【「~ていません」「~ませんでした」】☆日本語教師☆〈1〉〈2〉〈3〉

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
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mixi日記2010年04月04日から。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1453802950&owner_id=5019671

 下記の仲間。
【黒いコレクション──日本語教師関連28】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1442972256&owner_id=5019671

 下記の仲間でもある。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【2】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

 理不尽な経緯で追放されたコミュを時折チェックしている。追放された過程は下記参照。けっこう根にもっているらちい。
【「行かなそう」と「行かなさそう」をめぐって3 独り言です41くらい──日本語教師関連編18くらい※全体公開】2009年10月08日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1304848535&owner_id=5019671

 今回のテーマは下記。
【「昨夜は3時間しか寝ていません」の「ていません」の用法は?】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=51830665
 いろいろ宿題がたまってきているんで、こういう興味深いトピが立つと悩ましい。

「0」を引用する。
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初めてトピックを立てさせていただきます。
手持ちの文法書を見てもネットを検索しても見つからないので、
皆様のお力をお借りしたいと思ってこちらに書き込みました。

私は中国の大学で日本語教師を教えているんですが、
タイトルの問題にぶつかってしまいました。

今、中国で出版されている教科書を使っているんですが
(非常にマイナーで、使いにくいものです…。先生のコネクションの関係で使わざるをえないんですが)
初級の「~しかない」という文型の例の中に、タイトルにも書いた

「昨夜は3時間しか寝ていません」

という文が入っているんです。

これを、1年生の学生(て形を勉強して3週間くらい)に
「どうして『3時間しか寝ませんでした』じゃないんですか?」と質問され、
返答に困ってしまいました。

「寝ませんでした」も非文ではありませんが、
日本人は「寝ていません」を使うことのほうが多いように感じます。
しかしその理由をはっきり説明できなくて…。

自分では、「3時間しか寝なかったことによって、今現在、何か影響を受けている(眠い、調子が悪い等)」ということを表しているのか?
と思ったんですが…。

どなたかご意見お願いいたします。
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 根本的な問題として、大切な観点が抜けていると思う。
 デス・マス体には「なかった」の否定形がない、ってこと(笑)。
【板外編7-2】デス・マス体が書きにくいワケ2
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1129808325&owner_id=5019671

 今回の例文に即して言うなら、「寝なかった」をデス・マス体にした形は以下のようなものが考えられる。
  1)「寝ませんデシタ」
  2)「寝なかったデス」
  3)「寝なかったノデス」
 
 1)は一般には許容されているが、個人的には相当イヤ。
 2)は「高かったデス」と同様の形だろう。日本語教育の教科書では許容されているらしい。
伝言板【板外編7】デス・マス体が書きにくいワケ1
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1114634130&owner_id=5019671
 3)は日本語としては自然。ただし、「寝なかった」にはない「強調」などの意味が加わる。

 トピ主が〈日本人は「寝ていません」を使うことのほうが多いように感じ〉ているのは、語感が鋭いからではないか。非文ではないにしても、「寝ませんでした」に異和感があるのがフツーだと思う。「寝ていません」のほうが自然だから、こちらのほうが使用例が多いと感じている気がする。当方もそのとおりだと思う。
 これはトピ主に聞いてみたいのだが、デアル体だとどう思うのか。
  4)「昨夜は3時間しか寝ていない」
  5)「昨夜は3時間しか寝なかった」

 当方はこれならどちらも異和感がない。ということで安心して意味の違いを考えることができる。
 ただ、4)と5)にどんなニュアンスの違いがあるのか、当方にはよくわからない。
「1」のコメントは、一見非常にわかりやすい。
 ただ、よく考えると疑問も残る。ちょっと加工して引用する。
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何が違うかと言うと、質問の「~ました」が<過去>なのか<完了>なのかです。

