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【引用のご作法19 「こんにちは」か「こんにちわ」か】

 キリがないのでやめようと思っていたら、古いメモが見つかったんで記録しておく。
「こんにちは」と「こんにちわ」について『言葉に関する問答集 総集編』に記載があるらしい。
 不要な改行はあまりにも見にくいので当方で削除する。
http://okwave.jp/qa/q374034.html
================引用開始
文化庁編『言葉に関する問答集 総集編』(平成7年)の417ページに次の
ようにあります。
問「こんにちは」か「こんにちわ」か
答 あいさつの語の「コンニチワ」について、最後の「ワ」に発音される部分を「わ」と書くか「は」と書くかが問題とされるが、「現代かなづかい」では、「こんにちは」と書き表す。
 「現代かなづかい」では、一般に「ワに発音されるは」は、「わ」と書くとされているが、助詞の「は」は、「は」と書くことを本則とする。すなわち、助詞の「は」だけは、「ワ」に発音されながら、歴史的仮名遣いのまま「は」と書く。これは、助詞「を」「へ」とともに、伝統的な表記の習慣を存しているものである。要するに、使用度の高い基本的な助詞の表記として、久しく目に親しんできた習慣をそのまま受け継いでおく方が、仮名遣い改定の際、他の大部分を国民に受け入れてもらうのに、抵抗が少ないと考えられたからである。
 したがって、問題は「コンニチワ」の「ワ」を「これは本です。」の「は」と同じに扱うかどうかであるが、「コンニチワ」というあいさつ語は、例えば「こんにちは、良いお日和でございます。」と続くあいさつ言葉の後の部分が省略されたものである。したがって、この「ワ」を助詞の「は」として扱うことには、十分な根拠が認められる。同じように、「コンバンワ」も「こんばんは」と書き表す。
 なお、助詞の「は」は、「これは本です。」のように単独で用いられるほか、
   では には だけは あるいは もしくは または ついては 等
他と複合しても用いられる。
================引用終了

 Yahoo!知恵袋内での“久しく目に親しんできた習慣をそのまま”での検索結果。現在21件。
 
http://chiebukuro.search.yahoo.co.jp/search?sort=17&fr=common-navi&p=%E2%80%9C%E4%B9%85%E3%81%97%E3%81%8F%E7%9B%AE%E3%81%AB%E8%A6%AA%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E7%BF%92%E6%85%A3%E3%82%92%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E2%80%9D&b=11&xargs=2&class=1&flg=3&ei=UTF-8
 ↓↓↓
https://chiebukuro.yahoo.co.jp/search?dnum=2078297843&p=%E2%80%9C%E4%B9%85%E3%81%97%E3%81%8F%E7%9B%AE%E3%81%AB%E8%A6%AA%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E7%BF%92%E6%85%A3%E3%82%92%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E2%80%9D&fr=common-navi
 なぜか知恵袋内で検索すると3件しかヒットしない。全体検索すると、知恵袋の回答が多数ヒットする。
【“久しく目に親しんできた習慣をそのまま”】
https://www.google.com/search?q=%E2%80%9C%E4%B9%85%E3%81%97%E3%81%8F%E7%9B%AE%E3%81%AB%E8%A6%AA%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E7%BF%92%E6%85%A3%E3%82%92%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E2%80%9D&rlz=1C5CHFA_enJP933JP935&oq=%E2%80%9C%E4%B9%85%E3%81%97%E3%81%8F%E7%9B%AE%E3%81%AB%E8%A6%AA%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E7%BF%92%E6%85%A3%E3%82%92%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%BE%E2%80%9D&aqs=chrome.0.69i59l2j0i546l4j69i60.652j0j4&sourceid=chrome&ie=UTF-8

 たとえば下記。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13120763863
================引用開始
よくある質問ですが、過去の質問の検索の仕方を知らないひともいますので、回答を再掲します。

「現代仮名遣い」では、一般に「ワ」に発音される「は」は、「わ」と書くとされていますが、助詞の「は」は、「は」と書くことが本則となっています。すなわち、助詞の「は」だけは、「ワ」に発音されながら、歴史的仮名遣いのまま「は」と書きます。これは、助詞「を」「へ」とともに、伝統的な表記の習慣を残しているものです。
..要するに、使用度の高い基本的な助詞の表記として、久しく目に親しんできた習慣をそのまま受け継いでおく方が、仮名遣い改定の際、他の部分を国民に受け入れてもらうのに、抵抗が少ないと考えられたからです。
..したがって、問題は「コンニチワ」の「ワ」を「これは本です。」の「は」と同じに扱うかどうかですが、「コンニチワ」「コンバンワ」という挨拶語は、それぞれ、例えば「こんにちは、良いお日和でございます。」「今晩は穏やかな夜で・・・」と続く挨拶言葉の後の部分が省略されてできたもので、助詞の意識がまだ健在だと考えられて「は」と書くことになりました。
...なお、助詞の「は」は、「これは本です。」のように単独で用いられるほか、
........では...には...あるいは...もしくは...または...ついては
など、他と複合しても用いられます。
================引用終了

