【バイト敬語/若者言葉──「~とか」の話】〈2〉──並列助詞の迷宮
【日本語アレコレ】
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671
mixi日記2014年06月04日から
直接的には下記の続きだろうな。
696)【バイト敬語/若者言葉──「~とか」の話】〈1〉
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2310.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1820136974&owner_id=5019671
ということは下記の続きでもある。
653)【「AとBを持っている」と「AとBとを持っている」教えて!goo 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2251.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1807548615&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【「~だ~だ」という表現について質問!】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8623002.html
まず質問の全文を転載する。
================引用開始
「夢だ希望だ」 「行くだ行かないだ」 というように物事を列挙する表現として
「~だ~だ」
という言葉を日常耳にすることがありますが、
この言葉遣いの違和感から辞書等を調べて見たのですが、
「~だ~だ」
についての答えを見つけることはできませんでした。
もしかしたら似た表現の
「~だの~だの」の音変化から生まれたモノなのか?
自分の中でモヤモヤか膨らむばかりです。
誰かわかる方よろしくお願いします!
================引用終了
非常に興味深い。一連の並列助詞の問題と思ったが、「~だ~だ」が助詞とは考えにくい。やはり助動詞だろう。辞書の引用は末尾に。
「~だの~だの」の音変化、と考えるのはちょっと無理な気がする。むしろ逆だろう。
Web辞書『大辞林』の「だの」の項に下記のようにある。
================引用開始
断定の助動詞「だ」に助詞「の」が付いたものから。
================引用終了
先行コメントで引用している論文の1ページ目に下記の記載がある。
並列助詞の「だの」は〈ダノはコピュラ「ダ」+助詞「ノ」〉……まあそういうことになる。
本来は助動詞の「だ」が「~だ~だ」の形で並列助詞のように使われることがあるということだろう。
文法的に注意が必要なのは、1)「名詞+だ」と「動詞+だ」は、厳密に言うとちょっと違うことかな。
「動詞+だ」は、2つに分かれる。
2)〈「活用語+のだ(んだ)」の形〉
起こるのだ/歩くんだ
3)〈助動詞「た」が音便で「だ」になった形〉
※一部の五段活用の動詞につく場合、「いだ」「んだ」になる
騒いだ(ガ行)/死んだ(ナ行)/呼んだ(バ行)/読んだ(マ行)
「~だ~だ」の形で使われるのは、1)がほとんどではないだろうか。質問者があげた「夢だ希望だ」 は好例。このほかに成句的な「ああだこうだ」「なんだかんだ」なんてのもある。
2)の形はちょっと思いつかない。たぶん、極端に語呂が悪くなるからでは。質問者があげた「行くだ行かないだ」はちょっと疑問。「の」を挿入しないと、文法的にもちょっとあやしい。「行く(か)行かない(か)は君の自由」ならフツーかな。
3)の形も「~だ~だ」は思いつかない。
「惚れたはれた」「切った張った」など「〜た〜た」ならいくつかありそう。
「滑った転んだ」だと片方が「だ」か。
もちろん、少し不自然でいいなら「~だ~だ」にもできなくはない。「飲んだ飲んだと言っても限界がある」とか。
並列助詞に関して当方が興味があるのは、以前見た「省略の可否」。↑の論文を参考にして、〈1〉で書いたものに加筆しておく。
1)並列用法(省略なし)
辞書とか参考書とかをいつも持ち歩いている
2)並列用法(後ろを省略)
辞書とか参考書をいつも持ち歩いている
3)単独用法
「死にたい」{とか/だの/やら}言ってはいけない
と や か とか だの やら なり わ だ(た)
1)並列用法 ○ X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
(省略なし)
2)並列用法 ○ ○ ○ △ △ △ △ X X
(後ろを省略)
3)単独用法 X X X ○ ○ ○ ○ ○ ○
「わ」「だ(た)」を並列助詞にしていいのかはちょっと疑問。
微妙なのは「~たり~たり」だろうな。
本来は許されないはずの「2)並列用法(後ろを省略)」の例が増えている。
【伝言板【板外編1】「~たり」の使い方】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-278.html

http://kotobank.jp/word/%E3%81%A0?dic=daijisen&oid=11073100
これは『大辞林』のほうが詳しそうだ。
================引用開始
だ
( 助動 ) ( だろ ・だつ(で) ・だ ・ (な) ・なら ・○ )
〔「にてあり」から出た「である」が「であ」を経て「だ」となったもの。中世末に東国方言として用いられるようになったという〕
