文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671

mixi日記2011年11月25日から

 文化庁が平成19年(2007)2月2日に発表した「敬語の指針」というものがある。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
  ↓
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/sokai/sokai_6/pdf/keigo_tousin.pdf
「形容詞+です」などはそのはるか昔に発表したものなので、いわば集大成的なものなのだろう。敬語の問題などを考えるときには非常に有意義だが、よくわからない記述も多い。
 

【事例1】【伝言板【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
〈文化庁は昭和27年の段階で「大きいです」「小さいです」の形を認めています。 〉の根拠になるリンクが2つとも切れている。油断も隙もない(泣)。
 代わりになりそうなのは……2007年の「敬語の指針」の28ページの下記の部分かな。
================================
4 丁寧語
「です「ます」を付ける上で留意を要する点は特にない。( 高いです。」のように形容詞に「です」を付けることについては抵抗を感じる人もあろうが,既にかなりの人が許容するようになってきている。特に「高いですね「高いですよ「高いですか」などという形で使うことに抵抗を感じる人はほとんどいないであろう。)
================================
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


【事例2】221)突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n132890
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1500159854&owner_id=5019671
================================
1)相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現
  コピーを取らせていただけますか。
2)研究発表会などにおける冒頭の表現
  それでは,発表させていただきます。
3)店の休業を張り紙などで告知するときの表現
  本日,休業させていただきます。
4)結婚式における祝辞の表現
  私は,新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です。
5)自己紹介の表現
  私は,○○高校を卒業させていただきました。
6)ビストロSMAPでの中居クンの口上
  なんでも作らさせていただきます。
================================
 上記の例1)の場合は,ア),イ)の条件を満たしていると考えられるため,基本的な用法に合致していると判断できる。2)の例も同様だが,ア)の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため,「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようである。3)の例は,条件を満たしていると判断すれば適切だが,2)と同様に,ア)の条件がない場合には「休業いたします。」の方が良いと言えるだろう。4)の例は,ア)とイ)の両方の条件を満たしていないと感じる場合には,不適切だと判断される。5)の例も,同様である。ただし,4)については,結婚式が新郎や新婦を最大限に立てるべき場面であることを考え合わせれば許容されるという考え方もあり得る。5)については,「私は,卒業するのが困難だったところ,先生方の格別な御配慮によって何とか卒業させていただきました。ありがとうございました。」などという文脈であれば,必ずしも不適切だとは言えなくなる。
 なお,ア),イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。上記の2)~5)についても,このような用法の具体例としてとらえることもできる。その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。
================================

●第2段階の説明(中級向け)
「敬語の指針」は一応の解説にはなっています。ただ元々の問題が微妙なんで、スッキリしない部分が残ります。
 結局どうすればいいのかがわかりません。
 よく見る解決策として、「〜いたします」にすればいい、というのがあります。
 そのとおりだと思います。↑の「敬語の指針」の例で言うなら、下記のようになります。

1)取る→?
2)発表する→発表いたします
3)休業する→休業いたします
4)勉強した→勉強いたしました
5)卒業した→卒業いたしました

 2)〜5)はこの形でOKでしょう。でも1)はどうしますか?
 悪い例としてあげられることが多い「歌わせていただきます」場合はどうしますか?

 結論としては、「〜いたします」にできるものはそうすればいいことが多い、くらいでしょうか。「誤用」だとか「クドい」だとかメクジラを立てるのはどうかと思います。

 「~させていただく」がすべておかしいわけではないので、個々の例で判断するしかないということでしょう。

 その際には以下の点に注意するとよいでしょう。

①「許可」「受益」の2つの要件を満たしているか
②「〜いたします」で十分ではないか
③敬語ではない形にして考えてみる

 具体例は下記をご参照ください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13101909118
※なんで削除されたのだろう?

突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html


●第3段階の説明(上級向け)

 敬語関連の名著と言われる『敬語再入門』に重要な記述があります。
 下記の引用部だけではわかりにくいかもしれません。詳しくは同書をお読みください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
================引用開始
【引用部】
 ところが、謙譲語IIの代表選手「──いたす」は、「──する」型(サ変)の動詞でなければ使えない、また、文末以外では使いにくい、という制約があります。つまり、先程の例なら「開発いたしました」と言えますが、「新製品を作りました」は、「──する」型動詞でないので「作りいたしました」と言えないし、「新製品を開発した業者です」も、文末ではないので「開発いたしました業者です」は不自然です。この「いたす」の守備範囲の不足を補うように「作らせていただきました」「開発させていただいた業者です」と言う、という面がありそうです。「守備範囲の広い謙譲語IIの形」を求める心理が潜在的にあって、そこに「させていただく」が入り込もうとしているのです。(P.196)
 つまりそのなんだ。こういうのを読んでしまうと、「プチ発見」のはずが単なる勉強不足になるってことだ(泣)。
================引用終了

Yahoo!知恵袋だと下記のBAが参考になると思います。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1362602693

下記もご参照ください。
【法則10 ベタベタ敬語ナンバーワン「させていただく」は控えめに】
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20120416/122404/



【事例3】246)【「やる」 「あげる」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1378.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1523098273&owner_id=5019671
================================
2 世代や性による敬語意識の多様性

 言葉遣いや言葉についての考え方は,世代によって,あるいは性によって異なる場合が少なくない。敬語の使い方や敬語についての考え方もその例外ではない。
 例えば,「植木に水をあげる」と言うか「植木に水をやる」と言うかについて,文化庁「国語に関する世論調査」(平成18年2月調査)においては,「あげる」と言う男性回答者の割合は,10代・20代では30~40%台であるのに対して,50代・60代以上では5~10%台であって世代による違いが見られる。同じ質問について女性回答者は,多くの世代において「あげる」と答えた人の割合が男性より高いが,同時に男性と同様の世代差も見られる。また「ふだん「弁当」という言葉に「お」を付けるかどうか」について「お弁当」と言うと回答した人の割合は,すべての世代を通じて,男性は10~30%台にとどまるのに対して,女性はすべての世代で約70~80%台の高い割合である。
 こうした敬語の使い方についての世代や性による違いに関して,本指針は以下の2点を指摘する。
 一つは,敬語の使い方の違いには,その敬語についての理解や認識の違いが反映していることを考慮すべきだということである。例えば,「植木に水をやる」を適切な言葉として選ぶ人は,「あげる」に謙譲語的な旧来の意味を認め「植木」はその種の言葉を用いるべき対象物ではないと考えている可能性がある。一方,「あげる」を使うと答える人は,この語の謙譲語的な意味が既に薄れていると考え,同時に「やる」という語に卑俗さ・ぞんざいさを感じてこれを避けている可能性がある。現代は,この二つの考え方が言わば拮抗している時代であろう。「植木に水をあげる」という場合の「あげる」は,旧来の規範からすれば誤用とされるものであるが,この語の謙譲語から美化語に向かう意味的な変化は既に進行し,定着しつつあると言ってよい。
 敬語の使い方や意見の異なりを考える際,例えば「あげる」と「やる」についての理解や認識にこうした違いがあるように,それぞれの使い方や意見のよりどころとなっている別の理解や認識があること,つまり,自分自身とは異なる感じ方や意見を持つ人が周囲にいることに留意する必要がある。
================================

 ところで、この文化庁の「敬語の指針」はどこまで信用できるのだろう。
 少なくとも〈「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である〉はおかしい。「申す」は謙譲語のこともあれば、そうでないこともある。「申し上げる」の形にしないと、謙譲語とは言いきれないはず。
「お申し出」の類いが謙譲語でないのは、複合語だからではなく、「申す」自体が謙譲語でないことがあるからだと思う。


【事例4】337)【「ご持参ください」は失礼な言い方か】Yahoo!知恵袋
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1637.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1622163409&owner_id=5019671
================================
(前略)「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である。しかし,「御持参ください」,「お申し出ください」,「お申し込みください」などといった表現の中に含まれる「参る」や「申す」は,謙譲語IIとしての働きは持っていないと言ってよい。したがって,これらの表現を「相手側」の行為に用いるのは問題ない。
================================

【事例5】413)【「~ない」形の形容詞の迷宮──【2】「とんでもございません」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1814.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1674741224&owner_id=5019671
=====================================
実は、H15年度、文化庁が「とんでもございません」が気になるかどうか調査したところ、およそ7割の人が「気にならない」と答えたのです。これらのことから、文化庁はH19年2月「敬語の指針」の中で、【褒められたことに対し、謙遜して否定する場合の言い方としては、問題がない】と発表しました。
=====================================

 文化庁が認めたのでは、「誤用とはいいきれない」と考えるしかないのでしょう。
 しかしながら、個人的には当分は認めたくありません。自分では使わないし、校正の仕事で目にしたら、修正します。ただ、世の趨勢がそこまで来ていることは覚えておくことにします。

 個人的には、
「申し訳ございません」は誤用とはいえない(自分で使うのはできるだけ避ける)
「とんでもございません」はほとんど誤用(自分では使わない)
 と考えることにします。下記のトピをご参照ください。


【事例6】443)【「召し上がってください」「お召し上がりください」は二重敬語か】

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1855.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691635798&owner_id=5019671
================================
(2) 「二重敬語」とその適否
 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば「お読みになられる」は「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
 ・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
 ・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================================