昨日、朝ごはんを食べましたか。<過去>→A食べませんでした。
もう、朝ごはんを食べましたか。<完了>→B食べていません。

つまり、「~ませんでした」は単に過去の事実を述べているのに対し、「~ていません」には完了の打消し=未完了の意味があります。
(未完了だからタ形を取らないのかもしれません。)
ですから「3時間しか寝ていません。」は、「寝る」という行為が未完了だという意味になり、「もっと寝たい」や「まだ眠い」などを含意していると思われます。
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 まず、「昨日、朝ごはんを食べましたか」の問いに「食べていません」という答えは不自然なんだろうか。不自然ではないだろう。文脈しだいではこちらのほうが自然な場合もありそうだ。「~ていません」は両方に使える気がする。もちろん「まだ~ていません」の形なら明らかに未完了だけど。
 たとえば、医者が患者に「昨日までの1週間でアルコールは飲みましたか」と訊く(これはどう考えても「過去」だろう)。
 患者の答えは「飲みませんでした」と「飲んでいません」のどちらが自然? 
 個人的には「飲んでいません」のほうがはるかに自然だと思う。これはすでに書いたように「飲みませんでした」って言い回し自体が不自然なせいもある。
 余計な要素を省くためにデアル体にする。「飲まなかった」と「飲んでいない」のどちらが自然? こうなると、どちらもアリって気がする。
 もっと極端な例を出そう。刑事が被疑者に「10年前のあの殺人はオマエがやったんだろ」と尋問する。その答えとして「オレはやらなかった」と「オレはやっていない」はどちらが自然? 「オレはやっていない」は未完了で、このあとに「やる」可能性がある?
 さらに、〈「もっと寝たい」や「まだ眠い」などを含意している〉は相当危険。これは文脈せいで、おそらく「しか~ない」の働き。「昨晩は3時間しか寝なかった」でも、〈「もっと寝たい」や「まだ眠い」などを含意している〉はずだ。詳しくは下記参照。
【「~しか~ない」 「だけ」 「~だけしか~ない」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1435686591&owner_id=5019671
 ついでに書いておくと、「(未完了だからタ形を取らないのかもしれません。)」は理解できない。「今日はまだ朝ご飯を食べていなかった」は「タ形を取」ったことにならないのだろうか。
 もう少し別な例で考える。
「昨晩、『○○(テレビ番組)』を見ましたか?」という問いに「見なかった」も「見ていない」もどちらもアリだろう。「見ていない」には「もっと見たい」などの含意はあるのだろうか。ないと思う。
 この「1」のコメントに説得力があるため、あとのコメントが微妙にヘンなことになっている気がする。

 ここで辞書を見てみよう。(←そっちが先だろ!)
 いろいろ見てみたけど、よくわからないorz。最近、似たようなテーマをどこかのトピで見たけど、思い出せないorzorz。下記の4)もちょっと関係あるけど、もっとドンズバ(ドンピシャ? どっちも死語?)のがあったんだけど……。
【第一の決め手? 一つ目の決め手? 2】-2 ※毒抜き編
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1448301518&owner_id=5019671
 辞書でどうにもならないと、主観で書くしかない。イヤだな。水掛け論にならないことを願って……。
 そもそも「~ていない」は「~ている」の否定形だろう。「~ている」の主な意味は、「継続」「現在進行」。「完了」の意味はない。「継続」の否定形は「未完了」なんだろうか。当方の手に負える問題ではなさそうだ。

 話をもとに戻す。
>「どうして『3時間しか寝ませんでした』じゃないんですか?」
 という質問には答えようがない。可能性はいくつかあり、書いた人でなければわからない。

「~していません」と「~しませんでした」がどう違うかということなら、学習者のレベルによって答えが分かれる。「~しませんでした」が日本語としてやや不自然という話はしないほうがいいだろう。


