突然ですが問題です【日本語編253】──金がない 貧乏で情けない 金なんか要らないわけではない

 下記の仲間。
【突然ですが問題です お品書き〈5〉】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1930761341&owner_id=5019671

 下記の仲間でもある。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950899196&owner_id=5019671

【問題】
 下記の(な)を漢字にしなさい。できないもの、しにくいものは、理由を書きなさい。

1)金が(な)い
2)貧乏で情け(な)い
3)金なんか要ら(な)い
4)金なんか要らないわけでは(な)い




【解答?例】
 辞書的には……。
1)金が無い
2)貧乏で情けない
3)金なんか要らない
4)金なんか要らないわけでは無い

【よくわからない解説】
 一般的には全部ひらがなでしょうね。
 詳しくは下記をご参照ください。
1250)【「ない」「無い」「ありえない」「可能性が無い」表記の話17 辞書】→表記の話22扱い
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3123.html
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突然ですが問題です【日本語編87】──AとBを持っている AとBとを持っている」

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671

mixi日記2011年12月19日から



【問題】
 下記の文に関して【問】に答えなさい。
  AとBを持っている。

【問1】
「AとBを持っている。」は通常、〈「A&B」を持っている〉という意味でしょう。無理矢理別の解釈をしなさい。

【問2】
「AとBを持っている。」は「AとBとを持っている。」の2つ目の「と」が省略されたものと考えられます。
 同様に並立表現で2つ目の助詞(的なもの)を省略できる例をあげなさい。

  例
  肉か魚(か)を選びなさい。
  ※ちょっと苦しいか?




【解答?例】&【よくわからない解説】

【問1】
BというものをAさんと共有している。

【問2】
 並列助詞はいろいろあるが、後ろを省略できるか否かという観点で3つに分類できるだろう。下記の1)と2)は省略できそう。
  1)省略するのがフツー や/に
  2)両方OK      と/か/やら/とか
  3)省略できない    なり/だの/も/だか/の 

  焼酎やワインを飲みました。
  焼酎にワイン、といろいろ飲みました。
  焼酎とワイン(と)を飲みました。
  焼酎かワイン(か)を飲みませんか。
  焼酎やらワイン(やら)を飲みました。
  焼酎とかワイン(とか)を飲みました。

 主題文に秀逸なコメントをもらって戸惑っている。
 詳しくは下記をご参照ください。
【「AとBを持っている」と「AとBとを持っている」教えて!goo】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2251.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1805558165&owner_id=5019671

読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年02月日から

『敬語再入門』のamazonデータ。
http://www.amazon.co.jp/%E6%95%AC%E8%AA%9E%E5%86%8D%E5%85%A5%E9%96%80-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%8F%8A%E5%9C%B0-%E5%BA%B7%E4%BA%BA/dp/4062919842

 いやぁ、すごいわ。
 敬語に関するいいテキストはないかと考えていたところ、偶然教えてもらった。
おおざっぱな感想に関しては下記に書いた。
【学者の言葉〈3〉── 専門用語の誘惑】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821238682&owner_id=5019671
================================引用開始
 最近、『敬語再入門』(菊地康人)を読んでいる。1項目ずつ噛み締めているからなかなか進まない。もう少しで読み終わるので、『敬語』のほうに進みたい。「進みたい」は正確には「戻りたい」にするべきだろう。元々あったのは『敬語』で、その入門編とも言えるのが『敬語再入門』。『敬語』のほうがボリュームが倍近くあり、内容も盛りだくさん。当方の手に負えるのだろうか?
 それはさておき『敬語再入門』いついて。いやー、スゴいわ。訳のわからないバイト敬語を別にすれば、各種の質問板でとびかっている敬語関係の疑問のほとんどが解決する気がする。手元にある敬語関係の本がいかにいい加減かよくわかる。ネットでとびかっている珍説が哀れにさえ思える。
 言語学の専門家であることが随所にうかがえ、解説がイチイチ論理的で深みが感じられる。
 しかも、むずかしい言葉はほとんで出てこないので、当方のレベルが読んでもよくわかる。不明点もいくつかあるが、それは単に当方の勉強不足だろう。一般人がわからない言葉は使っていない。こういうのが「貴重な学者」の業績なんだろう。
 むずかしい文法用語や、一般人がわからない専門用語なんか使わなくてもあれだけの文章が書けるのは驚異なのかもしれない。あやかりたい、あやかりたい。
================================引用終了

 少しテクニカルなことを書くと、本書は原則1項目2ページで構成されている。行が余って余白が出ているところはほとんどない。編集関係の仕事をしている当方から見ると、こういうちゃんとした内容の本でこういう体裁にするのはとんでもない力業。神業と言ってもいいかも。
 それとちょっと余計なことを書くと、巻末の「敬語便利帳」を見て驚いた。当方が「不規則敬語」と呼んでいる(本書では「特定形」などと呼んでいる)動詞の一覧がのっている。これって、Wikipediaの「不規則動詞一覧」の表とよく似ている。まあ、同じような形になるのはしかたがない気もするけど……。ちなみにWikipediaの参考文献には『敬語』のほうが入っている。
 パクったとするとWikipediaのほうだろうな……と思いながら見比べてみると、中身はかなり違う。興味のあるかたはご確認ください。


【引用部】
「くださる」「おっしゃる」「いらっしゃる」も変則的五段活用です(P.49)
 深い意味はなく、ちょっとしたメモ。
【20140222追記】
 ところが、「なさる」の場合、一般的法則の通りではなく、すでに江戸時代のうちに下二段から四段活用に変わりました。四段活用は現在は五段活用になり、「なさる」も、
 ② なさらない、なさろう(とする)、なさいます、
   なさり(中止形=テン(、)の前の形)、なさって、
   なさった、なさる、なされば、なさい
と活用するようになりました。普通の五段活用とは少し違うので(普通の五段活用なら「なさいます」「なさい」でなく「なさります」「なされ」となりところです)、変則的五段活用とでもいえるでしょう。「くださる」「おっしゃる」「いらっしゃる」も変則五段活用です。
現代の標準的な使い方は、この②です。(P.48〜49)


【引用部】
Q.「読んでいる」を尊敬語でいうとどうなりますか。(P.52)
 イチバン敬度が高いのは「読んで」と「いる」の両方を尊敬語にする「お読みになっていらっしゃる」。これは「敬語連結」なので「二重敬語」ではない。
 片方だけを敬語にした下記の形も一般的。
  読んでいらっしゃる
  お読みになっている

 どちらかと言うと、後半だけを敬語にする「読んでいらっしゃる」のほうが一般的らしい。
 このほかに「レル敬語」系の「読まれている」はあまりこなれていない。「読んでおられる」は誤用の疑いアリとのこと。
 著者がすすめているのは、「お読みだ/お読みです」の類い。「お読みでいらっしゃる」にするとさらに敬度が上がる。
 この言い方は少なくとも2つの問題にかかわる。
 ひとつは「お召し上がりですか?」。もうひとつは後出の「○○住み」。

【引用部】
「くださる」は本来は恩恵を受ける場合の表現ですが、実際にはそうでない場合にも拡張して使われることがあります。(→§4)。「ください」は文法的には「くださる」の命令形ですが、恩恵を得るという原義とは無関係に、たとえば道を尋ねられて「そこを右に曲がってください」というように(この場合、話手には何の恩恵もないわけですが)広く使われ、依頼、要求などの表現として定着しています。(P.57)
 この説明を見る限り、「~ください」は「尊敬語の命令形」で間違いないようだ。「尊敬語の命令形」なんてアリなの?


【引用部】
Q.「いい所にお住みですね」……少し変でしょうか。
 §20の「お~です」の形で、理屈上は誤りではないはずですが、普通、「お住みです」ではなく「お住まいです」と言います。ナル敬語も「お住まいになる」が普通です。古語「住まふ」に由来し、名詞「住まい」も同源です。(P.60)
 さすがに最近の「○○住み」の話は知らないらしい。関係ないか。
 仮に「お住まいですか」に異和感をもつ(「知らない」という可能性も否定できない)と、「お住みですか」になる。敬語でない表現にすると「○○住みです」まであと一歩って気がする。


【引用部】
Q.「なくなる」は「死ぬ」の尊敬語ですか。
 「死ぬ」という直接的な表現を避けて婉曲に述べた故人への配慮の表現ですが、身内にも使うので、普通の意味での尊敬語とはいえません。むしろ美化語(→§52)系でしょう。「なくなられる」「おなくなりになる」と言って初めて尊敬語になり、これは身内には使えません。(P.61)
 ひとつ疑問が解けた。「なくなる」自体はやはり尊敬語ではない。
【「なくなる」「亡くなる」考 】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1600713314&owner_id=5019671
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1684998175&owner_id=5019671


【引用部】
 なお「貴社」の意で「御社」と使う人がいますが、これは比較的新しい言い方で、一種の社会方言なのでしょう(私自身の語感では抵抗があります)。(P.65)
 これは初めて聞いた。一般には「貴社は書き言葉的で、御社は話し言葉的」とか言うはず。それはなんとなくわかる。「キシャ」は耳で聞くとけっこうわかりにくい。だから「御社」が広まったのかもしれない。


【引用部】
 なお、「使いやすい」のような「動詞+やすい(にくい)」型のものは「お使いやすい」でなく「お使いになりやすい」です。「お求めやすい」は「安い」意の婉曲表現として定着しつつありますが、本当はおかしい表現で、「お求めになりやすい」というべきところです。(P.66)
 この書き方はちょっと不満。これだと「お求めやすい」は定着しつつあるから「許容」ともとれなくはない。まあ、たしかに通販番組などでよく耳にする。


【引用部】
Q.「失礼ですが、田中さんでございますか」というのは、少しおかしくありませんか。(P.111)
 P.110~111の§54のテーマは〈「ございます」と人称〉。「田中さんでいらっしゃいますか」が望ましいらしい。
 言われてみると、たしかに「田中さんでございますか」には異和感がある。しかし、「そんなヘンな言い回しは使ったことがない」と強気に言えるほどの自信もない(泣)。


【引用部】
 なお、一つの語がいくつかの用法をもつ場合もあります。§48では、「お手紙」のように尊敬語・謙譲語I両方の用法をもつ主な語をリストしましたが、その中でも「おみやげ」などは、「先生からのおみやげ」(尊敬語)・「先生へのおみやげ」(謙譲語I)のほか「子どもへのおみやげ」のように美化語としても使います(あるいは、初めの二つも美化語と見てしまったほうがよいのかもしれません)。(P.124)
 接頭語の「お/ご」の解説のなかにある記述。「お/ご」は〈機能〉の面から見ると4種類ある。
1)尊敬語
2)謙譲語I
3)丁寧語
「お暑いですね」「お寒うございます」
4)美化語
 下記に書いたように、3つの〈機能〉をもつ「お/ご」はほかにもありそう。
673)緊急! 突然ですが問題です【日本語編92】──「お料理」「お手紙」の「お」の意味 【解答?編】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1813769245&owner_id=5019671
 本書の解説中にあるようにすべてを「美化語」と考えるほうがいいのかもしれない。


【引用部】
また、社外の人に同僚のことを「○○は休暇をいただいておりまして」などと言うのも、休暇は会社なり上司なりからもらうわけですから、会社/上司を高めることになってしまいます。「休暇をとっておりまして」と言うべきところです。(P.137)
 やっぱりこれが正論なのね。それはわかってるんだけど、「休暇をいただいておりまして」を×にするのはちょっと気が引ける。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1251284337
================================引用開始
1)「休みをいただいております」(「頂」はひらがなにします)
これは微妙な問題ですね。たしかにその客の主張にも一理あります。
正確に言うなら「会社から休みをもらって、休ませていただいております」なのかもしれません。いくらなんでも冗長ですからそこまでする必要はないでしょう。ただし、「お」をつけて「お休みをいただいております」のほうが一層丁寧な気がします。
もうひとつの【修正案】は、↑の後半にある「休ませていただいております」でしょう。これは「~させていいただく」の形なので、2)の問題とかかわってきます。
================================引用終了

 たとえば、取引先の偉いさんから連絡があったのに、担当者が休んでいる場合。「(お)休みをいただいております」じゃダメかな。偉いさんでなくても、「せっかく連絡いただいたのに……」という気持ちがあるなら「(お)休みをいただいております」でもいいと思う。
 ただ、発言者は年配の女性のイメージになるってことは、やはり過剰敬語なのかもしれない。


【引用部】
Q.「先生が指導していただいた」……どこか変ですね。(P.144)
 これ、けっこう基本的な問題だと思う。
 本書の解説は先生が大先生に指導してもらった場合を別にすると、おかしいとしている。
 下記のどちらかになるらしい。
  先生が指導してくださった。(尊敬語)
  先生に指導していただいた。(謙譲語I)

 それはわかるんだけど、世間でよく話題になるのはもう少しヒネった形。
  ご来店{ください/いただき}まして)(誠に)ありがとうございます。

 これだと主語(的なもの)は「お客様が」でも「お客様に」でもおかしくない。さて、正しいのはどっち?


【引用部】
Q.「では田中社長のほうからご挨拶をいただきます」のように「……のほう」を付けると丁寧になるんですね(P.151)
 典型的な「バイト敬語/若者言葉」。例外的に1ページの項目なので、丸々転載したくなる(笑)。要点だけを箇条書きにする。
・元々が方向を表わす言葉が敬意を表わす表現になることはある(「こちら・そちら・あちら」)
・しかし、著者の語感では「……のほう」は余計で不必要な印象を受ける
・こんな言い方で丁寧になると思うのはずいぶん浅薄
・概して敬語の使い方が得意でない人が使うことが多い
・過剰な「……のほう」は敬語でもなんでもなく、ないほうがよほどスッキリする
 本書では「バイト敬語/若者言葉」はあまり扱っていない。「あんなものは敬語ではない」ということではなく、問題意識が違うのだろう。できればこういう著者に詳細に解説してほしい。


【引用部】
 もっとも、ありうることと使うことは別ですし、過度にかばう気もありません。そもそも「とんでもない」は何かを難じるか、相手の言動を強く打ち消す語なので、概して敬語になじまない(相手から過分な贈答・評価・申し出などを受けた際の受け答えとしてならまだしも、という面はあり、「とんでもございません」もそうした場合に使われるようですが、それにしても相手を否定することが敬語と合わない)、というのが不自然な一因ではないでしょうか。「おきれいですね」と言われたら「とんでもございません」などと言うより、ただ「いいえ、そんな……」とはじらっているほうがよほど好感がもてるというものです。それにしても、“正解”とされる「とんでもないことでございます」は、受け答えとしてはかなり変ではないでしょうか。(P.161)
 歯切れの悪さに著者の迷いが見える、なんて書いたら怒られるかな。「ありうる形なので間違いではないが、積極的には支持できない」ってところだろうか。最後の書き方は、総理に醤油をとってもらう話を想起させる。
 この【引用部】の前にあるのは、「とんでもない」の分析。
【引用部】
①「とん」が名詞性の語で、「Nで(も)ない」式のでき方なら、丁寧形として「Nで(も)ございません」はありうる形です。
②「とんで」が「動詞+て」、つまり「Vて(も)ない」なら、さらに二つの場合に分かれます。
(a)「Vてある」の否定なら「Vて(も)ございません」はありうる形です。
(b)「Vている」の否定(「Vていない」の「い」の脱落)なら、「Vて(も)いません」/おりません」となるはずで、「Vて(も)ございません」とはなりません。(P.160)
 と分析しているが、結論はよくわからない。「とん」の語源が不明だからしかたがない。不明ながらも、もし名詞性で①なら「とんでもございません」はありうる形、としながら、先のP.161の【引用部】に続く。
 結局、専門家が見てもよくわからないってことだろう。素人にわかるわけがない(笑)。
【関連トピ紹介】1──「申し訳ございません」「とんでもございません」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41472470


【引用部】
不快感/違和感を感じますか(P.183)
 単なるメモです。


【引用部】
Q.「させていただく」、乱れてませんか。(P.191)
「バイト敬語/若者言葉」にふれた貴重な項目。2項目6ページにわたっているから相当力が入っている。イマイチ要領を得ない(←オイ!)のは、それだけ厄介な問題なのだろう。
 内容を箇条書きにしてみる。
・〈相手が、持っている資料を、好意で、私がコピーすることを許してくれる〉場合なら「コピーさせていただく」は適切な使い方
・パーティーの誘いを受けて「出席させていただきます」はやや拡張した使われ方
・「本日休業させていただきます」はやや拡張した使われ方
・結婚式のスピーチで「私は神父と三年間一緒にテニスをさせていただいた田中と申します」は、新郎新婦が特別な貴人でない限り異和感
・押しかけたセールスマンが「このたび新製品を開発させていただきまして」と言うのは「乱れ」の典型
・「乱れ」の正体は〈謙譲語Iから謙譲語IIへの変化〉
※ここがこの項目の骨子のはずだが、当方には説明しきれない(泣)。
・敬語の現状を見ると、「させていただく」の「変化」に加勢するファクターがいろいろある。
→聞手への低調さを醸し出す謙譲語IIは広まりやすい

【引用部】
 ちなみに、五段活用の場合は本来「せていただく」ですが、「読まさせていただく」式の誤用も聞きます。これも、もはや使役の原義をとどめていないということでしょう。原義を忘れて謙譲語IIに向かうのなら、むしろ、一律に「さ」入れるほうが簡単でいいのかもしれません。(P.195)
 うなってしまった。当然、その形が「サ入れ言葉」と呼ばれていることを踏まえている。それでいてこういう怖いことをアッサリ書けるのは、思考に柔軟性があるから。

【引用部】
 ところが、謙譲語IIの代表選手「──いたす」は、「──する」型(サ変)の動詞でなければ使えない、また、文末以外では使いにくい、という制約があります。つまり、先程の例なら「開発いたしました」と言えますが、「新製品を作りました」は、「──する」型動詞でないので「作りいたしました」と言えないし、「新製品を開発した業者です」も、文末ではないので「開発いたしました業者です」は不自然です。この「いたす」の守備範囲の不足を補うように「作らせていただきました」「開発させていただいた業者です」と言う、という面がありそうです。「守備範囲の広い謙譲語IIの形」を求める心理が潜在的にあって、そこに「させていただく」が入り込もうとしているのです。(P.196)
 つまりそのなんだ。こういうのを読んでしまうと、「プチ発見」のはずが単なる勉強不足になるってことだ(泣)。
446)【「~させていただく」〈2〉──プチ発見か単なる●●か?】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1692229571&owner_id=5019671


【引用部】
ごぞんじ(ご存じ) 「知っている」の尊敬語(P.257)
 巻末の「敬語ミニ辞典」に「ご存じ」の項がある。「ご存知」の表記に関してはいっさいふれていない。まあ、そういうことだ(笑)。

【20120224追記】
 書き忘れたが、本書では「敬度」という言葉が使われている。この言葉はWeb辞書にはない。そのことに気がついて以来、当方は単語登録をして遠慮がちに使っていた。これからは堂々と使う。辞書にはなくてもわかりやすい(意味を説明する必要さえ感じられない)し、「敬度が高い/低い」など、用途も多い。


 ひとつ重要なテーマを抜かしていた。本書の中に何度も出てくるが、一応理解済みの事項としてパスしていた。
【引用部】
Q.「ご利用してください」「先生もまいりますか」……どこか間違っていますか。(P.94)
 問題は前半の「ご利用してください」がなぜ誤りか。本書の解説がどうもピンと来ない。要は「お/ご~する」が謙譲語Iなので、「ご利用してください」だと聞き手に謙譲を強いることになるからだろう。解決策はむずかしくない。

【引用部】
 ②③④の「お/ご~くださる」は「お/ご~になってくださる」の縮約形で、正しい敬語です。(→§22)。つまり、「お/ご~してくださる(ください)」は一般に誤りで、正しくは「して」を取り払って、ただ「お/ご~くださる(ください)」と言えばいいわけです。(P.95)
 一般にはこれが正解。
 ちなみに、「お/ご」をつけない「~してください」の話は出てこない。やはり敬語でもなんでもないのだろうな。「~くださいませ」にしてもダメなのかな……。
 それはさておき一般に「正解」なのに例外を示しているのが下記のトピの話。これはけっこうレアケースなんだろうな。

235)【「お○○してください」「ご○○してください」「お~してください」「ご~してください」☆日本語教師☆】玉石混交
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1332.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1515394161&owner_id=5019671


『敬語再入門』補遺編

 事情があって詳しいことは書けないが、先月下旬から18日までサラリーマンのような生活をしていた。
 後半の通勤電車内で『敬語再入門』を再読していた。以前書いた読書感想文で書き落としていることがいくつもあることに気づいた。
 実は元本とも言えるに『敬語』もなんとか読み終えたのだが、チェックした事項が多すぎてまとめる気になれない(泣)。
 ってことで、『敬語再入門』のメモを追加しておく。

 そもそもこの本を書棚から引っ張り出したのは、「ご利用できます」がなぜ誤用なのかを確認するため。P.146にわかりやすく書いてある。
「ご利用できます」とか「ご乗車できます」はよく目にする誤用らしい。そもそも可能形でない形の「ご利用する/ご利用します」がかなり異様。「ご~する」は謙譲語Iの基本形とも言える形だが、「ご利用する」ってフツーの文脈では使わないだろう。
 話し手側を主語にする謙譲の形で「ご用意できます」「ご案内できます」ならもちろんアリ。しかし、聞き手側を主語にする「ご利用できます」「ご乗車できます」は×。
 ほかにも気になった点を追加でメモしておく。

 P.91〈「申す」を含む語〉では、「申す」を含む複合動詞をいくつかに分類している。
1)謙譲語Iの性質をもつ……申し上げる/申し受ける
2)謙譲語IIの性質をもつ……申し伝える
3)謙譲語ないし改まった趣きが感じられる……申し添える
4)多少改まった趣きが感じられる……申し付ける
5)謙譲語も改まった趣きもすでにない……申し合わせる/申し込む
「お申し付けください」は間違いではないが、同義で本来の尊敬語の「お仰せつけください」「ご用命ください」のほううが無難な気がするとしている。「お仰せ」ってなんて読むんだろう?
突然ですが問題です【日本語編7】──「言う」を謙譲語にすると「申す」なのか
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=54493030

 P.158で「おられる」の適否にふれている。これがまた微妙で、かなりメンドー。これはYahoo!知恵袋の頻出問題で、詳しく見ていくと激痛の頭痛が激しく痛くなる。課題にしたい。
突然ですが問題です【日本語編82】──おられる
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=67212521

 あと、二重敬語の問題をまとめる方法が少し見えてきた気がする。これも課題にしたい。


【20120521追記】
 P.41~のテーマは〈「お/ご~になるといえない語」〉。ナル敬語はレル敬語と並んで尊敬語の基本とも言える形だが、いくつか制約がある。この制約を眺めていると、「特定形」になる動詞の傾向がボンヤリと見えてくる。
【引用部】
(1)~部が一拍(かな一字分の長さ)の場合や、言い換え形がある場合
A. ~部が一拍で言い換え形(対応する特定形)がある場合(P.40)
 例としてあげられている動詞と、その「特定形」は下記のとおり。
  する→なさる
  見る→ご覧になる
  着る→お召しになる
  寝る→お休みになる
  来る→いらっしゃる/おいでになる
  いる(居る)→いらっしゃる/おいでになる
「煮る」は「お煮になる」とは言わないが、「特定形」もない。「出る」は「外にお出になる」と使われることもある。
 ほかの例を見ると、「似る」は「煮る」とほぼ同様。
 上はいずれも五段活用ではない動詞。このあたりは、「ラ抜き言葉」になる動詞に近いものがある。
【引用部】
B. ~部が二拍だが、言い換えがある場合(P.40)
 例としてあげられている動詞と、その「特定形」は下記のとおり。
  する→なさる
  くれる→くださる
  食べる→召しあがる
  言う→おっしゃる
  行く→いらっしゃる/おいでになる
  死ぬ→おなくなるになる
 何気なく並べているが、後ろの3つは五段活用の動詞。ちょっと違ってくる気がする。さらに言うと、「死ぬ→おなくなるになる」をここに入れていいのだろうか。「おなくなりになる」は「なくなる」をナル敬語にしたもの。「死ぬ」と「なくなる」の関係はちょっと微妙で、忌み言葉の一種って気がする。
 いずれにしても、ここに出てくるのは音節が少ない動詞ばかり(これが「使用頻度の高い動詞」とも言えるのは偶然なのか必然なのか)。そのなかでも、五段活用以外の動詞が「特定形」をもっている気がする。
 たとえば、「会う→お会いになる」「買う→お買いになる」などを見ると、音節の数だけでは判断できない気がする。さらに言うと「お合いになる」はどう考えればいいのだろう。

 ちょっと気になって調べたのは、熟語動詞(仮)の類いを本書でどう呼んでいるかってこと。どうやら〈「──する」型の動詞(サ変動詞)〉と呼んでいるようだ(P.46ほか)。索引を見ると、「サ変動詞」は〈「──する」型の動詞〉を参照する形にしている。
 めったにないほどの「釈迦に説法」になるが、一般には「サ変動詞」と言うと「サ行変格活用」のことだろう。
■Wikipediaから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E8%A1%8C%E5%A4%89%E6%A0%BC%E6%B4%BB%E7%94%A8
「熟語+する」のことはなんと呼ぶべきなんだろう。Wikipediaにも書いてあるが、「サ変名詞」と言うのは単語登録などのときに用いられる造語だろう。
 
【引用部】
その上、「もらう」を謙譲語I「いただく」に変えるわけですから、「書け」の意の相当丁寧な表現になるわけです。「お書きいただけません(でしょう)か」とすれば、まさに最大級です。(P.90)
 これはたしかにMAX敬語かもしれない。MAX敬語のルールに従うなら、「書く」よりも古風な「認(したた)める」を使うべきなのかもしれない(知らんわ)。
 こちらは索引にないので探すのに苦労した。問題は、「~ませんでしょうか」の可否。おそらく最高クラスに敬度の高い表現なんだろう。裏を返せば相当クドい。これが「敬語連結」か否かはちょっと疑問だけど、「間違い」ではないんだろうな。
 これも課題にしたい。
198【「~ますでしょうか」 「~ませんでしょうか」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1483085125&owner_id=5019671
 下記は「二重敬語」と考えているが、それはちょっと違うと思う。
http://dora0.blog115.fc2.com/blog-entry-47.html


【20120626追記】
【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)──予想していたことではあるが……。】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2415.html
================================引用開始
【引用部】
(2)の例としては、「いつご出発ですか」・「こちらでお召しあがりですか」(たとえば外食産業の販売員が客に、店で食べるか持ち帰るかを聞くときに使う)/「ご使用の際は説明書をお読みください」(後略)(P.236)
 いきなり(2)と書いてもなんのことかわからんよな。こういう引用のしかたはいけません。テーマになっているのは、『敬語再入門』の読書感想文で少し書いた「お/ご~~だ(です)」の形。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671
(略)

「お/ご~~だ(です)」は、一般には(1)「……している」という意味。そのほかに(2)「……する」、(3)「……した」の意味もある。(3)「……した」の典型は帰宅途中の人に近所の人が言う「いまお帰りですか」。
 (2)「……する」の典型が「こちらでお召しあがりですか」。本書では「たとえば」とあるが、これ以外の用法があるのだろうか。奥さんが旦那にこう言ったら、ほとんど喧嘩腰だろうな。
「こちらでお召しあがりですか」を問題視する意見もよく目にする。お手本になるような敬語だとは思わないが「間違い」ではない(こればっかり)。ちょっと言葉足らずな気はするけど、適切な言いかえが思い浮かばない。「こちらでお召しあがりになりますか?」だろうか。この形は二重敬語だけど、文化庁が許容しているのでOKだろう。ただ、セットになっている(ポテトとコーラじゃなく)慣用句が妙なことになる。「お持ち帰りになりますか?」かな。
「お持ち帰りになりますか? こちらでお召しあがりになりますか?」か……相当クドいな。
================================引用終了

 この本に関してはいろいろ追記する必要がある。
 詳しくは下記をご参照ください。
【【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】〈2〉メモ1「お/ご〜だ(です)」 教えて! goo】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3120.html


【【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】〈2〉メモ1「お/ご〜だ(です)」 教えて! goo】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3120.html


【【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】〈2〉メモ1「お/ご〜だ(です)」 教えて! goo】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3120.html


メモ1「お/ご〜だ(です)
 テーマサイトは下記。
【尊敬語「お+です」の意味について】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8768483.html