 こんな書き方でわかるのかな。
 Wikipedaのように「不規則動詞一覧」をつけてくれないと誤解されるよ。そうでなくても、当方のレベルだと「同じ種類の敬語」ってあたりで躓きかける。
 たとえば、「召し上がりました」は「召し上がる」(尊敬語)+「ました」(丁寧語)だから二重敬語ではないってことだろう。



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈2〉

mixi日記2013年01月27日から
【事例7】突然ですが問題です【日本語編2】──「お疲れさまです」「ご苦労さまです」  解答編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1300.html
================引用開始
3 「ねぎらい」と「褒め」の問題

【27】 時間外に仕事を教えてくれた上司に「どうも御苦労様でした。」と言ったら,「御苦労様はないだろう。」と笑われてしまった。それで,書類作成に追われた上司が帰る時には「御苦労様」以外の言い方を考えてみたのだ が,適切な表現が浮かばず,そのままになってしまった。そういう気持ちを表したい場合には,どうすれば良いのだろうか。

【解説1】仕事について教えてくれた上司に対しては,「どうもありがとうございました。 (大変助かりました。)」と感謝の表現にすれば良い。また,書類作成に追われた上司に対しては,「(本当に)お疲れ様でございました。」などと言えば良いだろう。
【解説2】「御苦労様」は,基本的には,自分側のために仕事をしてくれた人,例えば, 配達をしてくれた店員などに対して,「ねぎらい」の気持ちを込めて用いる表現である。(なお,このような場合に「お疲れ様」と言うのは不自然である。)ねぎらいは, 上位者から下位者に向けたものとなるため,目上の人に対しては,「御苦労様(でし た)」を用いない方が良い。
これに対し,「お疲れ様」は,「ねぎらい」の気持ちを込めて使われる表現ではあるが,一緒に仕事をした後など,お互いに声を掛け合うような場合にも多く用いる表現 である。(なお,このような場合に「御苦労様」と言うのは不自然である。)そのよう な状況であれば,「お疲れ様」ではなく「お疲れ様でございました」などを用いると いうような丁寧な言い方であれば,だれに対しても使える表現である。したがって, 仕事上の上司であっても使うことができる。
要するに,時間外に仕事を教えてくれた上司に対しては,「御苦労様でした」というねぎらいの言葉ではなく,「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表す言い方に変えた方が良く,一緒に書類作成に追われていた上司に対しては,「お疲れ様で ございました」と,気持ちを込めて表現すれば良いわけである。
ただし,このような定型的な表現ではなく,例えば「おかげ様で仕事が少し分かる ようになってきました。」などと,別の観点に立った表現を使うことで,上手に自分の気持ちを相手に伝えることも可能である。(P.45~46)
================引用終了

「敬語の指針」の最後の段落部は正論だけど、わざわざこんなことを書く意味があるのだろうか。
「可能ではある」けど、独自の言い方をするのがむずかしいから、こういう「定型的な表現」が求められているのでは。その「定型的な表現」のなかで何が適切か、何が無難かということを説明した結論がこれって……。
「AとBのどちらがいいですか。ほかにいい言い方はありませんか」
 という質問に対して、
「そんな紋切り型ではなく、独自の言い方を工夫しましょう」
 って答えてるんだよな。スパルタ式だな~。



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈3〉

「敬語の指針」ってあんまりにも長いもんで通してマジメに読む気にならないけど、やっぱいろいろヘンなとこがあるみたい。

【事例8】「敬語の指針」P.39に下記の記述がある。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
================================引用開始
4 自分側に「お・御」を付ける問題

【16】自分のことに「お」や「御」を付けてはいけないと習ったような気がするが,「お待ちしています」や「御説明をしたいのですが」などと言うときに,自分の動作なのに,「お」や「御」を付けるのは,おかしくないのだろうか。
これは,どう考えれば良いのだろうか。

【解説】自分側の動作やものごとなどにも,「お」や「御」を付けることはある。自分の動作やものごとでも,それが<向かう先>を立てる場合であれば,謙譲語Iとして,「(先生を)お待ちする。」「(山田さんに)御説明をしたい。」など,「お」や「御」を付けることには全く問題がない。また「私のお菓子」など,美化語として用いる場合もある。
「お」や「御」を自分のことに付けてはいけないのは,例えば,「私のお考え」「私の御旅行」など,自分側の動作やものごとを立ててしまう場合である。この場合は,結果として,自分側に尊敬語を用いてしまう誤用となる。
================================引用終了

 これ相当マズいんじゃない?
 大前提として、自分の行動や持ち物につく「お/ご」は2種類あることを説明するべきでは。動詞について謙譲語をつくる場合と、名詞について謙譲語(尊敬語か?)などをつくる場合。
 そこからさらに、名詞について謙譲語になる場合と、美化語になる場合がある。
 ↑の説明が悪いのは、美化語と謙譲語の説明がないこと。
「結果として,自分側に尊敬語を用いてしまう誤用」がどういうことか、この説明でわかるのだろうか。
 簡単に言うと、美化語にもなりにくい名詞に「お/ご」をつけてはないけない。謙譲語にはなりにくいから、尊敬語になってしまう……くらいの意味だろう。なんかヘンだな。元がヘンだとどうにもならん。
 下記の「おみやげ」とか「手紙」との違いを説明するのはけっこうむずかしいかも。
【自分の行動などにつく「お/ご」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2437.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1859751167&owner_id=5019671

2)名詞につくもの
 名詞につく「お/ご」も尊敬語と考えられがちだが、謙譲語のときと、美化語のときがある。
 たとえば、「先生からのお手紙」の「お」は尊敬語。これが「先生へのお手紙」になると手紙を書いたのは自分だから、「お」は謙譲語になる。
「近頃の若い方はメールばかりで、お手紙なんてお書きにならないようです」なら、美化語だろう。これは過剰敬語気味か。
『敬語再入門』のP.124に、もっと適切な例がある。
================================引用開始
 なお、一つの語がいくつかの用法をもつ場合もあります。§48では、「お手紙」のように尊敬語・謙譲語I両方の用法をもつ主な語をリストしましたが、その中でも「おみやげ」などは、「先生からのおみやげ」(尊敬語)・「先生へのおみやげ」(謙譲語I)のほか「子どもへのおみやげ」のように美化語としても使います(あるいは、初めの二つも美化語と見てしまったほうがよいのかもしれません)。(P.124)
================================引用終了


文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈4〉

「敬語の指針」に関するメモ。
 一般に「敬語の指針」と呼ばれているもののほかに、「叩き台」「答申案」がネット上に転がっているらしい。どこがどう違うのかは知りません(笑)。

■「敬語の指針(たたき台)」(平成18年11月○○日 文化審議会国語分科会報告案)
http://www.bunka.go.jp/1kokugo/pdf/keigo_shouiinkai181002_siryou_2.pdf

■「敬語の指針(答申案)」(平成19年1月15日 文化審議会国語分科会)
http://www.bunka.go.jp/1kokugo/pdf/kokugo_bunkakai190115_siryou2.pdf#search='%E6%95%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%8C%87%E9%87%9D+%E7%AD%94%E7%94%B3%E6%A1%88'

■「敬語の指針」(平成19年2月2日 文化審議会答申)
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf

「敬語の指針」に基づいてつくられたと思われるサイトが下記。動画が見られなくなったのは残念だが、動画部分の下の〈「敬語の基本」理解度チェック〉をたどるとわかりやすい解説がある。
■敬語おもしろ相談室
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/keigo/index.html



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈5〉
Googleのコーパス?的な利用法 直裁 直截 お揃いですか お運び漏れ〈1〉~〈3〉
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3020.html
(2014年05月29日)

【事例9】
1)【「敬語の指針」】(P.50)平成19年(2007年)2月
 検索でヒットするのは、【第五話「間違いやすい敬語(2)」 ~尊敬語あれこれ】だが、ほぼ同じ内容なので、「敬語の指針」をひいておく。

http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/keigo/guide.pdf
================引用開始
6 いわゆる「マニュアル敬語」の問題

【解説1】「御注文の品はおそろいになりましたでしょうか。」という表現は,敬語が誤っ て使われている。「お......になる」というのは尊敬語の形であるため,「おそろいにな る」では「御注文の品」を立てていることになってしまうからである。したがって, 「御注文の品は,そろいましたでしょうか。」,あるいは「御注文の品は,以上でよろ しいでしょうか。」などと言えば良いだろう。

【解説2】マニュアル敬語は,言葉の上のサービスの質を,ある水準に保つために考えら れている。したがって,そのような敬語を使う人が,それぞれの言葉に,どのような 気持ちが込められているのかをよく考えれば,その有効性が期待できるものである。 ただし,それを真に生かすためには大切な条件がある。使う側,また指導する側が, マニュアルという「型」を基礎としながらも,絶えず表現について考え,工夫を重ね ていく姿勢を持つことである。マニュアル敬語にかかわる問題の多くは,この実践の 欠如に起因すると言えるだろう。
 しかし,こうしたマニュアル敬語は,アルバイトの若者や,彼らが働くレストラン やコンビニエンスストアなどだけに特有の問題では決してない。敬語の使い方に問題 はなくても,お客の顔を全く見ないまま接客を済ますなど,態度が言葉を裏切ってい る大人も世の中には少なくない。形だけの敬語では,敬意は伝わらない。相手の表情 や動作ににじみ出た気持ちを察知する,相手の言葉にしっかり耳を傾ける,そしてそ の場面の意味と相手の気持ちを十分に踏まえた上で,敬意を言葉に乗せて表す,その ような姿勢を持つことが何よりも大切だと言えよう。
================引用終了