●第1段階
「~しませんでした」は単純な過去形。
「~していません」はいろいろな使い方がある。
 基本は「未完了」でいい気がする。基本的には「1」のコメントのとおり。ただし、ヘンなところもある。ヘンなところを削除すると、下記くらいか。
================================
昨日、朝ごはんを食べましたか。<過去>→A食べませんでした。
もう、朝ごはんを食べましたか。<完了>→B食べていません。

「~ませんでした」は単に過去の事実を述べているのに対し、「~ていません」には主として未完了のニュアンスがあります。
================================

●第2段階 「~していません」のほかの意味。
・単純な過去
「~していません」で単純な過去を表わすこともある。
「昨晩、『○○(テレビ番組)』を見ましたか?」
→A見ませんでした
→B見ていません
 この場合、AとBはほぼ同じ意味。

・強い否定
「~していません」はときに強い否定を表わす。
「先月、教室の花瓶を割りましたか?」
→A割りませんでした
→B割っていません
 Aは相当不自然(「割らなかった」でも不自然な感じが残る)。Bが強い否定になる理由は、「第1段階」の「未完了」(継続の否定?)と関係あるのかもしれない。「先月」も割らなかったし、それからあとも割らなかった……とにかく一貫して割らなかったし、おそらくこれから先も割らない。そんなニュアンスになるので、強い否定になるのでは。


【追記】
>「~ている」の主な意味は、「継続」「現在進行」。「完了」の意味はない。
 の部分にコメントをもらい、少し調べてみた。

 Web辞書(『大辞泉』)で「ている」をひくと、「[連語]⇒居(い)る7」とリンクがある。リンク先の「7」は下記のとおり。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B&dtype=0&stype=1&dname=0na&ref=1&index=01509701231400
================================
いる〔ゐる〕【居る】
(中略)
7 (補助動詞)動詞連用形に接続助詞「て」が付いた形に付く。
1)動作・状態が続いて、現在に至ることを表す。「猫が鳴いている」「花が咲いている
2)動作・作用の結果が、続いて現在もあることを表す。「枝が枯れている」「窓があいている」
3)現在の状態を表す。「彼の気持ちはもう変わっている」
================================

 現在進行形は1)かな。ただ、この説明だと過去から続いていることになる。まあ、たしかに続いてはいるんだけど。
 このあたりは考えはじめると何がなんだかわからなくなってくる。
「彼は4年前に死んでいる」
 これは1)の「状態が続いて、現在に至る」かな。これを「完了」と言うか否か。
 あえてどれにも入らない例をあげる。
「彼は4年前の前回のオリンピックで足を折っている」
 常識的に考えれば、4年の間に傷は癒えているから、単なる過去形の「足を折った」とどう違うのかわからないorz。
 
 さらにヨタ話になっていくが、むか~し「英語」の授業で「過去完了」とか「現在完了」とかを習ったとき、「日本語にはない概念」とか聞いた気がする。このあたりに深入りするのはやめておこう。

 あれ?
 書いたつもりことが抜けている。
 個人的な書き癖で、「書いた」を「書いている」などとすることが多い。前に長めの原稿をチェックしてくれた人に指摘されて気がついた。どう使い分けているのかは不明(だから単なる「書き癖」だって)。これも宿題にしておこう。


【「~ていません」「~ませんでした」】☆日本語教師☆〈2〉

mixi日記2014年06月09日から

 ちと事情があって、↑の日記にもらったコメントを〈2〉としてアップしておく。

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kさん
2010年04月15日 00:18

>「~ている」の主な意味は、「継続」「現在進行」。「完了」の意味はない。
 「完了」は、えーややこしい話でヒトによって定義が違うんですが、テイルで「継続」でも「現在進行」でもない、まあ「完了」といってもいいかな、という用法はありますよ。「太郎は一昨日寝ている」「徳川家康は17世紀に死んでいる」「明日には、水道工事はもう終わっているな」

