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第1401回「あなたのよく訪れる場所は?」──わざわざ地方まで行くことはないので。

 やはり両国場所ですね。
 白鵬、優勝おめでとう。
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「孤高」だったんですねorz──マエアツも出世したもんだ

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年03月27日から

 ネットニュースの言葉づかいを気にしてはいけない……と、常日頃から(三重言?)自分に言い聞かせている。
 ただ、これは日刊スポーツなんだから訳のわからんコラムとは違うよな。
「孤高」ってさぁ。いったいどういう意味で使ってるんだ?

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%AD%A4%E9%AB%98&stype=0&dtype=0
================================引用開始
こ‐こう〔‐カウ〕【孤高】
[名・形動]俗世間から離れて、ひとり自分の志を守ること。また、そのさま。「―を持(じ)する」「―な(の)人」
================================引用終了

■Web辞書『大辞林』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%AD%A4%E9%AB%98&stype=0&dtype=0&dname=0ss
================================引用開始
ここう[―かう] 0 【孤高】
ただひとり、他とかけ離れて高い境地にいること。
  ―の精神
  ―を持する
================================引用終了

 当方の語感では「俗世間から離れて」に近いニュアンスが強い。
 メジャーリーガーのイチローは「孤高の境地」だと思う。この境地の先輩は王貞治かな。「求道者」なんて言い方もある(なぜMacintoshは「ぐどう」で変換できん)。

>後輩にとって、遠い存在の孤高のセンター
 うーん。読点の問題は別にして、アリなのかなぁ。もうわかんない。「孤独」ならアリだと思うけど。いえその、AKBの人間関係は別にして……。
  
 へー。『孤高の人』ってマンガ化されてたんだ。知らなかった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A4%E9%AB%98%E3%81%AE%E4%BA%BA


【ネタ元】日刊スポーツ
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20120327-923793.html
================================引用開始
あっちゃん、「孤高」からも卒業記事を印刷する日記を書く

 【香港26日=瀬津真也】25日のさいたまスーパーアリーナ公演で、akb48卒業を表明した前田敦子(20)は、香港に飛び2 件、外務省主催のジャパンポップカルチャーの祭典「元気な日本展」のAKB48ライブ&トークショーに出演した。増田有華(20)仲川遥香(20)の高校の元同級生メンバーとの遠征を「卒業旅行」と呼んで、一夜明けた解放的な心境を明かした。

 前田は、どこまでも笑顔だった。重大発表を終え、肩の荷が下りたのか。3日間のコンサート翌朝からの渡航にもかかわらず、疲れた表情は一切なし。柔和な笑顔で、歌い、しゃべった。終演後の取材では、衝撃の卒業表明から一夜明けたこの日の遠征について、「卒業旅行だよね」と言い、隣の仲川を見やると、照れ笑いした。

 仲川には「これからは(卒業日まで)思い出づくりだもんね」と声を掛けられた。前田への熱い思いを公式ブログにつづった増田からは「卒業は離れるイメージだけど、大好きな友達だから、ずっと一緒」と、肩を抱かれた。

 前田 メールをくれたメンバーもいっぱいいて、皆が「もっと思い出作ろうね」って言ってくれた。後輩たちは、「今からでもメアドを教えてください」って話し掛けてくれたんです。それがすっごいうれしかった。

 これまで後輩にとって、遠い存在の孤高のセンターだった。重圧を感じている姿も、遠巻きに見つめられていた。前夜のステージで号泣しながら、すべてをさらけ出した瞬間、垣根が取り払われたのだろうか。その温かい交流が、前田には何よりうれしかった。増田にも「あらためて敦子は皆に愛されてると、よく分かりました。仲間として、本当にうれしい夜でした」と自分のことのように喜ばれた。

 香港入り前夜も、仲川、篠田麻里子(26)高橋みなみ(20)峯岸みなみ(19)板野友美(20)と、ささやかな打ち上げを行った。長く長く胸にしまい続けていた一大決心の卒業宣言は、前田にとって、仲間との絆を再確認させる節目にもなった。

 今回の遠征の同行メンバーの仲川と増田は、くしくも高校の元同級生という仲良しメンバーだった。「これから、海鮮ものを食べてきま~す」。あくまでもAKB48活動での出張だが、リラックスできる環境だけに、心のバカンスも兼ねられそうだ。

 [2012年3月27日7時1分 紙面から]
================================引用終了

あっちゃん、「孤高」からも卒業
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1965380&media_id=8

「ご弔電をご拝読させていただきます」

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mixi日記2012年03月26日から

 ちょっとメモ。
 本日、告別式に参列した。
 司会の女性が「ご弔電をご拝読させていただきます」と言った。
「ご拝読」ってアリなんだろうか。不安を感じはじめている。
突然ですが問題です【日本語編91】──拝見いたす 拝見いたします 拝見させていただく 拝見させていただきます【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2275.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1813631885&owner_id=5019671

