そろそろ ますます いよいよ〈1〉 日本語 辞書
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1854387407&owner_id=5019671
mixi日記2011年10月27日から
テーマサイトは下記。
【「そろそろ」が不適当な理由】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65860876
質問文を一部加工して転載する。
================================
母になる日はますます迫ってきます。
*母になる日はそろそろ迫ってきます。
という問題について、なぜ「そろそろ」ではいけないのか、という質問を受けました。
①「そろそろ」は、話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明であるとの記述を『基礎日本語辞典』(森田良行)で読んだだめ、「母になる日」が確実な時間だから「そろそろ」が使えないのかと考えましたが、
・母になる日がそろそろ迫ってきます。
と、「は」を「が」に変えると不自然さが激減するように思います。
そうすると、「母になる日」が確実な時間かそうでないかは、「そろそろ」が使えるか使えないかには関係がないのでしょうか。
② ①で「は」を「が」に変えると「そろそろ」が使えるように思えたので、「は」と「が」の問題かと考えましたが、
・「そろそろ」は話し手の主観を述べる
・「が」は主観的判断を入れない現象文に使う
と考えると筋が通りません。「はとが」と、「そろそろ」が使えないことには何か関係があるのでしょうか。
================================
トンデモ問題集の類いだろうな。
178【トンデモ参考書……なんだろうな】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1469148509&owner_id=5019671
不適切な問題だけど、おもしろいテーマを含んでいる気がする。
『基礎日本語辞典』の「話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明である」って記述もイマイチわからない。「確実な時間が不明」がヘンなことは、コメントで指摘したかたがいる。いずれにしても、こういう場合はもっと明確に引用してほしい。
そもそもの例文に異和感がある(相当微妙な問題なんで、非文などと主張する気はない)。
副詞(オノマトペか否かはおいておく)の選択が不適切なこと以外にも原因がある気がする。シンプルな形にしてみる。
母になる日は迫ってきます。
こうしても異和感がある。「母になる日が迫ってきます。」のほうが少し自然だが、まだヘンな感じが残る。下記の形なら異和感がない。
母になる日が迫っています。
母になる日は迫っています。
母になる日が来ます。
母になる日は来ます。
「は」はちょっとひっかかる気がする。とくに「母になる日は来ます。」は微妙だけど、この際だから目をつぶる。これが下記だと、「は」のほうが自然な気がする。理由を考えはじめると泥沼が待っている(笑)。
母になる日はもうすぐそこです。
母になる日は来ません。
否定形に関しては、下記が参考になるかも。
22)続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42113447
閑話休題(お手本にし……やかましいわ)。
突然ですが問題です【日本語編12】──「閑話休題」の使い方
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55754361
元々不自然な例文で考えてもわかりにくいので、自然な例の下記で考える。
1)母になる日が( )迫っています。
2)母になる日が( )来ます。
1)と2)の( )に入る副詞としてふさわしいのは「ますます」か「そろそろ」か。
当方の感覚だと、1)は「そろそろ」は△。「ますます」も△だけどほとんど×。イチバン素直なのは「いよいよ」だろう。原文でも同じことが言える気がする。
これが2)だと、「そろそろ」も○で、「ますます」は×。
さらに主観的で微妙な話をする。
「そろそろ」はどのように使うべきか。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%9D%E3%82%8D%E3%81%9D%E3%82%8D&stype=0&dtype=0
