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【板外編8】常用漢字表の話

 下記の仲間。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-category-12.html

mixi2009年04月23日日記から

 下記のトピ絡みで伝言板の【板外編8】です。
【漢字・ひらがな・カタカナの印象&使い分けについて】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41920937&comment_count=17&comm_id=398881

 トピにリンクを張ります。コメント入れる方はその点を踏まえてお願いします。

 トピ主の考えがイマイチわからなくて、「13」で質問してみたけど、どうにも釈然としない。
 やり取りが噛み合っていない気がする。

>1)「漢字の使用率についても調べ」た結果はどのような結果でしたか?
>2)「新聞、雑誌などによって漢字の使用率」が決まっているという話は初めて聞きました。何かデータはありますか?
「漢字の使用率」に関しては、結局なんにもデータはないらしい。記事は紹介してもらったが、「新聞、雑誌などによって漢字の使用率」なんてことに関する資料はない。そりゃそうだろう。

>3)「使える漢字などが決まっているらしい」……常用漢字表という言葉は訊いた(※「聞いた」だな)ことがありますか?
 それを知っているのなら、「使える漢字などが決まっているらしい」と書くのはヘンだろう。紹介してもらった「まぜ書き」に関するサイトは役に立ちそうだ。

>4)「日本語のWriting Systemについて論文を書いている」んですよね。この場で皆さんの意見を訊いて、それを論文にどのように活用したかは報告してもらえるのでしょうか?
>5)「論文を書いている」んですよね。「11」のコメントの「私の書きたいことです(エッセイで)」はどういう意味ですか?
 ここがよくわからない。結局、質問をしたのは論文のためなのか、エッセイのためなのか。
 論文のためにあのコミュで訊くのはヘンだろう。論文のためのアンケートなら、そういうコミュがある(あんまり機能していないけど)。ちゃんとした意見を聞きたいなら言語学関係のコミュで訊くべきだろう(たぶん答えてもらえないだろうけど)。
 エッセイのためなら、なおわからない。だってエッセイって自分の考えを書くんでしょ。資料を調べるのならわかるが、あそこで人の意見を訊いてどう参考にする気なんだろう。
 自分の意見を書いて他者の意見を求めるというのならわかる。実際にトピ主は自分の意見を書いているが、コメントのなかには、そんなことはお構いなしに自分の意見を書いているものもある。これはいつものことだけど。

 いちばん重要らしい質問について書く。

>2.なぜ文字の種類によって、このような印象の違いが出てくるのでしょうか?
 こんな問題を論理的に説明できる人がいるのだろうか? トピ主は以下のように感じている。

>漢字…学術的、ビジネス的、硬い、フォーマル、公的
>ひらがな・・・柔らかい、幼い、女性的
>カタカナ・・・外国語的、角ばっている、インフォーマル、カジュアル、強調語、カタコト

 一般的なイメージはこんなものだろう。個人の感じ方の問題だからトヤカク言う気はない。イメージが知りたいのか、使い分けのしかたを知りたいのかがわからないけど。
 ただ、いくつか気になる点もある。
「ひらがな」が女性的? 元々は……という考え方はある意味正しい。ただ、現代人はそんな意識をもっているのだろうか。ニュアンスとしてはわかる。「敬具」と「かしこ」の違いと言えばわかりやすいかな。ただ、当然のことながら例外も多い。女性の書く文章と男性の書く文章に分けて統計でもとらないと証明できない。実際には大差がないのでは。手書きか否かでも大きくかわる気がする。
 結論。そんなの単に好みの問題だよ。
 もっと問題なのは、あの書き方だと、「ひらがなは女子供のもの」みたいに読めること。いつの時代の感覚だよ。少なくとも当方は女性蔑視の気配を感じてちょっとイヤだった。人によってはもっと不快感をもつ(「~感を覚える」を使いそうになった)かもしれない。
 極端な例外として、高島俊男先生(基本的に文士に敬称をつけるのはかえって失礼なのだが、この人を呼び捨てにはできない)をあげておこう。1937年生まれで中国文学の大家と書けば、さぞかし漢字の多い文章を書くと思うだろう。ところが高島先生の文章はかなりひらがな率が高い。ご当人も、明快な理由があって意識的にそうしていると書いている。