 質問の趣旨は簡潔。
「お~です」はどういう意味で、「お~になる」とはどう違うか。
 この質問に答えるなら、『敬語再入門』P.251の記述をひくのが早いだろう。例によってII・III人称は一般の二・三人称とはちょっと違うが無視する。
==============引用開始
お/ご〜〜だ(です) 尊敬語。主語〈II・III人称〉を高める。形としては、同じ尊敬語「お/ご〜〜になる」の「になる」を「だ(です)」に変えた形にあたる。意味としては、「……ている」の意をあらわすのが一般的。「……ている」意のスマートな尊敬語として重宝。「用紙をお持ちですか」「社長は今週ご出張です」 ただし、「……ている」意でなく使う場合もある。
(中略)
 さらに敬度の高い表現として「お/ご〜〜でいらっしゃる」(次項)がある。
(略)
==============引用終了

 以下、現在進行形とか過去とかあやしげな言葉を使う。日本語の文法では相当微妙な話になるはずだが、わかりやすければなんでもいい、の精神で書く。
 基本的には、「……ている」(現在進行形)の意味。問題は、動詞の性質によっては違う意味になること。
「社長は昨日お戻りです」(過去) 
「社長は明日お戻りです」(未来)
 うんとひねくれて、
「先ほど連絡がありました。もうすぐお戻りです」
 だと、現在進行形かもしれない。まあ、未来と考えるのが無難だろう。
 このあたりは継続系の動詞(持つ……etc.)と瞬間系の動詞(戻る……etc.)の違いってことになりそうだが、深入りするのはやめる。
『敬語再入門』が「スマートな尊敬語」としているのはいささか言葉足らずで、このあたりは同書のP.52〜を読んでもらうしかない。
 簡単に言うと、
「お持ちになっていらっしゃいます」
「お持ちでいらっしゃいます」
「お持ちになっています」
 が長いと感じる人やうまく使えない人は「お持ちです」のほうが簡便ということ。
 簡便なだけあって制約もあり、↑のように時制があいまいになるのが弊害のひとつだろう。もうひとつは敬度が低く感じられること。
 この点に関しては『敬語再入門』は言及していない。↑のテーマサイトのNo.3のかたの説明が適確な気がする(このかたのコメントはかなり信頼できる)。

40分


メモ2「読んでいる」の尊敬語 

 以下、主として『敬語再入門』のP.52を参考に。
「読んでいる」を尊敬語にするとどうなるのか。丁寧形の「読んでいます」で考えてもよいが、煩雑になるので、丁寧形は無視する。

 まず、「レル敬語」を使うか「ナル敬語」を使うか、という問題がある。
「読む」の「レル敬語」は「読まれる」
「読む」の「ナル敬語」は「お読みになる」
「レル敬語」は間違いではないが、
1)受身などとまぎらわしいことがある
2)敬度が低い
 などの理由から、基本的には避けたい。「制約が少ない」「初心者でも使いやすい」といったメリットはあるが、ここでは無視する。
「読んでいる」は「読む」と「いる」の複合動詞と言っていいだろう。「ナル敬語」の尊敬語の形には下記がある。
1)お読みになっている(「読む」を尊敬語にした形)
2)読んでいらっしゃる(「いる」を尊敬語にした形)
3)お読みになっていらっしゃる(「読む」と「いる」を尊敬語にした形)
 1)や2)のように一方を敬語にする場合、2)のように後半を敬語にするのが一般的なので、2)が一番多く使われるらしい。
 3)は尊敬語を2つつなげているが、「二重敬語」ではない。「敬語連結」という形で、多少クドくはあっても、問題のない敬語の使い方。
 詳しくは下記をご参照ください。
【よくある誤用34──敬語編4 二重敬語】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n133372

 1)〜3)を長いと感じる人に『敬語再入門』がすすめているのが「お読みです」の形。敬度が低く感じられるなら「お読みでいらっしゃる」にすればいい。
 ちなみにレル敬語を使うなら、
4)読まれている(「読む」を尊敬語にした形)
5)読んでいらっしゃる(「いる」を尊敬語にした形。2)と同形)
6)読まれていらっしゃる(「読む」と「いる」を尊敬語にした形)
 たしかにかなりヘンな感じがする。



メモ3 「お答えできる」の尊敬語  教えて! goo 

 テーマサイトは下記。
【「答えができる」の尊敬語】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14138056579

 大前提として、原形の「答えができる」はおかしのでは。ここがおかしいので、「お答えができる」はいろいろな意味でおかしくなる。
 原形は「答えられる」「答えることができる」あたりだろう。
「答えられる」の尊敬語に関しては、『敬語再入門』のP.50〜に「可能表現・複合動詞の尊敬語」の解説がある。正解は「お答えになれる」と明記されている。
 可能表現の尊敬語は〈尊敬語を作ってから可能形にする〉ものらしい。ナル敬語を使ってもレル敬語をつかっても同じ形になるのか? なんて美しい。
 答える→お答えになる→お答えになれる(ナル敬語の場合)
 答える→答えられる(尊敬)→お答えになれる(レル敬語の場合)
 順番が逆になった下記はおかしい。
 答える→答えられる(可能)→お答えられになる
 ほかの例で考える。
 読む→お読みになる→お読みになれる
 読む→読める→お読めになれる×
「答えることができる」も先に可能形にしているので、このままでは尊敬語にしにくい。

 ちょっと気になるのは「できる」をナル敬語にした「おできになる」。「できる」はレル敬語にしにくいので無視する。
 これは「する」の可能形ではなく、そこから派生した「うまい」「堪能」などの意味だろう。「勉強がおできになる」「英語がおできになる」……etc.
【「できる」「得意」「上手(じょうず)」「うまい」──ほめ言葉の迷宮 日本語】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1805.html

 これはこれでアリだろう。ザアマス言葉のにおいがしてかなり気持ちが悪いので、自分では使えない。
 ここから類推して「答えることがおできになる」も間違いではないのかもしれないが、あえて使う理由は見当たらない。

 質問の本題に関して。
①お答えができる方はいらっしゃいますか。
 ↑の話にあてはめると、「お答えになれる方はいらっしゃいますか」。
 これが敬語として自然かというと……いったいどんな場面で使うのか想像できない
 たとえばセミナーで講師が参加者に訊く場合。
「お答えになれる方はいらっしゃいますか」よりも「おわかりの方はいらっしゃいますか」くらいのほうが自然に感じる。このあたりは、文脈がないと判断できない。
 相手に「できるか否かを訊くのが失礼」という考え方もあるが、↑くらいなら大丈夫だろう。

②全問お答えができ(た)ら、賞品を進呈します。
 ↑の話にあてはめると、「全問お答えになれたら、賞品を進呈します」。
 これも間違いではないだろうが、見慣れない。
「全問正解の方には賞品を進呈します」くらいだろう。




メモ4「お/ご~~申し上げる」にできる言葉 Yahoo!知恵袋 

 テーマサイトは下記。
【「感謝申し上げます」は問題なしで、「ご感謝申し上げます」はだめな理由】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11138590471

 以下、主として『敬語再入門』のP.239から抜粋。
「お/ご~~申し上げる」の形にできる言葉は意外に少ない。
 同書には、以下の言葉があげられている。
お祈り・お祝い・お悔やみ……etc.
ご挨拶・ご暗示・ご依頼……etc.
 特記事項としては下記があげられている。
・「お」の場合、「お/ご~する」がつくれる語よりかなり少ない
・「お悔やみ」は「申し上げる」のほうがなじむ。
・「ご」の場合、「ご依頼・ご助言・ご注意・ご同情・ご了承」など、「ご~する」より「ご~申し上げる」のほうが落ち着く語もある。
・漢語の熟語に「ご」をつけずに「挨拶申し上げる」という人もいる(敬度は下がる)。
・「感謝申し上げる」「尊敬申し上げる」「失礼申し上げる」など、「ご」のつかない形でのみ使う語もある。

 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
「ご尊敬申し上げる」なら使えそうな気がするが……。 




メモ5「ございます」 Yahoo!知恵袋 

「ございます」の意味は2つに大別できる。
 クダクダ書くよりも『敬語再入門』P.257から転載するほうが早い。
==============引用開始
ございます・……でございます
「ございます」は「あります」の、「でございます」は「です」の、さらに敬度の高い丁寧語。「こちらに書類がございます」「私が責任者でございます」。その他、「うれしゅうございます」のように「形容詞+ございます」の形も作れる。II人称者について「(あなたは)明日はお仕事がございますか」「(あなたは)田中さんでございますか」と使うのは、誤りとまではいえないが、違和感を感じる人もいて、それぞれ「明日はお仕事がおありですか」「田中さんでいらっしゃいますか」のほうが無難。
==============引用終了

 同じ「ございます」に見えるが、意味が違う。
「明日はお仕事がございますか」の通常形は「明日は仕事がありますか」。
「田中さんでございますか」の通常形は「田中さんですか」。
 だから無難な高敬度形(なんじゃ?)にも違いが生じる。

 素朴な疑問なんだけど、「でございます」の元々の原形(重言だな)は「であります」だった気がする。
 軍隊映画なんかで聞く「田中であります」の類い。これだと「ございます」⇔「あります」で一本化できる。
「田中であります」がしだいに崩れて「田中です」になったので、2つの意味になったような。こう考えるとスッキリする。
 こちらからたどっていくと、「田中さんですか」の敬度を上げた形は「田中さんであられますか」になりそうだけど、さすがに現代語としては不自然かもしれない。
 辞書の記述でこのことが読み取れたら達人クラスだと思う。


https://kotobank.jp/word/%E5%BE%A1%E5%BA%A7%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99-265952#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
==============引用開始
大辞林 第三版の解説
ございます【御座います】

( 動サ特活 )
〔動詞「ござる」に助動詞「ます」の付いた「ござります」の転。近世江戸語以降の語〕

「ある」の意の丁寧語。 「お探しの本はここに-・す」

(補助動詞) 「ある」の意の丁寧語。 「明けましておめでとう-・す」 「ただいま帰りまして-・す」 「どなた様で-・すか」 〔活用は「-・せ(-・しょ)|-・し |-・す |-・す |-・すれ |○」〕
==============引用終了

==============引用開始
デジタル大辞泉の解説
ござい‐ま・す 【御座います】

[動サ特活]《「ござります」の音変化。近世江戸以来の語》
1 「ある」の意の丁寧語。「あります」より丁寧な言い方。「おあつらえ向きのお品が―・す」「何も―・せんが、どうぞ召し上がれ」
2 (補助動詞)補助動詞「ある」の意の丁寧語。「すでにお願いして―・す」「いかがお過ごしで―・しょうか」「ただ今ご紹介いただいた田中で―・す」「おめでとう―・す」「いっそ死にとう―・す」
◆活用は「ございませ(ございましょ)・ございまし・ございます・ございます・ございますれ・〇」。「ござります」より丁寧の度合いが低く、打ち解けたときに用いられ、さらに、なまって「ござえます」「ごぜえます」ともなる。また、「さようでござい」などの「ござい」は「ございます」のぞんざいな言い方。2の「…でございます」の形は口語文体の敬体の一で、「です」体・「ます」体・「であります」体に対して「でございます」体とよばれることがある。
==============引用終了



メモ6 「お高くとまっている」の「お」の働き

 テーマサイトは下記。
【お高くとまっているという言い方がありますが、これは尊敬語ですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13140810993
 
 質問内容は、タイトルのまんま。
 答えは専門書に明記されている。
 結論を先に書くと、一般の「お高い」なら尊敬語。過剰敬語気味なので個人的には使わない。
「お高くとまる」は〈皮肉や茶化した表現として固定化〉した例で、分類としては美化語。ちょっと無理も感じるが、定評のある書籍なので逆らいません。
 尊敬語にはならないので、「あえて言うなら美化語」ということなのだろう。

 2つの側面から考える必要がありそう。

●形容詞・形容動詞につく「お/ご」
 P.123〜に〈「お/ご」の整理〉という項目がある。
 接頭語の「お/ご」を機能の面から4つに分けている。
1)尊敬語
2)謙譲語I
3)丁寧語
4)美化語
 敬語を旧来の3分類で考えるなら、「美化語」は「丁寧語」の一種になる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%AC%E8%AA%9E

 あげられている例のうち、形容詞・形容動詞が出てくるのは下記。
1)尊敬語
お若い/おきれい/ご熱心
3)丁寧語
お暑いですね/お寒うございます
※これは特殊な例と考えるほうがいいだろう。

 ちょっと意外だったが、同書を見る限り、形容詞・形容動詞を美化語として使う例はなさそう。
「最近お野菜がお高いですこと」
「もう少しお安くなりませんと買う気になりませんわ」
 相当気持ちが悪いけど、美化語もアリじゃないかな。
 一般的な「高い」の意味で「お高い」と使うのは尊敬語になる。これも過剰敬語気味なので個人的には使わない。
「背のお高いかただったのですね」
「さすがにお高いご洋服をお召しでした」


●美化語の醜化語?用法
 P.108〜のテーマは〈美化語になる語・ならない語〉。
 詳細な分類がある。
〈③「お/ご」の付かない形が、同じ意味の語として成り立つもの〉の(f)をひく。
==============引用開始
(f)付けると皮肉や茶化した表現になるもの 皮肉や茶化した表現として固定化した例として「おあいにくさま・ご大層・ご乱行」など。
==============引用終了
「ご乱心」などもそうだろう。
「同じ意味」はちょっと疑問だが、スルーしておく。
 これは前に書いた「醜化語」の話だろう。
【「醜化語」の「ご」「お」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2138.html



メモ7 「お述べする」が不自然な理由


mixi日記2015年01月24日から

 直接的には下記の続きだろうな。
【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】〈2〉メモ1「お/ご~だ(です)」 教えて! goo
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3120.html

 テーマサイトは下記。
【「述べる」の謙譲語は「お述べする」が不自然なのはなぜか】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11141000336/a350089689
==============引用開始
「述べる」の謙譲語は「お述べする」が不自然なのはなぜか

「話す」の謙譲語は「お話しする」
「書く」の謙譲語は「お書きする」
「読む」の謙譲語は「お読みする」

ならば
「述べる」の謙譲語は「お述べする」ではないのか、という疑問です。

尊敬語には質問が過去に出ているのですが、謙譲語については質問が出ていないこともあり質問させていただきました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1179216646
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1427472759...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1163159341...

「述べる」は「自説的(話す内容ではなく、話すという行為に重きがおかれているという意味だと思います)」であるため、相手を必要とする敬意表現にはなじまないという説明も見られますが、それでは尊敬語に不自然さを感じないことを説明できません。

どうか詳しい方にご教授いただければと思います。

【補足】
コメントありがとうございます。補足させてください。
美化語の「お」と「ご」、また、慣用的に「お」がついている表現についてはここでは問題にしません。

主な質問である「『お述べする』が不自然なのか」につきましても、引き続きご指導いただければと思います。
==============引用終了


「述べる」を謙譲語にすると。
結論を先に書くと、一般に尊敬語の「お述べになる」は使われますが、謙譲語の「お述べする」はほとんど使われないようです。理由は「慣習」としか言えません。論理的な理由があるとは思えません。

当方がバイブルにしている『敬語再入門』の記述を基本にして、デアル体で失礼します。
『敬語再入門』の詳細に関しては下記をご参照ください。
【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行) 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html
【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】〈2〉メモ1「お/ご~だ(です)」 教えて! goo
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3120.html

 まず、通常の動詞を尊敬語にする形。P.38~。
●レル敬語
 述べられる
●ナル敬語
 お述べになる
 一般にレル敬語のほうが制約が少なく、習熟しやすい。
 ただし、ナル敬語に比べて敬度が低い。
 個人的には、このほかに受身とまぎらわしい場合があることが大きな問題だと思う。「見られる」「食べられる」etc.……
 これらの動詞に「特定形」(P.226~)(ご覧になる、召しあがる)があるには、偶然ではないかも。

 通常の動詞を謙譲語にする形。P.68~
●お/ご~する
 お述べする
●お/ご~いたす
 お述べいたす
●お/ご~申し上げる
 お述べ申し上げる
※このほかに「~なさる」「~なされる」という形もある。

 話を簡略化するために、「ナル敬語」と「お/ご~する」に限って書く。ほかの形もほぼ同様。
 まず「お述べになる」について。
 P.40~に〈「お/ご~になる」といえない語〉という項目がある。それを見る限り「お述べになる」を×にする理由は見当たらない。
 ただし、下記の記述がある。
==============引用開始
C.慣習的になる敬語が(「お/ご」が)なじまない語
「ねじる・ほどく・運転する・運動する・営業する・実験する・優勝する」(これも「運転なさる」以下は可)。
この(3)-Cは理屈では説けないだけに、慣れない人には最も厄介かもしれません。
==============引用終了

 次に「お述べする」について。
 P.74~に〈「お/ご~する」といえる語〉という項目がある。詳細なリストがある。
[「…に」を高める]語のなかに「お答えする」「お伝えする」「お話しする」「ご説明する」「ご報告する」など、同じような意味の言葉はありますが、「お述べする」はない。
 言えるか言えないかは慣習によるところが大きいようです。

 個人的には、「お述べになる」は基本的に使わない気がする。
「おっしゃる」「お話しになる」などのほうが自然に感じるから。
「お述べする」は、使わない。
「申し上げる」「お話しする」などのほうが自然に感じるから。

 基本的には、〈「お/ご~になる」といえる語〉と〈「お/ご~する」といえる語〉は共通することが多いと思う。
 たとえば、↑にあげた「ねじる・ほどく・運転する・運動する・営業する・実験する・優勝する」はどちらも×だろう。
 ↑であげた「食べる」は「お食べになる」は△ですが(フツーは「召しあがる」)、「お食べする」は×だろう。
 理由は、「慣習」しか考えられない。

あえて言うなら、「まず結論を述べる」などと書く(「言う」はなおさら)と偉そうな印象がある。そんな偉そうな言葉は謙譲語になじみにくい気がする。


【メモ8 ご利用する・ご利用してください・ご添削してください 教えて! goo】

mixi日記2015年04月21日へ

 テーマサイトは下記。
【ご利用する・ご利用してください・ご添削してください】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8964463.html
==============引用開始
下記のページにあるごとく「ご○○する」は謙譲語の表現であり、謙譲語の主語は自分や身内ということになっています。
http://d.hatena.ne.jp/kazsa/20140323/1395564359
しかし下記のページには、「ご利用する」という謙譲語はない旨が記されています。その理由は動詞の種類が違うということなのでしょうか(意味を考えると、「ご利用する」が尊敬語であろうことはわかります)。「ご提供する」ならば、確実に謙譲語であろうこともわかります。
http://bizkeigo.koakishiki.com/henkan-riyousuru. …
さらに、目上の人に何かを「利用してください」と言う場面で、「ご利用してください」という言い方を聞きますが、これは誤用であって「して」は不要だとも記されています。「ご利用ください」が自然に通じることはわかりますが、なぜ「ご利用してください」が誤用になるのでしょうか。個人的には違和感がないため、理由を明示していただかなければ納得できません。
問題点を明らかにするために、「ご添削してください」についても誤用になるのかどうか、ご教示いただければ幸いです(「ご利用してください」ならば便益を得るのは相手、「ご添削してください」ならば便益を得るのは自分であることに注目して質問しています)。
==============引用終了

 ときどき興味深い質問する人と認識している。
 質問がかなりむずかしい問題を含んでいるが、どう転がるのだろう。
 とりあえず、当方のコメントを回収しておく。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 質問が複数ありますね。
 以下の3つだと思いますが、当方に勘違いがあるようならご指摘ください。問題が複雑なので、ちゃんと説明できるかどうか……。 
1)「ご利用する」という謙譲語がない理由
2)「ご利用してください」が誤用になる理由
3)「ご添削してください」は誤用か否か

1)「ご利用する」という謙譲語がない理由
〈「ご利用する」という謙譲語がない〉というのは少し違うと思います。
「利用する」は「ご〜する」の形の謙譲語にしにくいということでは。
 これは理屈では説明できません。「慣例」としか……。

 詳しくは下記をご参照ください。
【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2405.html
『敬語再入門』(菊地康人)のP.74~に〈「お/ご~する」といえる語〉の話が詳しく出ています。
 リストに「ご利用する」「ご使用する」「お使いする」などはありません。
 たとえば目上の人の何かを使わせてもらう場合、↑のような言葉は使わないでしょう。
「お使いする」を見ればわかるように、「熟語動詞」(仮にこう呼びます)か否かは関係ないはずです。
「便益」などの考え方でも説明できません。同じような場合でも「お借りする」「拝借する」なら使えるのですから。
 あくまでも「慣例」でしょう。
 かわりに、(悪名高い)「利用させていただく」「使わせていただく」などを使うことになります。

2)「ご利用してください」が誤用になる理由
 ほかの人の回答で解決しているようなので省略します。
 当方は下記のように考えています。
235)【「お○○してください」「ご○○してください」「お~してください」「ご~してください」☆日本語教師☆】玉石混交
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1332.html

3)「ご添削してください」は誤用か否か
「して」が入るのは2)と同様の理由で誤用とされます。「便益を得る」のが先方でも自分でも関係ないでしょう。


>・丁寧語の「ご」をつける場合は「ご○○」を目上の人の動作・作業を表す名詞として扱っているため、「する」は不要
>・丁寧語「ご」をつけない場合は目上の人による一連の動作・作業の想定しておらず、サ行変格活用動詞として扱っているため、適切に活用させる必要がある
 そういう考え方はしないと思います。

 たとえば『敬語再入門』のP.45に主な尊敬語の4つの形を整理した表があります(添付写真参照。見にくければ下記のリンク先をご参照ください)。
 すべて動詞として扱っています。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3271.html

 漢語Aと漢語Bの違いは、以下のとおりです。理由は「慣例」です。
==============引用開始
漢語Aとは「利用・卒業」など「ご」と結びつきうるもの、漢語Bは「運転・退学」など「ご」と結びつくことのできないものです。(P.44)
==============引用終了

 ちなみにP.43には下記の記述があります。
==============引用開始
 このように「──なさる」と「お/ご〜なさる」は、使える動詞の範囲が違うので、本書では、片や──、片や〜で示します。もちろん、両方とも使える語も多く、その場合は「ご卒業なさる」のほうが「卒業なさる」より高い敬度ですが、それほど大きな差でもないでしょう。
==============引用終了
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





 ちょっと補足しておく。
「敬語の指針」はネット上にあるので、多くの人が参照しているが、内容には不備も感じられる。当方レベルが読んでもいろいろ問題を感じるってことは相当ヤバいのでは。
【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2220.html

 何より文章がヒドすぎる。ただ、下記だと遊びすぎって気もする。
【敬語おもしろ相談室】
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/keigo/index.html

 No.5でご紹介いただいた下記は興味深い。ただ、ちゃんと読むとたいへんそうだな。
http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/bunpo/keigo.pdf

 今回の問題についても、肝心の部分が……。
〈「お/ご~する」といえる語〉って問題だとどうにもならないだろう。
 なんせ、最大の決め手が「慣例」なんだから、最終的には『敬語再入門』のようにリスト化するしかテがない。
 先行コメントでさまざまな説が飛び交っているが、あれで質問者が判断できるのだろうか。

「慣例」であることをうまく伝えるための例がないだろうか。
したう→お慕いする
愛する→×お愛する

 漢語系はとくに「お/ご」がつきにくいものが多い気がするので、なんとも……。


【20150419追記】
「利用する」を敬語にするとどうなるか考えてみる。

●丁寧語 
「利用します」。
 丁寧語を敬語ではないようなことを書く人もいる。敬度が低いから誤解しているのだろう。3分類で見ても5分類でも見ても、丁寧語は敬語のひとつのはず。

●謙譲語
 もっとも基本的なのは「お/ご〜する」の形だろう。
「利用する」はこれがつくれない(泣)。理由は……やはり「慣例」としか言えない。おそらく、そもそも使用例が少ないからでは……と思わなくはない。
 具体的を考えてみる。
 バスツアー会社がツアー参加者に告知する。
  原形 ○○PAのトイレを利用します
  謙譲語II ○○PAのトイレを利用いたします
 謙譲語I、謙譲語IIの話はできるだけしたくないのだが……。
 この場合「いたします」は聞き手(ツアー参加者)に対する謙譲語(II)。「○○PAのトイレ」(の所有者)に対する敬語ではない。
 特別な計らいで△△美術館のトイレを利用させてもらうとする。
 △△美術館に対する謙譲語Iは……想定できない(泣)。
 やはり、「△△美術館のトイレを利用させていただきます」あたりだろう。

 この場合ほぼ同じことを「借りる」とも言える。意味はほぼ同じだが、「借りる」なら「お借りします」にできる。やはり理屈ではなく「慣例」なのだろう。
・丁寧語
「借ります」(「拝借します」なら謙譲語I+丁寧語)
・謙譲語
  謙譲語I
  △△美術館のトイレをお借りします
  △△美術館のトイレを拝借します
  謙譲語II&謙譲語II(敬度が高くなる) 
  △△美術館のトイレをお借りいたします
  △△美術館のトイレを拝借いたします

●尊敬語
 これは↑に書いたとおり。
「ご利用になる」「ご利用なさる」「利用なさる」「利用される」の4パターンがすべて使える。


 ……とここまで書いて質問板を見たら、No.9のコメントが入っていた。
 そうか。さすがだな。
「受け手尊敬」ですか。これは下記で教えてもらった渡辺実の用語。その節はお世話になりました。
「謙譲語A」は『敬語』(菊地康人)などで使われている用語。「敬語の指針」などで言う謙譲語I。
【「かしこまりました」は謙譲語なのでしょうか】コメントNo.13参照
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8499357.html

 ただ、〈「話す」←→「話される」・「渡す」←→「渡される」〉と考えると、「利用する」←→「利用される」と考えることもできるような……。
 さらに厄介なのは、いろいろなパターンがあること。
 詳しくは下記をご参照ください。
【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2405.html
 以下は一部の抜粋(重言)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
 お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)

[「……に」を高める]
 お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)

[「……から」を高める]
 お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする

[「……と」を高める]
 お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)

[「……のために」を高める]
 お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)

[「……について」を高める]
 お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了

 [「……を」を高める] [「……から」を高める] あたりは対応関係がわかりやすいけど、[「……に」を高める] だと微妙な気が……。
 [「……のために」を高める] だと、何がなんだか。
「〜られる」と言うより「〜てもらう」と考えるほうがいいかな。


【メモ9 ご指摘させていただいた Yahoo!知恵袋】
mixi日記2015年04月21日へ。

 テーマサイトは下記。
【『ご指摘させていただいた』と言う日本語はおかしいのでしょうか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14144392654/a357102938
 質問内容はタイトルのとおり。

 結論を先に書くと、「誤用」か否かという質問なら、「誤用ではない」。
 おかしいか否かという質問なら、文脈しだいとしか言えない。
 基本的にはおかしい場合が多いと思うが、100%ナシではない。

「ご指摘させていただいた」を分解する必要があるだろう。
 以降、基本的に現在形の「ご指摘させていただく」で考える。
 おそらく「指摘する+させてもらう」が原形と考えるのがわかりやすい。
 敬語連結であることを説明するのなら、「指摘させる+て+もらう」と考えるほうがよいと思うが、ここではやめておく。

●「ご指摘する」と言えるか否か
 まず考える必要があるのは、「ご指摘する」と言えるか否か。これは「慣例」によるところが大きく、理屈で考えてもどうにもならない部分がある。『敬語再入門』に頼るのが無難。
【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2405.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
==============引用開始
[「……を」を高める]
 お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)

[「……に」を高める]
 お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)

[「……から」を高める]
 お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする

[「……と」を高める]
 お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)

[「……のために」を高める]
 お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)

[「……について」を高める]
 お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
==============引用終了
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 この[「……に」を高める]語のリスト中に、「ご指摘する」がある。ちょっと引っかかるのは、相手のミスなどを「指摘する」場合に使えるか否か。
 同じリストに下記の記述がある。
==============引用開始
ご注意する(高めるべき相手に「注意する」はやや不自然だが、時に使う)
==============引用終了 
「ご指摘する」も同様だろう。

 つまり、「指摘する+させてもらう」の両方を謙譲語にしたものが、「ご指摘させていただく」。
 後半だけを謙譲語にしたのが「指摘させていただく」ということ。当然、「ご」がつくほうが敬度が高い。


●「させていただく」の働き
 これがまたややこしい話で、諸説が流れている。当方の考えは下記参照。
【よくある誤用32──敬語編2「~させていただく」「~させていただきます」「~(さ)せていただく」「~(さ)せていただきます」】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n132890