名詞・副詞,ある種の助詞,および体言に準ずるものに接続する。また「だ」の未然形「だろ(う)」と仮定形「なら」とは,動詞・形容詞,助動詞「れる・られる」「せる・させる」「ない」「ぬ」「たい」「た」などの終止・連体形にも付く。さらに,仮定形「なら」だけは助動詞「ます」の終止形にも付く。
①断定または指定の意を表す。判断したり強く断定したりする。 「彼は学生だ」 「一足す二は三だ」
②事柄を提示するのに用いる。 「それは去年の暮れのことだ」 「話はずっとさかのぼった昔の事だが,…」
③(「活用語+のだ(んだ)」の形で)
㋐原因・理由・根拠などの説明をする。 「校内暴力は,教師と生徒との不信から起こるのだ」
㋑決意を表す。 「絶対ぼくはやめないんだ」
㋒相手の行動を指図することを表す。 「さあ,早く歩くんだ」
④(終止形を用いて)強く感情をこめた文をつくる。 「さあ,勉強だ」 「酒だ,酒だ。じゃんじゃん飲もう」
⑤(「お+動詞の連用形+だ」の形で)軽い尊敬の意を表す。 「よく聞いておくれだ」 「口ではそうお言いだけれど,内心ではどう思っているか」
⑥終止形は間投助詞的にも用いられる。この場合,助詞「な」「ね」を伴って用いることもある。 「われわれはだ,もっと慎重にだ,行動すべきなのだ」 「この問題はだな(=だね),こういうふうに解くんだ」 〔 (1) 連体形「な」は一部の形式名詞や「の(ん)」「ので(んで)」「のに」などに連なる時だけに用いられる。「これは悪い事なのだ」 (2) 仮定形「なら」は,接続助詞「ば」を伴わないでそれだけで用いられることがある。(ア)文の題目を取り上げる。「山なら富士の山」「見るだけならかまわない」(イ)仮定の条件を表す。「月曜が休日で連休なら,泊まりがけで旅行ができる」「君が行くなら僕も行く」〕
だ
( 助動 ) ( だろ ・○ ・だ ・だ ・だら ・○ )
過去および完了の助動詞「た」がガ・ナ・バ・マの各行の五段活用の動詞の連用形(いずれも音便の形)に付く時,濁音化して「だ」となったもの。 → た(助動)
================引用終了
http://kotobank.jp/word/%E3%81%A0%E3%81%AE?dic=daijirin&oid=DJR_dano_-010
================引用開始
大辞林 第三版の解説
だの
( 並立助 )
〔断定の助動詞「だ」に助詞「の」が付いたものから。近世江戸語以降の語〕
体言または活用語の言い切りの形に付いて,物事を並列・列挙する。
①一般に「…だの…だの」の形で用いられる。 「犬-猫-,いろんなものを飼っている」 「お茶を持って来い-,机の上を片付けろ-,うるさくてしようがない」
②「…だの…など」の形で用いられることもある。 「りんご-ぶどうなどを盛り合わせた皿」
================引用終了
ちなみに、『大辞林』はふれていないが、「だの」は「3)単独用法」もある。
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671
mixi日記2014年06月04日から
直接的には下記の続きだろうな。
696)【バイト敬語/若者言葉──「~とか」の話】〈1〉
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2310.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1820136974&owner_id=5019671
ということは下記の続きでもある。
653)【「AとBを持っている」と「AとBとを持っている」教えて!goo 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2251.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1807548615&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【「~だ~だ」という表現について質問!】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8623002.html
まず質問の全文を転載する。
================引用開始
「夢だ希望だ」 「行くだ行かないだ」 というように物事を列挙する表現として
「~だ~だ」
という言葉を日常耳にすることがありますが、
この言葉遣いの違和感から辞書等を調べて見たのですが、
「~だ~だ」
についての答えを見つけることはできませんでした。
もしかしたら似た表現の
「~だの~だの」の音変化から生まれたモノなのか?
自分の中でモヤモヤか膨らむばかりです。
誰かわかる方よろしくお願いします!
================引用終了
非常に興味深い。一連の並列助詞の問題と思ったが、「~だ~だ」が助詞とは考えにくい。やはり助動詞だろう。辞書の引用は末尾に。
「~だの~だの」の音変化、と考えるのはちょっと無理な気がする。むしろ逆だろう。
Web辞書『大辞林』の「だの」の項に下記のようにある。
================引用開始
断定の助動詞「だ」に助詞「の」が付いたものから。
================引用終了
先行コメントで引用している論文の1ページ目に下記の記載がある。
並列助詞の「だの」は〈ダノはコピュラ「ダ」+助詞「ノ」〉……まあそういうことになる。
本来は助動詞の「だ」が「~だ~だ」の形で並列助詞のように使われることがあるということだろう。
文法的に注意が必要なのは、1)「名詞+だ」と「動詞+だ」は、厳密に言うとちょっと違うことかな。