 20以上ある類似回答のうち、初期のものはほぼ丸写しでデス・マス体に書きかえ、『言葉に関する問答集』を<参考文献>にしているものもある。そういうのは<参考文献>とは言わないのでは。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1396331383
 そのうち少し書きかえた文章はオリジナルと考えて<参考文献>を出すのをやめたのだろう。これをオリジナルと考えるとは……。
 素人さんの考えることは恐ろしい。
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2020年の朝日新聞から

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【30】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983718504&owner_id=5019671

mixi日記2023年01月02日から。

 下記の仲間。
【朝日新聞の誤用ほか】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-3.html

 古い新聞のメモが出てきた。
 転載して破棄する。

 例外中の例外。19年末に某所で目にした産経新聞。
19-12-31
幸田文が14歳のころから心がけてきたのは、「ふきんをきたなくしておかないこと」だった。(朝刊1面 産経抄) 
 幸田文の「些細なつらぬき」というエッセイにある記述らしい。孫の青木奈緒さんが祖母の作品をひとつだけすすめるならこのエッセイをらしい。作家の文章をウンヌンするのはどうかと思うが、この心得はどうなんだろう。
「(常に)ふきんをきれいしておくこと」ならわかる(あまりにもフツーだけど)。「きななくしておかない」は一種の二重否定で、ただわかりにくいだけになってないか? しかも「きたないままにしておかない」ならまだわかるけど、「きたなくする」って、わざわざそうしているの?

20-07-04
白44とツイで河野が少考する間に一礼して席とマスクをはずし、廊下に出てストレッチ。(朝刊14面)
 春秋子記者。囲碁の観戦記。コロナ禍にはこういう文も多かったのだろうか。「席をはずす」「マスクをはずす」はどちらもフツーの表現。だが、「席とマスクをはずし」はどうなんでしょ。

20-10-15-1
そして、最もこだわる完投数は「9」。菅野らの3を引き離し、両リーグ断トツのトップにある。(朝刊16面)
 木村健一記者。中日の大野投手の記事。2位が「3」なら、「9」は断トツだろう。でも「断トツのトップ」はやめてほしい。さらに細かいことを書くと、「断トツだ」「断トツである」だろう。「断トツにいる」でもちょっと引っかかる。

20-10-15-2
 チェン・ウェイン(ロ) 9年ぶりの日本球界での登板「久しぶりの先発で、先頭バッターの時はちょっと頭が真っ白になりました」(朝刊16面)
 記者不明。「ちょっと頭が真っ白に」ってのはどう批判すればいいのだろう。形容矛盾?

20-11-01
「心折ってる場合じゃない」(見出し) 
「3万本育てて大半がだめになったいう人もいるのに、4千本やられて心を折ってる場合じゃないなと」(朝刊25面・東京版)
 杉山圭子記者。前年の台風被害に遭ったワサビ生産者の記事。この使い方は相当イヤ。まず、なぜイ抜きにしているのか。生産者のほかのコメントを読んだが、「増えている」とイ入れが1カ所あるだけ。意識的にイ抜きにしたのかは不明。さて、問題は「心(を)折る」。

https://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E6%8A%98%E3%82%8C%E3%82%8B-500462#:~:text=%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%80%90%E5%BF%83%E3%80%91%20%E6%8A%98(%E3%81%8A,%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E5%BF%83%E3%81%8C%E5%BC%B1%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%82
===========引用開始
デジタル大辞泉「心折れる」の解説
心こころ折お・れる

気持ちや考えがそちらに向かう。また、気持ちが弱る。「妹の説得に父も―・れたようだ」「相次ぐ困難に―・れる」→心が折れる 
===========引用終了

https://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E3%81%8C%E6%8A%98%E3%82%8C%E3%82%8B-500465#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
===========引用開始
デジタル大辞泉「心が折れる」の解説
心こころが折お・れる

心の支えを失い、意欲がなくなる。障害にぶつかってくじける。「ずっとがんばってきたが、親友の裏切りで―・れた」
[補説]近年になって「心折れる」から意味が転じたとみられる。2000年代半ばからスポーツ選手が多用し、一般に広がった。
===========引用終了
 本来の形であった「心折れる」とは違う意味が広まっている。当方も本来の意味の使用例は見たことがない。

