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ネット上の著作権について1

 下記の仲間です。
【出版とネットを巡るあれこれ】
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mixi日記2008年09月24日から

 ある方からネット上の著作権について訊かれた。本来ならメッセージかなんかで書くべきかもしれないが、日記の形にする。実はこの件について法律的なことは当方も何もわからず、むしろ教えてほしと思っている。何かいいサイトなりありませんか。一応ザッと検索してみたら山ほどヒットしたけど、役に立ちそうなものが見当たらないorz。

●ガイドブックの現場で
 これから書くのは実話です。ネタでもなんでもありません。
 最近のガイドブックの現場では、ネットからの盗用が横行している。あれは「参考にしている」とか「ちょっと問題がある」とかいう問題ではなく、「盗用」「剽窃」「パクリ」「泥棒」の類いだと思う。
 どの程度横行しているのかは、以下の話から推測していただきたい。
 あんまりライターを責めるのは酷って気もする。取材先でろくに話もしてくれないで、「ホームページを見てくれ」って対応をされることが多いそうだ。あのさ。ホームページって基本的に原稿を書くのには参考程度にしかならないのよ。ライターを仕事にしているなら、そのことはわかるよね。あれは一種の広告でしょ。ガイドブックは、基本的に記事なの。コピーからネームを起こすのは大変よ。参考資料として渡されたパンフレットに何が書いてあるかわからずに泣いたことがどんだけあるか。
 それでも実際に取材に行ったんなら1件150字くらいならどうにかなる、と考えるのは常識人。どうにもならない人もいるのよ。

 当方が知っているいちばんヒドい例を書いておく。
 あるガイドブックで商店街を紹介した。担当はTさんとしておこう。リード(記事の冒頭につける、数行のまとめ文)がなんともミョウチキリン(死語)だった。なんかほかのところと文体が明らかに違って、妙に凝ったレトリックを使っている。
 商店街のホームページを見て愕然とする。クダンのリードはホームページの冒頭をほぼそのまま使っていた。Tさんに電話をすると、「商店街の担当者にはホームページを参考にしていいと許可をもらいました」とのこと。「参考にする」と「丸写しにする」は違うでしょ。あんな特徴のある文章をそのまま使ったら、見る人が見ればすぐにわかる。だいたい誰に原稿料払えばいの? 少なくともTさんに払う理由はないよ。
 どうにも歯がゆいのは、なぜこういうことをしてはダメなのか、を説明できないこと。「でも先方の許可は得ているんですよ」と真剣な口調で言われたら返す言葉がない。

 Tさんはほかの原稿もけっこう粗くて苦労した。インタビューをお願いしたところ、インタビュイー(「話し手」のことをこういうはずだけど、全然一般化しないのはなぜなんだろう。「聞き手」の意味の「インタビュアー」はフツーに使われるのに)からクレームが来た。ゲラも異様なほど真っ赤っか。まあ、「写真がよくない」とか言う人だから、多少神経質なところがあるんだろう。ゲラには「こんなことは言っていない」とか書かれていた。「ニュアンスが違う」という指摘もあった。
 そういう方はけっこういたりするから、そんなに気にはしななかった(あとから思えば、十分危険な兆候だったけど、こういうことにいちいちメクジラを立てていたら、いまどきの若いライターとは付き合えません)。

