【表記の話23──良く行く 良く見る よく行く よく見る】
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671
【「表記の話」のバックナンバー】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2902.html
あるかたの日記で話題になった話(重言)。
ちょっと微妙な問題を含む気がするので、日記のリンクを張るのは控える。
まず「せざる終えない」と言えるかか否か。これは単純に「間違い」だろう。
使った人は「しないと終わらない」の意味だと主張する。
「せざると終えない」なら、まだ可能性があるかもしれないが、どちらも「間違い」だろう。
世間で広まっている類例は「やむおえない」
これも「間違い」だと思う。
当方は基本的にハッキリした根拠がなければ「間違い」とまでは書かない。
この場合、根拠はあげにくい。しかし、「せざるを得ない」「やむを得ない」を間違えたものとしか思えない。
これはちょっとした「さわり」ではなく……まくら。
本題はこの先。
うん? お先まっくら? ←そういう話はいいから。
次に出てきた話が、「良く行く」「良く見る」という表記がアリかナシか。
ちょっと注意が必要なのは「良く見る」のほう。これは2通りにとれる。
「注意深く見る」の意味ならまだアリかもしれない。
しかしここで問題にしているのは、「頻繁に見る」「しばしば見る」の意味。その意味で「良く見る」と書くのはアリかナシか。
結論を先に書くなら、「間違い」ではない。
でも一般的ではないからやめておいたほうがいい。
「注意深く見る」の意味でも「良く見る」は避けたほうが無難。まず見ない。
「good」の意味で「良くなる」ならアリか? これは媒体によって見解が分かれる。個人的には使わない。
といった趣旨のコメントを入れた。以下はその後のやり取り。関係ない部分は削除している。
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tobirisu 2016年1月9日 23:03
エート。
まず「せざるおえない」は単純に「間違い」でしょう。
「せざる終えない」?
「しないと終わらない」の意味で「せざると終えない」と言えるか?
言えなくはないのかもしれませんが、そんな用例をのせている文献があったら教えてほしい。仮にあったとしても、そんな言い回しを使う理由はないでしょう。
>「しばしば」「頻繁に」の意味での「良く」という漢字表記
これは「間違い」とは言えないでしょう。
『大辞泉』も『大辞林』も記載しています。
https://kotobank.jp/word/%E5%96%84%E3%81%8F-653664#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
https://kotobank.jp/word/%E8%89%AF%E3%81%8F%E3%83%BB%E8%83%BD%E3%81%8F%E3%83%BB%E5%96%84%E3%81%8F-405337#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
ただし、一般的か否かということなら一般的ではありません。
どんな用字用語集を見てもそんな表記は採用していないはずです。
「good」のほうは見解が分かれるようです。
公文書や新聞は「良い」を認めているようです。雑誌はほとんどが平仮名のはずです。当方も「善し悪し」以外は平仮名で書きます。
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Mさん(家主) 2016年1月10日 05:30
早速ありがとうございます。実は私も、ここまで言われて、さらに辞書を当たって「あれ? もしかしたらアリなの?」と、ちょっとそう思ってのこの日記です。
ただ、引用の日記へのコメントでも書いたとおり、そもそもこの場合の辞書の見方がよくわからない。この表記だと、日記主の言うとおり、原則的には「よく」も「良く」「善く」などもいずれも、辞書に挙げられている文例において使用可能、と取るのが素直だとは思いますが、一方で文例を詳細にチェックすると、「いや、この文例でこの漢字は無いんじゃないの?」と思われるものも混在しており、どうもそこまで(この文例においてこの漢字表記は妥当か、と個々を検討しているのかどうか)精密に辞書が書かれているのかどうか疑問、という部分もあります。
もっと言えば、「仮に辞書がそう書いていても、間違いは間違いだ!」という、身も蓋も説得力も無い本音はあるのですが。
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tobirisu 2016年1月10日 11:59
>「いや、この文例でこの漢字は無いんじゃないの?」と思われるものも混在
>精密に辞書が書かれているのかどうか疑問
ごもっともです。
表記(の使い分け)に関しては、国語辞典は「性善説」とでも申しましょうか……。
「こういう表記もできる」
「こう書いても間違いでなはい」
といった書き方になっているようです。
当方は基本的に信頼していません。
下記の「無い」の話と似ているかと……。
