fc2ブログ

【引用のご作法10 「十」の読み方の話──「ジュウ」「ジッ」「とお」「と」……「ジュッ」】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671

mixi日記2013年07月11日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1906878854

 2010年(平成22年)に常用漢字表が改定された。
 変更の概要はWikipediaが詳しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E7%94%A8%E6%BC%A2%E5%AD%97

 主な改定内容。
●追加(196字)
挨 曖 宛 嵐 畏 萎 椅 彙 茨 咽 淫 唄 鬱 怨 媛 艶 旺 岡 臆 俺 苛 牙 瓦 楷 潰 諧 崖 蓋 骸 柿 顎 葛 釜 鎌 韓 玩 伎 亀 毀 畿 臼 嗅 巾 僅 錦 惧 串 窟 熊 詣 憬 稽 隙 桁 拳 鍵 舷 股 虎 錮 勾 梗 喉 乞 傲 駒 頃 痕 沙 挫 采 塞 埼 柵 刹 拶 斬 恣 摯 餌 鹿 𠮟 嫉 腫 呪 袖 羞 蹴 憧 拭 尻 芯 腎 須 裾 凄 醒 脊 戚 煎 羨 腺 詮 箋 膳 狙 遡 曽 爽 痩 踪 捉 遜 汰 唾 堆 戴 誰 旦 綻 緻 酎 貼 嘲 捗 椎 爪 鶴 諦 溺 填 妬 賭 藤 瞳 栃 頓 貪 丼 那 奈 梨 謎 鍋 匂 虹 捻 罵 剥 箸 氾 汎 阪 斑 眉 膝 肘 訃 阜 蔽 餅 璧 蔑 哺 蜂 貌 頬 睦 勃 昧 枕 蜜 冥 麺 冶 弥 闇 喩 湧 妖 瘍 沃 拉 辣 藍 璃 慄 侶 瞭 瑠 呂 賂 弄 籠 麓 脇 

●削除(5字)
勺 錘 銑 脹 匁

●追加音訓(29音訓)
委(ゆだねる)、育(はぐくむ)、応(こたえる)、滑(コツ)、関(かかわる)、館(やかた)、鑑(かんがみる)、混(こむ)、私(わたし)、臭(におう)、旬(シュン)、伸(のべる)、振(ふれる)、粋(いき)、逝(いく)、拙(つたない)、全(すべて)、創(つくる)、速(はやまる)、他(ほか)、中(ジュウ)、描(かく)、放(ほうる)、務(つとまる)、癒(いえる・いやす)、要(かなめ)、絡(からめる)、類(たぐい)

●変更音訓(1訓)
側(かわ) - 訓「かわ」を「がわ」に変更[5]。

●削除音訓(3音訓)
畝(せ)、疲(つからす)、浦(ホ)

備考欄等について以下の通り変更された。
変更
愛・岐・児・滋・城・神・鳥・富・分・良 - 備考欄に都道府県名を注記。
音 - 語例「音信不通」を「母音」に変更。備考欄「音信不通」の注記を削除。
堪 - 語例「堪能」を追加。備考欄に〈「堪能」は、「タンノウ」とも。〉と注記。
屈 - 語例「理屈」を追加。
十 - 備考欄に〈「ジュッ」とも。〉と注記。
従 - 語例「従って〔接〕」を削除。
昭 - 語例「昭和」を追加。
側 - 備考欄に〈「かわ」とも。〉と注記。
透 - 語例「透き間」を削除[6]。
破 - 語例「破棄」を追加。
力 - 凡例に注記[7]。

付表は以下の通り追加、変更された。
追加(6語)
鍛冶(かじ)、固唾(かたず)、尻尾(しっぽ)、老舗(しにせ)、真面目(まじめ)、弥生(やよい)
変更(5語)
居士(こじ) - 「一言居士」を「居士」に変更。
五月(さつき) - 「五月晴れ」を「五月」に変更。
お母さん(おかあさん) - 「お母さん」を「母さん」に変更。
お父さん(おとうさん) - 「お父さん」を「父さん」に変更。
海女(あま) - 「海女」を「海女・海士」に変更。

 さて、これを踏まえて本題に入る。
 問題は「十」の読み方。
 従来は「ジュウ」「ジッ」「とお」「と」だった。
 ただし、備考欄の変更のところに下記のようにある。
================引用開始
十 - 備考欄に〈「ジュッ」とも。〉と注記。
================引用終了

