果に焦点をあてていますよね。それに対して,
>「しっかり」は動作に焦点をあてていますよね。
「きちんと」と「しっかり」のニュアンスの違いは〈1〉で書いた。この違いなんとなくわかる気がする。「結果」とか「動作」とか言われるとかえってわからないくなる。
 
 コメント「9」
>「ちゃんと」は、動作・行為に対する言葉。
>「きちんと」は、出来上がった状態に対する言葉。
 比較するなら、「ちゃんと」と「きちんと」だろう。この微妙な違いに関しては〈2〉で書いた。
「動作・行為」と「動作」はほぼ同じものだろう。だが、「結果」と「出来上がった状態」がどう違うのかはわからない。
「動作・行為に対する言葉」とは? それは「きちんと」を使いにくいのだろうか。なぜ?
「出来上がった状態に対する言葉」とは? それは「ちゃんと」を使いにくいのだろうか。なぜ?
 コメント「7」の例もそうだが、こういう微妙な話は具体的に例文をあげてもらわないと何がなんだかわからない。

 コメント「10」
>「その木にちゃんと実がなっている」
>と言えますよね。このように動作主・行為者が存在しない自然現象に関しても「ちゃんと」が使えますから、「動作・行為」というと狭く限定しすぎではないでしょうか。
 ウーン。
 話がどんどんむずかしくなっていく。
「動作主・行為者が存在しない自然現象」ってどういうことなんだろう。「実がなる」「風が吹く」「台風が来る」あたりは、「動作主・行為者」は明確なのでは。擬人的な表現の自然現象の場合は「動作主・行為者」は不明確ということになるのだろうか? 「朝になる」あたりだと微妙だけど。
 さらに言うと、補助動詞の「いる」をからめると、たいていの「動作・行為」は「状態」を表わす形にできる気がする。下記くらいのほうが、趣旨が明確になる気がする。これは動作・行為だろう。
 この「ちゃんと」は「きちんと」「しっかり(と)」にできないのだろうか。当方の感覚だとどれも使えるし、大差はない。
  その木にはちゃんと毎年実がなる。

 そうなると下記も成り立つ。「しっかり(と)」はちょっと異和感があるが、ホントに微妙な差にしか思えない。
  【結果?】
  その木には今年も{ちゃんと/きちんと/しっかり(と)}実がなった。
  【状態?】
  その木には今年も{ちゃんと/きちんと/しっかり(と)}実がなっている。

「甲子園」の光と影(←オイ!)

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1737578274&owner_id=5019671

mixi日記2011年08月24日から

 テーマトピは下記。
【日頃おかしいと思う日本語の使われ方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=697073

「981」で興味深いコメントが入った。コメントしたのはマイミクさん。
================================
『○○甲子園』。
高校生同士が戦うというだけで、甲子園と言えば済むと思っている感があって気持ち悪いです。

『甲子園』は、高校生同士の対戦ではなく、兵庫県西宮市にある地名です。
干支がきのえね(甲子)になった、1924年に建設された球場なので、甲子園なわけです。その後、その近辺も甲子園と呼ばれるようになりました。http://nextage-aomori.com/nene005.html

実際に甲子園球場で戦うなら『甲子園』でもいいでしょうけど、他の会場を使うのにあの呼び方は、正直虫唾が走ります。
================================

「○○甲子園」という呼称にどの程度の異和感をもつかは、個人の感性の問題なのでパス。
 そのあとのコメントがホニャララで何がなんだか。
 おまけに読解力のない無礼者まで出てきて、トピに書き込む気持ちが萎える……(下記参照)。
534)【「閉店」「閉園」「閉館」の二義性 日本語】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1756001927&owner_id=5019671
 
 まずトピのコメントを回収する。
================引用開始
「○○甲子園」というネーミングは、「ダンス甲子園」あたりが嚆矢ですかね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E6%89%8D%E3%83%BB%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%97%E3%81%AE%E5%85%83%E6%B0%97%E3%81%8C%E5%87%BA%E3%82%8B%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93!!

