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2012年10月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html


【2012年10月】


12-10-01
15日
 武田には、長身から投げ下ろす直球とともに、武器として大きく曲がるカーブがある。(夕刊10面)
 小俣勇貴記者。なんでこんなねじくれた文章を書いたのかは謎。「武田の(大きな)武器は、長身から投げ下ろす直球と大きく曲がるカーブだ」でなんの問題があるのだろう。「カーブ」を強調したいのなら、「長身から投げ下ろす直球とともに、武田の(大きな)武器は大きく曲がるカーブだ」くらいでOKだろう。
 ほかにもいろいろ疑問を感じる文章なんで、がんばって入力した。
 そもそも、冒頭の「じりじりと、」って何? こういう凝った書き出しは避けたほうがいいんじゃないかな。〈分かったことは、「カーブの精度は良くない」〉……せめて「今日の」くらいつけてくれないかな。いつも「(武田の)カーブの精度は良くない」なら「武器」にならないでしょ。いつもいつもボールになるカーブに手を出していたら、単なる●●だよ。1年間何をしてたの? 
「あの当たりはチームがやってきたことが凝縮された形」……ぼてぼての打球がですか。何やらチーム一丸となって攻略した印象だけど、単に武田の調子が悪かっただけって気もする。
「泣いても笑っても明日で決まる」と中島……そりゃ明日が第3戦だからね。明日勝ったほうが次のステージに進める可能性が高いよ。きっと多く点をとったほうが勝つんじゃないかな。



12-10-02
13日
 日馬富士も白鵬も不知火型。この型の横綱は、なぜか長続きしないという縁起(えんぎ)の悪い言い伝えがあった。でも、白鵬は、すでに貴乃花に並ぶ歴代5位の22度の優勝を果たしていて、良くない伝説を打ち破っている。(夕刊6面)
 有田憲一記者。申し訳ないが笑ってしまった。これは「ニュースのおさらい」というジュニア向けの記事。「ジンクス」って言葉を無理矢理書きかえると、こんなに不自由な書き方になるのね。子供向けの文章は本当にむずかしい。ところで、「縁起」ってルビまで振って使っているけど、子供がわかるのかな。「長続きしないという縁起(えんぎ)の悪い言い伝え」ではなく、単に「長続きしないという悪い言い伝え」のほうがよくないかな。「言い伝え」が正しいか否かは微妙。伝わるか否かも微妙。いっそ「長続きしないと言われていた」あたりのほうが素直かも。


12-10-03
17日
難易度の高い心臓手術の専門集団“チーム・バチスタ”。(朝刊26面)
 記者不明。映画の紹介記事。「難易度」はやはりおかしい。ちなみに、正確に書くと「難度の高い心臓手術“バチスタ”の専門集団“チーム・バチスタ”」になると思う。あまりにもクドい(泣)。


12-10-04
17日
 4月から3本連続のドラマ主演となる武井咲が、破天荒で空回りな19歳を演じる。(朝刊40面)
 丸山玄則記者。このテの「破天荒」はもうダメかも。「空回りな19歳」ですか……。最近、「~な」の使用例な増えているらしい。この場合は「空回りの」にしても気持ちが悪い。「空回りする」「空回りしがちな」くらいかな。ちなみに「3本」にも異和感がある。イチバン素直なのは「4月から」なんだから「3クール」「3期」かな。「4月から」がないなら、「3作」だろう。


12-10-05
20日
世論調査(よろんちょうさ)(夕刊6面)
 木村尚貴記者。ジュニア向けの「ニュースのおさらい」。いろいろ気になるので全文を引用したいほど。リードに出てくる「世論調査」に「よろんちょうさ」とふりがなをつけている。「世論」は本来は「せろん」で、「輿論」の代用字としても定着した。正確な読み方は知らない。でも、「世論調査」はどちらかと言うと「よろんちょうさ」だと思う。