 数カ月後に同じガイドブックのシリーズを作る予定があった。Tさんが次のエリアにすごくくわしいこともあって、引き続きお願いすることになった。
 取材がひととおり終わった頃から、Tさんと連絡が取りにくくなった。電話はいつも留守電で、メッセージを入れても連絡はない。メールを入れても、返信は数回に1回。最低限の連絡しかしてこない。あとからメールで言い訳してきたところによると、抜歯したので電話では話せなかったとのこと。ふーん。最近は抜歯するとメールも打てなくなるんですか。よほど強力な麻酔なんですね。
 この段階でかなりストレスがたまり始めた。この仕事を発注してきたプロダクションの担当者に相談すると、「呼びつけて怒鳴りつけろ」と過激なことを言う。そんなことまではしたくないけど、ホントにそうしようかと思った。
 この連絡がとれない時期に、決定的な問題が起きていることが発覚した。
 紹介物件のなかに、ある企業のグラウンドがあった。J2だかなんだかのサッカーチームのホームグラウンドとしても使われている施設だった。チームの練習のないときには一般公開しているので、それを紹介すること自体は問題がないと判断した。
 原稿と写真が上がってきた。写真が2点しかなかった(基本は3点使用)。しかもデータが妙に軽くて大きくは使えないので、再撮影を以来した。「再撮影」と言ってもそんなにオオゴトではなく、この段階では近所の他物件の取材が残っているんで、そのついでに回ればいいはずだった。
 再撮影した写真は、夜間(しかも雨降り)の訳のわからん写真。これは盗撮か? これじゃ使えない旨連絡するとともに、こちらでも調べはじめる。
 当該施設のホームページをチェックする。うーむ。もらった原稿はここのホームページの文章をリライトしてる。そのくらい読み比べればわかるよ。さらにいろいろ調べる。あのー、もらった写真がまったく別の個人のホームページに掲載されているものと同じに見えるのは気のせいですか。
 運営体に電話する。「本社の広報に確認して連絡する」ということなので、連絡を待った。翌日に電話がもらう。「たしかに一般開放はしているのですが、それは本来の目的ではないので、雑誌などへの掲載は見合わせている」とのこと。いったいこれはどういうことだ?
 ことの顛末をメールしても応答はなし(この段階では写真のパクリの件は伏せた)。キサマは●●生命か!

 それでもなんとかページをまとめて本ができる頃、T氏からメールが来た。
「入金の予定を知らせてください」
 あのさ。ほかに書くことがあると思うんだけど。今回は規定の原稿料を支払えない旨の返事を書く(普段からそう高いギャラを払ってない負い目があるので、こういうことはめったにやらない。たぶん2回目のことだと思う)。
 すぐに返事が来る。なんで連絡が必要なときにはなかなか連絡してこなくて、こういうことだけ迅速なんですか? 
 予定より交通費がかかった……そんなのはじめからわかってることでしょ。
 再撮影のリクエストにも応じた……たしかに再撮影をお願いした物件がいくつもあるよ。でもね。フツーの写真を1回で撮ってきてくれればそんなことは要求しないの。ほかのエリアで再撮影お願いしたことなんてないんだよ。
 例のグラウンドの件の経緯(こんときはすべて書いた)をメールし、「こういうことがどんな問題になるかご理解いただけませんか」と書いたら、何も言ってこなくなった。
 一銭も払う義理はない、という考え方もあるだろう。プロダクションの担当者が優しい人なんで、結局2割減くらいのギャラを払った。

 このT氏の話には後日談がある。
 1年くらい前、T氏がmixiにいることを偶然発見した。なんかmixiの使い方みたいな本を出しているらしい。ホームページももっているらしいんで確認してぶっ飛んだ。そのテの本を何冊も出し、もはや有名人のようになっている。まさか、と思ったけどホームページにあるメールアドレスは当時と同じもの。
 ぜひ一度質問してみたい。ネット上の著作権についてどのようにお考えでしょうか。