 カタカナは角ばっている? あのー。なぜに突然視覚的な話に……。それに、一般に漢字とカタカナってどちらが角ばっているんだろう。
 
 カタカナやひらがなの使い方のルールを知りたいなら、「用字用語集」の類いを見ればわかる。ものすごくメンドーなので省略する。
 ついでに書くと、当方はmixiではかなりカタカナの多い表記を使っている。決してフツーの人より精神が幼いからではない。テヘッ。

 表記によって文章の印象がどうかわるのか、って文献は心当たりがない。そんな文献なんてあるのかな? 紹介したところで、どうやって入手するのか、って疑問も残る。
「まぜ書き」や常用漢字表に関しては「赤い本」で少し書いた。
 どこまで役に立つかわからないが、下記に転載しておく。
 念のための書き添えると、どんなにマイナー(放っとけ)でも出版物になっているデータなので、それなりの扱いをしていただきたい。


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●常用漢字表を原則にするしかない

 日本語で文章を書くときに使う文字は、漢字、ひらがな、カタカナの3種類に大別できます(アルファベットや記号などを使うこともありますが、ここでは除外します)。どのような表記にするかで、言葉のニュアンスがかわるのはよくあることです。たとえば、「言葉」を「ことば」と書くと、少しやわらかな感じになります。「コトバ」と書いてあるのはあまり見ることがなく、特殊な意味で使っている印象になるでしょう。
 どのような表記を選ぶのかは、書き手の趣味の問題でしかありません。漢字が多い文章のほうが好きな人もいれば、カタカナが多いほうが好きな人もいるはずです。
 しかし、漢字が好きだからといってなんでもかんでも漢字にしてしまうと、非常に読みにくい文章になります。逆に漢字が極端に少ない文章も、読みやすくはありません。どの程度漢字にすればよいのか、といったことを考えるときの基準になるのが、常用漢字表です。
 この漢字表の生い立ちや詳細について書きはじめると長くなるので、ここではふれません。「一般の出版物で目にすることが多い漢字」ぐらいに考えておけば、ほぼ間違いないと思います。流通している出版物の大半は、常用漢字表を基準にしているからです。
「文章読本」のなかには、文章を書くときには常用漢字表に従いなさい、と主張しているものがあります。これは立派な見識で、参考にするべき考えです。しかし、「従ってさえいれば大丈夫」とはいいきれません。常用漢字表にはいくつかの問題点があるからです。

●常用漢字表の問題点

【練習問題30】
 次のA群とB群の漢字の読み方を答えてください。
  A群   B群
  頒価   誰
  威嚇   頃
  顧みる  辻
  賜る   眉
  難い   鍋
  虐げる  鍵
  恭しい  親戚
  覆す   狙う
  厳か   蹴る
  承る   嬉しい

 常用漢字表がどのような趣旨で作られているのかを正確に説明するのは、かなりの難問です。あえていえば、「これだけ読み書きできれば日常的に困らない最低限の漢字」を示したものと考えられます。もっと簡単に、「やさしい漢字」ということもできそうです。ただし、これは一般論でしかなく、多くの例外があります。
 念のため、【練習問題30】の答えを確認しておきましょう。
  A群
  ハンカ/イカク/カエリみる/タマワる/カタい/シイタげる/ウヤウヤしい/
  クツガエす/オゴソか/ウケタマワる
  B群
  ダレ/コロ/ツジ/マユ/ナベ/カギ/シンセキ/ネラう/ケる/ウレしい
 A群の漢字は、いずれも常用漢字表に含まれています。しかし、読み方は決してやさしいとはいえないはずです。一方B群の漢字は、「親」以外はいずれも常用漢字表に含まれていません。A群の漢字と比べて、どちらがむずかしいと感じるでしょうか。
 このほかに、漢字自体は常用漢字表に入っていても、読み方が制限されているために使えない表記もたくさんあります。ごく一部の例だけをあげてみましょう。
  私 シ、ワタクシの読みしかないので、「わたし」を「私」とは書けない
  関 カン、セキの読みしかないので、「かかわる」を「関わる」とは書けない
  判 ハン、バンの読みしかないので、「わかる」を「判る」とは書けない