12-10-06
20日
 世論調査でどんな項目(こうもく)を尋(たず)ねるかは年によって違(ちが)うけど、だいたい5~10年ごとに同じ項目を聞いて、答えの変化を比(くら)べている。(夕刊6面)
「12-10-05」の記事の冒頭。まず気になったのは「けど、」。フツーなら「が、」を使うけど、子供向けであることを意識して「けど、」にしたんだろうな。全体がデス・マス体なら、アリかもしれない。でもほかのところは「が、」になってるんですけど。デアル体で、全体の文体も考えずに書くと、こういう気持ちの悪いことになる。しかもこの書き出しは長すぎる。偶然か必然か、書き出しにありがちな「曖昧のガ、」(この場合は「けど、」)を使っている。何も考えずに書くとこういう文になる。少し考えようよ。わざわざルビをつけてまで「尋ねる」を使う神経も理解できない。おそらく同じ一文に「聞いて」があるから重複を避けたのだろう。だったら文を短くしようよ。


12-10-07
20日
 本来は「とんでもないです」「とんでもないことでございます」と言うべき表現を「とんでもございません」と言うのも、5年前に審議会が出した「敬語(けいご)の指針(ししん)」で「問題ない」とされた。(夕刊6面)
「12-10-05」の後半に出てくる。なんということを書くんだ。「とんでもないです」を本来の形にしてしまった。そりゃ〈形容詞終止形+「です」〉を文化庁が半世紀前に許容しているから「うれしいです」「悲しいです」の類いを責める気はない(個人的には×だけど)。でも「ないです」はマズいだろ。通常は「ないです」は「ありません」にするべき。しかし「とんでもない」の場合はそれができないから問題だったのに……。


12-10-08
20日
 慣用句(かんようく)の誤用(ごよう)も毎回話題になる。今回の調査では、本来「なよなよしている」という意味の「にやける」を「薄笑(うすわら)いを浮(う)かべている」と誤解(ごかい)している人が76%、「惜しいと思う者を手放す」と言う意味の「割愛(かつあい)する」を「不必要なものを切り捨てる」という意味で使う人が65%になった。(夕刊6面)
「12-10-05」の続き。相当ヒドい。調査レポートの原文と比べると呆れてしまう。
【平成23年度「国語に関する世論調査」に対する疑問】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2518.html
 原文の「なよなよとしている」のしているの「と」を抜かしたのは、まだ罪が軽い。「薄笑いを浮かべている」と答えた人の割合76.5%を76%にしたことには目をつぶる。「惜しいと思う者を手放す」はないだろう。原文は当然「もの」。「者」にすると、人を「物」扱いすることになる。その直後の「言う意味」もありえない。


12-10-09
20日
 氏原さんによると、慣用句や故事成句(こじせいく)の場合は誤用が広まると本来の意味が意識され、敬語や漢字の読み方のように80%、90%までになることはないそうで、誤用が認められた例はないという。(夕刊6面)
「12-10-08」の直後にある文で、これが結び。正気で書いているのだろうか。まずリライトする。
「敬語や漢字の読み方は誤用が広まると、誤用率が80%、90%になることもある。氏原さんによると、慣用句や故事成句(こじせいく)の場合は誤用が広まると、かえって本来の意味が注目され、敬語や漢字の読み方のように誤用率が極端に高くなることはないらしい。そのため、誤用が認められた例はないという」
 問題は、前提の「敬語や漢字の読み方は誤用が広まると、誤用率が80%、90%になる」という記述が見つからないこと。「新しい表現は、使う人の割合が半数を超えると、とくに速いスピードで広まるそうだ」とはあるけど。
 それ以上に疑問のなのは、文の内容。氏原さんとは、文化庁国語課主任調査官の氏原基余司さん。そんな人がホントにこんなと言ったのかな。「慣用句や故事成句」で誤用が認められた例って、けっこうあると思うけど。ことわざの例をあげておこう。慣用句はいろいろあってキリがない。
よくある誤用2──ことわざの迷走 情けは人のためならず 犬も歩けば棒に当たる 隗より始めよ
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n114824
よくある誤用11──ことわざの迷走2 他山の石 枯れ木も山の賑わい 君子は豹変す
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n119180


