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よくある誤用32──敬語編2「~させていただく」「~させていただきます」「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」

「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」と書くほうが正確でしょうが、こう書いておきます。
 下記の【参考資料】を要約します。
 近年評判が悪い敬語表現のひとつが、「~させていただく」です。「~させていただく」が「二重敬語だから誤用」という珍説も目にします。
「~させていただく」自体は「誤用」などではありません。「乱用するとみっともないので気をつけよう」ということです。 

●第1段階の説明
 文化庁の「敬語の指針」のP.40〜41に解説があります。
 基本的には「ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる」とのこと。

================================
1)相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現
「コピーを取らせていただけますか。」
2)研究発表会などにおける冒頭の表現
「それでは,発表させていただきます。」
3)店の休業を張り紙などで告知するときの表現
「本日,休業させていただきます。」
4)結婚式における祝辞の表現
「私は,新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です。」
5)自己紹介の表現
「私は,○○高校を卒業させていただきました。」

 上記の例1)の場合は,ア),イ)の条件を満たしていると考えられるため,基本的な用法に合致していると判断できる。2)の例も同様だが,ア)の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため,「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようである。3)の例は,条件を満たしていると判断すれば適切だが,2)と同様に,ア)の条件がない場合には「休業いたします。」の方が良いと言えるだろう。4)の例は,ア)とイ)の両方の条件を満たしていないと感じる場合には,不適切だと判断される。5)の例も,同様である。ただし,4)については,結婚式が新郎や新婦を最大限に立てるべき場面であることを考え合わせれば許容されるという考え方もあり得る。5)については,「私は,卒業するのが困難だったところ,先生方の格別な御配慮によって何とか卒業させていただきました。ありがとうございました。」などという文脈であれば,必ずしも不適切だとは言えなくなる。
 なお,ア),イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。上記の2)~5)についても,このような用法の具体例としてとらえることもできる。その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。
================================

●第2段階の説明
「敬語の指針」は一応の解説にはなっています。ただ元々の問題が微妙なんで、スッキリしない部分が残ります。
 結局どうすればいいのかがわかりません。
 よく見る解決策として、「〜いたします」にすればいい、というのがあります。
 そのとおりだと思います。↑の「敬語の指針」の例で言うなら、下記のようになります。

1)取る→?
2)発表する→発表いたします
3)休業する→休業いたします
4)勉強した→勉強いたしました
5)卒業した→卒業いたしました

 2)〜5)はこの形でOKでしょう。でも1)はどうしますか?
 悪い例としてあげられることが多い「歌わせていただきます」場合はどうしますか?
 結論としては、「〜いたします」にできるものはそうすればいいことが多い、くらいでしょうか。「誤用」だとか「クドい」だとかメクジラを点てるのはどうかと思います。

【参考資料】
突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html

【「させていただく」=この言葉、気になる? 気にならない?】
http://www.excite.co.jp/News/laurier/column/E1347412552614.html
※文脈もなしに、「~させていただく」が気になるも気にならないもないでしょうに。

Yahoo!知恵袋だと下記のBAが参考になると思います。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362602693

索引のようなもの。
敬語のミニ知識・改【お品書き】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n105460
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よくある誤用31──敬語編1「拝見させていただきます」「拝見いたします」は二重敬語か。

下記から転載します。
【チャレンジ日記──二重敬語】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2422.html
 まず結論部。

================引用開始
1)拝見させていただく
 ↑の敬語連結のルールを知っていればまぎらわしくない。「見せてもらう」(正確には「見させてもらう」だろうが、説明がメンドーなので、「見せてもらう」にする)が、

「見せて」→「拝見させて」
「もらう」→「いただく」

 とそれぞれが敬語になっただけ。相当クドい形とは思うが、敬語連結であって二重敬語ではない。末尾を丁寧語の「〜します」にしても、敬語の種類が違うので二重敬語にはならない。


2)拝見いたします
 1)よりもちょっと微妙だと思うが、二重敬語ではない。
 ↑の「お/ご〜いたす」に準ずる。「拝見する」は、

〈「見る」+「お/ご〜する」〉

 とほぼ同様の働きをする特定形と考えられる。したがって、「拝見いたします」は謙譲語I&謙譲語IIの働きをもつ敬語表現。
 ちなみに「いたします」の部分は聞き手(読み手)に対する敬語なので、丁寧語を伴うのが一般的。だからあえてここだけ「〜します」にした。
================引用終了

 そもそも「二重敬語」とは何か。「敬語連結」とは何か。「お/ご〜いたす」とは何か……そういう話を始めると相当ややこしくなります。
 やはり文化庁の「敬語の指針」(P.20&P.30)を引くのが正解でしょう。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf

 その部分だけをひくと問題がありそうなので、詳しくは↑の【チャレンジ日記──二重敬語】の〈1〉をご参照ください。
 ネットで「拝見させていただきます」や「拝見いたします」を調べると、二重敬語にしているものが多数見つかる。どこまで信頼できるのでしょう。

 たとえば下記。
文法について 私はいままで、「拝見致します」という言葉を使っていました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1116278696

許されないオフィスでの敬語・言葉遣いNG集 [ビジネスマナー] All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/297610/2/