 最初は気のきいたネーミングだと思いましたが、類似のものがいろいろあって食傷気味です。「俳句甲子園」あたりには異和感が……。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E7%94%B2%E5%AD%90%E5%9C%92
================引用終了

 以下はほぼヨタ話。以下、ロクに調べずに書き流す。
 よく高校野球の「甲子園大会」などと言うが、そんなものはないらしい。春の大会は「選抜高等学校野球大会」であり、夏の大会は「全国高等学校野球選手権大会」。そりゃそうだろう。古くは西宮球場でも試合をしたはずだから、「甲子園大会」とは呼べない。
 なんで「甲子園」が高校生の大会の代名詞になったのかは謎。
 サッカー選手なら「国立」、ラグビーなら「花園」。バレーやバスケットなら代々木体育館? 柔道なら「講道館」(これは違うな)。もっと汎用性があるのは「インターハイ」だろう。
 トピにも書いたように、「ダンス甲子園」の例が古い。いまは「俳句甲子園」「書道パフォーマンス甲子園」「数学・理科甲子園」など相当数の大会があるようだ。ここまで手垢がついても使い続けるセンスは……。
 で、トピに登場した類語モドキ。

「ダービー」
 用途がきわめて限られる気がする。「ダービーマッチ」はかなりニュアンスが違う。
 メジャーな競馬のダービーのほかだと、ホームランダービーくらいしか思いつかない。なぜなんだろう。

「日本のチベット」
 おいおい。これは死語のうえに差別語だろうな。北海道にはこの呼称にふさわしい場所がいくらでもある。ほぼ全体と言っても過言ではない。(←オイ!)
 昔、長野の山岳地帯出身の人間が「日本のチベットと言われる~」とか自己紹介をするのを聞いて、「内地にもチベットがあるんだ」と感心した記憶がある。

「メッカ」
 そろそろ死語になりそう。「聖地」とでも訳すべきなんだろうな。じゃあ「サンクチュアリ」はどうする、「聖域」の立場はどうなるとか言われても知らない。ただ、「メッカ」と「聖地」ではニュアンスが違う。甲子園は「高校球児の聖地」。でも「高校野球のメッカ」はちょっとヘン。
 昔、原稿に「犯罪のメッカ」という表現が出てきて笑った記憶がある。

「東洋のナポリ」
 これも死語に近いかな。
 もう少し活力があるのは「東洋のガラパゴス」だろうか。本来は小笠原諸島のことだろうが、「奄美大島、西表島、屋久島なども名乗っている」らしい。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CD%CE%A4%CE%A5%AC%A5%E9%A5%D1%A5%B4%A5%B9

「小京都」
 これはいまでも言うと思うが、多すぎるorz。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E4%BA%AC%E9%83%BD
 これが「小江戸」になると少し減る。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B1%9F%E6%88%B8
 このテのもののハシリと言えば「銀座」だろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E5%BA%A7_(%E5%9C%B0%E5%90%8D)

「○○グランプリ」
 これはこの数年の流行り。早く消えてほしい。

突然ですが問題です【日本語編64】──話 話し 隣 隣り【解答?編】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【6】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1737578274&owner_id=5019671

mixi日記2011年08月22日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1765987060&owner_id=5019671

 まず問題を再掲する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1761951348&owner_id=5019671

================================
【問題】
 下記の( )の部分を漢字にしなさい。
  1) (はなし)が合う
  2) (はなし)合う
  3) (となり)の家
  4) (となり)合う
  5) (となり)合わせ
================================

【解答?例】
  1) 話
  2) 話し
  3) 隣
  4) 隣り/隣?
  5) 隣り/隣

 1)~3)は簡単だろう。
 ただ、近年、1)と2)の区別がつかない人が増えている印象がある。「話しが合う」「話しをする」などの書き方を目にする。「はなし」で変換すると「話し」も出てくるからだろう。
 ちょっとヤな予感がするのは、そのうちWeb辞書あたりが「お話する」もアリと言いだすような。現状ではさすがにムチャだけど。
「話(を)する」と「お話しする」だとちょっとまぎらわしいかな。
「世話をする」の「世話」は「名詞」。
「お世話する」の「世話する」は「動詞」(熟語動詞なのかサ変動詞なのか、正確な呼称はよくわからない)。「世話をする」の助詞の「を」を省略すると「世話する」になる。名詞なのか動詞なのかは微妙になる。
 だったら、「話をする」&「お話する」でもさほどおかしくない?

 問題は4)と5)。
 まず4)を辞書でひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%82%E3%81%86&stype=0&dtype=0&dname=0na
================================
となり‐あ・う〔‐あふ〕【隣(り)合う】
[動ワ五(ハ四)]互いに隣となる。「電車で―・って座る」
================================
 
 これを見る限り、「隣り」でも「隣」でもOKということになる。ちなみに『大辞林』のほうは「隣り合う」しか認めていない。まあ、国語辞典に送り仮名のことを聞いちゃダメか。
 手元の用字用語集もMacintoshの「ことえり」も「隣り合う」。あんまり聞かないけど「隣る」という動詞に「合う」がついたのだから、「隣り合う」が素直だろう。
 