12-10-10
23日
 菅野が敷かれたレールに乗って、プロ生活を送りたいと考えているのとは、真逆の進み方だ。(朝刊17面)
 西村欣也編集委員。編集委員がなんの注釈もつけずに「真逆」ですか。これはかなり画期的(「末期的」?)な発見かも。読点の打ち方にも異和感がある。


12-10-11
20日
 撮影で大変だったのは、「AKB史上最高の難易度」(大島優子さん)という28枚目のシングル「UZA」の振り付けを、AKBメンバーとサラリーマン役のダンサーたちが一緒にシンクロして踊ることでした。(朝刊18面)
 記者不明。視聴者の疑問に答えるコーナー。新しいCMの裏話。大島優子が「史上最高の難易度」とコメントするのは笑って見逃すことにする。でも「振り付けを踊る」とか「一緒にシンクロして」とかってのは……。


12-10-12
26日
 ともに今季Bクラスに終わったオリックスと広島は1位抽選に2回も外れ、後手に回ったのは否めない。(朝刊26面)
 笠井正基記者。微妙。「後手に回った観は否めない」「後手に回った観があるのは否めない」くらいの気がする。


12-10-13
30日
 成人して12年。日本酒はなんとなく敷居が高くて、飲む機会がほとんどなかった。まさかこんなにも身近で、おいしいものだとは。(朝刊12面)
 投稿欄。書き手は32歳の小学校教員。素人の文章にインネンをつけるのはどうかと思うが、あまりにも典型的な誤用だったもんで、「敷居が高い」日本酒ってどういうもの? 続く文も意味不明。「おいしい」はいいとして、「身近」ってどういう意味? ご実家が造り酒屋でしょうか。「手軽」ならわかるけど。
 念のため補足。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E6%95%B7%E5%B1%85&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=07835600&pagenum=1
================引用開始
敷居(しきい)が高(たか)・い
不義理や面目のないことがあって、その人の家へ行きにくい。

◆文化庁が発表した平成20年度「国語に関する世論調査」では、「あそこは敷居が高い」を、本来の意味である「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」で使う人が42.1パーセント、間違った意味「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」で使う人が45.6パーセントという逆転した結果が出ている。
================引用終了

 もはや、「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」の意味は許容されているのかもしれない。でも「日本酒は敷居が高い」とまで言われると、どんな玄関だよ、と言いたくなる。これでも慣用句の誤用はないんですかね、文化庁さん。


12-09-14
31日
“自作自演”のピンチを切り抜け、中継ぎの柱の自信が増した。(朝刊23面)
 山口裕紀記者。妙に技巧的な(「クサい」とも言う)文章の結びの一文がこれ。こういうのも「自作自演」って言うのかな。ちなみに、ネットの記事は見出しも「増井、自作自演のピンチ脱出」。「自ら招いたピンチ」あたりならフツーだろうな。

 全文は下記。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210300777.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201210300777
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よくある誤用29──知恵袋の定番4 初め/始め 早い/速い 子供/子ども

「誤用」とはちょっと違いますが、Yahoo!知恵袋でも何度も何度も同じ質問が出て、検索するすると笑ってしまうような質問が多々あります。
 なんとかならないんですかね。おすすめの回答などがあったら教えてください。
初め/始め
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=初め+始め&class=1&ei=UTF-8

 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1494258674
================引用開始
「週の初め」と「週の始め」の使い分け。
基本的には「start」「first」で使い分ければよいでしょう。
ただし、この問題は「初め」と「始め」の使い分けのなかでも、最難問クラスかもしれません。

