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【せっかく わざわざ わざと あえて】辞書〈2〉

 下記の続き。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2941.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1920521334&owner_id=5019671

 どうにもよくわからないのでトピを立ててみた。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=75665462&comment_count=10&comm_id=398881

 ウーン。
 もしかすると当方はalcのあの記事と相性が悪いのかもしれない。たいていの記事はスンナリ読めるんだけど。
 コメント[4]でいくつか例文をいただいた。
 〈1〉で考えたことを確認してみたい。ナンバーをつけ、体裁は〈1〉と合わせしまう。(←オイ!)
  10){せっかく/わざわざ}京都まで来たのだから、金閣寺を見て帰ろう。
  11){せっかく/わざわざ}京都まで来たのに、金閣寺を見ないで帰るのは残念だ。
  12){せっかく/わざわざ}のお越しなのですから、ぜひ、これをお持ち帰りください。
  13){せっかく/わざわざ}のお越しなのに、何のお構いもできなくてすみません。
  14){せっかく/わざわざ*}の留学なのだから、日本語以外のことも学んで帰りたい。
  15){せっかく/わざわざ*}の留学なのに、日本語以外のこともは何も学べなかった。
  16)行かなくてもいいのに{*せっかく/わざわざ}彼の家まで行った。
  17){せっかく/わざわざ*}の休みなのだから、どこかへ出かけたい。

 10)11)を見ても、「わざわざ鎌倉に来たのだから、長谷まで足をのばそう」を×にする理由はないと思う。
 12)13)は、alcに出てきた「わざわざのおいで」と同様で「わざわざの」が使えるレアケース。一種の慣用句かなぁ……。偶然か必然か、「わざわざのおいで」も「わざわざのお越し」も、相手が「わずわざ来てくれたこと」に感謝している。そういう使い方が多いのだろう。〈1〉の追記で書いた「わざわざ来てくれてありがとう」も、個人的にとくに問題はないと思う。
 14)15)は通常は「わざわざの」が×の例。これが接続だけの問題であることは、下記のように書きかえるとわかる。
  14)’{せっかく/わざわざ}留学したのだから、日本語以外のことも学んで帰りたい。
  15)’{せっかく/わざわざ}留学したのに、日本語以外のこともは何も学べなかった。
 16)は「行かなくてもいいのに」がついているのでわかりにくいが、「せっかくは単文には×」の一種だろう。下記のように書きかえると、「行かなくてもいいのに」でも「せっかく」が使える。ちょっとヘンかな。16)’’のように「のに、」を減らすとずっと自然になる。
  16)’行かなくてもいいのに、せっかく彼の家まで行ったのに、会えなかった。
  16)’’行かなくてもいいとは思いながら、せっかく彼の家まで行ったのに、会えなかった。
 17)は「わざわざの」が×と、自然現象などの合わせ技。ちょっと変形して18)にする。18)’のように「わざわざの」を解消しただけではまだ不自然。「休みが3日続く」が自然現象と同様に扱えることは、「好天が3日続く」と置きかえればわかる。18)’’なら自然だろう。
  18){せっかく/わざわざ*}の3連休なのだから、どこかへ出かけたい。
  18)’{せっかく/わざわざ*}休みが3日続くのだから、どこかへ出かけたい。
  18)’’{せっかく/わざわざ}3連休を取ったのだから、どこかへ出かけたい。


【せっかく わざわざ わざと あえて】辞書〈3〉

mixi日記2014年02月07日から

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=75665462&comment_count=10&comm_id=398881
 トピがちょっとおもしろい展開になった。
 コメント[12]で下記のような話が出る。
 わざわざの起こしなのだから○
 わざわざの留学なのだから×
 わざわざのご留学なのだから○

 コメントを回収しておく。
 〈2〉に引用した例文に続いてこういうやり取りができると、mixiもまだ捨てたもんじゃないと思う。

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[14] 2014年01月29日 20:55

>>[12]

 いろいろヒントをいただいた気がします。ありがとうございます。
 ワザワザノに続きそうな名詞を考えてみました。いずれも尊敬語で「来る」系なのは、とても偶然とは思えません。
  お越し 
  おいで
  お運び
  ご来店
  ご訪問(微妙?)
  ご足労(微妙?)