 さらに根本的なことを書くと……。
 1)【「敬語の指針」】(P.50)平成19年(2007年)2月 の書き方はあまりにもホニャララじゃないか?
 だって、テーマは「マニュアル敬語」でしょ? なぜ「御注文の品はおそろいになりましたでしょうか。」の話になる。これだけを対象に、「マニュアル敬語」について語る気か? まさか。
 しかし【解説2】を読むに、その「まさか」らしい。これって、「マニュアル敬語」の解説になっているのかな。〈マニュアルという「型」を基礎としながらも,絶えず表現について考え,工夫を重ね ていく姿勢を持つことである〉……ある意味名言だな。そのとおりだと思う。で、マニュアルってどういうものだかわかっているのだろうか。そんな姿勢が必要だと、マニュアルにならないと思うよ。



文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題〈6〉
747)【「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2357.html

mixi日記2012年04月03日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1835110167&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【これって正しいですか? 「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383384438

 テーマトピは下記。
【「ご挨拶にお伺いさせていただきます」はなぜヘンな言い方ですか】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=68622653

 当方が立てたテーマトピの「0」を一部省略して転載する。
================================引用開始
「ご挨拶にお伺いさせていただきます」はなぜヘンな言い方ですか

 下記のサイトを読んで疑問に思いました。
【これって正しいですか? 「ご挨拶にお伺いさせていただきます」】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383384438

1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
2)ご挨拶にお伺いいたします
3)ご挨拶にお伺いします
4)ご挨拶に伺わせていただきます

 1)~4)のうち、どれがダメな二重敬語で、どれが許容されている二重敬語で、どれが「くどい言い方」なのでしょうか。
================================引用終了

 テーマサイトに出てきた4つの例文について考える。どれも「間違い」ではないはず。当然どれが「正しい」という問題でもない。ただ、細かく見ていくとちょっと(では済まない?)違いがあって、どこまで許容できるのかは個人差があるだろう。
 Yahoo!知恵袋を読んでやや混乱した。2)~4)は修正案として提示されているのだが……。
 トピにいただいたコメントを読んでかなりわかったような気がする。いただいたコメントを参考(誤用?)にしつつ(「いいとこ取り」とも言う)、例によってクダクダと書いていく。

「原形」とも言えるのが「伺う」。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%BC%BA%E3%81%86&stype=0&dtype=0
================================引用開始
うかが・う〔うかがふ〕【伺う】
[動ワ五(ハ四)]《「窺う」と同語源。目上の人のようすをうかがいみる意から、その動作の相手を敬う謙譲語となる》
1 「聞く」の謙譲語。拝聴する。お聞きする。「おうわさはかねがね―・っております」
2 「尋ねる」「問う」の謙譲語。「この件について御意見をお―・いします」
3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。「明朝、こちらから―・います」
4 神仏の託宣を願う。「御神託を―・う」
5 《「御機嫌をうかがう」の意から》寄席などで、客に話をする。また、一般に、大ぜいの人に説明をする。「一席―・う」
[可能] うかがえる
================================引用終了

 例文になっているのは〈3 「訪れる」「訪問する」の謙譲語。〉だろう。より厳密に言うと謙譲語I。
 これを謙譲語Iの「お~する」と組み合わせたのが「お伺いする」。通常ならバキバキの二重敬語だが、一般には許容されている。
629)【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1798665663&owner_id=5019671
「敬語の指針」p.30から====================引用開始
(2) 「二重敬語」とその適否
 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば「お読みになられる」は「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
 ・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
 ・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
================================引用終了

「お伺いする」だけではなく「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」まで許容されている。「習慣として定着している」か否かの基準は不明。
 2)ご挨拶にお伺いいたします
 3)ご挨拶にお伺いします
 は文化庁が許容したものを丁寧語(~ます)にした形なので、「許容されている二重敬語」ってことになる。
 ちなみに「お伺いいたす」は「伺い」+「お~する」+「~いたす」の三重構造と考えることもでき、この段階でクドいと言えば相当クドい。
 二重敬語のうえに三重構造は×、と考えることもできる。その一方で、文化庁が許容しているから○、と考えることもできる(たしかに「定着している」って気はするし)。
「お伺いいたす」を〈「お伺いする」+「~いたす」〉と考えると、「拝見いたす」(「拝見する」+「~いたす」)と同様と言えなくはない。三重構造の「お伺いいたす」に相当するなら「ご拝見いたす」ではないのか、って話は無視する。

 4)ご挨拶に伺わせていただきます
「伺う」+「させて」+「いただく」+「ます」
 これは「ご挨拶に」を除くと「拝見させていただきます」と同様と言ってもよいだろう。
  伺う→「訪れる」の謙譲語I
  させて→使役などの意味の助動詞「させる」の連用形+助詞「て」
  いただく→「もらう」の謙譲語I
  ます→丁寧語
「敬語連結」であって「二重敬語」でさえない。その意味では非難される理由はない。
 悪名高き「させていただく」が使われているが、「訪れる」ことに関する許可を求め、そのことによって「受益」がありそうだから問題はないだろう。ただ、これがオススメできるかと言うと疑問。
【関連トピ紹介】10──敬語の話2 「~させていただく」は是か非か
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45983063
 2)と4)に関しては、「拝見いたします」「拝見させていただきます」と微妙に関係していると思う。下記のコメント[4]までを参照してほしい。[5]以降はお好みで……。
【「拝見する」の使い方──「拝見いたします」「拝見させていただきます」は二重敬語?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=67150294&comm_id=398881

 最後は元々の例文。
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
 これは4)の「伺う」を「お伺いする」(許容されている二重敬語)にかえたもの。
 文化庁が許容しているのだから、「間違い」とは言えない。ただ、これは4)よりもさらにクドい(はず)。


 ここから先は当方の主観(いえその、ここまでも主観が入っているけど……)。 
 質問したトピでは、ほぼ全員が「ご挨拶に伺います」派。Yahoo!知恵袋に出てきた例文は全滅(笑)。みなさん厳しい。「ご挨拶に」が影響している観もある。
 最もシンプルな形とも言える「5)ご挨拶に伺います」を加えて比べてみる(Yahoo!知恵袋にこの形が出ていないのはなぜなんだろう)。
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます
2)ご挨拶にお伺いいたします
3)ご挨拶にお伺いします
4)ご挨拶に伺わせていただきます
5)ご挨拶に伺います

 このうち、1)2)3)は許容されている二重敬語を含む。たとえ許容されていても二重敬語は避けるべき、という考え方もアリだろう。
 クドさの程度で考えると、たぶん以下のようになる。下に行くほどクドくなるという意味。二重敬語を使っていない4)の位置づけは微妙かも。
5)ご挨拶に伺います
  ↓
3)ご挨拶にお伺いします
  ↓
2)ご挨拶にお伺いいたします
  ↓
4)ご挨拶に伺わせていただきます
  ↓
1)ご挨拶にお伺いさせていただきます

 個人的な感覚では、3)が許容できるか否かの境界線で、2)はアウトだろう。このへんはかなり微妙で、過剰気味の敬語が蔓延していると、5)では敬度不足ととられかねない。
 これが「ご挨拶に」を「明日、(読み方は「みょうにち」もしくは「あす」。この文脈だと「あした」はちょっとヘン)」にすると、敬語の重複感が軽減するのでちょっと事情がかわる。「明日、」だったら、3)は許容範囲で、2)も相手によってはアリかも、って気になる。

 敬語の重複感に関して『敬語再入門』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671は下記のように書いている。著者は「敬語の指針」を作成した(主要)メンバーのひとり。この本は信頼してるんだけどさぁ……。
================================引用開始
このように、各語がそれぞれ敬語になり、それをつなげただけのものは、二重敬語と呼ぶべきものではありません。実際、「お読みになっていらっしゃる」は正しい敬語です。「お嬢様はお手紙をお書きになっていらっしゃる」も、四つの別の敬語をつなげただけで、四重敬語などとは言いません。この文も、多少くどくはありますが、問題のない敬語で、言葉の丁寧な人なら、この程度の敬語は使います。(P.148)
================================引用終了

 やはり個人差は大きい(笑)。こういう風に言われちゃうと……たぶん「言葉の丁寧な人」なら「ご挨拶にお伺いさせていただきます」程度の敬語も使うんだろうな。
 少なくとも「敬語の指針」や『敬語再入門』を見る限る、「お伺いいたす」は許容範囲だし、「ご挨拶」や「させていただきます」との併用を×にする根拠はない気がする。そうなると、「クドい」「クドくない」は個人の好みで判断するしかない、ってことになるのだろうか。
「ご挨拶にお伺いさせていただきます」は相当クドくて相当ヘンだと思う。Yahoo!知恵袋でもmixiのトピでも、細かい点は別として、これを支持している人はいない。でも……ちゃんと説明するにはかなりの力業が必要になりそう。なんかハガユい。
 
 結論。
 やっぱり文化庁の「敬語の指針」は嫌いだ。(←オイ!)