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tobirisu
2010年04月16日

 ご無沙汰しております。
 「~ている」に関して【追記】しました。たしかに「~ている」に〈「完了」の意味はない〉はヘンですね。何やら得体の知れない用法がある気がします。
 ご指摘ありがとうございます。

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kさん
2010年04月16日 19:13
 えー、この用法はテイルの研究史の最初の方から問題にされていまして。
 未来完了「明日には、水道工事はもう終わっているな」 も問題ですが、「彼は4年前の前回のオリンピックで足を折っている」 はシタとの違いが、おっしゃるように、問題になっています。
>1)動作・状態が続いて、現在に至ることを表す。「猫が鳴いている」「花が咲いている
これは「現在に至る」は多分苦しまぎれです。今のことを語っているわけですから。前者は現在進行で、後者は結果状態です。別の用法を一つにまとめるから変な説明になったと思われます。
>2)動作・作用の結果が、続いて現在もあることを表す。「枝が枯れている」「窓があいている」
 これは明らかに結果状態です。
>3)現在の状態を表す。「彼の気持ちはもう変わっている」
 これも結果状態と考えられます。
 ただし、「彼の気持ちは10年前に一度変わっている」とすると完了でしょう。

 よう分からん用法は、他にもあります。

 ○同一動作・変化の複数存在
 「14世紀のヨーロッパではペストで沢山人が死んでいる」「この町の住民は、異口同音に原発反対を叫んでいる」「この寺は奈良時代に建てられたと言われている」前の例は完了とは違いますし(実は、私は、完了用法はガよりもハが普通だと思っているのですが、今は置いておきます)、後2つの例は現在進行とも言えません。
 ○動作・変化の継続的存在
 「あの人は毎日ちくわを食べている」「あの人はさっきから何度もうなずいている」前の例は現在進行というより習慣ですし、後の例は現在進行というよりも現在完了進行形といった感じです。
  ○存在様態
 「道に木が並んでいる」では「木が並ぶ」動作があったわけではないので、現在進行とも結果状態とも言えません。「この道は曲がっている」も実際に「曲がる」変化があったわけではありません。「この鉛筆はとがっている」も同じです。
 ○主観的変化
 「この机は角が丸まっている」「この部屋は風呂付になっている」「A地点の井戸からB地点の井戸まで、だんだん井戸の水量が減っている」何も変化は起きていません。話者が気付いたことを表わしているとしか言えません。

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tobirisu
2010年04月18日 17:08
 やはり当方の知識では「よくわからない」としか言いようがありません(泣)。

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 下記も多少関係があるかも。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1279.html
「~ていた」と「~た」 「~ている」と「~る」



【「~ていません」「~ませんでした」】☆日本語教師☆〈3〉

【なぜ「昨日寝てなかった?」ではないのですか】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9196348.html
==============引用開始
昨日寝てない? →これはドラマからの台詞です。

1 この言い方はいいですか
2 なぜ「昨日寝てなかった?」ではないのですか
==============引用終了

 質問者はこのところ類似の質問をいくつかしているが、過去の質問で何かわかったのだろうか。
 これは「~ている」「~ていない」の話で非常に厄介な問題なので、簡単には解決しないはず。
「昨日寝てない?」は、「昨日寝ていない?」の「イ抜き言葉」。「イ抜き言葉」はもはや「間違い」とは言えないが、ちょっと俗語っぽい。話し言葉だと、「イ抜き言葉」のほうが自然ってことも多々あるが。文法的なことを考える場合は、「イ」を入れたほうがよいだろう。ということで「昨日寝ていない?」で考える。
 これの適否は文脈しだいだろう。意味が何通りも考えられる、ってことは△なのかもしれない。
1)昨日寝ていないの?
 いかにも眠そうにしている人に対して問う。「心配して」なのか「怒って」なのかは不明。
2)昨日寝ていないの!?
「昨日は一睡もしていない」と言った人に対し、驚きながら確認する。
3)昨日寝ていなかった?
 昨日(仕事中なのか授業中なのかは不明)、居眠りをしていた人を詰問する。
 3)の場合は「昨日寝て(い)なかった?」が自然な気がする。1)2)の場合はちょっと不自然。やはり文脈がないと何もわからない。

