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句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび3

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1354427241&owner_id=5019671

mixi日記2010年05月16日から。

 直接的には下記の続き。
【句読点の打ち方ふたたび2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1254.html

 ごめんね。何度も同じようなタイトルで日記を書いて。これでこのテーマからはしばらく離れるから(予定)。
【句読点に関する記述】
1)【板外編2──句読点の打ち方(読点と使い方の2つの原則と6つの目安)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-145.html
2)【第2章 4 句読点の打ち方】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
3)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび 毒抜き編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1253.html
4)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1254.html
5)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1255.html
6)句読点の打ち方/句読点の付け方──実例編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1522.html

 句読点の話に関するまとめ。
 とにかく本多勝一の『日本語の作文技術』(朝日新聞社・1976/朝日文庫=改訂版・1982。以下、「本多読本」と略す)を読んでほしい。あれほど論理的に句読点の打ち方を説明しているものはない。メンドーな話が嫌いな人には、『説得できる文章・表現200の鉄則』をオススメする。どんなことが書いてあるかを↑の2)から抜粋する。
 細かいことを言うといろいろ注釈がつく。
 たとえば「2)-2 主語の後(ただし、短い文には打たなくてもよい) 」について。
 これはウノミにしないほうがいい。
「主語」というのは不正確で、「主題」とでも言うべき。メンドーなので、「主語」と呼んでおくが……。
 下記のように言えば多少正確になる。

 主語のあとには読点を打ってもいいことが多い(必ず打つという意味ではない)。
 ただし、次の場合は極力打たない。
1)一文が長い場合
2)主語が短い場合
3)(近くに)別の理由で読点を打つべき場所がある場合

 詳しくは下記をご参照ください。
【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1253.html

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 本多読本以外の文章読本では、テンの問題をどのように扱っているのか。いろんな書き方をしているが、内容や例文の適確さを考えて『説得できる文章・表現200の鉄則』(日経BP社出版局監修)のp.49~50の例を紹介する。原典が2色刷りだった関係もあり、体裁はかなりかえている。

【引用・抜粋部】
●読点の打ち方1) 誤解を避けるために打つ
1)-1 修飾語と被修飾語の関係をはっきりさせる
【原 文】きれいな赤い服を着た少女
【修正文】きれいな、赤い服を着た少女
【注】読点を打つことによって、「きれいな」が「赤い服」に係るのではなく、「少女」に係ることが分かる。

1)-2 修飾語と述部の係り受けをはっきりさせる
【原 文】今朝早く完成が待たれていた船の進水式があった。
【修正文】今朝早く、完成が待たれていた船の進水式があった。
【注】読点を打つことで、「今朝早く」が「進水式があった」に係ることが分かる。

1)-3 対等な関係にある2つの語句を等しく修飾する
【原 文】都市通勤者が多く住むA地区とB地区では長時間保育が課題となっている。
【修正文】都市通勤者が多く住む、A地区とB地区では長時間保育が課題となっている。
【注】読点を打つことで、A地区とB地区のいずれも都市通勤者が多いことがはっきりする。

1)-4 漢字やカタカナが続くとき、名詞の区切りをはっきりさせる
【原 文】従来価値が高いと見られていたのは次の物件である。
【修正文】従来、価値が高いと見られていたのは次の物件である。
【注】「従来価値」という名詞があると誤解されないように読点を打つ。

●読点の打ち方2) 読みやすい文にするために打つ
2)-1 列挙する語句の間
【例】このシステムは、メールサーバー、ファイヤーウォール、DNSサーバー、WWWサーバー、FTPサーバー、プロキシサーバーを搭載している。

2)-2 主語の後(ただし、短い文には打たなくてもよい)
【例】公社債型を含めた投資信託の純資産残高は、今年6月に過去最高を記録した。

2)-3 文頭の接続詞や副詞の後(ただし、短い文には打たなくてもよい)
【例】または、~     しかも、~    主に、~      結局、~
【注】「また当社は、」のように、すぐ後に読点が続くようなときは接続詞や副詞の後の読点を省略する。

2)-4 理由、条件などの語句または節の後
【例】結論から先に言えば、人材を活用している企業ほど成長している。
   ~によって、~   ~のため、~   ~に関して、~   ~ので、~
【注】読点が続くような場合は、特に読みにくくなければ省略してもよい。

2)-5 挿入句のある場合の前後
【例】トラブルの原因は、一般化して言えば、インターネットという新しい効率的な手段を受発注に用いたにもかかわらず流通プロセスが従来型だったことにある。

2)-6 複文や重文の結合部
【例】営業スタッフは6割増え、売上計画は前年度の2倍なった。

 きわめて常識的な記述で、過不足なく見える。「これはあってもなくてもいいだろう」と思うものもあるが、テンの打ち方は書き手の趣味にかかわる部分が多いので、なんともいえない。とにもかくにも、1)-1~4と2)-1~6で、合計10の打ち方があるってことだ。このあたりを目安にしていれば、おおむね間違いない。しかし、これだって本多読本にかかると2つの原則に集約されてしまう。