どちらでも間違いではありません。 個人的には「はじめ」と書きます。
表記の使い分けに関しては、辞書類はあまり参考になりません。用字用語集の類いを調べることをおすすめします。
下記から類推すると「週の初め」でしょう。
ただし、「週のはじめと終わりに〜」の場合は、なんとも言えません。「はじめと終わり」は「始めと終わり」と書くのが一般的だからです。
================引用終了


早い/速い
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=早い 速い&class=1&aq=-1&oq=&ei=UTF-8

 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1094091595
================引用開始
「早い」と「速い」の使い分け。
原則的に、「早い」が〈主として時間関係〉で、「速い」が〈主として速度関係〉ということでよいでしょう。ただし、例外がいくつもあります。
たとえば「早口」。これは「速度関係」であって、決して「時間関係」の「朝早くの口」ではありません。原則に従うなら「速口」と書くべきでしょう。
慣例的に「はや◯」という名詞は、「早◯」と書くほうが圧倒的に多いようです。
逆の例で思いつくのは「速足」くらいです(「早足」でも間違いではないでしょう)。ほかに何かありますかね。
================引用終了


子供/子ども
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=子供 子ども&flg=3&class=1&ei=UTF-8&fr=common-navi&dnum=2078297843

 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1151044381
================引用開始
「子供」でも「子ども」でも間違いではありません。
「子ども」のほうが優勢なのは、「子供」という表記はよくないという一種の迷信が広がり、そういうことを声高に口にする人たちが増えたせいでしょう。とにかく「子ども」と書いておけば無難と考えているようです。
================引用終了

 下記の論文は本格的。
【国語科教育の基礎学の構築(I) 漢字の基礎-「子ども」・「子供」の表記を基にして- 清野 隆】
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/899/1/59-1-kyoiku-01.pdf

バックナンバーは下記。
【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365

よくある誤用28──知恵袋の定番3 サケ/シャケ 「なので」の接続詞的用法 1か月/1カ月/1ケ月

「誤用」とはちょっと違いますが、Yahoo!知恵袋でも何度も何度も同じ質問が出て、検索するすると笑ってしまうような質問が多々あります。
 なんとかならないんですかね。おすすめの回答などがあったら教えてください。


サケ/シャケ
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=サケ シャケ&flg=3&class=1&ei=UTF-8&fr=common-navi

 下記あたりをご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1093445960
================引用開始
もともとの「サケ」の名称はアイヌ語だったと推定されています。
ここは金田一京助先生の論を飲用(ママ)させていただきます。
================引用終了
 ウーン。アイヌ語だったのは「シャケ」じゃないのかな。
 いずれにしても語源の話を掘り下げてもあまり意味がない気がする。

 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1351924918
================引用開始
では「シャケ」が何かと言うと、諸説あります。
●東京弁
●川にいるのが「サケ」で加工品は「シャケ」
●ほかにもいろいろ

正確なところはわかりません。どんなに断言調で書いてある文献があっても、たしかな根拠などないはずです。
当方は北海道出身ですが、アチラでは「シャケ」か「秋味」と言います。ただし、アナウンサーは「サケ」と言います。おそらく、「シャケ」や「秋味」は方言という認識があるのでしょう。
(以下略)
================引用終了


なので
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=「なので」&class=1&aq=-1&oq=&ei=UTF-8

 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1394972308
================引用開始
これは「なので」の接続詞的用法ということですよね。先行コメントを見て困りました。「なので」の接続詞的用法を認めている辞書があるんですね。当方は手元で確認できる辞書がすべて認めていないので、「現段階では誤用」と考えていました。認める辞書が出てきたということは、グレーゾーンと言うことになります。
ただし、「誤用」と考える人も多いので、使わないほうが無難でしょう。「だから」のほか「したがって」「ですから」など、かわりになる接続詞はいくつもあります。
(以下略)
================引用終了


1か月/1カ月/1ヵ月/1箇月/1個月/1ヶ月/1ケ月
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?p=か カ ケ&flg=3&class=1&ei=UTF-8&fr=common-navi&dnum=2078297843

