【グレーゾーンの表現/グレーゾーンになってしまった表現】〈2〉 ぞっとする ぞっとしない 国語に関する世論調査
一応下記の続きかもしれない。
【グレーゾーンの表現/グレーゾーンになってしまった表現】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3099.html
直接的には下記の続きだろうな。
突然ですが問題です【日本語編13】──肯定形と否定形1【解答編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1518935913&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1342.html
今度は「ぞっとしない」ですか。それも「誤用例が増えている言葉」だと思う。間違える人がどんなに多くなっても、「グレーゾーン」ではなく単なる「誤用」。誤用の意味のほうを採用する辞書が出てきたら、考えてやってもいい。(←何様!) まあ、そんな微妙なことを説明しても理解してもらえないだろうな。
「誤用例が増えている言葉」の例が欲しければ、「国語に関する世論調査」のバックナンバーを調べればいい。いくらでもある。
文化庁の「国語に関する世論調査」によると、どうやら「ぞっとしない」も間違って意味で使う人のほうが多くなったらしい。
http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2013_02/series_10/series_10.html
全文は最後に。
これさ。質問のしかたがホニャララなんじゃないか? 「誤用例が増えている言葉」ではなく、「使わなくなった言葉」(いわゆる「死語」)じゃないかな。「国語に関する世論調査」に対しては疑問に感じることが多かったが、根本的なところがズレてる気がしてきた。
〈「今の映画は,余りぞっとしないものだった。」という例文〉をあげて、選択肢が「面白くない」「恐ろしくない」の2つだったら、そりゃ「恐ろしくない」を選ぶって。
これは厳密に言うと「恐ろしくない」を選んだわけではない。聞いたこともない用法だけど、「面白くない」って意味を知らなかっただけ。そうなると、「ぞっとする」(恐ろしい)の反対の意味になりそうな「恐ろしくない」を選ぶしかない。
でもそれは「恐ろしくない」の意味で「ぞっとしない」を使う人が増えたわけではない。「ぞっとしない」の「意味がわからない」から「使わない」人が増えただけ。ここを混同してもらっては困る。
ちなみに、当方は「面白くない」も違う気がする。辞書にあるように、「あまり感心しない」「いい気持ちがしない」くらいの意味。普段使う言葉にするなら「ヤな感じ」が一番近い。つまり、「ぞっとしない映画」も相当ヘンだと思う。
たとえば最近「ぞっとしないニュース」が増えている。決して「面白くないニュース」ではない。聞いて「なんかヤな感じがするニュース」が増えている。ただ、自分で文章を書くときにそれを「ぞっとしないニュース」とは書かない。ほぼ「死語」だと思うから。ジジむさい。
「国語に関する世論調査」の質問の仕方に異和感をもったのは初めてではない。下記のときもそうだった。
【死語の話3 噴飯もの 流れに棹さす】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1914383764&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2885.html
================引用開始
ホントなんだろうか。「49.0%」のうちほとんどは、「そういう意味だと思い込んでいた」のではなく、知らなかったけど「選択肢から選んだ」(重言?)のではないかと疑っている。だってね。(ア) と(イ)を合わせると、どういう意味なのかは別として約7割の人がこの言葉を知っていたことになる。そんなバカな。
まあ、「そういう意味だと思い込んでいた」のか「その場で選んで間違った」のかを深く追及する気はない。正しい意味が伝わりにくいことにかわりはない。
なぜそんなことになったのか。これはいくつかの不幸が重なった結果だと思う。
●目にした用例がまぎらわしかった
(略)
●「食べもの」を噴くほどおもしろいことってあり?
