電脳の譜 4

電脳の譜【1】
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電脳の譜【2】
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電脳の譜【3】
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電脳の譜【4】
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電脳の譜【5】
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電脳の譜【6】
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【4】3回戦 サークラ対新崎修八段(1組5位)

 サークラの3回戦の相手は、「埴生世代」の新崎修八段だった。第一線で活躍を続ける「埴生世代」のなかではやや精彩を欠く印象があり、かつてはA級に在籍していた順位戦も、現在はB級2組に甘んじている。
 長年名人位を争っている埴生名人と木内九段が、小学生名人を争って以来のライバルという話は広く知られている。しかし、実はそれより先に埴生名人のライバルだったのは新崎八段で、「小学生名人戦低学年の部」の決勝で対局している。優勝したのは、この段階では棋力が上だった新崎少年だった。埴生少年が小学生の将棋大会で活躍するようになったのは、新崎少年がひと足早く奨励会に入って大会に出場しなくなってからのことだ。
 埴生少年が後から奨励会入りし、異例のスピードでプロになったことに、新崎少年はショックを受けたという。「自分より下」と考えていた相手に、あっという間に抜き去られたのだから無理もない。
 奨励会時代の新崎少年は、お世辞にも勤勉とはいえなかった。そこそこ将棋の研究もしながら、中学生の頃から雀荘や飲み屋に入り浸り、中学校すらまともに卒業しなかった。
 それでも才能がズバ抜けていたのだろう。そこそこの研究でもプロ棋士になり、20歳のときにはテレビ棋戦で優勝して脚光を浴びている。「埴生世代」のなかで全棋士参加棋戦で優勝したのは、埴生、木内に次いで3番目の早さだった。
 当時、ひそかに新崎に注目していた森山は、このあたりのことをよく覚えていた。
〈もし新崎八段が将棋しか取り柄のない人間だったら……〉
 そんなふうに思うこともあった。新崎は若手の頃からあまりにも多才だった。軽妙洒脱な話術はテレビの将棋番組でコーナーをもつほどだったし、多数の将棋の本以外にエッセイ集なども出版していた。ギャンブル好きも広く知られ、「将棋よりも好き」と公言する麻雀では、プロアマオープンの大会で優勝したこともあった。そのマルチタレントぶりは、師匠の米中永世棋聖にヒケをとらないといわれ、一部では、凌駕しているという声さえあった。
──兄たちは頭が悪いから東大に行った。自分は頭がいいから将棋指しになった。
 数多い米中語録のなかでも、最も知られているのはこの言葉だろう。少し考えれば、誇張などではないことがわかる。全国からプロ棋士を目指して奨励会に入ってくるのは、地元では神童扱いされる天才少年ばかりなのだ。早い者は小学生のときから将棋漬けの日々を送って過酷な競争を続ける。究極の英才教育で鎬を削り、プロ棋士になれるのは1年にたった2人だけ。東大に入るのとどちらが難関なのかは明らかだった。
 新崎少年は、そんな天才少年のなかでもひときわ有望な原石だった。しかし、いつしか輝きを失っていく。どこでボタンを掛け違えたのか、どこで歯車が狂いはじめたのか……おそらくそれを一番知りたいのは本人だろう。
 順位戦で3期連続昇級を果たし、30歳を前に念願のA級入りして八段に昇段したが、2期でB級1組に降級する。このあたりから、新崎八段は目立った活躍がなくなる。まだ衰える年齢ではないのに、年度別の成績で見ても5割前後の勝率しか残せなくなった。昨年1組にカムバックした棋神戦で5位に入賞し、本戦に進んだのは久しぶりのことだった。
 白髪まじりですっかり中年の風貌になった新崎八段は、どこか昔の棋士の香りを残していた。「最後の無頼派」などと呼ばれるのも、そういう雰囲気のせいなのだろう。

 大盤解説会場のモニターに対局室の新崎八段の様子が映し出されると、会場は一瞬異様な静けさに包まれたあと、ざわめきが広がった。新崎八段は頭を剃っていた。棋士の正装ともいえる和服姿なので、スキンヘッドというよりも「剃髪」という古風ないい方が似合いそうだった。2回戦の船井五段のやつれ果てた姿も見る者に衝撃を与えたが、新崎八段の異様な出で立ちのインパクトは、はるかに上を行った。
 対局が始まる。先手のサークラが7六歩とすると、新崎八段は少考して6二玉と上がった。落ち着きを取り戻しかけていた会場に、再びざわめきが広がる。前年の第1回電王戦で、米中永世棋聖がとった作戦だった。
「これは、意外な手が出ました……」
 と言って和田棋神が言葉に詰まった。「昨年、米中永世棋聖が将棋ソフト戦用の秘策として指した一着で、新米中玉などと呼ばれる形です。この手は……ひとことでいうと、定跡を外した一手なんですが、いい作戦かどうかはなんともいえなくて……解説不能です」
 和田棋神らしくない歯切れの悪い口調だった。いつもは、少し考えたあとにむしろ早口気味に言葉が出てくる。
「ちょっとよろしいでしょうか」
 森山が珍しく自分から手をあげた。「昨年の電王戦は観戦していなくて、結果をあとから聞きました。米中永世棋聖が初手に6二玉と指したと知ったとき、たいへん失礼とは思いながら、なんてバカなことを、と思いました。駒落ち将棋の上手の指し方にしか見えなかったもので。端的にいうと、将棋ソフトを見下してかかって、余裕を見せたのじゃないか、と疑いました。そんな態度に出て負けたのではシャレになりません。実際には、米中永世棋聖は将棋ソフトの実力を知った上で、考え抜いた作戦としてああ指したと知って安心しました。ただ、はたしてあれが作戦としてよかったのか、もちろん私には不明です」
 事前に将棋ソフトとの練習将棋を重ねたうえで、最も勝てる可能性が高い手として米中永世棋聖は6二玉を選んでいた。将棋ソフトのデータベースにない手を指すことによって、泥仕合に引きずり込む作戦だった。しかし、それは「正攻法では勝てない」と認めたことになりかねなかった。計算ずくの作戦だったが、異様に見える指し方を「奇策」「愚策」と批判したメディアもあった。将棋をよく知らない記者のなかには、「晩節を汚した」と書いた者までいた。
「そうですね……普通に考えると6二玉は平手戦ではめったに見ない手で、将棋ソフトとの戦いに限って可能性がある手……と言っておきましょうか」
「話が前後して申し訳ありませんが、2回戦のサークラ対船井竜平五段戦に関してお訊きしたいのですが……」
「もしかすると、類似局があったことでしょうか」
「お察しのとおりです。一部のメディアで、あの終盤にはよく似た前例があったと話題になっていたようですが……」
「こういう類似局の発見はコンピューターが得意なんですが、これは控室で観戦中の伊藤康光九段が気づいたそうです。問題の類似局は、1988年の順位戦で後手の埴生名人が勝った対局です。その対局は角換わりではなく矢倉の将棋でしたが、終盤の形はほぼ同じでした。当時五段だった埴生名人が大逆転したことで、〝埴生マジック〟の初期の名局として伊藤九段は覚えていたそうです。それにしても25年前の対局ですよ。自分で指した将棋なら別ですけど……いったいどんな記憶力をしてるんでしょうね」
「プロ棋士の先生方の記憶力のことを疑問に思うのは、ずいぶん昔にやめました」
 と森山がおかしそうに言う。「一般人から見ると、どんな記憶力をしているのか不思議な人ばかりですから」
「先日の一局にしても昔の埴生五段の対局にしても、もしかすると大逆転ではないのかもしれません。いったいどのくらい前から、2八飛車以降の一連の手順が見えていたのか。もしずっと前から読めていたのなら、〝大逆転〟ではなく、単なる〝読み筋〟になります。埴生五段の指した手順が、サークラのデータベースに入っていたんですかね。このあたりは、開発者に訊けばわかるのでしょうか」
 話しながら、和田棋神は大盤の駒を手早く動かして後手が2八飛車を打つ直前の局面をつくった。
「そうですね……仮に〝次の一手〟の問題として出されたら、無理矢理ひねり出すかもしれません。逆転の一手が必ずある、という前提で考えますから」
 と言いながら、2八に何度か飛車を打ち付けた。「でも実戦ではこんな手は思いつきません。もう投了してもおかしくない局面です。少なくとも……ボクにはこの局面で2八飛車は打てません。角に成られるとほぼ受けなしですから、一番ダメな手に見えます。かといってほかにどんな手があるかというと……」
 角が成った局面を前にして、和田棋神は腕組みをしてしばらくの間考え込んだ。
「やはり普通は思いつきません。こんな手が指せたら気持ちがいいでしょうね。ギリギリまで引きつけて、鮮やかなカウンターが決まるみたいで。普通はここまで追いつめられる前になんとかしようとします。ここまで行ってしまったら……諦めます」
 和田棋神は盤面を崩し、解説の局面に戻した。
 ゆっくりとした序盤は、見慣れない形になっていた。振り飛車に構えた先手は普通の駒組みだったが、後手の金銀がスクラムを組むような形で盛り上がっている。
「やはり駒落ち将棋にしか見えませんね」
 と言って和田棋神は苦笑した。「誤解しているかたが多いようなので解説しておきますが、こういう将棋……全面的なおさえ込みを図る将棋は、メチャクチャにたいへんなんです。攻略するほうは一点だけ隙を見つけて突破すればいいのですが、おさえ込むほうはすべてをケアしなければなりません。苦労の多い将棋、といえるかもしれません。おさえ込みに成功すると、圧勝します。逆におさえ込みに失敗すると、たいてい一方的に負けます。結果は大きく違いますが、実際には紙一重なんです。昨年の対局も米中永世棋聖が大差で負けたと思っている人が多いようです。実際には、中盤までは米中永世棋聖のほうが優勢でした。ただ、たった一手のミスでほころびが生じて、負けてしまったということです。その一手のミスを見逃さなかった将棋ソフトはさすがでした」
 このとき、会場に棋譜が届けられた。和田棋神は口元を抑えてスタッフと小声で打ち合わせをした。
「たったいま、昨年の電王戦の棋譜が届きました。これから棋譜の解説をしようと思いましたが、同じ〝おさえ込み〟がテーマなら、先日の武浦八段とサークラの将棋のほうの解説を聞きたい人が多いのではないかと思うのですが。こちらも棋譜が用意されています。先ほど、せっかく取り寄せた棋譜をムダにしてもいいと運営側の許可はいただきましたので……多数決で決めますか、藤野さん」
「そうしましょうか」
 藤野女流初段が笑顔でこたえた。
 拍手による多数決をとると、武浦八段とサークラの一戦の解説を希望する人が圧倒的に多かった。戦形が一般的な相矢倉であり、何よりも記憶に新しい一局のほうが人気が高いのは当然のことだった。
「といっても、この将棋もさんざんメディアで取り上げられているので、皆さんのほうが詳しいかもしれません。あまり時間もないんでホントにポイントだけ」
 和田棋神は例によって大急ぎでしかけの局面を再現した。
「ここまでは定跡どおりで、この7五歩のしかけから8四銀というのは、ありそうでなかった手順です。持ち時間の短い実戦でこんな手を指されたら相当焦ります。これで有力な対抗策がないなら、新定跡になるんでしょうかね。少し無理気味って気がしますが。対して武浦八段がおさえ込みの方針に出ます。この方針は間違っていないと思いますが、なにしろサークラが巧みでした。ボクが一番驚いたのは、66手目のこの7四歩から6四歩のあたりですね。こんな細い攻めでうまく行くのだろうか、と思っていたらうまく行ってしまいました」
「細い攻めをつなぐ……というのは、和田先生の代名詞だと思ってましたが……」
 藤野女流初段が遠慮がちにツッコミを入れる。
「そんなふうにいう人もいるようです。ボクだってそういう貧乏くさい攻めが好きなわけではなく、豪快に大駒をたたき切って、って攻めをすることもあるんですけど。まあ、どちらかというと細い攻めをネチネチと貧乏くさくつなぐことが多いですね」
 と言って和田棋神が苦笑いを浮かべた。
「その和田先生が驚くんですから、相当すごい技術なんですね」
 と言って藤野女流初段も笑う。話をしながら、局面は進んでいく。
「厳密にいうと、武浦八段にも小さなミスがあったと思います。おそらく、ここで7五金と上がるよりは、8六の銀が7五に上がるほうがよかったでしょう。ただ、これが決定的なミスとは思えません。小さなミスがいくつかあったにせよ、とにかくサークラの対応が正確で、ほぼノーミスだったと思います。経験のない戦形で、こういう対応をされると、かなり厳しいものがあります」
 解説を挟みながら投了までの手順を並べて、和田棋神は小さく首を振った。
「最後は非常に残念な形で終わりました。ただ、先ほどもお話ししたように、こういう将棋は勝つにしても負けるにしても大差になるものなんです。この一局について〝王手さえかけられない惨敗〟みたいなことを書いていた週刊誌がありましたが、そういうことではないんです。あれは将棋をあまりよく知らない人が書いたんでしょうね。同じプロ棋士として、ああいう書き方はちょっと許せないものがあります」
 観客席から大きな拍手が起き、和田棋神は照れたような笑いを浮かべた。
「済みません。ちょっと熱くなってしまいました。電王戦に関しては、将棋の専門誌以外のメディアがいろいろ取り上げてくれて……そのこと自体はありがたいのですが、将棋に対する理解不足の記事が目についたもので。まあ、いずれにしても、苦労が多い方針なので、将棋ソフトを相手におさえ込みに行くのは危険って気がします」
「じゃあ、先生ならサークラ相手にどう指しますか?」
「いきなり直球ど真ん中の質問ですね……」
 和田棋神の苦笑まじりの言葉に笑いが起きた。「詳しいことは企業機密なので話せませんが……以前、ボクが将棋ソフトと対局したときは、相手が飛車を振ってくれたので、きわめて普通の定跡どおりの駒組みになりました。もし、相手が居飛車で来たら……現段階の予定では、矢倉は避けるのではないかと思います」
 と言いながら、和田棋神は盤面を初形に戻しはじめた。「と……さりげなく話を逸らすモードに出たりして」
「ここはあえてツッコみます。サークラの矢倉は手ごわいとお考えなのでしょうか」
「いやその……もっと研究してみないとなんともいえませんが、矢倉戦に関してはまだ隠し球をいくつかもっている気がします。だとすると、ウカツには踏み込めないような……。先手番の矢倉なら避ける理由はないと考えていたのですが、武浦八段との対局を見て弱気になっています。その点、角換わりだと飛車先の歩を無条件で切らせてくれるんですから、こちらを選ぶべきでしょう」
「そういえば、今年の名人戦で指された矢倉戦の新手も、最初に指したのは将棋ソフトだったと聞きましたが……」
「いやまあ、そのあたりは研究されている途中なので、話しはじめると長くなります……ということで、解説に戻りましょう」

 戦いは中盤にさしかかっていた。
 見たこともないような将棋で、どこに注目すべきか森山にはさっぱりわからなかった。後手の駒が前進を続け、全局を圧倒しているようにも見える。しかし、低く構えた先手陣は、多少息苦しさを感じながらも隙がなかった。意味のないパスのような手順をまじえながら、互いに戦機をうかがっていた。
 森山はモニター越しに新崎八段を注視していた。普段は笑みを絶やさず人のよさそうな顔をしているが、将棋盤に向かうと人がかわる。今日は一段と表情が険しく見えるのは、スキンヘッドのせいだけではないだろう。
 和服の正装にしても青々と剃り上げた頭にしても、師匠の弔い合戦に臨む決意を示しているような気がした。昔、名人初挑戦に際して頭を剃った棋士がいた。主として威嚇が目的といわれたが、コンピューターが相手だとそんな効果はない。純粋に新崎八段の決意を表わしているように思えた。しかも、あえて師匠と同じ異筋の6二玉を指して将棋ソフトという怪物に立ち向かう。
 米中永世棋聖が放任主義だったのをいいことに、新崎八段は好き勝手な棋士生活を送ってきたようにいわれている。だが、師匠と弟子は、第三者にはうかがいしれない絆で結ばれているのではないか。
〈将棋の神様の思し召しなのでは……〉
 サークラの棋神戦参戦が決まったとき、森山はそんなふうに思った。
 米中永世棋聖が最後の晴れ舞台として選んだ将棋ソフトとの戦い。それは「汚れ役を買って出た」とも「最悪のパフォーマンス」ともいわれた。翌年の電王戦を経て、サークラが棋神戦に参加する。久々の本戦出場を果たした新崎八段にとって、師匠の無念を晴らすのにこれ以上の舞台はなかった。
 それまでにほかの棋士が勝ってくれることを願いながら、森山はサークラと新崎八段との一戦が見たかった。輝きを取り戻した新崎八段の姿が見たかった。サークラは若手棋士を薙ぎ倒し、新崎八段の前に姿を現わした。あとは将棋の神様に祈るしかなかった。
 だが、新崎八段の想いも、森山の祈りも、一瞬で打ち砕かれた。
 長い中盤戦が続く中、慎重な駒組みを続けていた新崎八段が、小さな隙を見せた。それは、隙というほどでもないほんのわずかなほころびだったのかもしれないが、サークラは見逃さなかった。巧みにそこをつき、五手一組の有無をいわさぬ鮮やかな手筋で突破口を開いてしまった。
 あとは和田棋神が解説していたとおりだった。おさえ込みに失敗した将棋は、勝負どころもないままサークラが一方的に押し切った。