 さて、「~ている」「~ていない」の話に関して再確認しておく。
 辞書は『大辞林』のほうが詳しいようだ。
https://kotobank.jp/word/%E5%B1%85%E3%82%8B-436525#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88
==============引用開始
大辞林 第三版の解説
いる【居る】

二 (補助動詞)
③動詞の連用形に助詞「て(で)」の付いた形を受ける。
㋐主体の動きを表す動詞に付いて,その動きが継続・進行中であることを表す。 「空を飛んでいる鳥」 「雨が降っている」 「今,手紙を書いている」
㋑主体の変化を表す動詞に付いて,その結果が持続していることを表す。 「入り口のドアがあいている」 「時計が止まっている」 「小鳥が死んでいる」
㋒その状態であることを表す。 「母親によく似ている」 「この計画はばかげている」 「日本は海に囲まれている」
㋓その動作が習慣的に反復されることを表す。 「この川はしばしば氾濫をおこしている」 「あの店はいつも混んでいる」 「昔から…と言われている」
㋔過去に完了した動作を表す。 「少年使節一行はローマ教皇にも会っている」 「君はよく勉強しているなあ」 〔上代の上二段動詞「う」を上一段に再活用させたものとする説がある。「いる」は本来「立つ」に対する,すわる,その場を動かないでいる意で用いられ,動的な性格が強いのに対して,「おる」はある状態のまま存在する意で,状態性が強い〕 → ある(補説欄)
==============引用終了

 1)2)は用法としては同じで、㋔だろう。ただし、「昨日から(ずっと)寝ていない」なら㋐になる気がする。このあたりは微妙。
 3)は㋔だろうな。
 ↑の〈1〉〈2〉に書いたような妙な例もあり、やはり「~ている」「~ていない」の話はややこしい。
 庭三郎先生のサイトでは、この問題はかなりのボリュームになる。
http://www.geocities.jp/niwasaburoo/24asupekuto.html
==============引用開始
24.アスペクト



    24.1 概観
    24.2 動詞の時間的性質 
    24.3 V-ている
    24.4 する・した
    24.5 V-てある
    25.6 V-ておく
    25.7 V-てしまう    
24.8 V-ていく/くる
    24.9 V-ところだ
    24.10 V-たばかりだ
    24.11 V-たことがある
    24.12 V-つつある
    24.13 V-ようとする
    24.14 複合動詞
    24.15 時間表現のまとめ
     補説§24


24.1 概観
24.2 動詞の時間的性質    
24.2.1 状態動詞
24.2.2 動きの動詞の分類
  1 時に  [動きの長さということについて]
  2(時から)時まで・期間 
  3 時までに
  4 期間で
24.3 V-テイル  
24.3.1 進行中の動き 24.3.2 動きの結果の状態
24.3.3 その他の用法 [習慣・反復][経験・記録][単なる状態]
24.3.4 特殊動詞 24.3.5 自他とテイル
24.3.6 別の分類:変化動詞   [対象変化動詞]
24.3.7 「V-テイル」が言えない動作  24.3.8 反復動作     
24.4 スル・シタ [状態動詞][継続動詞][瞬間動詞][変化動詞]
[完了のタ][完了のタとテイル]   
24.5 V-テアル [NヲV-テアル][~トV-テアル][自動詞+テアル]
[否定の形][テイルとテアル]     
24.6 V-テオク  
24.7 V-テシマウ [否定の形]
24.8 V-テイク/クル [元の意味が生きている場合][並行する場合]
[行き方・来方を表す場合][その動作の方向を示す場合][時間的な方向を示す場合]
[動詞の意味による制限]
24.9 V-トコロダ [いくつかの制限]  
24.10 V-タバカリダ  
24.11 V-タコトガアル [シタ・シテイル・シタコトガアル][~/ナイ コトガアル]
24.12 V-ツツアル
24.13 V-(ヨ)ウトスル
24.14 複合動詞  
24.14.1 動きの始まり V-始メル・出ス・カケル 
24.14.2 動きの継続  V-続ケル・続ク 
24.14.3 動きの終わり V-終エル・終ワル・ヤム
24.15 時間表現のまとめ
 24.15.1 アスペクト形式の重なり
 24.15.2 事柄の「時」の表し方