「動詞+だ」は、2つに分かれる。
2)〈「活用語+のだ(んだ)」の形〉
起こるのだ/歩くんだ
3)〈助動詞「た」が音便で「だ」になった形〉
※一部の五段活用の動詞につく場合、「いだ」「んだ」になる
騒いだ(ガ行)/死んだ(ナ行)/呼んだ(バ行)/読んだ(マ行)
「~だ~だ」の形で使われるのは、1)がほとんどではないだろうか。質問者があげた「夢だ希望だ」 は好例。このほかに成句的な「ああだこうだ」「なんだかんだ」なんてのもある。
2)の形はちょっと思いつかない。たぶん、極端に語呂が悪くなるからでは。質問者があげた「行くだ行かないだ」はちょっと疑問。「の」を挿入しないと、文法的にもちょっとあやしい。「行く(か)行かない(か)は君の自由」ならフツーかな。
3)の形も「~だ~だ」は思いつかない。
「惚れたはれた」「切った張った」など「〜た〜た」ならいくつかありそう。
「滑った転んだ」だと片方が「だ」か。
もちろん、少し不自然でいいなら「~だ~だ」にもできなくはない。「飲んだ飲んだと言っても限界がある」とか。
並列助詞に関して当方が興味があるのは、以前見た「省略の可否」。↑の論文を参考にして、〈1〉で書いたものに加筆しておく。
1)並列用法(省略なし)
辞書とか参考書とかをいつも持ち歩いている
2)並列用法(後ろを省略)
辞書とか参考書をいつも持ち歩いている
3)単独用法
「死にたい」{とか/だの/やら}言ってはいけない
と や か とか だの やら なり わ だ(た)
1)並列用法 ○ X ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
(省略なし)
2)並列用法 ○ ○ ○ △ △ △ △ X X
(後ろを省略)
3)単独用法 X X X ○ ○ ○ ○ ○ ○
「わ」「だ(た)」を並列助詞にしていいのかはちょっと疑問。
微妙なのは「~たり~たり」だろうな。
本来は許されないはずの「2)並列用法(後ろを省略)」の例が増えている。
【伝言板【板外編1】「~たり」の使い方】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-278.html

http://kotobank.jp/word/%E3%81%A0?dic=daijisen&oid=11073100
これは『大辞林』のほうが詳しそうだ。
================引用開始
だ
( 助動 ) ( だろ ・だつ(で) ・だ ・ (な) ・なら ・○ )
〔「にてあり」から出た「である」が「であ」を経て「だ」となったもの。中世末に東国方言として用いられるようになったという〕
名詞・副詞,ある種の助詞,および体言に準ずるものに接続する。また「だ」の未然形「だろ(う)」と仮定形「なら」とは,動詞・形容詞,助動詞「れる・られる」「せる・させる」「ない」「ぬ」「たい」「た」などの終止・連体形にも付く。さらに,仮定形「なら」だけは助動詞「ます」の終止形にも付く。
①断定または指定の意を表す。判断したり強く断定したりする。 「彼は学生だ」 「一足す二は三だ」
②事柄を提示するのに用いる。 「それは去年の暮れのことだ」 「話はずっとさかのぼった昔の事だが,…」
③(「活用語+のだ(んだ)」の形で)
㋐原因・理由・根拠などの説明をする。 「校内暴力は,教師と生徒との不信から起こるのだ」
㋑決意を表す。 「絶対ぼくはやめないんだ」
㋒相手の行動を指図することを表す。 「さあ,早く歩くんだ」
④(終止形を用いて)強く感情をこめた文をつくる。 「さあ,勉強だ」 「酒だ,酒だ。じゃんじゃん飲もう」
⑤(「お+動詞の連用形+だ」の形で)軽い尊敬の意を表す。 「よく聞いておくれだ」 「口ではそうお言いだけれど,内心ではどう思っているか」
⑥終止形は間投助詞的にも用いられる。この場合,助詞「な」「ね」を伴って用いることもある。 「われわれはだ,もっと慎重にだ,行動すべきなのだ」 「この問題はだな(=だね),こういうふうに解くんだ」 〔 (1) 連体形「な」は一部の形式名詞や「の(ん)」「ので(んで)」「のに」などに連なる時だけに用いられる。「これは悪い事なのだ」 (2) 仮定形「なら」は,接続助詞「ば」を伴わないでそれだけで用いられることがある。(ア)文の題目を取り上げる。「山なら富士の山」「見るだけならかまわない」(イ)仮定の条件を表す。「月曜が休日で連休なら,泊まりがけで旅行ができる」「君が行くなら僕も行く」〕
だ
( 助動 ) ( だろ ・○ ・だ ・だ ・だら ・○ )
過去および完了の助動詞「た」がガ・ナ・バ・マの各行の五段活用の動詞の連用形(いずれも音便の形)に付く時,濁音化して「だ」となったもの。 → た(助動)
================引用終了
http://kotobank.jp/word/%E3%81%A0%E3%81%AE?dic=daijirin&oid=DJR_dano_-010
================引用開始
大辞林 第三版の解説
だの
( 並立助 )
〔断定の助動詞「だ」に助詞「の」が付いたものから。近世江戸語以降の語〕
体言または活用語の言い切りの形に付いて,物事を並列・列挙する。
①一般に「…だの…だの」の形で用いられる。 「犬-猫-,いろんなものを飼っている」 「お茶を持って来い-,机の上を片付けろ-,うるさくてしようがない」
②「…だの…など」の形で用いられることもある。 「りんご-ぶどうなどを盛り合わせた皿」
================引用終了
ちなみに、『大辞林』はふれていないが、「だの」は「3)単独用法」もある。
スポンサーサイト