「がち」の話……考えがち/病気がち/遠慮がち/黒目がち

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mixi日記2010年09月24日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1589216554&owner_id=5019671

 テーマトピは下記。
【「~がち」について】日本語教師 ★心に響く導入法★
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=56592922

 トピとしては「1」のコメントで解決していると思うが非常に興味深いので少し書いておく。
 まず、トピ主の質問の全文と「1」のコメントの全文を転載する。

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「~がち」について 
2010年09月24日 04:40

・最近、病気がちで仕事がすすまない。
・彼は物事を甘く考えがちだ。

 ~がちを文型辞典等で調べると、「~の状態になりやすい傾向がある。または~の割合、~の回数が多いと言いたい時に使う」あるいは、「名詞につくと、その名詞が表す状態になりやすい、その性質がかなりあるという意味を表す」、「動詞につくと、意図しなくてもそうしてしまうという意味を表す」と出ています。
 上の例文では、この説明が当てはまってると思うのですが、下の例文だとこの説明は当てはまっていないと思います。下の例文の意味はどのように考えたらいいのでしょうか。

・彼女は遠慮がちに意見を言った。
・彼女は伏し目がちに、うなづ(ママ)いた。

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1
2010年09月24日 09:29

・彼女は遠慮がちに意見を言った。
・彼女は伏し目がちに、うなづいた。

  「その性質がかなりあるという意味」
  から派生可能な、
  「その性質に近い状態にあるという意味」

でよろしいのではないでしょうか。

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 何が興味深いって、辞書の記述が相当ヒドいこと。

■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8C%E3%81%A1&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=04278903362700&pagenum=1
================================
がち【勝ち】
[接尾]名詞や動詞の連用形に付く。
1 …が多い、…する傾きがある、…に傾きやすいなどの意を表す。「後れ―」「病気―」
2 それのほうが得をする意を表す。「早い者―」
================================

■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8C%E3%81%A1&dtype=0&dname=0ss&stype=0&index=103597800000&pagenum=1
================================
がち 【勝ち】
(接尾)
名詞または動詞の連用形に付く。
[1]ともすれば、そうなりやすい傾向を表す。
  この時計は進み―だ
  怠け―
[2]そうであることの方が多い状態を表す。
  黒目―
  病気―の人
  子供にはあり―な行動
  曇り―
[3]それが他を押しのけるさまを表す。
  早いもの―
  我―に逃げる
================================

 念のための手元の『広辞林』をひく。これがイチバン短い。
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がち【勝ち】(接尾)
「ともするとそうなる」「他よりも多い」の意「病気(遅れ・曇り)―」
================================
※「勝ち」の表記に注意書きがある。常用漢字表にはあるが通常はかな書きとのこと。

 3つを見比べると、『大辞林』がイチバン細かく分けている。『大辞泉』は「傾向」と「多い状態」を区別していない(それもひとつの考え方かもしれない)。『広辞林』は「早い者勝ち」の意味が抜けている。
 いずれにしても、質問にあった「遠慮がち」「伏し目がち」を説明できる記述がない。
 トピのコメント「1」のように〈派生可能な、「その性質に近い状態にあるという意味」〉考えることもできるのかな。ちょっと辞書を甘やかしすぎだと思う。単なる記述漏れって気がするから、もっと厳しく糾弾するべきだろう(笑)。
 以下、「早い者勝ち」の類いはまぎらわしくないので、除外して考える。
「~がち」の意味は3つに分けることができるだろう。3つに分けたうえで、辞書やトピに出ていた例を分類する。

1)ともすれば、そうなりやすい傾向を表す
 ※言いかえるなら、「~傾向がある」くらいだろうか
  後れ―(後れる傾向がある。以下略)※フツーは「遅れる」だろうな
  この時計は進み―だ
  怠け―
  考え―
2)そうであることの方が多い状態を表す。
 ※言いかえるなら、「~であることが多い」くらいだろうか
  黒目―
  病気―の人(病気であることが多い人。以下略)
  子供にはあり―な行動
  曇り―
3)その性質に近い状態にあるという意味
 ※言いかえるなら、「~気味」くらいだろうか
  遠慮がち(遠慮気味。以下略)
  伏し目がち

 ちなみに『大辞泉』『大辞林』には「遠慮がち」って項目がある(「伏し目がち」はなし)。
 微妙なのがいくつかある。
 たとえば、「考えがち」。1)だと思うが2)ともとれるような。そうなると、『大辞林』のように1)と2)を同じククリにする考え方もある。
 もうひとつ微妙に思えるのが「黒目がち」。これって「黒目(であること)の方が多い状態を表す」のだろうか。『大辞泉』には「黒目がち」って項目がある。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%82%81%E3%81%8C%E3%81%A1&dtype=0
================================
くろめ‐がち【黒目勝ち】
[形動]黒目の目立つ美しい目のさま。「色白の顔に―な目」
================================

『大辞林』も似たようなもの。たとえば、黒木瞳とか小西真奈美とか?
 これは項目を立てているんだから、「がち」の例に入れる必要はないだろう。あえて入れるならリファランスの形にするべき。ニュアンスがかなり違うのだから。
 ちなみに『広辞林』以外は「勝ち」の表記を認めている。こんなものを漢字にしているのは見たことがないよ。
 さらにちなみに、昔「黒目がち」を辞書でひいて、漢字で書くなら「黒目勝ち」と知って妙に感心した。たしかに白目部分より黒目部分の印象が「勝っている」と言えなくはない。これは「勝ち」と書いてもさほど異和感がない。
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