竜王戦 三浦弘之 佐藤慎一 塚田泰明 米長邦雄 阿部光瑠 船江恒平 羽生善治 渡辺明 佐藤康光 森内俊之 先崎学 郷田真隆 丸山忠之 藤井猛 谷川浩司 藤田綾 渡邉恒雄 ナベツネ 藤井システム 大山康晴 升田幸三 
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電脳の譜 3

【3】2回戦 サークラ対船井竜平五段(4組優勝)

 2回戦でサークラを迎え撃つのは、電王戦で中堅を務めた船井竜平五段だった。1回戦に続いて電王戦に参戦した若手棋士が登場するのは、偶然というより必然だった。電王戦にも起用された精鋭が、棋神戦でも勝ち上がってきていた。
 一部の将棋のファン間では、電王戦でポイントゲッターとして一番期待できるのは船井五段といわれていた。現役A級棋士の武浦八段は別格として、ほかの棋士のなかではもっとも勝利に近いのでは……と。
 25歳の船井五段は奨励会時代が長かったために、プロ入りしたのが23歳と遅かった。しかし、五段ではあってもそれ以上の棋力をもつといわれ、とくに詰将棋の正確さはトップクラスと定評があった。段位以上に棋士の強さを正確に表わすとされるレーティングの数字で見ると、船井五段の順位は30位前後を推移し、「若手」というよりトップクラスまでもう一歩という位置だった。
 船井五段の対戦相手の将棋ソフトの知名度が低かったことも影響した。サークラの強さは将棋ファンの間でも知られていたが、それ以外のソフトはさほどでもない、という印象があった。船井五段が惜敗したことで、「もしかすると武浦八段も危ないのでは……」というイヤな雰囲気が出来上がり、それが現実になってしまった。
 今回の対局は、船井五段にとっては絶好のリベンジマッチだった。

 大盤解説会場のモニターに対局室の船井五段の様子が映し出させると、会場がざわつき、「ワラワラ動画」の実況中継のコメント欄にも驚きのコメントがあふれた。
 精悍な印象があった船井五段の風貌が、別人のようだった。目は落ちくぼみ、頬はげっそりと削げて重病人のようで、テニス好きのスポーツマンの面影はなかった。
 電王戦の敗戦から約3か月、船井五段は対局と睡眠以外の時間はほぼ将棋ソフトの研究に没頭した。将棋ソフトとの再戦を誰よりも熱望していたのは、船井五段だった。約1か月前にサークラを貸与されてからはさらに睡眠時間を削り、自由になる時間のほとんどを研究に費やした。これほど将棋漬けの日々を送ったのは、四段になる直前以来だった。
 対局が始まると船井五段は異常なまでの早指しを見せ、ほとんど考慮時間を使わなかった。少考を繰り返すようにプログラムされているサークラとは考慮時間に差が出て、序盤で1時間ほど開いた。棋神戦の持ち時間は各5時間で電王戦よりも1時間長いが、電王戦で終盤に時間がなくなった苦い経験を活かした作戦だった。十分な研究を積んできた証しでもある。
 局面は電王戦と同じ角換わりになった。先手の船井五段だけが飛車先の歩を交換し、やや有利な形勢に見えた。
「なぜ将棋ソフトが無条件で飛車先の歩の交換を許すのか、ボクには理解できません。ぜひ将棋ソフトに訊いてみたいところですが、答えてくれないでしょうね」
 と、和田棋神が首を傾げる。「もし角換わりは飛車先の歩を交換したら不利、なんてことになったら、数百年続いた将棋の常識がひっくり返ります。昔から、飛車先の歩交換に3つの利あり、なんていいます。藤野さんは、3つともわかりますか」
 いきなり話を振られ、藤野女流初段が戸惑いを見せる。
「えーと。ひとつは一歩を手持ちにできること。ひとつは、飛車が敵陣に直射すること。もうひとつは……なんでしたっけ」
「実はもうひとつはボクもわかりません」
 と言って和田棋神が会場の笑いを誘う。「攻め駒の自由度が高まるとか、相手の金が角頭の守りに釘づけになるとか、いろいろ言われますが、なんなんでしょう。一番大きいのは、自分だけ得したようで気分がいいことではないかと……」
 会場に爆笑が起こった。
「そろそろ森山先生の質問タイムに移りたいと思いますが、何かございますか」
 和田棋神が、最前列の森山に問いかける。
「最大の疑問は……無条件で飛車先の歩の交換を許す点を含めて、将棋ソフト独特の序盤感覚がどこから来ているのか、ってことです。1回戦にしても、プロ棋士の判断では、序盤は矢部四段戦のほうが形勢がよかったはずです。ところが、将棋ソフトはそうは考えないようです。そのせいなのか、違う将棋ソフトなのに、指し手が似ている気がしました」
「そうですね……たしかに似ていました。プロ棋士側は、これで悪いわけがないと思っているので、手をかえる理由はない。そうなると、必然的に同じような局面になります。矢部四段戦ではサークラが電王戦のしかけを見送って王を固めました」
 と言って、和田棋戦はやや上方に目をやった。「あれがうまい作戦でしたね。じっくり王を固めて、最高のタイミングでしかけました。局後のインタビューで、矢部四段が嘆いていたのがわかります」
「もうひとつの質問は、その矢部四段のコメントに関してなんです。和田棋神は、サークラの進化を感じましたか?」
 局後、矢部四段はショックを隠しきれない様子で途切れがちに語った。矢部四段が研究に使ったサークラは、電王戦と似た手順で攻めてきた。その対応策は十分に練ってきたのに、本番でサークラはまったく違う順を選んだ。そのほかにも、研究に使ったサークラよりも、はるかに読みが深いと感じた。
──サークラは、たった1か月の間に、とてつもなく、進化していました。
 矢部四段が絞り出すように語ったこの言葉に、森山は衝撃を受けた。本当にそんな短期間で進化を遂げるのなら、どこまで強くなるのか見当がつかなかった。研究で使った将棋ソフトは単体のコンピューターで動かしている。本番のサークラは、数百台のコンピューターを接続している。その分、計算速度が段違いに速くなるが、そのことと棋力向上は少し別の話のはずだった。
「そうですね……サークラの貸与を受けたのは1か月前でも、実際にはもう少し前のバージョンのはずです。仮に2か月のタイムラグがあったとして、どの程度の進化が可能なのかは、開発者に訊かないとわかりません。たぶん訊いたとしても、どの程度なのかを具体的に示すことはできないでしょう。その2か月の間に、新しい棋譜をどの程度インプットしたのかが問題です。おそらく、電王戦の棋譜はインプットしたはずです。対局日までに、プロの公式戦で角換わりの将棋が何局あって、そのうち何局をインプットしたのか、それによってどの程度進化するのか……なんだか雲をつかむような話です」
 和田棋神は、しばらく考えたあと、口を開いた。「元々電王戦で矢部四段の対戦したソフトよりも、サークラが格上とされています。しかし、矢部四段はずいぶん研究していたようです。あれほど驚いたのですから、進化を感じさせる何かがあったのでしょう。いまはその程度のことしかいえません。船井五段の指し手が早いので、局面が進んでいるようです。解説に戻ってよろしいでしょうか」
「ありがとうございます。解説をお願いします」
 指し手は40手を過ぎ、中盤に入っていた。電王戦のときはすでに将棋ソフトがしかけていたが、今日はじっくりした駒組みが続いていた。
「といってたら、さすがに船井五段のペースが落ちてきましたね。この間に、大急ぎで電王戦の船井五段の棋譜を振り返ってみましょうか」
 会場に大きな拍手が起きた。
 時間がないことを意識してか、初形に戻した和田棋神はものすごいスピードで駒を動かしていった。棋譜を確認している藤野女流初段が訂正を入れたのは1か所だけで、あとは正確に実際の指し手をなぞった。
 強引なしかけから数手目で、和田棋神の手が止まる。
「この6六角が、この将棋のひとつ目のポイントでした。これはさすがにムチャで、うまく対応して先手が有利になりました。このあと、船井五段が着実に指しているのですが、コンピューターの粘りがみごとでした」
 和田棋神は、要所要所にコメントを入れながら、指し手を進めていく。
「この2二金は、人間にはなかなか指せません。こういう受け一方の手は、負けても指すな、と師匠に叱られる類いの手です。コンピューターは師匠に叱られる心配がないせいか、平気でこういう手を指します」
「この5五香は、浮かびにくい好手です。おそらく、この局一番の好手でしょう」
「そしてこの6六銀のタダ捨て。これがこの局の二番目のポイントだったと思います。強引なしかけからの6六角とタダ捨ての6六銀。2つの6六が、印象に残っています。6六銀自体は悪手かもしれません。このあと先手がはっきりよくなりましたから。勝勢になったといってもいいと思います。ではほかにどう指せばよかったのかがわかりません。ということは、結果的には最善の粘りだった可能性があります。この手の意味自体は説明できるんです……」
 和田棋神の解説はむずかしくなかったが、森山の耳には入ってこなかった。森山は息苦しいものを感じながら、別のことを考えていた。解説は将棋の専門誌などで読んでいたので、指し手の意味はわかった。そんなことよりも、ネットの実況中継で見た船井五段の表情が強烈に記憶に焼きついていた。
 それまで、森山は電王戦にさほど興味をもっていなかった。次鋒戦でプロ棋士が負けたと知ったときも「そういうことがあっても不思議ではないだろう」くらいに思った。仕事が一段落した時期に行なわれた中堅戦の実況中継をネットで観戦し、異様な感覚に囚われて目が離せなくなった。
 将棋ソフトの指し手は明らかに異筋で、初心者の指し手のようにも見えた。
 一時は勝勢になった船井五段が、将棋ソフトの意外な粘りを持て余し、しだいに苦しげな表情を浮かべはじめる。対局中にまったく表情をかえない棋士もいたが、最近の若手には珍しく、船井五段の表情には形勢が如実に現れた。「代指し」の奨励会員は、当然のことながらまったく表情がかわらない。別室に控えるサークラの開発者からの指示をイヤホンで受け、淡々と指していた。
 戦いが長期戦になって秒読みが始まると、船井五段の表情には疲労と焦燥がいっそう濃くなる。一手指すごとに、ため息とも深呼吸とも思えるような荒い息を吐いた。「代指し」の奨励会員の無表情とのコントラストが、船井五段の苦戦をいっそう強く印象づけた。
 最終盤のむずかしい寄せ合いになると、船井五段の苦悶はさらに深くなる。本来ならもっとも得意な場面だったが、相手の将棋ソフトはそれ以上に終盤を得意にしていた。ギリギリの攻めを、将棋ソフトが適確に受けきる。
 船井五段が投了すると、大盤解説会場は重苦しい雰囲気に包まれた。その沈痛な空気は、ネット中継を見ていた多くの視聴者にもリアルに伝わった。

 棋神戦2回戦のほうは中盤に入り、船井五段が優勢になる。優勢になってからも着実に指し手を進め、勝勢に近い局面になった。
 先手の攻め駒がきれいにさばけ、3一で孤立する後手玉を守っているのは、8二の飛車の横利きだけだった。2四に飛び出した角と4三のと金で後手玉を制した形は、必勝形に見えた。ここでサークラが考え込んだ。後手は豊富な持ち駒をもっているが受けるのはむずかしい。攻め合うにしても、先手の矢倉は右の金が5六にうわずっていることを除くと手つかずだった。
 長考の末にサークラが選んだのは、2八飛車と角取りに打つ手だった。3三に角が成って後手玉は一段と受けにくくなり、ほとんど必至だった。
「コンピューターにも形づくりという概念はあるんですかね」
 和田棋神が唐突に藤野女流初段に訊く。
「たぶん……ないと思います」
「そうですよね。そうなると、一応王手をかけるだけかけて、詰まないことがはっきりしたところで投げるつもりですかね。人間が相手だと、詰めようとしているのか、形づくりに来たのか、なんとなく雰囲気でわかるものなのですが……」
 サークラは、少考を続けながら王手を続ける。どんな場面でも、指し手のペースはほとんどかわらなかった。もちろん表情もうかがえないので、形勢をどう判断しているのかまったく判断材料がなかった。
 同じペースで王手をかけ、7三にいた角が王手で6四に上がる。先手が惜しげもなくタダで取られる7五に金を合駒した。この金を取ればまだ王手は続くが、詰みがないことははっきりしていた。
 この瞬間、大盤解説のコンピューターの「評価関数」が、先手の優勢から後手の必勝に急変した。何が起こったのか事情がわからないまま、会場内には悲鳴のような歓声が起こった。
「ちょっと待ってください……」
 和田棋神の顔色がかわる。「まさか歩打ちで受かってますか?」
 そう言って和田棋神は慌てた様子で3二に歩を置いた。8二の飛車に加えて6四の角が4二の地点に利いたので、先手の攻めは頓挫していた。こうなってみると、2八に打った飛車までが受けに役立っていた。
 和田棋神があれこれ指してみたが、結論はかわらなかった。事態を理解したのか、船井五段の顔がみるみる赤くなり、苦しげに歪む。そして、3二歩が指された。
 秒読みの時間ギリギリまで考えて力ない手つきで6四の角を取った船井五段が、急に小さくなったように見えた。サークラが3三歩と馬を取ると、船井五段は静かに投了の意思表示をした。
※参考棋譜① ▲泉正樹五段対△羽生善治五段
(1988年/順位戦C級1組)


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電王戦 渡辺明 竜王 羽生善治 名人 渡邉恒雄 ナベツネ 米長邦雄 阿部光瑠 船江恒平

電脳の譜 2

【2】1回戦 サークラ対矢部光一四段(5組優勝)