 どういうことなのか【改定常用漢字表】を確認すると、下記のようにある。
【改定常用漢字表】
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/kaitei_kanji_toushin.pdf
================引用開始

ジュウ  十字架,十文字  十重二十重(とえはたえ)
             二十・二十歳(はたち)
             二十日(はつか)
ジッ  十回       「ジュッ」とも。
とお  十,十日
と   十色,十重
================引用終了


「十」の読みとして「ジュッ」が認められたのか? 
 今回の改定に準拠している『記者ハンドブック』を見ると、「十」の読みは従来どおりになっている。
 なんでこんなことするのかな。「ジュッ」の読みを認めるならちゃんと認めればいいのに。こういう中途半端なことはやめてもらいたい。これでは、認められてはいないけど間違いではなさそう、くらいに考えるしかない。
 小学校ではどう教えるんだろうね。

 国立国語研究所の下記のサイトも参考になるだろう。
http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/kokken_mado/09/06/



【追記】
 下記を見ると、『言葉に関する問答集 総集編』という本に詳しく出ているらしい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1496924774
 でも例によって引用のしかたがホニャララなので、本当はどんなことが書いてあるのかわからない。
 いったいどこからが、『言葉に関する問答集 総集編』にのっているのだろう。常識で考えれば、冒頭から「***以上」の前までだろう。
 しかし、『言葉に関する問答集 総集編』は常用漢字表が改訂される前に出版されているのだから、〈〔備考〕欄に、「ジュッ」とも.....と記載されて〉いるはずがない。
 2段落目の2行も『言葉に関する問答集 総集編』の記述とは思えな。いったいどこからどこまでが『言葉に関する問答集 総集編』からの抜粋なのだろう。

スポンサーサイト



突然ですが問題です【日本語編7】──「申す」は「言う」の謙譲語なのか 申す 申し上げる 申し込む 申し出る の違い

【問題】

【問1】
次のなかで謙譲語はどれでしょう。
1)申す
2)申し上げる
3)申し込む
4)申し出る

【問2】
3)申し込む、4)申し出ると仲間と考えられる言葉を、理由を添えてあげなさい。






【解答?例】 
 ハッキリ謙譲語と言えるものは2)だけ。
 1)は謙譲語のときもあるが、そうでないときも多い。
 3)4)は謙譲語の意味はない。

【問2】
申し付ける/申し入れる/申し越す/申し立てる……etc.
 理由は、いただいたコメントがわかりやすいので、ほぼそのままいただく。(←オイ!)
「お申しつけ下さい」のように相手の動作に使えるから。

【よくわからない解説】
 詳細は下記をご参照いただきたい。
【「申し込み」「申し出」は謙譲語?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1213.html

 以下は一部の抜粋(重言)。
(辞書の引用は末尾)

「複合語は謙譲の意味が薄れる」以前の問題だった。「申す」の段階で謙譲語でない意味がいろいろある。
『大辞泉』は、「謙譲語」の意味が3番目(笑)。
『大辞泉』の「2」には〈「言う」を改まり重々しくいう〉とあり、『大辞林』の[3]にいたっては「尊大語」orz。

 まあ、「申し出る」は、「申し出てやる」とか「申し出やがって」ってニュアンスはないから「丁寧語」と考えるのが妥当だろう。
 ってことで、「申し出る」は謙譲語ではないので、客に「お申し出ください」などと言うのはまったく問題がない。

 ここから先は例によって余談。
『大辞泉』には〈現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である〉とある。なるほど(これも誤用なのかな?)。そこまでいくと謙譲語なのね。
 そこで気になったこと。「申し○○」って形の複合語はどんなものがあるのだろう。

申し合う/申し合い
申し合わせる/申し合わせ
申し行う/──
申し兼ねる/(申し兼ね)
申し出る/申し出
申し入れる/申し入れ
申し受ける/申し受け
申し置く/(申し置き)
申し遅れる/申し遅れ
申し送る/申し送り
申しかわす/申しかわし
申し聞かす/申し聞かし
申し聞かせる/申し聞かせ
申し越す/申し越し
申し込む/申し込み
申し立てる/申し立て
申しつぐ/申しつぎ
申し付ける/申し付け
申し伝える/申し伝え
申し出る/申し出
申し述べる/申し述べ
申し開く/申し開き
──/申し分
──/申し訳(申し分け)
申し渡す/申し渡し