【練習問題31】
 次の表記のうち、A群とB群のどちらが読みやすいのか考えてください。
  A群   B群
  語彙   語い
  憂鬱   憂うつ
  謙遜   謙そん
  満身創痍 満身創い
  迂回   う回
  拉致   ら致
  濾過   ろ過
  洒脱   しゃ脱
  哺乳類  ほ乳類
  常套句  常とう句

 A群の表記には、いずれも常用漢字表にない漢字が含まれています。常用漢字表の範囲で書くことを徹底するなら、B群のように書かなければなりません。A群とB群のどちらの表記が読みやすいでしょうか。
 B群のように、ひとつの単語を書くのに漢字とひらがなを用いるのは「まぜ書き」と呼ばれ、常用漢字表の問題点として指摘されることが多い表記です。「まぜ書き」は、読みやすさの点でも、わかりやすさの点でも問題があります。
 ここまでにあげた常用漢字表の問題点は、次のようにまとめることができそうです。

  1)読み方などがむずかしい漢字がある
  2)やさしくても使えない漢字がある
  3)「まぜ書き」をしなければならない場合がある

細かな点をあげていくとキリがないので、この3点に限って見ていきます。
 実は、このうちの1)はさほど大きな問題ではありません。常用漢字表の趣旨は、「表にあるものはすべて漢字にしなければならない」ということではないからです。むずかしいと感じるなら、ひらがなで書いても構いません。
 2)は常用漢字表に含まれていなくても、目にすることが多い漢字を選んでいます。常用漢字表の問題点を考えるために、あえて特別な例ばかりをあげました。もっと一般的な例で考えれば、常用漢字表に入っているのは「やさしい漢字」で、入っていないのは「むずかしい漢字」という理解のしかたでほぼ間違いありません。
 3)の「まぜ書き」は原則的に避けるべきです。「語い」「憂うつ」のように前が漢字になっているものはまだマシかもしれませんが、「う回」「ら致」のように前がひらがなになっている「まぜ書き」は、かなり読みにくくなります。
 単語で見ているときは、さほど読みにくくないのかもしれません。しかし、文章中で「工事中だったのでう回した」「要人がら致された」のようになっていると、相当読みにくいことがわかるはずです。「常とう句」のような表記は冗談としか思えず、「常套句」とは別の言葉のような印象になります。
 このように、常用漢字表は絶対的な基準ではありません。どんな場合にも常用漢字表に含まれていない漢字は使わない、という方針では不都合が出てきます。
 だからといって、「常用漢字表など無視すればいい」と考えるのは無謀でしょう。常用漢字表に問題があるとはいっても、そのほかに基準になるようなものはないからです。なんらかの基準を設けなければ、収拾がつかなくなります。こういったことを考えると、「常用漢字表を原則にして多少の例外を設ける」というのがいちばん実践的な方法です。
 ただし、常用漢字表を完全にマスターするのは、それほど簡単なことではありません。どの程度気にするべきなのかは、「書き手の読書量」と「だれを相手に文章を書くか」にかかわってきます。
 日常的にかなりの量の新聞や雑誌を読んでいる人なら、あらためて常用漢字表を確認する必要はないのかもしれません。知らず知らずのうちに、どんな漢字が常用漢字表に含まれているのかが身についているからです。
 プライベートで文章を書くときには、常用漢字表にこだわる必要はなく、自分の好きな表記で書いても構いません。しかし、多くの人が目にするような文章を書くのなら、常用漢字表を原則にするほうが無難です。辞書で調べなければわからないような漢字が並んでいる文章は、読み手によけいな手間を強要することになります。それだけで、悪文というレッテルを張られかねません。