================================
そろ‐そろ
[副]
1 動作が静かにゆっくりと行われるさま。そろり。「―(と)歩く」「幕が―(と)上がる」
2 ある時期・状態になりつつあるさま。ぼつぼつ。「話が―佳境にはいってきた」「―出かけよう」
================================
話題になっているのは「2」の意味だろう。類語として「ぼつぼつ」があげられている。下記だと「ゆるゆる」「ゆっくり」があげられている。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/2724/m0u/%E3%81%9D%E3%82%8D%E3%81%9D%E3%82%8D/
つまり「そろそろ」は時間的(「精神的」でもいいけど)にゆとりがあるときに使われる傾向があるんじゃないかな。そういう言葉と「迫る」じゃ相性が悪いよ。
下記なら異和感がない。
3)母になる日がそろそろ近づいてきた(ようだ)。
4)母になる日がそろそろ来た(ようだ)。
「ようだ」がつくほうが自然に感じられるのは『基礎日本語辞典』のいう「話し手の主観として推量的に述べる表現」だからなんだろう。いくら辞書でも、もう少しわかりやすく書いてくれないかな。
さらにヨタ話を加えよう。
質問文中に使われている丸付き数字は、Macでもバケないタイプ。Windowsでこれを出すにはどうやるのだろう。ケータイで見るとバケるのかもしれないが、そこまでは関知しない。まあ、使わないほうが無難だろう。
※あれ? 見えていたはずの丸付き数字が、しばらくしたらバケた。なんてこったい。バケないやつにさしかえるか。
「不適当な理由」は「不適切な理由」とほぼ同義なのね。「適当」だと二義性があるのに、「不適当」だと意味が限定されるのか。発見だった。
【20111027追記】
乗りかかった船なので、「ますます」に異和感がある理由も考えてみた。こういうのは、スッキリと説明できるほうが少ない気がする。そういうときは……「ヘンなものはヘン」で押し切るしかないような。
まず、辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99&stype=0&dtype=0
================================
ます‐ます【▽益/▽益▽益】
[副]《動詞「ま(増)す」を重ねた語》程度が一層はなはだしくなるさま。いよいよ。「風雨は―激しくなる」「老いて―盛んだ」
================================
「程度が一層はなはだしくなるさま」を表わすのか。なるほど。でも「迫る」だって程度と言えなくはない、と主張されるとちょっと困る。意味に「いよいよ」もあるしなぁ。
別の辞書をひく。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/16819/m0u/%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99/
================================
【4】「ますます」は、プラス・マイナスの程度が高まることを表わす。価値判断の入っていない文では使えない。
================================
ここでも「程度」ですか。
「激しくなる」にはどんな価値判断が入るんだろう。
ますます離れる……ちょっとヘン
ますます遠ざかる……ほんのちょっとヘン
ますます近づく……ほんのちょっとヘン
ますます遠くなる……○
ますます近くなる……○
ますます疎遠になる……○
ますます親密になる……○
o( ̄ー ̄;)ゞううむ 。
「遠い」「近い」は間違いなく「程度」だよな。
形容詞だとおかしくないのに、動詞になると異和感が生じる。
もしかすると「~(に)なる」がキーワードかも。
ギブアップか?
でもヘンなものはヘン。だってトンデモなんだから。(←オイ!)
【20111002追記】
なんと申しましょうか。
コメント[11]のような適確な指摘に対してもヨタが入るんですね。困ったもんだ。
もし本当に「積極的に論点にしよう」と思わなかったのなら、最初からそう書けばいい。「気にならなかった」「気がつかなかった」のならそう書くべきでしょ。なぜそういうホニャララな書き方をするのだろう。
「漂白」ってどういう意味?