 次は5)。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E9%9A%A3%E3%82%8A%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B&stype=0&dtype=0
================================
となり‐あわせ〔‐あはせ〕【隣(り)合(わ)せ】
互いに隣り合っていること。「―に座る」
================================

 これも「隣り」でも「隣」でもOKということになる。ちなみに『大辞林』のほうは「隣り合(わ)せ」にしている。
 これは微妙。「向かい合わせ」と同じように動詞に「合う」がついたのなら「隣り合わせ」。「背中合わせ」のように名詞に「合う」がついたのなら「隣合わせ」。どっちなんだろ。


話 話し 隣 隣り〈2〉
mixi日記2011年08月28日から

 ↑の日記にいただいたコメントを読んで考えこんでしまった。
 まず、いただいたコメントを転載する。
================================
はじめまして。自分も最近気になっていました。

辞書で「り」を省略しているのは文部科学省の「送り仮名の付け方」の通則6の許容に則っているからではないでしょうか。
だから名詞としての「隣」ではなく、飽くまで動詞の「隣る」の連用形だと思います。

文部科学省の送り仮名の付け方
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19730618001/k19730618001.html

> 通則6
> 本則 複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は,その複合の語を書き表す漢字の,それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。
> (省略)
> 許容 読み間違えるおそれのない場合は,次の( )の中に示すように,送り仮名を省くことができる。
> 〔例〕 書き抜く(書抜く) 申し込む(申込む) 打ち合わせる(打ち合せる・打合せる) 向かい合わせる(向い合せる) 聞き苦しい(聞苦しい) 待ち遠しい(待遠しい)

「となり」や「はなし」が紛らわしいのは、(告示の通則4の例外にも定めてありますが)動名詞の送り仮名を省略して書かれることが一般的になってしまったことや、連用形の活用を省略できるといった例外がたくさんあるからかなー(私見)。

それと「おはなしする」は「名詞+する」の表現形だと思われます。
「ランチする」「お茶する」「おトイレする」などです。
つまりこの「はなし」も名詞で、「お話する」と表記するほうが好ましいかな。
================================

 以下、いただいたコメントを細かく見ていく。細かく見ると、インネンにような記述が出てくるのはご容赦いただきたい。

>辞書で「り」を省略しているのは文部科学省の「送り仮名の付け方」の通則6の許容に則っているからではないでしょうか。
 そうか。そう言えばそういうものがあった。失念していました。
 ただ、辞書がどの程度「送り仮名の付け方」に従っているのかは、なんとも言えないと思う。
 この告示が出たのは、昭和48年(1973)。たいていの辞書はそより長い歴史をもっているんじゃないだろうか。じゃあ辞書類が何を基準にしているかと言うと、なんとも言えない。独自の基準なんだろう。
 個人的には、mixiのコメントなんかだとWeb辞書をベースにして書くことにしている(引用がラクだから)。もう少し正確に言うと、送り仮名は漢字変換ツールまかせで、漢字の使い分けは蓄積された豊富な知識まかせ。だからメチャクチャ(←やかましいわ!)
 通常の仕事モードだと、送り仮名や漢字の使い分けに関して辞書は信用していない。辞書によってブレが大きすぎて、何を信用していいのかわからない。 もっぱら頼りにするのは『朝日新聞の用語の手引き』。ただし、送り仮名に関してはわからないことが多い。
 ちょっと送り仮名のページを確認してみた。朝日新聞は「送り仮名の付け方」の本則に準拠し、「許容」をとっていない。まあそうだろう。「正誤」を重視する辞書と違い、新聞は誰にでもわかりやすい「基準」であることを重視している。
 今回の問題に関する『朝日新聞の用語の手引き』の記述。

  1) (はなし)が合う→話が合う
  2) (はなし)合う →話し合う
  3) (となり)の家 →隣の家
  4) (となり)合う →隣り合う
  5) (となり)合わせ→隣り合わせ

 こんなとこだろうな。名詞の「隣」を「合わせる」なんて屁理屈は認めていない(泣)。
「おはなしする」に関しては記述が見つからないが、フツーに考えれば「お話しする」だろうな。

>「となり」や「はなし」が紛らわしいのは、(告示の通則4の例外にも定めてありますが)動名詞の送り仮名を省略して書かれることが一般的になってしまったことや、連用形の活用を省略できるといった例外がたくさんあるからかなー(私見)
 まず瑣末な用語の問題。日本語の文法用語に「動名詞」ってあるのだろうか。Wikipediaを見ると「言語学における準動詞の一種で、印欧語で動詞が名詞としての機能を持って使われるようになること」とある。当方の感覚も同様。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E5%90%8D%E8%A9%9E