 ちょっと補足する。『敬語再入門』のP.191〜に〈「させていただく」の「乱れ」とその正体〉という項がある。これがわかりやすいだろう。
「させていただく」の本来の用法は、〈相手から許可・恩恵を受ける意味であること〉〈その「恩恵の与え手」を高めること〉という〈二重の意味で敬度の高い表現〉としている。
 だが違う側面もあるらしい。
==============引用開始
 ところで、日本語には、「実際はそうでなくても、あたかも相手から恩恵や許可を得たかのように見立てて述べるのが、相手を立てることになる」という発想があります(→§4)。実際には「案内してやる」のでも、「ご案内させていただきます」と言うようなのが一例で(謙譲語I「ご案内する」に「させていただく」が続いたもの)、これは、相手を貴人に見立て、許しを得て案内させてもらう光栄に浴するという発想です。パーティーの案内を受けて「出席させていただきます」と答えたり、「本日休業させていただきます」と掲示したりするのも、パーティーの案内を“出席許可の恩恵”ととらえ、実際には自分で勝手にする休業を“お客様のお許しを得て”と捉える発想です。
==============引用終了
「ご指摘させていただく」も単なる「見立て」だろう。実際には「指摘してやる」。さらに過激に言えば「指摘して恥をかかす」だから。


●「ご指摘させていただく」を使う例
「ご指摘させていただく」は間違いではない。だが、高めるべき相手に使うにはやや不自然な「指摘する」を、非常に敬度が高い言い回しの中で使うので、自然な状況はきわめて限られるだろう。
 たとえば社長(うんと偉い人って意味)が書いた文章に関して「忌憚のない意見を聞かせてほしい」と言われる。いろいろ不備があるので、しかたがなく覚悟を決める。
「どうしてもということでしたら、僭越ではありますが、ご指摘させていただきます」
 これならさほどおかしくないだろう。
 おかしくはないだろうが、社長の文章の不備を指摘してどんな禍根が残るのかは知らない。
 王様の素行の悪さを見かねて「ご注意させていただいた」家来が幸せになるとは思えない。


【電話の敬語「お伝えします」「お代わりします」「おつなぎします」(メモ10扱い)】
mixi日記2012年08月02日から

 テーマサイトは下記。
【ある会社に、外部の人から電話がありました。電話を受けた従業員が……】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1491291189

 よくわからないんでトピも立ててみた。
【電話の敬語「お代わりします」「おつなぎします」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=70747813

 かなり微妙な話なんで、いつも以上にオネオネと書く。
 Aさんが電話で顧客と話していて、上司のことが話題になったとする……。

●お伝えします
「上司への伝言を顧客に頼まれたとき」に「お伝えします」と言うのはアリか。
 相当微妙だけど、やはり×だろう。信頼に値する書籍にそういう記述がある。
【言葉の取扱説明書3 ○○のわりに(は)  お伝えしておきます  協力するにやぶさかでない 】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1837388275&owner_id=5019671
================================引用開始
 1つ目が「お伝えします」の是非。典型的なのは、外部の人から連絡を貰い、「(席を外している社内の人間に)お伝えします」と言う場合。『問題な日本語4』で扱っていた(先日書店で手にしたけど、内容が薄くて買う気にはなれなかった)。
「お伝えします」は謙譲語I(+丁寧語の話は省略)。伝える人の、伝える相手への敬意(菊地康人流に言うなら「主語の補語に対する敬意」?)を示す。したがって、身内を高めることになるので×。
 だと思うが、「お伝えします」だとアリって気もするのは「定着しているから」なのかもしれない(なんの基準もなく「定着しているから」OKとか言われるとどうしようもない)。「あなた様の伝言」を伝えるんだから、「お」をつけるべきって論理も筋が通っている気になる。「伝えます」と「お伝えします」を比べると、後者のほうが丁寧な感じになる。
 これを〈外部の人に対して「(身内と)ご相談します」〉にすると、相当ヘンなことがわかる。理由は不明。理屈としては「あなた様の案件」を相談するんだから……と言えなくはないけどさ。
================================引用終了

【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)3】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854649541&owner_id=5019671
================================引用開始
【引用部】
敬語を使い慣れた人でも、話題にしようとする人物を身内扱いすべきかどうか迷うことは少なくないし、使い慣れないと、つい、主婦が家族以外の人に、あるいは会社員や公務員が部外の人に
  主人(部長)がそうおっしゃいました。/主人の母(部長)にそうお伝えしました。
などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。(P.426)
 やはりそういうことなのだろう。
 余計な部分を省略して、当方の積年の課題に限って書きかえると、下記のようになる。
 会社員が部外の人に「部長にそうお伝えしました」などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。
「絶対敬語」と「相対敬語」に関しては本書を読んでもらうほうがいいだろう。現代の敬語は「相対敬語」と考えてよいはず。ただ、部外の人に「部長にご相談します」がヘンなのはスンナリ理解できるが、「部長にお伝えします」だと異和感がぐんと弱くなる理由は不明のまま。
================================引用終了


●お代わりします
「上司に電話を代わるように顧客に頼まれたとき」に、「お代わりします」と言うのはアリか。
 2つのポイントがある。
 1つ目は、↑の「お伝えします」と同様の問題。もうひとつは、「代わる」を「お~する」の形にできるのか、という問題。
『敬語再入門』のP.236~の「お/ご~する」にできる動詞のリストのなかに、「おかわりする」はない。

【「袋にお入れいたしますか」「お/ご~いたします」は二重敬語か Yahoo!知恵袋】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1853506079&owner_id=5019671
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用開始
【追記】
『敬語再入門』のP.236~238の「敬語便利帳」からひく(こちらのほうがP.75より例が多い)。
「お/ご~する」にできるものは、ほぼ「お/ご~いたす」にできるらしい(例外が何かはのっていない)。
================================引用開始
[「……を」を高める]
 お諌めする・お祝いする(「XのYを祝う」のXを高める。美化語用法も)・お送りする(人を送り届ける)(以下略)

[「……に」を高める]
 お会いする(「お目にかかる」のほうが好まれるが、「お会いする」も可)・お祈りする(神仏に。美化語用法も)(以下略)

[「……から」を高める]
 お預かりする・おいとまする・お受けする(「XのYを受ける」のXを高める用法も)・お受け取りする・お借りする・お習いする

[「……と」を高める]
 お分かれする(美化語的用法も)
(以下略)

[「……のために」を高める]
 お開けする・お祈りする・お書きする・
(以下略)

[「……について」を高める]
 お噂する(「Xのお噂をする」とも)
(以下略)
================================引用終了

 これだけあげているのに「お入れする」がないってことは、同書は「お入れする」を認めていないのだろう。だから「お入れする」なんて絶対に言わない、と主張する気はないが。
 ちなみに上の分類にあてはめるなら、「お入れする」は[「……のために」を高める]だろう。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■引用終了

「おかわりする」がないのは、「ご飯をお代わりする」との混同を避けたものか否かは、言葉の神様に訊かないとわからない。
 ちなみに、↑の「お伝えする」は[「……に」を高める] に入っている。[「……を」を高める] ではない。やはり「お客様の伝言を上司にお伝えします」は×ってこと。


●おつなぎします
 元々のYahoo!知恵袋のサブテーマとして登場した。
 同様の状況で「おつなぎします」と言えるか否か。
「お伝えします」と同様と考えるなら×だろう。しかし、「おつなぎします」のほうがずっと異和感が弱い。
 ↑のリストに「おつなぎする」はない。そんなに使用頻度が低いかな?

■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%90&dtype=0&dname=0na&stype=0
================================引用開始
つな・ぐ【×繋ぐ】
《名詞「綱」の動詞化》

【1】[動ガ五(四)]

①ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにする。「犬を―・ぐ」「鎖で―・ぐ」
②相手の気持ちなどが離れていかないようにする。「彼女の心を―・ぐために一芝居打つ」
2 一定の所に留め置いて外へ出さないようにする。拘禁したり、拘束したりする。「獄に―・がれる」
3 結びつけてひと続きのものにする。「車両を―・ぐ」
4 離れているもの、切れているものを続け合わせて一つにする。また、そのようにして通じるようにする。「手を―・ぐ」「電話を―・ぐ」
5 なんとか長く、切れないようにたもたせる。たえないようにする。「望みを―・ぐ」「命を―・ぐ」「座を―・ぐ」
6 足跡などをたどって行方を追い求める。
  「射ゆ鹿(しし)を―・ぐ川辺のにこ草の」〈万・三八七四〉
[可能] つなげる
================================引用終了

 もしかすると、「電話をつなぐ」という言い回しがイレギュラーなのかもしれない。『大辞泉』を見ると、ほかに「おつなぎする」と言えそうな例はない。「犬をつなぐ」「獄につなぐ/つながれる」のイメージが強いせいだろうか。
 そうは言っても、現実に「電話をつなぐ」って言い回しはあり、「電話をおつなぎする」と言えそうなんだからしかたがない(泣)。

 ここで考えなければならないのは、逆方向の可能性があること。
「あなたの電話を上司におつなぎします」ではなく、
「上司をあなたの電話におつなぎします」ってこと。
 これなら何も問題はないけど、この解釈はさすがに苦しいかな。

 もうひとつ考える必要があるのは、「上司に」をつけて「上司におつなぎします」にすると、異和感が強くなること(これは「お伝えします」も同様)。
 おそらく、単に「おつなぎします」だと「顧客(の電話)をおつなぎします」と解釈できそうだからだろう。これなら顧客に対する敬語になっている感じがある。
 現実には、省略されていても「伝える」先にあたるのは「上司」だから、やはり避けたほうがいい表現なんだろう。
 論理的に考えると下記が正解ってことになってしまう。
「(顧客の)ご伝言」を「上司」に「伝える」
「(顧客の)お電話」を「上司」に「つなぐ」

『敬語再入門』の親本とも言える『敬語』に関しては下記。
【読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)──予想していたことではあるが……。】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2415.html

読書感想文/『敬語』(菊地康人/講談社学術文庫/1997年2月10日第1刷発行)──予想していたことではあるが……。

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年06月25日から

 以前感想文を書いた『敬語再入門』の親本とも言える一冊。
【読書感想文/『敬語再入門』(菊地康人/講談社学術文庫/2010年3月10日第1刷発行)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2327.html

 Amazonのデータ。
http://www.amazon.co.jp/%E6%95%AC%E8%AA%9E-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%8F%8A%E5%9C%B0-%E5%BA%B7%E4%BA%BA/dp/4061592688
『敬語再入門』に比べると、体系立てて書いてあり、網羅的な記述になっている。
 簡単に言うと、『敬語』が敬語全般を語っているのに対して、『敬語再入門』は要点だけをアトランダム(でもないんだけど)に書いている。
 うんと大雑把に言うと、前者は学術書に近い印象があり、後者はハウツー本に近い印象がある。予想していたことではあるが、当方のように敬語にうとい人間にとっては、後者のほうがとっつきやすい。
 データ的なことを書いておく。
『敬語』   :1997年2月10日第1刷発行
『敬語再入門』:2010年3月10日第1刷発行
『敬語』の原本は1994年角川書店から刊行され、95年度の「金田一賞」を受けている。しかし、角川では一度重版がかかったきりで絶版。講談社学術文庫で再刊されている。
『敬語再入門』の原本は1996年に丸善ライブラリーから刊行。
 ちなみに『敬語』の第1刷は1170円+税だった。当方が購入したのは第14刷で1400円+税。
 これを「けっこう売れている」と考えるか「意外に売れていない」と考えるか。この内容を考えると、もっと爆発的に売れてもおかしくない。とくに昨今のように敬語に関するホニャララな説が流布するなら、こういう書籍の需要が高くなるはずなんだけど……。
 本書がどれほど本格的な書き方をしているのかは、目次を見ただけでわかる。

I章 ことばを使い分ける 29
II章 敬語のあらまし 89
III章 敬語の仕組み使い方──その一 いわゆる尊敬語 114
IV章 敬語の仕組み使い方──その二 いわゆる謙譲語 254
V章 敬語の仕組み使い方──その三 いわゆる丁寧語 354
VI章 敬語の仕組み使い方──その四 全体に関すること 378
VII章 敬語の編か・誤り・将来をめぐって 410

 具体的な話に入るまでに100ページ以上ある。これだけで薄めの文庫本くらいのボリュームがある。全部で500ページ近くあり、半分も読むと満腹感がある。実際には半分では尊敬語の話が終わるくらい(泣)。


【引用部】
意気込みとはうらはらに、思わぬ不備などがあれば、ぜひご叱正をお願いしたい。(P.7)
 敬語とは関係のない話。「ご叱正」ってMAX敬語で初めて見た言葉。文章に関する記述なので、申し分なく正しい(笑)。

【引用部】
この中では丁寧な「あなた」という語も、実は、目上などに対してはそもそも使いにくいところがあり、「社長」「先生」のような職名などで呼ぶとか「○○さん」と呼ぶようなことも多い。(P.32)
 なぜ「あなた」は目上には使いにくいのか。ほかにどんな二人称が使えるのか。そのあたりをちゃんと書いてくれないかなぁ……と無理を承知で書いてみる。

【引用部】
 《改まり》の例としては、ほかに「今日(きょう)」に対する「本日」、「さっき」に対する「先程」などもあげられる。概(がい)して、和語よりも漢語のほうが改まった趣が出る傾向があり、本書冒頭の例で「開けたら」より「開封後は」のほうが改まった感じがするのもその一例である。(P.38)
 これが一般的な解釈だろう。和語のほうが敬度が高いとか、忌み言葉や女房言葉のほうが敬度が高いなんてことはない。ただ、まともな学者は「漢語のほうが敬度が高いからMAX敬語」なんてバカなことは断言しない(黒笑)。

【引用部】
 〈相手に何か頼むとき、相手の意向を尋ねる形の表現のほうが、普通の依頼の表現よりも、相手を立てる(→丁寧な)表現となる〉ということもいえる。具体的には、相手に何らかの行為を求める場合には、「……してくれる(くださる)?」と尋ねるほうが「……してくれ」(ください)」とストレートに頼むよりも、あるいは「……してもらえる(いただける)?」と尋ねるほうが「……してほしいんだけど」と頼むよりも、概してやわらかい感じがする。また、自分が何かをしたいときには、「……していい?」と尋ねるほうが「……したいんだけど」と述べるよりも、やわらかいだろう。
(中略)
 さらに、〈意向を尋ねる形をとって頼む場合、否定疑問形のほうが肯定疑問形よりも丁寧な感じがする〉ということも、概していえそうである。「……してくれない?/くれませんか?」のほうが「……してくれる?/くれますか?」より、また「……してもらえない?/もらえませんか?」のほうが「……してもらえる?/もらえますか?」より、やわらかいであろう。
(中略)
 このことも含めてさらに一般的には、〈間接的・婉曲な述べ方のほうが直接的な述べ方よりもやわらかい(→丁寧な)印象を与える〉という傾向がある。「お早くお召し上がりください」より「お早めにお召し上がりください」のほうが丁寧に響くのもその例である。(P.82~84)
 ものすごく基本的なことだと思うけど、こういう記述をちゃんと読んだ記憶がない。今後の引用の都合もありそうなのでメモしておく。

【引用部】
とくに日本語では「あなた」という語は使いにくい面があるので、一々主語を「私」だの「あなた」だのと言わなくても、それを敬語で紛れなく示すというのは──それだけの技量をもっている人は──、まことにスマートな敬語づかいといえるだろう。(P.101)
 このあたりは(P.32)の記述と微妙にリンクしているかも。

【引用部】
あそこの饅頭(まんじゅう)はうまいですね。(P.104)
 別に例文はなんでもいいのだから、あえて〈形容詞+です〉を出さなくてもいいものを。まあ、「ね」がついてるから許容範囲だけど。「おいしいです」とかにすればいいじゃない……と一瞬でも考えてしまった自分の間抜けさがイヤ。それじゃ同じことだって。

【引用部】
これは一つには、「ます」による丁寧語は誰でも簡単に使える(これに比べて、尊敬語を使いこなすのはさほど簡単ではない)という事情もあるかと思われるが、ともかく、ごく一般的には、(後略)(P.107)
 このあとも長く続くが、「二つ目」も「次に」は出てこない。この用法は丸谷才一に文章でも目にしたから、もはや許容なのかもしれない。なんだかなぁ。

 P.116に「特定形」という言葉が出てくる。「言う」が一般形で、「おっしゃる」が特定形ってこと。これからはこの言葉を使おうか。「不規則敬語」って好きだったんだけど。

【引用部】
もっとも三上氏は、旧軍隊では、士官(尉官)が将軍に向かって言う場合には上長官(左官)をも呼び捨てにするという伝聞を紹介しているのだが、少なくとも現代の企業などではあまり見られない習慣だろう。(P.127)
 この少し前には三上章のことを「氏は日本語の文法・敬語に関して大きな功績を残した研究者」と書いている。なんか気にかかる書き方だな。

【引用部】
そこで、敬語(普通レベルの敬度をもつ諸敬語)を使い慣れている人にとっては、レル敬語はいわば「安っぽい」「ぎこちない」敬語という位置づけになるのだが、一方、レル敬語の愛好者にとっては、「お/ご~~になる」は丁寧すぎてうるさい」と感じられることがあるらしい。感覚の個人差で、この辺が難しいところだが、要するに相手や場合によって使い分ければよいわけであろう。なお、ある種の書き言葉(たとえば書物や論文などの中)ではナル敬語は使いにくい(四四頁)といった面もある。
 ちなみに歴史的には、レル敬語は、東京の話し言葉では江戸時代にも明治にもわずかしか使われていなかったが、東京語以外の要素も取り入れながら標準語が制定されていく中で、東京でも昭和十年代ごろから使用が増えてきた、という経緯をもつ(金田弘氏による)。(P.146~147)
 レル敬語とナル敬語の話のなかに出てきた記述。このあたりを「個人差」という言葉で片づけていいのかという判断がむずかしい。

【引用部】
前述の〈一般形〉ではない〈特定形〉であるが(一一六頁)、とくに〈一般形〉のかわりに使われるという意味では〈言い換え形〉と読んでもよかろう(〈代用形〉と呼ぶ場合もある)。(P.157)
〈言い換え形〉はまだしも〈代用形〉は失礼だろう。常用漢字にないから代用漢字を使う、というのとは話が違うんだから。

【引用部】
 ③「死ぬ」は「お死にになる」とは言わない。直接的な表現を避けて「おなくなりになる」と言う。「なくなる」自体も「死ぬ」に比べ間接的なので、ある程度尊敬語的な感じがするがこれは身内にも使うので、厳密には尊敬語ではない(犬や猫の死にも「なくなる」)と使う人もいるほどである)。「なくなられる」「おなくなりになる」と使ってはじめて尊敬語と見るべきだろう。(P.165)
 やはりそういうことですね。

【引用部】
 以上、種々に制約を見てきた。が、これらの場合を除けば、やはりかなり多くの語についてナル敬語は作れるのである。ちなみに、“「お」の音で始まる動詞は「お~~になる」の形にするができない(「お」の音の重なりを嫌うため)”という俗説が一部にあるようだが──敬語についての入門的な読み物の中で、そのようなルールがあるかのように述べられているのを読んだことがあるが──、必ずしもそのようなことはない。たとえば「お起きになる・お置きになる・お送りになる・お教えになる・お思いになる・お降りになる」など、ごく自然に使われる。ただし、たとえば「お踊りになる・お驚きになる」などは、確かに不自然な感がある。(P.165)
 このあたりは、理屈では割り切れない問題だろう。

【引用部】
が、受身表現はしばしば迷惑を受けたという趣をもちやすく、ある人物を尊敬語で高めながら、その同じ人物によって迷惑をこうむったという言い方をするのは、やはり、そもそもなじまない感がある。「困った」ということを意図的に強調する場合や、ふざけて、あるいは皮肉で言うような場合はともかく、一般的には避けたほうがいいだろう。(P.175)
 この前にあるのは「ナル敬語+受身」の話。「お/ご~~になられる」の形は理屈の上ではなくはない。と書いたあとに続く部分。尊敬語を受身にすることへの異和感は、このあたりにもあるのかもしれない。
【「そのようにおっしゃられても困ります」〈3〉】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1800136243&owner_id=5019671

【引用部】(ちょっと形式をかえている)
○書いてくれる→(「くれる」を敬語に)→
①書いてくださる→(「書いて」を敬語に)→
②お書きになってくださる→(「になって」を除く)→
③お書きくださる

というわけである。漢語系の熟語の場合も原理は同じで、「指導してくれる→①指導してくださる→②ご指導なさって(ご指導になって)くださる→③ご指導くださる」と考えればよい(漢語系では上述のように「ご~~になる」と言いにくい語もあるので、②は、「ご~~なさる」と両形併記しておく)。①②③は、どれも「……てくれる」の尊敬語で、ただ敬度が違うだけである。敬度は②③①の順だが、②と③はそれほど敬度が違わず、むしろ②はやや冗長な感じがしたり、場合によっては不自然だったりするので(二一〇―二一二頁)、簡潔で敬度も十分な③の「お/ご~~くださる」が頻繁に使われる。敬度の高い依頼の形としては「お/ご~~ください(くださいませ、くださいませんか、くださいませんでしょうか、くださいますようお願い申し上げます」ということになる。(「……ますか」より「……ませんか」のほうが敬度が高く響くことは、八三頁参照)。(P.204~205)
 この考え方は、いろいろな形に応用できる。この直後に出てくる「書いてもらう」の場合も同様。
  書いてもらう→書いていただく→
  お書きになっていただく→お書きいただく
 ということ。ここを押さえておくと、「敬語連結」や「二重敬語」について考えるときに実に役に立つ。

【引用部】
「お/ご~~してくださる(ください)」「お/ご~~していただく」は、一般に誤り。
  ─→『して」を取って、「お/ご~~くださる(ください)」「お/ご~~いただく」と言えばよい。

 「一般に」にと書き添えたのは、特別な場合には、この「お/ご~~してくださる(ください)」「お/ご~~していただく」という形が誤りでなく使われる場合もありうるからなのだが、これについてはあとで触れるとしよう(二六六〜二六七頁)。だが、それはかなり特別な場合なので、一般にはこの形は誤りと覚えておいてよい。
 〈語形〉について、ほかに細かい点をいくつか補足しておこう。まず、「お/ご〜〜をくださる」「お/ご〜〜をいただく」と、「を」を入れて使う形について。この形は時々使う人があり(とくに「いただく」の場合に多いようである)、なぜか国会の質問や答弁で「お調べをいただく」「ご審議をいただく」などと頻繁に耳にするのだが、私の語感では、いささか耳障りである。読者には、「お偉方がお使いになるのだから正しいのだろう」などと安易に真似をしないようにお勧めしておきたい。ただし、「お許しをいただく」「ご指導をいただく」などのように、「お/ご〜〜」の部分が名詞としての独立性を十分にもち、かつ、「いただく」が単に「恩恵を得る」意にとどまらず「相手側から話手側に向かう行為などを受ける」という方向性をもった意で使われる場合ならば、「を」を入れても不自然ではない。(P.209〜210)
 前半は下記の問題にかかわる。あのときは新鮮な発見の気がしたが、けっこうよく見る問題らしい。
235)【「お○○してください」「ご○○してください」「お~してください」「ご~してください」☆日本語教師☆】玉石混交
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1515394161&owner_id=5019671
 後半は下記で少し書いて挫折した話。〈名詞としての独立性を十分にもち、かつ、「いただく」が単に「恩恵を得る」意にとどまらず「相手側から話手側に向かう行為などを受ける」という方向性をもった意で使われる場合〉ってどういう場合なんだろう(泣)。
441)【「サ変動詞」(熟語動詞)の怪】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691633286&owner_id=5019671

【引用部】
(2)の例としては、「いつご出発ですか」・「こちらでお召しあがりですか」(たとえば外食産業の販売員が客に、店で食べるか持ち帰るかを聞くときに使う)/「ご使用の際は説明書をお読みください」(後略)(P.236)
 いきなり(2)と書いてもなんのことかわからんよな。こういう引用のしかたはいけません。テーマになっているのは、『敬語再入門』の読書感想文で少し書いた「お/ご〜〜だ(です)」の形。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1824714512&owner_id=5019671
================================引用開始
【引用部】
Q.「読んでいる」を尊敬語でいうとどうなりますか。(P.52)
 イチバン敬度が高いのは「読んで」と「いる」の両方を尊敬語にする「お読みになっていらっしゃる」。これは「敬語連結」なので「二重敬語」ではない。
 片方だけを敬語にした下記の形も一般的。
  読んでいらっしゃる
  お読みになっている

 どちらかと言うと、後半だけを敬語にする「読んでいらっしゃる」のほうが一般的らしい。
 このほかに「レル敬語」系の「読まれている」はあまりこなれていない。「読んでおられる」は誤用の疑いアリとのこと。
 著者がすすめているのは、「お読みだ/お読みです」の類い。「お読みでいらっしゃる」にするとさらに敬度が上がる。
 この言い方は少なくとも2つの問題にかかわる。
 ひとつは「お召し上がりですか?」。もうひとつは後出の「○○住み」。
================================引用終了
「お/ご〜〜だ(です)」は、一般には(1)「……している」という意味。そのほかに(2)「……する」、(3)「……した」の意味もある。(3)「……した」の典型は帰宅途中の人に近所の人が言う「いまお帰りですか」。
 (2)「……する」の典型が「こちらでお召しあがりですか」。本書では「たとえば」とあるが、これ以外の用法があるのだろうか。奥さんが旦那にこう言ったら、ほとんど喧嘩腰だろうな。
「こちらでお召しあがりですか」を問題視する意見もよく目にする。お手本になるような敬語だとは思わないが「間違い」ではない(こればっかり)。ちょっと言葉足らずな気はするけど、適切な言いかえが思い浮かばない。「こちらでお召しあがりになりますか?」だろうか。この形は二重敬語だけど、文化庁が許容しているのでOKだろう。ただ、セットになっている(ポテトとコーラじゃなく)慣用句が妙なことになる。「お持ち帰りになりますか?」かな。
「お持ち帰りになりますか? こちらでお召しあがりになりますか?」か……相当クドいな。

【引用部】
 「切符をお持ちの方」「お探しの品」など「お/ご〜〜の+名詞」という言い方は、以上に見てきた尊敬語「お/ご〜〜だ(です)」が連体修飾語として使われたものといえる。この「お/ご〜〜の+名詞」という形を「今日ご紹介の〔私どもが皆さんにご紹介する〕お
品は……」(テレフォンショッピングの広告)などと使うのは、謙譲語(本書の謙譲語A)として使っていることになり、少なくとも私の語感では違和感がある。(謙譲語なら「今日紹介するお品」というべきところである)。ただし、来客が持ってきた菓子などをその客に出すとき「お持たせのお品で失礼ですが」と言うのは、「お持たせした〔=自分が用意すべきものを客に持たせた(運ばせた)〕」意で、理屈の上では謙譲語としての使い方である。定型化した例外的なものと見ておきたい。(P.238)
 ウーム。今日ご紹介のお品は……」は単純に「ご紹介する」の省略形と考えていた。違うのね。「お持たせのお品」にもこんな深い背景があるのね。耳から漏れる煙が止まらない……。

【引用部】
 ただし、厳密には、職名と敬称はやはり異なる。つまり、たとえば不名誉なことをして新聞に出る場合でも「○○教授」「○○社長」なのであり、これは、呼び捨てにもできないから付けているだけのことで、敬度の高い敬称ではない。教師については、こうしたケースでは「○○先生」とは絶対いわない。「先生」は敬称、「教授」は職名なのである。そこで、大学に学外からかかってきた電話を助手が受けて教授について話す場合、「○○先生は授業中です」より「○○教授は授業中です」のほうが、身内を高めないという意味で望ましい、ということになるかと思われる。(P.245)
「なるかと思われる」という結びが気になるが、そのことはおく。大学は「授業」じゃなく「講義」だろう、というツッコミも、近年は「授業」というらしいから無視する。そういうことではなく、こういう論理的な文章を読むと気持ちがいい(ほんの少しだけ冗長な気はするけど)。〈「先生」は敬称、「教授」は職名〉ですか。だから不名誉なことをした場合は「先生」ではなく「教諭」なのね。「社長」の場合は、「○○会社社長の△△■■氏」くらいかな。

【引用部】
接尾語「……方(たとえば「先生方」)」は、「……たち」の尊敬語。学生が公式的な場などで「先生たち」と言うのは敬度が不十分で、「先生方」とありたいところである。「……方」が尊敬、「……たち」がニュートラル、「……ども」が謙譲という関係になる。(P.246)
 ちょっと気になって調べた。「方」は複数を指す場合と、単数を指す場合がある。単数の場合は名詞で「かた」、複数の場合は接尾語で「がた」らしい。「方々」は単数の「かた」の複数形らしい。なんのこっちゃ。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0na/03297400/
================================引用開始
かた【方】
【1】[名]
4 《方角を示すことによって間接的に》人をさす敬った言い方。「女の―」「乗り越しの―」
【2】[接尾]
5 《「がた」とも》名詞に付く。
①二つあるものの一方の側、また、それに属する人を表す。「相手―」「母―」
②その物事を担当する係であることを表す。「まかない―」「会計―」
6 《「がた」とも》数量などを表す名詞に付いて、だいたいそのくらいの意を表す。「三割―安い」「八割―片付いた」
================================引用終了

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E6%96%B9&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=03301700&pagenum=1
================================引用開始
がた【方】
[接尾]
1 人を表す名詞に付いて、複数の人々を尊敬していう意を表す。「先生―」「奥様―」
2 時に関する名詞や動詞の連用形に付いて、だいたいその時分という意を表す。「暮れ―」「明け―」
3 「かた(方)【2】56」に同じ。
→達(たち)[用法]
================================引用終了
 オイオイ、〈【2】56〉じゃなくて、〈【2】5①②〉だろう。記載がかわって、修正しきれなかったな(笑)。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E6%96%B9%E3%80%85&stype=0&dtype=0
================================引用開始
かた‐がた【方方/×旁】
【1】[名]
1 (方方)「人々」の敬称。かたたち。「お世話になった―」
================================引用終了

【引用部】
 「……各位」(たとえば「読者各位」)は、一人ずつを高める趣の表現。「位」がすでに(元
来は中国語)人を高めて指す言い方なので、「各位様」と使うのはおかしい。(P.246)
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E8%9C%B7%EF%BF%BD%EF%BD%BD%EF%BF%BD&stype=0&dtype=0
================================引用開始
かく‐い〔‐ヰ〕【各位】
大ぜいの人を対象にして、その一人一人を敬って言う語。皆様。皆様方。多く、改まった席上や書面で用いる。「会員―にお知らせします」

◆「各位殿」という表現は、敬意が重複することになるので、好ましくない。
================================引用終了
 ということは「お客様各位」も重言なんだろうか。でも「顧客各位」「利用者各位」はマズいんじゃなかろうか。

 P.247〜のテーマは〈「……だ/です」の尊敬語〉。例の話が出てくる。敬語に慣れている人は、「……だ/です」の内容を以下のように使い分ける。
 I人称者(自分側)を主語とするときは「……でございます」
 II人称者(相手側)を主語とするときは「……でいらっしゃいます」
 理屈ではわかっていても、これができないorz。待ち合わせをした人に「田中さんでございますか?」って言っちゃいそうだよな。
「私は時間がございますが、先生はお時間がおありですか」
 これも「お時間はございますか」って言っちゃいそう。敬語は悩ましい。

 P.250〜のテーマは〈形容詞・形容動詞についての尊敬語〉。本題とは別のところでちょっと気になる。形容詞は「お/ご」をつけて尊敬語にでき、「お忙しいですか」のように使うそうだ。ここも「か」がついているので、許容範囲かな。いろいろ考えて、「形容詞+です」はもうOKと考えるしかないのかな、と思いつつある。
 この場合にもP.247〜の話が適用され、II人称者(相手側)を主語にするときは、「お忙しゅうございますか」ではなく「お忙しくていらっしゃいますか」のほうがふさわしいらしい。これもダメだな。さすがに「忙しゅう」は使わないが「お忙しいですか」とか言ってしまいそう。

【引用部】
したがって、「安い/買いやすい」という意味で「お求めやすい」と近年よく使うのは、本来なら「お求めになりやすい」と言うべきところである。が、この「お求めやすい」はすっかり定着してしまった。すでに誤りとは言いにくいほどで、「お求めやすい」全体で一種の丁寧語のようになっている、とでも見るべきなのかもしれない。(P.251)
 このあたりも「柔軟性がある」と考えるべきなのだろうか。「お求めやすい」って定着したの? まだ認めてほしくない。

【引用部】
 副詞の尊敬語としては、「お早々と」「ごゆっくり」などがある。「いつもお早々とお年賀状をくださる」「坂が急ですので、どうぞ、ごゆっくりお歩きください」のように、その副詞が係る動詞の、やはり主語を高める。ただし、「お早々とお年賀状をいただき有難うございました」の場合は、「いただく」の主語ではなく〈与え手〉を高めることになる。(P.251)
 さりげなく、重大なことを言っている。これが正しいなら、「ご来店いただきありがとうございます」も何も問題がなくなる。

【引用部】
 II−2で、日本語の敬語は言語体系の随所に発達していると述べたが、品詞という観点からも、これまで見てきたように、動詞・名詞・形容詞・形容動詞・副詞・助動詞(名詞の後の「だ/です」は助動詞)・助詞(さらに「この→こちらの」「したがって→したがいまして」(尊敬語ではないが)などまで含めれば連体詞・接続詞にも)と、実に多くの品詞について敬語が存するわけである。(P.253)
 二重パーレンはやめようよ、という話はおく。
 なんかこんな感じで書いてあると、ホント尊敬語だけでおなかいっぱい。
 字数制限があるので、項を改める。


読書感想文/『敬語』2

 やっと謙譲語。なお、本書で謙譲語Aと書いているのは謙譲語Iのことで謙譲語Bと書いているのは謙譲語IIのこと。新しい?言い方の謙譲語I、謙譲語IIに書きかえる。

【引用部】
  ア 私はそのやくざに、早く足を洗うように申し上げました。
  イ 私はそのやくざに、早く足を洗うように申しました。
 イはよいが、アはおかしいと直ちに感じられるであろう。この差は何なんだろうか。「申し上げる」と「申す」とは、どちらも「言う」の謙譲語と呼ばれるものの、〈誰に対する敬語か〉という点で性質が違い、それによってアとイの適否の差も分かれるのである。(P.254)
 答えだけを書くなら。アは謙譲語Iで、イは謙譲語IIだから。と書いてもわからないだろうな。これを理解してもらうには、数ページにわたって引用する必要がある。謙譲語Iと謙譲語IIの話はメンドーなので、『敬語再入門』の読書感想文のときには避けて通った。個人的な整理の意味をこめて、書いてみる。相当の難物だけどしっかりついてくるように。
……「センセー、先頭を走っていたはずのtobiクンがいません。真っ先に脱落したみたいで〜す」「放っておきなさい」
 引用できるテキストだと「敬語の指針」になるのだろう。ただ、これもP.18〜20あたりを丸々引用する必要がありそうだ。以下、本書と「敬語の指針」をうんと圧縮してポイントだけを書く。
●謙譲語I(一般に謙譲語と言われているのはこちらだと思っていい……はず)
 これはいっぱいあるので覚えなくていい。謙譲語IIだけを覚えることをおすすめする。
【例】
 一般形……「お/ご〜する」「お/ご〜申し上げる」「お/ご〜いただく」……etc.
 特定形……伺う/承る/申し上げる/存じ上げる/さしあげる/……etc.
 接頭語……自分側の「お手紙」「ご説明」(相手側の「お手紙」は尊敬語)……etc.
      拝(動詞にもかかわるので別にしておく)……etc.
●謙譲語II
 特定形……参る、申す、いたす、おる、存じる
  補助動詞として使われる「〜いたす」「〜おる」も同様
 接頭語……愚、小、拙、弊……etc.
●謙譲語Iと謙譲語IIの違い
1)謙譲語Iは補語を高め、謙譲語IIは聞き手(読み手)を高める
 【引用部】のアがおかしいのは、「やくざ」に対して敬語を使うことになるから。イがおかしくないのは、聞き手(読み手)に対する敬語だから。通常は「(文中の)補語」=「聞き手(読み手)」ってことが多いからとくに意識しなくていい。微妙な問題に踏み込むなら、ここを区別しなければならない。
2)謙譲語IIは原則として丁寧語を伴う
 【引用部】の例の補語をかえて考える。
  ア-2 私は先生に、早く足を洗うように申し上げた。
  イ-2 私は先生に、早く足を洗うように申した。
 たとえば日記なんかだと、敬体(デス・マス体)ではなく常体(デアル体)で書く人が多いと思う。常体の文章のなかで、ア-2のように書いてもおかしくない。こう書いても「先生」に対する敬意は残る。イ-2はかなりおかしい。聞き手(読み手)に対する敬語である謙譲語IIは、常体にはなじまない。そのためか、謙譲語IIは「丁重語」とも呼ばれる。
3)謙譲語IIは聞き手(読み手)に直接関係のない対象にも使える
【引用部】
  ヤ この退会には全国から三百人の選手が参加いたします。(スポーツの放送)
  ユ まもなく電車がまいります。(駅のアナウンス)
  ヨ プラトンが申しますには……(学者の講義)(P.273)
4)「お/ご〜いたします」は謙譲語I兼謙譲語IIの特殊な形
 本書のP.297〜306に詳しく書いてあるがあまりにも長いので、「敬語の指針」からひく。
「敬語の指針」p.30~から====================引用開始

【補足イ:謙譲語Iと謙譲語IIの両方の性質を併せ持つ敬語】 
謙譲語Iと謙譲語IIとは,上述のように異なる種類の敬語であるが,その一方で, 両方の性質を併せ持つ敬語として「お(ご)......いたす」がある。 
「駅で先生をお待ちいたします。」と述べる場合,「駅で先生を待ちます。」と同じ 内容であるが,「待つ」の代わりに「お待ちいたす」が使われている。これは,「お待 ちする」の「する」を更に「いたす」に代えたものであり,「お待ちする」(謙譲語I) と「いたす」(謙譲語II)の両方が使われていることになる。この場合,「お待ちする」 の働きにより,「待つ」の<向かう先>である「先生」を立てるとともに,「いたす」 の働きにより,話や文章の<相手>(「先生」である場合も,他の人物である場合も ある。)に対して丁重に述べることにもなる。 
つまり,「お(ご)......いたす」は,「自分側から相手側又は第三者に向かう行為につ いて,その向かう先の人物を立てるとともに,話や文章の相手に対して丁重に述べる」 という働きを持つ,「謙譲語I」兼「謙譲語II」である。
================================引用終了

【引用部】
 会社の社長が挨拶するとき、司会者が
  ソ 只今より、○○社長にご挨拶をいただきます。
  タ 只今より、○○社長がご挨拶を申し上げます。
のどちらを使うべきか──これは、相手次第で使い分けなければならない。社内の会合なら、社長を高めるソでよいが、社外からの参加者のある会合(たとえば株主総会)なら、ソはまずい。(P.260)
 これは敬語の上級問題だろう。迷った場合の逃げ方はP.262にある(社長ではなく「会長」になっている)。
「只今より、○○会長のご挨拶がございます」
「ご挨拶」は尊敬語としても、謙譲語Iとしても使える。ウーム。なんてホニャララな……。このテクニックは本書の中に何回か出てくる。

【引用部】
 「お/ご〜〜する」という形自体は古くから散見するのだが、本書のいう〈一般形〉として使われるようになったのはさほど古くはなく、小松寿雄氏の調査によると明治三十年代ごろからのようである。ただし、その当初からしばらくの間は、実際には次第に使われるようになってはきても、「お/ご〜〜いたす」や、当時の代表的な謙譲語「お/ご〜〜申す」のほうが規範にかなった言い方だという意識があったようで、小松氏によれば、昭和十年代になっても(一部には戦後になっても)「お/ご〜〜する」という言い方は認めないとする向きがあったという(言葉についてやかましく論評する人は、いつの世にもいるもののようである)。「お/ご〜〜する」が、規範的な立場からも一般に認められるようになったのは、戦後のことのようである。(P.282)
 言葉の歴史的な変遷に関しては、できるだけかかわらないようにしている。なんらかの根拠がある確度の高い説には耳を傾けるが、そうでないものは聞き流す。当方が興味をもつのは、主として現在使われる言葉限定。この〈「お/ご〜する」未熟説〉(なのか?)については、Wikipediaか何かで、金田一(ファミリーの誰か)が同じようなことを主張したという記述を見た。
 気になってあれこれ検索して見つけた。ああこんなことを書いていると終わらない(泣)。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1455.html
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引用開始
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多くの人は、「お~する」は全体で謙譲語だがら問題ないと考え、違和感を持っていないのですから、ことさら問題を提起することはないのですが、金田一京助博士は「お~する」を謙譲で使うのは間違いだと書いていますから、大正の頃は正しくない表現だと考えられていたようです。現在では、「(先生を)お誘いする」「(先生のために)お調べする」などは最も普通の謙譲表現ですが、以前は不自然だと感じられていたのです。現在ではさらに、「(私は会社を)お休みします」のように行為が相手に及ばず謙譲にはならない「お~する」も使われますが、美化語としか言いようがありません。(p.14-15)
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 一文が長くてわかりにくい文章だが、ポイントは2点あると思う。
1)大正の頃は「お~する」を謙譲で使うのは間違いと考えられていたらしい
 こういう言葉の歴史のような話は苦手なので、スルーしたい。「ことさら問題を提起することはない」だろう。ただ、現在でも疑問に思う人が多いことと、比較的最近まで「間違い」と考えられていたことは無関係ではないと思う。

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引用終了
 【引用部】の末尾の「無関係ではないと思う」は考えすぎだな。世間で「お/ご〜する」はおかしいと主張している大半の人は「自分の行動に〈お/ご〉をつけるのはおかしい」という的外れな根拠をあげる。そういう人は「お/ご〜いたす」や「お/ご〜申す」にもインネンをつけるのだろう。

【引用部】
 なおまた、語によっては「お/ご〜〜“を”する」の形でも使えるものもある(例「お尋ねをする」「ご説明をする」)が、一部政治家の演説などでこの「を」をやたらに使う傾向がある(たとえば「お調べをする」などと言う)のは、聞き苦しい。(P.286)※原文は“を”ではな、傍線つきの「を」
 そうか。熟語動詞(仮)でなくても「を」が入るのね。やはり政治家用語なのかも。
441)【「サ変動詞」(熟語動詞)の怪】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691633286&owner_id=5019671

【引用部】
 もっとも氏は、この調査での「お/ご〜〜する」の全用例二一二のうち、誤用は一一例にとどまっているとして「実際には危惧するほどのことはないかもしれません」ともされるのだが、もし今日、実際の敬語使用の調査を改めて行えば、誤用の頻度は、このころに比べてかなり増えているのではないかと思われる。(P.294〜295)
 この一文は長くないか? しかも「頻度」は「増え」ないだろう、ってなんちゅう恐ろしい揚げ足取りを……。「頻度が増える」は相当ヤだけど「頻度が増す」だとさほど異和感がないのはなぜだろう。
 閑話休題。
 ↑の【引用部】は〈「お/ご〜〜する」の誤用〉という項目の中にある。「誤用」の具体例は「お/ご〜〜する」を尊敬語として使うこと。
1)ご利用してますか(正しくは「ご利用なさってますか」くらい)
2)ご利用しやすくなる(正しくは「ご利用なさりやすくなる」くらい)
3)ご乗車できる(正しくは「ご乗車になれる」くらい)
 元々の「お/ご〜〜する」が謙譲語なんだから、相手方の行動に使っちゃ×だろう。可能形にかえたって、ダメなものはダメ。でも「ご乗車できます」「ご利用できます」なんてアリガチでスルーしちゃいそうだよな。

【引用部】
 また、たとえば、人に、自分の作った書類に目を通して添削や捺印をしてもらったり、こわれた自分の物を修理してもらったりするような場合、「その書類(物)をこれからそちらへ持っていく」という内容を「これからお持ちします」と言うのも、たいへんきびしくいえば、おかしいともいえる使い方である。(P.295)
 これは微妙すぎる。「あなたの書類(物)を持っていく」わけでもなく、「あなたのために持っていく」わけでもないからおかしいらしい。正解は「持ってまいります」くらいらしい。わからん(泣)。

【引用部】
 右のように、「おる」には、謙譲、丁重/丁寧、卑しめ、尊大、ニュートラルの各用法がある。(P.322)
 P.318〜のテーマは「おる」。これがまた難物で、延々と続いた結びが上記。当方の文章力ではとても要点をまとめきれない。これが「おられる」の話になるとさらにメンドーで……。話は前後するが、途中に興味深い記述がある。

【引用部】
⑤[ニュートラルな用法]
 (a) 話手が一部の方言の話手である場合、ごく普通の表現として「おる」を使うのだが、ほかの人が訊くと、それに違和感を感じたり、方言的にあるいは古風に聞こえるという場合がある。
 (b) 標準語の話手の場合でも、書き言葉で「(……て)いる」という内容をいわゆる連用中止法(「書いて」のかわりに「書き、」とする方法)で述べたいときには、「(……て)い、」とは言いにくいので「(……て)おり、」と言い換えることがあるが、これも、謙譲・丁重などの趣はとくに含まないニュートラルな使い方だと見られる。また、「(……て)いず、」もそれほど熟さないので、同様に「(……て)おらず、」をニュートラルに使う人もいる。
  ……六教科から出題することになっており、……〈朝日新聞 一九九三年三月一六日一面〉
  ……昨年は二一・一%しかおらず、……〈産経新聞 一九九二年九月七日一面〉(P.321〜322)
 この連用中止形(でいいのか?)の問題も長年ひっかかっていた。よく見聞するのはちょっと違うと思う。「書いていて(、)」を「書いており、」とする人がけっこういる。当方がこのことに気づいたのは社会人になって3年目くらいだから、もう10年以上前(一片の噓もない←もういいって)の話だ。
 当時の当方が覚えた異和感の理由は、たぶん「古くささ」。手元の本を調べまくった記憶がある。
「書いており、」を使わない人は「書いていて(、)」か「書いているので(、)」を使っていた。後者はニュアンスがかわるので望ましくないのかもしれないが、そこまで厳密に考える人なら別の書き方をすればいい。
 たとえば、↑の朝日新聞の例なら、「なっており、」ではなく「なっていて(、)」か「なっているので(、)」にすればいい。
 産経新聞の例なら、「しかおらず、」ではなく「しかいないので、」にすればいい。とにかく「おり、」「おらず、」はジジムサいので自分では使わない。
 ちなみに、(a)の文は「片たり」になっている。ほかはかなり用心深く回避している様子だが、ここは……。こういう上級者でも、一文が長くなるとこういうことになりがち。

【引用部】
 以上のように「おられる」はすでに誤用とも言いにくいほどだが、本来は誤用であるとか、使わない人は使わないのだということも、知っておいてよいだろう。(P.333)
「おられる」に関して5ページにわたって解説した結びの一文。辞書類が認めてしまっているので「誤用」と言うのは無理があるだろう。この問題はネットの質問サイトでウンザリするほど取り上げられている。この『敬語』か『敬語再入門』の記述を不用意に孫引きしたためにエラい勢いで噛み付かれているのを見た記憶がある。
 当方の考え方は下記。間違ってはいないよな。ドキドキ。
突然ですが問題です【日本語編82】──おられる【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2231.html

※これじゃいくらなんでも中途半端だな。
 ってことで、下記をどうぞ。
おる おられる おられた おられます【まとめ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2801.html

【引用部】
 ただ、こうした傾向が将来進むところまで進んでしまうと、〈「やる」が普通の表現で「あげる」は《上品》な美化語〉という関係ではなく、〈「あげる」が普通の表現で「やる」は粗雑あるいは《卑俗》な言葉〉ということになり、「あげる」は美化語だとさえ言いにくくなっていくことになる(このような先例としては「食う」に対する「食べる」がある。三九頁参照)。(P.339)
 P.333のテーマは〈5 「さしあげる」(謙譲語I)と「あげる」(謙譲語I/美化語)〉。
本来は謙譲語Iだった「あげる」は美化語になりつつあるらしい。世間はもう少し進んで、すでに〈「やる」は粗雑あるいは《卑俗》な言葉〉になっている気がする。
246)【「やる」 「あげる」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1378.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1523098273&owner_id=5019671
589)突然ですが問題です【日本語編72】──「食う」を使う慣用句 「食べる」を使う慣用句 【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2163.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1781571782&owner_id=5019671 

【引用部】
 ちなみに、「ももたろう」の歌には「おこしにつけたきびだんご、ひとつわたしにくださいな」と請われた桃太郎が「やりましょう、やりましょう」と歌う歌詞と「あげましょう、あげましょう」と歌う歌詞とがある。余談ながら、このことに触れてみよう。(P.340)
 ↑のコメント欄で教えてもらった話。こんなヨタ話まで引用するから、どんどん長くなるorz。
 以下、著者が調べた限り(これで?)の結果を時系列で箇条書きにする。
・初めて採用された1911年の『尋常小学唱歌 第一学年』は「やりませう」
・1932年の同新訂版も「やりませう」
・戦後の教科書には見当たらない(「これからおにのせいばつに」がよくなかった?)
・1954年検定の教科書(教育出版)に再登場。「やりましょう、やりましょう、これからおにをこらしめに……」
・1957年検定の教科書(教育芸術社)。「あげましょう、あげましょう、これからおにをこらしめに」
・1960年検定の教科書(教育出版)。「やりましょう……せいばつに」
・1973年検定(76年度まで使用)の教科書。「やりましょう……せいばつに」(音楽之友社)、「やりましょう……こらしめに」
・これを最後に「ももたろう」は教科書から姿を消す。

 P.342にある「あがる」の話。「訪ねる」の謙譲語I。「お届けにあがる」「お願いにあがる」などと使う。訪問を受ける側が「どうぞおあがりください」などと言うのは誤用。
【引用部】
ただし、同じ「あがる」でも、すでに訪問先の玄関に入ったあと家の中にまで入る意の「あがる」は、謙譲語ではないので、こちらは、訪問を受ける側が「どうぞ中へおあがりください」と言える。(P.342)
 一応理解したつもりだけど、脱落寸前(泣)。

【引用部】
 なお、「持参」「承知」は、「参」「承」という字を含むので、謙譲語性が感じられる面もある(とくに「持参いたしました」「承知いたしました」「承知いたしております」というような場合は、もちろん「いたす」の力にたすけられるところもあろうが、謙譲語性は感じられよう)。が、「昼食は各自持参のこと」「上記の金額を……持参人へお支払いください」(小切手の文面。ちなみに「持参人」という語は関係法規にも見える)、「あなたも承知しておいてください」などのように、謙譲語とは言えない使い方をする場合も少なくない。さらに「ご持参ください」「ご承知の通り」のように尊敬語として使う場合もある(私自身の感覚では、相手とくに目上に「ご持参ください」と言うのは抵抗があり、使わないほうが無難だという気はするが)。結局、謙譲語性はすでに薄く(あるいは失い)、ただ改まった言い方として使われていると捉えるべきことになろう。(P.346〜347)
 どこで切ったらよいかわからず、ズルズルと引用してしまった。この「どこで引用をやめたらいいかわからん感覚」は、清水読本の読書感想文を書いたときに近い。
「参」「承」は謙譲語性は薄い、ということを、著者の文体で書くとこういうことになるのだろう。こうなる最大の原因は、著者の知識量があまりにも多いこと。こういう書き方をすると批判しているようにも見えるかもしれないが、決してそんなつもりはない。批判に読めるとしたら、書き手の人損?だろう。

 P.361〜のテーマは〈「です・ます体」の中の諸段階〉。これも積年の悩み。
 極端に要約すると、複文?の場合の前半部をデス・マス体にするか否かってこと。例として次の5つがあげられている。前半部の「あります」を「ある」にするべきか否か。
  ア 非常ベルがあります。安心です。
  イ ベルがありますが、やはり不安です。
  ウ ベルがありますから、安心です。
  エ ベルがありますので、安心です。
  オ ここにありますベルを鳴らしました。
 本書は、下記くらいがフツーだろうとしている。
 イは「ある」だとややぞんざい。ウはどちらでもよい感じ。エは丁重すぎる感じ。オは丁重すぎて不十分な感じ。
 当方の感覚も同じだが、なぜイだけが「が、」の前をデアル体にするとぞんざいな印象になるのかがサッパリわからない。
 これをさらに細かく分析し、以下のものは過剰敬語と批判されることもあるとしている。
・名詞の前にも「ます」を入れる(↑のオ)のような形
・「そうすると」「したがって」「続いて」などの接続詞的な語の中にも「ます」を入れる。「そうしますと」「したがいまして」「続きまして」
※「続きまして」はショートコントやモノマネの口上でよく見る。 
・「……ませんです」「……ますです」式の言い方。
 上記の3つは、後ろのほうほど丁寧な感じが強くなるらしい。
 うーん。つまり「……ませんです」「……ますです」も×ではないのか。

【引用部】
「お/ご」を付けて皮肉や茶化した表現とすることが固定化した例としては、「ご大層・ご乱行(らんぎょう)・ご乱心・おあいにく様」などがある。これらは美化語とも言いにくい(なお「おあいにく様」は皮肉でなく使う場合もないわけではない)。(P.376)
 これはかの有名な醜化語ですね(笑)。そうか「ご大層」以外にも醜化語限定がこんなにあるのか。
569)突然ですが問題です【日本語編67】──美化語の悪用 ご大層 ご苦労 お荷物【解答?編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2140.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1774719941&owner_id=5019671
 ちょっと気になったのは〈なお「おあいにく様」は皮肉でなく使う場合もないわけではない〉って部分。どんな場合があるのだろう。
 ちなみに、P.382では〈皮肉や茶化した表現として固定化したもの〉として〈「ご大層・おあいにく様」など〉としている。

【引用部】
「もっていく」に対する「携行」、「買う」に対する「購入」、冒頭で見た「(包装を)開ける」に対する「開封」や、「だんだん」に対する「次第に」などの漢語系のもの、I-2で触れた「わたくし」なども改まり語の一種といえよう。やはり「だんだん」と同義の「漸く」のような、いわば優美な和語(雅語)にも一種の改まりの趣がある。「只今より……を開催いたします」というような「より」も──私自身の感覚では、「から」と言えば十分ではないかと思って聞くことも多いのだが──、「から」よりも改まった表現という気持ちで使われているのであろう。(P.377)
 漢語系の改まり語もあれば、和語(雅語)の改まり語もある。どちらがMAX敬語なんてことは一概に言えない。どちらかと言うと、漢語系のほうが多い気がするけど。
 さて、「から」と「より」の話。
【板外編6】「起点のヨリ」と「比較のヨリ」
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-685.html
 同様の例に「で」と「にて」がある「(交通手段など)にて」「(場所)にて」あたりも当方の感覚では、〈「で」と言えば十分ではないか〉と思う。
 つい先日、似た例を思い出した。「工夫がされている」と「工夫がなされている」。これはこれでひとつのテーマになる気がする。

【引用部】
敬語を使い慣れた人でも、話題にしようとする人物を身内扱いすべきかどうか迷うことは少なくないし、使い慣れないと、つい、主婦が家族以外の人に、あるいは会社員や公務員が部外の人に
  主人(部長)がそうおっしゃいました。/主人の母(部長)にそうお伝えしました。
などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。(P.426)
 やはりそういうことなのだろう。
 余計な部分を省略して、当方の積年の課題に限って書きかえると、下記のようになる。
 会社員が部外の人に「部長にそうお伝えしました」などと言ってしまう──それが誤りになってしまうのが相対敬語なのである。
「絶対敬語」と「相対敬語」に関しては本書を読んでもらうほうがいいだろう。現代の敬語は「相対敬語」と考えてよいはず。ただ、部外の人に「部長にご相談します」がヘンなのはスンナリ理解できるが、「部長にお伝えします」だと異和感がぐんと弱くなる理由は不明のまま。

【引用部】
なお、あえて付け加えると、最近の傾向として──あるいは昔からなのかもしれないが──、人のささいな誤りに一々目鯨を立てる人に限って、本人も結構な誤りをおかしている場合も少なくないようである。自分でも敬語を使いきれていないに相違ないと思われる“識者”や投書者が、誤ってもいない敬語を誤りと決めつけているのなどを見るのは、やりきれない思いがする。(P.434)
〈昔からなのか〉否かは、昔のことを知らない当方にはわからない。ただ、状況は確実にヒドくなっている。mixiにしてもYahoo!知恵袋にしてもネット全般にしても、敬語に関する話は相当悲惨なことになっている。日本語関係全般がヒドいとも言えるのだが、とくに敬語関連がヒドい気がする。以前、「〜からお預かりいたします」をキーワードに検索した結果を調べてゲンナリした。
782)【「正しい」日本語ってなんなんだろう〈4〉】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1849013908&owner_id=5019671
 一般の日本語の問題は辞書をひけばある程度の答えがわかるが、敬語関係は解決しないことが多い。イチバン頼りになるのは文化庁の「敬語の指針」だろう。これが問題が多いうえに、ムダに長いだけで決してわかりやすいとはいえない。誤読して訳のわからないことを書くコメントが多いのは、そのせいもあるのだろう。
629)【文化庁「敬語の指針」に対する言いたい放題】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2220.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1798665663&owner_id=5019671

 このあたりのことを細かく書きはじめると読書感想文じゃなくなるので、いずれ改めて。

14)【句読点の打ち方/句読点の付け方 その14──読点の打ち方の実例】

 某所で非常にいい文例を教えてもらった。

【「行きつけ」がないあなたに、欠けているもの】
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/032500025/090500012/?P=5
 以下に元々の引用者(以下、Mさんと呼ぶ)が引用した全文を転記する。読点の後ろに★がついているのは、Mさんが〈外したくてムズムズする〉と感じるもの。
==============引用開始
「また、会社の帰りにリフレッシュしたり休日にくつろげる場所を持っていることは、いまの仕事にもプラスに働くだろう。それは、★生活の中に「冗長性」を取り入れているようなものだ。
 「冗長性」とは、システム設計の世界で使われたりする言葉で、非常に大ざっぱにいうと、必要最低限のものに加えて余分や重複がある状態を指す。これにより、★結果的に機能の安定化を図ることができる。
 かつての先輩たちが、★行きつけの店に立ち寄っていたのは、日常生活の安定のための、ちゃんとしたストレス・コントロールだったのだろう。
 すっかり、★沿線の店が気に行ったWさんは、次の週末は、★妻に声を掛けて新しい店を「案内」しようかと思っている。そのうち、★Qさん夫妻と食事をするのもいいだろう。
 そして、もし子どもが独立したら、妻と二人でもう少し都心の街に引っ越してもいいかもしれない。
 そんな空想が、★いろいろと広がる。そして、★そうした空想こそが、最近なかったんだな、ということにも改めて気づいたのだった。」
==============引用終了

 これがなぜ「非常にいい文例」なのか。
 読点が多めな点を除くと、文章がマトモな点が重要。大きな問題はなさそうだ。
 手元に何冊か、悪い読点の打ち方の見本になりそうな書籍がある。そういったものを例示してもあまり意味がない。パッと見るだけで読点が異様に多いことがハッキリしているので、片っ端から削除することになる。
 これは人工的に作った例文でも同様。単なる「悪文」ということになる。
 ↑のように「ちょっと多いかな」くらいの例文はなかなか見つからない。

 さて、例文を見ると、ちょっと読点が多い。Mさんが〈外したくてムズムズする〉と感じるのもよくわかる。しかし、そういう理由では、あまり意味がない。単なる「主観の問題」で終わってしまうので、修正案も提示しにくい。
 そういう考え方でも、自分で文章を書くときにはさほど問題がない。まあそういう考え方をすると「読点の打ち方は、わかる人はわかっている。わからない人には何を言ってもムダ」って話になってしまうんだけど。
 読点の使い方を説明するためや、他者の読点の使い方に異を唱えるためには、論理的な理由をデッチ上げる必要がある(説得力がどの程度あるのかは別として)。
 以下、本多読本をベースに、下記を加味して見ていく。
【句読点に関する記述・ブログバージョン】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3138.html
 
それは、★生活の中に
 →主語(正確には主題、以下区別せずに「主語」と書く)のあとなので、打ってもいい。趣味の問題。

これにより、★結果的に
 →読点の前が「中止形(仮称)」になっているので、打ったほうがいい。「これによって、」だと趣味の問題。

かつての先輩たちが、★行きつけの店に
 →主語のあとなので、打ってもいい。趣味の問題。次の読点までが一塊と考えるなら不要(個人的にはそう思う)。ただしこの長さの一文で読点3つは多い。むしろ下記を削除したい。

日常生活の安定のための、ちゃんとしたストレス・コントロールだったのだろう。
「ストレス・コントロール」にかかる修飾句が2つある。本多読本の「長い修飾語」かもしれないが、この程度の長さなら読点は不要だろう。当方なら「、ちゃんとした」を削除するか漢字で始まる言葉にかえる(「必要な」「欠かせない」とか)。

すっかり、★沿線の店が気に行(ママ)ったWさん
 →打つ理由がないので打ってはいけない。これを趣味の問題と言われるとちょっと困る。

次の週末は、★妻に声を掛けて
 →趣味の問題と言いたいところだが、打ってはいけない。直前に「は、」があるので、どちらかを削除するべき。2択なら、こちらを削除するしかない。

そのうち、★Qさん夫妻と食事をする
 →微妙。本多読本の「逆順」と言えるかもしれない。この程度の長さの文で、ほかに読点がないのでどちらでもいい。

 そんな空想が、★いろいろと広がる
 →主語のあとなので、打ってもいい。趣味の問題。

そして、★そうした空想こそが、
 →接続詞の直後なのであってもいい。当方は原則して打つことにしている。しかし、この場合は別の問題がある。直前にも「そして、」がある。こうなると善くない書き癖(重言)だろう。こういう書き癖がある人はかなり多い。「そして、」を削除するべき。
 どちらかと言うと、前の「そして、」ほうが不要だろう。別に両方なくても何も問題はない。

そうした空想こそが、最近なかったんだな、ということにも改めて気づいたのだった
 → 「、最近なかったんだな、」がちょっとむずかしい。本多読本の解説のどこにあてはまるのだろう。「挿入句は逆順の典型」と言えるか否か。当方にはそういうむずかしいことはわからない。引用(句的な)と考え、〈「最近なかったんだな」〉とするほうが、ほかの読点の働きに干渉しない。この文の場合は、冒頭の「そして、」を削除するなら、原文のママでも構わない。

「大きな問題」以外で気になったのは、↑の「そして、」の使い方。 
 もうひとつ気になるのは「冗長性」。「冗長性」と書いてしまったら、否定的なイメージしかない。一般には「(ハンドル)のあそび」とか言うのでは。
「息抜き」じゃミもフタもないか。
 きれいなところでは「人生の句読点」などと言ったりもする。やはり重要な役割を果たしているし、どこで打つかが問題になる。
 ウーム。こんなにきれいにオチがつくのも珍しい(笑)。

将棋65/最近気がついた妙な記録4

 アップし忘れ?

 mixi日記2015年10月28日から。

 下記の仲間。
●将棋(と囲碁)の話 お品書き
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1932509757

 28日、四冠を防衛したばかりの羽生名人四冠が、棋王戦の予選準々決勝で破れた。これで竜王戦に続いて今年度の挑戦はなくなった。
 毎年のことかもしれないが、対局の日程をもう少しなんとかできないのだろうか。勝っている棋士ほど対局数が多くなるのはしかたがないが……。
 最近の羽生名人四冠の対局スケジュール。明日も対局がある。

10月22日 ● 糸谷哲郎
10月26日 ○ 佐藤天彦
10月28日 ● 阿部健治郎
10月29日   深浦康市

 このところ、過密スケジュールに苦しんでいると思われる棋士がほかにもいる。
 豊島将之七段の最近の対局スケジュール。10月は5局指して全敗。こちらも30日に今月6局目がある。
10月1日 ● 稲葉陽
10月15日 ● 広瀬章人 
10月17日 ● 郷田真隆
10月22日 ● 橋本崇載
10月24日 ● 深浦康市

 渡辺明棋王の最近の対局スケジュール。10月は6局指して全敗(NHK杯はもっと前かもしれない)。こちらも29日から二日制のタイトル戦。
9月29日 ● 糸谷哲郎
10月7日 ● 深浦康市
10月12日 ● 三浦弘行
10月15日 ● 糸谷哲郎(二日制)
10月19日 ● 佐藤天彦
10月22日 ● 久保利明 
10月25日 ● 阿部健治郎(NHK杯戦)

 豊島七段は棋聖戦で羽生名人四冠に破れたあたりからなんかヘンな感じ。もしかすると、例によってハブ毒(←よしなさい!)にあたった?
 渡辺棋王のほうは、9月29日に連敗がスタート。こちらは……ダニ毒?(←ホントによしなさいって!)

●【将棋(と囲碁)の話 お品書き】

●カテゴリートップは下記。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-19.html

【3月の朝日新聞から】2008年04月01日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=762037061&owner_id=5019671
※なりゆきでコメント欄で、延々と将棋の話をしてしまった。

【「傍目八目」の謎】2008年09月12日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-461.html

【12月28日『情熱大陸extra』】2008年12月29日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-218.html

2009/06/24あたりのブログの検索結果
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-19.html

【おにーちゃんの知恵袋18──友達なくすな~】2009年12月01日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1018.html

【マンガ64/将棋マンガの話】2009年12月02日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-888.html

2009年1・2月の朝日新聞から
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-219.html

名人戦第6局開始
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-419.html

将棋名人戦終了──羽生名人防衛
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-446.html

【将棋/名人の系譜1】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-948.html

【将棋/名人の系譜2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-962.html

【将棋/名人の系譜3──記憶に残る名人戦・竜王戦】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-963.html

【将棋9/三浦八段、初の挑戦者に】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1076.html

【将棋10/NHK杯決勝戦──羽生善治NHK杯対糸谷哲郎五段】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1112.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1457516645&owner_id=5019671

【将棋11&マンガ77/最近のマンガから20100418】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1181.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1465511973&owner_id=5019671

【将棋12/コンピュータ将棋の実力と「天声人語」の文章力】
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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1601485442&owner_id=5019671

13【将棋マンガの話──2011年4月の朝日新聞から】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1713947272&owner_id=5019671

【将棋14/3連敗4連勝の系譜】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1985.html
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【将棋15/3連敗4連勝の系譜2 2011年6月の朝日新聞から】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2026.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1744240550&owner_id=5019671

【将棋16/王将リーグプレイオフ&竜王戦第6局】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2229.html
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【将棋17/将棋電王戦後の米長永世棋聖の会見】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2273.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1814044464&owner_id=5019671

【将棋18/2012年1月19日朝日新聞の紙面から】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2317.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1815169392&owner_id=5019671

【将棋19/もうちょっとちゃんと書いてくれないかな……】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2288.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1816429205&owner_id=5019671

【将棋20/NHK杯戦の勝敗について】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1820408425&owner_id=5019671

【将棋21/3連敗4連勝の系譜3 2011年9月の朝日新聞から】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2160.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1780624775&owner_id=5019671

【将棋22/A級順位戦終わる──盛り上がらない(泣)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2331.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1827425091&owner_id=5019671

【将棋23/名人戦前夕】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-19.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1836806300&owner_id=5019671

【将棋24/世代交代かけた戦い 2013年02月の朝日新聞から】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2780.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1894269268&owner_id=5019671

【将棋25/2013年02月の朝日新聞から】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2780.html

【将棋26/22013年4月の朝日新聞から──頂上決戦?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2781.html

【将棋27/将棋の便利サイト/データベース──プロ棋士 棋譜 タイトル戦 棋士成績 戦法 戦形……etc.】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2787.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904231389&owner_id=5019671

【将棋28/2013年6月の朝日新聞から1】第71期将棋名人戦
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2819.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906015300&owner_id=5019671

【将棋29相当/突然ですが問題です【日本語編168】──詰める 詰ます 詰む【解答?編】辞書】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2868.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1912858771&owner_id=5019671

【将棋30/2013年度前半の将棋界 羽生三冠の動向】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2887.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1914677006&owner_id=5019671

【将棋31/久々の竜王・名人】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2896.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1916971702&owner_id=5019671

【将棋32/里見女流三冠、奨励会三段に】
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1918421394

【将棋33/谷川九段のA級陥落の朝日の記事】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2918.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1919688574&owner_id=5019671

【将棋34/リンク失敗した(泣)。】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2908.html

【将棋35/第3回電王戦第1戦 ソフト序列5番手の習甦に菅井竜也五段が(先手番で)完敗】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2990.html

【将棋36/第3回電王戦 プロ棋士側の負け越し決定 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3007.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1924407350&owner_id=5019671

【将棋37/羽生三冠 七冠ロード再び 竜王戦】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3012.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1925627537&owner_id=5019671

【将棋38/羽生三冠 七冠ロード再び 名人戦第3局1日目。棋譜速報】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3014.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1926140092&owner_id=5019671

【将棋39/羽生三冠 七冠ロード再び 第72期名人戦名人戦第3局2日目。棋譜速報】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3015.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1926191772&owner_id=5019671

【将棋40/羽生三冠 七冠ロード再び 第27期竜王戦 ランキング戦1組決勝 棋譜】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3016.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1926557180&owner_id=5019671

【将棋41/羽生三冠 七冠ロード再び 第72期名人戦名人戦第4局2日目。棋譜速報】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3019.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1926820090&owner_id=5019671

【将棋42/羽生名人四冠 七冠ロード再び──第27期竜王戦挑戦者決定戦第1局 変調か 対局過多か】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3067.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1930989981

【将棋43/羽生名人四冠 七冠ロード再び──速報 王座戦第1局(対豊島七段)  何があった?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3080.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1931906548&owner_id=5019671

【将棋44/羽生名人四冠 七冠ロード再び──竜王戦挑戦者決定三番勝負  今年度内の七冠はなし】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3085.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1932122733&owner_id=5019671

【将棋45/羽生名人四冠 七冠ロード再び──王座戦第3局  おもしろいことになった? 先後の勝率ギャップ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3122.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933050459&owner_id=5019671

【将棋46/最近の将棋界 関西の若手の活躍が目立つ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3128.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933273817&owner_id=5019671

【将棋47/羽生名人四冠 七冠ロード再び──王座戦第4局  やはり何かがおかしい 先後の勝率ギャップ2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3131.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933378027&owner_id=5019671

【将棋48/羽生名人四冠 七冠ロード再び──王座戦第5局  時代は動かず】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11943307360.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1934236867&owner_id=5019671

【将棋49/第27期竜王戦第2局 糸谷七段快勝で2連勝】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11946336483.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1934531655&owner_id=5019671

【将棋50/第27期竜王戦第4局1日目速報 タイトル戦の行方を決める戦い?】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11954782718.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1935389888&owner_id=5019671

【将棋51/羽生名人四冠が1300勝達成 最年少・最速で史上4人目】記録モロモロ
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11955119158.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1935389905&owner_id=5019671

【将棋52/第27期竜王戦第4局2日目速報 世紀の逆転劇?】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-11955224187.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1935398268&owner_id=5019671

【将棋53/残るタイトル戦は王将戦と棋王戦】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3181.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1936032309&owner_id=5019671

【将棋/羽生名人四冠、棋王戦3連敗】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3246.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1939695392&owner_id=5019671

【将棋/プレイオフ第2局 久保九段激勝】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3247.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1939754311&owner_id=5019671

【電王戦、ソフトが反則負け 棋士2連勝──永瀬六段を批判するヤカラがいるとか】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3248.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1940163357&owner_id=5019671

【名人戦開幕 挑戦者●敗】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3264.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1940869937&owner_id=5019671

【将棋57/郷田九段、最年長で王将……ってわかりにくい書き方だな】→58
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12007122724.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1940379669&owner_id=5019671

【将棋59/「将棋電王戦FINAL」速報】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3265.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1940903164&owner_id=5019671

【将棋60/言い分は一理あるけど、敗者がそれを言ったら難癖にしかならない。】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3266.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1940916205&owner_id=5019671

【将棋61/通算勝率7割の壁】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3276.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941695170&owner_id=5019671

【将棋62/最近気がついた妙な記録1】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1943294672&owner_id=5019671
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12040672417.html

【将棋63/先手矢倉受難の時代──最近気がついた妙な記録2】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12052123611.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1944180232&owner_id=5019671

【将棋64/最近気がついた妙な記録3】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12087508034.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1947201939&owner_id=5019671

【将棋65/最近気がついた妙な記録4】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3396.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1947355453&owner_id=5019671

【将棋66/A級昇級即挑戦の系譜】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12133866114.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950671688&owner_id=5019671

【将棋64/三浦九段の出場停止問題 事実関係もハッキリしないのにクロ扱いしていいのか】→ 67
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12209383227.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1956107946&owner_id=5019671

【将棋65/三浦九段の出場停止問題〈2〉 泥仕合はファン離れにつながるだけなんだけど……。】 → 68
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12211948739.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1956278878&owner_id=5019671

【将棋66/三浦九段の出場停止問題〈3〉 文春の記事 新潮の記事】 → 69
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12214659411.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1956462225&owner_id=5019671

【将棋70/将棋界の世代交代は進んでいるのか〈1〉 千田翔太五段、タイトル戦へ】

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1957433511&owner_id=5019671



 こっそり入れておく。
【電脳の譜 1】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2911.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904352164&owner_id=5019671

「了解しました」「了承しました」「かしこまりました」「承知しました」「承りました」

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【13】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929935424&owner_id=5019671

mixi日記2014年08月15日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=5019671&id=1930962314

 こういう記事(全文は末尾に)を読むと腹立たしいのを通り越して情けなくなってくる。
 基本的には間違っていない気もするが、ツッコミどころが多すぎる。こうやって●●が拡散していくのだろう。
 順番に見ていく。

■了解しました
〈「了解しました」は、同僚もしくは目下に対して使う言葉〉なのか?
「同僚もしくは目下」なら丁寧語にはしない「了解」でもよいのでは。
〈尊敬語ではないため、お客様や目上に対して使うのは失礼〉……敬語にはいくつかの種類がある。3分類で考えるなら、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」。この書き手は「謙譲語」というものを知らないで敬語について書いているのだろうか。
「了解いたしました」なら謙譲語だから〈お客様や目上に対して〉×にする論理的な理由はないと思うけど、こんなに評判が悪くなるとやめたほうがいいだろうな。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3065.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1930959067&owner_id=5019671

■承知しました
「承知しました」を尊敬語にしている資料があるなら是非教えてほしい。
 一般には謙譲語扱いされている。しかし、「承知しました」を謙譲語にしている辞書類はないはず。もしあるなら教えてほしい。謙譲語性が高いとは思うけど、謙譲語とは言えそうにない。
 とりあえず反証として『敬語』の記述をあげておく。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2415.html
================引用開始
 なお、「持参」「承知」は、「参」「承」という字を含むので、謙譲語性が感じられる面もある(とくに「持参いたしました」「承知いたしました」「承知いたしております」というような場合は、もちろん「いたす」の力にたすけられるところもあろうが、謙譲語性は感じられよう)。が、「昼食は各自持参のこと」「上記の金額を……持参人へお支払いください」(小切手の文面。ちなみに「持参人」という語は関係法規にも見える)、「あなたも承知しておいてください」などのように、謙譲語とは言えない使い方をする場合も少なくない。さらに「ご持参ください」「ご承知の通り」のように尊敬語として使う場合もある(私自身の感覚では、相手とくに目上に「ご持参ください」と言うのは抵抗があり、使わないほうが無難だという気はするが)。結局、謙譲語性はすでに薄く(あるいは失い)、ただ改まった言い方として使われていると捉えるべきことになろう。(P.346~347)
================引用終了
 ついでに書いておくと、〈頻度は大変多い〉なんて書くと恥ずかしいので要注意。頻度を使いたいなら「高い」が一般的。

【20161217追記】
 下記も参考になるだろう。
【わかってもらった、を丁寧に言いたいとき、承知していただいた、と言えますか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13165571478


■了承しました
 何を根拠に、こんなことを断言しているのだろう。
 まあ、主観で書かせてもらうと「了承(いた)しました」自体をあまり使わない気がする。目上(お客様を含む)に対して「ご了承ください」みたいな使い方が一般的だろう。ということは、「了承(いた)しました」を目上に使うのはやめたほうがいいのかもしれない。
〈お客様へは「承りました」目上の人へは、「承知しました」が正しい使い方〉……なぜ、「承知しました」の項にこの記述がないのか(笑)。なぜ「承りました」の項がないのか(笑)。ちなみに「承る」は謙譲語Iの代表選手。
 感覚としてはわかる。注文は「承る」ことが多い。指示は「承知する」ことが多い。
 そうなると、お客様には「承りました」で目上には「承知(いた)しました」になることが多い。
 でもね。お客様の指示などに「承知(いた)しました」と言っては×なの?
 目上から依頼に対して「承りました」と言っては×なの?
 そんなバカな。
 お客様と目上を分けて考えるのは相当むずかしいと思う。

■かしこまりました
「かしこまりました」は「承知しました」と同様、お客様にも目上にも使えるらしい。でもさ。少し前に〈お客様へは「承りました」〉と書いてあるんですけど。謙譲の度合いが高い印象があるが、実はこの「かしこまりました」も謙譲語ではないらしい。謙譲語としている辞書があったら是非教えてほしい。
【「かしこまりました」は謙譲語なのでしょうか】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8499357.html

■「かしこまりました」「承知しました(承りました)」使用例
 書き方があまりにもグチャグチャなんで細かいツッコミはやめておく。

■結論
「了解」「了承」は目上には使わないほうが無難。「~しました」をつければ丁寧語で、「~いたしました」をつければ謙譲語になるが、とにかく使わないほうが無難。ただ、同格や目下に対して「了解(しました)」はOK。
「承りました」「承知しました」「かしこまりました」は、謙譲語として広く使える(辞書的には謙譲語ではないものもあるが)。
 ほぼ同様に使えるが、あえて厳密な使い分けを考えるなら……。
「承りました」「承知しました」は、ほぼ同様に使える。注文などを「受けた」くらいの意味合いが強い。
「かしこまりました」は命令や指示などを「理解して従う」くらいの意味合いが強い。
 ただし、厳密な使い分けはないので、さほど神経質になる必要はない。お好きなのをどうぞ。
「承る」には「聞く」の意味もあり、「貴重な話を承りました」などと使う。これは「承知しました」「かしこまりました」にはできない。「貴重な話をありがとうございます」くらいのほうが一般的だし感じがいい気がするけどさ。


【ネタ元】U-NOTE
【どう違うの?「了解しました」「承知しました」「了承しました」「かしこまりました」】
http://u-note.me/note/47489406?page=2
================引用開始
どう違うの?「了解しました」「承知しました」「了承しました」「かしこまりました」

 ビジネス上で、「分かりました」という意味合いで使われる言葉に「了解しました」「承知しました」「了承しました」「かしこまりました」などがありますね。皆さんはその意味と使い分け方を理解できていますか?いざという時に、どれを使ったらいいのだろう?と悩んでしまうことはありませんか?ここでは、「了解しました」「承知しました」「了承しました」「かしこまりました」の違いとビジネスシーンでの使い分け方をお伝えしていきたいと思います。

■了解しました
 「了解しました」は、同僚もしくは目下に対して使う言葉です。「了解しました」というのは、「了解」に「しました」をつけることで丁寧語になりますが、尊敬語ではないため、お客様や目上に対して使うのは失礼にあたります。

■承知しました
 「承知しました」は尊敬語になりますので、お役様や目上の人に対して使うのに適切と言えます。ビジネスシーンでも使う頻度は大変多いため、覚えておきましょう。

■了承しました
 「了承しました」は、何かを「承諾」したときに使います。「それでいいですよ」という意味合いになりますので、目上が目下に使うのが正しい使い方となります。お客様や目上の人に使ってはいけません。この場合、お客様へは「承りました」目上の人へは、「承知しました」が正しい使い方です。

■かしこまりました
 「かしこまりました」、は「承知しました」と同様、お客様や目上の人に使えます。

 覚えておくべきは「かしこまりました」と「承知しました(承りました)」上記のように、「かしこまりました」「承知しました(承りました)」は、目上の人やお客様に対して使える言葉となります。この2つはビジネスシーンにおいても非常によく使われますので覚えておきましょう。

■「かしこまりました」「承知しました(承りました)」使用例

× 打ち合わせの件、了解しました。
○ 打ち合わせの件、承知しました。

×(上司に対して)鈴木様(お客様)への連絡の件、了解しました
○(上司に対して)鈴木様(お客様)への連絡の件、かしこまりました

×(お客様に対して)ご依頼いただきました○○の件、了承いたしました。
○(お客様に対して)ご依頼いただきました○○の件、承りました。

 「かしこまりました」「承知しました」の違いはあるの?普段使う敬語として、「かしこまりました」「承知しました」の2つが良いというのはわかったけれど、その2つの違いは?というのは以下のような違いがあります。
「かしこまりました」は、「理解して受ける」という意味があります。

「承知しました」は「目上の人の命令などをうけたまわる」という意味があります。

上記のニュアンスの違いを覚えておくと、普段からより敬語を使い分けやすくなると思いますので、覚えておくと良いでしょう。
おわりに

 社会人になると、まず初めに身につけなければいけないマナーが正しい言葉遣いです。しかし日本語の敬語は難しいものです。ビジネス面での正しい言葉遣いをしっかりと身に着けるためにも、普段から常に意識していくことが大切です。
================引用終了

了解しました 了解いたしました
了承しました 了承いたしました
かしこまりました
承知しました 承知いたしました
承りました

 下記は読み応えがある。
【「了解しました」より「承知しました」が適切とされる理由と、その普及過程について】
http://liginc.co.jp/246919

 要するにほぼネット限定の俗説なのでは。ちゃんとした文献を示しているのを見たことがない。こういう例がどれだけあるのだろう。
 小谷野敦の言葉を借りるなら、バカが意見を言うようになった典型かもしれない。
【『同期の桜―お言葉ですが…8』──バカが意見を言うようになった】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-925.html

学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【7】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1789673749&owner_id=5019671

mixi日記2012年01月12日から

 直接的には下記の続き。
【完全毒日記──全方位毒吐き30 公開制限あり】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1808391282&owner_id=5019671
 公開制限のある日記なので、関係箇所だけ転載する。
==============引用開始
 で、引用?されていた論文http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/3498/1/34014.pdfを読んでちょっと驚く。当方のレベルでもすらすら読める。ほぼ理解できるから、内容がムチャクチャだということもよくわかる。
 少なくとも、「助詞なしでなければならない場合」はこんなにないよ。「助詞なしでもOK」ならわかるけど。本気で書いているのだろうか?
 この論文に関しては、改めて書いてみたい。
 わかりやすいムチャクチャがいいのか、わかりにくい正論がいいのか……究極の選択だな。
==============引用終了

 一部訂正する。「当方のレベルでもすらすら読める」はオーバーだった。わからないところがけっこうある。それでもいままで目にした(とても「読んだ」とは言えない)学者の論文よりはずっとマシだろう。
 ただ、問題は内容。ヒトサマの文章を「内容がムチャクチャ」などと書きっぱなしにするのは失礼なので、少し具体的に書く。どちらが失礼なのかは微妙かもしれない。(←オイ!)
「4.無助詞文の分類」(p.81~)で、「無助詞文」(「助詞がないほうが自然な文」の意味。「助詞なしでなければならない場合」とまでは書いてないと思う。じゃあそもそも誰が誤読したんだ?)の例をあげている。とりあえず「4.2.1. 」だけ引用する。「無助詞(文)」と「助詞の省略」は厳密には違うようだ。一応理解したつもりだが、当方に厳密な使い分けができているとは思えない。詳しくは論文をお読みください。
 なお、〈助詞のない部分はφの記号で示し、「*」は不適当、「?」は文法判断が揺れるものである〉とのこと。
==============引用開始
4.2. 文単位からの分類
4.2.1. 聞き手の情報を求める文
「聞き手の情報を求める文」とは、話し手が聞き手に能力、知識、所有、嗜好、経験、 聞き手の行為の完了等を尋ねる文である。

(15)〔バスの中で高校生が友人に大学入試試験の過去問を見せながら言う。〕
なあ、これ (φ/ * ハ/ * ガ/ )、わかる? (ケ)
(16)〔弁護士探しをしている村長と役場職員だったが、上手く引き受けてもらえず落
胆している。今日はもうあきらめようということになって、村長が言う。〕
どっか、いいホテル(φ/ * ハ/ * ヲ )知ってる? (合)
(17)〔旅行先で、シャワーを浴びようと思ったが石鹸を持ってくるのを忘れてしまっ
た。友人の部屋をノックしながら言う。〕
柴田 せっけん(φ/ * ハ/ * ヲ )持ってねーか (継)
(18)〔コーヒーをいれながら友人に尋ねる。〕
ミルク(φ/ * ハ/ * ヲ )入れる? (ビ)
(19)〔小売店の娘が客の友人に尋ねる。〕
ねえ、ニコちゃんストアー、行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ )ある? (合)
(20)〔図書館司書が親しい利用者に声を掛ける。〕
『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ )読破?
(ビ)
 本稿は、無助詞文の出現理由を、主題の重なりという点から分析する。久野(1973:30- 31)が以下のように述べているように、一文の中で最も述語から遠くにある名詞句、つま り最も文頭に近い名詞句は主題として捉えられる。しかし、それ以外の名詞句に「ハ」が付く場合、それは対比として捉えられる。
==============引用終了

「自然」か否かは主観にかかわることが多いのであまり強くは言えないが、ちょっとヘンじゃないか?
 とりあえず、(16)(17)(18)は助詞アリでもおかしくないと思う。無助詞とどちらが自然なのか、当方には判断できない。

(16)どっか、いいホテル(φ/ * ハ/ * ヲ )知ってる?
「ヲ」はなぜ * なの? 「ハ」はたしかに少しヘンかも。
(17)柴田 せっけん(φ/ * ハ/ * ヲ )持ってねーか
「ヲ」はなぜ * なの? 「ハ」は微妙かな……。
(18)ミルク(φ/ * ハ/ * ヲ )入れる?
「ハ」はなぜ * なの? 「ヲ」は微妙かな……なんでだろう。

 (15)(19)(20)あたりはたしかにφのほうが自然な気がするが、別の理由があるのでは。
 何も考えずに思いつくことをあげていく。
●「無助詞文」になりやすいのは話し言葉である。
 これは大前提で、論文の冒頭に書いてある。ただ、文字で書かれている小説のセリフは話し言葉か書き言葉か、と厳密に考えると泥沼にはまる可能性が高いのでスルーする(個人的には話し言葉だと思う)。
●「呼びかけ」(「注意喚起」と考えるほうがいいらしい)は「無助詞」になりやすい。
●「目上の人」に対しては「無助詞文」になりにくい。
 同じ内容でも、「親しい同格以下の人に話す場合」は「無助詞文」になることがある。言葉づかいがラフになればなるほど、その傾向が強くなる。相手が子供だと、「無助詞文」だらけになることもある。
●「省略」(もしくは「無助詞」)が「省略」(もしくは「無助詞」)を呼ぶ傾向がある。
●「聞き手の情報を求める文」と言うか、要するに疑問文だと「無助詞文」になる傾向が強い。
 こういうことをどこかに書いてあるのかな。
 あとは考えはじめると泥沼が待っている予感。
 (15)(19)(20)は同じ意味でも言葉づかいをもう少し丁寧にするとかなりかわる。

(15)なあ、これ (φ/ * ハ/ * ガ/ )、わかる?
「なあ、」と「わかる?」がタメ口なんで、φが自然なのだろう。しかも直後に読点があるから、無助詞文のほうがずっと自然になる。
(15)’ 済みませんが、これ (φ/ * ハ/ * ガ)わかりますか?
 これなら「ハ」が自然だろう。(「ガ」の近接の影響もある?)

(19)ねえ、ニコちゃんストアー、行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ )ある?
「ねえ、」があるうえに直前の「に」が省略されている。
(19)’ (つかぬことをうかがいますが、)ニコちゃんストアーに行ったこと(φ/ * ハ/ * ガ)ありますか?
 これなら「ハ」「ガ」もアリだろう。

(20)『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ )読破?
「読破?」だもん。相当ラフ。あれ、このセリフは図書館司書だから常磐貴子だよね。このなれなれしさはキムタクっぽいけど(これは『ビューティフルライフ』のセリフらしい)。
(20)’ 『岩窟王』(φ/ * ハ/ * ヲ)もう読破したのですか?
 これなら一番自然なのは「ハ」だろう。「ヲ」もアリかな。

 以下、論文の例文を読み進めていくと、同様の疑問がブクブクと湧き立ってくる。なかには、φのほうが自然ってケースもあるけど、割合としては……。どなたか検証してください。
 何か当方が大きな勘違いをしているのだろうか……。

 ちなみに、無助詞の話は過去にトピも立っている。
【「助詞」の有る無し】 
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=30473460
 上記の論文よりはずっとまともな気がするが、当方にはむずかしいorz。「呼びかけ」ではなく「注意喚起」ってコメントには感心した。例によって、おひとかた以外のコメントが……。

「無助詞文あるいは助詞の省略」に関しては下記参照。
【学者の言葉〈外伝〉──無助詞文あるいは助詞の省略〈2〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2447.html


学者の言葉〈2〉
──「わからない」「わかりにくい」ということ

mixi日記2012年01月24日から

 下記が公開制限のある日記なので、関係箇所だけ転載する。
 以下は、とある「学者の卵」が書いたものから抜粋している。
 著作権? まあ厳密に言えば問題があるだろうな。(←オイ!)
【完全毒日記──全方位毒吐き30 公開制限あり】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1808391282&owner_id=5019671
================================
●キーワード集
1)「学者の言っていることがわからん」のはある程度当たり前
2)ある程度の知識がある事を前提としてアカデミックな議論というものは成り立っている
3)知識が無い人間にとって学者のいう事がわからないのは当たり前
4)専門知識が無い一般人向けに専門分野を紹介する文献(新書に多い)も存在する
5)一般人にもわかりやすく理論を単純化し、それでいて本質を外れない記述というのはなかなか難しく、普通の学者に出来る事ではない
================================


「●キーワード集」の1)~3)は一種の居直りでしかない。
 こういう考え方をしている限り学者と一般人の間の溝は埋まらず、コミュニケーションはむずかしい。編集の世界で「学者と医者の原稿は使いものにならない」と言われるのは、そのせいだろう。
 ただ、4)5)にあるように、一般人に通じる文章が書ける学者も存在する。当方が仕事で読んだ原稿のなかにも、そういう例はいくつもあった。
 おもしろいもので、まともな文章を書ける人は、不明点を指摘すると理解して修正してくれる。文章が書ける人は読解力もあるから、こういうまともなコミュニケーションができる。
 まともな原稿を書けない人に「わかりにくい点」「わからない点」(場合によっては「間違っている点」)を指摘しても、理解できない。妙な理屈をこねて言い訳をすることはあっても修正はしない、と言うよりできない。理解できたら、そもそもそんな原稿は書かないか(これは学者でもライターでも同じかも)。
 しかもそういう人に限ってプライドが高いから、ウカツなことを指摘すると逆ギレする。こうなると泥沼。「こんな原稿は使えない」と突き返すしかなくなる。そういうめったにない扱いをしてしまった人が、最近テレビで講釈を垂れているのを見ると、ちょっとホニャララな気持ちになる。

 やさしく書こうとしても限界があるジャンルもある。たとえば医学。これはきわめてむずかしい。病名ひとつとっても、素人が理解できるように書くのはむずかしい。「くも膜下出血」あたりだと、脳の構造から始まってクダクダ書くと、それだけで数百字は必要になる。
 もっと身近な病名だって、簡単に説明するのはむずかしい。いまでも覚えているのは「頭の片側がズキズキと痛む偏頭痛」ってフレーズ。これはギャグではなく某健康雑誌の常套句になっていた。ちなみに、その編集部では医者に原稿を書かせることはハナからあきらめていた。誌面の体裁としては医者の記名原稿だが、実際に書くのは取材したライター。きわめて正しい態度だと思う。
 IT関係(例によっていい加減なイメージで、「コンピュータ関連」とほぼ同義)の記事あたりも、素人にわかるように書くのはむずかしいかも。そのテのマニュアルがむずかしいのは仕方がないかも。


●そもそも「わかりにくい」とはどういうことか
「わかりにくい」とか「わからない」とはどういうことか。 
 これを厳密に考えはじめると、禅問答に近くなる。うんと意地悪に考えると下記のようになる。
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「わかりやすく書け」という、だれにも反対できないように思える理屈にも、落とし穴はある。「わかりやすい」かどうかは、たぶんに書く人と読む人との関係性によるのである。極端な話、数式や楽譜は「わかやすく」(ママ)するために発案された書法である。しかし、わからない人にはわからない。万人にわかりやすい文章など、厳密にいえばありえないのだ。(『文章読本さん江』)
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 ここまで考えはじめると、グチャグチャになりそうだ。なかにはツワモノもいて、ごくフツーのショップ紹介を、ものすごくわかりにくく書く人もいる。それはそれで一種の才能なのかもしれない。
 そういう話を別にすると、要は「専門用語の使い方のサジ加減」ってことになると思う。「くも膜下出血」という病名も一種の専門用語だろう。医者同士の会話なら当然通じる(別の呼称がありそうだな)。一般人でも、少し医学の知識のある人ならわかる(知識が正確か否かは別問題)。しかし、どんな病気かまったく知らない人に伝えようとすると、かなりむずかしい。ヘタに噛み砕くとかえってわかりづらくなり、ウソになってしまうことも多い。専門分野に特化したライターでもむずかしい話なんだから当然だ。このあたりは↑の「キーワード集」の5)に通じる。
 このへんのサジ加減がむずかしく、どの程度なら一般人にも理解できるのかわかったうえで解説できるのが、「普通の学者」にない能力をもった「貴重な学者」なんだろう。
「普通の学者」が書いた文章は、一般の人には通じない。たいていの学者はそのことを自覚しているから、一般の人に向かって講釈を垂れたりしない。
 したがって、フツーの生活をしている人は「普通の学者」の念仏に出会うことはめったにない。新書の類いで目にするのは「貴重な学者」の文章だから、一般人でも理解できる(例外は多々ある)。
 これがインターネットの世界だとちょっと事情がかわってくる。
 本来は学者の世界の内部資料とでも言うべき論文(紀要)や念仏が飛び交っている。ちゃんとした論文のpdfが手軽に手に入るのは喜ばしいことなのだろう。基本的に一般人はそういうものに近づかないから、ある意味棲み分けができている。
 学者が参加する掲示板にどんな専門用語がとびかっても、それはそれ。どうぞご自由としか言えない。
 困るのは、一般人に世界に「普通の学者」(「もどき」を含む)が進出してくること。専門的な話をわかりやすく解説してくれるなら大歓迎だが、そんな「貴重な学者」はめったにいない。
「全方位毒吐き30」で紹介した「学者の卵」が困ったちゃんなのは、一般人の話に学者の理論を持ち込んできたから。それで居直られたら、コミュニケーションにならない。
 質問サイトの掲示板のホニャララぶりは何度かレポートしてきたたが、不思議なことに学者の言葉で回答する人は見かけない。
 本能的に避けているのか、バカバカしくて寄り付かないのかはわからない。もしかすると、そういう勇敢な人もいたのかもしれない。でも誰にも相手にされないからフェードアウトしたのかもしれない。
 そういう意味では、ああいう質問板は自分の言葉の「わかりやすさ」や「正し(いっぽ)さ」を判定するのに適したツールかもしれない。Yahoo!知恵袋でBAが50%を超えている人のコメントなら、かなり信頼できる。もちろん、もっともらしいウソって可能性はある。


●mixiで見かける学者(もどき)
 これがmixiのコメントになると、そういう判定の基準がないせいか、偉そうに専門用語をふりかざすホニャララがけっこういる。
 当方が首を突っ込んでいる日本語関係だと、何人か思い当たる。
 少数ではあるが、学者の言葉と一般の言葉の両方を使い分けている人もいる。当方がこの面で信頼しているのは、SさんとOさん。この2人のコメントはよくわかるし、間違いもない。通常のコメントは当方でもわかる書き方をする一方、学者とのやり取りになれば、当方にはチンプンカンプンの書き方もする。簡単に言えばバイリンガル? ほかにもバイリンガルが何人かいるようだが、コメントすることが少ないので存在感がない。
「学者同士のやり取り」がどのようなものかは、当方が「コミュズレ3部作」と呼んでいる下記を見てほしい。
【独り言です56くらい──日本語教師関連編27 モゴモゴ王決定か※公開制限あり】K
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1417110060&owner_id=5019671
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 以下のコミュズレ3部作はあまりにもレベルが高すぎて、当方には何がなんだかわからない。たぶん「こどもの学習者」なら理解できるのだろう。「言語学」あたりのコミュならそう悪くないやり取りなのかもしれない。
 一部、コメントを入れてるマイミクさん。こんな書き方してゴメンナサイ。でも、この3部作はコミュのフツーの参加者には理解できないと思う。

【総記でしょうか中立叙述でしょうか】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=48489573
 これってコミュズレだと思う。
【~おいてもらう VS ~もらっておく】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=49551162
 コミュズレ気味のうえ、何が論点なのか……
【格と副の交渉】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=50361254
 これもコミュズレだと思う。
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 下記だと少しマシかもしれないが、やはりコミュズレだと思う。
【「あげる」「くれる」「もらう」と第4の幻の動詞について】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56252538&comm_id=398881

 別にこういうトピがあってもいいのかもしれない。当方は分をわきまえているから近づかない。できればヨソでやってほしいけど。
 困るのは、一般の人のやり取りに学者が口を挟むこと。繰り返すが、専門的な話をわかりやすく解説してくれるなら大歓迎だが、そんな「貴重な学者」はめったにいない。
 その結果、一般人のやり取りの間になんだかわからん念仏が剥き出しのまま投げ込まれる。そりゃ浮くでしょ。当然のことながら、書いてる当人は自分の文章が一般人には理解できないことを自覚していない。その自覚があって書いているなら、単なる迷惑行為だよ。
 多少わかりにくくても正しいことが書いてあるならまだ救われる。ヒドいのは、コンスタントにピント外れのコメントを書くあのおかた。当方の日記の中には消し逃げ癖のある人として何回か登場しているので、ご推察ください。
 難解なピント外れも困るけど、実はもっと困るのは、一見わかりやすそうにピント外れのことを書いてあるコメント。難解なことを噛み砕くにはそれなりのテクニックが必要で、ヘタに噛み砕くとかえってわかりづらくなり、先に書いたようにウソになることも多い。
 ウソにはならなくても、まるで小学生に語りかけるような口調で冗長になる。それでいて噛み砕くポイントが違うから、ちっともわかりやすくない。妙な表記を使っていると、その傾向がさらに強くなる。
 ここに悪意までついてくると、単なる荒らしよりはるかにタチが悪い。末期の糖尿病って呼んであげよう。
 あ~あ。せっかく少しまじめなことを書こうとしたのに、飽きてくるとこんなしょうもないオチになるのね。


学者の言葉〈3〉
── 専門用語の誘惑

mixi日記2012年02月11日から

 直接的には下記の続きだろうな。
【「そのようにおっしゃられても困ります」〈2〉毒抜き編 規範文法と記述文法】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1799904762&owner_id=5019671
【学者の言葉〈1〉──無助詞文あるいは助詞の省略】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1813322718&owner_id=5019671
【学者の言葉〈2〉──「わからない」「わかりにくい」ということ】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1816531968&owner_id=5019671

 最近、『敬語再入門』(菊地康人)を読んでいる。1項目ずつ噛み締めているからなかなか進まない。もう少しで読み終わるので、『敬語』のほうに進みたい。「進みたい」は正確には「戻りたい」にするべきだろう。元々あったのは『敬語』で、その入門編とも言えるのが『敬語再入門』。『敬語』のほうがボリュームが倍近くあり、内容も盛りだくさん。当方の手に負えるのだろうか?
 それはさておき『敬語再入門』いついて。いやー、スゴいわ。訳のわからないバイト敬語を別にすれば、各種の質問板でとびかっている敬語関係の疑問のほとんどが解決する気がする。手元にある敬語関係の本がいかにいい加減かよくわかる。ネットでとびかっている珍説が哀れにさえ思える。
 言語学の専門家であることが随所にうかがえ、解説がイチイチ論理的で深みが感じられる。
 しかも、むずかしい言葉はほとんで出てこないので、当方のレベルが読んでもよくわかる。不明点もいくつかあるが、それは単に当方の勉強不足だろう。一般人がわからない言葉は使っていない。こういうのが「貴重な学者」の業績なんだろう。
 むずかしい文法用語や、一般人がわからない専門用語なんか使わなくてもあれだけの文章が書けるのは驚異なのかもしれない。あやかりたい、あやかりたい。


●使ってみたい専門用語集
 文法に関係するようなことを読んでいると、「この言葉をキッチリ使えたら便利だろうな」と思う言葉がある。
 使ってみたい誘惑に駆られるが、ヘタに使うとそれだけで文章が難解に見えてしまう恐れがある。微妙に使い方を間違うと恥さらしなる恐れさえある。
 完全な的外れかもしれないが、算数と数学の話を思い出す。
 算数の問題で、連立方程式を使えば簡単に解ける問題がある(鶴亀算とか?)。それを算数の解法でなんとかしようと思うと、けっこう難問になる。未知数が3個以上出てきたりすると、すんごい難問になる。だからと言って、算数の問題を連立方程式で解くのは反則だろう。小学生に円周率がなんで3.14かと訊かれて、高等数学を用いた証明を語り始めたら単なる●●だろう。
 文法の問題も、難解な専門用語を使うほうが説明が簡単なケースもあるだろう。「それは○○的に考えれば△△だから」で済むことがあるのかもしれない。そのほうがずっと簡潔で正確なんだと思う。でも「○○」も「△△」も知らない者には呪文でしかない。
 呪文が通じる相手には呪文を使い、呪文が通じない相手にはそれなりの説明をする。そういうことができる知恵者を当方はバイリンガル?と呼んでいる。「貴重な学者」も、バイリンガルの一種ってことになる。相手構わず呪文を唱える人はなんて呼べばよいのだろう。


「規範文法」「記述文法」
 使ってみたいけど、禁じ手にしている。一応辞書にはのっているけど、こんな言葉を素人が使ってもロクなことがない。下記などで教えてもらったからなんとなくわかった気になっているけど、そういうのは「生兵法」と言う。
【デス・マス体が書きにくいワケ4──デス・マス体のナゾを考えるヒント】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1539218404&owner_id=5019671
 ちなみに、『敬語再入門』には当方が読んだ限りそんな言葉は出てこない。「規範的に」という表現は何回か出てくる。これは「規範文法」とも読めるが、一般の言葉(「ルール」くらいの意味)と解釈しても支障がない。このへんのサジ加減は見事。


「共起(する)」
 これは使える気がしたけど、辞書をひいてあきらめた。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E5%85%B1%E8%B5%B7&stype=0&dtype=0
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きょうき1 【共起】
(名)
スル
〔専門〕 言
〔補説〕 co-occur
複数の言語現象が同一の発話・文・文脈などの言語的環境において生起すること。「しとしと」は「雨が降る」とは共起するが、「雪が降る」とは共起しないといえる。アメリカの言語学者ハリス(Z. S. Harris (1909- ))の用語。
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 国語辞書が専門用語にしている。文法音痴の素人がそんな言葉を使ってはいけない気がして尻込みしている。
 初めてこの言葉を聞いたときにはたしかに異和感があったが、いまはない。ひとつ賢くなったとも言えるが、一種の感覚麻痺とも言える。やはり、一般の辞書が専門語扱いしているような言葉は使うべきではない。でも便利そうなんだよな~(泣)。
「非文」なんかも国語辞書にはのっていない。やはり使っちゃダメなんだろう。しかも「非文」は「規範文法」の用語ではなく「記述文法」の用語らしい。そりゃ避けといたほうが無難だ。


「コンテクスト」「コンテキスト」
「文脈」にしておくべきだろうな。ちなみに「前後の文脈」ってよく目にするけど……やはり重言だろう。


「逆接」「順接」
 以前、「専門用語」だと指摘を受けた。でもフツーの国語辞書にのっているしなー。非常にわかりやすい言葉だし、よく目にする。そんな言葉まで避ける気はない。専門用語ではどういう意味なのかは知りません。


「蓋然性」
 これはどちらかと言うと数学系の言葉だと思う。国語辞書にものっているので専門用語ではないのだろうが、要注意。「蓋」は常用漢字に追加されたらしい。字面が森駅の名物弁当っぽいし、なじみが薄い。当方なら「必然性」とか「確率」に書きかえる。微妙なニュアンスの違いはあえて無視する(わかってないだけ?)。


「恣意的」
「恣」も新たに常用漢字に加わったらしいけど、なじみが薄い。これは一般語だと思うけど、個人的には使えない。「(自分)勝手」とか書いてしまう。微妙なニュアンスの違いはあえて無視する(わかってないだけ?)。


【新常用漢字(常用漢字に追加された196字)】
http://www.kanjijiten.net/joyo/newjoyo.html

バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考〈1〉〜〈3〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年10月10日から

 直接的には下記の続きだろうな。
【北67/帰省日記2010年夏編8──方言】おはようございました
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1598388590&owner_id=5019671

 テーマサイトは下記。
【「○○で,よろしかったでしょうか?」】 国立国語研究所
http://www.ninjal.ac.jp/products-k/kokken_mado/11/05/

 まず全文を転載する。
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【質問】
最近,ファーストフード店やファミリーレストランで品物を注文すると,店員が「○○で,よろしかったでしょうか?」と,注文を繰り返すことがよくあります。なぜ過去形で問われるのかと違和感を覚えます。「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」の方が適切ではないのでしょうか。

【回答】
「よろしかった」の「~た」は,過去の意味だけでなく,確認の意味で使われることもあります。店員が注文を復唱する場面で使われている「~た」は,確認の意昧ではないかと考えられます。

それを確かめるために,ファーストフードのM社に尋ねてみました。同社では,各店の店長がアルバイトの店員に,客の注文をしっかり確認するよう指導し,「○○で,よろしかったでしょうか?」という接客敬語を口伝えで教えているそうです。店員はこのような接客マニュアルにしたがって応対しているのです。ついでに,ホテルや洋品店にも尋ねてみたところ、この場面では,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」が適切だ,ということでした。いずれも敬語を含む丁寧な表現ですが,「よろしかったでしょうか?」は,客に確認を求める丁寧表現,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」は,客に許可を仰ぐ丁寧表現という違いがあります。

なぜ,「○○で,よろしかったでしょうか?」に違和感を覚えるのか,質問者のお気持ちを推察してみましょう。質問者は,この場面は,客に許可を仰ぐべき場面とお考えのようです。それなのに,確認を求められるから,違和感を持たれるのでしょう。客の中には,値段の安い品物を注文して,「○○で,よろしかったでしょうか?」と確認されると,もっと高い物でなくていいのか,と言われているような気がする人もいるでしょう。食べ物だけ注文して,「お飲み物は,よろしかったでしょうか?」と確認されると,セットでの注文を迫るような,おしつけがましさを感じる人もいるでしょう。このように,「よろしかったでしょうか?」という確認の表現は,客の場面や状況の捉え方しだいでは違和感を持たれることになります。

例えば,ズボンの裾上げを頼んでおいた洋品店で,確認のため試着した後に,「この長さで,よろしかったでしょうか?」と言われたらどうでしょうか。違和感を覚えない人も多いだろうと思います。もちろん,この状況でも「よろしいでしょうか?」の方が適切だと考える人もいるでしょう。

客にはそれぞれ個性があります。敬語の使い方についての規範意識も人それぞれです。接客マニュアルどおりの画一的な応対は,能率的に均質なサービスを提供できる長所もあるのですが,客の個性に対する配慮が足りないという欠点もあります。客の気持ちに配慮して,場面や状況に応じた表現の工夫をすることが,大切なのではないでしょうか。
(吉岡 泰夫)
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 最近見つけた上記にサイトはかなり信頼できるものと考えている。そりゃ相手は国立国語研究所だよ。だが、この項目の書き方には異和感がある。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 とうとうこういうものにまで見境なくインネンをつけるようになったか(黒笑)。
 微妙な問題であることはわかるが、こんなに曖昧な書き方をされると読んでいて不安になる。
「意昧ではないかと考えられます」とか「違和感を覚えない人も多いだろうと思います」とか……ここまでボカす必要があるのだろうか。
 内容でイチバンひっかかったのは、下記の部分。

>いずれも敬語を含む丁寧な表現ですが,「よろしかったでしょうか?」は,客に確認を求める丁寧表現,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」は,客に許可を仰ぐ丁寧表現という違いがあります。
「よろしかったでしょうか?」は確認。そうでしょうね。そんなところにまでインネンをつける気はない。
「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」だって確認じゃないか? それは過去形/現在形とは関係のない話だろう。
 日本語の「~た」は過去形とは限らないが、この場合は「過去形に見える(聞こえる)」ことが異和感につながっているのでは。
 注文を聞いた直後に過去形で確認するからヘンなだけではないか。
 いったん注文を受けたあと、しばらくしてから何か理由があって「ご注文の品は、○○でよろしかったでしょうか?」と確認するなら何も問題はない(「よろしいでしょうか?」と現在形を使ってもおかしくないけど)。
 あるいは注文の料理を全部出して、「ご注文の品は、以上でよろしかったでしょうか?」と確認するのもさほどおかしくない(これも「よろしいでしょうか?」と現在形を使ってもおかしくないけど)。

>客の中には,値段の安い品物を注文して,「○○で,よろしかったでしょうか?」と確認されると,もっと高い物でなくていいのか,と言われているような気がする人もいるでしょう。食べ物だけ注文して,「お飲み物は,よろしかったでしょうか?」と確認されると,セットでの注文を迫るような,おしつけがましさを感じる人もいるでしょう。
 前者はクレーマーのインネンだよ。じゃあ値段の高い品物を注文して「○○でよろしかったでしょうか?」と確認されると、「味もわからないクセに見栄張って、と言われている」という気になる? 後者も別の問題って気がする。
 どちらの場合も「よろしいでしょうか?」と現在形にしても問題の解決にはならない。過去形ウンヌンではなく、「おしつけがましさ」のほうが問題だろう。


「バイト敬語」に関しては下記参照。
http://1311racco.blog75.fc2.com/?q=%A5%D0%A5%A4%A5%C8%B7%C9%B8%EC


バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考 2
mixi日記2010年12月04日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1633363485&owner_id=5019671

 下記のベストアンサーの発想はなかなかおもしろい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1251150092
================================
この奇妙な日本語は、ファミレスなどでオーダーをしたときに、客のオーダーの復唱に使われたのが始まりだと認識しています。
問い返すなら、"よろしいでしょうか"が正しい。

私が思うに、ファミレス、コンビニなどでは、総てマニュアル通りに仕事をするのが基本になっている。このマニュアルの元はアメリカかのものを真似たものです。英米語圏では、このように客のオーダーを復唱するときには、丁寧な表現で品名をあげた後に
"Would it(they) be correct?" と聞きます。"間違いないでしょうか?"の丁寧表現で、単なる表現では現在形の疑問文:
Is(Are) it(they) correct? です。

この丁寧表現を最初に日本語に訳した翻訳者が、過去形と間違った。それが連綿と訂正されることなく続いているものと推測します。

それにしても、そのまま続けるのは情けない。店の格式に影響しています。
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「過去形のほうが丁寧になるのは日本語も英語も共通」というコメントは目にしたことがあった(下記参照)。
 もう一歩進めて、「英語のマニュアルが原点ではないか」という考え方もできるのだろうか。
 仮説としてはアリだが、バイト敬語の源流とされるビデオは日本製だしなー。ほかの一連のバイト敬語(「~から」「~になります」あたり)も無理矢理和訳と言えるだろうか。
 【1】にも書いたとおり、最大の問題は「よろしいでしょうか」にしても「押し付けがましさ」が消えないことだろう。注文を聞いた直後だと、「よろしいでしょうか」だって十分に押しつけがましい。「~でございますね」あたりが無難なのでは? これも押し付けがましいかな。
 o( ̄ー ̄;)ゞううむ
 なんて言うのが無難なんだろう。

【バイト敬語の源流 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1326.html
【北67/帰省日記2010年夏編8──方言】おはようございました
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1571.html
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2)〈北海道の方言だというご意見〉
 この説もよく聞くけどマユツバもの。筆者も「大量の道産子が就職したというのか」と疑問に感じている。
 一応道産子として言わせてもらうと、当方にはこの妙な過去形が北海道弁という感覚が薄い(弱い?)。この話は比較的近い時期に書いたはずなんだが、どこだったか見当がつかないorz。で、もう一度書く。北海道のビジネス用語としては一般的なのかもしれないが、当方は北海道で働いた経験がないのでなんとも言えない。
 北海道のガイドブックを作るために札幌の人間とコンタクトをとっていた時期がある。「長野でした」は記憶にないが、開口一番「お世話さまでした~」と言うのはいつものこと。初めて聞いたときは電話を切りそうになった(笑)。ただ、「過去形のほうが丁寧」という意識があるか否かは不明。英語でも「could」(would)のほうが丁寧なのはたしかだが、ちょっと強引だろう。
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【20110315追記】
 NHKの見解もあった。やはりポイントは「押しつけがましい印象」ってことだろう。
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/kotoba_qa_02030101.html
 ※リンク切れ。下記に引っ越したみたい。
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/060.html
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ことばQ&A
よろしかったでしょうか?

02.03.01

上司に「君の『よろしかったでしょうか』の使い方はおかしい」と指摘されました。
「よろしかったでしょうか」は、おもに「確認」のための言い回しです。

【解説】
 しかし最近、これまでの考え方からすると「確認」だとはいいにくい場面で「よろしかったでしょうか」を使う人がたいへん増えています。誤解を招きかねないので、使い方には注意が必要でしょう。

 「よろしかったでしょうか」のこれまでの使い方には、例えば次のようなものがあります。

  A 「さきほどご注文されたのは)レバニラ炒めで
    よろしかったでしょうか。」
  B 「ご自宅用にお包みしてしまいましたが、
    よろしかったでしょうか。」

 Aは、「さきほど聞いた注文」を「確認」するものです。Bは、「すでに自宅用の包装にしてしまったが、それで問題ないか」ということを「確認」するものだと言えます。

 それに対して最近問題になっているのは、次のようなものです。

  C 「いらっしゃいませこんにちは。こちらで
    お召し上がりでよろしかったでしょうか。」

 お客さんは、まだこちらで食べるとも何とも言っておらず、厳密な意味では「確認」だとは言いにくいでしょう。このような状況で、「こちらで食べること」が、さもあたりまえかのような物言いをされるのは非常に違和感がある、という指摘があります。

 文研で実施した調査では、このような状況での「よろしかったでしょうか」は、全体の半数近くの人が「変な言い方だ」と答えています(詳細は『放送研究と調査』3月号)。

 「よろしかったでしょうか」を不用意に連発すると、「自分はこう考えてるけどそれでいいよね」というやや押しつけがましい印象を与えかねません。注意したほうが「よろしい」でしょう。
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【バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考 3

 直接的には下記の続きだろうな。
314)351)【バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考1&2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1572.html

444)【「よろしいですか?」の謎】Yahoo!知恵袋
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1861.html

369)【読書感想文/『続弾! 問題な日本語』1(北原保雄編/大修館書店/2005年11月3日初版第1刷発行)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1717.html


 テーマサイトは下記。
【「~でよろしかったでしょうか?」は文法的にも間違いですか?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1080382975


「~でよろしかったでしょうか?」に関しては何回か書いてきた。
 いろいろな話を目にするので、改めて書いてみる。過去に書いたもののポイントも抜粋して決定版(大きく出たもんだ)にしたい。
 そもそも、なぜこの表現に異和感をもつ人が多いのか。


●注文した直後なのに「過去形」を使うのは×
 一般的な意見は、注文した直後なのに「なぜ過去形を使う?」だろう。「過去形」は正確な言い方ではないが、ここでは「よろしかった」の類いを過去形、「よろしい」の類いを現在形と呼ぶことにする。
 ほかにも理由があるにせよ、異和感のイチバンの原因はこれだと思う。
 あえて過去形を使うのは、「過去形のほうが丁寧な印象がある」という幻想があるからだろうか。感覚的にはわからなくはないが、信憑性は……。ルーツには、「北海道の方言説」「過去形のほうが丁寧になるのは日本語も英語も共通」などがある(↑「351)」参照)。
 このあたりは「314)」に書いたとおり。
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 注文を聞いた直後に過去形で確認するからヘンなだけではないか。
 いったん注文を受けたあと、しばらくしてから何か理由があって「ご注文の品は、○○でよろしかったでしょうか?」と確認するなら何も問題はない(「よろしいでしょうか?」と現在形を使ってもおかしくないけど)。
 あるいは注文の料理を全部出して、「ご注文の品は、以上でよろしかったでしょうか?」と確認するのもさほどおかしくない(これも「よろしいでしょうか?」と現在形を使ってもおかしくないけど)。
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●「よろしかったでしょうか?」を確認を求める表現だから×
 ──国立国語研究所の主張
「314)」に引用した国立国語研究所のサイトhttp://www.ninjal.ac.jp/products-k/kokken_mado/11/05/が主張している。
 どうやら「よろしかったでしょうか?」は確認を求める表現だから×で、「よろしいでしょうか?」は許可を仰ぐ表現だから○ということらしい。この主張は、当方にはまったく理解できない。注文直後の「よろしいでしょうか?」は、確認を求める表現だと思う。


●そもそも「よろしかった」という表現自体がヘン
 ──『問題な日本語』『続弾! 問題な日本語』』の主張
「でしょうか」がつかない「よろしかった」は、たしかに使用頻度が低い気がする。とくに男性はあまり使わないような……。
 だからと言って、そもそも「よろしかった」がおかしいから「~でよろしかったでしょうか?」もおかしいという論理が成り立つのだろうか。
 上品(一応)な女性が「~でよろしかったかしら」と口にするなら不自然とは思えない。「~でよろしかったでしょうか」だって丁寧な言葉づかいとしてどこが不自然なのか、わからない。↑に書いたように、〈しばらくしてから何か理由があって「ご注文の品は、○○でよろしかったでしょうか?」と確認する〉などのケースなら、何も問題はないと思う。
「テーマサイト」にも2冊の書籍からの引用が見られるが、あの引用のしかたで適切なのだろうか。

「369)」からひく。
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「ふたたび よろしかったでしょうか」(p.104~)
【関連日記】http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1572.html
 書き手は北原保雄。
 この問題は前弾でも扱っている。そのときの結論は下記。
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し終わった注文について「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」と言うのは、〈過去のことについての現在における評価〉を表す表現と理解できます。
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 この問題に対する意見はいろいろあるが、この説はけっこう珍しい。再度質問が来たのはこの説明では納得できない人が多かったからでは。
 今度の結論は下記。
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一連の流れの中で行われている事柄について「~た」と過去形を使うのは間違いではありませんが、「よろしかったでしょうか」の場合は、そもそも「よろしかった」があまり使われない表現であるため、不自然に感じられるのでしょう。
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 そうなのだろうか。文中の説明では、「昨日の料理はよかった」とは言えても「昨日の料理はよろしかった」はヘンだと言っている。
 ということは、「注文は以上でよかったでしょうか」ならおかしくないことになる。違うんじゃないかな。
「よかった」に比べると「よろしかった」のほうが丁寧で上品なイメージがある(説明は省略)。だから接客業では現在形なら「よろしいでしょうか」、過去形なら「よろしかったでしょうか」を使うほうが多い。これを「よかったでしょうか」ならOKなんてムチャだよ。
 これはやはり、過去形だろうが現在形だろうが、聞いた直後に確認するから押しつけがましいと考えるべきでは。
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●「~でよろしかったでしょうか?」と「~でよろしかったですか?」の違い
 ちょっと気になることがあるので、〈過去形と現在形〉のほかに、「です」と「でしょう」などに関してもふれておく。

 【よろしい】を使った形
  1)~でよろしいですか(これを「原形」とする)
  2)~でよろしいでしょうか(「ですか」を「でしょうか」にした形)
  3)~でよろしかったですか(過去形)
  4)~でよろしかったでしょうか(過去形&「ですか」を「でしょうか」にした形)

 【よい】を使った形
  1)~でよいですか(これを「原形」とする)
  2)~でよいでしょうか(「です」を「でしょう」にした形)
  3)~でよかったですか(過去形)
  4)~でよかったでしょうか(過去形&「です」を「でしょう」にした形)

 一般に、疑問文の「ですか」を「でしょうか」にしたほうが丁寧な印象になる。ちゃんと説明するのはメンドーだから、↑の例文を比べてほしい。一般論では、「曖昧な表現のほうが丁寧な印象になる」ってことだろう。近年の「バイト敬語」のようになんでもかんでも曖昧な表現にすると、気持ちが悪くてかえって失礼になる(時には誤用になることも)……というのは別の話になる。
 ついでに書いておくと、「よい」と「よろしい」の印象の違いも↑の例文で確認してほしい。
「よい」のほうが自然だし、こちらのほうが丁寧な感じになるとお考えの人は、ご自由にお使いください。
 もうひとつ気になるのは、「形容詞+です」の問題。
 うしろに「か」がつくと、異和感が緩和されるはず。「よろしいですか」にはほとんど異和感がないが、「よいですか」(「いいですか」なら少しマシ)だと相当異和感がある。
「形容詞+です」は後ろに「か」「よ」「ね」などがつくと異和感が緩和される。「よろしかった」が後ろに「かしら」「でしょうか」がつくと使用頻度が上がる気がすることと、関連がありやなしや。
【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671

 そういったことを考えると、現在形だろうと過去形だろうと、〈「ですか」を「でしょうか」にした形〉のほうが丁寧なはず。
 もちろん、丁寧でなければダメというわけではないし、できる限り丁寧なほうがいいというわけでもない。
 ただ、「でしょうか」の形に慣れている人にとっては「ですか」の形が敬度不足に感じられる可能性がある。それでも「ですか」を使いたい人はどうぞご自由に。
 一般には2)と4)で考えるほうが簡明だろう。1)や3)を考慮していると、話がメンドーでしかたがない。アチコチのやり取りを見ていると、ここを意識していない人も多い気がする。
「~でよろしかったでしょうか」は×で「~でよろしいですか」が○などと主張されると、どこがポイントなのかわからなくなる。

【20110205追記】
 ↑の話は、主として注文を受けた直後に「ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか?」と訊く類いの話。
 少し違う形もある。
 ファストフードで、入ってきた客にいきなり「いらっしゃいませこんにちは。店内でお召し上がりでよろしかったでしょうか?」と言うことがあるらしい。
「いらっしゃいませこんにちは」「お召し上がり」の話はパスするとして、いきなり「~でよろしかったでしょうか?」はナシだろう。バイト敬語(マニュアル敬語)おそるべし(笑)。
 事態はもっと深刻で、笑ってもいられないようだ。ホテルでの実体験を踏まえたコメントをもらった。ホテルを訪れたらドアマン(ベルボーイ)が歩み寄り、「チェックイン(のほう)でよろしかったでしょうか」と言ったとか。
 これはムチャクチャ。「のほう」までついたら、支配人を呼ぶかもしれない。
 ある意味ファストフードより罪が深い。ファストフードの選択肢は「店内でお召し上がり」か「お持ち帰り」にほぼ限られる。
 ところがホテルの場合は選択肢は多い。
 チェックインなのか待ち合わせなのか、デイユース(だったかな。要は「ご休憩」)なのか、トイレを借りるだけなのか……それを問い質すのは「いらぬ詮索」ってもんだ。「いらっしゃいませ」で十分だろう。あるいは、ドアマンなら無言という選択肢もあるかもしれない。
 これがフロントなら話は別。
 それでも「チェックインでよろしかったでしょうか?」はナシだろう。
「チェックインでよろしいでしょうか?」だってちょっとひっかかる。「チェックインでございますか?」あたりのほうが自然では。とにかく正しい接客の代表格のはずのホテル従業員が「~でよろしかったでしょうか?」はナシ。
「314)」で引用したサイトにも下記のようにある。
================================
ホテルや洋品店にも尋ねてみたところ、この場面では,「よろしゅうございますか?」や「よろしいでしょうか?」が適切だ,ということでした。
================================


【20120206追記】
 下記のサイトはかなりおかしい。
【これでも「よろしかったでしょうか」を認めない奴は何が不満なんだ!】
http://anond.hatelabo.jp/20091010002215

●遠慮がちな結論
 結論めいたものを何も書いていない気がするので、遠慮がちに書いておく。
「~でよろしかったでしょうか?」は文法的には間違っていない。注文を聞いた直後に「~でよろしかったでしょうか?」と確認するのはちょっとヘンだと思うが、メクジラを立てるようなことではないだろう。もしホントに「~でよろしかったでしょうか?」がダメなら、「~でよろしいでしょうか?」だってダメな気がする。
 ただ、接客の基本を考えてほしい。これだけ「~でよろしかったでしょうか?」が問題視されてしまうと、どんなに正当化する論理があっても、使うべきではない。よけいなトラブルの元だもん。「それはおかしい」と指摘する客を論破して何かいいことあるの?
 さらにイヤなのは、こういう妙な表現が広まると、拡大解釈する●●が出てくること。【20110205追記】で書いた「いきなり」も相当イヤだけど、もっとトンデモナい使い方も出てくる気がする。
 そんなことになるくらいなら、「~でよろしかったでしょうか?」を封印するほうが無難じゃないかな。

 個人的には
「以上でございますね。(少々お待ちください)」
「以上でございますね。承りました」
 くらいのほうがスマートだと思う。でもこれを「丁寧すぎる」と感じる人もいるらしい。丁寧すぎて何が悪いかわからないが、そう考えるなら「よろしいでしょうか?」あたりがいいだろう。

【20140629追記】
「よろしかったでしょうか?」の類似表現として「おそろいになりましたでしょうか?」というのもあるらしい。
 これはこれでヘンだと思う。
【Googleのコーパス?的な利用法 直裁 直截 お揃いですか お運び漏れ〈1〉〜〈3〉】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-3020.html

●バイト敬語/若者言葉のコレクション
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html

【つまらんダジャレは嫌いだぁ!61──「大きな」と「大きい」の違い〈1〉〜〈3〉】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

mixi日記2010年01月21日から。

「みなさ~ん、今日は反対の言葉の勉強をします。〈大きな木〉の反対の言葉がわかる人。ハイ、tobiクン」
「はい、センセー。〈大きくない木〉です」
「それも反対の言葉ですね。ほかに〈ナントカでない〉を使わない言葉を考えましょう」
「センセー、〈ナントカ出ない〉って便秘ですか?」
「イラッ。tobiクン、ふざけてないでまじめに考えましょうね。いまそんなことは関係ありません」
「はい、センセー。〈フツーの木〉でどうよ」
「ピキッ。tobiクン、ちょっとこちらにいらっしゃい。〈大きな木〉の反対の言葉になる〈ナントカな木〉ですよ」
「……じゃあ、大きな茸」
「それは木じゃないだろ! 〈ナントカな木〉だって言ってるだろうが、クソガキ!」
「痛い痛い、tobiクンの〈大きくない茸〉をイジめないで。シクシク」
 ……それは〈オトコなキ〉?


 えーと、今回のテーマは「大きな」と「大きい」の違い。
 最近参加したコミュの過去のトピでおもしろいテーマを見つけた。
【「大きいかぶ」と「大きいなかぶ」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26354322&comm_id=1585030

「大きな」と「大きい」はどう違うか。これは昔から疑問だった。イチバンの違いは「大きな」は連体詞で「大きい」は形容詞。意味はほぼ同じ。ただし、「大きな」が洗練された言葉で、「大きい」は子供っぽい言葉、ってイメージがあった。
「1」でリンクが張ってあるサイトは興味深い。※リンク切れ。
http://kite.meikai.ac.jp/japanese/meikainihongo/7/sasaki.pdf
↓にかわったらしい。
http://www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/meikainihongo/7/sasaki.pdf

 この論文によると、基本的には「大きな」と「大きい」には互換性があるが、微妙に違う点もある。ポイントを箇条書きにしてみる

1)「大きい」しか使えない例
「大きいのしかない」(小銭がないとき)
「大きいお兄さん」(最年長の兄の意味)
※tobiメモ 「最年長」だろうか。単に「年長」だと思う。「大きいお兄さん」の上に、ずーっと年の離れた「別格のお兄さん」がいてもおかしくはない。

2)「大きな」しか使えない例
 主として慣用句。
「おっきなこと」「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」「大きなお世話」
※tobiメモ なぜ「大きなこと」だけ「おっきな」になっているのかは不明。さらに、「おっきなこと」だけは「大きい」にできるらしい。全部、「大きな」が自然だと思うけど、「お世話」以外は「大きい」が間違いと断言する自信がない。

3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 

 コメントの「3」に〈「大きな」の品詞は、連体詞とする見方と、連体形しかないナ形容詞とする見方とがあるようです。(辞書によって違ったりします。)〉とある。
 ちょっと調べてみた。

ネット辞書『大辞泉』
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%AA&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=027541021701000
================================
[形動]《形容動詞「おおきなり」の連体形「おおきなる」の音変化》
◆「声の大きな人」のように、述語としても用いられるので、形容動詞と認められる。連体形だけが用いられる。
================================

ネット辞書『大辞林』
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%AA&dtype=0&stype=1&dname=0ss
================================
(形動)
〔補説〕 形容動詞「おおき(なり)」の連体形から。現代語では連体形「おおきな」の形だけが用いられる
〔補説〕 「おおきな」を連体詞とする説もあるが、この語は「耳の大きな人」などのように、述語としてのはたらきをもっている点が、一般の連体詞とは異なっている
================================

 手元の『広辞林』には連体詞しかのっていない。
 Wikipediaだと、「大きな」「小さな」「おかしな」は連体詞。こうなってくると、当方が口を挟めるような問題ではない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E4%BD%93%E8%A9%9E

 ただ、基本的には「大きな」の類いを使うのが無難だと思う。
「大きいのしかない」「大きいお兄さん」は、子供っぽさが感じられる用法なので「大きい」のほうが自然なのかもしれない。ただし、「大きなのしかない」「大きなお兄さん」はダメと断言する勇気もない。

 実はつい最近読んだ小説に「小さい」が出てきた。これはなぜか「小さな」にはしにくい気がした。どうなんだろう。

  尚子の小さいときは、もっと荒々しい急流だった。
  『おとこ坂 おんな坂』(阿刀田高)

【追記】
「小さいとき」は「小さなとき」にしにくい。松任谷由実(「荒井」じゃないんだ)の『やさしさに包まれたなら』の冒頭の「小さい頃」も同様の気がする。単に慣れの問題?
http://www.evesta.jp/lyric/artists/a3091/lyrics/l25227.html


「大きな」と「大きい」の違い〈2〉

 いかんなぁ。〈1〉で書いた{細かい/細かな}ツッコミの対象は、リンク先の論文ではなく、引用されている『現代形容詞用法辞典』だった。
 論文のほうは、あんな乱暴な書き方はしていない。収集した文例を徹底的に分析している。分析した結果は……よくわからない(泣)。

 論文を再読して、メモしておきたいことが出てきた。
================================
「大きい⇔大きな」のように語尾イとナが交替形をもつ語彙は、管見の範囲では下記の8組である。
「大きい⇔大きな」「小さい⇔小さな」「おかしい⇔おかしな」「細かい⇔細かな」
「やわらかい⇔やわらかな」「あたたかい⇔あたたかな」「間近い⇔間近な」「手近い⇔手近な」
================================

 後ろの2組はめったに見ないが、その話はパス。
 8組もあるんだ。考えたけど5組しか出てこなかった(泣)。
 この8組は2グループに分けることができる。

A「~な」が連体詞のもの
※もう少し正確に書くなら、連体詞説と形容動詞説の両方があるもの。「~な」を「~だ」にできないもの、が正確かも。
  1)「大きい⇔大きな」
  2)「小さい⇔小さな」
  3)「おかしい⇔おかしな」

B「~な」が形容動詞の活用形のもの
  4)「細かい⇔細かな」
  5)「やわらかい⇔やわらかな」
  6)「あたたかい⇔あたたかな」
  7)「間近い⇔間近な」
  8)「手近い⇔手近な」

 下記のような論文もあるらしい。内容はよくわかんない。やはり「とき」の場合は「小さい」が圧倒的に優勢らしい。
http://miuse.mie-u.ac.jp/bitstream/10076/11766/1/20C15124.pdf
==============引用開始
4 まとめ(結論)
残された課題も多いが、「BCCWJ09_BK」に見られる名詞を修飾する「小さい/な」の用例によっ て明らかになったいくつかの点をまとめておきたい。
(1)被修飾名詞全体において「小さい」が占める割合は小さい。26.9%
(2)しかし、総ての名詞において少ないのではなく、その割合が 80%を超える名詞もある。
(3)「小さい」の割合が圧倒的に高い(80%以上の)名詞は、そのほとんどがいわゆる形式名詞と呼ばれるものである。
「場合」:10%、「順」:10%、「とき」:98.7%、「時」:96.3%、「ほう」:94.7%、「ころ」:91.8%、 「頃」:89.7%、「方」:81.8%
(4)形式名詞でない名詞にも、「小さい」の割合の高いものが見られる。
「順」:1(10%)、「サイズ」:0.571(57.1%)、「単位」:0.571(57.1%)
(5)「小さい/な」+形式名詞において、「小さい」が占める割合は圧倒的に高い。73.7%
(6)「小さい/な」+具象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.8%
(7)しかし、「小さい」の割合が高い名詞も見られる。
「子」:0.64、「人間」:0.60、「容器」:0.57、「人」:0.5、「商店」:0.50、「男」:0.43、「袋」:0.3、
「動物」:0.3、「子供たち」:0.31、「子供」:0.30
(8)これらの名詞(「子」「子供たち」「子供」、「人間」「人」「男」)には年齢を表す表現や連体修飾節用
法の割合が大きい。
(9)「小さい/な」+抽象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.3%
(10)連体修飾節用法率が高いものは、「小さい」の出現率も高い傾向が見られる。しかしその逆は真ではない。
(11)具象名詞と抽象名詞における「小さい」の出現率を見ると、ほとんど変わらず、「小さい」は具象名詞に係りやすく、「小さな」は抽象名詞に係りやすいというは一般化できない。
(12)しかし、抽象名詞内で、より抽象度の高い名詞とより抽象度の低い名詞を比較すると、わずかであるが、「小さい」が抽象度の高い名詞に係りにくい傾向が見られるようである。
==============引用終了


【大きい古時計と大きな古時計の違いは?】
http://www.alc.co.jp/jpn/teacher/soudan/015.html
 ↓
http://www.alc.co.jp/jpn/article/soudan/015.html
================================引用開始
15 大きい古時計と大きな古時計の違いは?

Q 現在、ボランティアで日本語を教えています。ちょうど初級の形容詞を教えているのですが、学生から「大きい古時計」と「大きな古時計」はどう違うのかと聞かれて困っています。どのように答えればよいでしょうか。(学習者の国籍は中国。レベルは初級前半)


A 「大きい」はいわゆるイ形容詞で、「大きいです」「大きくなる」「大きい町」のように形を変えます。これに対して「大きな」は名詞につくときは「大きい」と同じように直接つくので形容詞のように見えますが、形容詞と違って名詞の前以外に使わないので特殊なものとして、一般に「連体詞」と分類されています。名詞の前にしか使わないものにはほかにどんなものがあるか、考えてみてください。「小さな」「ある(ある人)」「あらゆる」などそうですね。

 さて「大きい」と「大きな」は「~古時計」の例のようにどちらも同じように名詞の前に使われることもありますし、慣用的にどちらかが多い場合があります。慣用的には
  「大きな顔をする」
  「大きな口をきく」
  「大きなお世話だ」
など「大きな」が一般的です。また、抽象的な語については「大きな」がよく使われます。
  「平和の維持は大きな問題だ」
  「博士の大きな業績にはだれでも頭がさがる」
など、「大きい」でもいいのですが「大きな」のほうが多いでしょう。それに対して、具体的に大きさ、つまりサイズを問題にした場合、
  「もっと大きいのはありませんか」
  「あげものには大きいフライパンのほうがいい」
のように「大きい」が多いようですが、これは絶対とはいえません。

 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。
================================引用終了


「大きな」と「大きい」の違い〈3〉

 テーマサイトは下記。
【”大きい犬”と ”大きな”とは、どのような使分けをすれば良い、のでしょうか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9075399.html

 質問内容はタイトルのとおり。
「大きい犬」と「大きな犬」の使い分け。
 個人がどう使い分けるのかは自由だろうが、それが一般性を持つか否かは疑問。そんな使い分けの基準とかルールなど聞いたことがない。一部の例外を別にすれば、どちらを使っても間違いではないはず。
「どのような使い分けをすればよいか」と訊かれたら、「使い分けのルールはない。使い分けるのは自由だが、たぶん伝わらない」と答えるしかない。
 回答を読んでいくと、「大きい」は客観的で「大きな」は主観的、という説が多い。ホントにそんなことが言えるのだろうか。こんな話でなぜ「主観・客観」の話が出るのか理解できない。「主観・客観」の話は辞書なんかでもたまに目にする。同意できることもなくはないが、疑問を感じることが多い。
 たとえば下記のコメントNo.30からひく。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8773212.html
==============引用開始
3)哲学や心理学ではあるまいに、いまどき国文法での「主観・客観」論議は、具体的に例文の提示内容やその度合いの識別があいまいなタームとして、ほとんど使われなくなっています。
==============引用終了

 根拠は不明だが、文法に詳しいかたがここまで断定するのだから、信用してよいと思う。
 mixiでトピも立ててみた。「主観・客観」を支持する意見はもらえなかった(これだけ過疎ってるんじゃしかたないか……)。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2748&id=76543475

 そもそも「大きい」とか「小さい」というのは相対的(かつ主観的)なものだから、「主観」か「客観」かと言うなら「主観」だろう。それは「大きな」だって同じこと。
「大きい犬」と聞いてどの程度の大きさを想起するか。
 極端なことを言えば、小型犬を飼っている人から見たら中型犬は「大きい犬」だろう。
 超大型犬を飼っているいる人から見たら中型犬は「大きい犬」ではない。
 これも「大きな犬」と言っても同じこと。
 
 その話は別にして……。
 個人的には「大きい犬」と「大きな犬」に違いは感じない。したがって、使い分けはしようがない。
 ただし、自分では「大きな犬」と言う。繰り返すが、単に個人的な趣味の問題でしかない。類語辞典をひく。
 
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/14346/m0u/%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%84/
==============引用開始
大きい(おおきい)/大きな(おおきな)/でかい

[共通する意味]
★数量や程度、占める割合などが多い。
[英]
big; large
[使い方]
〔大きい〕(形)
〔大きな〕(連体)
〔でかい〕(形)
[使い分け]
【1】「大きい」は、「夢が大きい」「大きく夢みる」のように述語として、また 連用修飾語としても使うが、「大きな」は「大きな…(名詞)」という言い方でしか使わない。
【2】物事の程度や、関わる範囲などが大であるという意で名詞を修飾する場合、その名詞が「問題」「影響」など抽象名詞のときは、「大きな」を用いることが多い。
【3】「でかい」は、実際に数量や、スケールが大きい場合に使う。「大きい」「大きな」より、くだけた言い方になる。「でっかい」とも。
[反対語]
▼大きい⇔小さい 大きな⇔小さな でかい⇔ちっちゃい
==============引用終了
 ↑の辞書には、「主観・客観」の類いの解説がよく出てくる印象がある。その辞書でさえ、「大きい/大きな」に関しては「主観・客観」とは書いていない。
 やはり違うのでは。

 この辞書の記述を踏まえて、〈1〉〈2〉の話をまとめる。
1)「大きな」「大きい」の最大の違いは、用法の違い
 簡単に言うと、「大きな」は「大きな○○」のような使い方しかしない。連体詞だから当然だろう。
 〈1〉でひいた下記のサイトの結論を引用する。
【大きい古時計と大きな古時計の違いは?】
http://www.alc.co.jp/jpn/teacher/soudan/015.html
 ↓
http://www.alc.co.jp/jpn/article/soudan/015.html
==============引用開始
 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。
==============引用終了

2)抽象名詞の場合は、「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
〈「問題」「影響」など抽象名詞のとき〉は、「大きな」を用いることが多い。当方が、「大きい」に子供っぽさを感じることと関係するかもしれない。

3)形式名詞の場合は「大きい」を使うことが多い(「大きな」が間違いということではない)
「大きいの」(これは「大きな」にはしにくいかも)「大きいほう」「大きいこと」etc.……

4)慣用表現は「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
「大きなお世話」(これは「大きい」にはしにくいかも)「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」


 さて、ここからはほぼ余談。
 きわめて主観的な話なので、「そんなことはない!」と言われれば、「そうかもしれません」と頭を下げます。
 当方には、「大きな犬」と「大きい犬」の違いはわからない。
 ただ、「小さい胸」と「小さな胸」にはかなり違いがある気がする。
 〈1〉からひく。
==============引用開始
3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 
==============引用終了

 ↑では「知らん」と書いた。
「小さな胸」でも「小さい胸」でも大差がないと思ったから、関知したくなかった。
 当方が誤読しているのか、論文の書き方が言葉足らずなのか……。
「小さい胸」は、たぶん「小さいバスト」だろう。だが、「小さな胸(を痛めた)」と言った場合は、バストではなくハートのイメージが強い。それなら「可愛らしい」と言ってもおかしくない。 これはきわめて珍しい例外では。
「小さい犬」と「小さな犬」の場合は……やはり違いがわからない。

 なぜか「小さい」は後ろに形式名詞が来ることが多い。
「小さいの」「小さいほう」「小さいこと」「小さい頃」「小さいとき」etc.……

 さらに言うと、「小さい」が負のイメージのときは、「小さな」にはしにくい(「小さな」が間違いということではない)。
「小さいこと」(これは形式名詞だから?)「(器が)小さい男」

「小さな秋」が不自然に感じるのは、「小さい秋」のイメージが強いから?



「大きな」と「大きい」の違い〈4〉
──”大きい犬”と ”大きな”とは、どのような使分けをすれば良い、のでしょうか?

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9075399.html
質問の内容。
==============引用開始
”大きい犬”と ”大きな”とは、どのように使分ければ良い、のでしょうか?
==============引用終了

No.5
回答者: 1311tobi

回答日時:2015/09/27 15:32
「大きな犬」と「大きい犬」の使い分け。


 昔、いろいろ調べました。文献も読みましたが、使い分けのきっちりしたルールなど見た記憶がありません。
 たとえある人がきっちり使い分けたとしても、相手はそんなふうにとるとは思えません。そんな自分勝手な使い分けに意味があるのでしょうか。
 当方は「大きな犬」を使い、「大きい犬」は使わないようにしています。
 単に好みの問題です。
 あえて理由をつけるなら、「大きい○○」のほうが少しだけ子供っぽく感じるからです。
 ただし、↓の論文によると、○○が下記のような形式名詞?の場合は「小さい」のほうが優勢なんだそうです。こういう使用例を集めた分析なら、意味があると思います。
「大きい」もそういう傾向がありそうです。ただし、「大きな」にしても「間違い」ではありません。
「とき」「時」「ほう」「ころ」「頃」「方」

 詳しくは下記をご参照ください。前半のヨタ話は無視してください。
【つまらんダジャレは嫌いだぁ!61──「大きな」と「大きい」の違い】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1149. …
 以下は一部の抜粋(重言)。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

「大きな」と「大きい」はどう違うか。これは昔から疑問だった。イチバンの違いは「大きな」は連体詞で「大きい」は形容詞。意味はほぼ同じ。ただし、「大きな」が洗練された言葉で、「大きい」は子供っぽい言葉、ってイメージがあった。
「1」でリンクが張ってあるサイトは興味深い。
http://www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/meikain …

 この論文によると、基本的には「大きな」と「大きい」には互換性があるが、微妙に違う点もある。ポイントを箇条書きにしてみる

1)「大きい」しか使えない例
「大きいのしかない」(小銭がないとき)
「大きいお兄さん」(最年長の兄の意味)
※tobiメモ 「最年長」だろうか。単に「年長」だと思う。「大きいお兄さん」の上に、ずーっと年の離れた「別格のお兄さん」がいてもおかしくはない。

2)「大きな」しか使えない例
 主として慣用句。
「おっきなこと」「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」「大きなお世話」
※tobiメモ なぜ「大きなこと」だけ「おっきな」になっているのかは不明。さらに、「おっきなこと」だけは「大きい」にできるらしい。全部、「大きな」が自然だと思うけど、「お世話」以外は「大きい」が間違いと断言する自信がない。

3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 

 コメントの「3」に〈「大きな」の品詞は、連体詞とする見方と、連体形しかないナ形容詞とする見方とがあるようです。(辞書によって違ったりします。)〉とある。
 ちょっと調べてみた。

(中略)

 下記のような論文もあるらしい。内容はよくわかんない。やはり「とき」の場合は「小さい」が圧倒的に優勢らしい。
http://miuse.mie-u.ac.jp/bitstream/10076/11766/1 …
==============引用開始
4 まとめ(結論)
残された課題も多いが、「BCCWJ09_BK」に見られる名詞を修飾する「小さい/な」の用例によっ て明らかになったいくつかの点をまとめておきたい。
(1)被修飾名詞全体において「小さい」が占める割合は小さい。26.9%
(2)しかし、総ての名詞において少ないのではなく、その割合が 80%を超える名詞もある。
(3)「小さい」の割合が圧倒的に高い(80%以上の)名詞は、そのほとんどがいわゆる形式名詞と呼ばれるものである。
「場合」:10%、「順」:10%、「とき」:98.7%、「時」:96.3%、「ほう」:94.7%、「ころ」:91.8%、 「頃」:89.7%、「方」:81.8%
(4)形式名詞でない名詞にも、「小さい」の割合の高いものが見られる。
「順」:1(10%)、「サイズ」:0.571(57.1%)、「単位」:0.571(57.1%)
(5)「小さい/な」+形式名詞において、「小さい」が占める割合は圧倒的に高い。73.7%
(6)「小さい/な」+具象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.8%
(7)しかし、「小さい」の割合が高い名詞も見られる。
「子」:0.64、「人間」:0.60、「容器」:0.57、「人」:0.5、「商店」:0.50、「男」:0.43、「袋」:0.3、
「動物」:0.3、「子供たち」:0.31、「子供」:0.30
(8)これらの名詞(「子」「子供たち」「子供」、「人間」「人」「男」)には年齢を表す表現や連体修飾節用
法の割合が大きい。
(9)「小さい/な」+抽象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.3%
(10)連体修飾節用法率が高いものは、「小さい」の出現率も高い傾向が見られる。しかしその逆は真ではない。
(11)具象名詞と抽象名詞における「小さい」の出現率を見ると、ほとんど変わらず、「小さい」は具象名詞に係りやすく、「小さな」は抽象名詞に係りやすいというは一般化できない。
(12)しかし、抽象名詞内で、より抽象度の高い名詞とより抽象度の低い名詞を比較すると、わずかであるが、「小さい」が抽象度の高い名詞に係りにくい傾向が見られるようである。


No.9ベストアンサー
回答者: 1311tobi

回答日時:2015/09/30 13:11
No.5でコメントした者です。


 No.8で〈「大きな」と「大きい」との間にそれほど意味的な差違は認められないと思います〉というコメントがあり、ちょっと安心しました。
 このような微妙な使い分けをしなければならいのか……と暗い気持ちになっていました。基準も不明なので、このような使い分けはできないと思います。

 詳しくは下記をご参照ください。
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12078860800.html
 以下は一部の抜粋(重言)。


 回答を読んでいくと、「大きい」は客観的で「大きな」は主観的、という説が多い。ホントにそんなことが言えるのだろうか。こんな話でなぜ「主観・客観」の話が出るのか理解できない。「主観・客観」の話は辞書なんかでもたまに目にする。同意できることもなくはないが、疑問を感じることが多い。
 たとえば下記のコメントNo.30からひく。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8773212.html
==============引用開始
3)哲学や心理学ではあるまいに、いまどき国文法での「主観・客観」論議は、具体的に例文の提示内容やその度合いの識別があいまいなタームとして、ほとんど使われなくなっています。
==============引用終了

 根拠は不明だが、文法に詳しいかたがここまで断定するのだから、信用してよいと思う。
 mixiでトピも立ててみた。「主観・客観」を支持する意見はもらえなかった(これだけ過疎ってるんじゃしかたないか……)。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2748&id=76543 …

 そもそも「大きい」とか「小さい」というのは相対的(かつ主観的)なものだから、「主観」か「客観」かと言うなら「主観」だろう。それは「大きな」だって同じこと。
「大きい犬」と聞いてどの程度の大きさを想起するか。
 極端なことを言えば、小型犬を飼っている人から見たら中型犬は「大きい犬」だろう。
 超大型犬を飼っているいる人から見たら中型犬は「大きい犬」ではない。
 これも「大きな犬」と言っても同じこと。
 
 その話は別にして……。
 個人的には「大きい犬」と「大きな犬」に違いは感じない。したがって、使い分けはしようがない。
 ただし、自分では「大きな犬」と言う。繰り返すが、単に個人的な趣味の問題でしかない。類語辞典をひく。
 
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/14346/m0u …
(中略)

 ↑の辞書には、「主観・客観」の類いの解説がよく出てくる印象がある。その辞書でさえ、「大きい/大きな」に関しては「主観・客観」とは書いていない。
 やはり違うのでは。

 この辞書の記述を踏まえて、〈1〉〈2〉の話をまとめる。
1)「大きな」「大きい」の最大の違いは、用法の違い
 簡単に言うと、「大きな」は「大きな○○」のような使い方しかしない。連体詞だから当然だろう。
 〈1〉でひいた下記のサイトの結論を引用する。
【大きい古時計と大きな古時計の違いは?】
http://www.alc.co.jp/jpn/teacher/soudan/015.html
==============引用開始
 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。
==============引用終了

2)抽象名詞の場合は、「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
〈「問題」「影響」など抽象名詞のとき〉は、「大きな」を用いることが多い。当方が、「大きい」に子供っぽさを感じることと関係するかもしれない。

3)形式名詞の場合は「大きい」を使うことが多い(「大きな」が間違いということではない)
「大きいの」(これは「大きな」にはしにくいかも)「大きいほう」「大きいこと」etc.……

4)慣用表現は「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
「大きなお世話」(これは「大きい」にはしにくいかも)「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」


 さて、ここからはほぼ余談。
 きわめて主観的な話なので、「そんなことはない!」と言われれば、「そうかもしれません」と頭を下げます。
 当方には、「大きな犬」と「大きい犬」の違いはわからない。
 ただ、「小さい胸」と「小さな胸」にはかなり違いがある気がする。
 〈1〉からひく。
==============引用開始
3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 
==============引用終了

 ↑では「知らん」と書いた。
「小さな胸」でも「小さい胸」でも大差がないと思ったから、関知したくなかった。
 当方が誤読しているのか、論文の書き方が言葉足らずなのか……。
「小さい胸」は、たぶん「小さいバスト」だろう。だが、「小さな胸(を痛めた)」と言った場合は、バストではなくハートのイメージが強い。それなら「可愛らしい」と言ってもおかしくない。これはきわめて珍しい例外では。
「小さい犬」と「小さな犬」の場合は……やはり違いがわからない。

 なぜか「小さい」は後ろに形式名詞が来ることが多い。
「小さいの」「小さいほう」「小さいこと」「小さい頃」「小さいとき」etc.……

 さらに言うと、「小さい」が負のイメージのときは、「小さな」にはしにくい(「小さな」が間違いということではない)。
「小さいこと」(これは形式名詞だから?)「(器が)小さい男」

「小さな秋」が不自然に感じるのは、「小さい秋」のイメージが強いから?


No.10
回答者: 1311tobi

回答日時:2015/10/01 10:19
No.9でコメントした者です。



1.<そもそも「大きい」とか「小さい」というのは相対的(かつ主観的)なもの>
なのですね。主観・客観は、使うことは、重要ではない(意味がない)。
→「主観・客観」の考え方が有効な場合もあるのかもしれません。
 ただ、「大きい/大きな」の場合は、関係がなさそうということです。
 少なくとも、↓の辞書や、アルクのサイトには、そのような記述はありません。
 アルクのサイトはURLが下記にかわってますね。
http://www.alc.co.jp/jpn/article/soudan/015.html

2.「大きい」は一般的に(名詞でいえば、普通の名詞に)使っている。それに対して「大きな」は、特殊(名詞でいえば、抽象や形式など)に使っている。
→どちらが一般的で、どちらが特殊ということではないはずです。
 ただ、用途が広いのはどちらなのか、ということなら「大きな」でしょう。
 No.9のコメントやアルクのサイトをご確認ください。だいたい下記のような傾向があります。あくまでも〝だいたい〟です。
 普通の名詞 →「大きな」「大きい」
 抽象的な名詞→「大きな」
 慣用句   →「大きな」
 形式名詞  →「大きい」 
 形式名詞でも「大きな」が使えますが、「大きいの(がいい)」の場合は、「大きい」のほがよさそうです。

 アルクのサイトには「あげものには大きいフライパンのほうがいい」という例もあげられていますが、これを「大きな」にできない理由はないはずです。

突然ですが問題です【日本語編252】──多人数 大人数 多勢 大勢

 下記の仲間。
【突然ですが問題です お品書き〈5〉】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1930761341&owner_id=5019671

 下記の仲間でもある。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950899196&owner_id=5019671

【問題】
「多人数」と「大人数」がどう違うか説明しなさい。

【参考サイト】
【「多人数、大人数」は何か違いますか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9297520.html



【解答?例】
 わかりません。。(←オイ!)
「多人数」の反対語が「少人数」で、「大人数」の反対語が「小人数」。
 使用例は「大人数」のほうが圧倒的に多い。

【よくわからない解説】
1688)【「多人数」と「大人数」】辞書
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12190506649.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1954593263&owner_id=5019671

【難い(がたい) 辛い(づらい) にくい 教えて!goo】辞書〈1〉〈2〉

【日本語アレコレ】
 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【11】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1906376407&owner_id=5019671

mixi日記2014年01月08日から

 テーマサイトは下記。
【「がたい」と「にくい」の違い?】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8420741.html

【質問の全文】=========引用開始
「がたい」と「にくい」の違い?

日本語を学ぶ中国人です。
「あることができません」を書きたいので、「がたい」と「にくい」について、どちらがいいですか?
例えば:
1、住所がとても長いから、話しがたいです。
2、住所がとても長いから、話しにくいです。

どちらは正しいですか?
================引用終了

 まず結論を書く。中国のかたなら、答えは簡単。「がたい」は使わないほうがいい。
「得がたい」「信じがたい」「許しがたい」「近寄りがたい」「捨てがたい」「忘れがたい」「言いがたい」などの使い方があるが、これは一種の慣用句のようなもの。
 どういう場合に使えるのかを論理的に説明するのはむずかしい(これも「説明しがたい」と言えなくはない)。しかも「がたい」には古くさい印象があるので、無理して使う理由はない。
 ただし例文の場合は、「にくい」にしても少しヘン。これは「話す」が不適切だからだろう。
「住所がとても長いから、覚えにくい」ならおかしくない。
「住所が長い」からといって、話している人に「伝えにくい」ということは考えにくい。住所が多少長くても、伝達には支障はないはず。
「込み入った場所にあるアパートなので、場所が説明しにくい」ということならわかるが。
 さらに言うと、「できない」の意味で「にくい」を使うのも避けるほうが無難。「にくい」は「できない」のではなく、「できなくはないが、むずかしいのでうまくできない」くらいのニュアンス。

 一応、「がたい」と「にくい」の違いを見てみよう。
 違いを考えるべきなのは、「にくい」と「づらい」って気もする。この違いは微妙すぎて当方には説明できない 
 こういう似た言葉の違いを知りたければ下記の類語辞典がオススメ。掲載している語はさほど多くないが、場合によっては、これだけで解決する。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/14569/m1u/%E3%81%8C%E3%81%9F%E3%81%84/
================引用開始
難い(がたい)/辛い(づらい)/にくい
[共通する意味]
★動詞の連用形に付いて、その動作を行うのがむずかしい意を表わす語。
[使い方]
〔難い〕(がたい)(接尾)▽いわく言い難い話▽離れ難い恋人同士
〔辛い〕(接尾)▽懐が深くてやり辛い相手▽このテーブルは低すぎて食べ辛い
〔にくい〕(接尾)▽ペン先が固くて書きにくい万年筆▽運転しにくい道路
[使い分け]
【1】「難い」は、ある動作を行うのに心理的な抵抗を覚え、その動作を行うことに踏み切れない意を表わす。物理的あるいは技術的に困難な場合には用いられない。
【2】「辛い」「にくい」は、ある動作を行うのが心理的あるいは物理的、技術的に困難な場合に用いられる。
【3】「難い」は、やや硬い言い方。話し言葉としては「辛い」「にくい」が多く用いられる。
[対比表]
(略)
================引用終了

 まとめと補足。
「がたい」は心理的に困難なこと。ただし、心理的なことでも、使える場合は限られる。しかも古くさい雰囲気があるので、ムヤミに使わないほうがいい。
「づらい」と「にくい」は心理的なことでもそれ以外(物理的・技術的……etc.)でもほぼ同様に使える。↑の例文でも、すべて互換性がある。
▽懐が深くてやり{づらい/にくい}相手
▽このテーブルは低すぎて食べ{づらい/にくい}
▽ペン先が固くて書き{づらい/にくい}万年筆
▽運転し{づらい/にくい}道路
※〈懐が深くてやりづらい相手〉は、厳密には例文として不適切だろう。相撲の話ならわかるが、一般には「懐が深い」はむしろ褒め言葉。やりづらい理由にはならないだろう。〈気が短くてやりづらい相手〉くらいすればいいのに。

 対比表では「-」になっているものも、「にくい」を「づらい」にしてもさほどおかしくない気がする。「燃えづらい薪」はほんの少し不自然な気もするが、許容範囲だろう。
偉すぎて近寄りづらい
燃えづらい薪


【20151206追記】
〝あの方〟のコメントを発見した。
【「~にくい」と「~がたい」の違い】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8025007.html
==============引用開始
No.2ベストアンサー
回答者:nwsaburoo 回答日時:2013/04/03 21:00
こんにちは。

日本語教師です。昔書いたものから。


[V-にくい]
「V-やすい」の反対の意味を表します。
[1]人の意志的な動作で
 ある物・人が「~するのは難しい、大変だ」という性質を持っているという意味です。
 他動詞の「Nを」が「Nが」となる例が多くあります。その他に、道具の「Nで」、
 場所の「Nに」なども、「Nが」になります。
 「その人にとっては」という場合、「(人)に」で表します。
 否定的評価で、「そういう性質を持っていることは良くない」という話し手の評価
があります。
     この本は小学生には読みにくい。(人ガ本ヲ読む→本ガ人ニ読みにくい)
     この早口言葉はそんなに言いにくくない。
     別れの言葉は書きにくかった。
     あの先生の説明はわかりにくい。
     この靴はどうも歩きにくいです。(その靴デ歩く)
     右利き用のはさみは、左利きの人には切りにくい。(はさみデ切る)
     東京はすっかり住みにくくなってしまった。(東京ニ住む)
     その温泉はずいぶん行きにくい所にあった。(所ニ行く)
     この問題はあの人には相談しにくい。
     あの先生はどうも相談に行きにくい。
     なんだかやりにくいなあ。 

[2]非意志的な動詞で
 「かんたんにはそうならない、そうなることがあまりない、という性質を持って
いることを表します。それが良いことか困ったことかは、文脈によります。
     体が丈夫で、病気になりにくい。
     この絵の具は変色しにくい。
     私は、風邪を引きにくい体質です。
     この服は汚れが落ちにくいね。
     地震の後は電話がつながりにくくなります。
     この辞書は厚すぎて、カバンに入りにくい。
     燃えにくい物を入れないでください。
     消防士は燃えにくい服を着る。
     倒れにくい建物   腐りにくい食べ物   割れにくいガラス
     とれにくい汚れ   混ざりにくい絵の具   流れにくいトイレ
     折れにくい枝(木に登るのにはいい/たきぎにするには不適当)


[V-がたい]
 「かたい」は「-やすい」の「易」の反対の「難い」です。音変化を
起こして「-がたい」となっています。そうすることが困難であり、ほとんど
できないことを表します。精神的なことに関する動詞が多いです。硬い文体で
使われます。過去にはなりますが、否定の形「×V-がたくない」はありません。
     台風の進路予想は、何とも言いがたい。 
     現状のままでは、この地域は発展しがたい。
     天才の頭脳の働きは、凡人には想像しがたい。
     彼の行為は許し難かった。

この他に次のような動詞とよく使われます。名詞修飾の形で例を出します。
     忘れがたい(思い出)  信じがたい(話)  得がたい(人物)
     近寄りがたい(人) 動かしがたい(証拠) 耐えがたい(苦しみ)

saburoo
==============引用終了


【難い(がたい) 辛い(づらい) にくい 教えて!goo】辞書〈2〉(仮)
 
 下記から。
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12084207604.html

 テーマサイトは下記。
【日本語の正しい方はどちらですか】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9084452.html
==============引用開始
①トイレの水が流れづらい
②トイレの水が流れにくい
どちらが正しい日本語なのでしょうか。
教えてください。
==============引用終了

 ほぼ同じような使い方をする「がたい」「づらい」「にくい」のうち、「がたい」に関してはあまり考えたくない。古くさいニュアンスがあるので、〈1〉で書いたように用法が限られる一種の慣用句と考えたほうがいい気がする。
 問題は「づらい」「にくい」の違い。
〈1〉では、違いがほとんどわからなかった。
==============引用開始
 まとめと補足。
「がたい」は心理的に困難なこと。ただし、心理的なことでも、使える場合は限られる。しかも古くさい雰囲気があるので、ムヤミに使わないほうがいい。
「づらい」と「にくい」は心理的なことでもそれ以外(物理的・技術的……etc.)でもほぼ同様に使える。↑の例文でも、すべて互換性がある。
▽懐が深くてやり{づらい/にくい}相手
▽このテーブルは低すぎて食べ{づらい/にくい}
▽ペン先が固くて書き{づらい/にくい}万年筆
▽運転し{づらい/にくい}道路
※〈懐が深くてやりづらい相手〉は、厳密には例文として不適切だろう。相撲の話ならわかるが、一般には「懐が深い」はむしろ褒め言葉。やりづらい理由にはならないだろう。〈気が短くてやりづらい相手〉くらいすればいいのに。
 対比表では「-」になっているものも、「にくい」を「づらい」にしてもさほどおかしくない気がする。「燃えづらい薪」はほんの少し不自然な気もするが、許容範囲だろう。
==============引用終了

 テーマサイトのNo.4までのコメントを読んで、ますます気持ちが暗くなる。
 何が書いてあるのか理解できない(泣)。当方の理解力に大きな問題があるのでは……と不安になった。これはひょっとすると、触れてはいけないテーマなのかも。

 過去の質問を検索する。
https://oshiete.goo.ne.jp/search_goo/result/?MT=%E3%81%A5%E3%82%89%E3%81%84%E3%80%80%E3%81%AB%E3%81%8F%E3%81%84&code=utf8&c=626

 やはり何がなんだか(泣)。

 テーマサイトのNo.5のコメントを読んで冷静さを取り戻した。重要なので、全文をひく。
==============引用開始
「~づらい」と「~にくい」は、どちらも正しい言葉です。困難であることを示す意味も似ています。
使い分けとしては、「~づらい」と「~にくい」を入れ替えてみて、違和感があるかどうかで判断できるでしょう。
個人的には「~づらい」は心理的・主観的な要因を伴う場合に使うものと捉えています。

何かのテレビ番組で「バスが遅れづらい」という表現が出てきて、おやっ?と思ったことがありました。
バスの運行状況をきめ細かく把握して遅れが出ないように運行管理しているので「遅れにくい」という内容でした。
このように「~にくい」が適切かと思われる場面で「~づらい」と言っているケースを最近何度か耳目にしました。
「~づらい」に集約するような変化が起きているのか、ちょっと気になっています。

  * * *

参考1 
『記者ハンドブック 新聞用字用語集 12版』(共同通信社)
・・にくい  (難い)→にくい〔接尾語〕 歩きにくい、言いにくい、書きにくい、話しにくい事柄
・・づらい  聞きづらい、しづらい、頼みづらい、見づらい、やりづらい

参考2
『言葉に関する問答集 総集編』 (文化庁編)
[問] 「分かりにくい」か「分かりづらい」か
[答] 何かをしようとして困難を感じるとき、「…にくい」を用いるか、「…づらい」を用いるかと言う問題である。
各種国語辞典を見ると、接尾語としての「にくい」は早くから見えるけれども、「づらい」の方は、遅く採録されている。両者の意味の差をはっきり示しているものは少なく、「それをすることができない、むずかしい、困難を覚える」などの語釈を与えていて、用例として「読みにくい本」「読みづらい本」などと出ていたりする。中に「づらい」の語釈に、「その動作が苦痛を伴ったり困難である意を表す」となっているものがあって、「にくい」と「づらい」の意味の違いを指名しているのではないかと思われる。
たとえば、狭い歩道に電柱が立っていて車いすが通れないというときの新聞の見出しに、
 通りにくい車イス
 そこに民家の善意  電柱7本引っ込む  (毎日、平成元・10・2)
とあったが、これなどはまさしく「通りにくい」であって「通りづらい」ではないであろう。これは、物理的に電柱がじゃまをしているだけであって、これを取り除きさえすればよいのであるから。もし、この通りの家に解放された窓があって、そこを通るとき、ともすれば中が見えてしまい、こちらが心理的に苦痛を伴う場合だったら、「通りづらい」に違いない。
 「燃えにくい」とは言うが、「燃えづらい」とは言わないように、「づらい」の方は心理的な抵抗を感じるときに使われる傾きがある。
<以下略>

参考3
『明鏡国語辞典 第2版』(大修館書店)
にく・い 【難い】<語釈・用例は省略>
 [語法] (1)「~づらい」は非意図的動作には使いにくいが、「~にくい」は意図的・非意図的のいずれの動きにも使う。「× 壊れづらい/○ 壊れにくい」
    (2)「~づらい」は主観的な困難さをあらわす傾向があるが、「~にくい」は客観的な理由による困難さも表す。「(個人的な事情や気持ちから)入りづらい大学」「(個人的事情で、または倍率が高くて)入りにくい大学」
つら・い 【辛い】<語釈・用例は省略>
 [語法] 自然現象をあらわす動詞や非意図的な動詞には付きにくい。「× 雨が降りづらい」「× 冷えづらい冷蔵庫」
==============引用終了

 非常に多くの示唆を含むので、細かく見ていく。
〈個人的には「~づらい」は心理的・主観的な要因を伴う場合に使うもの〉
 という考え方には説得力を感じた。ただし、では「~にくい」は物理的・客観的な要因を伴う場合に使うのか、と短絡的に考えるのは危険だろう。
「主観・客観」の話はだいたいホニャララになる。
【”大きい犬”と ”大きな犬”とは、どのような使分けをすれば良い、のでしょうか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9075399.html

 まず出てくる例文は「バスが遅れ{△づらい/にくい}」。
 こうなる理由は、よくわからない。詳しくは後述。
 以下、参考資料が3つ出てくる。やはりちゃんとした文献があれば、少しは前進できる。

「参考1」は表記の問題。個別の記述を並べてみても、何も発見はないだろう。出てきた用例は基本的に両方OKだろう。

「参考2」は『言葉に関する問答集 総集編』。
〈中に「づらい」の語釈に、「その動作が苦痛を伴ったり困難である意を表す」となっているもの〉があるって、カッコでくくるなら、ちゃんと原典を示してもらえませんか、文化庁さん。
 例文が2つ出てくる。
「通り{△づらい/にくい}車イス」(〈心理的に苦痛を伴う場合だったら〉「づらい」)
「燃え{△づらい/にくい}」(「づらい」は〈心理的な抵抗を感じるとき〉)
 
「参考3」は『明鏡国語辞典 第2版』。
「壊れ{× づらい/にくい}」(「~づらい」は非意図的動作には使いにくい)
「(個人的な事情や気持ちから)入りづらい大学」
「(個人的事情で、または倍率が高くて)入りにくい大学」
「× 雨が降りづらい」(自然現象をあらわす動詞)
「× 冷えづらい冷蔵庫」(非意図的な動詞には付きにくい)

 下記は個人のブログだが、いいところをついている気がする。(←何様)
【~がたい、~にくい、~つらい】
http://meew.air-nifty.com/diary/2007/11/post_1314.html
〈「~づらい」は心身的苦痛を感じる状態に用いる〉は、そんな気がする。
〈「~にくい」は客観的状態を表わす〉はどうなんだろう。こう書いてしますと、〈「~づらい」は主観的状態を表わす〉ということになりかねない。それはちょっと違うと思う。
『明鏡国語辞典 第2版』にあるとおり、「~にくい」はどちらに〝も〟使うのだろう。
「~にくい」は意図的・非意図的のいずれの動きにも使う。
「~にくい」は客観的な理由による困難さも表す。

 役に立ちそうな例文を多少加工して、もう一度並べる。
1)燃え{△づらい/にくい}薪
2)バスが遅れ{△づらい/にくい}
3)通り{△づらい/にくい}車イス(〈心理的に苦痛を伴う場合だったら〉「づらい」)
4)燃え{△づらい/にくい}(「づらい」は〈心理的な抵抗を感じるとき〉)
5)壊れ{△づらい/にくい}(「~づらい」は非意図的動作には使いにくい)
6)×雨が降りづらい(自然現象をあらわす動詞)
7)×冷えづらい冷蔵庫(非意図的な動詞には付きにくい)

 6)7)は「にくい」が使えるのだろうか。
 6)は「雨が降りにくい」は、論理的にはアリだけどなんかヘン。
「陽があたりにくい」ならアリかもしれないが、通常は「陽があまりあたらない」「陽あたりがよくない」と言うのでは。
 7)は「冷えにくい冷蔵庫」は、論理的にはアリなのだろうか。ちょっとヘンな気もする。
「熱をもちにくい素材」「電気を通しにくい素材」あたりなら自然に感じるけど。

 さて、1)~5)を確認する。
 たいていの場合はどちらも使えるが、1)~5)のようなときは、「~づらい」は使いにくい。いつでも「使えない」ではないので、むずかしい(泣)。
「~づらい」が使えるのは心理的な要因が絡むとき……という傾向がありそう。
「~にくい」は一部の例外以外は使える。
 むずかしいことはわからないが、個人的な方針は決まった。
 基本的に「~にくい」を使っておけば間違いない。「~づらい」はよほど自信がもてるときでなければ使わない(笑)。

 さて、本題に関して。
①トイレの水が流れづらい
②トイレの水が流れにくい
 どちらも「間違い」ではないだろう。
「流れにくい」なら、どこからも文句がつかない。
「流れづらい」が自然か否かは微妙。
 個人的にはOKだと思うが、論理的に考えると、△なのかもしれない。×なのかもしれない。関知したくない。
「×冷えづらい冷蔵庫」の仲間なのか、「△壊れづらい冷蔵庫」の仲間なのか……言葉の神様に訊いてください。

 これが「水を流し{づらい/にくい}」ならどうなるか。
「流しづらい」は、論理的にはOK。なんらかの事情があって「心理的に困難なら」なのだろう。これもあまり関知したくない。

「はがれ{づらい/にくい}壁紙」
 非意図的だけど「~づらい」もOKだろう。
「はがし{づらい/にくい}壁紙」
 こっちは意図的だから問題なし? 心理的な問題ではなく、単に物理的な場合もあると思うけど。

 あと、『言葉に関する問答集 総集編』にあるらしい〈接尾語としての「にくい」は早くから見えるけれども、「づらい」の方は、遅く採録されている〉という記述も気になるが、むずかしくなりそうなのでパスする。
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