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文脈を限定する副詞(など) 吉事⇔凶事 肯定⇔否定

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
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mixi日記2012年07月20日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1859870990&owner_id=5019671

 テーマトピは下記?
【なんかヘンだけど立派に通じる「矛盾語」たち】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=49592413
================================引用開始
148
2012年07月01日 00:42

「おそらく、恐らく」

本来は好ましくない結果を予想するときの言葉のはず。
「おそらくボーナスは出ないでしょう」
それが好ましい結果でも使うようになってしまった。
「おそらくボーナスは明日出るでしょう」
================================引用終了

 ↑のコメントの話がずーっとひっかかっていた。整理できていないが、メモがわりに書いてしまう。
 関連するのは、たぶん下記。
【「もしかしたら」「たぶん」「きっと」──推量を表わす副詞の程度】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1529782531&owner_id=5019671
================================引用開始
 副詞のなかには、原則的に否定形の文末を伴うものがある。「決して」とか「めったに」とか。個人的には「全然」もそうだと思うが、諸説あって書きはじめると長くなる。
【関連トピ紹介】11──全然+肯定形は是か非か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46001081

 あるいは、肯定的なこと限定で使うもの(「幸いにも」とか)や否定的なこと限定で使うもの(「不幸にも」とか)もある。でも多くの副詞はそういう制約なしで使えるはず。数少ない制約に関しては辞書レベルに出ている。それ以上に制約をつけたり独自の意味やニュアンスをもたせたりするのは誤解の元だろう。

「もしかしたら」「たぶん」「きっと」……いずれも推量を表わす副詞だから、話し手(もしくは「書き手」の主観が入るのは当然のこと。多くの副詞の場合、その主観が肯定的か否定的かは文脈しだい。
  【例】遭難した兄を心配する妹の言葉。
  1)もしかすると、生きているかもしれない
  2)もしかすると、死んでいるかもしれない
  3)たぶん、生きている
  4)たぶん、死んでいる
  5)きっと、生きている
  6)きっと、死んでいる
 1)~6)は全部成立する。
 願望を表わすのか戸惑いを表わすのか◯◯を表わすのか△△を表わすのかは文脈しだい。それだけのことだろう。
================================引用終了

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%8A%E3%81%9D%E3%82%89%E3%81%8F&stype=0&dtype=0
================================引用開始
おそらく【恐らく】
[副]《「恐らくは」の略》
1 確度の高い推量を表す語。きっと。「明日は―雨だろう」
2 はばかりながら。
  「身共は一人ぢゃと思うて、あなどっておぢゃるが、―、いづれも大勢なれども、負くる太郎ではおりないぞ」〈虎寛狂・千切木〉
→多分(たぶん)[用法]
================================引用終了

 リンクが張ってある「たぶん」の用法には下記のようにある。
================================引用開始
[用法] 多分・おそらく――「多分(おそらく)今日は帰りが遅くなります」「Aチームが多分(おそらく)優勝するだろう」など、推量の意では相通じて用いられる。◇両語は過去の推量にも用いる。「あれは多分おととしの暮れだったと思う」「彼はおそらくその事実を知っていたであろう」◇「おそらく」は、その原義から、悪いほうの可能性が高いと推量する気持ちが残り、「おそらく後悔するだろう」のような用法が中心となる。◇「多分」の方がややぞんざいで、「おそらく」の方があらたまった丁寧な言い方になる。「多分彼は来ないだろう」「おそらく彼は来ないでしょう」◇類似の語に「きっと」がある。口頭語で、「Aチームがきっと優勝するだろう」のように、「多分」や「おそらく」と同様に用いるが、「きっと」の方が実現の確かさが強い。
================================引用終了

〈「おそらく」は、その原義から、悪いほうの可能性が高いと推量する気持ちが残り、「おそらく後悔するだろう」のような用法が中心となる〉
 なんて微妙な書き方。
 原義から考えると、「凶事」(「よくないこと」でも「否定的なこと」でもいいが、文字数が少ないので、今回は「凶事」「吉事」と書く)限定って気がする。
 ↑の例で考えると「おそらく、死んでいる」は当然アリだろう。「おそらく、生きている」と言えるか否か。「たぶん」とか「きっと」のほうが素直なんでちょっとひっかかるが、「ナシ」と断定する勇気はない。

 こういう言葉にはどんなものがあるんだろう。とりあえず2つに分けて考えてみる。こうやってムヤミに広げるから、収拾がつかなくなる(泣)。
1)否定形/肯定形を伴う副詞など
・否定形を伴うもの
  決して/めったに/全然(確信犯的に入れてしまう)
・肯定形を伴うもの
  断然
「全然」に関しては、書きはじめると長くなるのでパス。