そろそろ ますます いよいよ〈2〉
mixi日記2011年10月29日から
テーマサイトは下記。
【「そろそろ」が不適当な理由】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65860876
元々のテーマを少し変形する。
下記の文の( )に入る副詞は何か。
母になる日は( )迫ってきます。
日本語学習者がどこかから見つけてきた問題とのこと。その問題には「ますます」は○で「そろそろ」は×とあったらしい。
質問が2つある。
1)なぜ「そろそろ」ではいけないのか
2)「ハ」を「ガ」にかえれば、「そろそろ」を使えるのか
まず1)に関して。
当方は、そもそもの問題がトンデモだと思う。理由は↑の〈1〉で書いた。
副詞を削除した形ですでに不自然なのだから、何を入れても自然にはならない。
では正解はナシかと言うと、そうとも言えない。当方の「感覚」で言えばどちらも不自然だけど、どちらも「間違い」ではない。
不自然でも通用する表現なんていくらでもある。なぜおかしいのかをハッキリ説明できないのなら、「間違い」とすることはできないだろう。それは「感覚」(「主観」でもいいけど)でしかなく、このテの問題は「感覚」を試すものではないはず。「日本語ネイティブ」でさえ説明できないような微妙な問題を出すほうがおかしい。トンデモと書いたのはそういう意味。
どちらもヘンだから「正解ナシ」と主張する人がいるなら、逆らう気はない。それならそれでもいい。いずれにしてもマトモな問題ではない。
ただ、あえて理由付けをするなら……ということで「そろそろ」は「迫る」と相性が悪いのでは、と書いた。【追記】で「ますます」がおかしい理由も書いた(これは微妙すぎてなんとも言えないかも)。
泥沼を回避した2)の問題について考えてみた。
「ガ」にしたほうが自然、というトピ主の「感覚」には賛成。しかし、「ハ」を×にする根拠もない。あるのかもしれないが、少なくとも当方には思いつかない。ただし、〈1〉で書いたとおり、「ガ」にしたほうが自然なのは「そろそろ」とは関係ないと思う。
以下は、1)の問題以上に「あえて理由付けをするなら」ってことです。
元々の質問にある下記の部分がよくわからない。
================================
・「そろそろ」は話し手の主観を述べる
・「が」は主観的判断を入れない現象文に使う
================================
前者は、『基礎日本語辞典』にあったという「話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明である」から来ているのだろう。この記述がいろいろな意味でわからない。いつになく悪い性格全開で細かく見ていく。
1)なぜ「話し手」限定
当然のことながら、「書き手」の場合もある。これはさすがにインネンか(笑)。
2)「主観」って
「主観」か「客観」かと考えるなら、副詞は「主観」になるほうが多いのでは。おそらく、「形容詞」も「形容動詞」も。なぜわざわざ「主観」と断わるのか不明。
3)「主観として推量」って
「推量」はたいてい「主観」だろう。誰の主観かと言えば、話し手(書き手)の「主観」に決まっている。結局、「話し手の主観として」は不要なのでは。
4)「推量的に述べる」って
「そろそろ」は「推量」表現を伴うことが多い。伴わない場合も、「推量」のニュアンスを含む(例外もあるかな?)。だから「推量“的”」なんだろうな。
5)「確実な時間が不明」
これは間違いだろう。「不明」なことが多い気はする。でも、定刻が決まっているもの(重言)に対して「そろそろ○○の時間だ」と使うこともある。ここに誤解があるから、「推量」なんて表現が出てきたのでは。「そろそろ」が「あと何分」という「確実な時間が不明」という意味ならOKだけど、そんな●●なことをわざわざ書く理由がわからない。
結論として、『基礎日本語辞典』の記述はほとんど意味がなくて相当あやしいってことになる。(←オイ!)
まあ、引用がどこまで正確なのかわからないし、5000円もする辞書がそんなにいい加減なわけはないから、あんまり悪口を言うのはやめておく。ただ、この記述に限ると……。
後者はどこから出てきたのだろう。
たしかに「夜が明ける」なら「主観的判断を入れない現象文」だろう。
しかし、「夜が明ける頃だ」なら、「主観的判断」が入っている。
当然「そろそろ夜が明ける頃だ」という文も成立する。きわめて自然な文だと思う。
何か当方が誤解しているのだろうか。
本題に戻る。
1)約束の日( )来る。
2)約束の日( )来た。
3)待ち人( )来る。
4)待ち人( )来た。
原文をできるだけシンプルにしたのが1)と2)。これは現象文だろうな。
主語(的なもの)を人間にしたのが3)と4)。
いずれも「ガ」が自然な気がするが、それなりの文脈を用意すれば「ハ」だっておかしくはない。