【Coffee Break──「表記の統一」という名の不毛な作業】

 この表記に関する【Coffee Break】はやや専門的な話で、一般の書き手には関係のないことかもしれません。「表記なんて詰まらない話はもうゴメンだ」という人は、遠慮なく読み飛ばして先へお進みください。

 本文で「流通している出版物の大半は、常用漢字表を基準にしている」と書きましたが、正確にいうと少し違います。出版社や編集部が、常用漢字表をベースに独自の表記基準を設けているのが一般的です。常用漢字表に入っていないのに「誰」「頃」などの漢字を目にすることが多いのは、「独自の表記基準」で採用されていることが多いからでしょう。
 編集者は、その独自の表記基準に合わせるために、ライターが書いた原稿に手を加えます。一冊の本の全体を1人のライターが書いている場合は、あまりにも特殊な表記でない限り、ライターの表記を尊重する場合もあるようです。しかし、一冊の本や雑誌を何人ものライターが分担して書いているときは、それぞれのライターの表記を尊重すると、全体の統一感がなくなってしまいます。
「全体の統一感が本当に必要なのか」というのは答えるのがむずかしい疑問です。「極端な場合以外は、徹底しなくても何も支障はない」というのが正解だと思いますが、たいていの編集者は表記を統一したがります。「編集者の職業病」のようなものなのでしょう。
 問題は、単純に表記を統一するだけでは済まないことが多いことです。たとえば、標準的な表記に従うと、「わからないことはわからないことで、とりあえずはそのままにしておけばよいかというと、そんなことはありません」とひらがなばかりが続くことがあります。表記の統一を徹底すると、こういうことが少なくありません。
 ふつうはひらがなで書いている言葉も、前後にひらがなが多いときには、漢字で書いたほうが読みやすいことも多いと思います(たとえば、この文の文頭にある「ふつう」も、この場合に限っていえば、「普通」と書いたほうが読みやすいはずです)。
 もっと重要な問題は、表記の統一を重視するために言葉をかえなければならないことがある点です。
 本文の最後のほうで、「辞書で調べなければ」と書きました。本当は「辞書を索かなければ」と書きたいところです。もしライターがそういう原稿を書いてきたら、編集者は「辞書を引かなければ」か「辞書をひかなければ」にします。常用漢字表の「索」には「サク」の読みしかないからです。辞書は「ひくもの」でも「引くもの」でもない、と感じるなら、「辞書で調べる」とでもするしかありません。
 この場合は大きな違いはなさそうですが、言葉をかえれば、当然文章のニュアンスがかわります。そのことを無視してまで、表記の統一や常用漢字表にこだわる必要はないと思うのですが……(編集者の立場でしてきた仕事に対する自戒の念を込めて)。
「常用漢字表外の漢字を使うときには、ふりがなをつければいい」という考え方もあるでしょう。正論だとは思いますが、ふりがなが多い文章は読みにくい印象になります。そうなると、常用漢字表外の漢字で書く言葉はできるだけ使わない、という方針をとらざるをえません。これは一種の「言葉狩り」ともいえるものです。常用漢字表外の漢字は必然的に使われることが少なくなり、その結果、ますますむずかしい印象になっていきます。
 本文で、「やさしい漢字」「むずかしい漢字」と書きました。これは感覚的な問題でしかなく、客観的な判断基準ではありません。極端な例をあげると、自分の名前に使われている漢字なら、どんなに「むずかしい漢字」でも間違える人はいないはずです。
 漢字の問題に限れば、「むずかしい」「やさしい」は「どれだけ目にする機会があるか」ということでしかありません(機会の「多い」「少ない」も感覚的な問題かもしれませんが、きちんとした統計をとれば数字で表すことは可能でしょう)。どんな漢字を目にする機会が多いのかは、書き手によって違うはずです。常用漢字表という画一的な基準で判断することには、疑問を感じます。
 もっとも、「個々の事情を考慮しているとキリがないので、平均的な感覚に基づいて作られたのが常用漢字表である」という考え方もできそうです。そう考えると、「常用漢字表なんて関係ねえよ」と開き直ってしまいたい気持ちはあっても、強く主張することはできずにいます。
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