助詞の話──「へ」と「に」(仮) 独り言です44くらい
下記の仲間。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
mixi日記2009年10月19日から
一応下記の続き。
【「全部」と「すべて」をめぐって 独り言です43くらい──日本語教師関連編20くらい】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1313664836&owner_id=5019671
大前提として、助詞の話はむずかしい。ヘタに踏み込まないほうがいい。
「ヘ」と「ニ」の使い分けは、助詞の問題のなかでは比較的簡単だけど、それでも十分むずかしい。
1)「駅ヘ行く」か「駅ニ行く」か
※1)はちょっと曖昧かもしれない。〈「駅ヘ着く」か「駅ニ着く」か〉の二択のほうが明快かも。
2)「駅方面ヘ行く」か「駅方面ニ行く」か
3)「北海道ヘ行く」か「北海道ニ行く」か
どう違うか、説明できますか?
文法は苦手なのに助詞の話なんて書くのは無謀なんだけど、向学心が旺盛ないい子だからちょっと書いてみる。ヘンな点があったらご指摘ください。「決定稿」にするために、試行錯誤したい。
このテーマを扱ったトピもあるけど、結局のところよくわからない。
【目的地への表現について】☆日本語教師☆ トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43890120
【「~へ行く」と「~に行く」について】日本語しつもん箱 トピックトピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46146450
まずネット辞書の『大辞林』を確認する。
この場合の「ヘ」は下記の「1」だろう。 一般には「2」は「ニ」を使うほうが自然な気がする。「3」も微妙。辞書の注にも、「2」「3」の用法は「ニ」との境界が曖昧、とある。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%B8&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=11&index=19218216482300
================================
へ
[格助]《現在では「え」と発音する》名詞に付く。
1 動作・作用の移動・進行する目標地点・方向を表す。…の方向に向かって。…の方へ。「西―向かう」
・「今日(けふ)、車、京―とりにやる」〈土佐〉
2 動作・作用の行われる場所・帰着点を表す。…に。「庭―物を捨てるな」「父も母も留守のところ―訪ねてきた」
・「十月十四日、関東―下着(げちゃく)」〈平家・八〉
3 動作・作用の向けられる相手・対象を表す。…に対して。…に。「父―送った手紙」「お母さん―よろしくお伝えください」
・「われらが主の太政入道殿―、いかで参らであるべき」〈平家・二〉
◆「あたり」の意を表す名詞「辺(へ)」から転じたもの。本来は「に」が場所や動作・作用の帰着点を静止的に指示するのに対し、「へ」は、動作・作用の向かう目標を移動的に指示する傾向が強い。しかし、平安時代末ごろから、23の用法が生まれ、「に」との境界がしだいにあいまいになる。
================================
この場合の「ニ」は下記の格助詞の「3」だろう。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=11
================================
に
[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家―着く」「東―向かう」
・「蟻のごとくに集まりて、東西―急ぎ、南北―走(わし)る」〈徒然・七四〉
================================
