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表記の話【2】──「子供」か「子ども」か

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2009年12月04日から

 んでもって、下記の続き。
表記の話【1】──「生かして」か「活かして」か
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1351352794&owner_id=5019671

 以前下記のトピに書いたコメント。こういう長めのコメントは回収しておかないと、行方不明になりそう。最悪の場合は、いつの間にトピが消えていたりする(笑)。
【「子供達」「子どもたち」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=31838608

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 コメントが1つしかつかないので、部外者ですが口を挟みます。

 結論を先に書くと、「子供達」でも間違いではありませんが、「子どもたち」にするほうが無難です。

 基本的には「1」のかたのコメントのとおりだと思いますが、若干補足します。
 教育漢字配当表だと、
  子……1年生
  供……6年生
  達……4年生
 だと思いますが、この話はちょっと違う気がしているので考慮しないでおきます。
 もし、配当学年の関係で制約があるならば、「配当表」に従えばいいでしょう。

●「達」か「たち」か
「たち」と書くことが多いようです。理由は「慣例」としかいいようがないと思います。ただ、一般的な用字用語集などを見ても「たち」にしていることが多いので「たち」のほうが無難です。
 これが「友達」になると、「達」を使うほうが普通のようです。

●「子供」か「子ども」か
 近年は「子ども」と書くことが多いようです。とくに教育現場では「子ども」を原則にしていることが多いと聞きます。
「子供」を避けるようになった理由も聞いたことがありますが、 もともとは誤解によるものだと思います。

1)「ども」には見下した感じがある
「1」のかたがひいている辞書にあるように、「ども」には見下した感じがあるようです。「バカ者ども」「愚か者どの」といった使い方をします。手元の『広辞林』だと、「見下す」のニュアンスをふれずに「女ども」という用例が出ていますが、どうかと思います。
 ちなみに「ら」にも見下した感じがある、という説に関しては、個人的には疑問です。

2)「ども」は謙譲の意味がある
「私ども」などと使う場合です。

1)2)とも、漢字で書くと「共」のはずですから、「子供」の表記を避ける理由にはならないと思います。

3)「供」は「お供」の「供」だから避けるべきだ
 これも眉唾ものです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E4%BE%9B

 以上、1)~3)の理由は論理的に正しいとは思えません。
 とはいえ、現状で「子供」の表記はよくない、と考える人がいる以上、避けるほうがよさそうです。
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 ↑のトピには「障がい者」の問題も出てくる。
 これはまぜ書きを避けるなら「障碍者」にするしかない。「障害者」は本来の意味から離れるし、語弊がありすぎる。
 いまとなっては「障碍者」もあまり印象のよい表記ではない。
47)【「碍」の悲劇──印象を悪くしたのは誰だよ】(2009年07月02日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1213810610&owner_id=5019671

【追記】
●表記の問題に関する基本的な考え方(詳細はhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=50340503参照)
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 表記(漢字の使い分けなど)の問題は2種類に分けて考える必要があると思います。

1)使い分けないと間違いになる場合
2)使い分けるのは単なる「決め」の問題の場合

 たとえば「謝る」と「誤る」は明らかに意味が違うので1)でしょう。
「誤った」ことを「謝る」とは書けても、逆はありえません。このほかに「過ち」のことを考えだすと、ちょっと話がややこしくなります(笑)。

 一方、「生まれる」と「産まれる」の場合は2)でしょう。
 汎用性が高いのは「生まれる」でしょうから、「産まれる」と書くべきところを「生まれる」と書いても間違いではありません。単なる「決め」の問題です。ただ、逆にムヤミに「産まれる」を使うとヘンな感じになります。
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 下記のような論文もある。
【国語科教育の基礎学の構築(I) 漢字の基礎-「子ども」・「子供」 の表記を基にして-】
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/899/1/59-1-kyoiku-01.pdf

 結論?はP.9〜に書いてある。
 よく読むと疑問も湧いてくる。
 (1)〜(5)が事実だとすると、教育現場の方々はホニャララなんだろう。
 (6)〜(8)は、一般に言われていることをむずかしく書いているだけ、とも言える。
 素直に納得できるのは(9)だけでは。
================引用開始
(9)すべてを了解していながら,「子ども」と表記する。
 表記に関することが国語審議会の答申をうけて,内閣告示で示されることは,表現の国家管理に繋がる恐れがあると考える人がいる。それは思想の問題であり,本論での問題にはなじまないので,論ずる ことの対象外とする。
================引用終了

 要するに、「子ども」はいけないとヒステリックに主張する人が多いから、「子ども」もしくは「こども」と書くほうが無難ってことだろう。これを「論ずることの対象外」にしたのでは……。【201309追記】
 なんでこういうホニャララなことをするのかね。
 現場が混乱するだけでしょうが。
 まあ、多少もめたあと、現状どおり「子供」は使わないってことになるんでしょうね。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1902T_Z10C13A9CR8000/
================引用開始
文科省、「こども」表記を漢字に統一 公用文書で
2013/9/19 19:37

 文部科学省はこのほど省内の公用文書の「こども」の表記を漢字書きの「子供」に統一することを決めた。

 「子供」の表記は1973年の内閣訓令で、漢字表記とされた。ただ「漢字より柔らかい印象がある」として、各省庁とも漢字と平仮名の交ぜ書きの「子ども」を使う例が増えていた。

 文科省は、子供と表記しても大人の「お供」のような否定的な意味はないと判断し、公用文書は漢字表記との原則を再確認。7月刊行の文部科学白書では語句を「子供」に統一した。

 文化庁国語課によると「こども」という言葉は「子」の複数形として古くから使われ、江戸時代に「供」が当て字として使われるようになったという。


関連キーワード
こども、文部科学省、文科省、公用文書、表記
================引用終了

 下記には、「子供」当て字と断定している人もいる。真相は知らない。
【「子ども」は「子供」で統一します 文科省「差別表現でない」と公文書で使用】
http://www.j-cast.com/2013/09/01182664.html?p=all
===========引用開始
「子ども」と「子供」、書き方としてはどちらになじみがあるだろうか。ここ数年、差別助長を防ぐため「障害者」の表記を「障がい者」に見直す動きが広がっているが、実は「子供」も「差別的な印象を与える」として長らく敬遠されてきた。

行政でも「子ども手当て」「子ども・子育て支援法」など「子ども」が優勢だが、ここにきて文部科学省が「子供」表記の統一に乗り出した。

■「子供」のイメージは「お供え物」「お供する」
文科省が2013年6月下旬、公用文中の「子ども」の表記を「子供」に統一した、と複数の新聞が報じた。同省の公文書では常用漢字を使うのが原則だが、「こども」については漢字の「子供」ではなく「子ども」が多用されてきた。「供」という字が「お供え物」「お供する」などを連想させ、差別的な印象を与えるというのがその理由だ。

しかし一方で、漢字とひらがなを交ぜて表記する「交ぜ書き」を問題視する声も以前からある。「はれ、ときどきぶた」シリーズで知られる児童文学者の矢玉四郎氏はウェブサイト「子ども教信者は目をさましましょう」を運営しており、下記のような主張を展開している。

「子供は熟語です。熟字訓というもので、いわば当て字です。コドモという音は万葉のむかしからあります。(中略)江戸時代にコドモに、子供という字をあてたようだ。子供は当て字で二字熟語です。子ども、こ供とは書けない」
今年3月には自民党の木原稔議員が「子ども」の交ぜ書き問題を文科省委員会で取り上げた。同氏はビデオレターでも「子供に対して『子どもは漢字で書きなさい』といいながら、大の大人が交ぜ書きにしている。さらに公用文でも交ぜ書きが横行しているのには違和感を覚える」と主張している。こうした指摘を受け、文科省では本年度に協議がなされ、差別表現でないと判断、統一に至った。

新聞記事ではどちらも使われている
教育界のお役所が重い腰を上げて決定したルールだが、熊本日日新聞(「くまにちコム」8月30日配信)によると、同省は「各教育委員会に『子供』を使うよう呼び掛ける考えはない」との見解を示しており、現状はあくまで省内の公文書に限るようだ。

メディアでは、表記は「子ども」が多い。記者が使用する「記者ハンドブック」(第12版・共同通信社)をみてみると、「子供・子ども」と記載されており、「一般的には『子ども』が多く使われている」と注釈が入っている。だが広辞苑には「子供」としか書かれておらず、この説明はハンドブックならではだろう。

実際には、新聞各社の記事ではどちらの表記も使われているようだ。以前、校閲部長の「コドモは『子供』と書くべきだ」というコラムを載せている産経新聞でも「子ども」表記の記事は存在する。メディアでも、いずれの表記を用いるかについて明確なルールを設けていないとみられる。
===========引用終了


 要は、論理的には問題のない「子供」をとるかヒステリックな●●の「子ども」をとるかって戦いになったはずなんだけど、2016年8月現在はそうなってるんだろ。

 ちなみに『記者ハンドブック』第12版(2011年11月)の記述は下記のとおり。
==============引用開始
こども (小供)→子供・子ども 
〔注〕一般には「子ども」が多く使われている。祝日は「こどもの日」。
==============引用終了

「一般」に「的」はついていない。引用は正確に。
 第13版(2016年3月)も同様。

 

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フリーランスの編集者兼ライターです。

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