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感謝の言葉は現在形を用いるべき?

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671

mixi日記2010年08月12日から

 ふと妙なことを思いついたので、メモがわりに書いておく。
 日本語の過去形についてはトピなどでよく話題になる。
 簡単に言ってしまうと、日本語の「~た」は過去形とは限らない。
「壁にかかった絵」(現在)、「明日は映画を見たあとに食事をしよう」(未来)などのように、例外がいくらでもある。小説なんかで過去の出来事を現在形をまじえて書くのは、ごくフツーのレトリックだろう。
 あと、過去形つながりで書くと、「よろしかったでしょうか」なんてのもある。この妙な言葉づかいが北海道発祥という説がある。
【バイト敬語の源流 】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1326.html
 たしかに北海道では妙な過去形を使うけど、それを結びつけるのはいささか強引。都市伝説に近い気がする。

 感謝の言葉として過去形を用いるのは是か非か、といった話を目にすることがある。
 北海道では「お世話様でした」がフツーかもしれないが、一般にこの過去形には、コレッキリという印象があり、別れの挨拶のような感じになる。
 お礼の言葉として最も一般的な「ありがとうございます」。
 これも「ありがとうございました」とするのはコレッキリみたいで印象が悪いと主張する人がいる。それはどうなんだろう。別に言葉尻をとらえてそんなに意地悪く考えなくてもいいのではないか。

 同じように謝辞で使われる「感謝します」(「感謝する」でもほぼ同様、以下デス・マス体の話は省略)だと、ちょっと話がかわる。
「感謝しました」だと、そのとき限りの印象が強い。「感謝していました」だと、もっと状況は悪くなる。いままで感謝していたけどもうそんな気持ちはない、みたいな印象さえある。
 もう少し文脈を添えるとハッキリする。
「いつもながらのご配慮に感謝します」
「このときばかりは丈夫に生んでくれた母親に感謝しました」
「いつも感謝していましたが、とんだ思い違いでした」

「ありがとう」の場合も、少し文脈を添えるとわかりやすい。
「いつもありがとうございます」
×「いつもありがとうございました」
△「きょうはありがとうございます」
「きょうはありがとうございました」
△「先ほどはありがとうございます」
「先ほどはありがとうございました」
 常日頃(重言?)の感謝の気持ちを表わすなら「ございます」でないとおかしい。
「きょう」「先ほど」限定の感謝の気持ちを表わすなら、むしろ「ございました」のほうが自然だろう。「ございました」を使いたいなら「きょうは」とか「先ほどは」などの期間限定(バーゲンか?)を示す言葉を併用すれば自然になるってこと(「ございます」でもさほどおかしくない)。
「きょうはありがとうございました」と言って、相手が「きのうまではありがたくなかったのかよ」と揚げ足を取ったらどうするか?
「きのうはありがとうございました」と言って、相手が「いまはもうありがたくないのかよ」と揚げ足を取ったらどうするか?」
 そういうtobiっぽい人とはできるだけかかわらないことです。

 ちなみに、タイトルに使った「用いるべき」は、厳密に言うとあまり褒められた言葉づかいではないらしい。
 このテの命令形?で終わる場合は「べし」にするのが正しい。まあ、「用いるべきだ」の体言止め(の一種)と考えれば「べき」でも間違いではないと思うので、この形を使った。
 どうも「用いるべし」とか「使用せよ」といった文語調の言葉づかいが苦手なもんで。丹下段平先生ゴメンナサイ。



感謝の言葉は現在形を用いるべき?〈2〉

mixi日記2013年1月6日から

 下記で不自然な点をご指摘いただいたので、一部を書きかえます。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1188895191

================修正前
「ありがとう」の場合も、少し文脈を添えるとわかりやすい。
「いつもありがとうございます」
×「いつもありがとうございました」
△「きょうはありがとうございます」
「きょうはありがとうございました」
△「先ほどはありがとうございます」
「先ほどはありがとうございました」
 常日頃(重言?)の感謝の気持ちを表わすなら「ございます」でないとおかしい。
「きょう」「先ほど」限定の感謝の気持ちを表わすなら、むしろ「ございました」のほうが自然だろう。「ございました」を使いたいなら「きょうは」とか「先ほどは」などの期間限定(バーゲンか?)を示す言葉を併用すれば自然になるってこと(「ございます」でもさほどおかしくない)。
「きょうはありがとうございました」と言って、相手が「きのうまではありがたくなかったのかよ」と揚げ足を取ったらどうするか?
そういうtobiっぽい人とはできるだけかかわらないことです。
================

================修正後
「ありがとう」の場合も、少し文脈を添えるとわかりやすい。
「いつもありがとうございます」
×「いつもありがとうございました」
△「きのうはありがとうございます」
「きのうはありがとうございました」
△「先ほどはありがとうございます」
「先ほどはありがとうございました」
常日頃(重言?)の感謝の気持ちを表わすなら「ございます」でないとおかしい。
「きのう」「先ほど」のことに関する感謝の気持ちを表わすなら、むしろ「ございました」のほうが自然なのでは。「きのうは」とか「先ほどは」などの期間限定(バーゲンか?)を示す言葉を併用すれば「ございました」が自然になるってこと。
たとえば、年賀状に書くなら「昨年はいろいろとありがとうございました」だろう。「昨年はいろいろとありがとうございます」には異和感がある。 これも個人差がある?
「きのうはありがとうございました」と言って、相手が「きょうはもうありがたくないのか」と揚げ足を取ったらどうするか?
「先ほどはありがとうございました」 と言って、相手が「いまはもうありがたくないのか」と揚げ足を取ったらどうするか?
 そういうtobiっぽい人とはできるだけかかわらないことです。
================


NHKの見解は下記です。使い分けが微妙すぎて……。
【最近気になる放送用語──おめでとうございました?】
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/087.html
================引用開始
おめでとうございました?