(略)
●「噴」と「憤」を間違ったのでは
(略)
================引用終了
誤解されそうな「ほぼ死語」をもってきて、ほぼミスリードの選択肢を用意して、「誤用例が増えている言葉」をデッチあげている気がする。
そんなことになんの意味があるのかはわからない。だったらホントに誤用例が多い言葉について調べなよ。
だって、「恐ろしくない話」を「ぞっとしない話」なんて使う●●は見たことないよ。試しに「少納言」で調べたら「ぞっとしない」の用例は13件。「恐ろしくない」の意味は……0件。そりゃそうだろう。誰もそんな使い方はしないって。
http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/search_form
こうして、誰の役にも立たない言葉の雑学ばかりが流布していく。
「ぞっとしない」でネット検索してみれば明らか。しょうもない問答が大量にヒットする。
ε= (´∞` ) ハァー
【「ぞっとしない」の意味】
http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2013_02/series_10/series_10.html
================引用開始
文化庁月報
平成25年2月号(No.533)
連載 「言葉のQ&A」
「ぞっとしない」の意味
国語課
「ぞっとしない話」のように使われる「ぞっとしない」。「国語に関する世論調査」でこの言葉の意味を尋ねたところ,本来の意味とは違う意味で使う人が多いことが分かりました。
問1 「ぞっとしない」とは,本来どのような意味なのでしょうか。
答 面白くない,という意味です。
「ぞっとしない」を辞書で調べてみましょう。
「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年・小学館)
ぞっとしない
特に驚いたり感心したりするほどではない。あまり感心しない。いい気持ちがしない。
「広辞苑 第6版」(平成20年・岩波書店)
ぞっとしない
それほど感心したり面白いと思ったりするほどでもない。
「ぞっとしない」の「ぞっと」の意味も確かめておきましょう。
「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年・小学館)
ぞっと(副)
(1)恐ろしさで身の毛がよだつさま,極度の恐怖から,からだがふるえあがるような感じのするさまを表す語。
(2)美しいものに出あったりして,強い感動が身内を走り抜けるさまを表す語。
(3)寒さでからだがふるえあがるさまを表す語。
「ぞっとしない」は「面白くない」「感心しない」という意味の言葉です。「ぞっと」という副詞は,主に恐怖によって寒気を感じるようなときに用いますが,「―しない」の形になったときの「ぞっと」は,「怖い」「恐ろしい」という意味ではありません。文学作品の中に用例を探してみましょう。
これは先月の幾日だったかな? 何でも月曜か火曜だったがね。久しぶりに和田と顔を合せると,浅草へ行こうというじゃないか? 浅草はあんまりぞっとしないが,親愛なる旧友のいう事だから,僕も素直に賛成してさ。
(芥川龍之介 「一夕話」 大正11年)
「僕」は,旧友の提案について,浅草は余り面白くないと思いながらも素直に受け入れた,ということを言っています。「浅草はあんまり恐ろしくないが」と受け取っては,意味が通じません。これが「ぞっとしない」の本来の使い方です。
問2 「ぞっとしない」について尋ねた「国語に関する世論調査」の結果を教えてください。
答 本来の意味である「面白くない」と答えた人が3割弱,本来の意味ではない「恐ろしくない」と答えた人が5割台半ばという結果でした。
平成18年度の「国語に関する世論調査」で,「今の映画は,余りぞっとしないものだった。」という例文を挙げ,「ぞっとしない」の意味を尋ねました。結果は次のとおりです。(下線を付したものが本来の意味。)
〔全 体〕
ぞっとしない
(ア)面白くない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31.3%
(イ)恐ろしくない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54.1%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.4%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.4%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.8%
〔年代別グラフ〕
全体の調査結果を見ると, 本来の意味ではない(イ)「恐ろしくない」と回答した人の割合が54.1%となっており,本来の意味である(ア)「面白くない」と回答した人の割合(31.3%)を23ポイント上回っています。また,9.8%の人が「分からない」と回答しました。
年代別に見ると,全ての年代で,本来の意味ではない(イ)の割合が,本来の意味である(ア)の割合を上回りました。16~19歳では,その差が67ポイントありますが,年代が高くなるにつれて(ア)と(イ)の数値が接近し,50代では14ポイント,60歳以上では5ポイントにまで縮まっています。年齢の高い人たちの方が,本来の意味でこの言葉を使う傾向があると言えるでしょう。
