日本語アレコレ──「自然に」と「自然と」の違い〈4〉
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671
mixi日記2013年04月04日から
直接的には下記の続きだろうな。
【「自然に」と「自然と」の違い1】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-305.html
【「自然に」と「自然と」の違い2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-588.html
【「自然に」と「自然と」の違い3※微毒アリ編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1558.html
テーマサイトは下記。
【「となる」、「になる」の違いは何でしょうか。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12104889857
〈結果などを表わすトとニの使い分け〉に関して非常に興味深いコメントを目にした。
このトとニ関しては、比較的最近になって研究が進んでいるらしい。
ニのほうは割に新しい用法だと思っていたが、どうやら古くからあるらしい。そうなんだ。それは別として、ポイントは2つある。
【ポイント1】
「ここで働いて40年ニなる」はトにならない。
================引用開始
歴史的には、ニナルは主格が存在しなくても良い点で、非常に形式語的な用法として一貫しています。
・ここで働いて40年になる
→”40年になる"の主格は、「働いてきた年月の合計時間〈ガ〉」ですが、顕在化すると日本語として不自然になります。
このような性質は、どうやら平安時代から一貫しているようです。
1975年ごろに東大の雑誌で発表されました。
================引用終了
【ポイント2】
「今度の事故は、死亡者数5000人ト、未曾有の惨事ニなった」のトとニは互換性がない。
================引用開始
現代語では、ニは変化結果を抽象的に表し、トはその内容を具体的に表示します。
・今度の事故は、死亡者数5000人〈ト〉、未曾有の惨事〈ニ〉なった。
~トと~ニの語順は入れ替わることがありません。
この研究成果は、21世紀に入ってからのもので、ある査読雑誌で発表されたものです。
私の見るところでは、このような性質も、やはり平安時代から現代語まで続くもののようです。
================引用終了
かなり微妙な問題なんで、当方が口を挟むようなことではないのかもしれないが、ちょっと疑問を感じた。
やっぱり、もっとしっかりした文法辞典などで調べなきゃダメかな。それはそれで泥沼が待っているような気がして……。
まず【ポイント1】に関して。
■Web辞書『大辞泉』から抜粋。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&stype=1&dname=&pagenum=11
================引用開始
に
[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家―着く」「東―向かう」
4 動作・作用・変化の結果を表す。「危篤―陥る」「水泡―帰する」
================引用終了
〈結果などを表わすニ〉は「4」で、トにできる(あれ? 「危篤ト陥る」はヘンだな。「{ト/ニ}ナル」じゃなければこういうこともあるってことか)。ところが、「ここで働いて40年ニなる」はトにしにくい。これは〈結果などを表わすニ〉とは違うのでは。
「じゃあ『大辞泉』の何か」と訊かれても困るが、あえて言うなら「3」に近い。下記のニと同様では。
息子は来年3歳ニなります。
これは未来のことを言ってるんだから、「結果」ではない。
よく似た形で〈(すでに3歳になっている子のことを)「この子は3歳になります」という用法もある〉。これはまた別の話で、下記に書いたように〈「こんな粗末な(期待外れかもしれない)もので申し訳ない」という下手に出る意識から出た言い回し〉って気がする。
【「~になります」考〈4〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2382.html
あるいは、下記あたりと同じ、って考え方もできるのでは。「~ニ当たる」くらいの意味。
現店主は(創業者から数えて)8代目ニなります。
いずれにしても〈結果などを表わすニ〉とちょっと違うだろう。
【ポイント2】について。
これも「5000人ト」は〈結果などを表わすト〉とは違う。おそらく、引用などを表わすトに近い。だからニにはできない。あえて書きかえるならデだろう。
下記のような例なら、トとニの互換性がある。
今度の事故は、死亡者数が5000人{ト/ニ}なった。トンネル災害としては未曾有の惨事{ト/ニ}なった。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
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mixi日記2013年04月04日から
直接的には下記の続きだろうな。
【「自然に」と「自然と」の違い1】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-305.html
【「自然に」と「自然と」の違い2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-588.html
【「自然に」と「自然と」の違い3※微毒アリ編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1558.html
テーマサイトは下記。
【「となる」、「になる」の違いは何でしょうか。】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12104889857
〈結果などを表わすトとニの使い分け〉に関して非常に興味深いコメントを目にした。
このトとニ関しては、比較的最近になって研究が進んでいるらしい。
ニのほうは割に新しい用法だと思っていたが、どうやら古くからあるらしい。そうなんだ。それは別として、ポイントは2つある。
【ポイント1】
「ここで働いて40年ニなる」はトにならない。
================引用開始
歴史的には、ニナルは主格が存在しなくても良い点で、非常に形式語的な用法として一貫しています。
・ここで働いて40年になる
→”40年になる"の主格は、「働いてきた年月の合計時間〈ガ〉」ですが、顕在化すると日本語として不自然になります。
このような性質は、どうやら平安時代から一貫しているようです。
1975年ごろに東大の雑誌で発表されました。
================引用終了
【ポイント2】
「今度の事故は、死亡者数5000人ト、未曾有の惨事ニなった」のトとニは互換性がない。
================引用開始
現代語では、ニは変化結果を抽象的に表し、トはその内容を具体的に表示します。
・今度の事故は、死亡者数5000人〈ト〉、未曾有の惨事〈ニ〉なった。
~トと~ニの語順は入れ替わることがありません。
この研究成果は、21世紀に入ってからのもので、ある査読雑誌で発表されたものです。
私の見るところでは、このような性質も、やはり平安時代から現代語まで続くもののようです。
================引用終了
かなり微妙な問題なんで、当方が口を挟むようなことではないのかもしれないが、ちょっと疑問を感じた。
やっぱり、もっとしっかりした文法辞典などで調べなきゃダメかな。それはそれで泥沼が待っているような気がして……。
まず【ポイント1】に関して。
■Web辞書『大辞泉』から抜粋。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&stype=1&dname=&pagenum=11
================引用開始
に
[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家―着く」「東―向かう」
4 動作・作用・変化の結果を表す。「危篤―陥る」「水泡―帰する」
================引用終了
〈結果などを表わすニ〉は「4」で、トにできる(あれ? 「危篤ト陥る」はヘンだな。「{ト/ニ}ナル」じゃなければこういうこともあるってことか)。ところが、「ここで働いて40年ニなる」はトにしにくい。これは〈結果などを表わすニ〉とは違うのでは。
「じゃあ『大辞泉』の何か」と訊かれても困るが、あえて言うなら「3」に近い。下記のニと同様では。
息子は来年3歳ニなります。
これは未来のことを言ってるんだから、「結果」ではない。
よく似た形で〈(すでに3歳になっている子のことを)「この子は3歳になります」という用法もある〉。これはまた別の話で、下記に書いたように〈「こんな粗末な(期待外れかもしれない)もので申し訳ない」という下手に出る意識から出た言い回し〉って気がする。
【「~になります」考〈4〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2382.html
あるいは、下記あたりと同じ、って考え方もできるのでは。「~ニ当たる」くらいの意味。
現店主は(創業者から数えて)8代目ニなります。
いずれにしても〈結果などを表わすニ〉とちょっと違うだろう。
【ポイント2】について。
これも「5000人ト」は〈結果などを表わすト〉とは違う。おそらく、引用などを表わすトに近い。だからニにはできない。あえて書きかえるならデだろう。
下記のような例なら、トとニの互換性がある。
今度の事故は、死亡者数が5000人{ト/ニ}なった。トンネル災害としては未曾有の惨事{ト/ニ}なった。
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