 こんなことを書いているから、本題に入る前に「次回に続く」になってしまう。

【20221017追記】
 某局の『あ●●』とやらを見ていたら、T氏が出てきた。
 肩書きはITジャーナリスト。投書したろか。


【続きは】↓
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ネット上の著作権について2

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mixi日記2008年09月26日から


●書籍制作の現場で
 ガイドブック以外の書籍制作では、どの程度ネットからパクっているのかはわからない。相当やってるだろうな、という予想しかできない。
 ときどきネットの記事をパクッた新聞記事のことが話題になる。あれは新聞社だけのモラルが下がったから、と考えるべきだろうか。一応腐っても新聞社の社員ですよ。
 一方一般の書籍は書き手の多くが有象無象のライター(当然tobirisuも含む)だよ。やってないと考える理由がない。新聞は締め切りがきついから? 書籍だってきついときはきついって。新聞は発行部数が多いからバレやすいだけではないか。印刷部数が少ない書籍で同様の不祥事が見つからないのは、ホントに「やってないから」なんだろうか。「見つかりにくいだけ」ではないか。もちろん、そんなことはないと思いたいけど。
 今回はちょっと別の観点から書きたい。
 ネット上で垂れ流されている情報は、どこまで著作権を意識しているのだろうか。

 21世紀に入って間もない頃、ハーブティーの原稿を書いたことがある。必要があるので固有名詞を出すけど、『ハーブティー図鑑』(主婦の友社)って本だ。
 当時、一般人向けのハーブティーの本としてもっとも売れている本は、A社の本だった。手元のA社本は2002年の発行になっている(Amazonで調べると1998年の発行)。
 これはちょっと説明がいるかもしれない。
 通常書籍の奥付(昔は「日本独特の習慣」と聞いた。いまは知らない)の初刷(初版)は、
 ○年△月□日初刷発行
 のようになっている。「初刷発行」の部分が微妙に違うこともある。この本が増刷になると、
 ○年△月□日初刷発行
 ○年△月□日2刷発行
 と併記するのが一般的(刷と版とは厳密に言うと違うが、ここでは同じと考える)。刷を重ねることがよく売れていることの証しなので、なかには刷数を飛ばして、「初刷」の次が「3刷」ってことを慣例にしている出版社もあるらしい。
 ところが実用書の世界はこの常識がかわる。刷を重ねることより、本の新しさを重視することが多いらしい。手元のA社本を見ると、
 2002年10月25日/発行
 となっている。これはウソではないが、正しい情報とは言えない。この本が作られたのは1998年なのだから。まあ、このあたりは慣習的にそうなっているなら責める気はない。
 このA社本は当然資料のひとつにしたけど、これをメイン資料にするような怖いことはできない。必然的にいろいろ見比べることになる。

 ワイルドストロベリーに関する原稿を書こうとして妙なことに気づく。A社本の記述と他社本の記述が食い違っている。

1)A社本
 16世紀に栽培が始まった(以来数多くの品種が開発されている)
2)他社本の大半
 16世紀に大粒のオランダイチゴの栽培が始まるまで栽培されていた
3)他社本の異説
 17~18世紀にかけてオランダイチゴが作られ、ワイルドストロベリーの栽培はそれ以前
 フツーに考えると、1)はおかしい。それまでは野生のイチゴしかなかったことになる。しかも数多くの品種が開発されているのは食用のオランダイチゴのはずだ。

 しかたがないので、ネットでいろいろ調べた。9割方が1)と同じになっている。やっと信用できそうな資料を発見した。記憶が曖昧で申し訳ないが、たしかどこかの大学の研究室の運営する植物図鑑。たぶん2)になっていた。3)だったかもしれない。とにかく1)ではなかった。
 しかし、ほかは圧倒的に1)の説に従っている。いろいろ見ているうちに妙な文章に気づく。小規模なハーブ屋さんのサイトだった。これって、A社本の文章を丸写ししてないか? よく見ていくと、長めの解説をしているサイトは、何割かがA社本を丸写ししている。残りも、どう見たってA社本の一部を書きかえたもの。そりゃ1)の説が有力になるはずだよ。
 そういうやり方をする気持ちはわかるよ。でもさ。それならいっそ丸写しして出典を書けばいいじゃない。どっちの罪が重いのかな。