2005.01.01
Q 横綱昇進が決まった力士に「おめでとうございました」と過去形で話しかけるインタビューを見ました。これはややおかしいように思うのですが。

A あけましておめでとうございました。
あれ? 何だか変ですね。
これに比べると、「(横綱昇進)おめでとうございました」はそれほど問題がないようにも感じます。結論から先に言うと、「おめでとうございました」という言い方そのものを「おかしい」とか「間違っている」などと決めてしまうことはできません。ただし、これをおかしいと感じるかどうかは人・場合によってかなり違いがあり、放送で使う場合にはそのことを意識しておく必要があるでしょう。「おめでとうございます」とは異なるニュアンス(たとえば横綱昇進が決まった直後の興奮・感激)をあえて伝えたい、という積極的な考えがあるのであれば、使ってもかまわないように思います。

【解説】
いま目の前にあるものについて「あ、ここにあった」と言ったり、「あした会議あった?」と未来のことについても使ったりするなど、日本語の「た」は単に「過去」だけを表すことばではありません。非常に基本的なことばではあるのですが、説明するのは実は簡単ではないのです。
「おめでとうございました」という言い方をおかしいと感じる人は、「あたかももう済んだことのように扱っており、もう今は『おめでたくない・喜ばしくない』のか」などといったことを理由として挙げるようです。このことを、頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。
「おめでとうございました」については、文研でこれまで何度か調査・分析をしています。おかしいと感じる人は54%という結果が出ましたが(『放送研究と調査』97年4月号掲載)、これに付け加えて言うと、おかしいと感じるかどうかは地域によってもかなり異なる、ということがあります。東北地方では「おばんでした」(共通語に当てはめてみると「こんばんはでした」とでもなるでしょうか)というあいさつが使われていますが、この東北地方では、「おめでとうございました」をおかしいと感じる人も全国平均に比べると少ないのです。このほかに中国・四国地方ではおかしいと感じる人が少なく、逆に関東・甲信越地方では多い、という結果が出ています。
なお最初に挙げた「あけまして…」は、その人が「めでたい」と本心から思っているかどうかということとは関係なく使われる「定型のあいさつことば」なので、「ます」を「ました」に変更したりすることはできません。たとえば新年に職場・学校などで会ったのが元日からかなり日にちが過ぎたころだったとしても、「おめでとうございました」とは言わないのです。
(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)
================引用終了

【続き?は】↓
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2372.html



謝罪の言葉は現在形を用いるべき?
──感謝の言葉は現在形を用いるべき?〈3〉

 テーマサイトは下記。
【謝罪会見の言葉のちょっとした違い】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10101237610

 質問の趣旨は、下記の4つの違い。
「申し訳ございません。」
「申し訳ございませんでした。」
「申し訳ありません。」
「申し訳ありませんでした。」


 当方のコメントを回収しておく。

「申し訳ございません(でした)」「申し訳ありません(でした)」

 さまざまな問題が絡んできます。長くなるので、適宜リンクを張ります。申し訳ないです(個人的には大嫌いな形ですが、これも文化庁が昭和27年に許容した形の仲間です。詳しくは下記のリンク先をご参照ください)。

1)「申し訳ございません」と「申し訳ありません」
 petit_puisさんのコメントにあるとおりです。
「ありません」よりも「ございません」のほうが敬度が高いと言えるでしょう。

2)「申し訳ございません」と「申し訳ございませんでした」
「申し訳ありません(でした)」もほぼ同様とお考えください。
これは「おめでとうございます/ました」「ありがとうございます/ました」と同様と考えるべきでは。
【よくある誤用21──微妙な言葉の取説1 おめでとうございました ありがとうございました】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n126430

「謝罪」の気持ちが継続していることを表わすには「でした」はつけないほうがよいと思います。
 もうひとつ気になるには「ませんでした」の重複感です。「ませんでした」は間違いではありませんが、「ますです」に近いものを感じます。
 その意味でも「申し訳ございません」のほうがよいと思います。
「申し訳ございませんでした」のほうがキッパリした感じが出る、という意見も聞いたことがあり、これもわからなくはありませんが……。

3)「申し訳ございません」(「申し訳ありません」も同様)は「間違い」ではないか
 これも諸説あるところですが、個人的には「間違い」ではないと考えています。そういうふうに明記している辞書も複数あります。
 詳しくは下記をご参照ください。
 謝罪の言葉なので万が一にも揚げ足をとられないように、と考えるなら「申し訳がございません」と「が」を入れるのが無難なのかもしれません。
【よくある誤用6──誤用とは言い切れない例 申し訳ありません 申し訳ございません とんでもありません とんでもございません とんでもないです】
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n116373
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