 神戸四段にかわって棋神戦本戦に臨むサークラの対局は電王戦と同様にネットで実況中継されることになり、大盤解説は全局和田棋神が担当することになった。
 組み合わせは、1回戦から因縁の対局だった。
 先の電王戦でもトップバッターとして登場した18歳の矢部四段は、プロになってまだ2年ちょっとしかたっていない。16歳でのプロ入りはかなり早く、現行の制度になってから3番目のスピードだった。早くプロ棋士になったからといって大成するとは限らないが、並外れて早熟な棋士が才能に恵まれていることはデータが物語っている。
 過去に中学生でプロになった棋士はわずか3人で、いずれも名人になっていた。埴生名人もその3人のうちのひとりで、和田棋神は現行の制度になってから最も早く、中学卒業後2か月でプロになっている。
 矢部四段は、電王戦ではきわめて合理的な方法で将棋ソフトに快勝した。対局相手はコンピューター将棋大会5位入賞のソフトで決して弱くはなかったが、事前に入念に研究し、角換わりの戦形で〝ある局面〟になると悪手を指す癖を見つけていたのだ。
 対局が始まると、矢部四段は巧みに〝ある局面〟に誘導した。将棋ソフトは矢部四段の予想どおり桂馬を跳ね、無理攻めをして自滅した。この段階では、「ソフトはまだプロ棋士のレベルではない」という意見が大勢を占めた。
 矢部四段の作戦が事前の研究を踏まえたものであることが明らかになると、その鮮やかな手際を賞賛する声が相次いだ。だが、なかには「フェアじゃない」という意見もあった。
 サークラは電王戦で対局した将棋ソフトよりも格上とされていたが、矢部四段が今度はどんな研究の成果を見せてくれるのか、というのが見どころのひとつだった。
 先手の矢部四段は、前回と同じように角換わりに誘導し、あえて自ら角を交換した。手損になるので常識では考えられない作戦だったが、今度は誰も驚かなかった。電王戦のときと同じ作戦であり、〝ある局面〟に誘導するためには後手の立場になる必要があったからだ。
 矢部四段もサークラも慎重な指し回しで時間を小刻みに使い、序盤はゆっくりとした進行になった。矢部四段の前に座ってサークラの「代指し」を務めているのは、電王戦と同様に10代の奨励会員だった。サークラの開発者が「代指し」を務める案も出たが、駒の扱いに慣れていないので、奨励会員が起用された。ぎこちない手つきで指されると、プロ棋士のほうが気になってしかたがないだろう、という配慮だった。
 大盤で指し手を追う合間に、和田棋神が観客席の最前列に座っている作家の森山良彦に話しかけた。
「森山先生、ここまでの指し手で、何か気になったことはありませんか?」
 森山は将棋をテーマにした作品で前年に新人賞を受賞し、サークラの棋神戦の観戦記者として招待されていた。新人とは言っても50歳近く、和田の父親とさほどかわらない年齢だった。対局開始直後には壇上で紹介され、いまは最前列でパソコンを操作しながら観戦していた。
「私の棋力ですと、なんとも。とりあえず、まだ形勢は互角なのではないか……という程度のことしかわかりません」
 マイクを手にした森山の遠慮がちな言葉に、会場が笑いに包まれる。
「先ほどは言い忘れましたが、先日、森山先生は将棋連盟の小谷会長に二枚落ちで圧勝し、二段を贈られています」
 会場に大きな歓声と拍手が起きた。
「圧勝なんてやめてください。あれは小谷先生が手加減してくださって……」
 と言って照れ笑いを浮かべた森山は、すぐに真顔に戻った。「現在の対局と直接関係はありませんが、サークラの対局を観戦できるのが今日だけなのか、それともあと何回かあるのかわからないので、この場でお訊きしたいことがあります。電王戦に関して質問が2つありますが、よろしいでしょうか」
「なんでもどうぞ。ただ、答えにくいような質問は勘弁してください」
 和田棋神は笑みを浮かべた。「たとえば、サークラに勝つ自信があるか、なんて質問は禁止します」
「今回の観戦記を担当するにあたって、できるだけ中立の立場で書こうと考えています。本音を言えば人間の棋士に勝ってほしいのですが、そう言ってしまうとおかしな観戦記になりそうです。そのことを踏まえまして……ここはほぼ棋士寄りのかたが多いと思うので、こんなことを言うと無事に帰してもらえない気もしますが……」
 と言って森山は口ごもった。「ネットなどでは、電王戦の矢部四段の勝ち方に関して、賞賛の声があがる一方で批判する声もかなりありました。事前に対局相手を研究するのは当然でしょうが、あの一戦のしかけの桂跳ねは、ソフトの癖と言うよりバグというかエラーに近く、そこを衝くのは〝事前の研究〟とはちょっと違うのではないかという考え方なのでしょう。副将戦のようにソフトが苦手な入玉将棋に持ち込むことに関しても、同じような意見を目にしました。このあたりに関して、和田棋神はどうお考えですか」
 森山のややきわどい発言に、会場がざわつく。
「そうですね……この微妙な空気を承知の上で、危険をかえりみずに勇気あるコメントをありがとうございます。これも観戦記を書くために必要な質問なのでしょうから、無事にお帰りになれることを祈ります」
 緊迫した空気が和田棋神の言葉で笑いに包まれ、会場が静けさを取り戻す。ネットの実況中継に設けられている投稿欄ではかなり過激なコメントも飛び交ったが、こちらもすぐにおさまった。
「以前、ボクが将棋ソフトと対局したときも、棋士仲間と何日もかけて真剣に研究しました。どの程度の実力なのかわからなかったし、とにかく得体が知れない相手というのは怖いんです」
 電王戦の盛り上がりで人間対コンピューターの対局が注目されるようになったが、プロ棋士と将棋ソフトとの初対局は、2007年に実現している。当時最強とうたわれた将棋ソフトと対局したのは、ほかならぬ和田棋神だった。
 中盤までは将棋ソフトがわずかに優勢とされたが、和田棋神は最後まで冷静にチャンスをうかがい、終盤に逆転して勝利をおさめた。この段階で、将棋ソフトの実力は奨励会有段者レベル、つまりもう一歩でプロ棋士、くらいの実力ではないかといわれていた。和田棋神が勝利をおさめたが、決して楽勝の内容ではなかったため「実際にはもっと強いのではないか」という見解も出た。
 その後、同じソフトが2010年に女流棋士を破っているが、なぜかほとんど話題にならなかった。
「あのときは、いろいろ考えた末、結局人間が相手のときと同じようにきわめて普通の指し方をしました。正攻法ともいえますし、バカ正直で芸がないともいえます。コンピューターが魔法を使うわけではないので、普通に指して悪くなる理由はないと考えたのですが、そのせいで冷や汗をかきました。あの当時でも、ちょっと悪手を指すと負ける可能性はあったと思います。いまは将棋ソフトがあのときより数段強くなっている印象ですから、対局するなら相当研究する必要があるでしょう。もし仮にボクが矢部四段の立場で、エラーに近いソフトの癖を見つけたら、躊躇なくそこを衝きます。というか、あんな癖を発見したら、小躍りしてつけ込みます。これ以上確実な安全勝ちはありませんから」
 と言って、和田棋神は聞き手の藤野総子女流初段を見た。「こういう考え方は、フェアじゃないんですかね。藤野さんはどう思いますか?」
「ここでそう来ますか」
 と藤野女流初段は笑いながら言った。「この場で、それをフェアじゃないという勇気はありません。ではなく、そんなことをいうのは初心者の感覚じゃないですか?」
「たしかに……将棋を覚えたばかりの頃は、待ち駒は汚い、とかいったりします。プロがそんなことをいったら笑われます。確実に勝とうとする手を、昔は〝友達をなくす手〟なんていいました」
「いいました、いいました。なんか懐かしいですね。いまは辛(から)い手っていい方のほうが普通でしょうか」
「いまの若手は勝負に辛い、なんていい方もあったと思います。いまはその人たちが年を取って、勝負に辛い人ばかりですからね。ボクらの世代も含めて、みんな友達がいないんじゃないですかね。勝負なんですから、確実に勝つ手があるならそちらを選ぶのは当然でしょう。相手の弱点を見つけたら、そこを衝くのは当然のことで、それを批判するのは筋違いです」
 と言って、和田棋神は少し間をおいてやや上方に目をやった。対局中に読みにふけっているような表情だった。「人間と対局するときに、相手の苦手な戦形を選ぶのとは意味が違う、という考え方もわかります。プログラムを書きかえないかぎり、同じ場面になれば同じミスをすることをわかっていて戦うのですから。でも、そういったことを含めての研究だと思います。同じように、もし将棋ソフトが入玉将棋を苦手にしているなら、そこを衝くのも立派な作戦です。ボクは入玉将棋があまり得意ではないので、そんなおそろしい作戦は使えませんが。少し場面をかえればわかりやすいかもしれません。画期的な新戦法を発見して、対策を知らない相手を一方的に破ったとします。こちらは十分に研究していて、相手は見たこともない戦法だったら、手も足も出ないでしょう。それが優秀な戦法なら、なおさらです。まさか、それをフェアじゃないと言う人はいないはずです」
 小さくため息をついたあと、和田棋神は話を続けた。「もし……矢部四段にミスがあったとすると、事前の研究で気づいたことを正直に言ってしまったことですね。意外なしかけに動揺したけどとっさに対応したことにすれば、的外れな批判を受けることはなかったはずです。これは大きなミスでした。敗着にもなりかねません」
 ユーモアあふれる和田棋神の言葉に会場には何度も爆笑が起こったが、最後の笑いはひときわ大きかった。森山も笑いを浮かべながら、質問を続けた。
「もうひとつの質問です。電王戦を見た限りでは、将棋ソフトが先攻する場面が多かったと思います。しかも、いずれも無理攻め気味でした。そのせいか、解説の先生はプロ棋士側が有利という見方をしていました。私が疑問に思うのは、このときに実況中継の大盤解説に表示されていた将棋ソフトによる形勢判断です」
 電王戦をネットで実況中継した「ワラワラ動画」では、画面の中央上部に、ほかの将棋ソフトによる形勢判断を示す「評価関数」が常時表示されていた。1手ごとに再計算され、数値が変動した。プロ棋士がはっきり優勢になったときを除くとほとんどの局面で将棋ソフトが有利と評価し、解説するプロ棋士の形勢判断と異なることがたびたびあった。
「無理攻め気味であっても、コンピューターを有利に判定していました。アマチュアのレベルだと、攻めているほうを有利と考えがちなのはわかるのですが、そんな単純な考え方をしているとは思えません」
 と言って森山は小さく笑った。「これも将棋ソフトの癖なのでしょうか」
「そうですね……将棋ソフトにもいろいろな個性があって、少しずつ考え方が違うはずです。共通の傾向として、いわゆる攻め将棋のような気はします。形勢判断の基準も、正確なところはわかりませんが、人間の判断とは少し違うようです」
 そう言うと、和田棋神は再びやや上方に目をやった。「無理攻め気味だった、というのは同感です。でも、プロ棋士が、どっちが指しやすいとか、ひと目無理攻めとかいうとき、実は具体的な理由は説明できないことが多いんです。一番の理由は、なんとなく、ってことになる気がします。説明できないからいい加減な判断というわけではなく、だいたい合っています。直感的な判断……というより総合的な判断といったほうがいいでしょう。プロ棋士をやっていられるのは、その判断力があるからともいえます。時間がないときは、読み切れなくても指さなければなりませんから。ファジー理論などというとマシンのことを指すみたいですが、ある意味、人間の考え方のほうがよっぽどファジーなんです」
「コンピューターは、そういう曖昧な考え方はしない、というかできない……と」
「まあ、そういうことです。いずれにしてもはっきりしていることは、どんなに無理攻めでも、相手が適確に咎めることができなければ、手段としては成立しているということです。電王戦で見せた将棋ソフトの攻めはたしかに無理攻め気味ですが、具体的に咎める手段が見つからないのなら、無理攻めとはいえないと思います。こんなところで答えになっていますか?」
「たいへんよくわかりました。ありがとうございます」
「ほかにも何かあったら遠慮なく訊いてください」
 和田棋神の言葉に、会場に拍手が広がった。

 局面は、途中の手順こそ違ったが、〝ある局面〟に近づきつつあった。避ける手順はいくらでもあったのに、矢部四段はもちろんのこと、サークラも変化しなかった。
「次に後手がこう金を上がり、先手が桂を跳ねると、問題の局面とまったく同形になります」
 大盤で駒を動かしながら、和田棋神が解説する。
「ここでの6五桂跳ねは、なくはないのでしょうが、やや無理筋でしょう……直感ではなく、総合的な判断です」
 と言って、和田棋神はひと呼吸置いた。「たしか……あの対局のときも、コンピューターの形勢判断は6五桂のしかけのあとも将棋ソフトが優勢でした。もしかすると、将棋ソフトの統一見解として、この局面での桂跳ねがアリなのかもしれません。どこかで研究会でも開いているのでしょうかね。ということは、サークラも同じ攻めをする可能性があります。そう指してくれると、矢部四段の快勝譜が再現されるかもしれません」
 会場から拍手が起こる。
 観客の期待どおり指し手が進み、問題の場面でサークラが考えはじめた。将棋ソフトとしては長考の部類になる10分弱の考慮時間で選んだのは、しかけの桂跳ねではなく、守りを固める4二金右だった。会場がどよめいた。
 意表をつかれたのか、矢部四段の指し手が止まる。
 長考の末に、矢部四段は1筋の端歩を突いた。サークラは端歩にあいさつをせずに囲いを穴熊に組みかえ、数手前より格段にかたい形に整えた。その間、先手には有効手がないことを見越した手順だった。
 守りを十分に固めたうえで例によって無理気味のしかけに踏み切り、細い攻めを巧みにつないで押し切ってしまった。


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電脳の譜 1

【1】20XX年 第26期棋神戦本戦トーナメント開幕前夜


トーナメント表

 第26期棋神戦の本戦(挑戦者決定戦)トーナメントは、将棋界はもちろん、一般のマスコミからも大きな注目を浴びていた。本戦トーナメント開幕直前に、史上最強将棋ソフトの呼び声高いサークラの緊急参戦が決まったからだ。
 事の起こりは、春先に開催された第2回電王戦で、プロ棋士が将棋ソフト軍団に惨敗を喫したことだった。なかでも、最終戦でサークラが現役A級棋士の武浦弘之八段を破ったことで将棋界に衝撃が走った。
 前年の第1回電王戦は一発勝負で、当時の日本将棋連盟会長の米中永世棋聖がコンピューターと戦った。現役を退いて10年近くになる永世棋聖の棋力は全盛期にはほど遠く、一敗地にまみれる。団体戦形式で行なわれた第2回電王戦は、昨年末に急逝した米中永世棋聖の弔い合戦という意味合いもあった。対戦したのは、コンピューター将棋大会のベスト5のソフトと5人の現役棋士だった。
 先鋒戦は、若手の矢部光一四段が快勝した。
 次鋒戦は将棋ソフトが押し切った。「現役のプロ棋士が初めてコンピューターに敗れる」というニュースは社会的に話題になり、号外を出した新聞もあったほどだった。近年の将棋ソフトの優秀さを知っている人たちは、半ば当然のことと冷静に受け止めた。
 中堅戦は壮絶なねじり合いになった。形勢が二転三転する混戦の末、通常の指し手の倍近い184手に及ぶ長期戦で、若手の有望株の船井竜平五段が惜敗した。コンピューター相手の秒読み将棋に疲労困憊した様子で、敗戦後のインタビューを受ける船井五段の姿は痛々しかった。
 副将戦に登場したのはタイトル経験もある元A級棋士だった。棋士としての全盛期は過ぎたとされる九段は、将棋ソフトが苦手な入玉将棋を目指した。一時は敗勢とされたまったく勝ち目のない将棋を粘りに粘り、かろうじて引き分け(持将棋)に持ち込んだ。ベテランの起用を疑問視する声もあったなか、人間くささを存分に発揮した執念は、ある種の感動を呼んだ。
 将棋ソフトの2勝1敗1分けで迎えた最終局の組み合わせは、最強の将棋ソフト対現役A級棋士で、大将戦と呼ぶにふさわしかった。武浦八段の先手で始まった一戦は相矢倉の戦いになり、サークラが熱戦を制した。名人に次ぐクラスとされるA級棋士が負けることはない、と信じていた将棋関係者の希望は無惨に打ち砕かれた。
 すべての対局が終わってみると、プロ棋士側の力負けの印象が強かった。プロ棋士の1勝は将棋ソフトのバグに近いミスを衝いたもので、開発者は「修正するのはそうむずかしくない」と語った。負けた3局はプロ棋士側に決定的な落手があったわけではなく、定跡を巧みに外され、読み負けの末、実力で押し切られた観があった。
──人間とコンピューターのどちらが強いのか。
 ボードゲームの世界では、長年のテーマだった。選択肢が限られる連珠やオセロは、早い時期にコンピューターの実力が人間を上回ったとされる。チェスの世界チャンピオンとコンピューターの対戦は、1990年代から何度か企画され、近年ではコンピューターが圧倒している。
 囲碁の世界では、コンピューターの実力はアマチュアの高段者程度といわれ、プロのレベルにはまだ距離がある。もっとも微妙な段階に来ているのが、将棋ソフトと人間の実力差だった。「最終盤の〝詰むや詰まざるや〟の場面は将棋ソフトのほうが上」といわれるようになってもう何年もたち、これはすでに定説になっていた。
 ほかにもいろいろな説がある。
「序盤の定跡は将棋ソフトのほうが詳しい」
「将棋ソフトの序盤は戦形によっては初心者並み」
「数値化しにくい大局観では人間を超えることはできない」
「トップクラスの将棋ソフトは人間の名人クラス」
「プロ棋士の中堅クラスの力がある」
「マシンのスペックしだい」
「レーティングの数値で比べれば将棋ソフトが上なのは明らか」
 いずれの説もそれなりの根拠があり、いい加減な風説と片づけることはむずかしかった。ここまで諸説が飛び交って収拾がつかないと、検証の方法は限られる。
──実際に戦ってみるしかない。
 そんな過激な風潮がしだいに強くなり、日本将棋連盟も無視できなくなった。世論に押されて「パンドラの匣」を開けてしまった……と見る向きもあった。