 本来の用法の「心折れる」は自動詞的にしか使わないだろう。この意味で「心が折れる」とも使わない(はず)。
 近年の用法は、元々は「心を折る」だけど、使用例としては「心が折れる」の方が「多いだろう。

【心が折れる?いつ頃からですか?】2015-08-10(2011/05/10)
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12060182489.html

【心が折れる、という言葉に関してです】2016-03-29(2014/06/19)
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12144352686.html

【「心が折れる」「心を折る」Yahoo!知恵袋】2011-02-22
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1825.html

【心が折れた。】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=20472322
===========引用開始
[3] tobirisu
2007年07月08日 01:22
設定
 goo辞書にある、「新語」という表現はちょっとひっかかりますが、新しい表現であることは間違いないでしょう。そんなに一般的に使われているとは知りませんでした。
 当方がこの表現を意識したのはプロレス雑誌とマンガの中です。当然のことながら、この2つのジャンルに関係する格闘技マンガの中でもよく使われます。10年ぐらい前から使われていたと思います(自分自身では使ったことはありませんが)。最初に使ったのが誰かは知りませんが、プロレスラーの天龍選手や神取選手(いまや議員)がかなり古い時期に使ったような……。夢枕獏の『餓狼伝』の中にもたぶん出てきました。
 プロレス&マンガの中では、goo辞書よりもっと重い意味で使われている気がします。要は、単純な勝ち負けではなく、相手の「心を折った」ときが本当の勝ちのような使い方をします。同様に「心を折られた」ときが本当の負けといったニュアンスです。

 ちょっと調べてみると、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%8F%96%E5%BF%8D
 に出てくるのはかなり古い使用例かと。
===========引用終了

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%8F%96%E5%BF%8D
===========引用開始
同月18日の神奈川・大和車体工業体育館大会にて、神取いわく「(ジャッキーの)心を折る[11]」シュートマッチを仕掛けて腕を決め、ギブアップを奪った[12][13]。

(略)

神取忍は、当時(1987年以降の一連の出来事)の挫折感をインタビューや自叙伝で「心が折れる」と表現したが、これは当時として画期的であり、気持ちが落ち込む際の表現として広く大衆に受け入れられ、後年には、国語辞典にも載る言葉になった[16][17][18][19]。それまでは、気持ちが別のことに向かう意味だったり、気持ちが弱い状態を表す「心折れる」という古くからの表現しかなかった[20]。 
===========引用終了

 いまやすっかり定着した感がある「心が折れる」だが、こういう新しめの言葉は普及するにしたがって訳のわからない派生形が生まれる。
 朝日新聞の使用例は、その典型みたいなものだろう。
「心(を)折ってる場合じゃない」って相当変形している。
 あえて書くなら、自然災害に「心を折られてる場合じゃない」かな。そう修正してみても、相当異様。ただ、元々がイレギュラーな形なんで、どうしてダメなのかを説明するのはけっこうむずかしい(泣)。

20-11-26
この左腕を打つのは無理……。誰もがそう思ってしまうほどの無双ぶりだ。(朝刊12面)
 山口史朗記者。日本シリーズでのソフトバンクのモイネロ投手の記事。記者ハン準拠なら、3点リーダーは1倍では。朝日は2倍だったろうか……なんて話はどうでもいい。問題は「無双」。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%84%A1%E5%8F%8C_%28%E3%82%80%E3%81%9D%E3%81%86%29/#jn-215493
===========引用開始
無双(むそう) の意味・使い方
出典:デジタル大辞泉(小学館)

む‐そう〔‐サウ〕【無双】 の解説
1 二つとないこと。並ぶものがないほどすぐれていること。無二。ぶそう。「―の大力」「天下―」
2 衣服の表と裏を同一の布地で仕立てること。また、そのもの。夢想。
3 相撲で、相手の差し手を抱え込み、手を相手の内股または外股に当てて反対側からひねり倒す技。内無双と外無双がある。「―を切る」 
===========引用終了
 この「無双」って言葉はちょっと曲者。昔からある言葉だが、実際に目にする機会は限られていた。麻雀の役の「国士無双」。日本酒の銘柄の「国士無双」もたまに耳にした。あとは相撲用語の「無双」。
 ところが、この言葉が若い世代に「無敵」と同じような意味で使われるようになっている。ゲームソフトの「無双シリーズ」の影響では。「○○無双」「無双ぶり」「無双っぷり」などと使う。きわめて俗語っぽいイメージになってしまった。少なくとも、クオリティーペーパーが好んで使うような言葉ではないだろう。
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