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「形容詞終止形」+「です」 うれしいです うれしかったです

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【8】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821744441&owner_id=5019671

mixi日記2012年06月26日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854886710&owner_id=5019671

 直接的には下記の続きだろうな。
伝言板【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671

「うれしいです」「悔しいです」などの〈「形容詞終止形」+「です」〉に関して、当方は「厳密には誤用」と考えている(「うれしかったです」「悔しかったです」なども同様)。ただ、「その根拠を示せ」と言われると、ちと困ってしまう。↑の【板外編7】の本多読本の記述でお茶を濁しているが、最近の資料は示しようがない。最近の文法書や辞書は〈「形容詞終止形」+「です」〉を許容しているからだ。
 なぜそんなことになったのかは、「文化庁の陰謀」じゃなくて「方針」のせいとしか言いようがない。

■Wikipediaから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E4%B9%B1%E3%82%8C
================================引用開始
形容詞・動詞+です
丁寧な断定の助動詞「です」が形容詞や動詞に接続することが誤った用法とされることがある。このうち「おもしろいです」のように形容詞に接続したものについては、1952年の国語審議会『これからの敬語』により「合法化」された。動詞に接続したものについては『これからの敬語』でも合法化されず、「です」の接続はおかしいという感覚をもつ者が多い[4]が、井上史雄は、将来的には動詞も含めて全てに「です」が付くようになるだろうと予測している。

4. 井上史雄『敬語はこわくない 最新用例と基礎知識』講談社現代新書、1999年、108頁。
================================引用終了


 昭和27年の『これからの敬語』の記述。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/01/tosin06/04.html
================引用開始
7 形容詞と「です」

 これまで久しく問題となっていた形容詞の結び方――たとえば,「大きいです」「小さいです」などは,平明・簡素な形として認めてよい。
================引用終了


 平成19年の『敬語の指針』P.28の記述。
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/pdf/keigo_tousin.pdf
================引用開始
4 丁寧語
「です」「ます」を付ける上で留意を要する点は特にない。(「高いです。」のように 形容詞に「です」を付けることについては抵抗を感じる人もあろうが,既にかなりの 人が許容するようになってきている。特に「高いですね。」「高いですよ。」「高いです か。」などという形で使うことに抵抗を感じる人はほとんどいないであろう。)
================引用終了


 1952年の「これからの敬語」が発表された直後から〈学校文法でも「形容詞+です」を正しい形として認めている〉か否かは、当方にはわからない。古い文献にあたればわかるかもしれないが。
 本多読本の単行本が発行されたのは1982年。この段階で本多勝一は〈中学生の文法書などに明示されている〉と断定している。いくら断定が好きな著者でも、ウソは書かないはず。少なくとも当時の「中学生の文法書など」では、まだ〈「形容詞終止形」+「です」〉は誤用とされていたのだろう。
 その後、文法書や辞書では許容が進み、近年では堂々と正用のように扱われている。中学生向けの文法書はそれでもいいかもしれないが、辞書類は、「本来は……」とか「元々は……」とか注をつけるべきだと思う。
 しかし、〈「形容詞終止形」+「です」〉に異和感をもつ人は多い。とくに年配の人や語感の鋭い人は抵抗があるようだ。当方は若い頃から本能的に「誤用」と感じていた(思えば、若い頃はそこそこ語感が働いた)。10年ほど前からは、「厳密には誤用」と書きつづけてきたので、いまさらこんなものが許せるわけがない。
 だが、もはや「誤用」と主張する気は失せた。最近は無神経な文章か否かを見分ける目安にしている観がある。ヒトサマが使っているのにメクジラを立てる気はないが、自分で使う気は毛頭ない。
 このあたりは、非常に乱暴な物言いであることを承知で書くと、「ラ抜き言葉」に対する感覚に近いかもしれない。
 ある意味、感覚が若くなっているのかもしれない。(←うれしくないです!)
 割に親しい年長者に対する若い女性の発言として「ありませんよ」と「ないですよ」のどちらが自然か、かなり真剣に悩んだりもした。
 いっそ完全に許容したほうがラクになれるのかも……と思わなくはない(泣)。


「か」「ね」「よ」と併用すると異和感が緩和されるのは、下記のコメント欄と多少は関係があるのか?
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1853506079&owner_id=5019671
================================引用開始
【追記】で『敬語再入門』のリストから引用しました。
 これを見るに、「(……のために)お入れする」を×にする理由はわかりません。やはり「慣習」なのでしょう。
「(……のために)お入れする」にほんの少し異和感があって、「(……のために)お入れしましょうか」ならほとんど異和感がない理由もお手上げです。
 まったく違う話ですが、当方は「形容詞終止形+デス」の話を想起しました。
【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671