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 どのように「2つの原則に集約されてしまう」のかということや、本多読本のもつ欠点については↑の2)【第2章 4 句読点の打ち方】を読んでもらうしかない。


 いろいろ検索しているうちに、下記を見つけた。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1238382262
 これはこれでかなり驚いた。何を驚いたかって、BAに選ばれたかたは、経験則でここまでたどりついたように思えるからだ。自力でこの法則にたどりついたのなら、ある意味天才だと思う。
 全文を転載する。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
※点を打たなければならないのは、通常、次の4点に限られます。(本当に必要なのは1.2.3だけです。)

1.「中止法」の後に打つ。

例1.私はご飯を食べてお茶を飲んだ。
例2.私はご飯を食べ、お茶を飲んだ。

「中止法」とは、助詞「て」を使わず「、」で省略する表記方法で英語のアポストロフィと同義です。「助詞を省略しました」という印です。ここに点を打たないと入試作文等では×になります。

2.接続語の後に打つ。

例1.とても|疲れたので、|休む|ことに|した。
例2.とても|疲れた。|だから、|休む|ことに|した。
悪例.私は、長い道のりを、歩いたので、とてもつかれた。

「疲れたので、」「だから、」の2つの文節は「接続語」で文と文を繋いでいます。「文を繋ぎました」という印です。「ありますがの後に〈、〉」というのがこれです。悪例のように「私は」という短い主語の後、「道のりを」という修飾語の後に点は必要ありません。ここに点を打つと入試作文等では、×になってしまいます。

3.独立語の後に打つ

例.おお、それは見事だ。

4.連体修飾部となった主語(主部)が長い場合に打つ。

例.下絵師の見習い吉兵衛に与えられた課題は、いかに師匠とそっくりの絵を描くかであった。

「下絵師の/吉兵衛に/与えられた/課題は、」と「課題は」に係る連体修飾語が長い(今までの経験上、7字超過が目安)場合に「ここまでが主部です」とわかりやすくするために点を打ちます。

これ以外にも点を打つ場合がありますが、打たなくても問題はありません。その他の場合は、ほとんどが読みやすくするための筆者のサービスと思ってよろしいかと思います。なお,
○サザエさんは、自転車に乗って逃げるカツオを追いかける。→自転車に乗っているのはカツオ。
○サザエさんは自転車に乗って、逃げるカツオを追いかける。→自転車に乗っているのはサザエさん。
についてですが,厳密に言うとこれは「、」を打つ位置を変えただけでは解決しません。なぜなら,主語,述語の係り受けが2通り存在するからです。
①自転車に乗って逃げるカツオをサザエさんは追いかける。
②逃げるカツオをサザエさんは自転車に乗って追いかける。
と語順を入れ替えなければなりません。

ご参考になれば、幸いです。長々と失礼いたしました。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 ただ残念なことに、これだと本多読本以上のことは書いていない。ある意味、本多読本を改悪しているとも言える。
 4つの法則を本多読本方式で検討してみよう。

1.「中止法」の後に打つ
→重文の典型なので、〈長い修飾語〉の原則に〈吸収される〉。

2.接続語の後に打つ
→なくてもいいので原則ではない。ただし、〈逆順〉の場合は必要。
※tobirisuとしては、本多読本の「2つの原則」の次に必要な読点だと思う。

3.独立語の後に打つ
→なくてもいいので原則ではない。
※tobirisuとしては、あるほうがいいと思う。ただし「ああダメだ」「ああ無情」のように、先行する言葉がひらがなで、続く言葉がカタカナや漢字ならあってもなくてもいいかも(当然逆もアリ)。

4.連体修飾部となった主語(主部)が長い場合に打つ。
→なくてもいいので原則ではない。
※tobirisuとしては、3)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび 毒抜き編】で書いたように下記のように思う。
================================
 主語のあとには読点を打ってもいいことが多い(必ず打つという意味ではない)。
 ただし、次の場合は極力打たない。
1)一文が長い場合
2)主語が短い場合
3)(近くに)別の理由で読点を打つべき場所がある場合
================================
 例文だと、とくに一文が長くないし、主語が短くないし、ほかに読点を打つべき場所がないので、「課題は」のあとに打つのが適切。
 さらに補足するなら、読点のあとが短い場合は、ないほうがいい。
  下絵師の見習い吉兵衛に与えられた課題は、いかに師匠とそっくりの絵を描くかであった。
  下絵師の見習い吉兵衛に与えられた課題は、なかった。

 文頭の接続詞の話などがからんでくると話が少しかわる。
  しかし、下絵師の見習い吉兵衛に与えられた課題は、いかに師匠とそっくりの絵を描くかであった。
 
 この場合、2つとも読点を生かすか、どちらか一方を削除するかは趣味の問題。詳しくは↑の1)【板外編2──句読点の打ち方(読点と使い方の2つの原則と6つの目安)】を参照。

 サザエさんの話は検索するといくつかヒットするけど、元はなんなんだろう。
 ちなみに本多読本に出ている下記(これも相当数ヒットする)とほぼ同じだと思う。

  渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。
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