伝言板【板外編18】読点と改行の共通点
これをアップしてなかったか。なんだか意外。
「赤い本」に書いたことから抜粋します。
読点と改行の共通点
1つの改行から次の改行までのまとまりは、「段落」(もしくは「パラグラフ」)と呼ばれます。文章は段落が別になると区切りがつき、内容が少しかわるのがふつうです。そのため、文章のどこで改行をするのかは、読みやすさの面でも、わかりやすさの面でも非常に重要な問題になります。本書でもテーマのひとつとして取りあげようと思いましたが、説得力のある説明ができそうにないのでやめました。
改行のしかたについて考えていくと、読点の打ち方と似ているところがある気がします。共通しているのは、次の点です。
・少なすぎると読みにくい文章になる
・多すぎるとわかりにくい文章になる
・用法のルールを論理的に説明するのがむずかしい
改行が極端に少ないと、文章は読みにくくなります。数十行も改行がない文章もありますが、特別な効果をねらった例外と考えるべきです。改行なしで文章が続くと、読み手は目が休まるところがないので疲れてしまいます。それ以前に、読むのがイヤになってしまうはずです。
では、改行をできるだけ多くしたほうが読みやすい文章になるのかというと、一概にはいえません。改行が多ければ多いほど読みやすいのなら、一文ごとに改行すればよいのですから話は簡単です。しかし、そのような形式の文章は、けっして読みやすくはありません。さらに問題なのは、改行の働きが弱くなって流れがとらえにくくなるため、わかりにくい文章になることです。
改行のしかたには、原則らしい原則がありません。ルールを論理的に説明するのは、読点の打ち方を説明する以上に難問です。
多くの「文章読本」が改行のしかたにふれていますが、参考になる目安はほとんど見たことがありません。「話がかわるところで改行する」というのは正論ではあっても、何も説明していないのと同じことです。
「1つの段落に入る文の数は5つ以内にする」という心得を見たことがあります。このように1つの段落に入る文の数で考えるのは有効な方法ですし、「5つ以内」ぐらいは目安になりそうです。しかし、「5つ以内」にしなければならない論理的な根拠は何もありません。目安を「4つ以内」にしてもよいはずです。「6つ以上」にすると必ず読みにくくなるわけでもありません。
段落内の文の数をいくつぐらいにすればよいのかは、次のような要素との兼ね合いで考える必要があります。
1)一文の長さ
一文が長い場合は、1つの段落に入る文の数を減らしたほうがいい
2)1行の文字数
1行の文字数が少ない場合は、1つの段落に入る文の数を減らしたほうがいい
3)文章の内容
1)と2)は見た目でわかることなので、さほどむずかしくはありません。手に負えないのは、3)の要素です。個人的には、内容がむずかしい文章ほど、改行をふやしたほうがよいと思います。しかし、まったく逆の考えをもつ人もいるでしょう。これは、どちらの考え方が正しいとはいえません。さらにいえば、何を基準に「むずかしい」と考えるのかも微妙な問題です。
一般に出回っている書籍などを見ると、改行が多めの文章もあれば、改行が少なめの文章もあります。読みやすさの面でも、わかりやすさの面でも支障がなければ、書き手の趣味の問題でしかありません。なかには明らかに不適切な改行をしている例もありますが、そのことを指摘してもあまり意味はないでしょう。
こういった理由から、重要な問題とは思いながら、改行のしかたをテーマにすることを断念しました。
「赤い本」に書いたことから抜粋します。
読点と改行の共通点
1つの改行から次の改行までのまとまりは、「段落」(もしくは「パラグラフ」)と呼ばれます。文章は段落が別になると区切りがつき、内容が少しかわるのがふつうです。そのため、文章のどこで改行をするのかは、読みやすさの面でも、わかりやすさの面でも非常に重要な問題になります。本書でもテーマのひとつとして取りあげようと思いましたが、説得力のある説明ができそうにないのでやめました。
改行のしかたについて考えていくと、読点の打ち方と似ているところがある気がします。共通しているのは、次の点です。
・少なすぎると読みにくい文章になる
・多すぎるとわかりにくい文章になる
・用法のルールを論理的に説明するのがむずかしい
改行が極端に少ないと、文章は読みにくくなります。数十行も改行がない文章もありますが、特別な効果をねらった例外と考えるべきです。改行なしで文章が続くと、読み手は目が休まるところがないので疲れてしまいます。それ以前に、読むのがイヤになってしまうはずです。
では、改行をできるだけ多くしたほうが読みやすい文章になるのかというと、一概にはいえません。改行が多ければ多いほど読みやすいのなら、一文ごとに改行すればよいのですから話は簡単です。しかし、そのような形式の文章は、けっして読みやすくはありません。さらに問題なのは、改行の働きが弱くなって流れがとらえにくくなるため、わかりにくい文章になることです。
改行のしかたには、原則らしい原則がありません。ルールを論理的に説明するのは、読点の打ち方を説明する以上に難問です。
多くの「文章読本」が改行のしかたにふれていますが、参考になる目安はほとんど見たことがありません。「話がかわるところで改行する」というのは正論ではあっても、何も説明していないのと同じことです。
「1つの段落に入る文の数は5つ以内にする」という心得を見たことがあります。このように1つの段落に入る文の数で考えるのは有効な方法ですし、「5つ以内」ぐらいは目安になりそうです。しかし、「5つ以内」にしなければならない論理的な根拠は何もありません。目安を「4つ以内」にしてもよいはずです。「6つ以上」にすると必ず読みにくくなるわけでもありません。
段落内の文の数をいくつぐらいにすればよいのかは、次のような要素との兼ね合いで考える必要があります。
1)一文の長さ
一文が長い場合は、1つの段落に入る文の数を減らしたほうがいい
2)1行の文字数
1行の文字数が少ない場合は、1つの段落に入る文の数を減らしたほうがいい
3)文章の内容
1)と2)は見た目でわかることなので、さほどむずかしくはありません。手に負えないのは、3)の要素です。個人的には、内容がむずかしい文章ほど、改行をふやしたほうがよいと思います。しかし、まったく逆の考えをもつ人もいるでしょう。これは、どちらの考え方が正しいとはいえません。さらにいえば、何を基準に「むずかしい」と考えるのかも微妙な問題です。
一般に出回っている書籍などを見ると、改行が多めの文章もあれば、改行が少なめの文章もあります。読みやすさの面でも、わかりやすさの面でも支障がなければ、書き手の趣味の問題でしかありません。なかには明らかに不適切な改行をしている例もありますが、そのことを指摘してもあまり意味はないでしょう。
こういった理由から、重要な問題とは思いながら、改行のしかたをテーマにすることを断念しました。
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