 ↑の通則4に出てくる「活用のある語から転じた名詞」くらいの言い方が無難だろう。
 通則4は以下のものをあげている。
================================
例外 次の語は,送り仮名を付けない。
謡 虞 趣 氷 印  頂 帯 畳
卸 煙 恋 志 次 隣 富 恥 話 光 舞
折 係 掛(かかり) 組 肥 並(なみ) 巻 割
================================

 これはさほどむずかしくないだろう。「活用のある語から転じた名詞」なのか、元々名詞なのかは考えたくない。
 このほかの例外として知られるのが伝統工芸品。「織」「染」「塗」「焼」「彫」などは送り仮名をつけない。ただまぎらわしいのは工法には送り仮名をつけることが多いこと。その結果、「素焼きの益子焼」「木彫りの鎌倉彫」のようなことが起きる(こんな例文はありえないけど)。
 さらにメンドーなのは【許容】の部分。
================================
許容 読み間違えるおそれのない場合は,次の( )の中に示すように,送り仮名を省くことができる。
〔例〕 曇り(曇) 届け(届) 願い(願) 晴れ(晴)
当たり(当り) 代わり(代り) 向かい(向い)
狩り(狩) 答え(答) 問い(問) 祭り(祭) 群れ(群)
憩い(憩)
================================

「読み間違えるおそれのない場合」なんて、何を基準にするのだろう。個人の主観に頼る気か? これを認めはじめるとキリがなく、収拾がつかなくなる。
 たいていの複合語は片っ端から送り仮名が不要になる。昔かかわった雑誌でそういうルールを採用していた。
  打ち合わせる/打合わせ/打合せ日
 みたいな法則で、校正の責任者以外誰も正確なことを理解していなかったorz。新聞が「許容」を認めないのは正しい態度だろう。
 以上を踏まえてもう一度問題を見る。許容を認めるなら、以下のようになる(はず)。

  1) (はなし)が合う→話が合う
  2) (はなし)合う →話(し)合う
  3) (となり)の家 →隣の家
  4) (となり)合う →隣(り)合う
  5) (となり)合わせ→隣(り)合(わ)せ

 いただいたコメントの最後のほうにあった以下の記述には疑問がある。
================================
それと「おはなしする」は「名詞+する」の表現形だと思われます。
「ランチする」「お茶する」「おトイレする」などです。
つまりこの「はなし」も名詞で、「お話する」と表記するほうが好ましいかな。
================================

「おはなしする」を「名詞+する」と考えるのはちょっと無理だろう。
 当方も〈だったら、「話をする」&「お話する」でもさほどおかしくない?〉とは書いたが、それは「お話をする」の「を」を省略したという解釈。これだって現段階では通用しないと思う。フツーの校正者なら、「お話しする」に修正する。
「名詞+する」の話を始めると長くなるけど、基本的に許されるのは下記の2つだと思う。

  1)熟語動詞(仮)として辞書に認められているもの
  「許容する」「通用する」……etc.。なかには「参考する」なんてのもある。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-869.html
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1854.html
「話」は熟語動詞(仮)ではないから、「話する」「お話する」はヘン。
 あれ? 熟語動詞(仮)は「お(ご)~する」にはなりにくいのか?
「ご許容する」「ご通用する」は×だろう。使えそうなのは「お返事する」くらい?

  2)外来語(おそらく名詞と動詞の両方の品詞があるもの)に「する」がつくもの
  「インサートする」「コメントする」「スタートする」「プレイする」……etc.。
  「ハッスルする」は死語。
  「スポーツする」「ランチする」は厳密には微妙な用法だと思う。たぶん原語に動詞の働きがないからでは。「スポーツをする」は○で、「ランチをする」が×の理由は不明。

 ただ、このあたりは微妙な例が多い。「お茶する」あたりはまだ俗用って気がするが、「誤用」と断じる自信はない。


【20111014追記】
 妙な例を思いついてしまった。
 子供が母親にねだる。
「ねぇ、なんかおはなしして……」
 これはたぶん「お話をして」の「を」が落ちた形だろう。そう考えるなら「お話して」になる。
 女性が恋人にねだる。
「ねぇ、なんかはなしして……」
 これも同様だろう。
 これを逆に考える。
「ねぇ、なんか話して……」の「話」は「はなし」か「はな」か?


【20140624追記】
 おもしろい例を教えてもらった。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11130918576
(ろくろく)【  】もせずに帰って行った
 空欄には「話」も「話し」も入りそう。
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