板外編2──句読点の打ち方(読点と使い方の2つの原則と6つの目安)

mixi日記2008年10月30日から

 句読点の使い方について9月17日の日記で「赤い本」から抜粋した。この日の日記は諸般の事情で公開条件に制限をつけているので、改めて引用しておく。これは「お品書き」に加えておきたいもんで。
 世を忍ぶいけない内容の日記を書いていると、こういうとこがメンドーでしかたがない。
※文中の「複文」は、一般に「重文」と呼ばれるもののことです。


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読点と使い方の2つの原則と6つの目安
 ほとんどの読点の使い方は『日本語の作文技術』の2つの原則で説明できます。とくに重視しなければならないのが「複文の境界」に打つ読点であることはすでに書いたとおりです(「列記の読点」は除く)。それ以外の読点は「思想の読点」で論理的には必要がないからといってすべて削除してしまうと読みにくい文章になります。
 本書ではわかりやすくて読みやすい文章を「明文」と表記してきました。ここまであえてふれずにきましたが、「わかりやすい文章」と「読みやすい文章」は同じものではありません。基本的には「わかりやすい文章」は「読みやすい文章」でもあると思います。しかし句読点の話に限っていえばわかりやすさを追求すると読みにくくなってしまう傾向があることもすでに説明したとおりです。
「読点と使い方の2つの原則と6つの目安」の小見出しからあとの2つの段落は、論理的には必要がないと思われる読点を使わずに書いてみました。「  」が多いのでまだマシですが、いままでに比べるとかなり読みにくい印象になっているはずです。
 では、「思想の読点」はどう打てばよいのでしょうか。
 これは「書き手の感覚による」としかいえない問題です。しかし、そういってしまうとなんの解決にもならないので、いくつかの目安を提案します。「たしかにそのほうがいい」と思えるものがあったら、それを参考にしてください。

1)接続詞の直後に読点を打つ
 文頭の接続詞の直後の読点は、文章をわかりにくくしません。この点も、本書が接続詞を悪者にしたがらない理由のひとつです。文頭に使ったときの「一般に」「通常」などの語句も、直後に読点を打つほうがよいと思います。

2)単文にもできるだけ読点を打つ
 極端に短い場合を別にすると、単文にもできるだけ読点を打つほうがよいと思います。接続詞がある場合は、その直後に打つとよいでしょう。接続詞がない場合は、主語の働きをする言葉のあとに打つことになります。このときに注意していただきたいのは、「〇〇が」の直後はむやみに読点を打つとヘンな文章になることです。その点、「〇〇は」の直後なら読点を打ってもヘンな文章にはなりません。このほかに留意しなければならない点がいくつかあります。次の用例を参考にしてください。

 a これは本です。
 (短い単文には打たない)
 b この「文章読本」は、役に立ちます。
 (打ってもいい)
 c とはいえ、この「文章読本」は役に立ちます。
 d とはいえこの「文章読本」は、役に立ちます。
 e とはいえ、偶然手に入れたこの「文章読本」は、いろいろな点で役に立ちます。
 (cのように接続詞の直後に読点がある場合は、主語のあとに読点は打たな
 いほうがいい。dのように主語のあとに読点を打つなら、接続詞のあとには
 読点を打たない。ただし、eのように一文が長い場合には、接続詞のあとと、
 主語のあとの両方に打ってもいい)
 F 偶然手に入れたこの「文章読本」はヘンです。
 (読点の後ろが短くなる場合は打たないほうがいい)

3)2つの単文を結合した複文(※一般には「重文」)は、「複文の境界」以外にもできるだけ読点を打つ
複文の境界」以外に読点を打つ場合の留意点は、2)に準じます。ただし、3つ以上の単文を結合した複文は、「複文の境界」以外には読点を打たないほうが無難です(接続詞の直後の読点を除く)。

4)「列記の読点」を除き、一文の読点の数は3つまでにする
 本当は2つまでにしたいところですが、少し余裕をもたせて3つまでにしておきます。文章の内容を考慮せずに読点の数を限定するのは、ムチャな目安かもしれません。しかし、3つの単文を結合した一文の「複文の境界」に打ったとしても、読点の数は2つです。文頭に接続詞があったら直後に読点を打ち、これでやっと3つになります。★ページの〈原文1〉や★ページの〈原文2〉を見てください。読点を3つ打つと相当長い文が書けることがわかるはずです。