「ご留学」にはちょっと異和感があります。漢語系だから……とも思いましたが、「ご来店」がアリならその線は疑問です。なぜなんでしょう。

 ちなみに、当方が「お越し」と同類と考えている(「~になる」の二重敬語っぽい使われ方が許容されそうな動詞。あれ? 「おいで」もか)「お見え」「お召し」は△でしょう
「お目見え」なんて言葉もアリの気がしましたが、意味的にヘンですね。

 ヒトゴトかワガコトですか。当方のムチャなアプローチも的外れでなかったのかも。
 もしかすると……ワザワザは本来、ヒトゴト限定だったのかもしれません。そんなことはないか(笑)。
 どちらかと言うとヒトゴト寄りのはずの自然現象などが、ワザワザに関してはワガコト寄りなのは、興味深く思います。

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[15] 2014年01月29日 21:14

>>[14]
 なるほど。「来る」系統に限られていますね。盲を啓かされました。ありがとうございます。
  我が国へのわざわざの御留学
ではいかがでしょうか?

 ヒトゴト・ワガコトという概念を文法に利用としたのも渡辺実です。

 ヒトゴト領域からワガコト領域への移動こそが「来る」ですよね。
 そうであれば、動作がヒトゴトからワガコトになされれば、ワザワザノが可能ではないかという予想が立ちます。
  当方へのわざわざの御挨拶
  当方へのわざわざの御伝言
  当方へのわざわざの御心付け
などはいかがでしょうか。
 ただし、
 *当方へのわざわざのプレゼント
を考えると、語彙に縛りがありそうです。

 自然現象は、ヒトゴトではないと思います。自然現象に気は遣わないでしょう。尊敬の対象にもなりません。
 また「労力」という観点からも、自然現象にワザワザがつかないことは説明できるのではないでしょうか。

 ワザワザとワザワザノは明らかに振る舞いが異なるので、区別したほうがいいと思います。

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[16] 2014年01月29日 21:46

>>[15]  ブラインドではないでしょう。

「ワザワザノ名詞」は自分では使いそうにないので、語感が働きませんが……。

  我が国へのわざわざの御留学
 ならアリかもしれません。

  当方へのわざわざの御挨拶
  当方へのわざわざの御伝言
  当方へのわざわざの御心付け

 どこまで広げられるかは……謎です。
 
>ワザワザとワザワザノは明らかに振る舞いが異なるので、区別したほうがいいと思います。
 ワザワザノは原則はナシとして、ただし例外は……と考えるのが無難ですかね。

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[17] 2014年01月31日 19:08

>>[16]

 原則なし、というのはきつすぎるのではないかと思います。副詞にはノをとって名詞修飾するものが結構あります。そして、それらについても、副詞の場合と名詞修飾の場合で色々な差が観察されます。
 ワザワザとワザワザノの2つを、関係がありつつも別のものと認め、それぞれの制限は制限として認めれば済むのではないでしょうか。

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[18] 2014年02月01日 13:28

>>[17]

「原則なし」はきつすぎますか……。
 ここに関しては、alcの説明を借りるのが妥当ですかね。
================引用開始
「わざわざの」は「せっかくの」に比べて生産性が低く(形式化が進んでおり)、後に続く名詞が「せっかくの」ほど自由ではないようです。
================引用終了

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「了解」「了解です」「了解しました」「了解いたしました」〈5〉

 下記の続き。
【了解 了解です 了解した 了解しました 了解いたしました──大門圭介御用達?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2581.html