稼げるSNSとして話題の


tsūへの登録を希望のかたは下記へ。


http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11961303726.html
スポンサーサイト

【引用のご作法10 「十」の読み方の話──「ジュウ」「ジッ」「とお」「と」……「ジュッ」】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【10】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1880457960&owner_id=5019671

mixi日記2013年07月11日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1906878854

 2010年(平成22年)に常用漢字表が改定された。
 変更の概要はWikipediaが詳しい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E7%94%A8%E6%BC%A2%E5%AD%97

 主な改定内容。
●追加(196字)
挨 曖 宛 嵐 畏 萎 椅 彙 茨 咽 淫 唄 鬱 怨 媛 艶 旺 岡 臆 俺 苛 牙 瓦 楷 潰 諧 崖 蓋 骸 柿 顎 葛 釜 鎌 韓 玩 伎 亀 毀 畿 臼 嗅 巾 僅 錦 惧 串 窟 熊 詣 憬 稽 隙 桁 拳 鍵 舷 股 虎 錮 勾 梗 喉 乞 傲 駒 頃 痕 沙 挫 采 塞 埼 柵 刹 拶 斬 恣 摯 餌 鹿 𠮟 嫉 腫 呪 袖 羞 蹴 憧 拭 尻 芯 腎 須 裾 凄 醒 脊 戚 煎 羨 腺 詮 箋 膳 狙 遡 曽 爽 痩 踪 捉 遜 汰 唾 堆 戴 誰 旦 綻 緻 酎 貼 嘲 捗 椎 爪 鶴 諦 溺 填 妬 賭 藤 瞳 栃 頓 貪 丼 那 奈 梨 謎 鍋 匂 虹 捻 罵 剥 箸 氾 汎 阪 斑 眉 膝 肘 訃 阜 蔽 餅 璧 蔑 哺 蜂 貌 頬 睦 勃 昧 枕 蜜 冥 麺 冶 弥 闇 喩 湧 妖 瘍 沃 拉 辣 藍 璃 慄 侶 瞭 瑠 呂 賂 弄 籠 麓 脇 

●削除(5字)
勺 錘 銑 脹 匁

●追加音訓(29音訓)
委(ゆだねる)、育(はぐくむ)、応(こたえる)、滑(コツ)、関(かかわる)、館(やかた)、鑑(かんがみる)、混(こむ)、私(わたし)、臭(におう)、旬(シュン)、伸(のべる)、振(ふれる)、粋(いき)、逝(いく)、拙(つたない)、全(すべて)、創(つくる)、速(はやまる)、他(ほか)、中(ジュウ)、描(かく)、放(ほうる)、務(つとまる)、癒(いえる・いやす)、要(かなめ)、絡(からめる)、類(たぐい)

●変更音訓(1訓)
側(かわ) - 訓「かわ」を「がわ」に変更[5]。

●削除音訓(3音訓)
畝(せ)、疲(つからす)、浦(ホ)

備考欄等について以下の通り変更された。
変更
愛・岐・児・滋・城・神・鳥・富・分・良 - 備考欄に都道府県名を注記。
音 - 語例「音信不通」を「母音」に変更。備考欄「音信不通」の注記を削除。
堪 - 語例「堪能」を追加。備考欄に〈「堪能」は、「タンノウ」とも。〉と注記。
屈 - 語例「理屈」を追加。
十 - 備考欄に〈「ジュッ」とも。〉と注記。
従 - 語例「従って〔接〕」を削除。
昭 - 語例「昭和」を追加。
側 - 備考欄に〈「かわ」とも。〉と注記。
透 - 語例「透き間」を削除[6]。
破 - 語例「破棄」を追加。
力 - 凡例に注記[7]。

付表は以下の通り追加、変更された。
追加(6語)
鍛冶(かじ)、固唾(かたず)、尻尾(しっぽ)、老舗(しにせ)、真面目(まじめ)、弥生(やよい)
変更(5語)
居士(こじ) - 「一言居士」を「居士」に変更。
五月(さつき) - 「五月晴れ」を「五月」に変更。
お母さん(おかあさん) - 「お母さん」を「母さん」に変更。
お父さん(おとうさん) - 「お父さん」を「父さん」に変更。
海女(あま) - 「海女」を「海女・海士」に変更。

 さて、これを踏まえて本題に入る。
 問題は「十」の読み方。
 従来は「ジュウ」「ジッ」「とお」「と」だった。
 ただし、備考欄の変更のところに下記のようにある。
================引用開始
十 - 備考欄に〈「ジュッ」とも。〉と注記。
================引用終了

 どういうことなのか【改定常用漢字表】を確認すると、下記のようにある。
【改定常用漢字表】
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/kaitei_kanji_toushin.pdf
================引用開始

ジュウ  十字架,十文字  十重二十重(とえはたえ)
             二十・二十歳(はたち)
             二十日(はつか)
ジッ  十回       「ジュッ」とも。
とお  十,十日
と   十色,十重
================引用終了


「十」の読みとして「ジュッ」が認められたのか? 
 今回の改定に準拠している『記者ハンドブック』を見ると、「十」の読みは従来どおりになっている。
 なんでこんなことするのかな。「ジュッ」の読みを認めるならちゃんと認めればいいのに。こういう中途半端なことはやめてもらいたい。これでは、認められてはいないけど間違いではなさそう、くらいに考えるしかない。
 小学校ではどう教えるんだろうね。

 国立国語研究所の下記のサイトも参考になるだろう。
http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/kokken_mado/09/06/



【追記】
 下記を見ると、『言葉に関する問答集 総集編』という本に詳しく出ているらしい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1496924774
 でも例によって引用のしかたがホニャララなので、本当はどんなことが書いてあるのかわからない。
 いったいどこからが、『言葉に関する問答集 総集編』にのっているのだろう。常識で考えれば、冒頭から「***以上」の前までだろう。
 しかし、『言葉に関する問答集 総集編』は常用漢字表が改訂される前に出版されているのだから、〈〔備考〕欄に、「ジュッ」とも.....と記載されて〉いるはずがない。
 2段落目の2行も『言葉に関する問答集 総集編』の記述とは思えな。いったいどこからどこまでが『言葉に関する問答集 総集編』からの抜粋なのだろう。

突然ですが問題です【日本語編7】──「申す」は「言う」の謙譲語なのか 申す 申し上げる 申し込む 申し出る の違い

【問題】

【問1】
次のなかで謙譲語はどれでしょう。
1)申す
2)申し上げる
3)申し込む
4)申し出る

【問2】
3)申し込む、4)申し出ると仲間と考えられる言葉を、理由を添えてあげなさい。






【解答?例】 
 ハッキリ謙譲語と言えるものは2)だけ。
 1)は謙譲語のときもあるが、そうでないときも多い。
 3)4)は謙譲語の意味はない。

【問2】
申し付ける/申し入れる/申し越す/申し立てる……etc.
 理由は、いただいたコメントがわかりやすいので、ほぼそのままいただく。(←オイ!)
「お申しつけ下さい」のように相手の動作に使えるから。

【よくわからない解説】
 詳細は下記をご参照いただきたい。
【「申し込み」「申し出」は謙譲語?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1213.html

 以下は一部の抜粋(重言)。
(辞書の引用は末尾)

「複合語は謙譲の意味が薄れる」以前の問題だった。「申す」の段階で謙譲語でない意味がいろいろある。
『大辞泉』は、「謙譲語」の意味が3番目(笑)。
『大辞泉』の「2」には〈「言う」を改まり重々しくいう〉とあり、『大辞林』の[3]にいたっては「尊大語」orz。

 まあ、「申し出る」は、「申し出てやる」とか「申し出やがって」ってニュアンスはないから「丁寧語」と考えるのが妥当だろう。
 ってことで、「申し出る」は謙譲語ではないので、客に「お申し出ください」などと言うのはまったく問題がない。

 ここから先は例によって余談。
『大辞泉』には〈現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である〉とある。なるほど(これも誤用なのかな?)。そこまでいくと謙譲語なのね。
 そこで気になったこと。「申し○○」って形の複合語はどんなものがあるのだろう。

申し合う/申し合い
申し合わせる/申し合わせ
申し行う/──
申し兼ねる/(申し兼ね)
申し出る/申し出
申し入れる/申し入れ
申し受ける/申し受け
申し置く/(申し置き)
申し遅れる/申し遅れ
申し送る/申し送り
申しかわす/申しかわし
申し聞かす/申し聞かし
申し聞かせる/申し聞かせ
申し越す/申し越し
申し込む/申し込み
申し立てる/申し立て
申しつぐ/申しつぎ
申し付ける/申し付け
申し伝える/申し伝え
申し出る/申し出
申し述べる/申し述べ
申し開く/申し開き
──/申し分
──/申し訳(申し分け)
申し渡す/申し渡し

 予想以上にあった(これでもいくつか省略している)。
 個々の言葉を辞書でひくと、「謙譲語」の意味がのっているものとのっていないものがある。のっていないものは、すでに謙譲のニュアンスがなくなっているんだろう。
「申し遅れる/申し遅れ」「申し兼ねる/(申し兼ね)」「申し述べる/申し述べ」あたりは謙譲のニュアンスが強いと思うけど、そんなことでゴネる気はない。


【追記】
「申す」に関しては「敬語の指針」がふれている。すっかり忘れていた。この書き方には疑問を感じる。
【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2220.html