 予想以上にあった(これでもいくつか省略している)。
 個々の言葉を辞書でひくと、「謙譲語」の意味がのっているものとのっていないものがある。のっていないものは、すでに謙譲のニュアンスがなくなっているんだろう。
「申し遅れる/申し遅れ」「申し兼ねる/(申し兼ね)」「申し述べる/申し述べ」あたりは謙譲のニュアンスが強いと思うけど、そんなことでゴネる気はない。


【追記】
「申す」に関しては「敬語の指針」がふれている。すっかり忘れていた。この書き方には疑問を感じる。
【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2220.html

================引用開始
337)【「ご持参ください」は失礼な言い方か】Yahoo!知恵袋
================================
(前略)「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である。しかし,「御持参ください」,「お申し出ください」,「お申し込みください」などといった表現の中に含まれる「参る」や「申す」は,謙譲語IIとしての働きは持っていないと言ってよい。したがって,これらの表現を「相手側」の行為に用いるのは問題ない。
================================
 少なくとも〈「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である〉はおかしい。「申す」は謙譲語のこともあれば、そうでないこともある。「申し上げる」の形にしないと、謙譲語とは言いきれないはず。
「お申し出」の類いが謙譲語でないのは、複合語だからではなく、「申す」自体が謙譲語でないことがあるからだと思う。
================引用終了


https://kotobank.jp/word/%E7%94%B3%E3%81%99-633322#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
まお・す〔まをす〕【▽申す】

[動サ五(四)]《「まおす」の音変化》
1 主として会話に用い、聞き手に対し、「言う」を改まって丁重に表現する丁寧語。
㋐「言う」対象が聞き手(または尊者)の場合には、対象を敬う気持ちも残るが、現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である。「昨日、先生に―・したとおりです」
㋑単に「言う」を改まり丁重にいう場合。この場合にも、謙譲の気持ちは残るので、敬うべき人の動作には用いない。現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる。「父がこのように―・しております」「私は鈴木と―・します」「一口に日本と―・しましても」
2 1のへりくだる気持ちが失せて、「言う」を改まり重々しくいう。「そうは―・しておらん」
3 動作の対象を敬う謙譲語。
㋐「言う」の謙譲語。申し上げる。古くは、改まって言上する場合に多く用いられた。
㋑神仏、朝廷などにお願い申し上げる。また、所望申し上げる。
㋒その人の名前・官位などを、人々が…と申し上げる。
㋓「する」「なす」の謙譲語。…してさしあげる。「御助勢を―・しましょう」
4 (補助動詞)動詞の連用形、現代語では「お」などを冠した動詞の連用形や動作をいう名詞に付いて、謙譲の意を表す。「お送り―・します」「御相伴―・します」
[可能]もうせる
「(帝ニ)翁(おきな)のありさま―・して」〈竹取〉
「母君の御行くへを知らむと、よろづの神仏に―・して」〈源・玉鬘〉
「いけずき(=馬ノ名)を―・さばやとは思へども」〈平家・九〉
「田邑(たむら)の帝と―・す帝おはしましけり」〈伊勢・七七〉
「路次でお茶なりと―・さう物を」〈虎明狂・餅酒〉
「文覚が流さるる国へ迎へ―・さんずるものを」〈平家・一二〉
==============引用終了

==============引用開始
大辞林 第三版の解説

まをす【申す】

( 動サ四 )
⇒ まおす(動サ四)

もうす【申す】

( 動サ五[四] )
〔上代語「まをす」の転〕

「言う」の謙譲語。動作の及ぶ相手を敬っていう。 「私は田中と-・します」 「父がこう-・しました」

「言う」の丁寧語。聞き手を敬っていう。 「昔から『急がば回れ』と-・しますが…」

「言う」の尊大語。下位者が「言う」行為を上位者が低めて表現する。 「冗談を-・すな」 「名を-・せ/狂言・昆布柿」

「願う」「請う」などの謙譲語。

神仏にお願い申し上げる。 「母君の御行くへを知らむと,よろづの神仏に-・して/源氏 玉鬘」

所望申し上げる。 「いけずきを-・さばやとは思へども/平家 9」

「する」「行う」の謙譲語。 「かねてぞんじたらば,路次でお茶なりと-・さう物を/狂言・餅酒」

(補助動詞) 「お」「御(ご)」を冠した動詞の連用形や動作性の体言の下に付いて,動作の対象に対する敬意を表す。…いたす。もうしあげる。 「車でお宅までお送り-・します」 「会合への出席は御遠慮-・します」 〔① ② ⑥ は,現代語では「ます」を伴って用いるのが普通〕
[可能]もうせる
==============引用終了