 例外にした「列記の読点」について付記しておきます。
「列記の読点」を使った文は、できるだけ短くするべきです。とくに、列記するものに形容詞がついて長くなったときには、単文のままでいったん文を終わらせるほうがよいと思います。複文にしてしまうと必然的に一文が長くなり、どうしてもわかりにくい印象になるからです。次の用例を参考にしてください(この用例は、言葉の使い方にヘンな点があります。どこがヘンなのかは★ページで説明します)。

 今年の新顔の、Aさん、Bさん、Cさんは、それぞれ強烈な個性の持ち主で、抜群の存在感があります。(列記されているのが単語なので、さほどヘンではない。「それぞれ……」以降がもっと長くなるなら、文を分割してしまったほうがいい)
 
 今年の新顔は、関西出身のAさん、東北出身のBさん、江戸っ子のCさんの3人。それぞれ強烈な個性の持ち主で、抜群の存在感があります。(列記されている言葉が長いので、単文のままでいったん文を終わらせたほうがいい)

5)誤解を招かないように読点を打つ
 本来はおすすめできない読点の使い方ですが、やむをえない場合もあります。よく例にあげられるのは、次のような文です。

 今年の新顔のAさんとBさんは、ともに強烈な個性の持ち主で、抜群の存在感があります。

 こういう書き方をすると、この文は意味がわかりにくくなります。そこで、

 a 2人とも「今年の新顔」なら「今年の新顔の、AさんとBさんは、……」
 b Aさんだけが「今年の新顔」なら「今年の新顔のAさんと、Bさんは、……」

 と読点を打つと誤解される心配がなくなるとされています。4)の例文で使ったのは、aの読点です。bの読点は、「Bさんと今年の新顔のAさんは、……」にすれば不要になると書いてある「文章読本」もあります。たしかにそのとおりで、許容されてもよい形でしょう。
 ただし、もう少しマシな文章にしたいと思うなら、手間はかかっても別な書き方をするべきです。aの読点は不自然な感じがあり、「今年の新顔は、AさんとBさん。2人とも……」あるいは「今年の新顔はAさんとBさんで、2人とも……」のほうがマシでしょう。bがヘンなのは、2人を並べているのに片方にしか形容する言葉がついていないからです。「今年の新顔のAさんと、いまや古株のBさんは……」のように両方に形容する言葉をつけたほうが、バランスがよくて自然な文になります。

6)一文の中に「ガ、」は2回使わない
 これは目安ではなく、「絶対に使ってはいけない」と書きたいぐらいです。
 たとえば、次の文を見てください。

 〈原文3〉
 接続助詞の「ガ」に関してですガ、これは「逆接」の意味で使われることが多いのですガ、ほかにもいくつかの働きがありますガ、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。

 こんな文を書く人は少ないかもしれませんが、座談会などの発言を忠実に文字にすると、このような感じになっていることは珍しくありません。これは、あまり断言調で話してはいけない、という意識が働くためのようです。文章を書く場合にも、あらたまった感じで書こうとして肩に力が入ると、「ガ、」が目立ってしまうことがあります。
〈原文3〉に出てくる「ガ、」は、「関してですガ、」と「ありますガ、」が「順接のガ、」(表記がわずらわしいので、以後は「留保・抑制」の「ガ、」も含めてこう呼びます)で、「多いのですガ、」が「逆接のガ、」になりそうです。「順接のガ、」は、できるだけ使わないほうが文章がすっきりした感じになります。たとえば、次の〈原文4〉と〈書きかえ文4〉を比べてみてください。

 〈原文4〉
 接続助詞の「ガ」に関してですガ、これは多くの場合「逆接」の意味で使われます。
 〈書きかえ文4〉
 接続助詞の「ガ」は、多くの場合「逆接」の意味で使われます。

〈原文4〉でもさほど問題はないと思いますが、特別な理由がない限り、おすすめはできません。〈原文4〉がまだ許容されるのは、一文が短いからです。これが長い文になって「順接のガ、」がいくつもあり、〈原文3〉のように「逆接のガ、」まで出てくると、読み手が戸惑います。
〈原文3〉は次のように書きかえるべきです。〈書きかえ文3-1〉のように「順接のガ、」を消すだけでもマシになります。ただし、この場合は文が少し長いので、〈書きかえ文3-2〉のように分割するほうがわかりやすいはずです。

 〈書きかえ文3-1〉(「順接のガ、」を消した例)
 接続助詞の「ガ」は、「逆接」の意味で使われることが多いのですガ、ほかにもいくつかの働きがあり、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。
〈書きかえ文3-2〉(文を分割してわかりやすくした例)
 接続助詞の「ガ」は、多くの場合「逆接」の意味で使われます。しかし、ほかにもいくつかの働きがあり、「順接」や「留保・抑制」の意味でも使われます。