【「ない」「無い」「ありえない」「可能性が無い」表記の話17 辞書】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933029180&owner_id=5019671
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Iさん 2016年1月10日 15:27
単にWEB時代の弊害でした。長いですが引用します。括弧などの記号は一部置き換えます。
岩波国語辞典 第四版
よく[副](1)しばしば (イ)終始のように。「--芝居に行く」(ロ)ちょっとしたことにもすぐ。「年をとって--転ぶ」(2)それをする能力が十分にあるさま。「--詩を解する」能力を発揮してなしとげるさま。「困難に--打ち勝つ」▷「能く」また後者の例の場合などには「克く」とも書く。(3)その行為をした労を認めて言う語。その行為が好ましく嬉しい事だという気持を表す。「--お知らせ下さいました」「--ぞ完成した」。酷い仕打ち、非難すべき行為を、逆にこう言う事がある。「--(も)言えたもんだ」。 →よい(良)(3)(ハ)▷形容詞「よし」の連用形から
引用の参照先も引用します。
よ-い【良い・善い・△好い】 (3)(ハ)十分だ。満足・安心できる状態だ。▷ひどい仕打ちを、逆に言うこともある。→よく[副](3)
(4)<連用形で>しばしば→よく[副](1)
ということで、辞書が正しいという立場に立つのなら、
引用先の辞書の現本を確認するべきで、簡易版のWEB辞書では少し乱暴すぎます。
岩波の第四版の場合、かなり古いですが、「よく行く」という頻度を表す副詞に、漢字の提示はありませんので、
この辞書に従う場合は副詞としての使用の場合はひらがなが正解ということになりそうです。
ただ、乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、
どーみても家主さんがまともにやりあうレベルの相手ではないですよ、ほっておきましょう。
「せざるおえない」なんて時点で論外です。
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tobirisu 2016年1月10日 15:53
>Iさんさん
こんにちは。
いつもコメントを拝見し、勉強させていただいています。
これを「WEB時代の弊害」とは言えないような。
Web辞書と紙版を精緻に見比べないとなんとも言えませんが……。
「簡易版のWEB辞書」か否かも疑問です。むしろWeb辞書のほうが情報量が多いのでは。
『岩波国語辞典 第四版』は平仮名書きを推奨している、ということですね。
手元の『広辞林 第六版』はWeb辞書とほぼ同様です。
通常、辞書の説が分かれた場合は、〈「誤用」とは言い切れない〉と考えるべきでは。もちろん、〈「誤用」とは言い切れない〉から自分で使うか否かは別問題です。
個人的には『岩波国語辞典 第四版』のほうが正確だと思います。自分でも「よく」は平仮名で書きます。しかし、「良く」を「誤用」とするのは無理があります。
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Iさん 2016年1月10日 16:21
> tobirisuさん
こちらこそ。いつも興味深く拝見しています。
tobirisuさんが引用されたデジタル大辞泉の「よく」の場合、5つの漢字が提示されていますが、
特に後半の2つについては、「どの漢字を使っても差し支えない」という性質のものではなく、明白に誤用となりえます。
そういう意味では乱暴ですし、元の日記のコメント蘭でも、「幾つか上がっている場合、本来どれでも正解だ。」
とありますが、これはまさに手軽に簡単に調べられて奥行きの浅い、WEBの弊害でしょう。
しかしこの件についてはすみません、ご指摘の通りです。推敲不足で書き直し以前の文言が中途半端に残ってしまいました。
後半に記載の通り、それぞれの辞書の、原典にあたるものを比較する必要があるという主旨だけで結構です。
何を「正しい」とおくかというのは、難しい問題ですね。
「よく」に限らず、他の国から派生したものを副詞で使う場合ひらがなにせよ、というのは通例ですが、
なぜそれが通例なのかは判然としません。
「全く~」という表現が、戦後急に「否定的な文言を伴う」ことになったのはご存知でしょうか。
これは学習指導要領の(敗戦による)急な変更に端を発するそうですが、
この副詞はひらがなで、というのもそれに似たものかもしれないという気はしています。
したがって、戦後に基準を置く場合と、それ以前に基準を置く場合では、どちらが正しいとも言えないような気がします。
例えば、日本において公文書の書き方は一定の指針にはなりますが、「だから正しい」とは思いません。
しかし、これを基準に「そうすべき」という人もいます。
そのあたりの力加減は難しいですね。
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/kunrei.pdf
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で、Iさんへの返信を書くか否か迷っていた。
いろいろな話にまたがるので、ちゃんと書くととんでもない量になる。
ほとんどのことをすでに書いているけど、ヒトサマの日記にベタベタとリンクを張るのも気が引ける。
ってことで、こちらに返信として日記を書くことにする。
ワーイ。これならリンクも張り放題。(←オイ!)