表記の話──「生かして」か「活かして」か

 mixi日記から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1129089107&owner_id=5019671
 下記のトピのやり取りが気になった。
【こんなとき、どう表現する?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48505487

 簡単に言うと「この経験をいかして~」のとき、「生かして」か「活かして」か。

 これって「表現」の問題なんだろうか。単に「表記」の問題だろう。
 さらに書くと、「プロ仕様」のコミュでテーマにすべき話題(重言?)か否かは、「プロ」をどう考えるかによる。
 下記の話は役に立ちそうなので、メモしておく。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111170976

 表記の問題にふれているコメントを、さまざまなコミュで目にする。
 以前、カタカナの表記については書いた。
31)【「メーンディッシュ」か「メインディッシュ」か】(2009年04月22日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1144951367&owner_id=5019671

 では日本語の表記についてはどうなのか。
 これをちゃんと書こうとすると、けっこうメンドーな話になる。
  大前提として、文章の種類が何かという問題がある。結論だけ書くと、「芸術文」なら好きなように書けばいいけど、「実用文」なら「用字・用語集」の類いに従うことをおすすめする。「芸術文」と「実用文」の定義っぽい話は下記参照。
【第1章1】文章の種類
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=724825946&owner_id=5019671

 これで終わってしまうとアンマリなんで、もう少し書く。
「芸術文」と「実用文」の話をもう少し身近な例で書くと、mixiで日記なんかを書くときは「芸術文」に準じる。コミュなんかにコメントするときは「実用文」に準じる。
 まあ、コミュへのコメントレベルでいちいち「用字・用語集」を調べるのはウットーしいかもしれない。でも、あんまり奇抜なことはしないほうがいい。妙なわかち書きや旧仮名遣いにこだわることが個性と思うのは自由だが、反感を買うことも多い。書くほうはそんなことは承知の上だろうから、「ご自由に」としか言いようがない。ただ、読み手に負担をかけ、読み手を制限していることは間違いない。そのテのことに関しては、下記の「73」参照。
27)【まぜ書きつてどうなの?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=4&comm_id=30450&id=28769159

「芸術文」に関してはあんまり踏み込みたくない。お好きにどうぞ。ただ、好き勝手をやって許されるのは、一流の物書きだけだと思う。フツーの人が奇をてらっても、●●と思われるだけだよ。できるだけフツーの表記をするべきだと思う。フツーとかメンドーとかウットーしいとか書いていると、書き手の知性が低いことがバレる(泣)。
 ちなみに、プロのライターが実用文を書くときに、ムチャクチャな表記をする例もよく見る。単なる●●です。あまりこと細かに調べる必要はないけど、「用字・用語集」さえももっていない人が多いのは不思議な気がする。最低限、常用漢字表のことは知っておいてね。
【板外編8】常用漢字表の話
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1146356095&owner_id=5019671

 常用漢字表を知っていても、 「用字・用語集」を調べても微妙な例は多い。
「変える・替える・換える・代える」の使い分けなんて、当方はいまだにわかっていない。以前「生まれる・産まれる」の使い分けでやり取りしたことがあった。
【雑談用トピ】正しい日本語を愛しましょう トピック(158~173)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=8&comm_id=1736067&id=15311971

 ここで当方が「160」で書いたことから抜粋しておく。
================================
 表記(漢字の使い分け)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。

1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合

 たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。

「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
 汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。
================================

 以前別のトピで「生かす」と「活かす」の話も出た。このトピも例によって中途半端な形で終わっているorz。
【名詞修飾について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46115669&comm_id=398881

「生かす」と「活かす」の使い分けは 「用字・用語集」にはのっていない。「活かす」の読みが常用漢字表外だから、ハナから相手にされていないからね。間違いではないから、個人の趣味で使うのなら自由だけど。