================引用開始
337)【「ご持参ください」は失礼な言い方か】Yahoo!知恵袋
================================
(前略)「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である。しかし,「御持参ください」,「お申し出ください」,「お申し込みください」などといった表現の中に含まれる「参る」や「申す」は,謙譲語IIとしての働きは持っていないと言ってよい。したがって,これらの表現を「相手側」の行為に用いるのは問題ない。
================================
 少なくとも〈「参る」や「申す」は,謙譲語IIに当たる敬語である〉はおかしい。「申す」は謙譲語のこともあれば、そうでないこともある。「申し上げる」の形にしないと、謙譲語とは言いきれないはず。
「お申し出」の類いが謙譲語でないのは、複合語だからではなく、「申す」自体が謙譲語でないことがあるからだと思う。
================引用終了


https://kotobank.jp/word/%E7%94%B3%E3%81%99-633322#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
まお・す〔まをす〕【▽申す】

[動サ五(四)]《「まおす」の音変化》
1 主として会話に用い、聞き手に対し、「言う」を改まって丁重に表現する丁寧語。
㋐「言う」対象が聞き手(または尊者)の場合には、対象を敬う気持ちも残るが、現在、対象を敬う謙譲語は「申し上げる」である。「昨日、先生に―・したとおりです」
㋑単に「言う」を改まり丁重にいう場合。この場合にも、謙譲の気持ちは残るので、敬うべき人の動作には用いない。現在、「先生が申された」のような言い方は適切でないとされる。「父がこのように―・しております」「私は鈴木と―・します」「一口に日本と―・しましても」
2 1のへりくだる気持ちが失せて、「言う」を改まり重々しくいう。「そうは―・しておらん」
3 動作の対象を敬う謙譲語。
㋐「言う」の謙譲語。申し上げる。古くは、改まって言上する場合に多く用いられた。
㋑神仏、朝廷などにお願い申し上げる。また、所望申し上げる。
㋒その人の名前・官位などを、人々が…と申し上げる。
㋓「する」「なす」の謙譲語。…してさしあげる。「御助勢を―・しましょう」
4 (補助動詞)動詞の連用形、現代語では「お」などを冠した動詞の連用形や動作をいう名詞に付いて、謙譲の意を表す。「お送り―・します」「御相伴―・します」
[可能]もうせる
「(帝ニ)翁(おきな)のありさま―・して」〈竹取〉
「母君の御行くへを知らむと、よろづの神仏に―・して」〈源・玉鬘〉
「いけずき(=馬ノ名)を―・さばやとは思へども」〈平家・九〉
「田邑(たむら)の帝と―・す帝おはしましけり」〈伊勢・七七〉
「路次でお茶なりと―・さう物を」〈虎明狂・餅酒〉
「文覚が流さるる国へ迎へ―・さんずるものを」〈平家・一二〉
==============引用終了

==============引用開始
大辞林 第三版の解説

まをす【申す】

( 動サ四 )
⇒ まおす(動サ四)

もうす【申す】

( 動サ五[四] )
〔上代語「まをす」の転〕

「言う」の謙譲語。動作の及ぶ相手を敬っていう。 「私は田中と-・します」 「父がこう-・しました」

「言う」の丁寧語。聞き手を敬っていう。 「昔から『急がば回れ』と-・しますが…」

「言う」の尊大語。下位者が「言う」行為を上位者が低めて表現する。 「冗談を-・すな」 「名を-・せ/狂言・昆布柿」

「願う」「請う」などの謙譲語。

神仏にお願い申し上げる。 「母君の御行くへを知らむと,よろづの神仏に-・して/源氏 玉鬘」

所望申し上げる。 「いけずきを-・さばやとは思へども/平家 9」

「する」「行う」の謙譲語。 「かねてぞんじたらば,路次でお茶なりと-・さう物を/狂言・餅酒」

(補助動詞) 「お」「御(ご)」を冠した動詞の連用形や動作性の体言の下に付いて,動作の対象に対する敬意を表す。…いたす。もうしあげる。 「車でお宅までお送り-・します」 「会合への出席は御遠慮-・します」 〔① ② ⑥ は,現代語では「ます」を伴って用いるのが普通〕
[可能]もうせる
==============引用終了

表記の話──「生かして」か「活かして」か

 mixi日記から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1129089107&owner_id=5019671
 下記のトピのやり取りが気になった。
【こんなとき、どう表現する?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48505487

 簡単に言うと「この経験をいかして~」のとき、「生かして」か「活かして」か。

 これって「表現」の問題なんだろうか。単に「表記」の問題だろう。
 さらに書くと、「プロ仕様」のコミュでテーマにすべき話題(重言?)か否かは、「プロ」をどう考えるかによる。
 下記の話は役に立ちそうなので、メモしておく。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111170976

 表記の問題にふれているコメントを、さまざまなコミュで目にする。
 以前、カタカナの表記については書いた。
31)【「メーンディッシュ」か「メインディッシュ」か】(2009年04月22日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1144951367&owner_id=5019671

 では日本語の表記についてはどうなのか。
 これをちゃんと書こうとすると、けっこうメンドーな話になる。
  大前提として、文章の種類が何かという問題がある。結論だけ書くと、「芸術文」なら好きなように書けばいいけど、「実用文」なら「用字・用語集」の類いに従うことをおすすめする。「芸術文」と「実用文」の定義っぽい話は下記参照。
【第1章1】文章の種類
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=724825946&owner_id=5019671

 これで終わってしまうとアンマリなんで、もう少し書く。
「芸術文」と「実用文」の話をもう少し身近な例で書くと、mixiで日記なんかを書くときは「芸術文」に準じる。コミュなんかにコメントするときは「実用文」に準じる。
 まあ、コミュへのコメントレベルでいちいち「用字・用語集」を調べるのはウットーしいかもしれない。でも、あんまり奇抜なことはしないほうがいい。妙なわかち書きや旧仮名遣いにこだわることが個性と思うのは自由だが、反感を買うことも多い。書くほうはそんなことは承知の上だろうから、「ご自由に」としか言いようがない。ただ、読み手に負担をかけ、読み手を制限していることは間違いない。そのテのことに関しては、下記の「73」参照。
27)【まぜ書きつてどうなの?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=4&comm_id=30450&id=28769159

「芸術文」に関してはあんまり踏み込みたくない。お好きにどうぞ。ただ、好き勝手をやって許されるのは、一流の物書きだけだと思う。フツーの人が奇をてらっても、●●と思われるだけだよ。できるだけフツーの表記をするべきだと思う。フツーとかメンドーとかウットーしいとか書いていると、書き手の知性が低いことがバレる(泣)。
 ちなみに、プロのライターが実用文を書くときに、ムチャクチャな表記をする例もよく見る。単なる●●です。あまりこと細かに調べる必要はないけど、「用字・用語集」さえももっていない人が多いのは不思議な気がする。最低限、常用漢字表のことは知っておいてね。
【板外編8】常用漢字表の話
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1146356095&owner_id=5019671

 常用漢字表を知っていても、 「用字・用語集」を調べても微妙な例は多い。
「変える・替える・換える・代える」の使い分けなんて、当方はいまだにわかっていない。以前「生まれる・産まれる」の使い分けでやり取りしたことがあった。
【雑談用トピ】正しい日本語を愛しましょう トピック(158~173)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=8&comm_id=1736067&id=15311971

 ここで当方が「160」で書いたことから抜粋しておく。
================================
 表記(漢字の使い分け)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。

1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合

 たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。

「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
 汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。
================================

 以前別のトピで「生かす」と「活かす」の話も出た。このトピも例によって中途半端な形で終わっているorz。
【名詞修飾について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46115669&comm_id=398881

「生かす」と「活かす」の使い分けは 「用字・用語集」にはのっていない。「活かす」の読みが常用漢字表外だから、ハナから相手にされていないからね。間違いではないから、個人の趣味で使うのなら自由だけど。


【「表記の話」のバックナンバー】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2902.html

テーマ : 雑談
ジャンル : 学校・教育

電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」(メモ10扱い)

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671

mixi日記2012年08月02日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1862506088&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【ある会社に、外部の人から電話がありました。電話を受けた従業員が……】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1491291189

 よくわからないんでトピも立ててみた。
【電話の敬語「お代わりします」「おつなぎします」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=70747813

 かなり微妙な話なんで、いつも以上にオネオネと書く。
 Aさんが電話で顧客と話していて、上司のことが話題になったとする……。

●お伝えします
「上司への伝言を顧客に頼まれたとき」に「お伝えします」と言うのはアリか。
 相当微妙だけど、やはり×だろう。信頼に値する書籍にそういう記述がある。
【言葉の取扱説明書3 ○○のわりに(は)  お伝えしておきます  協力するにやぶさかでない 】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1837388275&owner_id=5019671
================================引用開始
 1つ目が「お伝えします」の是非。典型的なのは、外部の人から連絡を貰い、「(席を外している社内の人間に)お伝えします」と言う場合。『問題な日本語4』で扱っていた(先日書店で手にしたけど、内容が薄くて買う気にはなれなかった)。
「お伝えします」は謙譲語I(+丁寧語の話は省略)。伝える人の、伝える相手への敬意(菊地康人流に言うなら「主語の補語に対する敬意」?)を示す。したがって、身内を高めることになるので×。
 だと思うが、「お伝えします」だとアリって気もするのは「定着しているから」なのかもしれない(なんの基準もなく「定着しているから」OKとか言われるとどうしようもない)。「あなた様の伝言」を伝えるんだから、「お」をつけるべきって論理も筋が通っている気になる。「伝えます」と「お伝えします」を比べると、後者のほうが丁寧な感じになる。
 これを〈外部の人に対して「(身内と)ご相談します」〉にすると、相当ヘンなことがわかる。理由は不明。理屈としては「あなた様の案件」を相談するんだから……と言えなくはないけどさ。
================================引用終了