読書感想文『裏声で歌へ君が代』(丸谷才一/新潮文庫/平成2年7月25日発行)

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mixi日記2012年03月25日から

 平成2年発行ってことは1990年か。なんでこんな本をもっていて、なんでこの時期に読みはじめたのか書きだすと長くなるのでパス。こういう名人のレベルの文章にナンクセをつけるほどの度胸はなく、主として語彙を増やすためにメモしている。

【引用部】 
 秋も終りに近い日の午後五時だから外はもう宵闇(よいやみ)だから地下鉄の駅のなかは螢光燈(けいこうとう)の白い光で扁平に染められてゐて、どこにも影はない。(P.5)
 書き出しの一文にビックリする。何にビックリしたかと言うと「ゐて」。旧かなを使っている……ではなく、「いて」と書いても事情はかわらない。古い世代の物書きは、こういうときには「おり」と書くのだとばかり思っていた。

【引用部】
目まぜした(P.25)
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E7%B9%A7%E2%88%9A%E2%88%AA%E7%B8%BA%EF%BF%BD&stype=0&dtype=0
================================引用開始
め‐まぜ【目交ぜ/▽瞬】
[名](スル)
1 目で合図をすること。目くばせ。
  「無言で―して帰り仕度をはじめ」〈太宰・新釈諸国噺〉
2 まばたきすること。
  「―せはしくたちすくみ」〈浮・男色大鑑・三〉
================================引用終了
 当方の語彙だと「目配せ」はあっても「目まぜ」はない。

【引用部】
高度成長経済のせいで(P.85)
高度成長経済がはじまり(P.107)
高度成長経済はうまくゆきましたね(P.495)
高度成長経済ではさういふ存在を認めた(P.495)
 たぶんあえて「確信犯的」に(重言?)使っている。
 当方の語感だと「高度経済成長」。もちろんどちらも間違いではないだろう。意味が微妙に違う気もするが、正確なところはわからない。
“高度成長経済”のGoogle検索結果 約 120,000 件
“高度経済成長”のGoogle検索結果 約 2,950,000 件
 ヒット数はかなり差がある。しかも前者にはあやしいものがゴロゴロ。

【引用部】
これは一つには、騒ぎをまったく傍観してゐた父が珍しく口を出して、いちおう大田黒の意見を聞いてみるのもよかろうと賛成したからである。(P.133)
「一つには」があって、「もう一つ」はない。これは同じ著者の評論の類いでも目にした。別に間違いではないけど……。

【引用部】
鶴見祐輔の文章を違って口調も悪いのに。(P.166)
 うーん。鶴見祐輔ってそんなに名文家だったろうか。

【引用部】
常日ごろ(P.176)
 丸谷才一が「地の文」で使うんだから、「常日頃は重言」なんて言っちゃダメなんだろうな。

【引用部】
肩書のほうは細い万年筆で見せ消ちになってゐる(P.232)
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E8%A6%8B%E3%81%9B%E6%B6%88%E3%81%A1&stype=0&dtype=0
================================引用開始
みせ‐けち【見せ▽消ち】
《「けち」は動詞「け(消)つ」の連用形から》誤写・誤記の文字の訂正のしかたの一。写本などで、もとの文字が読めるように、傍点をつけたり、その字の上に細い線を引いたりするなどして、誤りであることを示す。
================================引用終了
 ひとつ勉強になった。

【引用部】
 これを聞いて梨田が、
「うーむ」
 と唸ったきり絶句したのは、一つにはペルリと明治維新と神武天皇といふ取合せに意表を衝(つ)かれたせいもあるが、それだけではなく、むしろ、この台湾人が明治維新に対していだいてゐる尊敬の念、日本が近代国家を作りあげたことへの羨望(せんぼう)の思ひがをかしな議論のせいでよくわかって、ひどく感銘を受けたためであったろう。(P.236)
 一文が長い、とインネンをつけてもムダだな。多少長くても、わかりにくくも読みにくくもない。ただ、だから長い一文もOK、と考えるのはきわめて危険。
「一つには」を「それだけではなく」で受けている。これはこれでアリなんだろうな。ただ、「一つには」の必要性は感じない。

【引用部】
仕方話(P.329)
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BB%95%E6%96%B9%E8%A9%B1&stype=0&dtype=0
================================引用開始
しかた‐ばなし【仕方話/仕方×噺】
身ぶり・手ぶりをまじえてする話。また、それを取り入れた落語。
================================引用終了
 ひとつ勉強になった。