 質問板にはいろいろ貴重なコメントをいただいた。だが、残念なことに「了解しました」「了解いたしました」が不適切な理由になりそうなものは……。
【「了解しました」「了解いたしました」が不適切な理由】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8456636.html

 いままで見たもののなかでは、下記1)がイチバンいいと思う。
「了解」「了解です」「了解しました」「了解いたしました」〈2〉に書いたことを再掲しておく。

1)【「了解しました。」は敬意表現にならないか。】
http://www.ninjal.ac.jp/QandA/vocabulary/ryokai/
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〈「了解」に敬意は含まれていないが、あらたまった漢語なので、使う人は〈敬意〉を含むと勘違いしているのではないか〉。
 そういう考え方をするなら、「承知」も「了承」も×だろうね。語尾を別にすると、敬意を含んでいるのは、謙譲語の「承る」「承りました」あたりだろう。「かしこまりました」も敬意を含んでいるけど、これが謙譲語か否かというのは別の話になるのでパス。
【ネタ元4】で肝心なのは、〈本来待遇の意味を含まない「了解しました。」が,どうして「ぶっきらぼう」に感じるのか,と探究しても,理屈で余りはっきりとは説明はつかない〉ってこと。要は、論理的な理由はないってこと。
 もうひとつ大事なのは下記の部分。
================引用開始
結局思い当るのは,日常の言語生活上の,円滑なコミュニケーションに肝心なのは,もっとふさわしい言葉があれば,そちらの方がよい,とすべき,ということです。いうまでもなく,「わかりました。」「かしこまりました。」「承りました。」など,別にもっと良い言い方が,いろいろあるではないか,その場合には,それに譲ればよい,ということです。
================引用終了
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 新たに2)を見つけた。これは3エントリーにわたる力作。
「軍隊用語っぽい」に関しても〈2〉に書いた。
================引用開始
 軍隊や刑事ドラマでは目上に使わなかった……ではなく、話が逆だろう。簡潔を重んじるために使われた「了解」は、元々は一種の業界用語として軍隊などで上下関係抜きで使われていた。でも「ぶっきらぼうで敬意が不足」に感じられるから、現代では目上には×ってこと。「了解です」も「ぶっきらぼうで敬意が不足」気味だから×。「了解(いた)しました」が×なのは、濡れ衣トバッチリを受けているだけって気がする。
================引用終了

2)【「分かった」の敬語 その2 (「了解いたしました」「了承いたしました」「うけたまわりました」)】
http://dora0.blog115.fc2.com/blog-entry-45.html
================引用開始
了解いたしました。
この表現は、結構良く見かけます。
「あなたの言うことを良く理解したよ」という気持ちを表明する意味では、かなり適切な熟語である気がします。
でも、あまり好まない人も多いですよね。
「軍隊用語っぽい」「くだけた感じがする」など、批判的な感情を持つ人が結構います。
不快に思う人がいるのなら、なるべく避けておいた方が良いですよね。
================引用終了

 
 ただし、どちらも「了解しました」「了解いたしました」が不適切な「論理的な理由」にはなっていないと思う。現段階ではやはり〈2〉に書いたことを結論にするしかない。
================引用開始
 結論。
 目上に「了解(です)」はやめたほうがいい。「了解(いた)しました」を×にする論理的な理由はない。
 しかし、ここまで「了解(です)」「了解(いた)しました」の評判が悪くなってくると、例によって使わないほうが無難。
 国立国語研究所がおすすめの「わかりました」「かしこまりました」「承りました」あたりを使うべきだろう。当然のことだけど、まず相手の言っていることは理解してね。
 ネット記事では「わかりました」も×なんて主張も目にする。根拠もなくそんなこと言われてもさぁ。
================引用終了

 ただ、「わかりました」も要注意って気がしてきた(×とまで言う気はない)。
 理由は2)【「分かった」の敬語 その2 (「了解いたしました」「了承いたしました」「うけたまわりました」)】や、質問板のhakobuluさんの発言をご参照ください。
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