 順位戦のA級に所属する棋士は10人しかいない。その一角が崩されたとなると、次の砦は限られる。
「双龍」と呼ばれる2人──埴生(はにゅう)善治名人と和田晶(あきら)棋神しかいなかった。現在7つあるタイトルのうち埴生名人が四冠を占め、ほかの三冠を和田棋神が所持している。まさに天下を二分する実力者だった。
 来年の電王戦には「双龍」が登場するのか、あるいはほかのタイトル経験者が起用されるのか。人選に注目が集まるなか、いち早く英断を下したのは、棋神戦を主催者する毎朝新聞のクロテツこと黒木哲男社主だった。
 一介の政治記者から三大紙の社主にまで上り詰めた立志伝中の人物は、野球界や将棋界で大きな権力を握っていた。毎朝新聞の主催棋戦である棋神戦が、七大タイトルの最後発であるにもかかわらず名人と並ぶ格に扱われているのも、クロテツの力に負うところが大きかった。
──そんなに強いのなら、トーナメントに参加資格がある。人間とどちらが強いか公式戦扱いで戦えばいい。
 クロテツの主張はきわめてシンプルだった。
 棋神戦が発足した当初の趣旨もきわめてシンプルだった。裏では相当きわどい駆け引きもあったとされるが……。
──全棋士の中で、時の最強者が、最高峰のタイトルをもつべきだ。
 それまでは、「将棋界の最高峰は名人」というのが常識だった。プロ棋士の序列を決める基準は順位戦であり、名人になるためには5つある順位戦のクラスをひとつずつ昇っていく必要があった。A級のリーグ戦で1位になって、やっと名人への挑戦権が手に入る。
 仮にとんでもない実力をもつ新人が現われたとしても、初年度はC2級に所属する。C2級からA級までの順位戦を毎年全勝してノンストップで昇級しつづけても、名人になるには最短で5年かかることになる。そういう連続昇級は理論的には可能でも、簡単にできることではない。約70年に及ぶ順位戦の歴史のなかで、最短でA級まで昇り詰めた棋士は2人しかいなかった。
 他の棋戦は予選から勝ち上がることが可能なので、デビューしたばかりの最強の新人がタイトルを奪取することも可能だった。最短でも5年かかる点が、名人の座の重みをつくっているともいえた。
 名人と棋神のどちらのタイトルの格が上なのかは考え方にもより、日本将棋連盟の公式の見解としては「棋神のほうが上だがほぼ同格」という曖昧なことになっている。「最高峰のタイトル」が2つある、という奇妙な状況が続いていた。
 棋神戦には順位戦とは別の独自の組分け制度があり、毎年組別のトーナメントを行なっていた。発足当初は順位戦の地位をベースにしたが、毎年順位戦よりも多い数の昇級者と降級者を入れ替え、いまでは順位戦とはかなり違う組分けになっていた。
 下位の組の棋士でも優勝すれば本戦トーナメントに進めるので、挑戦者になることも可能だった。しかし、本戦トーナメントは下位の組からの参加者ほど不利なパラマス方式に近いため、番狂わせが起こることはめったになかった(1ページのトーナメント表参照)。
 その狭き門を突破して下位の組から勝ち上がり、棋神の座まで昇り詰めた棋士が過去に何人かいる。現タイトルホルダーの和田棋神も、〝棋神ドリーム〟を実現させた一人だ。
 初戴冠のとき、順位戦では下から2番目のC級1組で段位はまだ五段だった。棋神戦では4組で優勝して本戦トーナメントに参加し、組別トーナメントから通算10連勝で挑戦者になった。激闘のタイトル戦を4勝3敗のフルセットで制して棋神の地位についたのは、まだ20歳のときだった。「時の最強者が、最高峰のタイトルをもつべき」という棋神戦の思想を具現化した快挙ともいえ、以来、現在まで9連覇を果たしている。こと棋神戦に限れば、和田棋神の強さは圧倒的だった。
 しかし、将棋界全体を見渡すと、和田棋神をはじめとする若手にとって、厚く険しい壁が聳えていた。もう20年以上にわたって将棋界を牽引してきたのは、俗に「埴生世代」と呼ばれる棋士たちだった。
「埴生世代」は、1970年生まれの埴生名人を中心とする1969年~1971年生まれの棋士を指す。プロ入り(四段昇段)は史上3人目の中学生棋士になった埴生が一番早く、これを追って、夭折した村山聖九段、「緻密野蛮流」の別名で知られる名人経験者の伊藤康光九段、十八世名人の資格をもつ木内俊之九段の3人が熾烈な出世争いを演じた。半歩遅れる形で頭角を現わしたのが、元A級棋士の新崎修八段だった。
 さらに、プロ入りの時期がやや遅れた同世代の棋士に、四段でタイトルをとった郷野正隆九段、名人経験者の丸川忠行九段、棋神経験者の藤江剛九段がいる。
 この8人が「埴生世代」と呼ばれ、全員がタイトル経験もしくは全棋士参加棋戦の優勝経験がある。さらに、なぜか「埴生世代」とは呼ばれないが、1972年の早生まれ(埴生名人の1学年下)の棋士でタイトル経験者が2人いるのだから、異常なまでに層が厚い。
 ほとんどのタイトル戦が「埴生世代」同士で争われ、たまにほかの世代の棋士が挑戦しても、たいてい跳ね返された。なんとかタイトルを奪取した若手棋士がいなかったわけではないが、短命で「埴生世代」の軍門に下るのが常だった。
 過去の将棋界を見ても、特定の世代にこれほど実力者が揃った例はない。そういう状況の中、約10歳年下の世代の和田棋神はタイトルを守りつづけていた。9連覇のうち8回は対戦相手が「埴生世代」なのだから、孤軍奮闘の印象が強い。
 毎朝新聞の黒木哲男社主もそんな和田棋神をことのほか可愛がり、名人よりはっきり格上の扱いをするよう、ことあるごとに日本将棋連盟に圧力をかけたりもした。サークラの棋神戦参戦に関しても、クロテツと和田棋神の間で会談の席が設けられたという。実質的には命令だったのか依頼だったのかは不明だった。
 サークラの棋神戦参戦を発表する記者会見の席で、クロテツは自信満々に語った。
──棋神が直接相手をするまでもなく、ほかの棋士が露払いをするだろ。
 この「露払い」という言い方が物議を醸した。
 日本語の使い方がおかしい、とする説もあった。言葉の正否は別としてほかの棋士に失礼、とする説もあった。ネット上では過激な言説が飛び交い、一部のサイトは「炎上」に近い状態になった。
 通常の対局料とは別に、サークラに勝った棋士に500万円の特別ボーナスが出ることも話題になった。ただでさえ敵(かたき)役のサークラが、事実上、懸賞首になってしまったからだ。
──ニンジンぶら下げて馬を走らせるつもりか。
 あるプロ棋士が、ブログで嫌悪感もあらわに吐き捨てて話題になった。
 物議を醸したクロテツの発言は、ほかにもあった。オフレコの席で、「機械ごときに取られるようなことがあったら、そんなくだらんタイトルは廃止してやる」と言ったという噂もあった。
 抜群の発想力と行動力に、将棋ファンはもとより世間全体の反感を買う言動。よくも悪くもクロテツらしいやり方だった。

 本戦トーナメント1回戦の前に予選のような形で急遽組み込まれた「特別戦」で、サークラは6組優勝の神戸康人四段と対局した。振り駒で後手になったサークラは、相矢倉の戦形から先攻して一方的に攻め倒し、「将棋ソフト強し」を改めて印象づけた。


電脳の譜【1】
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電王戦 三浦弘行 佐藤慎一 塚田泰明 渡辺明 竜王 羽生善治 名人 渡邉恒雄 ナベツネ 米長邦雄 阿部光瑠 船江恒平 先崎学

羽生結弦は誰に似ているか。

 下記の仲間。
【テレビ関係なんでもかんでも お品書き】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-780.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1328615584&owner_id=5019671

mixi日記2013年12月27日から

 イケメンに寄せると、藤ヶ谷太輔だろうか。あの薄さは韓流にいそう。
 先日思ったのは、このキューピー系は剛力彩芽だな、ってこと。
 そのテのサイトを見ると、やはりアッチ系の人が多いような。
http://sokkuri.net/alike/%E5%89%9B%E5%8A%9B%E5%BD%A9%E8%8A%BD/%E7%BE%BD%E7%94%9F%E7%B5%90%E5%BC%A6

 ついさっき思ったこと。
 羽生結弦ファンの皆様ゴメンナサイ。
 最近mixiでも見かける我が家の杉山裕之を使ったダイエットの広告。
 ダイエット後の杉山をもっと痩せさせて薄くしていくと……似てない?

【「あげる」「~てあげる」は敬語なのか】辞書

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2013年12月26日から


 下記の続き
246)【「やる」 「あげる」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1523098273&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1378.html

 ↑の「246」を書いてから3年以上たつ。まとめ方が中途半端な気がするので、気持ちも新たに書いてみる。
 結論を先に書くと、『敬語の指針』のP.9の記述が正確なんだろう。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
================引用開始
「植木に水をあげる」という場合の「あげる」は,旧来の規範
からすれば誤用とされるものであるが,この語の謙譲語から美化語に向かう意味的な変化 は既に進行し,定着しつつあると言ってよい。
================引用終了

 正確だとは思うが、わりやすいとは言いがたい。そういうものなのかもしれない。
629)【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1798665663&owner_id=5019671

 辞書の記述になると、もっとあやしくなる。3年前のリンクは役に立たなくなっている。まったくもう。
http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%81%82%E3%81%92%E3%82%8B&stype=prefix&aq=-1&oq=&ei=UTF-8 

 まず『大辞泉』。
================引用開始
あ・げる 【上げる/揚げる/挙げる】
[動ガ下一][文]あ・ぐ[ガ下二]

9 神仏や敬うべき人などに、ある行為がなされる。
ア神仏に供える。「供物を―・げる」⇔下げる。
イ「与える」「やる」を、その相手を敬っていう語。「洋服を―・げる」

◆9イは本来、敬うべき対象に物をさし上げるの意で、「犬にえさをあげる」のような言い方はしなかった。現在では「与える・やる」の丁寧語として使う人が増えている。
================引用終了

 次に『大辞林』。
================引用開始
⑫「与える」「やる」の丁寧な言い方。 《上》 「この本,あなたに-・げます」 「ほうびを-・げる」 「子供におやつを-・げる」 「鳥にえさを-・げる」
⑬神仏に供物(くもつ)を捧げたり,祈りの言葉をささげたりする。 《上》 「お墓に線香を-・げる」 「仏前でお経を-・げる」 「祝詞(のりと)を-・げる」
================引用終了

 辞書には「謙譲語」という言葉は出てこない。前にも書いたが、このあたり言葉の使い方は『大辞泉』『大辞林』ともあやしい。
『大辞泉』の〈「与える・やる」の丁寧語〉というのは「間違い」と言ってもいいかもしれない。「与える」の丁寧語は「与えます」。「あげる」は「丁寧な言い方」でしかない(はず)。
「あげる」は本来は謙譲語だったが、現在ではそういう意味合いで使われることはめったにない。謙譲語にしたいなら、「差し上げる」とでもするしかない。このあたりは、「申す」と「申し上げる」の関係に似ている。

 現代語の「上げる」は「謙譲語」のニュアンスはほとんどない。したがって、目上に対して「上げる」は使えない。
 じゃあ『敬語の指針』に出てくる「美化語化」の傾向にあるかと言うと、ちょっと引っかかる。たしかに「やる」の美化語として使われることはある。当方のように育ちのよさを隠すためにあえて乱暴な言葉を使うようにしている人間は「あげる」とは言わない。すでに妙に気持ちの悪い響きを伴う言葉になっている気がする。

 今度は「~てあげる」に関して。
 まず『大辞泉』。
================引用開始
14 (補助動詞)動詞の連用形に接続助詞「て」が付いた形に付いて、主体が動詞の表す行為を他者に対し恩恵として行う意を表す。「てやる」の丁寧な言い方。「仕事を手伝って―・げる」「君のかわりに行って―・げよう」
================引用終了

 次に『大辞林』。
================引用開始
23(補助動詞) 動詞の連用形に接続助詞「て」の付いた形に付き,主語で表されるサービスの送り手が,他人のためにすることを,送り手の側から表す。(普通は仮名書き) 《上》 「友達に本を貸して-・げた」 「お宅まで送って-・げましょう」 〔「…てやる」と異なり,受け手に対する軽い敬意がこめられている。目上に対しては「さしあげる」を用いるのが一般的〕
================引用終了

『大辞泉』もさすがに「丁寧語」はやめて「丁寧な言い方」にしている。『大辞林』にある「受け手に対する軽い敬意」が妥当か否かは不明。当方の語感だと、押し付けがましさが強くて目下に対する表現という気がする。
 少し前に見た例だと、下記の記事ような例がある。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1914098846&owner_id=5019671
================引用開始
□「~してあげる」
 「インナーにこちらを合わせてあげるとお洒落ですよ」
 「お鍋にお水を入れてあげます」
 物に対して敬う言葉は必要ありません。
================引用終了

 この記事は「~てあげる」を「敬う言葉」としている。これも微妙。「敬う言葉」であって「敬語」ではないと解釈しておこうか。
 この気持ちの悪い美化語モドキが急速に広まっているような気がする。ペットや植物に使うのはまだ大目に見るとしよう。料理番組ではもう定着した観があり、ファッション用語にもなりつつある。
 こういうのが当たり前になると、普通の言葉づかいがゾンザイに聞こえるようになる。ヤダヤダ。

リンク失敗した(泣)。

 下記へのコメント。
http://ameblo.jp/sensuanaguma/entry-11734570370.html

いやはやなんとも

 実際の対戦順は永瀬・大石・永瀬で、これで対C2棋士3連敗!
 もしや2011年5月15日の菅井五段を加えると4連敗?と考えてしまいました。
 実際にはほかにも対局があり、それは勝っています。ほかにもありそうですね。
2012年2月11日○羽生善治先 後菅井竜也● 第5回朝日杯 
2012年6月15日○羽生善治後 先大石直嗣● 第20期銀河戦決勝T 1回戦

 昔はタイトル保持者とC2棋士の対局なんてめったになかったのですが、最近ではそんなに珍しくないのかも。

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-19.html

【板外編18】2つの「ハ、」

 下記の仲間。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-12.html

 下記の仲間でもある。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

mixi日記2010年月日から。

 ちょっと事情があって、「赤い本」に書いたことをアップする。
 諸般の事情があって『日本語練習帳』のことを持ち上げているが、これは「慇懃無礼なほめ殺し」をしたつもり。それでもこの部分はけっこう役に立つと思ってた。あとになって読み返した感想は、下記参照。これでホントに「毒抜き編」なの?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-592.html


II 文法を「役に立てる」ことができるのか
 文法の知識は、文章を書くのに役立ちます。しかし、極論であることを承知でいってしまえば、「知っているに越したことはない」という程度のことです。必ず知っていなければならないことではありません。
『日本語練習帳』の「II 文法なんか嫌い-役に立つか」は、「ハとガの使い分け」を解説している章です。日本語の構造を理解するのに重要な「ハ」と「ガ」にテーマを絞りこんだ着眼点は、みごととしかいいようがありません。
「ハ」の代表的な働きとして次の4点をあげ、それぞれの違いを解説しています。
  1)問題(topic)を設定して下にその答えが来ると予約する
  2)対比
  3)限度
  4)再問題化
 この「ハ」に関する記述の中で、ぜひふれてほしかったことをあげておきましょう。
『日本語練習帳』の練習11)の例文中に、次の文があります。

 毎年のように日光植物園を訪ねながらも、あのリョクガクザクラに魅せられながらも、樹といわれてそうした花木を思いうかぶことがないのは、樹の本当の姿かたちとは、それとすこし違ったものだ、ときめこんでいるからであろう。
(中村稔「日光植物園のリョクガクザクラ」、『日の匂い』所収)

 例文中のほかの「ハ」の使われ方と違い、この一文は、
  ・ないのハ、(大設定)  ↓きめこんでいるからであろう。(大結び)
  ・姿かたちとハ、(小設定)↓すこし違ったものだ(小結び)
 という形で、ひとつの設定と結びの間に、もうひとつの設定と結びがあることが指摘されています。しかし、問題点がある例として取りあげておいて「この文章は明るくなだらかで、よく分かる文章ですから、こんなふうに分析的な扱いをするのは、文章を傷つけるような感じさえする」と、擁護するかのような文章が続くのは、理解できません。
 たしかに、この文章はやさしい感じがして雰囲気もあり、なんとなく読めてしまいます。しかし、言葉の点で考えると疑問を感じるところが多い文章です(細かな点については後述します)。
 ここであげた一文は、長すぎることがまず気になります。何字を超えると「長い」と感じるのかは感覚的な問題であり、諸説あるところです。ここでは、『日本語練習帳』の中にも再三出てくる100字を基準にして、「長い」といっておきます(一文の長さに関しては★ページ参照)。
 さらに、ここで問題になっている二重の設定と結びは、基本的に避けたほうがよい文章構造です。どうしても避けられないときは、大設定のあとに「、」を打ち、小設定のあとには「、」を打たない、という応急処置でわかりにくさが緩和できます。先の例文も、「姿かたちとハ、」の「、」を取り除いてみると、多少マシになることがわかるはずです。
 こう書いてしまうと、主語のあとに「、」を打つ、という考え方と同じようにも見えますが、少し違います。重要な「、」を生かすために重要ではない「、」を削除すると、結果的に主語のあとの「、」が多くなるだけです(句読点に関しては★ページ参照)。
 練習14)に出てくる文章にも、似たようなことがいえます。
 
 言うまでもなく、明治憲法下の法典編纂事業は、まず第一次には、安政の開国条約において日本が列強に対して承認した屈辱的な治外法権の制度を撤廃することを、列強に承認させるための政治上の手段であった。  (川島武宜『日本人の法意識』)

「まず第一次には、」の「、」を取ってしまえば、多少マシになります(この場合はいっそ「は」を削除して「まず第一次に」としてしまったほうがよいかもしれません。「は」を削除するなら、「、」を残して「まず第一次に、」にするほうがよい気がします)。重要な「問題設定」のためのハを生かすために、重要でない「対比」のためのハの扱いを軽くしてしまうのです。ちなみに、「まず第一次に」は重言だと思いますが、ここでは語句の話にはふれずにおきます(重言に関しては★ページ参照)。

【研究課題3】1)のヒントは↓★ページ/2)のヒントは↓★ページ
『日本語練習帳』の66~67ページに次の記述があります。

  まず次のような表現が浮かぶでしょう。
  「ユンゲ・ウエルト」は十七日報じた。さる五日に……
 これでも一応いい。しかしややぎこちない。
  a「ユンゲ・ウエルト」(十七日)の報道によれば、……
  b「ユンゲ・ウエルト」(十七日)によれば、
 a、bのどちらでもいい。ともかく、最初に全体の枠を示してしまう。その次に事柄を書く。
 さる五日にドレスデン駅で、プラハにある西ドイツ大使館にいた出国希望者を輸送する列車に乗ろうとして、運行を妨害した青年三人が、ドレスデン地裁で、三年六月から四年六月の懲役と千東ドイツ・マルクの罰金の実刑判決を受けた。
  これは原文と少し違うのです。それは「ドレスデン駅で、」「青年三人が、」の二カ所にテン(読点)を加えたことです。事柄が幾重にも重なっていて、続き具合が不明だから分かりにくい。そこで、テンを加えて、多少なり切れ目を示したのです。