のちほどIさんをご招待します。
>特に後半の2つについては、「どの漢字を使っても差し支えない」という性質のものではなく、明白に誤用となりえます。
それはなんとも言えません。
『大辞泉』を見る限り、「誤用」とは言えません。
すでに書いたように、山ほど辞書をひいてひとつでも記載があれば、それは「誤用」ではありません。これは「校正」の考え方ですが、一般社会にも当てはまるはずです。
少数派だから言っても「誤用」ではありません。逆に多数派だからと言って「正解」ではありません。
前者は、いろいろな段階がありそうです。
「一般的ではない」
「そんな書き方はめったに見ない」
「ほとんど誤用かもしれない」
etc.……。
「WEB時代の弊害」と言える否かはなんとも言えません。
適当に検索して目にしたヨタ記事を妄信するなら、それは「弊害」と言うよりその人が●●なだけです。そういうかたが非常に多いのですが。
「WEB辞書」が簡易版か否か……これもすでに書いたようにWeb辞書と紙版を精緻に見比べないとなんとも言えません。
少なくとも『大辞泉』『大辞林』は簡易版ではないはずです。あとはなんとも……。
>何を「正しい」とおくかというのは、難しい問題ですね。
当方は基本的に「正しい」か否かとは考えません。「間違い」か否かを考えます。屁理屈のように見えるかもしれませんが、「間違っていない」と「正しい」は大きく異なります。
言葉(「表現」と言えばもっとわかりやすいかも)の問題で「正しい」とか「正解」とわかるものは限られています。
下記のリンク先690)だけでもご確認ください。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=71230698
>「よく」に限らず、他の国から派生したものを副詞で使う場合ひらがなにせよ、というのは通例
いくつか例をあげていただけませんか。たとえば「全然」とか「公平に」はひらがなにするのが通例でしょうか。
>「全く~」という表現が、戦後急に「否定的な文言を伴う」ことになったのはご存知でしょうか。
それは初めて聞きました。〈学習指導要領の(敗戦による)急な変更に端を発する〉ことを示す資料がありますか?