2)凶事/吉事に限定される副詞など
・凶事に限定される副詞など
  不幸にも/あわや
・吉事に限定される副詞など
  幸いにも
「おそらく」も微妙だが、「可能性」あたりも微妙だと思う。「可能性は吉事限定」という説も見聞することがある。凶事の場合は「おそれ」を使うものらしい。一理ある気もするが、疑問も感じる。↑の『大辞泉』にも「悪いほうの可能性が高い」とある。
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%80%80%E3%81%8A%E3%81%9D%E3%82%8C&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=&oq=
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年貢の納め時 潮時

 下記の仲間。
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
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mixi日記2012年07月18日から

 直接的には下記のコメント欄の続きなのだが、寄り道が長くなるので、本題を離れたヨタ話を少々?
【助詞の話8「モ」の特殊用法──夜もふけてまいりました 宴もますますたけなわ 朝も早くから】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1856325394&owner_id=5019671

 近年誤用されることが多い言葉のひとつに「潮時」がある。Yahoo!知恵袋を見ると相当悲惨なことになったいる。誤解が何重にも重なっている例(重言?)もある。フツーに辞書をひけばこんなことにはならないと思う。もっとも、「辞書が間違っている」と書いている人もいるorz。
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=%E6%BD%AE%E6%99%82&flg=3&class=1&UTF-8=ei&fr=common-navi&dnum=2078297843

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%97%E3%81%8A%E3%81%A9%E3%81%8D&stype=0&dtype=0
================================引用開始
しお‐どき〔しほ‐〕【潮時】
1 潮の満ちる時、また、引く時。
2 物事を始めたり終えたりするのに、適当な時機。好機。「―を待つ」「ピッチャー交代の―」
3 時間。特に、1日のうちで出産や死亡の多く起こる時間。潮の干満の時刻に合わせて起こるからという。
================================引用終了

 3つの意味が出ているが、「1」や「3」を見聞することはめったにない。はるかに多く出回っている気がするのが、「2」の誤用。
 別の辞書を見てみる。
■Web辞書『大辞林』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E6%BD%AE%E6%99%82&stype=0&dtype=0&dname=0ss
================================引用開始
しおどき[しほ―] 0 【潮時】
[1] 潮が満ちたり引いたりする時。
  満潮の―にかかる
[2] 物事をするのにちょうどよい時。
  ―を見計らう
  物には―というものがある
================================引用終了

 こちらには『大辞泉』の「3」に相当する記述がない。意味がよくわからない記述なので、どちらでもいい。(←オイ!)
『大辞泉』の「2」と『大辞林』の[2]を見比べると、どう考えても、『大辞林』のほうが正確だろう。「物事を始めたり終えたりする」とは限らない。「ピッチャー交代の潮時」って、どういうこと? 「交代」を始めたり終えたりはしないでしょ。単純に「物事をする」ための好機ってことだろう。
 ところが世間では、「やめ時」「引き時」のような意味で使っている。だから「満潮限定」(これから引き潮)という解釈が出てきたりする。実際には、当然「干潮」のときもある。
 よく目にする例だと、「スポーツ選手が力の衰えを感じて引退を考える」あたりだろうか。「そろそろ潮時かな」と呟いたりする。なんの好機なのよ? それは「そろそろ引退の時期かな」「そろそろやめ時かな」って意味でしょ。
 しかも、「潮時」だけで「引き時」のニュアンスをもっているから、「そろそろ潮時かな」と言うだけで「引退の潮時かな」の意味になる。「そろそろ○○する好機かな」ととる人はいないだろう。
 そうなると、「引退の潮時」は重言なのかって話になりそうだけど、そこまで厳密に考える気はない。

「潮時」をこのように使うのが誤用だとすると、どう言えばいいか。
 ちょっと長くていいなら、下記がある(ちょっと古風かな)。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E5%B9%B4%E8%B2%A2&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=14349300&pagenum=1
================================引用開始
年貢(ねんぐ)の納め時
《租税の滞納を清算する時の意から》悪事をしつづけた者が、捕まって罪に服する時。転じて、物事をあきらめなくてはならない時。「独身生活を謳歌したが、そろそろ―だ」
================================引用終了

「年貢の納め時」は「引退の時」などのニュアンスのほかに、「身を固める時」という用法がある。辞書の例文はまさにその例。こちらのほうが多いかもしれない。
 いまどき「年貢」が古いのなら、「国民年金の納め時」でもいい。当方はちゃんと払ってます。じゃあ、「受信料の納め時」でどうだ。(←オ~イ!)
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