 この記述について、2つのことを考えてください。
 1)〈「ユンゲ・ウエルト」は十七日報じた。さる五日に……〉という書き方が、「ややぎこちない」のはなぜでしょうか。
 2)「二カ所にテン(読点)を加え」ても、この例文は依然としてわかりにくい印象があるようです。できるだけ小さな修正でマシな文にするには、どうすればよいのでしょうか。

●「ガ」か「ヲ」か

【練習問題1】
 次の2つの表現がどう違うのか考えてください。
  1)本ガ読める
  2)本ヲ読める

 文法の知識がどのようなときに役立つのか、2つの例で考えてみましょう。
 本書の★ページ★行目で、「(という応急処置で)わかりにくさが緩和できます」という表現を使いました。この表現は、「……わかりにくさを緩和できます」とすることもできます(「……わかりにくさを緩和することができます」とすることも可能ですが、ここでは除外します。「~ことができる」に関しては★ページ参照)。
 ガでもヲでもよさそうですが、本来はガにするべきです。その理由を考えるために、もう少し簡単な例を【練習問題1】にしました。
 2つの表現を見比べて、ガを使っている1)のほうが自然に感じられるかたは、すぐれた言葉の感覚の持ち主です。こう書いている当人は、ヲでもさほどヘンではない気がしています。「本当はどちらが正しいのか」と考えようとするときに役立つのが、文法の知識です。
 文法書などを見なくても、ふつうの国語辞典の「ガ」の項目に答えが出ています。用法のひとつとして「好悪、希望、可能などの対象を示す」といった記述があるはずです。具体例をあげると次のようになります。
  ・本ガ好きだ(好悪)
  ・本ガ読みたい(希望)
  ・本ガ読める(可能)
 さらに、この用法に関してはガのかわりにヲを使う例もふえている、と記載している辞書もあります。「本来はガを用いるべきで、ヲも許容される」というのが、文法的な考え方になるのでしょう。
 さすがに、「本ヲ好きだ」には抵抗を感じられるかたが多いはずです。「本ヲ読みたい」「本ヲ読める」はどう感じますか。
 このガとヲの問題は、「前後にガが目立つ」などの理由がある場合を除き、できるだけガを使うべきだとは思います。しかし、ヲはあくまで許容なのだからガを使うのが正しい、と強く主張する気にはなれません。
 もう一度はじめの例を見てみましょう。
  ・わかりにくさガ緩和できます
  ・わかりにくさヲ緩和できます
 この2つの表現は、「本ガ読める」と同様に「可能」を表しています。本来はガを用いるべきでしょうが、ヲを使ったほうが語感がよくありませんか。
 これは、ヲも使われるようになった経緯を考えると、当然なのかもしれません。本来はガを使うべきだったのに、ヲを使う例がふえてきたのには、それなりの理由があるはずです。ほかにも理由はあるにしても、語感のよさが大きな理由のひとつだったと思います(ほかの理由を説明すると長くなるので、ここでは「語感」という多少あいまいな言葉だけをあげておきます)。
 一般に、文法的には間違っていても定着する用法は、正しい用法よりも語感がよいことが多いようです。このことは、言葉の問題として取りあげられることが多い「ラ抜き言葉」(★ページ参照)のことを考えると、わかりやすいと思います。

●「ノ」か「ナ」か

【練習問題2】
 次の表現のうち、言葉の使い方が間違っているのはどれなのか考えてください。
  1)最適ノ人選
  2)最適ナ人選
  3)最悪ノ人選
  4)最悪ナ人選

 これもふつうの国語辞典で解決できる問題です。
「最適」は、名詞でもあり、形容動詞でもあります。1)の「最適ノ」は、名詞の「最適」に助詞の「ノ」がついた形です。2)の「最適ナ」が形容動詞の活用形のひとつであることは、ご存じのかたも多いでしょう。
 一方「最悪」は名詞でしかありませんから、「最悪ノ」の形では使えても、「最悪ナ」の形では使えません。したがって、4)の「最悪ナ人選」が間違った言葉の使い方ということになります。

 ここであげた「ガとヲ」の話や「ノとナ」の話は、言葉に敏感な人には無意味なものかもしれません。文法の知識などはなくても、感覚的に理解して使い分けることができているからです。
 しかし、言葉の問題で疑問を感じたときに、文法の知識をもっていたほうが解決しやすいことは理解していただけたと思います。先に文法について「知っているに越したことはない」という程度、と書いたのは、こういった理由からです。


【Coffee Break】

なぜ「最適」にはノもナもつくのか
 はじめにお断りしますが、この【Coffee Break】の内容は根拠が不確かな推論です。半信半疑でお読みください。
「最適」という言葉は、「最適ノ」の形でも「最適ナ」の形でも使われることは、本文で紹介したとおりです。名詞と形容動詞の両方の働きをもっている言葉は、ほかにもたくさんあります。ところが、「最適」のように両方の使われ方をされる言葉は、そう多くありません。たとえば、「適切」は「適切ナ(人選)」の形で使われます。名詞の働きをもっていても、「適切ノ(人選)」という表現を使う人はいないでしょう。
 そこで思いついたのが、「最適」も本来は「最適ナ」としか使われなかった言葉なのでは……という推論です。
 では、なぜ「最適ノ」が使われるようになったのでしょうか。
「最適」に似た印象の言葉を考えてみると、「最新」「最大」「最高」など、いくらでもあげられます。これらの言葉はいずれも名詞で、「〇〇ナ」の形では使われません。しかも「最新版」とか「最大公約数」という使われ方があっても、圧倒的に多いのは「〇〇ノ」の形です。この印象が強いため、「最適ノ」が許容されるようになった気がします。
「異質」も、同じように「同質」「変質」などの名詞の影響を受け、「異質ノ」が許容されたのではないでしょうか。
 特殊な例と考えられるのは「無用」です。「無用ナ」は、文法的には問題がなさそうなのに、あまり見かけません。おそらく、これは「無用」という言葉がもともと使用頻度が低いうえに、「無用ノ長物」や「無用ノ用」という慣用句の印象が強いためです。この「無用ノ」の印象の強さが、発音や意味がよく似ている「同様」や「不要」に影響を与えたと考えられます。そのため、本来は「同様ナ」や「不要ナ」の形でしか使われなかったのに、「同様ノ」や「不要ノ」も許容されるようになったのではないでしょうか。
「最適ノ」「異質ノ」「同様ノ」「不要ノ」に共通しているのは、「〇〇ノ」のほうが「〇〇ナ」よりも語感がよいことです。この点も、本来は「ナ」ではなかったのか、と思わせる一因になっています。


【コラム・遠慮がちな書きかえ案】
『日本語練習帳』の練習11)の文章の全文を転載し、疑問に感じた点と、第2章以降で紹介する「明文」を書くための原則に反する箇所をあげてみます。文末、表記、句読点の問題にはふれません。
 本来、他者が書いた文章にこのようなコメントをつけることは許されないことだと思います(★ページ参照)。文章のもっとも大切な部分をないがしろにした行為だからです。しかし文章の書き方に関する本の例文として、他者が書いた文章を取りあげるなら、最低限の指摘はしておくべきだと思います。

================================
 いったい、サクラにしてもコブシにしても、開花している樹にはある種の謎めいた妖しさがあり、ひきこまれるような美しさがある。樹の花には私たちを酩酊させ夢心地にいざなう魔力があって、そのために、私たちはサクラが咲けばその樹の下に筵をしいて酒を酌みかわし、放歌高吟したりすることになるのかもしれない。毎年のように日光植物園を訪ねながらも、あのリョクガクザクラに魅せられながらも、樹といわれてそうした花木を思いうかぶことがないのは、樹の本当の姿かたちとは、それとすこし違ったものだ、ときめこんでいるからであろう。私の心にある樹はいつももっと雄々しく、りりしく、すっくと大地から立っていて、心を惑わすような妖しい美しさとは無縁なのである。
(中村稔「日光植物園のリョクガクザクラ」、『日の匂い』所収)
================================

3行目 「そのために」「その」/指示語の減らし方(★ページ参照)
4行目 「酒を酌みかわし、放歌高吟したりする」/「~たり」の使い方(★ページ参 照)
5行目 「あの」/指示語の減らし方
6行目 「そうした」「それ」/指示語の減らし方
6行目 「花木を思いうかぶ」/「花木を思いうかべる」もしくは「花木が思いうかぶ」 にするべきと思われる
8行目 「大地から立っている」/「大地から伸びている」もしくは「大地に立っている」 にするべきと思われる

文章を書くときに参考にすべき名著3冊??

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2013年12月19日から

「つぶやき」(mixiも「ボイス」って呼称はさすがにやめたのかな?)でちょっと書いたけど、下記の記事が気になった。
【ネタ元】エキサイトレビュー(全文は末尾)
文章を書くときに参考にすべき名著3冊を厳選
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20131219/E1387396782915.html

 この記事ってさぁ……。
 本多勝一『日本語の作文技術』(朝日新聞社)をあげるのは当然だろう。
 文章読本の問題点を考える意味では斎藤美奈子『文章読本さん江』((ちくま文庫)もアリ。でも鶴見俊輔『文章心得帖』(ちくま学芸文庫)は……。
 気になってAmazonで調べてみた。
http://p.tl/_KNL
 この本が最初に刊行されたのは1980年。別の出版社から出たのが1985年。今年11月にさらに出版社をかえて発刊されている。1985年版の表紙に記憶がある。これ、読んでるな。精神論と言うか情緒的な記述が多くてホニャララな印象がある。それを持ってくるって、この書評はまさかパブ記事? だって、ほかにもオススメの文章読本はあるんだから。
 ちなみにほかの2つに関しては読書感想文を書いている。
【読書感想文『日本語の作文技術』】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1027377833&owner_id=5019671
【読書感想文『文章読本さん江』】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=794869993&owner_id=5019671


http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20131219/E1387396782915.html
================引用開始
文章を書くときに参考にすべき名著3冊を厳選
エキサイトレビュー 2013年12月19日 11時00分 (2013年12月19日 18時07分 更新)
ライター情報:米光一成


『文章読本さん江』(斎藤美奈子/ちくま文庫) 文庫版にはデジタル時代の文章読本について追記あり。文章読本の闇を暴く小林秀雄賞受賞作。

文章を書くときに役立つシリーズ第二弾。
記事「文章を書き終えたらチェックすべき17ポイント」につづいて、文章を書くときに参考になる名著を紹介する。
文庫で手軽に入手できるものから3冊選んだ。

■本多勝一『日本語の作文技術』(朝日新聞社)
「事実的」「実用的」な文章のための作文の技術をていねいに解説した本。最初に、“目的はただひとつ、読む側にとってわかりやすい文章を書くこと”と言い切る。
これほど論理的な文章読本は、他にない。
たとえば、第二章。次のような例文が登場する。
“私は小林が中村が鈴木が死んだ現場にいたと証言したのかと思った。”
この文の修飾・被就職関係を図解した後に、
“鈴木が死んだ現場に中村がいたと小林が証言したのかと私は思った。”
と語順を正す。だいぶ分かりやすくなる。
凡庸な本なら、この後に「語順に注意しましょう」と警告をつけて、終わりだ。
だが、本多勝一は、さらに踏み込む。
“こういう極端な例をみると「まさかこんなひどい文を……」と思われるかもしれない”と前置きした上に、朝日新聞から、同様の例を引いてくる。そして語順をただし、論理的な欠陥を修正する。
その後も容赦ない。
大江健三郎のエッセイを引用し、“良い悪いを論ずる自信は私にはない”としたうえで、“「わかりにくい文章」であることには違いない”と断定し、化学構造式風に、その入り乱れたわかりにくさを図示する。
さらに次章で、「では、どうすればわかりやすい語順になるのか」を検証し、たった4つの原則に集約する。
明瞭さ、クリアさは、抜群で、これを読んで習得したあとは、世の中にはびこるわかりにくい語順を、がんがん正して悦に入ってしまう誘惑に抗えない。
第四章は、「句読点のうちかた」。ここでも、あくまでも「読みやすさ」が優先され、誤読されないように導かれる。
テンの打ち方が圧巻(映画ならはやくもクライマックスという感じ)。
多彩な例文を検証したすえに、登場する原則は二つ。
第一原則 長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ。(重文の境界も同じ原則による。)
第二原則 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。
この原則以外は“筆者の考えをテンにたくす場合として、思想の最小限を示す自由なテンがある”が、それ以外は「いいかげんなテン」として成敗される。
たとえば、
“わたしをつかまえて来て、拷問にかけたときの連中の一人である、特高警察のミンが、大声で言った。(『世界』一九七五年6月号一〇五ページ)”
という文が引用され、“すべて不要なテンだろう”と指摘する。
修飾句の後の不要なテンは世の中に氾濫していて、この指摘を読んだ後は「あ、ここにも。あ、ここにも」と見つけてしまう。

目次を引用しよう。以下のような内容で、書き手の無神経さを糾弾していく。

【目次】
第一章 なぜ作文の「技術」か
第二章 修飾する側とされる側
第三章 修飾の順序
第四章 句読点の打ち方
第五章 漢字とカナの心理
第六章 助詞の使い方
 1 象は鼻が長い -題目を表す係助詞「ハ」
 2 蛙は腹にはヘソがない -対照(限定)の係助詞「ハ」
 3 来週までに掃除せよ -マデとマデニ
 4 少し脱線するが… -接続助詞の「ガ」
 5 サルとイヌとネコとが喧嘩した -並列の助詞
第七章 段落
第八章 無神経な文章
 1 紋切り型
 2 繰り返し
 3 自分が笑ってはいけない
 4 体言止めの下品さ
 5 ルポルタージュの過去形
 6 サボリ敬語
第九章 リズムと文体
 1 文章のリズム
 2 文豪たちの場合
第一〇章 作文「技術」の次に
 1 書き出しをどうするか
 2 具体的なことを
 3 原稿の長さと密度
 4 取材の方法
<付録>メモから原稿まで


■鶴見俊輔『文章心得帖』ちくま学芸文庫)
“良い文章を書くようになりたいという理想を、この文章教室に来た人と共有している。”
文章教室で話したときの記録集で、とても読みやすい。
文章を書く上で大事なことを著者は、こう語る。
“まず、余計なことをいわない、ということ。次に、紋切り型の言葉をつきくずすことだと思う。”
この「つきくずす」が、いい。
しかも、その後に、“いくつか制限”を加える。
まず、子供。
“子供が紋切り型の言葉を使うときは、躍動があって、自由な生命の動きというものがある。だから、テレビとか映画を見ていても、赤ン坊がでれば、どんな名優だって完全にくわれてしまう。一つ一つのきまりきった言葉の言い方が、きまりきっていない。”
もうひとつは、老人。
“老人になって力が衰えてくると、もう一度でてくると思う。(…)衰えていって、最後は消えてなくなるんだけれども、よろめきながら紋切り型を言うのには、赤ン坊が言うのといくらか似ていて、ちがう味わいがある。その段階では紋切型を言うことは、表現の重要な道筋になっている。”
そうじゃない大人は“紋切型とたたかうということが、一つの重要な目標に”なるということが、やさしい語りからしっかりと伝わってくる。
【目次】
まえがき
一 文章を書くための第一歩
紋切り型の言葉について
三つの条件
「書評」の書き方
情報量の少ない文章
自分らしい本の読み方
二 見聞から始めて
原体験と体験のちがい
いい文章の目安
結びの文章を工夫する
三 目論見をつくるところから
文章を書くことは選ぶこと
本のタイトルと目次
目論見の成功と失敗
四 文章には二つの理想がある
はじめての文体の魅力
適度な簡潔さが基準


■斎藤美奈子『文章読本さん江』(ちくま文庫)
“この『文章読本さん江』の誕生によって、我が国におけるすべての「文章読本」はその息の根を止められたのである。”と高橋源一郎が評した本だ。
谷崎潤一郎の『文章読本』からスタートし、さまざまな「文章読本」を読み解き、容赦なくやさしい蹴りを入れる。オススメした『日本語の作文技術』と『文章心得帖』も斬られている。
専任講師を務めている「宣伝会議編集ライター講座上級コース」でも、最初の課題図書にしている。本書を読んでおくと、へんな文章技術に惑わされて、とんでもないところに迷い込まなくてすむからだ。
“持てる者である彼らには、持たざる者の衣装(文章)が礼を逸して見える。文章の世界を下から上へ昇ってきた彼らには、「横の多様性」より「縦の序列」が気になるのだ。
しかし、好むと好まざるとにかかわらず、縦の序列で文章を計るやり方はやがて古びる。というかすでにダサい。双方向型のメディア社会で求められるのは、舞台の上でフラッシュを浴びるためではない、コミュニケーション型の文章であるはずだ。”P336
いかに「文章読本」たちがいかに類型的で、ピント外れなことをやってきたかがスッキリとわかる凄い一冊。小林秀雄賞受賞。

【目次】
1 サムライの帝国
書く人の論理─文章読本というジャンル
静かな抗争─定番の文章読本を読む
2 文章作法の陰謀
正論の迷宮─文章読本の内容
階層を生む装置─文章読本の形式
修行の場─文章読本の読者
3 作文教育の暴走
形式主義の時代─明治の作文教育
個性化への道─戦前の綴り方教育
豊かさの中で─戦後の作文教育
4 下々の逆襲
スタイルの変容─文章読本の沿革
様々なる衣装─文章読本の行方