【「表記の話」のバックナンバー】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2902.html

テーマ : 雑談
ジャンル : 学校・教育

電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」(メモ10扱い)

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671

mixi日記2012年08月02日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【ある会社に、外部の人から電話がありました。電話を受けた従業員が……】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1491291189

 よくわからないんでトピも立ててみた。
【電話の敬語「お代わりします」「おつなぎします」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=70747813

 かなり微妙な話なんで、いつも以上にオネオネと書く。
 Aさんが電話で顧客と話していて、上司のことが話題になったとする……。

●お伝えします
「上司への伝言を顧客に頼まれたとき」に「お伝えします」と言うのはアリか。
 相当微妙だけど、やはり×だろう。信頼に値する書籍にそういう記述がある。
【言葉の取扱説明書3 ○○のわりに(は)  お伝えしておきます  協力するにやぶさかでない 】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1837388275&owner_id=5019671
================================引用開始
 1つ目が「お伝えします」の是非。典型的なのは、外部の人から連絡を貰い、「(席を外している社内の人間に)お伝えします」と言う場合。『問題な日本語4』で扱っていた(先日書店で手にしたけど、内容が薄くて買う気にはなれなかった)。
「お伝えします」は謙譲語I(+丁寧語の話は省略)。伝える人の、伝える相手への敬意(菊地康人流に言うなら「主語の補語に対する敬意」?)を示す。したがって、身内を高めることになるので×。
 だと思うが、「お伝えします」だとアリって気もするのは「定着しているから」なのかもしれない(なんの基準もなく「定着しているから」OKとか言われるとどうしようもない)。「あなた様の伝言」を伝えるんだから、「お」をつけるべきって論理も筋が通っている気になる。「伝えます」と「お伝えします」を比べると、後者のほうが丁寧な感じになる。
 これを〈外部の人に対して「(身内と)ご相談します」〉にすると、相当ヘンなことがわかる。理由は不明。理屈としては「あなた様の案件」を相談するんだから……と言えなくはないけどさ。
================================引用終了

【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)3】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854649541&owner_id=5019671
================================引用開始
【引用部】
敬語を使い慣れた人でも、話題にしようとする人物を身内扱いすべきかどうか迷うことは少なくないし、使い慣れないと、つい、主婦が家族以外の人に、あるいは会社員や公務員が部外の人に
  主人(部長)がそうおっしゃいました。/主人の母(部長)にそうお伝えしました。
などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。(P.426)
 やはりそういうことなのだろう。
 余計な部分を省略して、当方の積年の課題に限って書きかえると、下記のようになる。
 会社員が部外の人に「部長にそうお伝えしました」などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。
「絶対敬語」と「相対敬語」に関しては本書を読んでもらうほうがいいだろう。現代の敬語は「相対敬語」と考えてよいはず。ただ、部外の人に「部長にご相談します」がヘンなのはスンナリ理解できるが、「部長にお伝えします」だと異和感がぐんと弱くなる理由は不明のまま。
================================引用終了


●お代わりします
「上司に電話を代わるように顧客に頼まれたとき」に、「お代わりします」と言うのはアリか。
 2つのポイントがある。
 1つ目は、↑の「お伝えします」と同様の問題。もうひとつは、「代わる」を「お~する」の形にできるのか、という問題。
『敬語再入門』のP.236~の「お/ご~する」にできる動詞のリストのなかに、「おかわりする」はない。

【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1853506079&owner_id=5019671
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
 お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)

[「……に」を高める]
 お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)

[「……から」を高める]
 お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする

[「……と」を高める]
 お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)

[「……のために」を高める]
 お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)

[「……について」を高める]
 お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了

 これだけあげているのに「お入れする」がないってことは、同書は「お入れする」を認めていないのだろう。だから「お入れする」なんて絶対に言わない、と主張する気はないが。
 ちなみに上の分類にあてはめるなら、「お入れする」は[「……のために」を高める]だろう。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了

「おかわりする」がないのは、「ご飯をお代わりする」との混同を避けたものか否かは、言葉の神様に訊かないとわからない。
 ちなみに、↑の「お伝えする」は[「……に」を高める] に入っている。[「……を」を高める] ではない。やはり「お客様の伝言を上司にお伝えします」は×ってこと。


●おつなぎします
 元々のYahoo!知恵袋のサブテーマとして登場した。
 同様の状況で「おつなぎします」と言えるか否か。
「お伝えします」と同様と考えるなら×だろう。しかし、「おつなぎします」のほうがずっと異和感が弱い。
 ↑のリストに「おつなぎする」はない。そんなに使用頻度が低いかな?