【引用部】
理非曲直(P.332)
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E7%90%86%E9%9D%9E%E6%9B%B2%E7%9B%B4&stype=0&dtype=0
================================引用開始
りひ‐きょくちょく【理非曲直】
道理に合っていることと合っていないこと。不正なことと正しいこと。「―を正す」
================================引用終了
 これはさすがに記憶にはあるけど、自分で使ったことはない。

【引用部】
 それをぎごちなく笑ってから、女は急にすらすらと語りだした。(P.354)
 この時代になっても、ちゃんと「ぎごちなく」を使う人は使う(笑)。

【引用部】
揣摩憶測(P.361)
 Macintoshの「ことえり」は一発変換した。なんか負けた気分。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E6%8F%A3%E6%91%A9%E6%86%B6%E6%B8%AC&stype=0&dtype=0
================================引用開始
しま‐おくそく【×揣摩憶測/×揣摩臆測】
[名](スル)自分だけの判断で物事の状態や他人の心中などを推量すること。当て推量。
  「恐らくは―に過ぎないであろう」〈谷崎・春琴抄〉
================================引用終了

【引用部】
しかし陸軍二等兵としての彼は、もう、敵を殺すことを(そして自分が敵として殺されることを)肯定してゐなかったのに、軍隊は彼にさうすることを命じてゐたし、その命令はもとをたどれば国家から下されてゐて、それに背くことは許されない。(P.378~379)
 冒頭と同じ「ゐて」の形。ほかにもあったか否かまったく自信がない。ただこの形は「いたので」などにすれば(多少ニュアンスはかわるが)避けることができるので、使わなくても問題はない。

【引用部】
学会に出たり、家族そろつて食事するのは日曜だけだったり。(P.438)
 相当崩した形にしても、「片たり」にしないのはサスガ。(←誰に向かって!)

【引用部】
排気ガス(P.473)
 これも厳密に言えば重言らしいが、「排ガス」はみっともないので個人的には「排気ガス」を使う気がする。

【引用部】
やはりお話しなくちゃ(P.540)
 これもあえてやっているのだろう。一般的なルールだと「お話ししなくちゃ」だと思う。格調高い(「古くさい」とも言える)文章を書く人ほど送り仮名が少ない傾向がある気がする。送り仮名が多いと「文章にしまりがなくなる」って意見を読んだことがある。共感を覚えなくはない。

【引用部】
日本人らしい少女がゐて、所在なげに画集を見てゐた。(P.571)
 3回目(?)の「ゐて」。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%96%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84&stype=0&dtype=0
================================引用開始
しょざい‐な・い【所在無い】
[形][文]しょざいな・し[ク]することがなくて退屈だ。手持ちぶさただ。「―・く週刊誌をめくる」
[派生] しょざいなげ[形動]しょざいなさ[名]
================================引用終了
 さすがにこれは知っている(笑)。自分で使ったことはあるかなぁ。
 素朴な疑問なんだけど、辞書にあるような「所在なく~」なんて使い方もあるのだろうか。記憶では「所在なげ」しかない。
 あれ? 漢字で書くと「所在無い」なの? だとしたら「所在なさげ」じゃないの。
 Googleの検索結果。
“所在なく” 約 60,000 件
“所在なさげ” 約 359,000 件
“所在なげ” 約 88,900 件

【句読点の打ち方/句読点の付け方──実例編2】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年03月23日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1832165379&owner_id=5019671

【句読点に関する記述】
1)【板外編2──句読点の打ち方(読点と使い方の2つの原則と6つの目安)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-145.html
2)【第2章 4 句読点の打ち方】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
3)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび 毒抜き編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1253.html
4)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1254.html
5)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1255.html
6)句読点の打ち方/句読点の付け方──実例編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1522.html


 ずいぶん前に『心中小説名作選』という文庫本を読みはじめた。昭和55年に集英社文庫から発刊されたアンソロジーで選者は藤本義一。なんでこんな本をもっていて、なんでこの時期に読みはじめたのか書きだすと長くなるのでパス。

【引用部】『道化の華』(太宰治)
気の毒で見れなかった。(P.14)
 古い文学作品に「ラ抜き言葉」が出てくるという噂は聞いていた。よく言われるのは『雪国』だったかな。ただそれは、セリフの中だったと思う。この『道化の華』の使用例は「地の文」。しかもこここだけではない。東北も「ラ抜き言葉」を使うところ多いらしいから、太宰もそうだったのだろうか。なんらかのルールで使い分けているなら、それはそれですごい話だけど。

【引用部】『道化の華』(太宰治)
飛騨もまた葉蔵の顔を見れなかった。(P.17)
君は、ものを主観的にしか考えれないから駄目だな。(P.21)
 後者はセリフだからアリだろう。