本多勝一『日本語の作文技術』(朝日新聞社)、鶴見俊輔『文章心得帖』(ちくま学芸文庫)、斎藤美奈子『文章読本さん江』((ちくま文庫)オススメです。
(米光一成)
================引用終了

下ネタの品格──無形文化遺産をめぐって

 下記の仲間。
【下ネタの保管庫】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-648.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1282655893&owner_id=5019671

mixi日記2013年12月12日から

 いろいろ行き詰まって……こういうときは下ネタに限る。
 エロッっぽい下ネタではないが、限りなくシモの話。

 マイミクが「ボイス」で「無形文化遺産」についてつぶやいた。
================引用開始
「和食が無形文化遺産に指定!」ええ?? 私が作るこの和食が、無形文化遺産なのか!?と日本中の主婦(主夫)が驚愕してる。と思う。w
================引用終了 

 以降、きわめて格調の高いやり取りが続いたが、ある時点で急転直下でシモに走る。こうしてtobiクンは汚されていく(泣)。
 無断で転載する。

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tobirisu 12月06日
文化遺産破壊行為と見なされ、「創作和食」の店が一斉摘発されるそうです。次に摘発対象になるのは、個人の家庭かと。破壊の程度が著しい者ほど、厳罰に処されるとか。妙な料理写真をSNSなどにアップしているヤカラが真っ先に……あれ、誰か来たな。

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家主 12月07日
> tobirisuさん これは無国籍です。って言い張るしかないですね。味噌汁でも、納豆ご飯でも。(笑)

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tobirisu 12月07日
「味噌」や「納豆」を無国籍料理に使っている段階で、「文化遺産破壊行為」の可能性大。なにより恐ろしいのは、「和食の流儀を守っているのにマズいもの」がイチバン重罪って点です。

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家主 12月07日
> tobirisuさん 公安が来たら味噌汁にホットペッパーを、納豆にナメクジを放り込む(食ってみろと言われたら、今、ラマダンだからムリ、っていう。

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家主 12月07日
しかし、世界で伝統文化食が登録されているのは、メキシコとトルコだけみたいですね。しかも、トルコのケシケキなんてゲ●みたいで、これがなんで、和食より先に登録されているのかがなぞです。w

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tobirisu 12月07日
>ゲ●みたい 人として最低の発言です。猛省を求めます。世界三大料理に入ってるトルコ料理(なぜだ?)に対する冒涜です。よその国の文化に対して「●ロみたい」はいくらなんでもヒドすぎます。大使館に行って土下座しなさい。もんじゃって和食?

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家主 12月07日
> tobirisuさん 「●ロみたい」言ってない。芸術ですよ。芸術。ちょっと●足りなかったけど。もんじゃは、なんじゃろね。

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tobirisu 12月07日
わかってますよ。「ゲイジュツみたい」を受けて「ミケランジェロみたい」と書いたのですが。参考までに「●ロ」の画像です。さすがにキモい?http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%AD

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家主 12月08日
> tobirisuさん 無形文化遺産の選定委員にはマレーシア人が多いんでしょうかね。今度食べに行ってみます。http://tabelog.com/tokyo/A1308/A130802/13024908/dtlphotolst/P14176252/?smp=1&ityp=1#photoheader

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 昔、某番組の「食わず嫌い王」に出てきた渡哲也の嫌いなものは「とろろご飯」。理由が「ハ●食ってるみたい」だった。(←オ~イ!)
 これには後日談がある。石原事務所には、それまで毎年某有名麦とろ店からお歳暮が贈られていた。番組出演以来途絶えたらしい。そりゃそうだろ。

1、1、5、8を使って10を作る

 下記の仲間。
【テレビ関係なんでもかんでも お品書き】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-780.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1328615584&owner_id=5019671

mixi日記2013年12月08日から

 Googleさんが出した数学の問題。
「テンパズル」というらしい。
 これに近いことは、20世紀後半の年賀状でやっている人がいた。
 たとえば「1987を使って0から10までをつくる」とか……。

 さて問題の解答だけど、下記あたりがいいかな。
【1,1,5,8を使って10を作りなさい!Googleが出した算数チャレンジだぞっ!】
http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/34897054.html

 CMを見て真っ先に浮かんだのは、
1+1^5+8=10
※「1^5」は1の5乗

「階乗」を使うのは反則かな。出題は「+-×÷を用いて」だから。
 たぶん正解は下記なんだろう。
8÷(1-1÷5)=10

 これにもインネンをつけることはできる。
 順番が違う。誰も順番固定とは言ってないって。
 でも()を使うのはどうなんだろう。だったら「階乗」だってありだろう。
 ネット検索をしたなかに下記があった。
【1,1,5,8を使って10を作る問題】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2485808.html

 この質問があったのは2006/10/20。古典的な問題なのねorz。
 ここに出ている新説にうなる。これは浮かばない。
root(root(1+15))+8


 なんだかスゴいのは下記。
http://homepage2.nifty.com/puzzlebox/puzzle4.html

引用のご作法15相当 京都府若年者就業支援センター(ジョブカフェ京都)のサイト〈1〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671

mixi日記2013年08月26日から

 例によって無断転載らしいコメントがあったんで元を探した。
 ものすごい検索能力をもっている人なのに、なんでたびたびこんな非常識なことをするんだろう。
 下記の「2-2-2.尊敬語・謙譲語・丁寧語 」の「謙譲語」の項目と酷似している。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13112427723

 で、【ネタ元】のサイトのトップが下記。
【京都府若年者就業支援センター(ジャブカフェ京都)】
http://www.pref.kyoto.jp/jobcafe/e-learning/business.html

 直接の【ネタ元】は下記。全文は末尾に。
【2.社会人の言葉遣いと礼儀作法】
http://www.pref.kyoto.jp/jobcafe/e-learning/b-manner/data/saho.pdf

 
 この内容がなかなかいい(←何様!)。よく目にするホニャララの先生の原稿なんかよりずっといいのでは。ただし、いい内容であるほど、小さなキズがチラホラあるのが残念。
 目立つ箇所だけ指摘しておこう。

〈2-1.ファミコンことば〉
「3」だけ毛色が違うと思う。
「1」(~になります)、「2」(~のほう)、「4」(よろしかったでしょうか)は、いわゆるバイト敬語。「1」「2」を明解に否定している。個人的には疑問があるが、簡明な説明を心がけるなら、これはこれでアリだと思う。なら、なぜ「4」はこんなに曖昧なの?
 注文したのは当然「少し過去」のことだから、「よろしかったでしょうか」がダメな理由はなくなる。これでは何も言っていないのと同じ。だったらふれなければいいのに。
 もうひとつ気になったこと。「2」の説明だと、〈何かと対比して「こちらのほう」〉はOKってことになる。つまり、2品以上頼んでいる場合は「~のほう」でいいことになる。個人的にはそのとおりと思うが、世間はそうは考えていないはず。このような説明でいいのだろうか。
 もっと気になるのは〈3「おビールをお持ちしました」〉の説明。
〈先生の「おカバン」の場合は先生の持ち物ですが「ビール」はまだ誰の持ち物でもなく〉なの? ご注文の品なんだから、客のものともいえるのでは? 
〈後者の「持つ」は自分の行為だから「お」を付けるのはおかしいと感じる人がいるかもしれませんが、謙譲表現と考えることもできます〉……お持ちするは、「持つ」を謙譲語の形にしたものとしか考えようがないでしょうに。
〈「お」の使いすぎは、かえって品位を失うことになります〉……そのとおりだけど、何を基準にするのかな。明確な基準がないなら、それは書き手の主観でしかない。
 そういう書き方をするから〈「ビールをお持ちしました」が正しい表現〉なんてムチャなことになる。これは個人の言葉の使い方の問題だろう。要は、好みの範疇。正しい正しくないなんてことは言えない。
「ご注文の品をお持ちしました」はクドくて品位がないのか。
「お通しとおしぼりをお持ちしました」「お造りをお持ちしました」「お酒をお持ちしました」
 全部クドくて品位がないのか。まさか。
 まあ、後述のように「ビール」は外来語なので「お」をつけると間違い、と断言するのもどうかと思うけど。


【2.社会人の言葉遣いと礼儀作法】
http://www.pref.kyoto.jp/jobcafe/e-learning/b-manner/data/saho.pdf
================引用開始
2.社会人の言葉遣いと礼儀作法

学習目標
相手に好印象を与える言葉遣いと礼儀作法についてその基本的なことを学び、それが、単に形としてだけではなく、相手に対する「心づかい」を含めて身につくよう努力しましょう。

2-1.ファミコンことば
学習目標
ビジネスの場ではふさわしくない言葉があります。人に不快感を与えずに業務を円滑に進めるためにも、正しい日本語を身につけましょう。

「ファミコンことば」とは、ファミリーレストランやコンビニエンスストアで使われている言葉のことで、本来の言葉の持つ意味に照らしてみると少しおかしい日本語のことです。違和感を感じている人も多いでしょう。このような接客語だけでなく、最近では、様々な「はやり言葉」を耳にしますが、様々な年代の人と接するビジネスの場では誤解されるケースも考えられ、ふさわしくない場合が多いので使用しないほうがよいでしょう。
 いくつか例をあげて考えてみましょう。

1「こちら和風セットになります」
「なる」という動詞は「人為的ではなく自然のなりゆきで変化して別の状態が現れる」意味で、お客の側から不自然に感じられるのは、この<非人為的>と<新たな状況の出現>が場面にそぐわないからでしょう。正しくは「こちら和風セットでございます」です。

2「おつりのほうは230円でございます」
 もともと「~のほう」には、物事をぼかしたり遠回しに言ったりする用法と、何かと対比して「こちらのほう」といった言い方があります。遠回しに慎み深く言ったつもりでしょうが、特に金銭のやり取りなど正確さが要求される場面では適切な表現とはいえません。またコーヒーだけ注文した客に「コーヒーのほうをお持ちしました」と言われると、まだ何か他に注文したのかと考えてしまいます。例文の場合、正しくは「おつりは230円でございます」です。

3「おビールをお持ちしました」
 違和感を覚えるのは「おビール」と「お持ちする」の部分です。先生の「おカバン」の場合は先生の持ち物ですが「ビール」はまだ誰の持ち物でもなく尊敬すべき相手ではありません。後者の「持つ」は自分の行為だから「お」を付けるのはおかしいと感じる人がいるかもしれませんが、謙譲表現と考えることもできます。いずれにしても「お」の使いすぎは、かえって品位を失うことになります。例文の場合、「ビールをお持ちしました」が正しい表現です。

4「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」
「ご注文は以上でよろしいでしょうか」と現在形でいいのではないかという疑問です。電話で「奥様でいらっしゃったでしょうか」と言われて「今も奥様ですけど・・・」と言いたくなったという話があります。「これでよかったか」と少しでも過去のことについて尋ねているとすれば、このままでよいとも言えます。


2-2. 敬語の正しい使い方
学習目標
敬語が使えない人は「常識」がないと見られます。敬語は単に形を覚えればよいだけでなく相手に対する「心づかい」を含めて、正しい敬語を身につけましょう。

2-2-1.敬語の必要性と種類
「敬語くらい知っている」と思うかもしれませんが、「なんとなく知っている」程度では社会人として通用しません。お互いの立場の違いをきちんと認識し、目上の人には敬意を表した言葉遣いをしなければなりません。敬語も仕事上関わり合う人との潤滑油となるものです。
敬語には3種類あります。
(1)尊敬語:相手に敬意を示すために、相手の行為や状態などを敬って言い表す言葉
(2)謙譲語:相手に敬意を示すために、自分をへりくだって言い表す言葉
(3)丁寧語:相手に敬意を示すために、物事を丁寧に言い表す言葉
 この中でも、尊敬語と謙譲語の使い分けがポイントとなります。「尊敬語は相手のために使う言葉」で「謙譲語は自分のために使う言葉」ですので、混同してしまうと、相手に失礼となり、信用を失くしかねません。この違いは重要ですから、きちんと理解して覚えてください。

2-2-2.尊敬語・謙譲語・丁寧語
(1)尊敬語
1相手に属するものに「お」「ご」をつける  例)ご意見、お名前
2語尾に「さん」「様」をつける  例)吉田さん、お客様
3丁寧な代名詞を選ぶ(代名詞の変化)  例)どなた、そちら
4相手の行動(語尾)に「れる」「られる」をつける  例)外出される
5相手の行動に「お・・・になる」をつける  例)お読みになる
6相手の行動に「・・・して下さる」をつける  例)お越し下さる
7完全に言い換える  例)召し上がる、いらっしゃる

(2)謙譲語
 自分あるいは自分の側に属するものを低い地位におくことで、相対的に相手の地位を高め、敬意を表す日本語独特の言い方です。
1自分に属するものを低くいう  例)粗品、弊社、わたくしども
2自分の行為に「お」「ご」をつける  例)お待ちする
3自分の行為(語尾)に「...していただく」をつける  例)送らせていただく
4自分の行為は謙譲の動詞で表す  例)申す、承る

(3)丁寧語
職場での会話の基本は、すべて丁寧語です。
1文末に「です」「ます」をつける  例)雨が降ります
2言葉を丁寧に言い換える  例)ちょっと→少々、いま→ただいま
3語尾に「ございます」をつける  例)わたくしどもの課長でございます
4頭に「お」「ご」をつける  例)お休み、ご案内
 もっとも、むやみやたらに使うと、かえって品がなく、いやみっぽく聞こえます。通常、外来語、動植物(相手のペットでも)、自然現象、「お」で始まる言葉などには、「お」、「ご」をつけません。例)X おコーヒー・おビール

 敬語を正しく使えるようになるには、まずは用語そのものを暗記することが大切です。
慣れないうちは、会話中においてとっさの判断では的確な敬語は使えないはずです。そのためにも、次の表に出てくる使い分けくらいはできるようにしっかりと理解しておきましょう。

2-2-3.主な用語
(1)主な動詞の敬語

普通の言い方  尊敬語     謙譲語              丁寧語
する      なさる     いたす              します
いる      いらっしゃる  おる               います
        おいでになる
行く・訪ねる  いらっしゃる  参る・伺う・上がる・参上する・  行きます
        おいでになる  お邪魔する・お伺いする      訪ねます
来る      いらっしゃる  参る・伺う・上がる・参上する・  来ます
        お見えになる  お邪魔する・お伺いする
        お越しになる
        おいでになる
見る      ご覧になる   拝見する             見ます
        ご覧くださる  見せていただく
見せる     お見せになる  ご覧に入れる・お目にかける    見せます
聞く      お耳に入る   伺う・拝聴する          聞きます
聞かせる    お聞かせになる お耳に入れる           聞かせます
言う      おっしゃる・  申し上げる・申す         言います
        仰せになる
思う      思し召す    存ずる              思います
        お思いになる
知る      ご存じ     存ずる・存じ上げる        知ります
あげる     賜る・くださる 差し上げる            あげます
もらう     お受けになる  頂戴する・いただく賜る・承る   もらいます
食べる     召し上がる・  いただく・頂戴する        食べます
        あがる
死ぬ      お亡くなりになる 亡くなる            死にます
気に入る    お気に召す    ―               気に入ります
着る      召す       ―               着ます
確認する    改める      ―               確認します
会う      お会いになる   お目にかかる・お目もじする   会います
借りる     お借りになる   拝借する・お借りする      借ります
承諾する    お聞き入れになる かしこまる・承る        承諾します
呼び出して   お呼び出しになる お呼び立ていたしまして     呼び出しまして

(2)自称表現と他称表現
 また、自称表現と他称表現の違いもしっかりと、理解しておきましょう。自称表現とは、特に会社の外の取引相手の人に対して、自分や自分の会社のことを述べる時に使う表現です。これに対して、他称表現とは、相手の人や相手の会社のことを述べる時に使う表現です。
 この区別もビジネスにおいてとても重要で、おかしな表現を使っていると、あなたやあなたの会社の評判を落とすことにもなりますから、十分に注意してください。

      自称           他称
個人    私(わたくし・わたし)・  ○○様・そちら様・お客様・貴殿・先生
      小生
団体    私ども・一同       各位・ご一同様
会社    当社・弊社・小社     貴社・御社・お勤め先・○○会社様
役員・上司 当社社長・当社役員・上司 貴社長・ご重役・ご上司
部下    当社社員・本人・担当者  貴社社員・御社社員・ご本人・ご担当


(3)人称の種類
自分     わたくし    標準
       わたし     少しくだけた言い方
       こちら     
相手     あなた(さま)  改まった言い方
       そちら(さま)  やや事務的
       おたく(さま)  私的な場での言い方
三人称 近い こちらさま
       このかた
       こちら
    中間 そちらさま
       そのかた
       そちら
    遠い あちらさま
       あのかた
       あちら
不明     どちらさま
       どのかた
       どなた
       どちら


2-2-4.間違えやすい使い方
 敬語表現については、4つのポイントがあります。
1二重敬語(過剰敬語)になっていないか。
2相手に対して謙譲語を使っていないか。
3丁寧語と尊敬語が混在していないか。
4相手の立場に適した敬語になっているか。
 ビジネスの場では、この4つをしっかりとチェックするようにしましょう。