 一文の中に「逆接のガ、」が2回以上出てくる文は、たいていの場合、論旨が混乱している「悪文」の一種です。論旨を整理したうえで、書き直さなければなりません。「順接のガ、」と、「逆接のガ、」が一文の中に混在すると、「ガ、」の役割がわかりにくくなり、やはり論旨が混乱しているような印象になります。
 もうひとつ、気をつけなければならないのは、主語の働きをする言葉につくガです。次の用例を見てください。

 a タメになることガ、たくさん書かれている本です。
(ガの直後の読点はなくても構わないが、ほかに読点がないので、打っても問題はない)
 b タメになることガたくさん書かれているので、読んだ人ガ必ず感銘を受ける本です。
 (「タメになることガ」の直後に読点を打つのはヘン。「読んだ人ガ」の直後は読点を打っても悪くはないが、打たないほうがいい)
 c タメになることガたくさん書かれているので、読んだ人ガ必ず感銘を受ける本ですガ、一般の書店には置かれていません。
(一文が長くなって、「逆接のガ、」が出てくる文の場合は、ほかのガの直後には読点を打たない。この文の場合は2つに分割するほうがよさそうだが、もし分割しないのなら、これ以上の読点を打ってはいけない。むしろ、「書かれているので」の直後の読点も取ってしまうほうがわかりやすくなる)
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【10月30日午後追記】
【第2章 4 句読点の打ち方
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
 もあわせて読めば、もう読点の打ち方で悩むことはなくなります……ホントか?

【2009年3月12日追記】
 句点の打ち方の一般的なルールに関しても「赤い本」から引用しておく。

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 句読点の使い方のうち、句点(マル、「。」)については、それほど問題はないと思います。「文の終わりにつければいい」ということはだれでも知っているはずです。「文章読本」に書かれている句点の使い方を見ると、次のような記述になっています。

1)段落全体がカギカッコなどで始まりカギカッコなどで終わる場合は句点をつけない
例 「きょうは予報がはずれてひどい雨降りでした。あしたは晴れるでしょう」
※一般の新聞や雑誌はこうなっている。しかし、教科書の類いはこういう場合も句点をつけている。その影響と思われるが、マンガのセリフの場合も、小学館は句読点をつけていることが多い。他社は句点も読点もつけていない。ほかに句読点をつける流儀にしている出版社があれば教えてください。

2)段落の途中に句点があり、その直後にカギカッコなどが続いて段落末がカギカッコなどになった場合は句点をつけない
例 天気予報は、何度も同じことを繰り返していた。「あしたは晴れるでしょう」

3)段落の最後の文がカギカッコなどで終わる場合でも、その直前に主語があり、文末のカギカッコなどのあとの述語(「と語った」など)が省略されているときは句点をつける
例 気象予報士は苦笑しながら「あしたは晴れるでしょう」。
  この数日の予報がはずれつづけているだけに、さすがに自信のなさそうな口ぶりだった。

4)文末に注釈などを加えるパーレン(丸カッコ)を使うときは、そのあとに句点をつける
例 気象予報士は苦笑しながらコメントを終えたが、さすがに自信のなさそうな口ぶりだった(笑)。

5)文章全体の注釈、クレジットなどを加える場合は、パーレンの前に句点をつける
例 きょうは天気予報がはずれてひどい雨降りでした。あしたは晴れると思います。(談)

6)改行して箇条書きにする場合は、各文の文末に句点をつける(ただし、箇条書きの内容が簡単な場合はつけなくていい)

 本によって書き方は多少違いますが、だいたいこんなところではないでしょうか。
 新聞でよく見かける3)の形は言葉足らずの印象があり、ふつうの文章で使われている例も少ないので、避けたほうが無難です。6)は趣味の問題で、本書では箇条書きの場合、原則として句点はつけていません。
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【句読点に関する記述】
 1)と2)を読めば、もう読点の打ち方で悩むことはなくなります……ホントか?

1)【板外編2──句読点の打ち方(読点と使い方の2つの原則と6つの目安)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-145.html
2)【第2章 4 句読点の打ち方
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-45.html
3)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび 毒抜き編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1253.html
4)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1254.html
5)【句読点の打ち方/句読点の付け方 ふたたび3】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1255.html
6)句読点の打ち方/句読点の付け方──実例編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1522.html


■総索引&文章の書き方
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-132.html
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