【引用部】『道化の華』(太宰治)
 四方の板張りの壁には、白いペンキが塗られ、東側の壁には、院長の銅貨大の勲章を胸に三つ附けた肖像画が高く掛けられて、十脚ほどの細長いテエブルがそのしたにひっそり並んでいた。(P.20)
 文学作品なんだから、一文が長いとか読点が多いとか言う気はない。でも本多勝一が見たら怒りそう。「院長の」は「肖像画」の直前にするべきで、そうしない理由は考えられない。

【引用部】『道化の華』(太宰治)
僕は景色を書くのがいやなのだ。(P.22)
 昔、評論か何かに、太宰の作品には風景描写が少ない、みたいなことが書いてあった。「そうなのか」と思った記憶がある。ここまで端的に認めているとは(笑)。もちろん、これは作中の一人称の言葉でしかないが、かなり私小説の雰囲気が強い作品だからなぁ。

【引用部】『銀心中』(田宮虎彦)
長身な珠太郎の骨細な姿がみえたような気がした(P.69)
 昭和27年発表の作品。きっと当時は「長身」が形容動詞としても使われたのだろう。

【引用部】『銀心中』(田宮虎彦)
 珠太郎は、喜一には東北の言葉で話したが佐喜枝には標準語ではなそうとするので、訛りがぎごちなく言葉にかげおちた。(P.73)
 この時代だと「ぎごちなく」になっている。「かげおちる」が古語なのか死語なのかはわからない。感じはわかるからいいか。

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
飛瀑の周囲が元来の神域であったことは『熊野記』にもみえているから、滝を訪れる観光客が、古い石段を下りて、杉木立の滝壺近くに下り立つ時は、何ともいえぬ神々しい雰囲気に誘われて当然といえる。(P.137)
昭和38~39年に発表された連作。
 水上勉って、読みやすい文章を書く印象があったが、ここはちょっとひっかかった。少し読点を減らすべきだろう。この程度のことに噛み付くのはインネンかな。

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
東へ約一キロばかり入ったところを(P.148)
 重言です。

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
貞太郎の家は、祖母がひとりいるきりの、貧しい家で、その祖母も終戦の前年に死に、留守の家を文子が守ってきた。したがって、焼け野に化した大阪へ出るのもつい億劫(おっくう)になった貞太郎は、郷野に住みつく決心をして、祖母が守(も)りしてきたいくばくかの田畑をつくり、近くの石灰小屋へ働きに出たりして新生活をはじめたその年の初秋、貞太郎は喀血して倒れた。(P.220~221)
 やはり読点が多いのが気になる。2番目の文の「したがって、」は必要なんだろうか。さらに「貞太郎」が2度出てきて、破綻寸前?

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
 和江が、郷野の村から、自転車で二十五分かかって虎姫の町に出て、汽車にのり、十分かかって、長浜駅で下車して、四ツ塚という、長浜市の南郊外の平野の中にできた新しい工場へつとめるようになったのは、まだ、その工場に寄宿舎がなかったからである。(P.226~227)
 一文に読点9個はいくらなんでも……。

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
死体の発見されたのは那智滝の滝壺を取りまいている、灰色の岩石の中の前方にひときわ高くつき出た、巨岩の穴のようなところであった。(P.258)
 これも本多勝一にしかられそうな読点の使い方だな。修飾語と被修飾語を隔てる読点の2連発(重言?)は珍しいかも。

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
ひくい砂丘に、やせた古松が、枝をゆがめてばらばらに生えている約百メートルばかりの海岸に、朽ちかけた舟小舎と、トタンぶきや、藁ぶきの、粗末な屋根をもった入母屋(いりもや)づくりの、かたむいた家々が点在している、貧村に過ぎない。(P.261)
 一文に8読点。「約百メートルばかり」はやはり重言だな。

【引用部】『那智滝情死考』(水上勉)
前述の岩をほりぬいたトンネルができたり、岩石を迂回して海にさしわたした架橋のような道ができたのは後年になってからである。(P.261)
 この時代にも「片たり」はあったのね。困ったことに、ほとんど異和感がない。

【引用部】『那覇心中』(梶山季之)
 あまり大きな店は少いが、数は多く、四百軒は越えているものと思われた。(P.361)
 昭和49年発表作品。
 なんでヘンなのかはうまく説明できない。
「大きな店は少(な)いが」ならフツーだろう。「あまり大きな店はないが」もOK。

【引用部】『那覇心中』(梶山季之)
 新聞社の当間部長に会い、社会部を通じて山口敬三が、果物ナイフで刺したと言う、恩師の名前を調べて貰った。(P.399)
 この読点もなかなか。

【引用部】『那覇心中』(梶山季之)
 倉地は、なんとなく憮然とした表情になって、グイ、グイと手酌で、泡盛を口に運びはじめていた──。(P.403~404)
 この「憮然」は正用か誤用か。「グイ、グイと運びはじめていた」ってどういうこと、なんてのはインネンかな。
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