(1)敬語が過剰な例
間違い           正しい
おっしゃられた       おっしゃった
              おっしゃいました
おいでになられました    おいでになりました
              いらっしゃいました
召し上がられますか     召し上がりますか
ご出発になられる方は    出発される方は
              ご出発の方は
お着きになられました    お着きになりました
              到着されました
先生がご指摘されました   先生がご指摘になった
そちらにお掛けになられて  そちらにお掛けになって
お待たせ申し上げました   お待たせいたしました

(2)相手に対して謙譲語を使ってしまった例
間違い            正しい
景品を頂いてください     景品をお持ち(になって)ください
               景品をお受け取りください
拝見なさった後で       ご覧になった後で
               お読みになった後で
あちらで伺ってください    あちらでお聞きになってください
あちらで伺って頂けますか   あちらでお尋ねになって頂けますか
伺っていらっしゃいますか   お聞きになっていらっしゃいますか
               お聞きおよびでしょうか
持ってまいりましたか     お持ちになっていらっしゃいますか
               持っていらっしゃいますか
こちらでお待ちしてください  こちらでお待ちになってください
               こちらでお待ちください
ご参加してください      ご参加ください
ご注意してください      ご注意ください
部長の申されたことは     部長のおっしゃったことは(部長に対して)
               部長の申しましたことは(外部に対して)
どちらに参られますか     どちらへいらっしゃいますか
               どちらへお出かけになりますか
参られる節にはお電話ください お越しの節にはお電話頂けますか
いつごろご到着いたしますか  いつごろご到着でしょうか
               いつごろご到着になりますか
               いつごろお着きでしょうか
お忘れ物いたしませんように  お忘れ物なさいませんように
どちらにご恵贈なさいますか  どちらにお贈りになりますか

(3)丁寧語と尊敬語を混ぜて使ってしまった例
間違い          正しい
どちら様でございますか  どちら様でいらっしゃいますか
分かりました方は     お分かりになった方は
何をお探しでございますか 何をお探しでいらっしゃいますか

(4)その他の例間違い正しい
とんでもございません   とんでもないことでございます
(上司をねぎらうときに)
ご苦労様でした      お疲れ様でした
分かられたと存じますが  お分かりになったと存じますが
ご安心してお任せください 安心してお任せください

2-2-5.第三者に対する敬語
(1)社外の人に対して自分の上司のことを述べるとき
 社外の人に対して自分の上司のことを述べるときは、社内の上司に対して敬語を使わないようにします。ただし相手が上司の家族や親族である場合には、上司に対しても敬語を使います。
1来客に対して
×部長はもうじきお着きになりますので
○部長の△△はもうじき参りますので

2部長の家族に対して
×部長の△△は席を外しております
○部長は席を外されています

(2)上司と上司の部下について話すとき
 上司に対して、その上司の部下のことを言うときは、敬語を使わないのが自然です。ただし、上司の部下が自分より目上に当たる場合は、低い程度の尊敬語を使用します。
1部長に対して課長のことを言う
×課長がご到着になりました
○課長が到着されました
⇒部長だけでなく課長も立てるべきなので、課長に対しては部長よりも低い敬語を使用します。

2部長に対して課長の要望を伝える
×課長が書類を見せたいとのことです。
○課長が書類をご覧に入れたいとのことです。

3課長に対して部長の要望を伝える
×部長が参るようにおっしゃっています。
○部長がおいでくださるようにおっしゃっています。
⇒部長と課長、2人に対して敬意を払うべきなので、課長に対しても丁寧な言葉遣いをします。


2-3.会話を円滑にする言葉とあいづち
学習目標
会話の中でちょっと一言添えるだけで、その会話が円滑になります。印象を和らげる「クッション言葉」と潤滑油の役割を果たす「あいづち」について学びます。
(1)クッション言葉
 相手の意に添えない「注意」、「忠告」、「依頼」、「断り」を切り出す場合、ちょっと一言、頭に添えるだけで、相手に与える印象を柔らかくし相手が受け入れ易くなります。
 これをクッション言葉といいます。
 次の例を見てください。
 ・「危険ですから、そこをどいてください」
 ・「申し訳ありませんが、危険ですからそこをどいてください」
 皆さんは、どちらが受け入れ易いですか?このように入り方を柔らかくし、まず相手をたて、それからこちらの言い分をのべると、円滑なコミュニケーションがとれるようになります。
 クッション言葉には
・「恐れ入りますが...」
・「失礼ですが...」
・「申し訳ございませんが...」
・「あいにく...」
・「お手数をおかけいたしますが...」
・「おさしつかえなければ...」
・「よろしければ...」
・「大変ありがたいのですが...」
 などがあります。

(2)あいづちあいづちは「一言の言葉とうなずき」の行為を言います。あいづちをすることによって、
「あなたの話を熱心に聴いている」ことを相手にアピールでき、会話の潤滑油の役割を果たします。特に、電話では相手の顔が見えないだけに、あいづちは重要です。
 あいづちには
・「ええ」
・「そうですね」
・「なるほど」
・「わかりますよ」
・「はい」
・「はい、わかりました」
・「そうですか」
 などがあります。


2-4.ビジネスの慣用表現
学習目標
ビジネスで使われている慣用的な決まり文句を覚えましょう。

 ビジネスでは話の内容をスムーズに伝えるため、相手に敬意を払いながらも、一方では合理的な表現も併用する、特有な慣用表現があります。

呼称  対象         慣用表現
    自社のこと       私ども・当社
    相手の会社       御社・○○会社様
呼称  自社の役職者(伊藤課長) 課長の伊藤・私どもの伊藤
    誰           どちら様
    名前不明の来客     お客様
時間  今           ただいま
    さっき         先ほど
    これから        今後
年月日 おととし        一昨年
    今日          本日
    あさって       明後日
方向  ここ・こっち      こちら
    あっち         あちら
    そっち         そちら
    どこ          どちら
もの  これ          こちら・こちらの○○○
    それ          そちら・そちらの○○○
    あれ          あちら・あちらの○○○
    どれ          どちら・どちらの○○○
    どれも         いずれも
================引用終了



京都府若年者就業支援センター(ジョブカフェ京都)のサイト〈2〉

【2.社会人の言葉遣いと礼儀作法】
http://www.pref.kyoto.jp/jobcafe/e-learning/b-manner/data/saho.pdf
================引用開始
2-2-2.尊敬語・謙譲語・丁寧語
(1)尊敬語
1相手に属するものに「お」「ご」をつける  例)ご意見、お名前
2語尾に「さん」「様」をつける  例)吉田さん、お客様
3丁寧な代名詞を選ぶ(代名詞の変化)  例)どなた、そちら
4相手の行動(語尾)に「れる」「られる」をつける  例)外出される
5相手の行動に「お・・・になる」をつける  例)お読みになる
6相手の行動に「・・・して下さる」をつける  例)お越し下さる
7完全に言い換える  例)召し上がる、いらっしゃる
================引用終了

 別にこれでもいいのかもしれないが、『敬語再入門』などと見比べると、いろいろ疑問が湧いてくる(そりゃ比べる相手が悪いって)。
「1」……まず接頭語の話をもってきますか。それも名詞限定で。厳密に言うと、動詞につく接頭語もあると思うけど、パスしておく。
「2」……次に敬称ですか。別に悪くはないけど、まず動詞ではないかな。
「3」……これは微妙。厳密に言うと、「どなた(様)」は尊敬語だけど、「そちら」は尊敬語ではないらしい。専門的には「改まり語」とか言うものの仲間だと思う。「敬語」ではないけど丁寧な印象のある言葉、くらいの位置づけになる。
「4」から動詞になるが、これがちょっと。
 たとえば、『敬語再入門』のP.44~に、「主な尊敬語四つの整理」という項がある。
1)お/ご~~になる
2)お/ご~~なさる
3)──なさる
4)……(ら)れる
 ↑の分類の「4」「5」は入っている。
5)「・・・して下さる」もたしかに尊敬語だけど、これを入れるなら、「いらっしゃる」も入れるべき、ってことになる。
「7」はいわゆる「特定形」の話で、「言いかえる」と言っていいのか悪いのか。
 やっぱいろいろ穴が見える。


================引用開始
(2)謙譲語
 自分あるいは自分の側に属するものを低い地位におくことで、相対的に相手の地位を高め、敬意を表す日本語独特の言い方です。
1自分に属するものを低くいう  例)粗品、弊社、わたくしども
2自分の行為に「お」「ご」をつける  例)お待ちする
3自分の行為(語尾)に「...していただく」をつける  例)送らせていただく
4自分の行為は謙譲の動詞で表す  例)申す、承る
================引用終了

「1」……いきなりその話ですか。それは「その他」くらいの扱いにするべきだろう。
「2」……それは「お/ご~~する」の話だろう。謙譲語の一番基本的な形とも言えるもの。〈自分の行為に「お」「ご」をつける〉とはちょっと違うだろう。さらに言うと名詞につく「お/ご」が謙譲語になることもある。「先生へお手紙を書く」とか「ご連絡をさしあげる」とか。
「3」も謙譲語の代表的な形かもしれない。じゃあ「お/ご──いたす」や「お/ご~~申し上げる」の立場は。
「4」はいわゆる「特定形」の話で、なぜこちらは「言いかえる」ではないのか、って疑問が湧く。


================引用開始
(3)丁寧語
 職場での会話の基本は、すべて丁寧語です。
1文末に「です」「ます」をつける  例)雨が降ります
2言葉を丁寧に言い換える  例)ちょっと→少々、いま→ただいま
3語尾に「ございます」をつける  例)わたくしどもの課長でございます
4頭に「お」「ご」をつける  例)お休み、ご案内
 もっとも、むやみやたらに使うと、かえって品がなく、いやみっぽく聞こえます。通常、外来語、動植物(相手のペットでも)、自然現象、「お」で始まる言葉などには、「お」、「ご」をつけません。例)X おコーヒー・おビール
================引用終了

 話の順序がヘンだろ。
 まず基本は「1」のいわゆるデス・マス体。それをさらに丁寧にした形が「3」の「ございます」。
「2」は「改まり語」の類いで、敬語とはちょっと違う。
「4」はどうやら名詞につく「お/ご」の話らしい。これではいくらなんでも説明が粗いだろう。ちゃんと書こうとするととんでもないことになるけど。
 基本は↑のとおりだけど、「おビール」「おタバコ」は許容範囲。自然現象のなかには、「お天道さん」みたいな例外もある。〈「お」で始まる言葉〉の例外は、「お降りの方」「お送りする」あたりかな。
【接頭語の「お/ご」がつきにくい言葉】これもかなり乱暴だけど……。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2738.html

 こうやって見ていくとやはり細かい問題が出てくる。
 菊地読本を読みましょう、って話になる。
 メンドーなので、以下省略。(←オイ!)
 ……ってわけにはいかないか。

(つづく)

突然ですが問題です【日本語編175】──敬語の難問9 「あげる」「~てあげる」は敬語なのか

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
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mixi日記2013年12月04日から


【問題】
 下記の1)~8)の「あげる」「~てあげる」の使い方の適否を答えなさい。

1)先生に洋服をあげる
2)先生に洋服をさしあげる
3)犬にドッグフードをあげる
4)植木に水をあげる
5)先生にコートを着せてあげる
6)犬に服を着せてあげる
7)植木の枝を切り揃えてあげる
8)お鍋にお水を入れてあげる




【解答?例】
 辞書を読む限りでは、1)~8)は、いずれも×とは言いがたい。
 個人的には、かろうじて使えるのは2)だけ。
 1)5)は×。
 3)4)6)7)8)は最近よく見る気がする。7)8)は妙な擬人化みたいで、相当気持ちが悪い。

【よくわからない解説】
 詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1378.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1918580270&owner_id=5019671




突然ですが問題です【日本語編174】──トップランナー トップのランナー

 下記の仲間。
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mixi日記2013年11月09日から

【問題】
 次の1)~3)の意味の違いを説明しなさい。

1)マラソンのトップのランナー
2)業界のトップランナー
3)突然吹く強い風


【解答?例】
 まず3)に関して。
 それは突風やろがーーーーーーー!!

 コホン。
 1)と2)の違いに関しては辞書をひいてね。


【よくわからない解説】
 まず、出題文にいただいたコメントを引用する。
================引用開始
1)ランニングシューズを履いている
2)理想論を吐いている
3)この時季、庭の落ち葉を掃いている
================引用終了
 お見事。(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ

 えー。ヨタ話はさておき。(←オイ!)
 下記の「13-10-07 」を書いて思いついた問題です。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1915104626&owner_id=5019671

 辞書のリンクが切れたので、再度張ります。
http://kotobank.jp/word/%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97?dic=daijisen&oid=13375700
================引用開始
トップ 【top】

1 順序の最初。1番目。「本日―の議題」
2 首位。1位。「前半を―で折り返す」
3 あるまとまりの中での最上層。また、そこに位置する人や物。「世界の―ランナー」
(以下略)
================引用終了

1)マラソンのトップのランナー
 は、辞書の「2」の意味。
2)業界のトップランナー
 は辞書の「3」の意味。
 文脈によってはまぎらわしい場合が……ありそうだけど、ないんだろうな。あったら教えて。




突然ですが問題です【日本語編173】──敬語の難問8 ~されてください ~なさってください

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
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mixi日記2013年10月27日から

【問題】
【問1】
 下記の文が自然か否かこたえなさい。
 
 ○○は遠慮されてください

【問2】
 【問1】の例文が不自然な場合、修正案を考えなさい

【問3】
 【問1】の例文が不自然な場合、その理由をこたえなさい。 


 ちなみに、この問題をつくるキッカケになったのは下記。
 ホニャララのコメントだが、使えるものは使う。
http://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=358&community_id=4310695&bbs_id=74876086
================引用開始
まともに答えられないみたいですのでmixi退会されてくださいよ
================引用終了


【解答?例】

【問1】
 2つの側面がある。
 ①一般に、他者の行動に対して「遠慮しろ」はよくないとされる。
 ②「~されてください」は相当不自然。

【問2】
 ①に関しては、「控えろ」くらいが無難。
 ②に関しては、「控えられてください」にしても相当ヘンなので、「お控えください」あたりが無難。

【問3】
 ①に関しては、どうやらそういうものらしい。決定打はなさそうだけど、当方は大勢に逆らう気はない。
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E9%81%A0%E6%85%AE%E3%80%80%E6%8E%A7%E3%81%88&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=&oq=
 下記あたりが信頼できるだろうか。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1312682303

 ②に関しては、明らかにおかしいと思うけど、説明は不能。

【よくわからない解説】
 詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2901.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1917195920&owner_id=5019671




2013年11月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html


【2013年11月】
13-11-01
9日
(辞書いいね!)敬語のお辞典

(本文省略)


13-11-02
25日
暴力団観戦問題に野球賭博事件、八百長事件と不祥事が立て続けに起き、大相撲は存亡の危機に立たされた。(朝刊13面)
 抜井規泰記者。やはり「存続の危機」あたりだろう。過去に当時の放駒理事長のインタビューで問題になったことを踏まえてのことなのだろうか。「天声人語」でもつかっていたしなぁ。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1832.html
================引用開始
【2011年2月】
11-02-4
3日
「協会存亡の危機では」と問われた理事長は「私もそういう認識でいる」と苦渋の表情で語った。(朝刊30面)
 記者不明。そもそも「存亡の危機」って誤用を口走ったのは放駒理事長だと思っていた。違うのかな? 下記でも放駒理事長は口にしてはいない。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1155112536
================引用終了

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2648.html
================引用開始
【2012年12月】
12-12-01
14日
存亡の危機に、同社は動揺を隠せない(朝刊1面)
「天声人語」。「存続の危機」と「存亡のとき(など)」の混用だろうな。
================引用終了


13-11-03
30日
「天声人語」からいくつか。

識者の意見を聞いて議論をさらに深めるのかと思いきや、ただのアリバイ作り。(朝刊1面)
 こういうのを「アリバイ作り」と言うのだろうか。「予防線」ならわかる。「一種の事務的手続き」でもいい。なんとなく意味は通じるけど、「アリバイ」(現場不在証明)の本来の意味を考えると異和感がある。


13-11-04
30日
「やり方が姑息(こそく)で拙速。法案そのものを象徴しているようだ」(朝刊1面)
「姑息」はこういう使われ方をすることが多い。誤用の「卑怯」か、正用の「一時しのぎ」なのか、判断ができない。


13-11-04
30日
コラムニストのブルボン小林さん(41)は以前、コーラと言われて渡された麦茶を飲んで「うぇっ」と驚いた。(朝刊1面)
 このあとに出てくる「我々は物を食すとき、言語も食べている」は名言だと思う。ただ、〈「うぇっ」と驚いた〉はどうなんだろう。「うぇっ」となった、ならわかるけど。

(本文省略)

2013年10月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html


【2013年10月】

13-10-01
5日
 電通の調査では、ラジオの広告費は2004年にインターネットに抜かれ、右肩下がり。(夕刊12面)
 佐藤美鈴記者。「広告費」ではなく「広告(費)収入」では、って話はおく。「右肩下がり」はもはや許容か。