「ぞっとする」という表現は,大抵,恐ろしい思いを表すために用いられます。それで「ぞっとしない」を「恐ろしくない」と捉える人が多いのでしょう。しかし,「ぞっとしない」という言い方は,単純に「ぞっとする」を否定したものではありません。「面白くない」「感心できない」という意味で用いられる,一つの慣用的な言い回しとして考えた方が良さそうです。また,先ほど確認したとおり,「ぞっと」には「美しいものに出あったりして,強い感動が身内を走り抜けるさまを表す」という意味もありますから,そのような意味の否定の形として「ぞっとしない(面白くない)映画だった。」と使われる場合もあると考えられます。いずれにしても,恐怖の表現としての「ぞっとする」を否定した「恐ろしくない」という意味で用いるのは,本来の使い方ではありません。
================引用終了
【グレーゾーンの表現/グレーゾーンになってしまった表現】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3099.html
直接的には下記の続きだろうな。
突然ですが問題です【日本語編13】──肯定形と否定形1【解答編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1518935913&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1342.html
今度は「ぞっとしない」ですか。それも「誤用例が増えている言葉」だと思う。間違える人がどんなに多くなっても、「グレーゾーン」ではなく単なる「誤用」。誤用の意味のほうを採用する辞書が出てきたら、考えてやってもいい。(←何様!) まあ、そんな微妙なことを説明しても理解してもらえないだろうな。
「誤用例が増えている言葉」の例が欲しければ、「国語に関する世論調査」のバックナンバーを調べればいい。いくらでもある。
文化庁の「国語に関する世論調査」によると、どうやら「ぞっとしない」も間違って意味で使う人のほうが多くなったらしい。
http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2013_02/series_10/series_10.html
全文は最後に。
これさ。質問のしかたがホニャララなんじゃないか? 「誤用例が増えている言葉」ではなく、「使わなくなった言葉」(いわゆる「死語」)じゃないかな。「国語に関する世論調査」に対しては疑問に感じることが多かったが、根本的なところがズレてる気がしてきた。
〈「今の映画は,余りぞっとしないものだった。」という例文〉をあげて、選択肢が「面白くない」「恐ろしくない」の2つだったら、そりゃ「恐ろしくない」を選ぶって。
これは厳密に言うと「恐ろしくない」を選んだわけではない。聞いたこともない用法だけど、「面白くない」って意味を知らなかっただけ。そうなると、「ぞっとする」(恐ろしい)の反対の意味になりそうな「恐ろしくない」を選ぶしかない。
でもそれは「恐ろしくない」の意味で「ぞっとしない」を使う人が増えたわけではない。「ぞっとしない」の「意味がわからない」から「使わない」人が増えただけ。ここを混同してもらっては困る。
ちなみに、当方は「面白くない」も違う気がする。辞書にあるように、「あまり感心しない」「いい気持ちがしない」くらいの意味。普段使う言葉にするなら「ヤな感じ」が一番近い。つまり、「ぞっとしない映画」も相当ヘンだと思う。
たとえば最近「ぞっとしないニュース」が増えている。決して「面白くないニュース」ではない。聞いて「なんかヤな感じがするニュース」が増えている。ただ、自分で文章を書くときにそれを「ぞっとしないニュース」とは書かない。ほぼ「死語」だと思うから。ジジむさい。
「国語に関する世論調査」の質問の仕方に異和感をもったのは初めてではない。下記のときもそうだった。
【死語の話3 噴飯もの 流れに棹さす】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1914383764&owner_id=5019671
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2885.html
================引用開始
ホントなんだろうか。「49.0%」のうちほとんどは、「そういう意味だと思い込んでいた」のではなく、知らなかったけど「選択肢から選んだ」(重言?)のではないかと疑っている。だってね。(ア) と(イ)を合わせると、どういう意味なのかは別として約7割の人がこの言葉を知っていたことになる。そんなバカな。
まあ、「そういう意味だと思い込んでいた」のか「その場で選んで間違った」のかを深く追及する気はない。正しい意味が伝わりにくいことにかわりはない。
なぜそんなことになったのか。これはいくつかの不幸が重なった結果だと思う。
●目にした用例がまぎらわしかった
(略)
●「食べもの」を噴くほどおもしろいことってあり?