一般には、方向の「ヘ」、目的地の「ニ」などと言われる。それでいいと思う。トピの話も、だいたいそういう結論だろう。
冒頭の問題で考える。
1)「駅ヘ行く」か「駅ニ行く」か
※〈「駅ヘ着く」か「駅ニ着く」か〉の二択のほうが明快かも。
2)「駅方面ヘ行く」か「駅方面ニ行く」か
1)は「駅ニ行く」(駅ニ着く)で、2)は「駅方面ヘ行く」が基本的な考え方になる。
ここから先は余談と考えてほしい。
〈方向の「ヘ」、目的地の「ニ」〉という理解でいいと思うが、それは「そういう解釈が一般的」ってくらいのニュアンスでしかない。
方向の「ヘ」、目的地の「ニ」が絶対的なものではないことは、辞書を見てもわかる。
「ヘ」の「2」に従うなら、目的地も「ヘ」になる。
「ニ」の例文に「東ニ向かう」があるのだから、「方向」の場合に「ニ」を使っても間違いではない。
このあたりが辞書の限界なんだと思う。辞書的にはOKだけど、実際にはあまり使われない、なんて表現はいくらでもある(はず)。
こういうことを書くと、「だから辞書より主観のほうが確か」なんて言い出すヤカラが出てくる気がする。それは単なる暴論で、無知の開き直りに近い。あくまでも、辞書などの記述が基本。それで解決しない場合に主観で判断するってこと。
よくわからないのが、冒頭の3)のように具体的な地名などが入った場合。
3)「北海道ヘ行く」か「北海道ニ行く」か
繰り返すけど、どちらでも間違いではない。
一般的には、具体的な地名が入った場合は、「ニ」だろうな。具体的な目的地であれば「ニ」、漠然とそっち方面なら「ヘ」になる。これが「北」なら「北ヘ行く」だろう。「最果ての地」だと、微妙になるが、どちらかと言うと「ニ」だろうか。
さらに話をややこしくすると、「行く」ではなく「向かう」だと、「ヘ」のほうが自然な気がする。文法的に「行く」と「向かう」に違いはないだろうから、理由はわからない。おそらく、「向かう」のほうが方向性を強く意識するからだと思う。
1)「駅ヘ向かう」か「駅ニ向かう」か
2)「駅方面ヘ向かう」か「駅方面ニ向かう」か
3)「北海道ヘ向かう」か「北海道ニ向かう」か
【20110507追記】
下記はわかりやすいのかわかりにくいのか……。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17127/m1u/%E3%81%AB/
【20110704追記】
遊び【ニ】行く……たぶん関係ないがメモしておく。
【20150503追記】
アルクの2サイトは勉強になる。
【引用のご作法12 「に」と「へ」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2853.html
【20171125追記】
〈方向の「ヘ」、目的地の「ニ」〉の例外になりそうな例を思いついた。
「{右/左}ヘ寄ってください」は、方向だと思うがたぶん「ニ」のほうが自然。
「前へ進んでください」「後ろへお下がりください」は、微妙だけど「ヘ」のほうが自然な気がする。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
mixi日記2009年10月19日から
一応下記の続き。
【「全部」と「すべて」をめぐって 独り言です43くらい──日本語教師関連編20くらい】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1313664836&owner_id=5019671
大前提として、助詞の話はむずかしい。ヘタに踏み込まないほうがいい。
「ヘ」と「ニ」の使い分けは、助詞の問題のなかでは比較的簡単だけど、それでも十分むずかしい。
1)「駅ヘ行く」か「駅ニ行く」か
※1)はちょっと曖昧かもしれない。〈「駅ヘ着く」か「駅ニ着く」か〉の二択のほうが明快かも。
2)「駅方面ヘ行く」か「駅方面ニ行く」か
3)「北海道ヘ行く」か「北海道ニ行く」か
どう違うか、説明できますか?