危ないですX    お入れしますX
危ないでしょう○  お入れしましょう○  
危ないですか△   お入れしますか△
危ないですね△   お入れしますね△
危ないですよ△   お入れしますよ△

「危ないでしょう」と「お入れしましょう」は厳密に言うと形が違いますが、可否の感じがどこか似ている気がします。
================================引用終了


 下記のサイトが詳しいかも。
http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/view.rbz?nd=1750&ik=1&pnp=101&pnp=113&pnp=566&pnp=1750&cd=17
  ↓
http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/textbook/chuu/kokugo/document/ducu3/17.html
================================引用開始
Q07 「美しいです」「大きいです」は正しい言い方か

形容詞に断定の助動詞の丁寧体「です」を接続させる言い方は,昭和27年4月14日に国語審議会で建議された「これからの敬語」以降,今日では,もはや誤用とはいえないのが実情であり,教科書のうえでも認められている。「これからの敬語」の中に,「形容詞と『です』」という項目があって,これまで久しく問題となっていた形容詞の結び方・・・たとえば,「大きいです」「小さいです」などは,平明・簡素な形として認めてよい。とあり,「これまで久しく問題となっていた」というのは,次のような事実経過をふまえている。

それまでの文法書や国定教科書『中等文法』などでは,「です」は体言と助詞「の」にのみ接続し,動詞・形容詞にはつかないと説明していた。(ただし,「です」の未然形に推量の助動詞「う」のついて「でしょう」の場合は例外とされ,「美しいでしょう」「大きいでしょう」は認められていた。)

つまり,形容詞を丁寧体にするには,「美しゅうございます」と,「ございます」を下につける言い方しか認められていなかったのである。ところが,この言い方は,丁寧すぎる,冗長すぎるとして,だんだん一般の人の意識にそぐわなくなり,「美しいです」「大きいです」のような言い方が,「花です」「親切です」(学校文法では,「親切です」は形容動詞の丁寧体としている。)などに対応するものとして,実社会で用いられるようになってきた。

「これからの敬語」が,できるだけ「平明・簡素」な敬語にしようという基本的方針に基づき,「これからの対話の基調は『です・ます』体としたい。」と定めた。

そこで,名詞の場合の「いい天気だ。(常体)・・・いい天気です。(丁寧体)」,動詞の場合の「よく降るね。(常体)・・・よく降りますね。(丁寧体)」と同じく,形容詞の場合も,「美しいね。(常体)」に対応する丁寧体「美しいですね。」という言い方を,従来の文法書では正しくないとされていたにもかかわらず,積極的に認めていこうという見解を示したわけである。

なお,形容詞を過去の言い方に用いる場合は,「美しいでした」「大きいでした」「ないでした」というより,「美しかったです」「大きかったです」「なかったです」「有りませんでした」というほうが一般的である。
================================引用終了



 Web辞書『大辞林』の記述です。
 これはすばらしい〝です〟。
 以前ひいたときには、こんな記述はなかったような……。
 ついでに書いておくと、終助詞の「か」がつく形もアリでしょう。

http://dictionary.nifty.com/word/%E3%81%A7%E3%81%99?dic=daijirin
  ↓
http://kotobank.jp/word/%E3%81%A7%E3%81%99?dic=daijisen&oid=12697100
================引用開始
(3) 形容詞の終止形に付く「楽しいです」「おもしろいです」は現在かなり広がっているが,多少ぎこちなさも感じられる。一方,それに終助詞を伴う「楽しいですね」「おもしろいですよ」などは普通に用いられる〕
================引用終了

 関連日記は下記あたり。
【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1(No.277)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671
【板外編7-2】デス・マス体が書きにくいワケ2(No.327)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-327.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1129808325&owner_id=5019671
【板外編7-3】デス・マス体が書きにくいワケ3(No.350)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-350.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1156101470&owner_id=5019671
【デス・マス体が書きにくいワケ4──デス・マス体のナゾを考えるヒント】(No.1424)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1424.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1539218404&owner_id=5019671

698)【「形容詞+です」──何回目だろう】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2312.html

832)【「形容詞終止形」+「です」 うれしいです うれしかったです】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2417.html

「これからの敬語」と「敬語の指針」の両方に触れているサイトは数少ない。下記はけっこう貴重なコメントかもしれない。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1324950238

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