補説§24
 §24.1 「テイル」と「見る」こと
§24.2 「テイル」の範囲について
§24.3 「基準時/参照時」 
§24.4 「テシマウ」 
§24.5 工藤真由美の動詞分類
§24.6 『現代日本語文法3』
§24.7 「~ないでいる」と「~ていない」
 


24.1 概観 


 述語と「時間」の関係の一つとして、「テンス」を考えてきました。次に、
もう一つの重要な時間の表し方を見てみましょう。「アスペクト」とは耳慣れ
ないことばかもしれませんが、最近の文法書ではよく使われます。「相」と翻
訳することもありますが、「ソウ」だけでは耳で聞いてわかりにくいし、耳新
しいことばの方がかえって強く印象に残っていいという利点もあるので、カタ
カナ言葉を使うことにします。英語の「aspect」です。

 文法書によると、アスペクトとは「始まりと終りをもつある動きの過程を、
その過程のどの段階に注目して表現するか、による表現の使い分け」のことだ
などと書いてあります。が、これでは何だかわかりません。具体的な例を見て
みましょう。

     ごはんを食べます。
     ごはんを食べ始めます。
     ごはんを食べています。
     ごはんを食べました。
     ごはんを食べてしまいました。

などに見られる違いです。これらはどこが違うのでしょうか。上の定義をもう
少しふつうのことばで言えば、「時間の流れの中で、ある事柄が起き、続き、
終わる、そのことの表わし方」とでも言えばいいでしょうか。それぞれの用法
については後でくわしく見ます。

 アスペクトの違いを持つのは、上の定義からもわかるように、動きの動詞だ
けです。状態を表す動詞や、形容詞・名詞述語ではアスペクトは問題になりま
せん。しかし、アスペクトも、時を表す表現全体の中で考える必要があります
から、状態を表す動詞も無関係ではありません。

 アスペクト表現の中心は、動詞の基本形とタ形、それに動詞の活用形のあと
に補助要素がついた複合述語です。補助要素としては、動詞の「テ形」に続く
ものと、中立形に続くものがあります。

 「テ形」に続くものの代表は「V-ている」です。これは動詞のテ形に動詞
「いる」がついた形ですが、この「いる」はふつうの存在の意味を表す「いる」
とは違います。本来の「存在」という意味を失って、助動詞のような働きをし
ています。
 このような、「V-て」に続く「いる・ある・しまう」などを「補助動詞」
と呼ぶことにします。

     食べている   立っている   来ている
     置いてある   開けてある   調べてある 
     食べてしまう  割れてしまう  寝てしまう

 「V-ている」は非常によく使われる基本的な表現で、用法がいくつかに分
かれ、その習得には十分な練習を必要とするものです。

 動詞の中立形を使うアスペクト表現は、「V-始める」「V-続ける」など
のいわゆる複合動詞です。

     食べ始める   降り続ける   

 そのほかにも、形式名詞を使った「V-ところだ」、副助詞による「V-ば
かりだ」などがあります。

     始めるところだ   着いたばかりだ

 これらの意味・用法については、それぞれの項目で見ていくことにしますが、
まず、かんたんに問題点を一通り見ておきましょう。

 これらのアスペクト表現の基本になるのは、動詞自体の時間的性質です。前
に述べたように、時を表す補語とそれをとる動詞との間には制限があります。
 「2時に」のようなある瞬間を示す補語と「働く」のようなある長さを必要
とするような動詞は共に使うことはできません。