「どちらが自然か」という「感覚」を問う問題なら、「ガ」だろう。しかし、「どちらが正解か」という問題は成立しない。細かいニュアンスの違いも考えたくない。
個人的には、これが否定文になると「ハ」のほうが自然だと思う。
……と、通い慣れた迷路に入る(笑)。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2020.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【9】
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mixi日記2011年10月27日から
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【「そろそろ」が不適当な理由】
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質問文を一部加工して転載する。
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母になる日はますます迫ってきます。
*母になる日はそろそろ迫ってきます。
という問題について、なぜ「そろそろ」ではいけないのか、という質問を受けました。
①「そろそろ」は、話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明であるとの記述を『基礎日本語辞典』(森田良行)で読んだだめ、「母になる日」が確実な時間だから「そろそろ」が使えないのかと考えましたが、
・母になる日がそろそろ迫ってきます。
と、「は」を「が」に変えると不自然さが激減するように思います。
そうすると、「母になる日」が確実な時間かそうでないかは、「そろそろ」が使えるか使えないかには関係がないのでしょうか。
② ①で「は」を「が」に変えると「そろそろ」が使えるように思えたので、「は」と「が」の問題かと考えましたが、
・「そろそろ」は話し手の主観を述べる
・「が」は主観的判断を入れない現象文に使う
と考えると筋が通りません。「はとが」と、「そろそろ」が使えないことには何か関係があるのでしょうか。
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トンデモ問題集の類いだろうな。
178【トンデモ参考書……なんだろうな】
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不適切な問題だけど、おもしろいテーマを含んでいる気がする。
『基礎日本語辞典』の「話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明である」って記述もイマイチわからない。「確実な時間が不明」がヘンなことは、コメントで指摘したかたがいる。いずれにしても、こういう場合はもっと明確に引用してほしい。
そもそもの例文に異和感がある(相当微妙な問題なんで、非文などと主張する気はない)。
副詞(オノマトペか否かはおいておく)の選択が不適切なこと以外にも原因がある気がする。シンプルな形にしてみる。
母になる日は迫ってきます。
こうしても異和感がある。「母になる日が迫ってきます。」のほうが少し自然だが、まだヘンな感じが残る。下記の形なら異和感がない。
母になる日が迫っています。
母になる日は迫っています。
母になる日が来ます。
母になる日は来ます。
「は」はちょっとひっかかる気がする。とくに「母になる日は来ます。」は微妙だけど、この際だから目をつぶる。これが下記だと、「は」のほうが自然な気がする。理由を考えはじめると泥沼が待っている(笑)。
母になる日はもうすぐそこです。
母になる日は来ません。
否定形に関しては、下記が参考になるかも。
22)続【「は」と「が」】──雨が降るそうです/雨は降らないそうです
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=42113447
閑話休題(お手本にし……やかましいわ)。
突然ですが問題です【日本語編12】──「閑話休題」の使い方
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元々不自然な例文で考えてもわかりにくいので、自然な例の下記で考える。
1)母になる日が( )迫っています。
2)母になる日が( )来ます。
1)と2)の( )に入る副詞としてふさわしいのは「ますます」か「そろそろ」か。
当方の感覚だと、1)は「そろそろ」は△。「ますます」も△だけどほとんど×。イチバン素直なのは「いよいよ」だろう。原文でも同じことが言える気がする。
これが2)だと、「そろそろ」も○で、「ますます」は×。
さらに主観的で微妙な話をする。
「そろそろ」はどのように使うべきか。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%9D%E3%82%8D%E3%81%9D%E3%82%8D&stype=0&dtype=0
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そろ‐そろ
[副]
1 動作が静かにゆっくりと行われるさま。そろり。「―(と)歩く」「幕が―(と)上がる」
2 ある時期・状態になりつつあるさま。ぼつぼつ。「話が―佳境にはいってきた」「―出かけよう」
================================
話題になっているのは「2」の意味だろう。類語として「ぼつぼつ」があげられている。下記だと「ゆるゆる」「ゆっくり」があげられている。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/2724/m0u/%E3%81%9D%E3%82%8D%E3%81%9D%E3%82%8D/
つまり「そろそろ」は時間的(「精神的」でもいいけど)にゆとりがあるときに使われる傾向があるんじゃないかな。そういう言葉と「迫る」じゃ相性が悪いよ。
下記なら異和感がない。
3)母になる日がそろそろ近づいてきた(ようだ)。
4)母になる日がそろそろ来た(ようだ)。
「ようだ」がつくほうが自然に感じられるのは『基礎日本語辞典』のいう「話し手の主観として推量的に述べる表現」だからなんだろう。いくら辞書でも、もう少しわかりやすく書いてくれないかな。
さらにヨタ話を加えよう。
質問文中に使われている丸付き数字は、Macでもバケないタイプ。Windowsでこれを出すにはどうやるのだろう。ケータイで見るとバケるのかもしれないが、そこまでは関知しない。まあ、使わないほうが無難だろう。
※あれ? 見えていたはずの丸付き数字が、しばらくしたらバケた。なんてこったい。バケないやつにさしかえるか。
「不適当な理由」は「不適切な理由」とほぼ同義なのね。「適当」だと二義性があるのに、「不適当」だと意味が限定されるのか。発見だった。
【20111027追記】
乗りかかった船なので、「ますます」に異和感がある理由も考えてみた。こういうのは、スッキリと説明できるほうが少ない気がする。そういうときは……「ヘンなものはヘン」で押し切るしかないような。
まず、辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99&stype=0&dtype=0
================================
ます‐ます【▽益/▽益▽益】
[副]《動詞「ま(増)す」を重ねた語》程度が一層はなはだしくなるさま。いよいよ。「風雨は―激しくなる」「老いて―盛んだ」
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「程度が一層はなはだしくなるさま」を表わすのか。なるほど。でも「迫る」だって程度と言えなくはない、と主張されるとちょっと困る。意味に「いよいよ」もあるしなぁ。
別の辞書をひく。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/16819/m0u/%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%99/
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【4】「ますます」は、プラス・マイナスの程度が高まることを表わす。価値判断の入っていない文では使えない。
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ここでも「程度」ですか。
「激しくなる」にはどんな価値判断が入るんだろう。
ますます離れる……ちょっとヘン
ますます遠ざかる……ほんのちょっとヘン
ますます近づく……ほんのちょっとヘン
ますます遠くなる……○
ますます近くなる……○
ますます疎遠になる……○
ますます親密になる……○
o( ̄ー ̄;)ゞううむ 。
「遠い」「近い」は間違いなく「程度」だよな。
形容詞だとおかしくないのに、動詞になると異和感が生じる。
もしかすると「~(に)なる」がキーワードかも。
ギブアップか?
でもヘンなものはヘン。だってトンデモなんだから。(←オイ!)
【20111002追記】
なんと申しましょうか。
コメント[11]のような適確な指摘に対してもヨタが入るんですね。困ったもんだ。
もし本当に「積極的に論点にしよう」と思わなかったのなら、最初からそう書けばいい。「気にならなかった」「気がつかなかった」のならそう書くべきでしょ。なぜそういうホニャララな書き方をするのだろう。
「漂白」ってどういう意味?
そろそろ ますます いよいよ〈2〉
mixi日記2011年10月29日から
テーマサイトは下記。
【「そろそろ」が不適当な理由】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65860876
元々のテーマを少し変形する。
下記の文の( )に入る副詞は何か。
母になる日は( )迫ってきます。
日本語学習者がどこかから見つけてきた問題とのこと。その問題には「ますます」は○で「そろそろ」は×とあったらしい。
質問が2つある。
1)なぜ「そろそろ」ではいけないのか
2)「ハ」を「ガ」にかえれば、「そろそろ」を使えるのか
まず1)に関して。
当方は、そもそもの問題がトンデモだと思う。理由は↑の〈1〉で書いた。
副詞を削除した形ですでに不自然なのだから、何を入れても自然にはならない。
では正解はナシかと言うと、そうとも言えない。当方の「感覚」で言えばどちらも不自然だけど、どちらも「間違い」ではない。
不自然でも通用する表現なんていくらでもある。なぜおかしいのかをハッキリ説明できないのなら、「間違い」とすることはできないだろう。それは「感覚」(「主観」でもいいけど)でしかなく、このテの問題は「感覚」を試すものではないはず。「日本語ネイティブ」でさえ説明できないような微妙な問題を出すほうがおかしい。トンデモと書いたのはそういう意味。
どちらもヘンだから「正解ナシ」と主張する人がいるなら、逆らう気はない。それならそれでもいい。いずれにしてもマトモな問題ではない。
ただ、あえて理由付けをするなら……ということで「そろそろ」は「迫る」と相性が悪いのでは、と書いた。【追記】で「ますます」がおかしい理由も書いた(これは微妙すぎてなんとも言えないかも)。
泥沼を回避した2)の問題について考えてみた。
「ガ」にしたほうが自然、というトピ主の「感覚」には賛成。しかし、「ハ」を×にする根拠もない。あるのかもしれないが、少なくとも当方には思いつかない。ただし、〈1〉で書いたとおり、「ガ」にしたほうが自然なのは「そろそろ」とは関係ないと思う。
以下は、1)の問題以上に「あえて理由付けをするなら」ってことです。
元々の質問にある下記の部分がよくわからない。
================================
・「そろそろ」は話し手の主観を述べる
・「が」は主観的判断を入れない現象文に使う
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前者は、『基礎日本語辞典』にあったという「話し手の主観として推量的に述べる表現で、確実な時間が不明である」から来ているのだろう。この記述がいろいろな意味でわからない。いつになく悪い性格全開で細かく見ていく。
1)なぜ「話し手」限定
当然のことながら、「書き手」の場合もある。これはさすがにインネンか(笑)。
2)「主観」って
「主観」か「客観」かと考えるなら、副詞は「主観」になるほうが多いのでは。おそらく、「形容詞」も「形容動詞」も。なぜわざわざ「主観」と断わるのか不明。
3)「主観として推量」って
「推量」はたいてい「主観」だろう。誰の主観かと言えば、話し手(書き手)の「主観」に決まっている。結局、「話し手の主観として」は不要なのでは。
4)「推量的に述べる」って
「そろそろ」は「推量」表現を伴うことが多い。伴わない場合も、「推量」のニュアンスを含む(例外もあるかな?)。だから「推量“的”」なんだろうな。
5)「確実な時間が不明」
これは間違いだろう。「不明」なことが多い気はする。でも、定刻が決まっているもの(重言)に対して「そろそろ○○の時間だ」と使うこともある。ここに誤解があるから、「推量」なんて表現が出てきたのでは。「そろそろ」が「あと何分」という「確実な時間が不明」という意味ならOKだけど、そんな●●なことをわざわざ書く理由がわからない。
結論として、『基礎日本語辞典』の記述はほとんど意味がなくて相当あやしいってことになる。(←オイ!)
まあ、引用がどこまで正確なのかわからないし、5000円もする辞書がそんなにいい加減なわけはないから、あんまり悪口を言うのはやめておく。ただ、この記述に限ると……。
後者はどこから出てきたのだろう。
たしかに「夜が明ける」なら「主観的判断を入れない現象文」だろう。
しかし、「夜が明ける頃だ」なら、「主観的判断」が入っている。
当然「そろそろ夜が明ける頃だ」という文も成立する。きわめて自然な文だと思う。
何か当方が誤解しているのだろうか。
本題に戻る。
1)約束の日( )来る。
2)約束の日( )来た。
3)待ち人( )来る。
4)待ち人( )来た。
原文をできるだけシンプルにしたのが1)と2)。これは現象文だろうな。
主語(的なもの)を人間にしたのが3)と4)。
いずれも「ガ」が自然な気がするが、それなりの文脈を用意すれば「ハ」だっておかしくはない。
「どちらが自然か」という「感覚」を問う問題なら、「ガ」だろう。しかし、「どちらが正解か」という問題は成立しない。細かいニュアンスの違いも考えたくない。
個人的には、これが否定文になると「ハ」のほうが自然だと思う。
……と、通い慣れた迷路に入る(笑)。
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