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よくある誤用34──敬語編4 二重敬語

 二重敬語の問題も、Yahoo!知恵袋ではおなじみかもしれません。
 珍説がとびかうこともあります。いろいろな考え方があるのでしょうが、文化庁の「敬語の指針」に従うのが無難でしょう。
 詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2270.html

 以下は一部の抜粋(重言)。長くなるので要点だけに絞ります。

●「二重敬語」の定義/許容されている二重敬語
「敬語の指針」p.30から=====引用開始
(2)「二重敬語」とその適否
 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば,「お読みになられる」は,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「......れる」を加えたもので,二重敬語である。
 「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================引用終了

●「二重敬語」と間違えられやすい「敬語連結」
「敬語の指針」p.30から=====引用開始
(3)「敬語連結」とその適否
 二つ(以上)の語をそれぞれ敬語にして,接続助詞「て」でつなげたものは,上で言う「二重敬語」ではない。このようなものを,ここでは「敬語連結」と呼ぶことにする。例えば,「お読みになっていらっしゃる」は,「読んでいる」の「読む」を「お読みになる」に,「いる」を「いらっしゃる」にしてつなげたものである。つまり,「読む」「いる」という二つの語をそれぞれ別々に敬語(この場合は尊敬語)にしてつなげたものなので,「二重敬語」には当たらず,「敬語連結」に当たる。
 「敬語連結」は,多少の冗長感が生じる場合もあるが,個々の敬語の使い方が適切であり,かつ敬語同士の結び付きに意味的な不合理がない限りは,基本的に許容されるものである。
【許容される敬語連結の例】
・お読みになっていらっしゃる
(上述。「読んでいる」の「読む」「いる」をそれぞれ別々に尊敬語にしたもの。)
・お読みになってくださる
(「読んでくれる」の「読む」「くれる」をそれぞれ別々に尊敬語にしたもの。)
・お読みになっていただく
(「読んでもらう」の「読む」を尊敬語に,「もらう」を謙譲語Iにしたもの。尊敬語と謙譲語Iの連結であるが,立てる対象が一致しているので,意味的に不合理はなく,許容される。)
・御案内してさしあげる(「案内してあげる」の「案内する」「あげる」をそれぞれ別々に謙譲語Iにしたもの。)
================引用終了

●「二重敬語」と間違えられやすい「お/ご〜いたす」
「敬語の指針」p.30から=====引用開始
【補足イ:謙譲語Iと謙譲語IIの両方の性質を併せ持つ敬語】
 謙譲語Iと謙譲語IIとは,上述のように異なる種類の敬語であるが,その一方で, 両方の性質を併せ持つ敬語として「お(ご)......いたす」がある。
 「駅で先生をお待ちいたします。」と述べる場合,「駅で先生を待ちます。」と同じ 内容であるが,「待つ」の代わりに「お待ちいたす」が使われている。これは,「お待 ちする」の「する」を更に「いたす」に代えたものであり,「お待ちする」(謙譲語I) と「いたす」(謙譲語II)の両方が使われていることになる。この場合,「お待ちする」 の働きにより,「待つ」の<向かう先>である「先生」を立てるとともに,「いたす」 の働きにより,話や文章の<相手>(「先生」である場合も,他の人物である場合も ある。)に対して丁重に述べることにもなる。
 つまり,「お(ご)......いたす」は,「自分側から相手側又は第三者に向かう行為につ いて,その向かう先の人物を立てるとともに,話や文章の相手に対して丁重に述べる」 という働きを持つ,「謙譲語I」兼「謙譲語II」である。
================引用終了

 以上をまとめると、下記のようになります。
「お読みになられる」→二重敬語
「お読みになっていらっしゃる」→二重敬語ではない(敬語連結)
「お読みになってくださる」→二重敬語ではない(敬語連結)
※この縮約形とも言える「お読みくださる」も広く使われている
「お読みになっていただく」→二重敬語ではない(敬語連結)
※この縮約形とも言える「お読みいただく」も広く使われている
「お読みいたす」→二重敬語ではない(「謙譲語I」兼「謙譲語II」)

 上記を踏まえた上で、下記のやり取りをご確認ください。
【 「~はお持ちでいらっしゃいますか」 は二重敬語に当たりますか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1442227134
【「お召し上がりください」も2重敬語ですか】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1497195369
【「ご案内いたします」はなぜ二重敬語ではないのですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1488596719

バックナンバーは下記。
【お品書き】よくある誤用
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n118365
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