    ×2時に働きます。

 このような、動詞自体の持っている時間的性質をまず明らかにする必要があ
ります。それには、時を表す様々な補語との制限関係を調べてみることが有効でしょう。

 次の節で見るように、動詞はその時間的性質によって、「状態動詞・継続動
詞・瞬間動詞」という分類が考えられます。さらにもう一つ「特殊動詞」とい
うのがあり、ぜんぶで4種類に分けることが一般に行われています。

 その時間的性質によって、動詞の後に付く表現の用法の制限があり、複合述
語全体として表わす意味が決まります。先程の「V-ている」も、その動詞が
「状態・継続・瞬間・特殊」のどれであるかによって、「-ている」の付き方、
付いた時の意味が違ってきます。

 前に(4.1.1)述べたように、「動き」の動詞の現在形は、今現在のことをふつ
うは表せません。そのためには「V-ている」の形を使います。

    ×現在、佐藤さんは難しい本を読みます。      
現在、佐藤さんは難しい本を読んでいます。

(「今」という言葉は、「今、行きます」「今、来ました」のようにすぐ後の
こともすぐ前のことも指せるので、上のような例文のチェックはできませんか
ら、あまり使わない言い方ですが「現在」にしておきます)

 このことは、英語でも似た事情があるために、日本語学習者にも理解しやす
いところです。問題は、この「V-ている」の表し得る意味がこのような「現
在進行中」という単純な意味だけではないことです。

     私は毎日学校に行っています。
     あの子は学校に行っています。
     母は今買い物に行っています。

 初めの例は「習慣」を表します。最後の例は「母」が今現在出かけていて、
家にいないということでしょう。では真ん中の例はどうなりますか?「毎日」
なら習慣で、「今現在」なら後の意味です。
 具体的な場面では、状況によって意味が確定するので誤解は起こらないでし
ょうが、こういうところが日本語学習者にはわかりにくいところになるでしょ
う。また、

     3時から5時まで本を読みました。          
     3時から5時まで本を読んでいました。

の違いは何でしょうか。何か違うようですが、学習者にわかるようにはっきり
と言い表すのは難しいことです。そしてまた、日本語教育の世界では有名な例
ですが、

     窓が開いています。
     窓が開けてあります。

の違いを(体系的に)どう説明するかも重要な問題です。「ている・てある」
という補助動詞の違いだけでなく、自動詞・他動詞の対立の問題もからんで来
ます。

 「テンス」の項で見たように、「た」が単純な過去を表さない場合がいろい
ろありますが、その中で、アスペクトの一つである「完了」を表す場合があり
ます。

     昨日来ました。(過去)
     もう来ました。(完了)

 ほかにも、「た」と関係のある表現がいろいろあります。

     今来たところです。
     もう来てしまいました。
     前に来たことがあります。

 これらの表現の意味は、そしてそれらはどんな場合に使えばいいのか。その
すべてを明らかにすることはとうていできませんが、これから一つずつ考えて
行くことにしましょう。では、まず動詞自体の時間的性質について考えてみま
す。


24.2 動詞の時間的性質

(略)
==============引用終了
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知りませんでした

子供の宿題にときどき作文があります。
今回の作文には「~に・・・があるなんて知りませんでした」と書いていてあり、気になってググってこちらに辿り着きました。細かい説明があり、勉強になりました。

編集ボタンが効かないので訂正できません。
<「書いてあり」

Re: 小1の保護者 さん

 はじめまして。
 こんなものがお役に立つのなら何よりです。
 問題を感じながらも、「知りませんでした」の類いを使わざるをえない場合もあります。
 文脈によっては、「知らずにいました」という逃げ方もありますが……。
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tobi

Author:tobi
フリーランスの編集者兼ライターです。

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