「全然」がある時期から「否定的な文言を伴う」ようになったのは有名です。「昭和35年の文部省による教育指導要領で、多数=正しい、として、全然は否定を伴う、と規定してしまったため」のようです。
「とても」も昔は「否定的な文言を伴う」ものだったようです。
このあたりは食傷気味でもうどうでもいい気になっています。
【「全然」「まったく」「とても」知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1641.html
個人的に「誤用」か否かの基準はあくまでも現代(いわゆる)です。昔の話も興味がなくはないのですが、あくまでも雑学のレベルです。
>日本において公文書の書き方は一定の指針にはなります
当方はあまりあてにしていません。
もっぱら新聞系の用字用語を基準にしています。マスコミもほぼ同様だと思います。
それでも迷うものは多々あって。
非常に微妙なのは「最も」「特に」あたりです。
次が「全く」「全て」あたりですかね。
これも考えはじめるとキリがありません。
表記の話なんて、こだわっても何もいいことはありません。
数年前の常用漢字の改訂以来、かなり投げやりになっています(泣)。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671
【「表記の話」のバックナンバー】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2902.html
あるかたの日記で話題になった話(重言)。
ちょっと微妙な問題を含む気がするので、日記のリンクを張るのは控える。
まず「せざる終えない」と言えるかか否か。これは単純に「間違い」だろう。
使った人は「しないと終わらない」の意味だと主張する。
「せざると終えない」なら、まだ可能性があるかもしれないが、どちらも「間違い」だろう。
世間で広まっている類例は「やむおえない」
これも「間違い」だと思う。
当方は基本的にハッキリした根拠がなければ「間違い」とまでは書かない。
この場合、根拠はあげにくい。しかし、「せざるを得ない」「やむを得ない」を間違えたものとしか思えない。
これはちょっとした「さわり」ではなく……まくら。
本題はこの先。
うん? お先まっくら? ←そういう話はいいから。
次に出てきた話が、「良く行く」「良く見る」という表記がアリかナシか。
ちょっと注意が必要なのは「良く見る」のほう。これは2通りにとれる。
「注意深く見る」の意味ならまだアリかもしれない。
しかしここで問題にしているのは、「頻繁に見る」「しばしば見る」の意味。その意味で「良く見る」と書くのはアリかナシか。
結論を先に書くなら、「間違い」ではない。
でも一般的ではないからやめておいたほうがいい。
「注意深く見る」の意味でも「良く見る」は避けたほうが無難。まず見ない。
「good」の意味で「良くなる」ならアリか? これは媒体によって見解が分かれる。個人的には使わない。
といった趣旨のコメントを入れた。以下はその後のやり取り。関係ない部分は削除している。
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tobirisu 2016年1月9日 23:03
エート。
まず「せざるおえない」は単純に「間違い」でしょう。
「せざる終えない」?
「しないと終わらない」の意味で「せざると終えない」と言えるか?
言えなくはないのかもしれませんが、そんな用例をのせている文献があったら教えてほしい。仮にあったとしても、そんな言い回しを使う理由はないでしょう。
>「しばしば」「頻繁に」の意味での「良く」という漢字表記
これは「間違い」とは言えないでしょう。
『大辞泉』も『大辞林』も記載しています。
https://kotobank.jp/word/%E5%96%84%E3%81%8F-653664#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
https://kotobank.jp/word/%E8%89%AF%E3%81%8F%E3%83%BB%E8%83%BD%E3%81%8F%E3%83%BB%E5%96%84%E3%81%8F-405337#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
ただし、一般的か否かということなら一般的ではありません。
どんな用字用語集を見てもそんな表記は採用していないはずです。
「good」のほうは見解が分かれるようです。
公文書や新聞は「良い」を認めているようです。雑誌はほとんどが平仮名のはずです。当方も「善し悪し」以外は平仮名で書きます。
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Mさん(家主) 2016年1月10日 05:30
早速ありがとうございます。実は私も、ここまで言われて、さらに辞書を当たって「あれ? もしかしたらアリなの?」と、ちょっとそう思ってのこの日記です。
ただ、引用の日記へのコメントでも書いたとおり、そもそもこの場合の辞書の見方がよくわからない。この表記だと、日記主の言うとおり、原則的には「よく」も「良く」「善く」などもいずれも、辞書に挙げられている文例において使用可能、と取るのが素直だとは思いますが、一方で文例を詳細にチェックすると、「いや、この文例でこの漢字は無いんじゃないの?」と思われるものも混在しており、どうもそこまで(この文例においてこの漢字表記は妥当か、と個々を検討しているのかどうか)精密に辞書が書かれているのかどうか疑問、という部分もあります。
もっと言えば、「仮に辞書がそう書いていても、間違いは間違いだ!」という、身も蓋も説得力も無い本音はあるのですが。
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tobirisu 2016年1月10日 11:59