 個人的にはこう考えています。 
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1194937816

■■■■■■■■■■■■■■

「1か月」「数か所」などの「か」にはいろいろな表記法がある。どれが正しいのか、アチコチで話題になっている。
これは表記の問題なので、どれが正しいということではない。ただ、出版物などの場合は媒体によって表記のルールがあるので、それに従うのが正解ということになる。

■■■■■■■■■■■■■■

なかには秀逸な回答もある。BAを転載する。
【「1ヶ月」と「1ヵ月」の違いについて、教えてください。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1410606874
=================引用開始
2種類どころか、

「一ヶ月」、「一ケ月」、「1ヵ月」、「一カ月」、「一箇月」、「一個月」、「一か月」

と7種類もあります。

どれが正しいか、というご質問ですが、どれも正しいです。
もともとは「箇」が使われていたようですが(別の説もあります)、「箇」の略字として「ケ」が使われるようになり(そうではなくて「个」という字から取ったとする説もあります)ました。
また、「箇」の音を仮名表示しただけの「カ」「か」も使われるようになりました。
それとは別に、第二次大戦後、国語審議会が「箇」という漢字を当用漢字から外すべきだと言い出して、新聞で「箇」を使わないようにしようというルールができました。そこで、新聞では「箇」の代わりに「個」が使われるようになりました(新聞では今でも「箇所」は「個所」と表記されます)。

このように、いろんな事情でいろんな表記法が生まれましたが、どれが間違っていてどれが正しいという決まりはありませんので、好きな表記法で書かれたらいいと思いますよ。

ちなみに現在は、公文書は「一箇月」、新聞は「一カ月」(大文字のカタカナのカ)と表記しています。(厳密に言えば、新聞は会社によって使い方がマチマチですが、『新聞用字用語集』には「大文字のカタカナで表記する」と書かれています。)
(以下略)

■■■■■■■■■■■■■■

 下記も参考になるでしょう。
http://plaza.rakuten.co.jp/econavi/diary/200811060000/


バックナンバーは下記。
【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365

「な」と「の」の話の【参考資料】

 下記へのコメントの【追記】は制限文字数を超えるので、こちらに書きます。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1396478723

【補足】に関して。
↑に書いたとおり、「アホの話」は解釈が2通りあると思います。
「アホ(な人)が言った話」
「アホ(な人)についての話」
 これが「アホの人」になると、当方は△です。

「いろいろの症状/人」は微妙ですね。個人的には使いません。
 後ろに続く言葉でもかわってくるような。

 やはり個々に考えるしかないでしょう。
 個人的な語感では……。
「最適な環境」「最適の環境」は両方○で、意味はほぼ同じ。
「適度な運動」「適度の運動」は両方○で、意味はほぼ同じ。
「自然な風」「自然の風」は両方○で、意味は違うでしょう。
「適切な判断」は○で、「適切の判断」は△。
「快適な環境」は○で、「快適の環境」は△。

 これを論理的に説明できるとは思えません。

 最近のYahoo!知恵袋にあった下記は少し参考になるかも。
【「天才だ」は形容動詞ですか?それとも、名詞+だ、ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1396128973




【参考資料1】
『続弾! 問題な日本語』の正確な記述を引用します。結論部の「ポイント」(P.158)は下記のとおりです。
================引用開始
「問題な日本語」の「問題」は属性的な意味を表しています。属性的な意味に「の」が付くことは問題なく、したがって、「問題の日本語」という表現で間に合います。
「問題の日本語」には、〈問題として出されている日本語〉〈問題になっている日本語〉などの意味と、〈問題のある、変な日本語〉という意味がありますが、「問題な日本語」には、前者の意はなく、〈問題のある日本語〉の意に限定され、誤解なく伝わるという利点もあります。
================引用終了