バックナンバーは下記。
【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365

よくある誤用30──知恵袋の定番5 「東京は浅草にやってきました」の「は」 「夜もふけてまいりました」の「も」  「博士{の/が}愛した数式」

「誤用」とはちょっと違いますが、Yahoo!知恵袋でも何度も何度も同じ質問が出て、検索するすると笑ってしまうような質問が多々あります。
 なんとかならないんですかね。おすすめの回答などがあったら教えてください。
 助詞の話なので検索がうまくできませんが、それぞれ何回も目にしています。


「東京は浅草にやってきました」の「は」
 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1194270146
================引用開始
場所を示す「〇〇は〇〇」の「は」の由来

「の」が素直だと思います。
「は」は古い言い方の美文調(名調子?)が残っているのでしょう。

この「ハ」の働きは、手元の辞書やWeb辞書には出ていません。ただ、一部の辞書には「時や場所など、場面をあらわす語について、後のさらに細かな場面設定を導く」などと出ているそうです。
http://qa.cyzo.com/qa6659282.html
================================引用開始
明鏡国語辞典を引いてみると「は」の用法の五番目に答えがあります。曰く「時や場所など、場面をあらわす語について、後のさらに細かな場面設定を導く」。「場面設定」とあるように、芝居がかった口上で用いるわけです。ちなみに「は」の用法には共通して、強調の意味があります。「私はニューヨークにいるんだぞー。よく聞け!」と強調したいという気取りが「は」という一語の選択に表れていると言えますね。
================================引用終了
「時」の場合は、講談などで「元禄2年は秋の末」のような言い方はするかもしれません。

詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2177.html
以下は一部の抜粋(重言)。

c ~のどこかと言えばの〈ハ〉/素直に「ノ」って言えよの〈ハ〉

たしかに「○○は△△にやってまいりました」をよく耳にするのは、テレビのグルメ番組なんかのレポート。なんで「ノ」にしないんだろうと疑問に思うけどさ。博徒や香具師の口上なんかでも近いのがあったような……「東京と言ってもいささか広うござんす。東京は神田……」とか「葛飾は柴又で産湯につかり……」とか。ほかではあまり聞かない。だからと言って方言にされては困る。
コメント[17]に出てきた『井上ひさしの日本語相談』を確認した。偶然なんだけど、つい最近別件で大野晋版を調べた。
(略)
井上ひさしの説明は非常にわかりやすいが、『春の朝』の例は、やはり「イチバンよねの〈ハ〉/と言ったらの〈ハ〉」だろう。たぶん、bとcを区別していないんだろう。


「夜もふけてまいりました」の「も」
 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1089507105
================引用開始
「夜もふけてまいりました」の「も」

おそらく、「宴もますますたけなわ」「朝も早くから」などと同じ用法でしょう。後者は「朝も早くから夜も遅くまで」と考えるなら微妙かもしれません。
Web辞書をひいても、係助詞らしいことはわかってもぴったりの記述はなく、手元の辞書も×でした。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=も&dtype=0&dname=...
■Web辞書『大辞林』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=も&dtype=0&dname=...

先行コメントにもある下記をよく読むとそれらしい説明があります。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17168/m0u/も/
================================引用開始
〔も〕▽(1)今日もよく晴れています▽(2)私は英語も数学も苦手です▽(3)夜もふけてきた▽(4)子供にも分かる道理▽(5)この一月で五キロも太った▽(6)どこにも行きたくない

【5】「も」も主題を示すが、「は」が一つの事柄を取りたてるのに対して、「も」は同類の事柄が他にも成立していることを前提としている。同類の事柄は、「も」の例文(1)のように直接示さない場合(「きのう晴れていた」ことが前提となる)と、例文(2)のように並立して示す場合がある。また、例文(3)のように同類の事柄が特定できない場合もある。(以下略)
================================引用終了

「例文(3)のように同類の事柄が特定できない場合もある」そうです。やっと納得できました。
この質問をきっかけにいい勉強ができました。ありがとうございます。
================引用終了


「博士{の/が}愛した数式」
 個人的にはこう考えています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1491399304
================引用開始
「ガ・ノ交替」「ガノ交替」などのキーワードでネット検索すると、専門的な論文がヒットします。
それだけメンドーな問題なので、要点だけ書きます。
質問の例文の場合は「ガ」でも「ノ」でも意味はかわりません。どちらもOKです。
「私の、言った事を伝える」と読点を打つ必要はないはずです。もっと特殊な文脈なら、必要かもしれませんが。
「彼は、選挙のたびに名前(の・が)出る人」もどちらでもOKです。読点は不要でしょう。
一般に、先行コメントにあるように「直後に数詞が来る場合」と「間に入る語句が多い場合」は「ガ」が自然とされています。個人的には疑問もありますが……。
下記のベストアンサーの説明がわかりやすいと思います。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1074379985

個人的には下記のように考えています。ポイントだけ抜粋します。
【助詞の話──「ノ」と「ガ」 Yahoo!知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1862.html
1)単純な文だと「ノ」は使いにくい
2)前後の助詞によって使い分けるべき
================引用終了

バックナンバーは下記。
【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365
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