【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)3】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854649541&owner_id=5019671
================================引用開始
【引用部】
敬語を使い慣れた人でも、話題にしようとする人物を身内扱いすべきかどうか迷うことは少なくないし、使い慣れないと、つい、主婦が家族以外の人に、あるいは会社員や公務員が部外の人に
  主人(部長)がそうおっしゃいました。/主人の母(部長)にそうお伝えしました。
などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。(P.426)
 やはりそういうことなのだろう。
 余計な部分を省略して、当方の積年の課題に限って書きかえると、下記のようになる。
 会社員が部外の人に「部長にそうお伝えしました」などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。
「絶対敬語」と「相対敬語」に関しては本書を読んでもらうほうがいいだろう。現代の敬語は「相対敬語」と考えてよいはず。ただ、部外の人に「部長にご相談します」がヘンなのはスンナリ理解できるが、「部長にお伝えします」だと異和感がぐんと弱くなる理由は不明のまま。
================================引用終了


●お代わりします
「上司に電話を代わるように顧客に頼まれたとき」に、「お代わりします」と言うのはアリか。
 2つのポイントがある。
 1つ目は、↑の「お伝えします」と同様の問題。もうひとつは、「代わる」を「お~する」の形にできるのか、という問題。
『敬語再入門』のP.236~の「お/ご~する」にできる動詞のリストのなかに、「おかわりする」はない。

【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1853506079&owner_id=5019671
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
 お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)

[「……に」を高める]
 お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)

[「……から」を高める]
 お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする

[「……と」を高める]
 お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)

[「……のために」を高める]
 お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)

[「……について」を高める]
 お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了

 これだけあげているのに「お入れする」がないってことは、同書は「お入れする」を認めていないのだろう。だから「お入れする」なんて絶対に言わない、と主張する気はないが。
 ちなみに上の分類にあてはめるなら、「お入れする」は[「……のために」を高める]だろう。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了

「おかわりする」がないのは、「ご飯をお代わりする」との混同を避けたものか否かは、言葉の神様に訊かないとわからない。
 ちなみに、↑の「お伝えする」は[「……に」を高める] に入っている。[「……を」を高める] ではない。やはり「お客様の伝言を上司にお伝えします」は×ってこと。


●おつなぎします
 元々のYahoo!知恵袋のサブテーマとして登場した。
 同様の状況で「おつなぎします」と言えるか否か。
「お伝えします」と同様と考えるなら×だろう。しかし、「おつなぎします」のほうがずっと異和感が弱い。
 ↑のリストに「おつなぎする」はない。そんなに使用頻度が低いかな?

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%90&dtype=0&dname=0na&stype=0
================================引用開始
つな・ぐ【×繋ぐ】
《名詞「綱」の動詞化》

【1】[動ガ五(四)]

①ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにする。「犬を―・ぐ」「鎖で―・ぐ」
②相手の気持ちなどが離れていかないようにする。「彼女の心を―・ぐために一芝居打つ」
2 一定の所に留め置いて外へ出さないようにする。拘禁したり、拘束したりする。「獄に―・がれる」
3 結びつけてひと続きのものにする。「車両を―・ぐ」
4 離れているもの、切れているものを続け合わせて一つにする。また、そのようにして通じるようにする。「手を―・ぐ」「電話を―・ぐ」
5 なんとか長く、切れないようにたもたせる。たえないようにする。「望みを―・ぐ」「命を―・ぐ」「座を―・ぐ」
6 足跡などをたどって行方を追い求める。
  「射ゆ鹿(しし)を―・ぐ川辺のにこ草の」〈万・三八七四〉
[可能] つなげる
================================引用終了

 もしかすると、「電話をつなぐ」という言い回しがイレギュラーなのかもしれない。『大辞泉』を見ると、ほかに「おつなぎする」と言えそうな例はない。「犬をつなぐ」「獄につなぐ/つながれる」のイメージが強いせいだろうか。
 そうは言っても、現実に「電話をつなぐ」って言い回しはあり、「電話をおつなぎする」と言えそうなんだからしかたがない(泣)。

 ここで考えなければならないのは、逆方向の可能性があること。
「あなたの電話を上司におつなぎします」ではなく、
「上司をあなたの電話におつなぎします」ってこと。
 これなら何も問題はないけど、この解釈はさすがに苦しいかな。

 もうひとつ考える必要があるのは、「上司に」をつけて「上司におつなぎします」にすると、異和感が強くなること(これは「お伝えします」も同様)。
 おそらく、単に「おつなぎします」だと「顧客(の電話)をおつなぎします」と解釈できそうだからだろう。これなら顧客に対する敬語になっている感じがある。
 現実には、省略されていても「伝える」先にあたるのは「上司」だから、やはり避けたほうがいい表現なんだろう。
 論理的に考えると下記が正解ってことになってしまう。
「(顧客の)ご伝言」を「上司」に「伝える」
「(顧客の)お電話」を「上司」に「つなぐ」


「弊社の担当者にお伝えします」
 に対するNHKの判定は下記。これはさすがに×だろうな。
【ウチとソトの逆転敬語】弊社の担当者にお伝えします 弊社の担当者に申し伝えます 了解しました
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3065.html


【20150711追記】
「おつなぎします」あたりは、けっこう使われている気がする。でも正当化するしっかりとした典拠が見つからないのなら△だろう。たとえば↑のリストに出ていれば、それが典拠になりうる。
 ただ、それが見つかったところでOKとは言えない。質問板の類いで何回か見た気がするってことは、異和感を持つ人が増えているってこと。こうなると要注意。「OKでしょうか」と訊かれたら「避けるほうが無難」と言うしかない。仮に電話を相手が「おつなぎする」なんてもってのほかと考えていたらどうするんだ?
 さらに言うなら、「おつなぎします」ってどんなときに使うのだろう。昔は大企業には電話交換手がいて、かかってきた電話を各部署に「つないで」いた(はず)。
 そんなシステムはもうないのでは、誰かに電話をかわるなら、「○○に代わります」(やはり「お代わりします」はヘン)で十分だろう。あるいは
「少々お待ちください」
 でいいのでは。「お待ちいただけますか」のほうが敬度が高いけど、ケースバイケース。こういう場合に「しばらく」は×って説もどこかで目にしたなぁ。最近はホントにいろいろな話を聞くから油断できない(泣)。

自動詞と他動詞〈1〉〜〈5〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

 自動詞と他動詞なんて恐ろしいテーマに踏み込んではいけない。
 そう考えているので、説明する場合にも極力避けてきた。
 ただ、どうしても必要な場合もある(泣)。
 mixiだと下記あたりが関係するだろう。

【他動詞と自動詞の教え方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1281254&id=60041234
【「見つける」と「見つかる」独り言です52くらい──日本語教師関連編25くらい※全体公開】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-934.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1370388644&owner_id=5019671
【助詞の話……「を」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1807.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1669163707&owner_id=5019671

 さすがの庭三郎のサイトも、何がなんだか……。
【庭三郎】
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/04dousibun.html#4.43

 下記を見つけた。もしかすると初級者向けとしてはこれがよいかも。
【自動詞と他動詞】
http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/1h93fy/jita.html

 問題は〈なお、〈「を」+動詞〉の形でも、〈名詞+「を」〉の部分が場所を表わすものは他動詞ではない。〉の部分。「ない」は言いすぎでは。「ないことがある」くらいだろう。
「グラウンドを走る」が自動詞で、「グラウンドを見る」が他動詞になる理由なんて簡単には説明できない。

 例外としてあげられているもの。
  駐車場を通る
  電車をおりる
  空を飛ぶ
  グラウンドを走る
  廊下を曲がる
  部屋を出る
  大学を卒業する
 
 以下の例も自動詞なんだろうだな。
  橋を渡る
  街道を行く
  日本を離れる
  海を泳ぐ


自動詞と他動詞〈2〉

 動詞は、おおざっぱに言うと自動詞と他動詞がある。
 日本語の場合、自動詞と他動詞(以下「自他」と書く)の話がどこまで正確なのかわからないところがあるが、ここでは無視する。↑にあった定義に従っておく。例外についても↑参照。
http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/1h93fy/jita.html
================引用開始
自動詞
〈「を」+動詞〉の形にならない動詞

他動詞(たどうし)
〈「を」+動詞〉の形になる動詞
================引用終了

 複合動詞(「付けかえる」などのような動詞を便宜的にこう呼ぶ)の場合、前半と後半の自他が一致するほうが自然なことが多い(はず)。後半のほうが支配力が強いという説も聞くし、例外はいろいろあるが……。
  立ち直る(自+自)○
  立ち直す(自+他)△
  立て直る(他+自)△
  立て直す(他+他)○