 そこで試しに自分で書いた原稿を引っ張り出して来た。

●レモングラス
 レモングラスはススキによく似た背の高い草ですが、葉をちぎってこすると、レモンとそっくりの香りがします。レモンの香りの成分でもあるシトラールを多量に含んでいるからです。
 香りはレモンのようにすがすがしく、酸味はまろやかなレモングラスのお茶は、だれにでも親しまれる味です。フレッシュハーブでも、ドライハーブでもおいしく味わえますが、ドライハーブだと風味がやや落ちます。物足りなりないようなら、レモンピールなどを少し加えるとさわやかさが引き立ち、味にメリハリがつきます。『ハーブティー図鑑』(P.70)
【レモングラスはススキによく似た背の高い草】で検索した結果
http://url.ms/y8d

●ローズヒップ
 ローズヒップは、ローズの花が咲いたあとにつく実のことです。ローズヒップのお茶にはスイートブライヤー、ハマナスなども用いられますが、もっとも一般的なのはドッグローズと呼ばれる品種です。ドッグローズは、古くから薬効の高いことが知られていました。ローマ代には狂犬病にも効くとされたことから、ラテン語で「犬のバラ」を意味する名前がつけられ、英語でもドッグローズと呼ばれるようになりました。
 多くのビタミンやミネラルが含まれていますが、なんといっても注目すべきはビタミンCの多いことです。レモンの20倍といわれ、「ビタミンCの爆弾」という過激な呼ばれ方もします。『ハーブティー図鑑』(P.78)
【ローズの花が咲いたあとにつく実のことです】で検索した結果。
http://url.ms/y8f

 まあ、こんなとこです。
 このうちどれだけの方々が出版社に許可を得ているのかは知らない。「ボタニカルズ」あたりは本の中でも大きく紹介しているので、許可を得ているのかもしれない。
 
 入力するのがメンドーだから手元に原稿にあるものを選んだ。A社本のハーブの解説の冒頭の(ウワ、「の」の4連発)数行を入力して検索したら、もっと多くの数がヒットすると思う。もし、A社が本気で訴訟したらとんでもないことになるだろうな。
 まあ、ネット上の情報の多くはこんなもんだ。

 以下は当方の個人的な見解です。「許されるんだ」なんて思わないように。一般の意見はもう少し厳密なはずです。

1)個人で使う分にはいいよ
 個人の方が自分のホームページに引用する場合は、どうでもいいかな、って気がする。一応趣味の一環なんだろうから(厳密にはちがうかもしれないが)。でも、個人的なハーブ図鑑を作るのに、丸写ししてどんな意味があるのかは理解できない。
 フツーに考えるなら出典を書くべきだけど、書きたくないなら書かなくてもいいよ。ただし、丸写しした内容に間違いがあった場合、恥をかくのは写した人だからね。
 仕事として作っているホームページで丸写しはマズいでしょう。小規模だからとか、個人経営だからとか、そんなことは言い訳にならない。

2)実用書の著作権
 実用書で自分が書いた文章に関して、著作権って意識があんまりない。ほかの人はもちろんあるんだろうけど、当方は「あんまりない」ってこと。もちろん、適当にウソ八百を書いたつもりはないけど。しょせん、どこかの資料のツギハギなんだもん。文体的にも、なんの個性もない、つまんない書き方してるし。
 もちろん、世間的には価値があるかもしれない。どんなにつまんない内容でもソコソコ読める文章にして、わかりやすくて読みやすくて、正しい日本で書かれている……(いい加減にしろ)。
 それでも勝手に使われるのはあんまり気分のいいものではない。
 どうせ使うなら、丸写ししてください。「丸写しはいけない」という意識があるのか、一部を微妙にかえている例がある。あれは許しがたい。
 微妙にかえて訳がわからなくなってたりすると、ムカッと来る。
 微妙にかえて原文よりよくなってたりすると……それは断じて許せんぞーーーー。

 まだまだ本題への道のりは遠い?

【続きは】↓
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