文法は苦手なのに助詞の話なんて書くのは無謀なんだけど、向学心が旺盛ないい子だからちょっと書いてみる。ヘンな点があったらご指摘ください。「決定稿」にするために、試行錯誤したい。
このテーマを扱ったトピもあるけど、結局のところよくわからない。
【目的地への表現について】☆日本語教師☆ トピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43890120
【「~へ行く」と「~に行く」について】日本語しつもん箱 トピックトピック
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46146450
まずネット辞書の『大辞林』を確認する。
この場合の「ヘ」は下記の「1」だろう。 一般には「2」は「ニ」を使うほうが自然な気がする。「3」も微妙。辞書の注にも、「2」「3」の用法は「ニ」との境界が曖昧、とある。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%B8&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=11&index=19218216482300
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へ
[格助]《現在では「え」と発音する》名詞に付く。
1 動作・作用の移動・進行する目標地点・方向を表す。…の方向に向かって。…の方へ。「西―向かう」
・「今日(けふ)、車、京―とりにやる」〈土佐〉
2 動作・作用の行われる場所・帰着点を表す。…に。「庭―物を捨てるな」「父も母も留守のところ―訪ねてきた」
・「十月十四日、関東―下着(げちゃく)」〈平家・八〉
3 動作・作用の向けられる相手・対象を表す。…に対して。…に。「父―送った手紙」「お母さん―よろしくお伝えください」
・「われらが主の太政入道殿―、いかで参らであるべき」〈平家・二〉
◆「あたり」の意を表す名詞「辺(へ)」から転じたもの。本来は「に」が場所や動作・作用の帰着点を静止的に指示するのに対し、「へ」は、動作・作用の向かう目標を移動的に指示する傾向が強い。しかし、平安時代末ごろから、23の用法が生まれ、「に」との境界がしだいにあいまいになる。
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この場合の「ニ」は下記の格助詞の「3」だろう。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AB&dtype=0&stype=1&dname=0na&pagenum=11
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に
[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家―着く」「東―向かう」
・「蟻のごとくに集まりて、東西―急ぎ、南北―走(わし)る」〈徒然・七四〉
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一般には、方向の「ヘ」、目的地の「ニ」などと言われる。それでいいと思う。トピの話も、だいたいそういう結論だろう。
冒頭の問題で考える。
1)「駅ヘ行く」か「駅ニ行く」か
※〈「駅ヘ着く」か「駅ニ着く」か〉の二択のほうが明快かも。
2)「駅方面ヘ行く」か「駅方面ニ行く」か
1)は「駅ニ行く」(駅ニ着く)で、2)は「駅方面ヘ行く」が基本的な考え方になる。
ここから先は余談と考えてほしい。
〈方向の「ヘ」、目的地の「ニ」〉という理解でいいと思うが、それは「そういう解釈が一般的」ってくらいのニュアンスでしかない。
方向の「ヘ」、目的地の「ニ」が絶対的なものではないことは、辞書を見てもわかる。
「ヘ」の「2」に従うなら、目的地も「ヘ」になる。
「ニ」の例文に「東ニ向かう」があるのだから、「方向」の場合に「ニ」を使っても間違いではない。
このあたりが辞書の限界なんだと思う。辞書的にはOKだけど、実際にはあまり使われない、なんて表現はいくらでもある(はず)。
こういうことを書くと、「だから辞書より主観のほうが確か」なんて言い出すヤカラが出てくる気がする。それは単なる暴論で、無知の開き直りに近い。あくまでも、辞書などの記述が基本。それで解決しない場合に主観で判断するってこと。
よくわからないのが、冒頭の3)のように具体的な地名などが入った場合。
3)「北海道ヘ行く」か「北海道ニ行く」か
繰り返すけど、どちらでも間違いではない。
一般的には、具体的な地名が入った場合は、「ニ」だろうな。具体的な目的地であれば「ニ」、漠然とそっち方面なら「ヘ」になる。これが「北」なら「北ヘ行く」だろう。「最果ての地」だと、微妙になるが、どちらかと言うと「ニ」だろうか。
さらに話をややこしくすると、「行く」ではなく「向かう」だと、「ヘ」のほうが自然な気がする。文法的に「行く」と「向かう」に違いはないだろうから、理由はわからない。おそらく、「向かう」のほうが方向性を強く意識するからだと思う。
1)「駅ヘ向かう」か「駅ニ向かう」か
2)「駅方面ヘ向かう」か「駅方面ニ向かう」か
3)「北海道ヘ向かう」か「北海道ニ向かう」か
【20110507追記】
下記はわかりやすいのかわかりにくいのか……。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17127/m1u/%E3%81%AB/
【20110704追記】
遊び【ニ】行く……たぶん関係ないがメモしておく。
【20150503追記】
アルクの2サイトは勉強になる。
【引用のご作法12 「に」と「へ」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2853.html
【20171125追記】
〈方向の「ヘ」、目的地の「ニ」〉の例外になりそうな例を思いついた。
「{右/左}ヘ寄ってください」は、方向だと思うがたぶん「ニ」のほうが自然。
「前へ進んでください」「後ろへお下がりください」は、微妙だけど「ヘ」のほうが自然な気がする。
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