13-10-02
7日
ここはありきたりだが、体操男子の大車輪の活躍に拍手を送りたい。(天声人語)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1914283617&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2883.html


13-10-03
8日
先発投手が手にできるパ・リーグのタイトルのうち、一つだけ手にできなそうなのがある。(夕刊7面)
 鈴木健輔記者。別に間違いではない。だが、「できなそう」って使用例はめったにみない。「手にできそうにないのがある」じゃダメなんだろうか。ついでに言うと、一文に「手にでき」が2回出てくるのも無神経。「一つだけ逃しそうなのがある」くらいか。さらに言うと、「なのがある」もちょっと異和感がある。


13-10-04
10日
この一手によって深刻なせめぎ合いと読み比べに巻き込み、名人のヨセコウの誤算と、白62(11の十四)の名手の見落としを呼んだ。(朝刊25面)
 春秋子記者。囲碁の観戦記。一文がかなり長いことと、文意の不鮮明さは関係がありやなしや。「せめぎ合い」はもはや許容か。


13-10-05
12日
でも競争のない「かけっこ」には疑問も感じるのだそう。(朝刊b5面)
 別に間違いではない。だが、「だそう」って使用例はめったにみない。「感じる」「感じるという」「感じるとか」「感じるとも」……etc.ほかにいくらでもあるでしょうに。その点を別にすると、この文章は非常に好感がもてる。「人たらし」もめったに見ない語彙だけど、劇中にあったからなぁ。

(本文省略)


13-10-06
15日
9月4日に開幕した第1局は、序盤から積極的に仕掛けた中村が先勝。(夕刊9面)
 深松真司記者。いろいろな意味で後世に語り継がれそうな将棋の第61期王座戦五番勝負の記事。正確に書くなら、「9月4日に開幕したタイトル戦。第1局は、序盤から積極的に仕掛けた中村が先勝。」。王座戦のタイトル戦は1日制なので、第1局が9月4日に「開幕」するのは珍妙。


13-10-07
15日
中村は今期王座戦の挑戦者決定トーナメントで、佐藤康光九段(44)、森内俊之名人(43)、郷田真隆九段(42)といった「羽生世代」のトップ棋士を連破して挑戦権をつかんだ。(夕刊9面)
 深松真司記者。13-10-06の続き。不正確だと思うが、修正するのは相当難問。連破した棋士は下記のどちら?
1)「羽生世代」でかつトップ棋士
2)数多い「羽生世代」のなかのトップ棋士
 どちらともとれるが、書き手は1)のつもりで書いていると思われる。〈……といったトップ棋士を連破して挑戦権をつかんだ。3人とも「羽生世代」の棋士である。〉と二文にするくらいかな。
 ちなみに「トップ棋士」は「トップクラスの棋士」を意味する慣用句のようなもの。下記の「3」と考えればいい。「トップ」が何人もいるのか、とか言わないように。
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97&stype=0&dtype=0
================引用開始
トップ【top】
1 順序の最初。1番目。「本日―の議題」
2 首位。1位。「前半を―で折り返す」
3 あるまとまりの中での最上層。また、そこに位置する人や物。「世界の―ランナー」
================引用終了

(本文省略)


13-10-08
19日
独自性を問われる生き残り競争の中、大辞泉が追究するのは「生きのよさ」だ。電子版は4カ月に1回、2千~3千語を増やしている。(夕刊1面)
 夕刊1面の記事。重要な話なんでメモしておく。そんなに頻繁に改定しているのね。

(本文省略)


13-10-10
21日
なかなか代役が気まらず、最後は経験豊富な38歳のベテランに白羽の矢が立った。(朝刊15面)
 鷹見正之記者。こういう「白羽の矢」はもはや許容か。


13-10-11
24日
強肩ぶりに定評がある。(朝刊25面)
 隅部康弘記者。「強肩」と「強肩ぶり」はどう違うのだろう。まさか最近の妙な「ぶり」の用法と関係がある? 詳しくは改めて。


13-10-12
27日
「家族とはいえ別の人格者」(朝刊38面)
 佐藤美鈴記者。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1914822246&owner_id=5019671


13-10-13
30日
難易度は低めだが、中には意外な発見も。(朝刊40面)
 竹内誠人記者。クイズ番組の紹介記事。「難易度」のなかには、許容してもよさそうな例もある。これは許容しにくい例。詳しくは改めて。

【了解いたしましたは失礼】教えて!goo

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2013年11月10日から

 下記のやり取りを回収しておく。
【了解いたしましたは失礼】教えて!goo
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8337442.html

【質問文】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

了解いたしましたは失礼

投稿日時:2013/11/07 08:53
組織の上の立場の相手に対して「了解しました」と返答するのは失礼だという事を、恥ずかしながら初めて知りました。
そこで困ってしまったのですが、上の方からの指示や連絡に対して、”よく理解しました”という意味の返答をしたいのですが、了解しましたに変わって何を使えば良いのでしょうか?

調べてみると、「承りました」や「かしこまりました」「承知しました」が正しいとあるのですが、特に何かする必要もなく知っておけば良いと言う内容の場合、うけたまわるのはなんだか違和感を感じるのですが、それで良いのでしょうか?

また、「了解」より「承知」のほうがキツイというか、慇懃無礼な印象を自分は感じてしまうのですが、自分の感覚がおかしいだけで、使って間違いなく問題ないのですよね?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

No.1
回答日時:2013/11/07 09:45

「了解」はぶっきらぼうな印象なので、目上に対しては失礼でしょう。「了解です」でもやや異和感があります。
「了解(いた)しました」も×という意見はよく目にします。しかし、×になる論理的な説明は見たことがありません。
 下記あたりは参考になると思います。
【ネタ元4】「了解しました。」は敬意表現にならないか。
http://www.ninjal.ac.jp/QandA/vocabulary/ryokai/
〈本来待遇の意味を含まない「了解しました。」が,どうして「ぶっきらぼう」に感じるのか,と探究しても,理屈で余りはっきりとは説明はつかない。〉としています。そのとおりでしょう。「了解(いた)しました」なら何も問題はないと思います。
 ただし、さらに重要なのは下記の部分でしょう。
================引用開始
結局思い当るのは,日常の言語生活上の,円滑なコミュニケーションに肝心なのは,もっとふさわしい言葉があれば,そちらの方がよい,とすべき,ということです。いうまでもなく,「わかりました。」「かしこまりました。」「承りました。」など,別にもっと良い言い方が,いろいろあるではないか,その場合には,それに譲ればよい,ということです。
================引用終了

 つまり、これほど「了解(いた)しました」を否定する意見が流布してしまうと、(正当な理由の有無にかかわらず)使わないほうが無難ということです。
「承りました」「かしこまりました」は、たしかに少しオオゲサかもしれません。
 当方は、「承知(いた)しました」なら、使います。異和感があるのなら、「わかりました」あたりではいかがでしょうか。
 詳しくは下記をご参照ください。
【よくある誤用20──誤用ではないけれど…… なるほど 了解 参考にする】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n122219

 さらに詳しくは、下記をご参照ください。
 さまざまな要素を盛り込んでいるので、とても長い話です。
【了解 了解です 了解した 了解しました 了解いたしました──大門圭介御用達?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2581.html

【この回答への補足】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

ありがとうございます。返事を出さなければならないのですが、書くことは「よく理解しました」というようなひとことしかありません。
相手が、失礼が決してあってはならないような相当に上の立場の方でして。「了解いたしました」でも失礼に当たると感じる人が居るとの事だと使えません。
「分かりました」ではそういう相手に最敬礼の返答とは言えないように思います。
かと言って、「知っておけよ」ということに対して、「とてもよく分かりました」と言う意味合いの、最敬礼の返答にあたる表現がなくて困ってしまいまして・・・
(「知っておけよ」に対して「承りました」でもおかしくはないですか?)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

回答日時:2013/11/07 13:34

 No.1でコメントした者です。
「了解」は、たしかに軍隊用語のイメージがある言葉です。
 No.1の最後のリンク先に書いたように、実際に軍隊で使われていましたし、現在も自衛隊で使われているようです。
 ただし、その場合は身分の上下に関係なく一種の符号のように使われるようです。

 敬語の基本で考えます。
1)「かしこまりました」「承りました」は謙譲語Iを丁寧語にしたものです
2)「了解しました」「承知しました」は単なる丁寧語です(「承」の字を使っていても謙譲語ではありません)
 敬度の面では1)のほうが高くなります。
 2)を「~いたす」(謙譲語II)の形にすると、2)よりは敬度が上がりますが、1)ほどではないはずです。
 敬度の高さを重視するなら1)を使うべきでしょう。

 ただ、No.1の「この回答への補足」にあるように、〈「知っておけよ」に対して「承りました」〉は、状況によってはおかしいのかもしれません。
「かしこまりました」にも異和感があるのなら、別の選択肢を考えるしかないでしょう。

「心(いた)します」
「心得ました」

 あたりですかね。
 場合によっては「肝に銘じます」もアリかもしれません。ちょっとオオゲサですかね。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

あまりにもありふれてないか? 姑息 確信犯 しおどき 失笑 破天荒

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2013年12月01日から


 またこのテの話かぁ。もう少しなんとかならないかなぁ。見飽きた(泣)。
 まあ、アンケートをとる以上、あまり奇を衒った言葉も選べないけどさ。解説には疑問も感じる。(あくまでも)ざっと見ておく。

1位 姑息な(×卑怯→○一時しのぎの、その場のがれの) 43.8%
 あれ? これに関してはあまり書いてないな。そのうち書こうかな。い「いまさら」感が強いけど。
 
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2795.html
================引用開始
4日
「天声人語」
「なるほど」の使い方はスルー。
 この記事に関して「魔法使いにさせて下さいといって魔法使いになる」はヘンって指摘があったらしい。
http://www.google.co.jp/search?client=safari&rls=10_6_8&q=%E9%AD%94%E6%B3%95%E4%BD%BF%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%95%E3%81%9B%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84&ie=UTF-8&oe=UTF-8&redir_esc=&ei=LDbQUc3EAsL5kAXoyYCQBA
 そりゃ「して下さい」あたりが妥当だし、「ください」のほうが一般的だろう。でもこれは「声」欄からの引用だからしょうがない。責められるべきは、この形で掲載した「声」の担当者だろう。文章に関してはよくわからない部分があるけど、スルーします。


13-06-05
4日
 ↑の「天声人語」の続き。
やはり戦争を知るOB、野中広務・元幹事長も「要件から変えるのは姑息(こそく)なやり方だ」と批判している。(朝刊1面)
「姑息」の使われ方も錯綜気味。「一時しのぎ」(正用)か「卑怯」(誤用)か微妙なケースもあるが、これはさすがに誤用だろう。
================引用終了

2位 確信犯(×わかっていながらやるというような意味→○道徳的、宗教的または政治的義務の確信を動機として行われる犯罪) 35.1%
3位 しおどき(×辞める頃合い/退くタイミング→○物事を行うのに最も良いとき) 33.6%よくある誤用5──言いかえがむずかしい(泣) 確信犯 なし崩し 潮時
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n116139

4位 失笑(×笑いも出ないくらいあきれる→○笑ってはいけない場面などで、こらえきれずに うっかり笑ってしまうこと) 31.3%
「笑ってはいけない場面などで、」限定ではないと思う。「など」がついているから許容?
よくある誤用16──泣いたり笑ったり 爆笑 失笑 号泣
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n121098

5位 破天荒(×豪快→○前人未踏) 29.1%
 言いかえ案としては「型破り」がオススメ。「破天荒な教師」(夫)とか「破天荒な家政婦」(妻)を「豪快」と言いかえると相当ヘン。「前人未到」(こっちのほうが一般的だろうな)に言いかえると訳わかりません。意味が違いませんかね。「前代未聞」ならアリだけど。
よくある誤用13──かなり微妙な線 破天荒 助長 鳥肌が立つ
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n119583


【ネタ元】
http://news.livedoor.com/article/detail/8303641/
================引用開始
間違った意味で使っている日本語1位「姑息な:×卑怯→○一時しのぎ」


写真拡大
間違った意味で使っている日本語1位「姑息な:×卑怯→○一時しのぎ」
正しい意味で使ったのに、会話が成り立たなかった……。現在の日本語には、そんな言葉が多いようです。そこで今回は、日常会話で何気なく使っていて、間違った意味だとは知らなかったという言葉を読者753名に聞きました。

Q.間違った意味で使っている日本語を教えてください(複数回答)
1位 姑息な(×卑怯→○一時しのぎの、その場のがれの) 43.8%
2位 確信犯(×わかっていながらやるというような意味→○道徳的、宗教的または政治的義務の確信を動機として行われる犯罪) 35.1%
3位 しおどき(×辞める頃合い/退くタイミング→○物事を行うのに最も良いとき) 33.6%
4位 失笑(×笑いも出ないくらいあきれる→○笑ってはいけない場面などで、こらえきれずに うっかり笑ってしまうこと) 31.3%
5位 破天荒(×豪快→○前人未踏) 29.1%

■姑息な(×卑怯→○一時しのぎの、その場のがれの)
・「汚いという意味だと思っていた」(29歳男性/団体・公益法人・官公庁)
・「知らなかった、正確な意味で使うと回りの人に勘違いされそう」(30歳女性/金融・証券/営業職)
・「姑息はずるいって意味で使ってしまいますよね」(28歳男性/運輸・倉庫/技術職)

■確信犯(×わかっていながらやるというような意味→○道徳的、宗教的または政治的義務の確信を動機として行われる犯罪)
・「これはもう間違っているほうが一般的になっていると思う」(40歳男性/自動車関連/技術職)
(27歳女性/医薬品・化粧品/営業職)
・「今はたぶん正しい意味で使ったほうが通じないと思う」(29歳女性/学校・教育関連/事務系専門職)
・「相手が意味をわかっていなければ全然正しい意味にならない。伝わってこそ言葉として意味があるのに正しい意味を押し付ける最近の流れは良くわからない」(26歳女性/商社・卸/事務系専門職)

■しおどき(×辞める頃合い/退くタイミング→○物事を行うのに最も良いとき)
・「本当に良く使います。間違った方で。見切り時を考える時に、独り言で出たりしますから」(33歳男性/金属・鉄鋼・化学)
・「みんなが間違っているなら、そのように使わないと、意味が通じないとも思う」(40歳男性/ホテル・旅行・アミューズメント/技術職)
・「つい、今がやめどきだよね、ってときに、潮時だねーと言ってしまいます」(37歳女性/マスコミ・広告/クリエイティブ職)

■失笑(×笑いも出ないくらいあきれる→○笑ってはいけない場面などで、こらえきれずに うっかり笑ってしまうこと)
・「よく聞く言葉で、間違っているとは思わなかったため」(27歳女性/学校・教育関連/専門職)
・「ウケなかった時とかの同情の笑いだと思っていた」(24歳女性/運輸・倉庫/営業職)
・「祖父が間違って使っていて、爆笑した(笑)」(35歳男性/印刷・紙パルプ/クリエイティブ職)

■破天荒(×豪快→○前人未踏)
・「最近テレビでも芸人が間違って使っている」(28歳男性/金属・鉄鋼・化学/営業職)
・「破天荒は、先を考えずに無茶なことをする人の事だと思っていました」(30歳女性/情報・IT/事務系専門職)
・「はちゃめちゃの印象があった」(38歳男性/人材派遣・人材紹介/営業職)

■番外編:日常でよく使う言葉なんだけどね
・ピンからキリまで(ピンは最も優れたもの キリは最も劣ったもの)「ピンキリは『安全ピンと、錐』のことだと思っていたので、キリのほうがいいことだと思い込んでいました」(26歳女性/機械・精密機器/技術職)
・節操がない(×落ち着きがない→○信念がない)「落ち着きがないという意味だと誤用していました」(29歳男性/自動車関連/技術職)
・陳腐(×つまらないもの→○ありふれていて平凡なこと)「漢字のつくりからつまらないものを想像させるから」(30歳男性/自動車関連/技術職

●総評
1位は「姑息な」でした。文化庁が発表した2010年度「国語に関する世論調査」でも、「姑息な手段」を「卑怯な」の意味で使う人が約7割という結果が出ているほど。誤用が当たり前になっている言葉なので、間違っているのはあなただけではありません。

2位は「確信犯」でした。これも世論調査で半数以上が間違っている誤用用語の強者。最近では、本来の意味のほかに誤用を付け加えている国語辞典も登場しているほど。

3位にランクインしたのは「しおどき」。正しい意味で使ったら、通じなくなってしまうというコメント多数。4位は「失笑」。ネットの書き込みでの「(失笑)」締めはどういたしましょう。

5位は「破天荒」でした。お笑い芸人にも”破天荒キャラ”と言われている人がいますが、前人未到の何かを成し遂げたのでしょうか。

「誤用」と言われても、間違っている人のほうが多い現在。あなたは正しい意味に改めますか? それとも通じるなら誤用でもいいから使ってきますか?
(文・OFFICE-SANGA 花澤和夫)

調査時期:2013年10月26日~2013年11月5日
マイナビウーマン調べ
調査数:男性297名、女性456名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
================引用終了

間違った意味で使っている日本語1位「姑息な:×卑怯→○一時しのぎ」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=60&from=diary&id=2671538

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