■「立ち上げる」
 例外のトップに上げたいのが「立ち上げる」。「会社を立ち上げる」「パソコンを立ち上げる」などと使う。
 法則性で考えると下記になるはず。
  立ち上がる(自+自)○
  立ち上げる(自+他)△
  立て上がる(他+自)△
  立て上げる(他+他)○

 転んだ子供が「立ち上がる」という用法のほか、先にあげた「立ち上げる」も広く使われる。そのためか、「立て上げる」のほうはあまり見ない。「(建築物を)を建て上げる」なら問題はなさそうだが、これもあまり見ない。

■「並び替わる」と「並べ替える」
 法則に従うなら下記のようになる。
  並び替わる(自+自)○
  並び替える(自+他)△
  並べ替わる(他+自)△
  並べ替える(他+他)○ 

「数字が自動的に並び替わる」「数字を並べ替える」が自然だろう。
 理由は不明だが「並び替え(る)」とする例をかなり見る。mixiのExcelのコミュでは「並び替え」という言葉がたびたび問題になっていた。Excelに限れば、「並べ替え」でないとおかしい。法則性云々ではなく、Excelのプルダウンメニューが「データ」→「並べ替え」になっているから。
「並び」を「替える」と考えれば「並び替え」でもおかしくはない、という説を目にすることもある。まあ、Excelの仕様を別にして日本語の問題と考えるなら、そういう考え方もアリかもしれない。
 個人的には相当気持ちが悪く感じる。某テレビ番組で「並び替え川柳」という言葉が使われるたびに引っかかるものがあり、投書をしようかと半ば本気で考えている。

■「聞き飽きる」
 これは↓のmixiのトピで教えてもらった。
「他+自」の形になっているので不自然なはずだが、書きかえようがない(泣)。

■少し関係しそうなトピ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=21710714&comm_id=19124

 コメントを回収しておく。
================引用開始
[10] 2007年08月12日 00:32

tobirisu
 当方の意見を初めに書いておくと、あげられた例文に関してはすべて「*」です。ただし、文脈によっては「?」ということもあるかもしれません。
 そもそも複合動詞を形成しているそれぞれの動詞がどんな助詞を伴うか、ということから考えてみました。たとえば「走り続ける」なら、「走る」も「続ける」が両方とも同じような助詞を伴うので、「走り続ける」も同様になり、迷う余地はないと思います。
 例文をすべて検討すると煩雑になるので、「聞き飽きた」を例に考えましょう。語感に多少の違いはあっても、ほかも同様だと思います。
     ~に  ~を  ~は  ~も
聞いた  ×   ○    ○   ○
飽きた  ○   △    ○   ○
 原則としては、両方の動詞が伴いうる助詞でなければ使いにくいのではないでようか。
「に」を使うと異和感があるのは、「聞いた」が「に」を伴わないからだと思います。この観点もあって、当方の語感では「には」にしてもすべて「*」です。一方、「を」だとさほど異和感がないのは、
1)「飽きた」が「を」を伴うことも可能だから(どちらかというと「に」が自然ですが)
2)直接助詞と結びつく「聞いた」が「を」伴うのが自然だから(あるいは、「聞いた」が主、「飽きた」が従、という考え方もできるかもしれません)
 両方の動詞と結びつく「は」「も」は文としては成り立ちますが、当然のことながら「限定」「累加」などの意味合いが付加されるので、文脈によっては不自然になります。

 いずれにしても、文脈しだいのところがあります。
6:accoさんのコメント中にあった
「虫は春からこの方、ずっと青葉に食べ飽きて、」
 なら、「は」は「虫は」と重複感があって少しヘンでしょう。間を省略して「虫は青葉は食べ飽きて」とすると、あきらかにヘンになります。「も」もほかに食べ飽きたものが出てこないのならヘンです。この場合なら「に」もアリかなと思います。個人的な語感では「を」ですが。
 そもそも、他動詞的な「聞く」と自動詞的な「飽きる」が結びついた「聞き飽きる」がイレギュラーな表現な気がします。よく指摘される「並び替え」(「並べ替え」が正しい表現でしょう)のような気持ちの悪さがあります。
 8:ichamonologystさんのコメントあるように、「必須格であるニ格・ヲ格を用いている例が案外少ない」のも、この気持ちの悪さと関係があると思います。
 素人考えで長々と失礼しました。土曜日中のタイムリミットを少し過ぎてしまいましたが、ご参考までに。
================引用終了

================引用開始
[19]
2007年08月12日 19:34

tobirisu
 まず、いまさらながらひとつ提案です。当方はMacintosh環境で見ているため、冒頭の例文のマルイチ、マルニと思われるものが化けています。 16: Crane Ugoさんの〈???では、「にも」とすると〉あたりになると、判読できません。ということで、改めて下記のようにしました。さしさわりがあるなら、修正してください。

1)彼のくだらない冗談に聞き飽きた。
2)病室の窓から見える殺風景な景色に見飽きた。
3)子供向けの漫画に読み飽きた。
4)日本に10年住んでいるので生魚に食べ慣れた。
5)ロンドンに10年住んでいるのでイギリス英語に聞き慣れた。
6)最初は驚いたが、今では彼女の風変わりな髪型や服装に見慣れた。
 
 当方の考えは保守的なのかもしれませんが、「にも」にすると、
  1)2)3)(~にも○○飽きた)は「*」
  4)5)6)(~にも○○慣れた)は「?」
 です。いずれも、「にも」にするなら、「も」にするべきという気がします。

「ている」「てきた」にすると「に」がOKというのは、最初はそう思いました。
 おそらく、「ている」「てきた」にすると、それだけ、「飽きる」「慣れる」の部分の字面が重くなるので、それだけ、「に」との親和性が強まるからでしょう。
 ただし、じいっと眺めているうちに感じが違ってきました。やはりすべて「*」です。もはや当方の語感は何の判断力ももたなくなったようです(泣)。
 やはり通常の形は「~を」でしょうが、原因不明の気持ちの悪さは感じるので、自分では極力使わないと思います。こうして使えない表現がまたひとつ増えてしまいました。

17: accoさんのコメント中の
「そこらの中華料理に食べ飽きている人はぜひ行ってみてください。」
 に関しては、この文脈なら「に食べ飽きている人」でも「に食べ飽きた人」でもさほどおかしくないかな、と思います。個人的な語感ではどちらも「を」ですが。
 このあたりの語感の問題は、水掛け論になる気がします。
================引用終了


自動詞と他動詞〈3〉


 大事な先行日記を忘れていた。
【複合動詞の「~アゲル」と「~アガル」の違い】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2765.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1898206024&owner_id=5019671

 予想どおり、考えれば考えるほどいろいろわからないことが出てくる(泣)。
 こういう話だと先行論文がある気がするから、書くだけムダって気もする(実際にあるらしい。紹介してもらった)。まあ、そんな論文がいくらあったって、どうせ当方には理解できないんだし……と前向き?に考えよう。
 まず気になったことをまとめた表。この表は今後も増殖していくような……。

ならべ

 つらつら考えるに、「並び替え(る)」ってかなり特殊な言葉って気がしてきた。
 複合動詞には、当然のことながら前語(前半の動詞をこう呼ぶ)と後語(後半の動詞をこう呼ぶ)がある。
 上の表では、前語が自他(自動詞と他動詞)の両方の形をもつか否か、後語が自他の両方の形をもつか否かを中心に考えている。
 両方が自他の両方の形をもっていると、可能性としては4つの複合動詞がつくれる。
 しかし、現実には、4つの複合動詞が使われているものは見当たらない(あったら教えて。以下同)。
 現実には2つの例が多く、3つの例も1つしかない。それが、1)の「並べ替える」「並び替える」「並び替わる」。「建て上げる」を考慮すると8)も可能かもしれないが、この際無視する。

「並べ替える」の特殊性の解釈は2つありそう。
1「並び替える」(自+他)が特殊
 動詞の組み合わせとしては、「自+自」と「他+他」が素直。
2「並び替わる」(自+自)が特殊
 表の2)3)を見ると、「並び/並べ」の後語は、他動詞になっている。これが法則なら「並び替わる」が特殊。「開店前に行列が並び始まる」と言えなくない気もするが、「でき始める」あたりがフツーだろう。 

 仮に↑の「2」のようなことが言えるなら、「並び/並べ」はきわめて支配力の強い前語になる。自分自身は両方の形をとりながら、後語は他動詞限定。
 ところがそんなことにはならない(泣)。

 支配力の強い後語(前語が自であろうが他であろうが自分は不変)もありそう。
 支配力の強い前語と後語を組み合わせるとどうなるか……。

 カラン、カラン、カラ~ン。
 ↑サジを投げた音。
 出直します(泣)。


【追記】
「降り続ける」「降り続く」
「降り続く」はレアらしい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14137519214

http://dic.search.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E7%B6%9A%E3%81%8F&ei=UTF-8&b=1&dic_id=jj&stype=suffix



「する」と「させる」教えて! goo 辞書 自動詞と他動詞〈4〉

 テーマサイトは下記。
【「する」「させる」】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8969529.html

==============引用開始
「する」「させる」は、本来まったく意味が異なるはずなのに、なぜ、
ア、「歌が彼女の気持ちを明るくした。」
イ、「歌が彼女の気持ちを明るくさせた。」
が、両方ともほぼ同じ内容をあらわすのでしょうか。それとも、後者は間違いなのでしょうか。
==============引用終了