【参考文献2】
 リンク先は話題が多岐にわたって長いので、関連性が強いところだけ引用します。
ことば会議室
http://kotobakai.seesaa.net/article/8174276.html
================引用開始
これはきわめて高度な問題ではないでしょうか。修飾語となりうる語に「だ」「な」「に」「の」のいずれが付くか付かないかは微妙なので、たとえば『岩波国語辞典』ではそれぞれの語ごとに「ダナ」「ダナノ」「名ノナ」「副ノナ」などと表示しています。飯豊毅一氏は『品詞別日本文法講座 形容詞・形容動詞』(明治書院)で、任意の50語を取り上げて、それらに「の」が付くか、「な」が付くか……というテストをしてみて、結局、名詞・形容動詞・副詞が画然とは分かれていないさまを示しています。いわれてみれば、さまざまな個性(意味・用法)をもったそれぞれの語を「品詞」という決まったワクに押し込めようとすること自体に無理があります。

「最適」には「だ・な・に・の」が付くのに「快適」には「だ・な・に」しか付かなかったり、また、「ふわふわ」に「だ・な・に・の・と」が付くのに「じめじめ」には「と」以外は付きにくかったりしても、どちらが正しくどちらが間違っているということではないでしょう。大まかにいえば、何も付かないか「と・に」が付く語は副詞的性格が強く、「な」が付く語は形容動詞的性格が強く、「の」が付く語は名詞的性格が強いと考えてよいと思います。
================引用終了


【参考資料3 当方が昔書いた原稿】
【板外編9】文法はお好きですか?──そんな物好きな人はいません
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1203.html
 以下は一部の抜粋(重言)。

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●「ガ」か「ヲ」か

 【練習問題1】
 次の2つの表現がどう違うのか考えてください。
  1)本ガ読める
  2)本ヲ読める

 文法の知識がどのようなときに役立つのか、2つの例で考えてみましょう。
 本書の★ページ★行目で、「(という応急処置で)わかりにくさが緩和できます」という表現を使いました。この表現は、「……わかりにくさを緩和できます」とすることもできます(「……わかりにくさを緩和することができます」とすることも可能ですが、ここでは除外します。「~ことができる」に関しては★ページ参照)。
 ガでもヲでもよさそうですが、本来はガにするべきです。その理由を考えるために、もう少し簡単な例を【練習問題1】にしました。
 2つの表現を見比べて、ガを使っている1)のほうが自然に感じられるかたは、すぐれた言葉の感覚の持ち主です。こう書いている当人は、ヲでもさほどヘンではない気がしています。「本当はどちらが正しいのか」と考えようとするときに役立つのが、文法の知識です。
 文法書などを見なくても、ふつうの国語辞典の「ガ」の項目に答えが出ています。用法のひとつとして「好悪、希望、可能などの対象を示す」といった記述があるはずです。具体例をあげると次のようになります。

  ・本ガ好きだ(好悪)
  ・本ガ読みたい(希望)
  ・本ガ読める(可能)

 さらに、この用法に関してはガのかわりにヲを使う例もふえている、と記載している辞書もあります。「本来はガを用いるべきで、ヲも許容される」というのが、文法的な考え方になるのでしょう。
 さすがに、「本ヲ好きだ」には抵抗を感じられるかたが多いはずです。「本ヲ読みたい」「本ヲ読める」はどう感じますか。
 このガとヲの問題は、「前後にガが目立つ」などの理由がある場合を除き、できるだけガを使うべきだとは思います。しかし、ヲはあくまで許容なのだからガを使うのが正しい、と強く主張する気にはなれません。
 もう一度はじめの例を見てみましょう。