(略)
●「噴」と「憤」を間違ったのでは
(略)
================引用終了
誤解されそうな「ほぼ死語」をもってきて、ほぼミスリードの選択肢を用意して、「誤用例が増えている言葉」をデッチあげている気がする。
そんなことになんの意味があるのかはわからない。だったらホントに誤用例が多い言葉について調べなよ。
だって、「恐ろしくない話」を「ぞっとしない話」なんて使う●●は見たことないよ。試しに「少納言」で調べたら「ぞっとしない」の用例は13件。「恐ろしくない」の意味は……0件。そりゃそうだろう。誰もそんな使い方はしないって。
http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/search_form
こうして、誰の役にも立たない言葉の雑学ばかりが流布していく。
「ぞっとしない」でネット検索してみれば明らか。しょうもない問答が大量にヒットする。
ε= (´∞` ) ハァー
【「ぞっとしない」の意味】
http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2013_02/series_10/series_10.html
================引用開始
文化庁月報
平成25年2月号(No.533)
連載 「言葉のQ&A」
「ぞっとしない」の意味
国語課
「ぞっとしない話」のように使われる「ぞっとしない」。「国語に関する世論調査」でこの言葉の意味を尋ねたところ,本来の意味とは違う意味で使う人が多いことが分かりました。
問1 「ぞっとしない」とは,本来どのような意味なのでしょうか。
答 面白くない,という意味です。
「ぞっとしない」を辞書で調べてみましょう。
「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年・小学館)
ぞっとしない
特に驚いたり感心したりするほどではない。あまり感心しない。いい気持ちがしない。
「広辞苑 第6版」(平成20年・岩波書店)
ぞっとしない
それほど感心したり面白いと思ったりするほどでもない。
「ぞっとしない」の「ぞっと」の意味も確かめておきましょう。
「日本国語大辞典 第2版」(平成12~14年・小学館)
ぞっと(副)
(1)恐ろしさで身の毛がよだつさま,極度の恐怖から,からだがふるえあがるような感じのするさまを表す語。
(2)美しいものに出あったりして,強い感動が身内を走り抜けるさまを表す語。
(3)寒さでからだがふるえあがるさまを表す語。
「ぞっとしない」は「面白くない」「感心しない」という意味の言葉です。「ぞっと」という副詞は,主に恐怖によって寒気を感じるようなときに用いますが,「―しない」の形になったときの「ぞっと」は,「怖い」「恐ろしい」という意味ではありません。文学作品の中に用例を探してみましょう。
これは先月の幾日だったかな? 何でも月曜か火曜だったがね。久しぶりに和田と顔を合せると,浅草へ行こうというじゃないか? 浅草はあんまりぞっとしないが,親愛なる旧友のいう事だから,僕も素直に賛成してさ。
(芥川龍之介 「一夕話」 大正11年)
「僕」は,旧友の提案について,浅草は余り面白くないと思いながらも素直に受け入れた,ということを言っています。「浅草はあんまり恐ろしくないが」と受け取っては,意味が通じません。これが「ぞっとしない」の本来の使い方です。
問2 「ぞっとしない」について尋ねた「国語に関する世論調査」の結果を教えてください。
答 本来の意味である「面白くない」と答えた人が3割弱,本来の意味ではない「恐ろしくない」と答えた人が5割台半ばという結果でした。
平成18年度の「国語に関する世論調査」で,「今の映画は,余りぞっとしないものだった。」という例文を挙げ,「ぞっとしない」の意味を尋ねました。結果は次のとおりです。(下線を付したものが本来の意味。)
〔全 体〕
ぞっとしない
(ア)面白くない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31.3%
(イ)恐ろしくない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54.1%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.4%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.4%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9.8%
〔年代別グラフ〕
全体の調査結果を見ると, 本来の意味ではない(イ)「恐ろしくない」と回答した人の割合が54.1%となっており,本来の意味である(ア)「面白くない」と回答した人の割合(31.3%)を23ポイント上回っています。また,9.8%の人が「分からない」と回答しました。
年代別に見ると,全ての年代で,本来の意味ではない(イ)の割合が,本来の意味である(ア)の割合を上回りました。16~19歳では,その差が67ポイントありますが,年代が高くなるにつれて(ア)と(イ)の数値が接近し,50代では14ポイント,60歳以上では5ポイントにまで縮まっています。年齢の高い人たちの方が,本来の意味でこの言葉を使う傾向があると言えるでしょう。
「ぞっとする」という表現は,大抵,恐ろしい思いを表すために用いられます。それで「ぞっとしない」を「恐ろしくない」と捉える人が多いのでしょう。しかし,「ぞっとしない」という言い方は,単純に「ぞっとする」を否定したものではありません。「面白くない」「感心できない」という意味で用いられる,一つの慣用的な言い回しとして考えた方が良さそうです。また,先ほど確認したとおり,「ぞっと」には「美しいものに出あったりして,強い感動が身内を走り抜けるさまを表す」という意味もありますから,そのような意味の否定の形として「ぞっとしない(面白くない)映画だった。」と使われる場合もあると考えられます。いずれにしても,恐怖の表現としての「ぞっとする」を否定した「恐ろしくない」という意味で用いるのは,本来の使い方ではありません。
================引用終了
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