>「いや、この文例でこの漢字は無いんじゃないの?」と思われるものも混在
>精密に辞書が書かれているのかどうか疑問
ごもっともです。
表記(の使い分け)に関しては、国語辞典は「性善説」とでも申しましょうか……。
「こういう表記もできる」
「こう書いても間違いでなはい」
といった書き方になっているようです。
当方は基本的に信頼していません。
下記の「無い」の話と似ているかと……。
【「ない」「無い」「ありえない」「可能性が無い」表記の話17 辞書】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933029180&owner_id=5019671
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Iさん 2016年1月10日 15:27
単にWEB時代の弊害でした。長いですが引用します。括弧などの記号は一部置き換えます。
岩波国語辞典 第四版
よく[副](1)しばしば (イ)終始のように。「--芝居に行く」(ロ)ちょっとしたことにもすぐ。「年をとって--転ぶ」(2)それをする能力が十分にあるさま。「--詩を解する」能力を発揮してなしとげるさま。「困難に--打ち勝つ」▷「能く」また後者の例の場合などには「克く」とも書く。(3)その行為をした労を認めて言う語。その行為が好ましく嬉しい事だという気持を表す。「--お知らせ下さいました」「--ぞ完成した」。酷い仕打ち、非難すべき行為を、逆にこう言う事がある。「--(も)言えたもんだ」。 →よい(良)(3)(ハ)▷形容詞「よし」の連用形から
引用の参照先も引用します。
よ-い【良い・善い・△好い】 (3)(ハ)十分だ。満足・安心できる状態だ。▷ひどい仕打ちを、逆に言うこともある。→よく[副](3)
(4)<連用形で>しばしば→よく[副](1)
ということで、辞書が正しいという立場に立つのなら、
引用先の辞書の現本を確認するべきで、簡易版のWEB辞書では少し乱暴すぎます。
岩波の第四版の場合、かなり古いですが、「よく行く」という頻度を表す副詞に、漢字の提示はありませんので、
この辞書に従う場合は副詞としての使用の場合はひらがなが正解ということになりそうです。
ただ、乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、
どーみても家主さんがまともにやりあうレベルの相手ではないですよ、ほっておきましょう。
「せざるおえない」なんて時点で論外です。
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tobirisu 2016年1月10日 15:53
>Iさんさん
こんにちは。
いつもコメントを拝見し、勉強させていただいています。
これを「WEB時代の弊害」とは言えないような。
Web辞書と紙版を精緻に見比べないとなんとも言えませんが……。
「簡易版のWEB辞書」か否かも疑問です。むしろWeb辞書のほうが情報量が多いのでは。
『岩波国語辞典 第四版』は平仮名書きを推奨している、ということですね。
手元の『広辞林 第六版』はWeb辞書とほぼ同様です。
通常、辞書の説が分かれた場合は、〈「誤用」とは言い切れない〉と考えるべきでは。もちろん、〈「誤用」とは言い切れない〉から自分で使うか否かは別問題です。
個人的には『岩波国語辞典 第四版』のほうが正確だと思います。自分でも「よく」は平仮名で書きます。しかし、「良く」を「誤用」とするのは無理があります。
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Iさん 2016年1月10日 16:21
> tobirisuさん
こちらこそ。いつも興味深く拝見しています。
tobirisuさんが引用されたデジタル大辞泉の「よく」の場合、5つの漢字が提示されていますが、
特に後半の2つについては、「どの漢字を使っても差し支えない」という性質のものではなく、明白に誤用となりえます。
そういう意味では乱暴ですし、元の日記のコメント蘭でも、「幾つか上がっている場合、本来どれでも正解だ。」
とありますが、これはまさに手軽に簡単に調べられて奥行きの浅い、WEBの弊害でしょう。
しかしこの件についてはすみません、ご指摘の通りです。推敲不足で書き直し以前の文言が中途半端に残ってしまいました。
後半に記載の通り、それぞれの辞書の、原典にあたるものを比較する必要があるという主旨だけで結構です。
何を「正しい」とおくかというのは、難しい問題ですね。
「よく」に限らず、他の国から派生したものを副詞で使う場合ひらがなにせよ、というのは通例ですが、
なぜそれが通例なのかは判然としません。
「全く~」という表現が、戦後急に「否定的な文言を伴う」ことになったのはご存知でしょうか。
これは学習指導要領の(敗戦による)急な変更に端を発するそうですが、
この副詞はひらがなで、というのもそれに似たものかもしれないという気はしています。
したがって、戦後に基準を置く場合と、それ以前に基準を置く場合では、どちらが正しいとも言えないような気がします。
例えば、日本において公文書の書き方は一定の指針にはなりますが、「だから正しい」とは思いません。
しかし、これを基準に「そうすべき」という人もいます。
そのあたりの力加減は難しいですね。
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/kunrei.pdf
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で、Iさんへの返信を書くか否か迷っていた。
いろいろな話にまたがるので、ちゃんと書くととんでもない量になる。
ほとんどのことをすでに書いているけど、ヒトサマの日記にベタベタとリンクを張るのも気が引ける。
ってことで、こちらに返信として日記を書くことにする。
ワーイ。これならリンクも張り放題。(←オイ!)