  ・わかりにくさガ緩和できます
  ・わかりにくさヲ緩和できます

 この2つの表現は、「本ガ読める」と同様に「可能」を表しています。本来はガを用いるべきでしょうが、ヲを使ったほうが語感がよくありませんか。
 これは、ヲも使われるようになった経緯を考えると、当然なのかもしれません。本来はガを使うべきだったのに、ヲを使う例がふえてきたのには、それなりの理由があるはずです。ほかにも理由はあるにしても、語感のよさが大きな理由のひとつだったと思います(ほかの理由を説明すると長くなるので、ここでは「語感」という多少あいまいな言葉だけをあげておきます)。
 一般に、文法的には間違っていても定着する用法は、正しい用法よりも語感がよいことが多いようです。このことは、言葉の問題として取りあげられることが多い「ラ抜き言葉」(★ページ参照)のことを考えると、わかりやすいと思います。


●「ノ」か「ナ」か

【練習問題2】
 次の表現のうち、言葉の使い方が間違っているのはどれなのか考えてください。
  1)最適ノ人選
  2)最適ナ人選
  3)最悪ノ人選
  4)最悪ナ人選

 これもふつうの国語辞典で解決できる問題です。
「最適」は、名詞でもあり、形容動詞でもあります。1)の「最適ノ」は、名詞の「最適」に助詞の「ノ」がついた形です。2)の「最適ナ」が形容動詞の活用形のひとつであることは、ご存じのかたも多いでしょう。
 一方「最悪」は名詞でしかありませんから、「最悪ノ」の形では使えても、「最悪ナ」の形では使えません。したがって、4)の「最悪ナ人選」が間違った言葉の使い方ということになります。

 ここであげた「ガとヲ」の話や「ノとナ」の話は、言葉に敏感な人には無意味なものかもしれません。文法の知識などはなくても、感覚的に理解して使い分けることができているからです。
 しかし、言葉の問題で疑問を感じたときに、文法の知識をもっていたほうが解決しやすいことは理解していただけたと思います。先に文法について「知っているに越したことはない」という程度、と書いたのは、こういった理由からです。


【Coffee Break──なぜ「最適」にはノもナもつくのか】

 はじめにお断りしますが、この【Coffee Break】の内容は根拠が不確かな推論です。半信半疑でお読みください。
「最適」という言葉は、「最適ノ」の形でも「最適ナ」の形でも使われることは、本文で紹介したとおりです。名詞と形容動詞の両方の働きをもっている言葉は、ほかにもたくさんあります。ところが、「最適」のように両方の使われ方をされる言葉は、そう多くありません。たとえば、「適切」は「適切ナ(人選)」の形で使われます。名詞の働きをもっていても、「適切ノ(人選)」という表現を使う人はいないでしょう。
 そこで思いついたのが、「最適」も本来は「最適ナ」としか使われなかった言葉なのでは……という推論です。
 では、なぜ「最適ノ」が使われるようになったのでしょうか。
「最適」に似た印象の言葉を考えてみると、「最新」「最大」「最高」など、いくらでもあげられます。これらの言葉はいずれも名詞で、「〇〇ナ」の形では使われません。しかも「最新版」とか「最大公約数」という使われ方があっても、圧倒的に多いのは「〇〇ノ」の形です。この印象が強いため、「最適ノ」が許容されるようになった気がします。
「異質」も、同じように「同質」「変質」などの名詞の影響を受け、「異質ノ」が許容されたのではないでしょうか。
 特殊な例と考えられるのは「無用」です。「無用ナ」は、文法的には問題がなさそうなのに、あまり見かけません。おそらく、これは「無用」という言葉がもともと使用頻度が低いうえに、「無用ノ長物」や「無用ノ用」という慣用句の印象が強いためです。この「無用ノ」の印象の強さが、発音や意味がよく似ている「同様」や「不要」に影響を与えたと考えられます。そのため、本来は「同様ナ」や「不要ナ」の形でしか使われなかったのに、「同様ノ」や「不要ノ」も許容されるようになったのではないでしょうか。
「最適ノ」「異質ノ」「同様ノ」「不要ノ」に共通しているのは、「〇〇ノ」のほうが「〇〇ナ」よりも語感がよいことです。この点も、本来は「ナ」ではなかったのか、と思わせる一因になっています。
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プロフィール

tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

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