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%90&dtype=0&dname=0na&stype=0
================================引用開始
つな・ぐ【×繋ぐ】
《名詞「綱」の動詞化》

【1】[動ガ五(四)]

①ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにする。「犬を―・ぐ」「鎖で―・ぐ」
②相手の気持ちなどが離れていかないようにする。「彼女の心を―・ぐために一芝居打つ」
2 一定の所に留め置いて外へ出さないようにする。拘禁したり、拘束したりする。「獄に―・がれる」
3 結びつけてひと続きのものにする。「車両を―・ぐ」
4 離れているもの、切れているものを続け合わせて一つにする。また、そのようにして通じるようにする。「手を―・ぐ」「電話を―・ぐ」
5 なんとか長く、切れないようにたもたせる。たえないようにする。「望みを―・ぐ」「命を―・ぐ」「座を―・ぐ」
6 足跡などをたどって行方を追い求める。
  「射ゆ鹿(しし)を―・ぐ川辺のにこ草の」〈万・三八七四〉
[可能] つなげる
================================引用終了

 もしかすると、「電話をつなぐ」という言い回しがイレギュラーなのかもしれない。『大辞泉』を見ると、ほかに「おつなぎする」と言えそうな例はない。「犬をつなぐ」「獄につなぐ/つながれる」のイメージが強いせいだろうか。
 そうは言っても、現実に「電話をつなぐ」って言い回しはあり、「電話をおつなぎする」と言えそうなんだからしかたがない(泣)。

 ここで考えなければならないのは、逆方向の可能性があること。
「あなたの電話を上司におつなぎします」ではなく、
「上司をあなたの電話におつなぎします」ってこと。
 これなら何も問題はないけど、この解釈はさすがに苦しいかな。

 もうひとつ考える必要があるのは、「上司に」をつけて「上司におつなぎします」にすると、異和感が強くなること(これは「お伝えします」も同様)。
 おそらく、単に「おつなぎします」だと「顧客(の電話)をおつなぎします」と解釈できそうだからだろう。これなら顧客に対する敬語になっている感じがある。
 現実には、省略されていても「伝える」先にあたるのは「上司」だから、やはり避けたほうがいい表現なんだろう。
 論理的に考えると下記が正解ってことになってしまう。
「(顧客の)ご伝言」を「上司」に「伝える」
「(顧客の)お電話」を「上司」に「つなぐ」


「弊社の担当者にお伝えします」
 に対するNHKの判定は下記。これはさすがに×だろうな。
【ウチとソトの逆転敬語】弊社の担当者にお伝えします 弊社の担当者に申し伝えます 了解しました
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3065.html


【20150711追記】
「おつなぎします」あたりは、けっこう使われている気がする。でも正当化するしっかりとした典拠が見つからないのなら△だろう。たとえば↑のリストに出ていれば、それが典拠になりうる。
 ただ、それが見つかったところでOKとは言えない。質問板の類いで何回か見た気がするってことは、異和感を持つ人が増えているってこと。こうなると要注意。「OKでしょうか」と訊かれたら「避けるほうが無難」と言うしかない。仮に電話を相手が「おつなぎする」なんてもってのほかと考えていたらどうするんだ?
 さらに言うなら、「おつなぎします」ってどんなときに使うのだろう。昔は大企業には電話交換手がいて、かかってきた電話を各部署に「つないで」いた(はず)。
 そんなシステムはもうないのでは、誰かに電話をかわるなら、「○○に代わります」(やはり「お代わりします」はヘン)で十分だろう。あるいは
「少々お待ちください」
 でいいのでは。「お待ちいただけますか」のほうが敬度が高いけど、ケースバイケース。こういう場合に「しばらく」は×って説もどこかで目にしたなぁ。最近はホントにいろいろな話を聞くから油断できない(泣)。
プロフィール

tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

カレンダー
06 | 2015/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード