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【つまらんダジャレは嫌いだぁ!61──「大きな」と「大きい」の違い〈1〉〜〈3〉】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

mixi日記2010年01月21日から。

「みなさ~ん、今日は反対の言葉の勉強をします。〈大きな木〉の反対の言葉がわかる人。ハイ、tobiクン」
「はい、センセー。〈大きくない木〉です」
「それも反対の言葉ですね。ほかに〈ナントカでない〉を使わない言葉を考えましょう」
「センセー、〈ナントカ出ない〉って便秘ですか?」
「イラッ。tobiクン、ふざけてないでまじめに考えましょうね。いまそんなことは関係ありません」
「はい、センセー。〈フツーの木〉でどうよ」
「ピキッ。tobiクン、ちょっとこちらにいらっしゃい。〈大きな木〉の反対の言葉になる〈ナントカな木〉ですよ」
「……じゃあ、大きな茸」
「それは木じゃないだろ! 〈ナントカな木〉だって言ってるだろうが、クソガキ!」
「痛い痛い、tobiクンの〈大きくない茸〉をイジめないで。シクシク」
 ……それは〈オトコなキ〉?


 えーと、今回のテーマは「大きな」と「大きい」の違い。
 最近参加したコミュの過去のトピでおもしろいテーマを見つけた。
【「大きいかぶ」と「大きいなかぶ」】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26354322&comm_id=1585030

「大きな」と「大きい」はどう違うか。これは昔から疑問だった。イチバンの違いは「大きな」は連体詞で「大きい」は形容詞。意味はほぼ同じ。ただし、「大きな」が洗練された言葉で、「大きい」は子供っぽい言葉、ってイメージがあった。
「1」でリンクが張ってあるサイトは興味深い。※リンク切れ。
http://kite.meikai.ac.jp/japanese/meikainihongo/7/sasaki.pdf
↓にかわったらしい。
http://www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/meikainihongo/7/sasaki.pdf

 この論文によると、基本的には「大きな」と「大きい」には互換性があるが、微妙に違う点もある。ポイントを箇条書きにしてみる

1)「大きい」しか使えない例
「大きいのしかない」(小銭がないとき)
「大きいお兄さん」(最年長の兄の意味)
※tobiメモ 「最年長」だろうか。単に「年長」だと思う。「大きいお兄さん」の上に、ずーっと年の離れた「別格のお兄さん」がいてもおかしくはない。

2)「大きな」しか使えない例
 主として慣用句。
「おっきなこと」「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」「大きなお世話」
※tobiメモ なぜ「大きなこと」だけ「おっきな」になっているのかは不明。さらに、「おっきなこと」だけは「大きい」にできるらしい。全部、「大きな」が自然だと思うけど、「お世話」以外は「大きい」が間違いと断言する自信がない。

3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 

 コメントの「3」に〈「大きな」の品詞は、連体詞とする見方と、連体形しかないナ形容詞とする見方とがあるようです。(辞書によって違ったりします。)〉とある。
 ちょっと調べてみた。

ネット辞書『大辞泉』
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%AA&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=027541021701000
================================
[形動]《形容動詞「おおきなり」の連体形「おおきなる」の音変化》
◆「声の大きな人」のように、述語としても用いられるので、形容動詞と認められる。連体形だけが用いられる。
================================

ネット辞書『大辞林』
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%AA&dtype=0&stype=1&dname=0ss
================================
(形動)
〔補説〕 形容動詞「おおき(なり)」の連体形から。現代語では連体形「おおきな」の形だけが用いられる
〔補説〕 「おおきな」を連体詞とする説もあるが、この語は「耳の大きな人」などのように、述語としてのはたらきをもっている点が、一般の連体詞とは異なっている
================================

 手元の『広辞林』には連体詞しかのっていない。
 Wikipediaだと、「大きな」「小さな」「おかしな」は連体詞。こうなってくると、当方が口を挟めるような問題ではない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E4%BD%93%E8%A9%9E

 ただ、基本的には「大きな」の類いを使うのが無難だと思う。
「大きいのしかない」「大きいお兄さん」は、子供っぽさが感じられる用法なので「大きい」のほうが自然なのかもしれない。ただし、「大きなのしかない」「大きなお兄さん」はダメと断言する勇気もない。

 実はつい最近読んだ小説に「小さい」が出てきた。これはなぜか「小さな」にはしにくい気がした。どうなんだろう。

  尚子の小さいときは、もっと荒々しい急流だった。
  『おとこ坂 おんな坂』(阿刀田高)

【追記】
「小さいとき」は「小さなとき」にしにくい。松任谷由実(「荒井」じゃないんだ)の『やさしさに包まれたなら』の冒頭の「小さい頃」も同様の気がする。単に慣れの問題?
http://www.evesta.jp/lyric/artists/a3091/lyrics/l25227.html


「大きな」と「大きい」の違い〈2〉

 いかんなぁ。〈1〉で書いた{細かい/細かな}ツッコミの対象は、リンク先の論文ではなく、引用されている『現代形容詞用法辞典』だった。
 論文のほうは、あんな乱暴な書き方はしていない。収集した文例を徹底的に分析している。分析した結果は……よくわからない(泣)。

 論文を再読して、メモしておきたいことが出てきた。
================================
「大きい⇔大きな」のように語尾イとナが交替形をもつ語彙は、管見の範囲では下記の8組である。
「大きい⇔大きな」「小さい⇔小さな」「おかしい⇔おかしな」「細かい⇔細かな」
「やわらかい⇔やわらかな」「あたたかい⇔あたたかな」「間近い⇔間近な」「手近い⇔手近な」
================================

 後ろの2組はめったに見ないが、その話はパス。
 8組もあるんだ。考えたけど5組しか出てこなかった(泣)。
 この8組は2グループに分けることができる。

A「~な」が連体詞のもの
※もう少し正確に書くなら、連体詞説と形容動詞説の両方があるもの。「~な」を「~だ」にできないもの、が正確かも。
  1)「大きい⇔大きな」
  2)「小さい⇔小さな」
  3)「おかしい⇔おかしな」

B「~な」が形容動詞の活用形のもの
  4)「細かい⇔細かな」
  5)「やわらかい⇔やわらかな」
  6)「あたたかい⇔あたたかな」
  7)「間近い⇔間近な」
  8)「手近い⇔手近な」

 下記のような論文もあるらしい。内容はよくわかんない。やはり「とき」の場合は「小さい」が圧倒的に優勢らしい。
http://miuse.mie-u.ac.jp/bitstream/10076/11766/1/20C15124.pdf
==============引用開始
4 まとめ(結論)
残された課題も多いが、「BCCWJ09_BK」に見られる名詞を修飾する「小さい/な」の用例によっ て明らかになったいくつかの点をまとめておきたい。
(1)被修飾名詞全体において「小さい」が占める割合は小さい。26.9%
(2)しかし、総ての名詞において少ないのではなく、その割合が 80%を超える名詞もある。
(3)「小さい」の割合が圧倒的に高い(80%以上の)名詞は、そのほとんどがいわゆる形式名詞と呼ばれるものである。
「場合」:10%、「順」:10%、「とき」:98.7%、「時」:96.3%、「ほう」:94.7%、「ころ」:91.8%、 「頃」:89.7%、「方」:81.8%
(4)形式名詞でない名詞にも、「小さい」の割合の高いものが見られる。
「順」:1(10%)、「サイズ」:0.571(57.1%)、「単位」:0.571(57.1%)
(5)「小さい/な」+形式名詞において、「小さい」が占める割合は圧倒的に高い。73.7%
(6)「小さい/な」+具象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.8%
(7)しかし、「小さい」の割合が高い名詞も見られる。
「子」:0.64、「人間」:0.60、「容器」:0.57、「人」:0.5、「商店」:0.50、「男」:0.43、「袋」:0.3、
「動物」:0.3、「子供たち」:0.31、「子供」:0.30
(8)これらの名詞(「子」「子供たち」「子供」、「人間」「人」「男」)には年齢を表す表現や連体修飾節用
法の割合が大きい。
(9)「小さい/な」+抽象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.3%
(10)連体修飾節用法率が高いものは、「小さい」の出現率も高い傾向が見られる。しかしその逆は真ではない。
(11)具象名詞と抽象名詞における「小さい」の出現率を見ると、ほとんど変わらず、「小さい」は具象名詞に係りやすく、「小さな」は抽象名詞に係りやすいというは一般化できない。
(12)しかし、抽象名詞内で、より抽象度の高い名詞とより抽象度の低い名詞を比較すると、わずかであるが、「小さい」が抽象度の高い名詞に係りにくい傾向が見られるようである。
==============引用終了


【大きい古時計と大きな古時計の違いは?】
http://www.alc.co.jp/jpn/teacher/soudan/015.html
 ↓
http://www.alc.co.jp/jpn/article/soudan/015.html
================================引用開始
15 大きい古時計と大きな古時計の違いは?

Q 現在、ボランティアで日本語を教えています。ちょうど初級の形容詞を教えているのですが、学生から「大きい古時計」と「大きな古時計」はどう違うのかと聞かれて困っています。どのように答えればよいでしょうか。(学習者の国籍は中国。レベルは初級前半)


A 「大きい」はいわゆるイ形容詞で、「大きいです」「大きくなる」「大きい町」のように形を変えます。これに対して「大きな」は名詞につくときは「大きい」と同じように直接つくので形容詞のように見えますが、形容詞と違って名詞の前以外に使わないので特殊なものとして、一般に「連体詞」と分類されています。名詞の前にしか使わないものにはほかにどんなものがあるか、考えてみてください。「小さな」「ある(ある人)」「あらゆる」などそうですね。

 さて「大きい」と「大きな」は「~古時計」の例のようにどちらも同じように名詞の前に使われることもありますし、慣用的にどちらかが多い場合があります。慣用的には
  「大きな顔をする」
  「大きな口をきく」
  「大きなお世話だ」
など「大きな」が一般的です。また、抽象的な語については「大きな」がよく使われます。
  「平和の維持は大きな問題だ」
  「博士の大きな業績にはだれでも頭がさがる」
など、「大きい」でもいいのですが「大きな」のほうが多いでしょう。それに対して、具体的に大きさ、つまりサイズを問題にした場合、
  「もっと大きいのはありませんか」
  「あげものには大きいフライパンのほうがいい」
のように「大きい」が多いようですが、これは絶対とはいえません。

 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。
================================引用終了


「大きな」と「大きい」の違い〈3〉

 テーマサイトは下記。
【”大きい犬”と ”大きな”とは、どのような使分けをすれば良い、のでしょうか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9075399.html

 質問内容はタイトルのとおり。
「大きい犬」と「大きな犬」の使い分け。
 個人がどう使い分けるのかは自由だろうが、それが一般性を持つか否かは疑問。そんな使い分けの基準とかルールなど聞いたことがない。一部の例外を別にすれば、どちらを使っても間違いではないはず。
「どのような使い分けをすればよいか」と訊かれたら、「使い分けのルールはない。使い分けるのは自由だが、たぶん伝わらない」と答えるしかない。
 回答を読んでいくと、「大きい」は客観的で「大きな」は主観的、という説が多い。ホントにそんなことが言えるのだろうか。こんな話でなぜ「主観・客観」の話が出るのか理解できない。「主観・客観」の話は辞書なんかでもたまに目にする。同意できることもなくはないが、疑問を感じることが多い。
 たとえば下記のコメントNo.30からひく。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8773212.html
==============引用開始
3)哲学や心理学ではあるまいに、いまどき国文法での「主観・客観」論議は、具体的に例文の提示内容やその度合いの識別があいまいなタームとして、ほとんど使われなくなっています。
==============引用終了

 根拠は不明だが、文法に詳しいかたがここまで断定するのだから、信用してよいと思う。
 mixiでトピも立ててみた。「主観・客観」を支持する意見はもらえなかった(これだけ過疎ってるんじゃしかたないか……)。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2748&id=76543475

 そもそも「大きい」とか「小さい」というのは相対的(かつ主観的)なものだから、「主観」か「客観」かと言うなら「主観」だろう。それは「大きな」だって同じこと。
「大きい犬」と聞いてどの程度の大きさを想起するか。
 極端なことを言えば、小型犬を飼っている人から見たら中型犬は「大きい犬」だろう。
 超大型犬を飼っているいる人から見たら中型犬は「大きい犬」ではない。
 これも「大きな犬」と言っても同じこと。
 
 その話は別にして……。
 個人的には「大きい犬」と「大きな犬」に違いは感じない。したがって、使い分けはしようがない。
 ただし、自分では「大きな犬」と言う。繰り返すが、単に個人的な趣味の問題でしかない。類語辞典をひく。
 
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/14346/m0u/%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%84/
==============引用開始
大きい(おおきい)/大きな(おおきな)/でかい

[共通する意味]
★数量や程度、占める割合などが多い。
[英]
big; large
[使い方]
〔大きい〕(形)
〔大きな〕(連体)
〔でかい〕(形)
[使い分け]
【1】「大きい」は、「夢が大きい」「大きく夢みる」のように述語として、また 連用修飾語としても使うが、「大きな」は「大きな…(名詞)」という言い方でしか使わない。
【2】物事の程度や、関わる範囲などが大であるという意で名詞を修飾する場合、その名詞が「問題」「影響」など抽象名詞のときは、「大きな」を用いることが多い。
【3】「でかい」は、実際に数量や、スケールが大きい場合に使う。「大きい」「大きな」より、くだけた言い方になる。「でっかい」とも。
[反対語]
▼大きい⇔小さい 大きな⇔小さな でかい⇔ちっちゃい
==============引用終了
 ↑の辞書には、「主観・客観」の類いの解説がよく出てくる印象がある。その辞書でさえ、「大きい/大きな」に関しては「主観・客観」とは書いていない。
 やはり違うのでは。

 この辞書の記述を踏まえて、〈1〉〈2〉の話をまとめる。
1)「大きな」「大きい」の最大の違いは、用法の違い
 簡単に言うと、「大きな」は「大きな○○」のような使い方しかしない。連体詞だから当然だろう。
 〈1〉でひいた下記のサイトの結論を引用する。
【大きい古時計と大きな古時計の違いは?】
http://www.alc.co.jp/jpn/teacher/soudan/015.html
 ↓
http://www.alc.co.jp/jpn/article/soudan/015.html
==============引用開始
 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。
==============引用終了

2)抽象名詞の場合は、「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
〈「問題」「影響」など抽象名詞のとき〉は、「大きな」を用いることが多い。当方が、「大きい」に子供っぽさを感じることと関係するかもしれない。

3)形式名詞の場合は「大きい」を使うことが多い(「大きな」が間違いということではない)
「大きいの」(これは「大きな」にはしにくいかも)「大きいほう」「大きいこと」etc.……

4)慣用表現は「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
「大きなお世話」(これは「大きい」にはしにくいかも)「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」


 さて、ここからはほぼ余談。
 きわめて主観的な話なので、「そんなことはない!」と言われれば、「そうかもしれません」と頭を下げます。
 当方には、「大きな犬」と「大きい犬」の違いはわからない。
 ただ、「小さい胸」と「小さな胸」にはかなり違いがある気がする。
 〈1〉からひく。
==============引用開始
3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 
==============引用終了

 ↑では「知らん」と書いた。
「小さな胸」でも「小さい胸」でも大差がないと思ったから、関知したくなかった。
 当方が誤読しているのか、論文の書き方が言葉足らずなのか……。
「小さい胸」は、たぶん「小さいバスト」だろう。だが、「小さな胸(を痛めた)」と言った場合は、バストではなくハートのイメージが強い。それなら「可愛らしい」と言ってもおかしくない。 これはきわめて珍しい例外では。
「小さい犬」と「小さな犬」の場合は……やはり違いがわからない。

 なぜか「小さい」は後ろに形式名詞が来ることが多い。
「小さいの」「小さいほう」「小さいこと」「小さい頃」「小さいとき」etc.……

 さらに言うと、「小さい」が負のイメージのときは、「小さな」にはしにくい(「小さな」が間違いということではない)。
「小さいこと」(これは形式名詞だから?)「(器が)小さい男」

「小さな秋」が不自然に感じるのは、「小さい秋」のイメージが強いから?



「大きな」と「大きい」の違い〈4〉
──”大きい犬”と ”大きな”とは、どのような使分けをすれば良い、のでしょうか?

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9075399.html
質問の内容。
==============引用開始
”大きい犬”と ”大きな”とは、どのように使分ければ良い、のでしょうか?
==============引用終了

No.5
回答者: 1311tobi

回答日時:2015/09/27 15:32
「大きな犬」と「大きい犬」の使い分け。


 昔、いろいろ調べました。文献も読みましたが、使い分けのきっちりしたルールなど見た記憶がありません。
 たとえある人がきっちり使い分けたとしても、相手はそんなふうにとるとは思えません。そんな自分勝手な使い分けに意味があるのでしょうか。
 当方は「大きな犬」を使い、「大きい犬」は使わないようにしています。
 単に好みの問題です。
 あえて理由をつけるなら、「大きい○○」のほうが少しだけ子供っぽく感じるからです。
 ただし、↓の論文によると、○○が下記のような形式名詞?の場合は「小さい」のほうが優勢なんだそうです。こういう使用例を集めた分析なら、意味があると思います。
「大きい」もそういう傾向がありそうです。ただし、「大きな」にしても「間違い」ではありません。
「とき」「時」「ほう」「ころ」「頃」「方」

 詳しくは下記をご参照ください。前半のヨタ話は無視してください。
【つまらんダジャレは嫌いだぁ!61──「大きな」と「大きい」の違い】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1149. …
 以下は一部の抜粋(重言)。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

「大きな」と「大きい」はどう違うか。これは昔から疑問だった。イチバンの違いは「大きな」は連体詞で「大きい」は形容詞。意味はほぼ同じ。ただし、「大きな」が洗練された言葉で、「大きい」は子供っぽい言葉、ってイメージがあった。
「1」でリンクが張ってあるサイトは興味深い。
http://www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/meikain …

 この論文によると、基本的には「大きな」と「大きい」には互換性があるが、微妙に違う点もある。ポイントを箇条書きにしてみる

1)「大きい」しか使えない例
「大きいのしかない」(小銭がないとき)
「大きいお兄さん」(最年長の兄の意味)
※tobiメモ 「最年長」だろうか。単に「年長」だと思う。「大きいお兄さん」の上に、ずーっと年の離れた「別格のお兄さん」がいてもおかしくはない。

2)「大きな」しか使えない例
 主として慣用句。
「おっきなこと」「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」「大きなお世話」
※tobiメモ なぜ「大きなこと」だけ「おっきな」になっているのかは不明。さらに、「おっきなこと」だけは「大きい」にできるらしい。全部、「大きな」が自然だと思うけど、「お世話」以外は「大きい」が間違いと断言する自信がない。

3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 

 コメントの「3」に〈「大きな」の品詞は、連体詞とする見方と、連体形しかないナ形容詞とする見方とがあるようです。(辞書によって違ったりします。)〉とある。
 ちょっと調べてみた。

(中略)

 下記のような論文もあるらしい。内容はよくわかんない。やはり「とき」の場合は「小さい」が圧倒的に優勢らしい。
http://miuse.mie-u.ac.jp/bitstream/10076/11766/1 …
==============引用開始
4 まとめ(結論)
残された課題も多いが、「BCCWJ09_BK」に見られる名詞を修飾する「小さい/な」の用例によっ て明らかになったいくつかの点をまとめておきたい。
(1)被修飾名詞全体において「小さい」が占める割合は小さい。26.9%
(2)しかし、総ての名詞において少ないのではなく、その割合が 80%を超える名詞もある。
(3)「小さい」の割合が圧倒的に高い(80%以上の)名詞は、そのほとんどがいわゆる形式名詞と呼ばれるものである。
「場合」:10%、「順」:10%、「とき」:98.7%、「時」:96.3%、「ほう」:94.7%、「ころ」:91.8%、 「頃」:89.7%、「方」:81.8%
(4)形式名詞でない名詞にも、「小さい」の割合の高いものが見られる。
「順」:1(10%)、「サイズ」:0.571(57.1%)、「単位」:0.571(57.1%)
(5)「小さい/な」+形式名詞において、「小さい」が占める割合は圧倒的に高い。73.7%
(6)「小さい/な」+具象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.8%
(7)しかし、「小さい」の割合が高い名詞も見られる。
「子」:0.64、「人間」:0.60、「容器」:0.57、「人」:0.5、「商店」:0.50、「男」:0.43、「袋」:0.3、
「動物」:0.3、「子供たち」:0.31、「子供」:0.30
(8)これらの名詞(「子」「子供たち」「子供」、「人間」「人」「男」)には年齢を表す表現や連体修飾節用
法の割合が大きい。
(9)「小さい/な」+抽象名詞に見られる「小さい」の割合は小さい。12.3%
(10)連体修飾節用法率が高いものは、「小さい」の出現率も高い傾向が見られる。しかしその逆は真ではない。
(11)具象名詞と抽象名詞における「小さい」の出現率を見ると、ほとんど変わらず、「小さい」は具象名詞に係りやすく、「小さな」は抽象名詞に係りやすいというは一般化できない。
(12)しかし、抽象名詞内で、より抽象度の高い名詞とより抽象度の低い名詞を比較すると、わずかであるが、「小さい」が抽象度の高い名詞に係りにくい傾向が見られるようである。


No.9ベストアンサー
回答者: 1311tobi

回答日時:2015/09/30 13:11
No.5でコメントした者です。


 No.8で〈「大きな」と「大きい」との間にそれほど意味的な差違は認められないと思います〉というコメントがあり、ちょっと安心しました。
 このような微妙な使い分けをしなければならいのか……と暗い気持ちになっていました。基準も不明なので、このような使い分けはできないと思います。

 詳しくは下記をご参照ください。
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12078860800.html
 以下は一部の抜粋(重言)。


 回答を読んでいくと、「大きい」は客観的で「大きな」は主観的、という説が多い。ホントにそんなことが言えるのだろうか。こんな話でなぜ「主観・客観」の話が出るのか理解できない。「主観・客観」の話は辞書なんかでもたまに目にする。同意できることもなくはないが、疑問を感じることが多い。
 たとえば下記のコメントNo.30からひく。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8773212.html
==============引用開始
3)哲学や心理学ではあるまいに、いまどき国文法での「主観・客観」論議は、具体的に例文の提示内容やその度合いの識別があいまいなタームとして、ほとんど使われなくなっています。
==============引用終了

 根拠は不明だが、文法に詳しいかたがここまで断定するのだから、信用してよいと思う。
 mixiでトピも立ててみた。「主観・客観」を支持する意見はもらえなかった(これだけ過疎ってるんじゃしかたないか……)。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2748&id=76543 …

 そもそも「大きい」とか「小さい」というのは相対的(かつ主観的)なものだから、「主観」か「客観」かと言うなら「主観」だろう。それは「大きな」だって同じこと。
「大きい犬」と聞いてどの程度の大きさを想起するか。
 極端なことを言えば、小型犬を飼っている人から見たら中型犬は「大きい犬」だろう。
 超大型犬を飼っているいる人から見たら中型犬は「大きい犬」ではない。
 これも「大きな犬」と言っても同じこと。
 
 その話は別にして……。
 個人的には「大きい犬」と「大きな犬」に違いは感じない。したがって、使い分けはしようがない。
 ただし、自分では「大きな犬」と言う。繰り返すが、単に個人的な趣味の問題でしかない。類語辞典をひく。
 
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/14346/m0u …
(中略)

 ↑の辞書には、「主観・客観」の類いの解説がよく出てくる印象がある。その辞書でさえ、「大きい/大きな」に関しては「主観・客観」とは書いていない。
 やはり違うのでは。

 この辞書の記述を踏まえて、〈1〉〈2〉の話をまとめる。
1)「大きな」「大きい」の最大の違いは、用法の違い
 簡単に言うと、「大きな」は「大きな○○」のような使い方しかしない。連体詞だから当然だろう。
 〈1〉でひいた下記のサイトの結論を引用する。
【大きい古時計と大きな古時計の違いは?】
http://www.alc.co.jp/jpn/teacher/soudan/015.html
==============引用開始
 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。
==============引用終了

2)抽象名詞の場合は、「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
〈「問題」「影響」など抽象名詞のとき〉は、「大きな」を用いることが多い。当方が、「大きい」に子供っぽさを感じることと関係するかもしれない。

3)形式名詞の場合は「大きい」を使うことが多い(「大きな」が間違いということではない)
「大きいの」(これは「大きな」にはしにくいかも)「大きいほう」「大きいこと」etc.……

4)慣用表現は「大きな」を使うことが多い(「大きい」が間違いということではない)
「大きなお世話」(これは「大きい」にはしにくいかも)「大きな顔(をする)」「大きな口(をたたく)」


 さて、ここからはほぼ余談。
 きわめて主観的な話なので、「そんなことはない!」と言われれば、「そうかもしれません」と頭を下げます。
 当方には、「大きな犬」と「大きい犬」の違いはわからない。
 ただ、「小さい胸」と「小さな胸」にはかなり違いがある気がする。
 〈1〉からひく。
==============引用開始
3)「小さな」と「小さい」の違い
「小さな胸」(かわいらしい胸)
「小さい胸」(形態の大きくない胸)
>「ちいさな胸」というと、胸の形態が小さいのみならず、愛らしい心というニュアンスを含むことが往々にしてある。
※tobiメモ 知らん。 
==============引用終了

 ↑では「知らん」と書いた。
「小さな胸」でも「小さい胸」でも大差がないと思ったから、関知したくなかった。
 当方が誤読しているのか、論文の書き方が言葉足らずなのか……。
「小さい胸」は、たぶん「小さいバスト」だろう。だが、「小さな胸(を痛めた)」と言った場合は、バストではなくハートのイメージが強い。それなら「可愛らしい」と言ってもおかしくない。これはきわめて珍しい例外では。
「小さい犬」と「小さな犬」の場合は……やはり違いがわからない。

 なぜか「小さい」は後ろに形式名詞が来ることが多い。
「小さいの」「小さいほう」「小さいこと」「小さい頃」「小さいとき」etc.……

 さらに言うと、「小さい」が負のイメージのときは、「小さな」にはしにくい(「小さな」が間違いということではない)。
「小さいこと」(これは形式名詞だから?)「(器が)小さい男」

「小さな秋」が不自然に感じるのは、「小さい秋」のイメージが強いから?


No.10
回答者: 1311tobi

回答日時:2015/10/01 10:19
No.9でコメントした者です。



1.<そもそも「大きい」とか「小さい」というのは相対的(かつ主観的)なもの>
なのですね。主観・客観は、使うことは、重要ではない(意味がない)。
→「主観・客観」の考え方が有効な場合もあるのかもしれません。
 ただ、「大きい/大きな」の場合は、関係がなさそうということです。
 少なくとも、↓の辞書や、アルクのサイトには、そのような記述はありません。
 アルクのサイトはURLが下記にかわってますね。
http://www.alc.co.jp/jpn/article/soudan/015.html

2.「大きい」は一般的に(名詞でいえば、普通の名詞に)使っている。それに対して「大きな」は、特殊(名詞でいえば、抽象や形式など)に使っている。
→どちらが一般的で、どちらが特殊ということではないはずです。
 ただ、用途が広いのはどちらなのか、ということなら「大きな」でしょう。
 No.9のコメントやアルクのサイトをご確認ください。だいたい下記のような傾向があります。あくまでも〝だいたい〟です。
 普通の名詞 →「大きな」「大きい」
 抽象的な名詞→「大きな」
 慣用句   →「大きな」
 形式名詞  →「大きい」 
 形式名詞でも「大きな」が使えますが、「大きいの(がいい)」の場合は、「大きい」のほがよさそうです。

 アルクのサイトには「あげものには大きいフライパンのほうがいい」という例もあげられていますが、これを「大きな」にできない理由はないはずです。


【20181017追記】
 某所に書いたこと。
「真っ赤な花」(トナカイ?)ではなく、「真っ白い花」に食いつきます。
「真っ白い花」「真っ白な花」
「真っ黒い花」「真っ黒な花」
 これは、8例しかないと言われる、イナ交替の亜種でしょう。
 惜しいことに〈A「~な」が連体詞のもの〉ではなく、〈B「~な」が形容動詞の活用形のもの〉ですね。
 複合語だからダメと考えるか。辞書にもあるんだから○と考えるのか。個人的には当然のように後者です。
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