 以下はほとんどマユツバな当方の主観。
 考えやすいように少し例文を加える。

ア 歌が彼女の気持ちを明るくした
イ 歌が彼女の気持ちを明るくさせた
ウ 恋する気持ちが彼女を明るくした
エ 恋する気持ちが彼女を明るくさせた

 たしかに「イ」も見聞する気がするが、ひょっとするとヘンなのかもしれないと思えてきた。「エ」だと相当強い異和感がある。
 ネット検索すると、かなりヒットするがよくわからい(泣)。
 下記を見るに{完成する/完成させる}なら何も問題がないようだ。これに比べると「エ」は相当イヤ。

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1274606.html


 いきなり結論を書くと、おそらく、「~を明るくさせた」は「自動詞の使役形」。
「~を明るくした」は他動詞。
 下記の例文で考える。

■自動詞
先生のひと言で生徒が目覚めた
先生のひと言で生徒が静かになった
■自動詞の使役形
先生のひと言が生徒を目覚めさせた
先生のひと言が生徒を静かにならせた△
先生のひと言が生徒を静かにさせた
(先生のひと言が生徒を静かにした)

 今度は「他動詞」の場合。
■他動詞
コーチが生徒をプロ選手にした
先生が生徒を静かにした
■他動詞の使役形
監督がコーチに生徒をプロ選手にさせた
校長が先生に生徒を静かにさせた


「歌が彼女の気持ちを明るくした」の場合は、下記だろう。
■原形(自動詞)
歌で彼女の気持ちが明るくなった
■自動詞の使役形
歌が彼女の気持ちを明るくならせた△
歌が彼女の気持ちを明るくさせた
(歌が彼女の気持ちを明るくした)

■原形(他動詞)
歌が彼女の気持ちを明るくした
■他動詞の使役形
歌が彼女に気持ちを明るくさせた△
有名歌手が歌で彼女の気持ちを明るくさせた△

「自動詞の使役形」としてイチバン正確なのは、おそらく「歌が彼女の気持ちを明るくならせた」。でも現実にはこんな言い方はしない。そこでかわりに使われるのが、「歌が彼女の気持ちを明るくさせた」。
 ここで辞書を確認する。下記に近いのでは。
http://www.excite.co.jp/dictionary/japanese/?search=%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B&match=exact&itemid=DJR_saseru_-030
==============引用開始
大辞林 第三版の解説

④他動詞を持たない自動詞に接続して,他動詞の代用をする。 「水を沸騰させる」
==============引用終了

 自動詞の「沸騰する」を使役形の「沸騰させる」にすることで他動詞の代用にする。
「目覚める」を使役形の「目覚めさせる」しても同様。
 厳密には「する」は他動詞をもっているが、そういう動詞でも「自動詞の使役形」で他動詞のように使えるということだろう。こうでも考えないと「明るくさせる」の説明ができない。
「~を輩出{する/させる}」とか。
「~を完成{する/させる}」もそうかもしれない。
 一方、「歌が彼女の気持ちを明るくした」に関しても、「自動詞の使役形」と考えることができそうな気がするが、フツーの「他動詞」(の原形)と考えるのが素直だろう。これを使役形にするにはちょっと要素を増やす必要がありそう。いずれにしても、「歌が彼女の気持ちを明るくさせた」にはなりそうにない。

「歌が彼女の気持ちを明るくした」と「歌が彼女の気持ちを明るくさせた」はどちらもアリ。意味は同じ。ニュアンスの違いは……当方はそういうことはできるだけ考えないことにしている。いろいろな理屈をつけることはできるだろうが、そういうのはたいてい個人の主観の問題なので、基本的に他者に押し付ける気はない。
 
 どうしてもって言うならば……。
 この場合は「歌が彼女の気持ちを明るくした」のほうが自然に感じる。理由は……だからわからないって。
 恋する気持ちが彼女を明るく{した/させた}
 の場合なら、「させた」は×って気さえする。
 これが「その言葉が彼女を悲しく{した/させた}」だと、「させた」のほうが自然に感じる。理由は……わからないって。


「する」と「させる」〈2〉 辞書 自動詞と他動詞〈5〉

 ↑の話がずっと気になっていた。
 とっても気になって気になって、南国のフルーツ並みにたわわにキになっていた。
 元の質問。
==============引用開始
「する」「させる」は、本来まったく意味が異なるはずなのに、なぜ、
ア、「歌が彼女の気持ちを明るくした。」
イ、「歌が彼女の気持ちを明るくさせた。」
が、両方ともほぼ同じ内容をあらわすのでしょうか。それとも、後者は間違いなのでしょうか。
==============引用終了
 いろいろ考えた結論。「明るくした」って例文が「自動詞」と解釈できないので説明がしにくいのでは。
「(形容詞・形用動詞)~する」はいろいろあり、自他両用の形をとることがあるけど、自動詞になりにくいときもあるし、他動詞になりにくいときもある。どういう法則性があるのか……いまは不明。
 ちなみに『大辞泉』の記述では、下記の用法がわかりにくい。
https://kotobank.jp/word/%E7%82%BA%E3%82%8B-544032#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
==============引用開始
大辞林 第三版の解説

する【為る】
( 動サ変 ) [文] サ変 す

❸(形容詞・形容動詞の連用形に付いて)その状態にならせる。その状態を出現させる。 「髪を長くする」 「これまでの経緯を明らかにする」 「静かにしなさい」
==============引用終了

 元の例文が下記だったら、すっきり説明できる。以下、理由はよくわからないけど過去形(正確にはタ形)のほうがシックリくるので、過去形で書く。
==============引用開始
「する」「させる」は、本来まったく意味が異なるはずなのに、なぜ、
ウ「先生の言葉が生徒を大人しくした」
エ「先生の言葉が生徒を大人しくさせた」
が、両方ともほぼ同じ内容をあらわすのでしょうか。それとも、後者は間違いなのでしょうか。
==============引用終了

 ウの「~した」は他動詞用法。
 エの「~させた」は自動詞用法の使役形。
 使役形を外した形は「(先生の言葉で)生徒が大人しくした」
 仮に他動詞の使役形と考えるなら、別の「ガ格」もしくは「ニ格」が必要になる。
「校長先生ガ(担任の)先生に(言葉で)生徒を大人しくさせた」
「先生がクラス委員ニ生徒を大人しくさせた」

「~した」が自他両方の形で使えるなら、形容動詞でも同様の考え方ができる。
●他動詞
オ「先生の言葉が生徒を静かにした」
●自動詞の使役形
カ「先生の言葉が生徒を静かにさせた」
 ただの自動詞「(先生の言葉で)生徒が静かにした」
 他動詞の使役形。
「校長先生ガ(担任の)先生に(言葉で)生徒を静かにさせた」
「先生がクラス委員ニ生徒を静かにさせた」


 このようにすっきり説明できるのは「~する」が自他両用の場合だけで、むしろレアケースなのかも。
【「自動詞だけ」の場合】
●自動詞
 意識がはっきりした。
●自動詞の使役形
 (その衝撃が)意識をはっきりさせた。
「意識をはっきりした」の形にはしにくい。

【「他動詞だけ」の場合】
●自動詞
 歌で彼女の気持ちが明るくなった
●他動詞
 歌が彼女の気持ちを明るくした
●自動詞の使役形
 歌が彼女の気持ちを明るくならせた×
 歌が彼女の気持ちを明るくさせた
 原理的には自他両用のときと同じことだと思うが、この説明はちょっと強引でわかりにくいかもしれない。

 自他両用のケースは……〈漢語+する〉ならいくつか浮かぶんだけど。
『大辞林』の例文で考える。「静かにしなさい」は命令形をやめたら↑のとおり。
・髪を長くする/髪を長くさせる
・これまでの経緯を明らかにする/これまでの経緯を明らかにさせる
 これは元々の質問の「明るくする」と同様。「~が~なる」の形でも使わなければ自動詞にはしにくい。「大人しくする」と「明るくする」でなぜそんな違いが出るのかは言葉の神様に訊いてください。
 ただ、考え方としては同じだと思う。

 同じようでも、「長髪にする」だと、自他両方アリの気がするが、そこはかとなくぎごちない。いっそ「坊主」にすれば多少自然かも(笑)。
●他動詞
「母親が子供を長髪にする」
●自動詞の使役形
「(母親が)子供を長髪にさせた」
●自動詞
「子供が長髪にする」
●他動詞の使役形
 どうなるんだろ?



 以下、思いつくままに例をあげていく。
 なんせ自他の境い目自体が曖昧で……。

〈他だけ〉(自は「~なる」〉
明るくする
明らかにする
強くする
大きくする
長くする

〈自だけ〉
沸騰する
感動する
はっきりする
すっきりする
勝手にする

〈自他両形〉
完成する
混入する
輩出する※間違いなく自他両用なんだけど、語感が働かない(泣)
発射する※自はやや不自然か?
発車する※他はやや不自然か?
自慢する※「自慢させる」にはしにくい

 教えて! gooで、質問をしてみた。
 前回ナゾのままだった疑問が解決したようだ。めでたし、めでたし。
【続「する」「させる」】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8998066.html
プロフィール

tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

カレンダー
06 | 2015/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード