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将棋23/名人戦前夕

 下記の仲間。
【将棋(と囲碁)の話 お品書き】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1986.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1385699944&owner_id=5019671

mixi日記2012年04月09日から

 夕方の4時ちょっと前。
 江戸川橋の駅で家人を待っていた。
 前方からどこかで見たことのある人が歩いてくる。
 このホニャララな風貌は……失礼なことに凝視してしばらく考えてしまった。
 渡辺明竜王だった。妙に今風のスーツの着こなしをしていた。まあ、尋常でない風格を漂わせていても、まだ20代の若者だもんな。
 目的地はひとつしか考えられない。椿山荘で行なわれる第70期名人戦だろう。あれ?
 それは明日じゃなかったかな。
 家人と落ち合って桜の散歩コースを行く。必然的に椿山荘の裏門の前を通る。
 ちゃんと森内俊之名人が羽生善治二冠を迎え撃つ第70期名人戦のポスターが張られていた。
 わざわざ下見に来たのだろうか? ああそうか。前日のセレモニーがあるんだ。

 こういう書き方は失礼であることは承知で、第1局、第2局は森内俊之名人に頑張ってもらいたい。羽生善治二冠が連勝したりすると……。
「将棋22」http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2331.htmlで書いたけれど、とにかくこのところの勢いに差がありすぎて……。 

 あれ?
 記者の金沢盛栄って、囲碁のトップアマだった人だよな……。

【ネタ元】毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120409-00000077-mai-soci
================================引用開始
<将棋>節目の名人戦10日から 森内、羽生が激突
毎日新聞 4月9日(月)21時12分配信

(拡大写真)
第70期名人戦七番勝負第1局の前夜祭でフラガールと記念写真に納まる森内俊之名人(左から2人目)と挑戦者の羽生善治王位(同3人目)=東京都文京区の椿山荘で2012年4月9日午後7時26分、小出洋平撮影

 将棋名人誕生400年、実力制となって70期の節目を迎えた名人戦。森内俊之名人(41)と挑戦者・羽生善治王位(41)の、永世名人資格者同士の対決は、東京都文京区の椿山荘で10日から始まる。

 9日夕、同荘での前夜祭には、450人が出席。朝比奈豊毎日新聞社社長が「名人戦は将棋界の基軸です」とあいさつ。また、平野博文文部科学相は「日本が元気になるよう、2人の頑張りを期待したい」とエールを送った。

 存命の歴代名人8人がそろい踏み。米長邦雄日本将棋連盟会長は「(初代名人に扶持=ふち=を与えた)徳川家康公のご恩に報いたい」と、家康への「将棋十段」推戴状を、徳川宗家十八代の長男、徳川家広さんに贈呈。中原誠十六世名人は「節目をお祝い申し上げます」と乾杯の音頭をとった。

 羽生王位は「多くの人の支えの結果、今日がある。明日からは懸命にやりたい」、森内名人は「最高の棋戦の舞台をかみしめながら、全力を尽くしたい」と抱負を述べた。

 また、5月に第3局が予定されている福島県いわき市から、フラガールが駆けつけ踊りを披露し、両対局者へ花束を手渡した。【山村英樹、金沢盛栄】

    ◇

 名人戦開催にあたり、名人400年記念「切手シートブック」を、各対局会場などで販売します。定価3500円。
================================引用終了
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1980916&media_id=2
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突然ですが問題です【日本語編112】──耳障り 耳触り 耳ざわりがいい

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年04月09日から

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1836555764&owner_id=5019671

【問題】
【問1】
「耳ざわりがいい」という言葉の解釈について、下記の〈参考サイト〉をあまり参考にしないで、1)~3)のなかから適切なものを選びなさい。
  1) 単なる誤用
  2) 誤用ではない
  3) その他

【問2】
「耳ざわりがいい」の言いかえの言葉をあげなさい。

〈参考サイト〉 
【間違い探ししてみます──人を呪わば穴二つ?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2328.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824969591&owner_id=5019671

【○HKのFMラジオ番組を聴いていたところ、女性DJが「みみざわりのよい音楽をよく聴きます」と言った】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1485225824



【解答?例】
【問1】
 微妙ですが、3)で、「誤用とは言えない」ではないかと。
【問2】
「いい」を「よい」にしてもよい。
耳触りがいい
耳当たりがいい
耳通りがいい

「聞こえがいい」「響きがいい」だと意味がかわり、「デブ」を「ポッチャリしている」と言いかえることなんかを指すような。

【よくわからない解説】
 完全に迷路です。
 下記をご参照ください。
761)【最近知ったこと4 耳障り 耳触り 耳ざわりがいい】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1840904136&owner_id=5019671


 懺悔の記録かもしれない(泣)。
 以前「耳ざわり」について下記のように書いた。
【間違い探ししてみます──人を呪わば穴二つ?】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824969591&owner_id=5019671
================================引用開始
>×耳ざわりのいい
>○耳に心地いい
 一般には「耳当たりがいい」だと思う(個人的には使わないけど)。「心地いい」を使うなら「耳」はいらないでしょ。
「目に心地いい色合い」
「鼻に心地いい香り」
 相当ヘンだと思う。
================================引用終了

 話はそれほど簡単ではないみたい。疑問を感じたのは下記のやり取りを目にしたとき。
【○HKのFMラジオ番組を聴いていたところ、女性DJが「みみざわりのよい音楽をよく聴きます」と言った】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1485225824
 注目したのはBA(ベストアンサー)ではない。2つ目にある回答。なぜこちらがBAにならないんだろう。ホントに理不尽だと思う。
 文化庁の『言葉に関する問答集 総集編』は、「耳触り」と書くならアリにしているらしい。
 そんなぁ。
 念のためWeb辞書をひく。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BF%E3%81%BF%E3%81%96%E3%82%8F%E3%82%8A&stype=0&dtype=0
================================引用開始
みみ‐ざわり〔‐ざはり〕【耳触り】
聞いたときの感じ・印象。「―のよい音楽」
================================引用終了
 
■Web辞書『大辞林』から
================================引用開始
みみざわり[―ざはり] 3 【耳触り】
聞いた時の感じ。
  ―がよい
================================引用終了

 終了でーす(泣)。いつからこんなことになったのだろう。
 ちなみに、『問題な日本語』には「耳ざわり」の項目があり、結論は以下のようになっている。
================================引用開始
「耳ざわりがいい」は、現時点ではまだ誤用だと判断されます。
================================引用終了

 これにはちょっと事情があると思う。P.152には以下のようにある。
================================引用開始
実は国語辞典類においても立場はさまざまで、『明鏡国語辞典』では「耳ざわりがよい」は誤用と明記していますが、「耳障り」(こちらは当然どの辞典にもあり)と「耳触り」の両方を立てて「耳触り」を「俗語」と断るものもあり、特別の注記もなく「耳触り」を容認しているものも見かけます。正誤の判断がゆれている語の一つということになるでしょう。
================================引用終了
 辞書の見解が分かれていても、会社の金看板?に逆らうことはできないもんな。
 ネット検索してさらにトンデモナいものを見つけた。イモヅル式にバックナンバーをたどるとエラいことになる(詳細は↓参照)。とにもかくにも、「誤用」とは言えない、ということになるのだろう。
 この毛糸の帽子は耳触りがいい、なら許容してもいい。しかし、「耳触りのよい音楽」はありえない。これを耳で聞いたとき、誤用か正用か判断できる人がいるのだろうか(こんな例ってほかにあるのだろうか)。こんなに「耳触り」が悪くて「耳障り」な表現も滅多にない。
 そのうち「目触り」のいいコンタクトレンズが開発されるのだろうか。

【◆ことばの話3639「耳通りが良い」】
http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/back/3601-3700/3636.html
================================引用開始
◆ことばの話3639「耳通りが良い」

『ウェブはバカと暇人のもの~現場からのネット敗北宣言』(中川淳一郎、光文社新書:2009、4、20)を読んでいたら、
「『日本企業の特徴』について語るときに年功序列・終身雇用は耳通りが良いのでよく使われるだけ」
という一文が出てきました。この中で使われている、
「耳通りが良い」
は、初めて「耳」にしました。よく、
「耳触りが良い」「耳あたりが良い」
などと使われる言葉と、ほぼ同じ意味でしょうね。「耳ざわりが良い」は、「間違った使いかただ」と随分、叩かれますが、この「耳通りがよい」だと、なんだかスッキリ聞こえる気がしますね。Google検索だと(6月16日)
「耳通りが良い」 = 123件
「耳通りがよい」 =   9件
「耳触りが良い」 = 945件
「耳触りがよい」 = 638件
「耳ざわりが良い」=1300件
「耳ざわりがよい」= 324件
「耳当たりが良い」=1010件
「耳当たりがよい」= 364件
「耳あたりが良い」=1080件
「耳あたりがよい」= 393件
で、「耳通りが良い(よい)」は件数が少なく、新しく作られた言葉だと思われます。
一番多いのは「耳ざわりが良い」、ついで「耳あたりが良い」、そして「耳当たりが良い」。ここまでが1000件以上。いずれも決して多いとは言えない件数ですね。
(「耳ざわり」に関しては、「平成ことば事情176」「185」「258」で書きました。)
・・・と、ここまで書いて、既に「平成ことば事情258耳ざわり3」の「追記10」に「耳通りが良い」を書いたことに気付きましたが・・・ま、いいか!項目立てておいた方が。
2009/6/16
(追記)

似たような意味の別の表現としては、
「耳心地の良さ」(『週刊文春』2001年6月28日号・近田春夫のコラム)
「聞こえのいいこと」(伊坂幸太郎『魔王』講談社文庫:2008)
のほか、2009年7月30日の日経新聞「社会保障政策 厚労相に聞く」という記事でも、舛添要一構成労働大臣(当時)が、翌31日の自民党のマニフェスト(政権公約)発表を控えて、
「政権党として国民に聞こえのいい政策ばかり並べるべきではない」
と「聞こえのいい」という表現を使っています。それを日経新聞も、
「聞こえのよい政策 財政滅ぼす」
と大きな見出しにしていました。
================================引用終了

 で、「平成ことば事情176」を検索すると、さらにスゴいことに……(泣)。この記事は「2000/9/1」のもの。この段階で、多くの辞書が採用しているってことは、すでに「誤用」とは言えないだろう。
【平成ことば事情】(176)
http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/
================================引用開始
また国語辞典では、「大辞林」「新明解国語辞典」には、「俗用」として「耳触り」は載っていますが、「広辞苑」や「日本語大辞典」は採用していません。(つまり載っていない。)

他の辞書も調べてみました。その結果を整理すると、

(“耳触り”を載せていた辞書)5冊
・ 「日本国語大辞典(小学館)縮刷版」1981年
・ 「国語大辞典(小学館)」1982年
・ 「新明解国語辞典・第3版(三省堂)」1985年
・ 「辞林21(三省堂)」1993年
・ 「大辞泉(小学館)」1995年

(“耳触り”を載せていない辞書)8冊
・ 「新訂・大言海(冨山房)」1963年
・ 「新明解国語辞典・第2版(三省堂)」1978年
・ 「角川国語大辞典(角川書店)」1982年
・ 「広辞林・第6版(三省堂)」1984年
・ 「学研国語大辞典(学習研究社)」1984年
・ 「岩波国語辞典第4版(岩波書店)」1986年
・ 「日本語大辞典(講談社)」1989年
・ 「広辞苑第5版(岩波書店)」1998年

ここまでのところ、「耳触り」を認めている辞書と認めていない辞書の対決は5対8で、載せていない方がやや優勢です。また「耳触り」を一番早く載せたのは、1981年の「日本国語大辞典(縮刷版)」ということになります。あっ、載せている辞書はすべて「小学館」と「三省堂」のものですね。三省堂は1984年の「広辞林」では載せていないのに、1985年の「新明解国語辞典・第3版」では載せています。このあたりで「何か」があったのでしょうか?
================================引用終了

「だらけ」「まみれ」「ずくめ」の違い。Yahoo!知恵袋

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年04月08日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1836378037&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【だらけ、まみれ、ずくめ、の違い。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1384987923

 前に書いたようおな気がするけど見当たらないorz。
 例によって類似の質問が山ほどある。
http://www.google.co.jp/search?client=safari&rls=10_6_8&q=%E3%81%A0%E3%82%89%E3%81%91%E3%80%81%E3%81%BE%E3%81%BF%E3%82%8C%E3%80%81%E3%81%9A%E3%81%8F%E3%82%81&ie=UTF-8&oe=UTF-8&redir_esc=&ei=q3SBT9bPHM3SmAWQmoDhBw

 参考になりそうなのは……下記あたりかな。
 これを転載して辞書を省略しよう。(←オイ!)
【だらけ ・ まみれ ・ ずくめ】
http://my.opera.com/japanesewithmie/blog/show.dml/3766775
================================引用開始
「だらけ」「まみれ」「ずくめ」の違いについて質問がありました。

「だらけ」 : ~がたくさんある、~がたくさんついている
汚いもの、嫌なものがたくさんあったり、表面についていたりすること
いいことには「いっぱい」を使う

「まみれ」 :汚いものが表面についていること。
表面についているものにしか使えない

「ずくめ」 :全て~ばかりだ、 最初から最後まで~だ、 ~一色だ
いいことにも、よくないことにも使われる
似ている言い方で、例えば北海道に行くと「蟹(かに)ずくし」 (かにを使った色々な料理)というコース料理もあります。

<例文>
しわ (○だらけ・まみれ・ずくめ) のシャツ
間違い (○だらけ・まみれ・○ずくめ) の作文
泥 (○だらけ・○まみれ・ずくめ) の靴
血 (○だらけ・○まみれ・ずくめ) の手
油 (○だらけ・○まみれ・ずくめ) 
ほこり (○だらけ・○まみれ・ずくめ)だ
汗 (だらけ・○まみれ・ずくめ)になって働く
彼は借金 (○だらけ・まみれ・ずくめ) だ
体中傷 (○だらけ・まみれ・ずくめ) で帰ってきた
分からないこと (○だらけ・まみれ・ずくめ) だ
楽しいこと (だらけ・まみれ・○ずくめ)
幸せ (だらけ・まみれ・○ずくめ) に見える彼女
今年はいいこと (だらけ・まみれ・○ずくめ )だ
黒(だらけ・まみれ・○ずくめ) の服
誤字 (○だらけ・まみれ・○ずくめ)

私は猫がすきなので、「猫まみれ」になってみたい!
================================引用終了

ただし、疑問点がいくつか。

>いいことには「いっぱい」を使う
→「汚いものがいっぱいついている」のように「いっぱい」は善悪両方に使える。

>表面についているものにしか使えない
→「アイツは心の底まで汚い物にまみれている」のように「表面」とは限らない(かなり芝居がかっているが)。

>「蟹(かに)ずくし
→「間違い」ではないだろうが、一般には「づくし」だろう

例文にちょっと疑問が。
>間違いずくめの作文
>楽しいことずくめ
>幸せずくめ
>誤字ずくめ
この用例はあやしい。「~ずくめ」は辞書の用例にある「黒ずくめ」「いいことずくめ」くらいしか思いつかない。「楽しいことずくめ」ならOKの気もするが、そこはかとない異和感が……。
詳しくは下記を参照。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-597.html


類語辞典では「まみれ/みどろ/だらけ」を並べていた。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/16245/m0u/%E3%81%BE%E3%81%BF...
================================引用開始
まみれ/みどろ/だらけ
[共通する意味]
★一面に付いているさまを表わす。
[使い方]
〔まみれ〕▽泥まみれのまま上がり込む
〔みどろ〕(接尾)▽血みどろの戦い▽汗みどろ
〔だらけ〕(接尾)▽穴だらけの障子
[使い分け]
【1】「まみれ」は、動詞「まみれる」の連用形から。汚いと感じられる物が一面にくっついている状態、ある物に、別の物がくっついて汚れているさまを表わす。「塗れ」とも書く。
【2】「みどろ」は、汚いと感じられる液体が一面についた状態をいう。
【3】「だらけ」は、その物がいっぱいであるさまを表わし、必ずしも何かの表面にくっついている場面に限定しない。「穴だらけ」「しわだらけ」のように、表面にある状態が多数見られるさまもいい、また、「いやな事だらけ」のように、漠然とそればかりであるさまもいう。
[対比表]
     血…の顔  ほこり…になる 全身傷…  つまらない事…の世の中
まみれ  ○     ○       -     -
みどろ  ○     -       -     -
だらけ  ○     ○       ○     ○
================================引用終了

「ヲ」と「ガ」みたび

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年04月08日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1836277277&owner_id=5019671

 直接的には下記の続きだろうな。
523)突然ですが問題です【日本語編56】──「ヲ」と「ガ」【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1752609080&owner_id=5019671
734)突然ですが問題です【日本語編108】──「ヲ」と「ガ」ふたたび【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1831175171&owner_id=5019671


 助詞の話なんて深入りしてもしょうがないとは思いながら、ちょっと気になったのでメモをしておく。
 大前提として、「好悪・希望。可能」は「ガ」が原則だが、「本来はガを用いるべきで、ヲも許容される」と考えることにする(どちらでもいいと言えばいいのだが)。
 下記でちょっと違うという趣旨のコメントをもらったが、補足説明がないのでどう判断していいのかわからない。ちなみに、当方も〈「本来」論〉にこだわる気はない。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1480986154&owner_id=5019671
================================引用開始
 「本来」論はあまり好きではないのですが。
 「本来」と仰るのなら、「好きだ・嫌いだ」は確かにガですが、可能は平安時代からヲです(デキル・ワカル・ミエル・キコエルは例外)。タイは、微妙なのですが、確例ではヲと判断すべきだと思います。
================================引用終了

 mixi内だけでもさまざまな意見が飛びかっていて、何がなんだか……。
【関連トピ紹介】14──助詞の話2「本ガ読める」か「本ヲ読める」か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48204026
 大半が例によって主観によるコメントだが、なかにはちゃんとした典拠があるコメントも。こういうのを玉石混淆と言うのだろうか。
 2)に入っている下記のコメントを見ると、「希望」(願望)に関しては「いくつか条件は分かって」いるようだ。どうやら、「ガ」にはいろいろ制約があるらしい。
 細かい点で疑問も感じるが、そういうことなんだろう……。
 個別に見ても相当むずかしいみたい。
================================引用開始
 「水を飲みたい」「水が飲みたい」という現象は、願望文のガ・ヲ変換として知られています。その究極の要因については未だ定見がありませんが、いくつか条件は分かっています。
 以下は
田村すず子1969「日本語の他動詞の希望形・可能形と助詞」『早稲田大学教育研究所紀要』8
久野すすむ1973『日本文法研究』大修館書店
大野三郎1973「願望のタイの前でのヲとガの交替」『文学研究(九州大学)』70
村木新次郎1975「「水を飲みたい」のに「水が飲みたい」とは?」『新日本語講座』2汐分社
柴谷正良1978『日本語の分析』大修館書店
森田良行1988『日本語の類意表現』創拓社
庵功雄1995「ガ~シタイとヲ~シタイ:格表示のゆれに関する一考察」『日本語教育』86
庵功雄1995「ガ~シタイとヲ~シタイ:直接目的語の格表示のゆれ」『日本語類義表現の文法』くろしお出版
山内博之1997「願望文におけるガとヲの選択について」『岡山大学文学部紀要』27
泉谷双蔵1999「「たい」構文における「をーが」交替に関する一考察」『日本語・日本語教育論集(名古屋学院大学)』6
によります。
 ヲが基本であり、ガが特別な場合に成立すると考えられています。
1)口語化されていない漢語動詞の場合「本が・を買いたい」「本?が・を購入したい」
2)定型表現の場合「この道から足?が・を洗いたい」
3)目的語と述語が離れている場合「お話がしたかった」「?お話がゆっくりしたかった」「??お話があなたとゆっくりしたかった」「*お話が私あなたとゆっくりしたかった」
4)動詞が複合形の場合「本?が・を読み始めたい」
5)動詞が話者から離れるという方向性を持つ場合「英会話?が・を教えたい」「真相?が・を話したい」
6)動詞の他動性が高い場合「おまえ?が・を殺したい」
7)目的語が人である場合「太郎?が・を刺したい」
8)目的語の意味役割が対象以外の場合「空?が・を飛びたい」
================================引用終了

 今回のテーマは「可能」で、いままでの「可能」の話とはちょっと違う。このトピの存在は知っていたが、何がテーマなのかよくわからなかったのでスルーしていた。
 テーマトピは下記。
【自転車が乗れる。】日本語教師
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=57263322&comm_id=19124
 質問文を一部加工して転載する。
================================引用開始
自転車に乗れる。
自転車が乗れる。

これは両方言えるんでしょうか?
言えるとしたらどういう違いがあるのでしょうか。

あと、遊園地のアトラクションに乗れる。
   遊園地のアトラクションが乗れる。

これも両方大丈夫なんでしょうか?
大丈夫だとしたらどのような違いがあるのでしょうか?
================================引用終了

1)自転車ニ乗る(原形)
2)自転車ニ乗れる(原形の可能形)
3)自転車ガ乗れる
 この文の「ニ」を「ガ」にできるか否か。
 結論だけを言うなら、できるだろう。「ニ」と「ガ」でどんなニュアンスの違いがあるのかは関知したくない。いろいろな考え方はあるだろうが……。
 厳密に言うとこのままだとちょっと異和感があるが、少し言葉を加えるとずっと自然になる。
3)-2 この公園内では自転車ガ乗れる
3)-3 許可をもらえば自転車ガ乗れる
 これは「このフリーチケットがあれば、遊園地のすべてのアトラクションが無料で乗れる」も同様な気がする。
 これが下記になるとどうか。

4)東京ニ行く
5)東京ニ行ける
6)東京ガ行ける

 コメント[7]のような文脈を用意すれば、6)もアリかもしれない(この考え方なら「ハ」もアリだろう)。でも少し強引だろう。基本的に6)はナシ。
 3)と6)の違いがどこにあるのかわからなくて考えてしまった。

「可能形をガにできるのは、原形がヲの場合だけ」なのでは……。
「自転車( )乗る」の場合は、「ニ」がフツー。「ヲ」はちょっと異和感があるけどアリ。だから「自転車{ヲ/ガ}乗れる」もアリ。
「東京( )行く」の場合は「ヲ」はナシ。だから「東京{ヲ/ガ}行ける」も通常はナシ。
 ただ、「街道をゆく」のような意味合いで「東京を行く」もOKと考えるなら、「東京{ヲ/ガ}行ける」もアリだろう。

「自転車( )乗る」のように「ニ」も「ヲ」も入る例は珍しい気がする。同様の例があるのだろうか。
 複合動詞になると微妙にかわる。「ヲ」がOKのものは、可能形は「ヲ」でも「ガ」でOKのようだ。
自転車( )乗り換える→「ニ」も「ヲ」も○だが、意味がかわる
自転車( )乗り続ける→「ニ」も「ヲ」も○
自転車( )乗り終える→「ヲ」だけ○(文章としてはちょっと異和感)
自転車( )乗り捨てる→「ヲ」だけ○
自転車( )乗り回す→「ヲ」だけ○ 

 こうして並べると、「ニ」と「ガ」でどんなニュアンスの違いがあるのかボンヤリわかってくるが、あくまでもスルーする(笑)。

擬態語 擬音語 擬声語 擬情語 擬容語  日本語

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年04月05日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1835604738&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「のりのり」について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=68814551&comm_id=398881

 まず例によってコメント[0]を転載する(一部を加工する)。
================================引用開始
「のりのり」などについて、質問させていただきます。

この単語の意味は調子がよく気分が高揚していること。気分よりリズムにのること。だと調べました。

それで、私の質問ですが:

1)「のりのり」はもともと日本語にある単語ですか。。。それともあと出た単語ですか?
2)日本語の中に、擬声語、擬態語、ぎじょうご(gijoo-go)三つがあるのでしょうか。私は擬声語と擬態語しかしりませんですので。。。すみません。お伺いします。
3)「とんとん」というのは擬態語ですか?自分はノックする音、として、擬声語だと思いますが。。。
================================引用終了

 コメント[3]でほぼ解決したと思ったが、調べてみるといろいろ出てきてドンドン深みにはまってトンデモナいことに……。

 とりあえず質問の答らしきもの。

1)Web辞書『大辞泉』にはのっているが、古い時代にはなかった言葉だと思う。「ノリ(がいい/悪い)」がまずあって、そこから派生したような。「ノリ(がいい/悪い)」自体がそう古い用法ではないような……。こういう語源的な話はキッチリとはわからないことのほうが多い。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%AE%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%82%8A&stype=0&dtype=0
================================引用開始
のり‐のり【乗り乗り】
[名・形動]《動詞「乗る」の連用形を重ねた語。「ノリノリ」と書くことも多い》調子がよくて気分が高揚していること。乗りがよくて、リズミカルであること。また、そのさま。いけいけ。「―な曲で踊る」「―ムードで一気に勝ち進む」
================================引用終了

2)「擬態語」「擬音語」「擬声語」あたりが一般的だと思う。このほかに、「擬情語」「擬容語」などがあるらしい。それぞれの定義に関してはハッキリしないような……。

3)このテの言葉を厳密に分類するのは無理だろう。とりあえず、「擬態語」「擬音語」の二分法で考える。下記のAやBなら、判断がしやすいかもしれない。
A ドアをトントンとノックする→擬音語
B 話がトントン(と)進む→擬態語
 ただし、実際のノックの音は「トントン」ではなく「コンコン」では、とか考えると深みにはまる。このへんは「イメージ」としかいいようがない。そういうことを言いだすと、「肩をトントン叩く」はどっちなんだろう。これもイメージの擬音語って気がする。
 さらに、擬態語の「とんとん」と「とんとん拍子」はどちらが鶏か卵か……なんて考えはじめると眠れなくなりそう。
 これが「ドンドン」だともう少しわかりやすいか。
C ドアをドンドンと叩く/床をドンドン踏み鳴らす→擬音語
D 話がドンドン進む→擬態語
 

●「ぎじょうご」とは何か
 初めて聞いた。
 コメント[3]と同様に、「擬声語」の間違いかとも思った。

>仏教用語などでは「声」を「しょう・じょう」と読む場合が多くあります
 仏教用語が多いのは、たしか呉音。音読みがいくつかある漢字だと呉音が入ってくることがある。「明」を「みょう」と読むのなんかがそう(だったはず)。「声明」を「しょうみょう」と読めばまさに仏教用語か。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E9%9F%B3
「しょう・じょう」で真っ先に浮かんだのは「大音声」。これは仏教用語ではないだろう。
 次に浮かんだのは、これは「釈迦に説法」的な失礼であることを承知で書くと、「四声」。これの読みはなぜか「しせい」が優勢らしい。でも平声(ひようしよう)・上声(じようしよう)・去声(きよしよう)・入声(につしよう)は「しょう」だろう。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%97%E3%81%9B%E3%81%84&dtype=0&dname=0ss&stype=0&index=108423000000&pagenum=1

 閑話休題。
 どうやら「ぎじょうご」は「擬情語」と書き、金田一春彦が提唱した用語らしい。「金田一 擬情語」で検索するとエラいことになる。
http://www.google.co.jp/search?client=safari&rls=10_6_8&q=%E9%87%91%E7%94%B0%E4%B8%80%E3%80%80%E6%93%AC%E6%83%85%E8%AA%9E&ie=UTF-8&oe=UTF-8&redir_esc=&ei=Fy59T-WsOceUiAeKst2fCQ
 論文っぽいのもいくつかヒットするが、当方の知識では理解できない。誰か要約してください。「擬容語」なんて言い方も出てくる。


●呼称や分類をどうするべきか
 耳慣れない「擬情語」「擬容語」は外す(乱暴な)。
「擬態語」「擬音語」「擬声語」の3つで見ても、呼称や分類には流派があるようで、正確なところはわからない。
 個人的には、「擬態語」「擬音語」の2種類があって、総称がオノマトペだと思っていた。「擬声語」は、「擬音語」の一種か同義語だと思っていた。人や動物の声に関係するのが「擬声語」で、物音に関係するのまで含むと「擬音語」。理屈は通っているようで、どうも違うらしい。
 Wikipediaだと、「擬声語」が総称で、オノマトペの訳語にしている。これが「擬態語」と「擬音語」に分かれるらしい。これがわかりやすいと思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%9A
 大雑把に言うと、主として聴覚にかかわるのが「擬音語」で、それ以外(視覚、触覚……etc.)にかかわるのが「擬態語」だろう。「トントン」「ドンドン」のように両方の働きのあるものもあるし、微妙なものも多い。あんまり厳密に考えないほうがいいだろう。
 このあたりは専門家におまかせします。


●オノマトペか否かの判断基準
 ちゃんと考えようとすると確実に深みにはまる。
 たとえば、コメント[3]のリンク先(オノマペディア)と、当方がたまに使う「日本語辞典」の「擬音語・擬態語」をひいてみる。
 ちなみに前者は「擬態語・擬声語(オノマトペ)」とし、後者は「擬音語・擬態語」としている。前者は「擬態語」&「擬声語(オノマトペ)」と読めなくもないが、フツーに考えれば「オノマトペ(擬態語&擬声語)」ってことだろう。呼称や分類にユレがあることがうかがえる。
http://dictionary.goo.ne.jp/onomatopedia/
http://www.nihonjiten.com/nihongo/giongo/index.html
「のりのり」 →どちらにもない
「とんとん」 →「擬音語・擬態語」にのみアリ

 オノマトペか否かに関しても、ユレがあるってことなんだろう。
 この結果がタマタマだったのか、だいたいこんなものなのかはいろいろ調べてみないとわからない(笑)。
 

●オノマトペの品詞
 Web辞書『大辞泉』によると、「のりのり」の品詞は「名詞・形容動詞」。一般にオノマトペの品詞は副詞だと思ったが、実際にはどういう品詞が多いのかは未確認。
「ノリノリ」は「ノリ」(名詞)だけでも言葉になり、「ノリノリ」と意味も近い。
 一般に畳語タイプのオノマトペは、畳語でなくなると意味不明になることが多い気がする。「ぐら」(「ぐらぐら」は副詞・形容動詞)とか「どき」(「どきどき」は副詞)とか。そう考えると、「のりのり」はオノマトペではないのかも。
 ただ、擬音語系のオノマトペは、「ドン」とか「トン」でもOKって気がする。「ぐら」や「どき」も「グラッとする」「ドキッとする」って使い方があるか。こうしてどんどん深みにはまる。
 よくよく考えると「話がトントン(と)進む」だってオノマトペか否か怪しくなってくる。「話が淡々と進む」はオノマトペじゃないよね。
 このあたりも専門家におまかせするしかないかも。


●昔書いたコメントの回収
 かなり言葉足らずだけど、さほど間違ったことは書いていないようだ(笑)。ところで、「ずばっと」は擬態語なんだろうか擬音語なんだろうか。
【ズバっと!っていうのは擬態語ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1440603369

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始

「ずばっと」は擬態語か擬音語か微妙なところで、考え方しだいです。擬態語か擬音語かハッキリしないものはたくさんあります。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%82%BA%E3%83%90&dtype...
================================
ずばっ‐と
[副]
1 矢や槍などが突き刺さるさま。「矢が―胴に突き刺さる」
2 すばやく、的確に物事を行うさま。「相手の心中を―言い当てる」
================================

副詞であることは間違いないとして……。
「1」の意味なら擬音語だと思います。
現代でよく使われる「2」を、「1」から派生したものと考えるなら「擬音語」ですが、別の意味と考えるなら「擬態語」でしょう。「バッサリ」などと同じです。
どうしてもどちらかに……ということなら「擬音語」ですかね。
個人的には、擬態語と擬音語を区別せずにオノマトペと呼ぶのが無難と考えています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%9A

余談ですが、こういう語をカタカナまじりで書くなら「ズバッと」と書くのが一般的では。「ハッとする」「ドキッとする」などと同様です。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了

「ご挨拶にお伺いさせていただきます」

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年04月03日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1835110167&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【これって正しいですか? 「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383384438

 テーマトピは下記。
【「ご挨拶にお伺いさせていただきます」はなぜヘンな言い方ですか】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=68622653

 当方が立てたテーマトピの「0」を一部省略して転載する。
================================引用開始
「ご挨拶にお伺いさせていただきます」はなぜヘンな言い方ですか

 下記のサイトを読んで疑問に思いました。
【これって正しいですか? 「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383384438

1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
2)ご挨拶にお伺いいたします
3)ご挨拶にお伺いします
4)ご挨拶に伺わせていただきます

 1)~4)のうち、どれがダメな二重敬語で、どれが許容されている二重敬語で、どれが「くどい言い方」なのでしょうか。
================================引用終了

 テーマサイトに出てきた4つの例文について考える。どれも「間違い」ではないはず。当然どれが「正しい」という問題でもない。ただ、細かく見ていくとちょっと(では済まない?)違いがあって、どこまで許容できるのかは個人差があるだろう。
 Yahoo!知恵袋を読んでやや混乱した。2)~4)は修正案として提示されているのだが……。
 トピにいただいたコメントを読んでかなりわかったような気がする。いただいたコメントを参考(誤用?)にしつつ(「いいとこ取り」とも言う)、例によってクダクダと書いていく。

「原形」とも言えるのが「伺う」。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BC%BA%E3%81%86&stype=0&dtype=0
================================引用開始
うかが・う〔うかがふ〕【伺う】
[動ワ五(ハ四)]《「窺う」と同語源。目上の人のようすをうかがいみる意から、その動作の相手を敬う謙譲語となる》
1 「聞く」の謙譲語。拝聴する。お聞きする。「おうわさはかねがね―・っております」
2 「尋ねる」「問う」の謙譲語。「この件について御意見をお―・いします」
3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。「明朝、こちらから―・います」
4 神仏の託宣を願う。「御神託を―・う」
5 《「御機嫌をうかがう」の意から》寄席などで、客に話をする。また、一般に、大ぜいの人に説明をする。「一席―・う」
[可能] うかがえる
================================引用終了

 例文になっているのは〈3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。〉だろう。より厳密に言うと謙譲語I。
 これを謙譲語Iの「お~する」と組み合わせたのが「お伺いする」。通常ならバキバキの二重敬語だが、一般には許容されている。
629)【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1798665663&owner_id=5019671
「敬語の指針」p.30から====================引用開始
(2) 「二重敬語」とその適否
 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば「お読みになられる」は「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
 ・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
 ・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================================引用終了

「お伺いする」だけではなく「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」まで許容されている。「習慣として定着している」か否かの基準は不明。
 2)ご挨拶にお伺いいたします
 3)ご挨拶にお伺いします
 は文化庁が許容したものを丁寧語(~ます)にした形なので、「許容されている二重敬語」ってことになる。
 ちなみに「お伺いいたす」は「伺い」+「お~する」+「~いたす」の三重構造と考えることもでき、この段階でクドいと言えば相当クドい。
 二重敬語のうえに三重構造は×、と考えることもできる。その一方で、文化庁が許容しているから○、と考えることもできる(たしかに「定着している」って気はするし)。
「お伺いいたす」を〈「お伺いする」+「~いたす」〉と考えると、「拝見いたす」(「拝見する」+「~いたす」)と同様と言えなくはない。三重構造の「お伺いいたす」に相当するなら「ご拝見いたす」ではないのか、って話は無視する。

 4)ご挨拶に伺わせていただきます
「伺う」+「させて」+「いただく」+「ます」
 これは「ご挨拶に」を除くと「拝見させていただきます」と同様と言ってもよいだろう。
  伺う→「訪れる」の謙譲語I
  させて→使役などの意味の助動詞「させる」の連用形+助詞「て」
  いただく→「もらう」の謙譲語I
  ます→丁寧語
「敬語連結」であって「二重敬語」でさえない。その意味では非難される理由はない。
 悪名高き「させていただく」が使われているが、「訪れる」ことに関する許可を求め、そのことによって「受益」がありそうだから問題はないだろう。ただ、これがオススメできるかと言うと疑問。
【関連トピ紹介】10──敬語の話2 「~させていただく」は是か非か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45983063
 2)と4)に関しては、「拝見いたします」「拝見させていただきます」と微妙に関係していると思う。下記のコメント[4]までを参照してほしい。[5]以降はお好みで……。
【「拝見する」の使い方──「拝見いたします」「拝見させていただきます」は二重敬語?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=67150294&comm_id=398881

 最後は元々の例文。
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
 これは4)の「伺う」を「お伺いする」(許容されている二重敬語)にかえたもの。
 文化庁が許容しているのだから、「間違い」とは言えない。ただ、これは4)よりもさらにクドい(はず)。


 ここから先は当方の主観(いえその、ここまでも主観が入っているけど……)。 
 質問したトピでは、ほぼ全員が「ご挨拶に伺います」派。Yahoo!知恵袋に出てきた例文は全滅(笑)。みなさん厳しい。「ご挨拶に」が影響している観もある。
 最もシンプルな形とも言える「5)ご挨拶に伺います」を加えて比べてみる(Yahoo!知恵袋にこの形が出ていないのはなぜなんだろう)。
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
2)ご挨拶にお伺いいたします
3)ご挨拶にお伺いします
4)ご挨拶に伺わせていただきます
5)ご挨拶に伺います

 このうち、1)2)3)は許容されている二重敬語を含む。たとえ許容されていても二重敬語は避けるべき、という考え方もアリだろう。
 クドさの程度で考えると、たぶん以下のようになる。下に行くほどクドくなるという意味。二重敬語を使っていない4)の位置づけは微妙かも。
5)ご挨拶に伺います
  ↓
3)ご挨拶にお伺いします
  ↓
2)ご挨拶にお伺いいたします
  ↓
4)ご挨拶に伺わせていただきます
  ↓
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます

 個人的な感覚では、3)が許容できるか否かの境界線で、2)はアウトだろう。このへんはかなり微妙で、過剰気味の敬語が蔓延していると、5)では敬度不足ととられかねない。
 これが「ご挨拶に」を「明日、(読み方は「みょうにち」もしくは「あす」。この文脈だと「あした」はちょっとヘン)」にすると、敬語の重複感が軽減するのでちょっと事情がかわる。「明日、」だったら、3)は許容範囲で、2)も相手によってはアリかも、って気になる。

 敬語の重複感に関して『敬語再入門』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671は下記のように書いている。著者は「敬語の指針」を作成した(主要)メンバーのひとり。この本は信頼してるんだけどさぁ……。
================================引用開始
このように、各語がそれぞれ敬語になり、それをつなげただけのものは、二重敬語と呼ぶべきものではありません。実際、「お読みになっていらっしゃる」は正しい敬語です。「お嬢様はお手紙をお書きになっていらっしゃる」も、四つの別の敬語をつなげただけで、四重敬語などとは言いません。この文も、多少くどくはありますが、問題のない敬語で、言葉の丁寧な人なら、この程度の敬語は使います。(P.148)
================================引用終了

 やはり個人差は大きい(笑)。こういう風に言われちゃうと……たぶん「言葉の丁寧な人」なら「ご挨拶にお伺いさせていただきます」程度の敬語も使うんだろうな。
 少なくとも「敬語の指針」や『敬語再入門』を見る限る、「お伺いいたす」は許容範囲だし、「ご挨拶」や「させていただきます」との併用を×にする根拠はない気がする。そうなると、「クドい」「クドくない」は個人の好みで判断するしかない、ってことになるのだろうか。
「ご挨拶にお伺いさせていただきます」は相当クドくて相当ヘンだと思う。Yahoo!知恵袋でもmixiのトピでも、細かい点は別として、これを支持している人はいない。でも……ちゃんと説明するにはかなりの力業が必要になりそう。なんかハガユい。
 
 結論。
 やっぱり文化庁の「敬語の指針」は嫌いだ。(←オイ!)

第1409回「あなたは記憶力が良い?悪い?」──し、失礼なことを聞くんじゃない! 多少年はとっても物忘れをしたことなんて……

 物忘れをしたことなんて……そんな記憶は何ひとつない!

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