のちほどIさんをご招待します。
>特に後半の2つについては、「どの漢字を使っても差し支えない」という性質のものではなく、明白に誤用となりえます。
それはなんとも言えません。
『大辞泉』を見る限り、「誤用」とは言えません。
すでに書いたように、山ほど辞書をひいてひとつでも記載があれば、それは「誤用」ではありません。これは「校正」の考え方ですが、一般社会にも当てはまるはずです。
少数派だから言っても「誤用」ではありません。逆に多数派だからと言って「正解」ではありません。
前者は、いろいろな段階がありそうです。
「一般的ではない」
「そんな書き方はめったに見ない」
「ほとんど誤用かもしれない」
etc.……。
「WEB時代の弊害」と言える否かはなんとも言えません。
適当に検索して目にしたヨタ記事を妄信するなら、それは「弊害」と言うよりその人が●●なだけです。そういうかたが非常に多いのですが。
「WEB辞書」が簡易版か否か……これもすでに書いたようにWeb辞書と紙版を精緻に見比べないとなんとも言えません。
少なくとも『大辞泉』『大辞林』は簡易版ではないはずです。あとはなんとも……。
>何を「正しい」とおくかというのは、難しい問題ですね。
当方は基本的に「正しい」か否かとは考えません。「間違い」か否かを考えます。屁理屈のように見えるかもしれませんが、「間違っていない」と「正しい」は大きく異なります。
言葉(「表現」と言えばもっとわかりやすいかも)の問題で「正しい」とか「正解」とわかるものは限られています。
下記のリンク先690)だけでもご確認ください。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=71230698
>「よく」に限らず、他の国から派生したものを副詞で使う場合ひらがなにせよ、というのは通例
いくつか例をあげていただけませんか。たとえば「全然」とか「公平に」はひらがなにするのが通例でしょうか。
>「全く~」という表現が、戦後急に「否定的な文言を伴う」ことになったのはご存知でしょうか。
それは初めて聞きました。〈学習指導要領の(敗戦による)急な変更に端を発する〉ことを示す資料がありますか?
「全然」がある時期から「否定的な文言を伴う」ようになったのは有名です。「昭和35年の文部省による教育指導要領で、多数=正しい、として、全然は否定を伴う、と規定してしまったため」のようです。
「とても」も昔は「否定的な文言を伴う」ものだったようです。
このあたりは食傷気味でもうどうでもいい気になっています。
【「全然」「まったく」「とても」知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1641.html
個人的に「誤用」か否かの基準はあくまでも現代(いわゆる)です。昔の話も興味がなくはないのですが、あくまでも雑学のレベルです。
>日本において公文書の書き方は一定の指針にはなります
当方はあまりあてにしていません。
もっぱら新聞系の用字用語を基準にしています。マスコミもほぼ同様だと思います。
それでも迷うものは多々あって。
非常に微妙なのは「最も」「特に」あたりです。
次が「全く」「全て」あたりですかね。
これも考えはじめるとキリがありません。
表記の話なんて、こだわっても何もいいことはありません。
数年前の常用漢字の改訂以来、かなり投げやりになっています(泣)。
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