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2010年5月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html

●2010年5月の朝日新聞から
10-5-1
2日
松井秀、記録目前
「疲れないです」(朝刊19面)
 デトロイト=抜井規泰記者。松井秀の近況を伝える記事の見出し。文中には「疲れはないですね」とある。それなら誤読の可能性はない。見出しだけを見て、「疲れません」かと思った。「疲れません」と「疲れはないです」は、現象としては大差がないが、こんなまぎらわしい書き方をする理由がわからない。字数の関係で「は」が入らないなら「疲れはない」でいいだろ。

10-5-2
10日
 注目のキムタク社長は、結果を出すために他人とはっきり一線を引く「嫌なやつ」。(朝刊32面)
 丸山玄則記者。微妙すぎてわからない「○○と一線を引く」って言うのかな。
□■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E4%B8%80%E7%B7%9A&stype=1&dtype=0
================================
いっ‐せん【一線】
1 1本の線。糸すじ状の1本。
2 戦いで敵と直接ぶつかる隊列。また仕事などで、最も活動する位置。第一線。「―に配属される」「―の記者」「―から退く」
3 はっきりしたくぎり。けじめ。「公私の間に―を引く」「最後の―を越えない」
================================
■Web辞書(『大辞林』から)
================================
いっせん0 【一線】
[1] 一本の線。
[2] はっきりした区切り。けじめ。
・―を引く
・最後の―を譲らない
[3](戦いの)前線。また、活動・活躍の場。第一線。
・―で指揮をとる
・―を退く
→(句)一線(いっせん)を画・する
================================
 主観で書かせてもらうと(これは「許可」のほかは「受益」か「名誉」か。あえて言うと「嫌味」?)、以下の使い方が自然では。
  他人との間に一線を引く
  他人との間に線を引く
  他人と一線を画す
 もっと言うなら、イチバン自然なのは「他人との間に距離を置く」くらいでは?

10-5-3
19日
感染、小動物も関与か
(朝刊1面)
 大谷聡記者。これは口蹄疫のことを伝える記事の中見出しなんで、記者がつけたんじゃないかもしれない。文中には「小動物によるウイルスの拡散」とはあっても「関与」はない。昔、複合ビルに「映画館などが集う」というフレーズが笑い話になったのを思い出した(少し前にニュースで、「女性の受刑者が集う」って言っていた。これもヘンだと思う)。で、問題は「関与」。本文にあるように「小動物によって拡散か」とか、「小動物が媒介か」なたフツー。「関与」というのは意思をもって積極的にかかわるイメージがある。

10-5-4&10-5-5
24日
“忍”の一字でじっとチャンスを待つ、三浦の辛抱強さがよく表れている。(朝刊11面)
 大川慎太郎記者。将棋の名人戦の観戦記。よくお邪魔しているサイトで教えてもらって、新聞を引っくり返した。この読点はヒドい。本多勝一が見たら激怒しそう。ただ、どうすればいいかがわからない。意味に従うなら「“忍”の一字でじっとチャンスを待つ三浦の、辛抱強さがよく表れている。」だろう。この読点も相当イヤ。結局、読点を削除するしかないんだろうな。
 この文章を書こうとして、たまたますぐ上にあった「歌壇」の選評が目についてしまった。「文芸」の話なんであんまりふれたくないが、アンマリなのでメモしておく。小学生姉妹(小6と小2)の短歌を絶賛している。姉妹の成長が楽しみよ。
  私はね通学団の団長よ新入生の世話が楽しみ
  むらさきのえんどうの花いっぱいよちょうになってとぶといいなあ

10-5-6
26日(水)付
 大阪の長尾幹也さんは、朝日歌壇によく職場を詠んだ歌を寄せる。〈リストラに幾人を切り捨てしのち彫像のごと我はひび割る〉。11年前、この一首が目に留まり、話を聞きに訪ねたことがある。営業の部長としての実際の体験だった▼〈解雇せむ社員四名を決めかねて秋の休日笑うなく過ぐ〉。通告に臨むと、口は渇き、足は震えた。「申し訳ない」「力になれなかった」と繰り返していた。告げられた一人は泣いた。長尾さんも泣いてしまったそうだ▼昔の取材を思い出しながら、一昨日の教育面の記事を読んだ。内定学生や新入社員に理不尽を言い、上司が罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせて追い詰め、辞めさせる。「新卒切り」とでも言うべき実態が目立っているのだという▼人間味はかけらもない。初日から怒鳴られたある社員は、3日目から連日反省文を書かされた。9日目に上司が「もうしんどいやろ?」。「頑張れます」と言うと、「給料もらって居座るのか」と退職届を渡したという。こんな会社があるのかと暗然となる▼多めに採用し、後から適当に切る魂胆としか思えない企業もあると聞く。泣いてクビを切れば心がある、とは言うまい。だが人は今、いよいよ自分たち人間を貶(おとし)めつつあるのではないか。せめて人を「モノ」としないモラルが企業人には欲しい▼〈切る側より切られん側に移行しぬ社歴三十年まことシンプル〉。11年たった長尾さんの最近の作だ。ほっとして、どこか悟った風が吹いてくる。「新卒切り」に血道を上げる上司たちは、これをどう読むことか。(朝刊1面)
「天声人語」。相変わらずヒドい。冒頭の句がどこで切れるのかいまだによくわからない。なんでこのようなものを……。文章全体も何を言いたいのかよくわかりません。結び間近の「どこか悟った風」って何? これは「かぜ」? 「ふう」? 「どかか悟った風」なこと書いているけどさ。そもそも「リストラ」と「新卒切り」って別物でしょうに。〈「新卒切り」に血道を上げる上司たち〉が何十年かあとに「新卒切り」される立場になるの?


 微妙な話をいくつか。以下は5月20日放映のテレビドラマ『素直になれなくて』から採集した。
10-5-7
奮発しちゃった
 言葉としてはOK。ただ、日本語がたどたどしい韓国人の女子高生のセリフとなると微妙な気がする。これが「張り込んだ」になるとさらに異和感が大きくなる。「おごった」になると死語だろうな(笑)。無難な線だと「(プチ)贅沢しちゃった」くらいか。

10-5-8
働きづめ
 これも同じキャラ。「働きっぱなし」くらいだろうな。「働きつづけている」とかもアリ。

10-5-9
(取り巻き連中が)オレが捕まったら蜘蛛の子を散らすようにいなくった
 これは日本人の男子校高校生。「蜘蛛の子を散らす」は「逃げる」などにつく慣用句だから誤用ではないけど、高校生が使うと……。

 ちなみに27日放映分で電信柱の住所表示が「用賀5-2」と鮮明にオンエアされた。
 念のため確認すると、世田谷区用賀は4丁目までしかなかった。やはり架空なのね。と言うよりうっかり入ってしまった「用賀2-2」とかをCG処理でごまかしたんだろうな。怖い時代だ。

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