「様」考
【日本語アレコレ】
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1486031711&owner_id=5019671
mixi日記2010年10月24日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1608623908&owner_id=5019671
テーマトピは下記。
【おかしい、と思うのは自分だけ?】(910)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=9829840
「910」のコメントの全文を転載する。
================================
910
2010年10月23日 06:50
質問です。
<男性・女性>に様を付けるのは日本語として正しいのでしょうか?アルバイト先での接客用語で学生さんたちが「男性様はー」と言っているのを聞いて違和感を感じました。なので私は「男性のお客様」と言い換えてます^^;
どなたかご存知の方教えて下さい。
================================
ちなみに、「違和感を感じました」は重言だろう。
162【重言の話5──「まず第1に」「違和感を感じる」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1454999593&owner_id=5019671
さらにちなみに、「ご存知の方」は誤用だろう。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1360790437&owner_id=5019671
なんという微妙なことを(笑)。
まずムダと思いつつ辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E6%A7%98&dtype=0
================================
さま【様/▽方】
【2】[接尾]
1 人を表す語(名詞・代名詞)または人名・役職名・団体名などに付いて、尊敬の意を表す。「お嬢―」「お殿―」「あなた―」「田中―」「社長―」「商店会御一行―」
2 名詞や形容動詞の語幹に「お」「ご(御)」を冠したものに付いて、「…なこと」の意を丁寧に言い表す。ときに「お」「ご」を冠しないこともある。「お疲れ―」「お世話―」「お気の毒―」「ご苦労―」「はばかり―」
================================
■Web辞書(『大辞林』から)
================================
3 (接尾)
〔1〕[1]
(ア)人を表す名詞または身分・居所などに付いて、尊敬の意を表す。
中村―
お母―
殿―
仏―
公方(くぼう)―
(イ)接頭語「お」「ご(御)」を冠した名詞または形容動詞に付いて、丁寧にいう場合に用いる。
御馳走(ごちそう)―
お粗末―
御苦労(ごくろう)―
================================
『大辞泉』と『大辞林』の記述はほぼ同じだが、違う点もある。
2つ目の意味で『大辞泉』にだけ〈ときに「お」「ご」を冠しないこともある〉とある。これは用例にある「はばかり―」のことなんだろう。よくこんな珍例を(笑)。
ほかにもあるかもしれない。課題にしたい。本題には関係ないし。(←オイ!)
両方に「名詞または形容動詞(の語幹)」につくとあるが、「形容動詞」ってどういう例? 「名詞」だけのような気が……。課題にしたい。本題には関係ないし。(←オイ!)
どっちにも出てないけど、真っ先にあげるべきは「お客様」じゃないかね。
2つ目の意味で〈「お」「ご」を冠しないこともある〉は「はばかり―」以外思いつかない。両方の意味で区別しないで考えると事情がかわってくる。
「お(ご)だけでもOK」「様だけでもOK」「両方ついてもOK」にわけると何かわかるかも(当然のことながら、両方ナシでも言葉としては成立する)。
辞書に出ている用例で考えてみよう。
お(ご)だけでも 様だけでも 両方ついても
OK OK OK
●人を表す語
嬢 △ ― ○
殿 ― ○ ○
あなた ― ○ ―
田中 ― ○ ―
社長 ― ○ ―
一行 ○ △ ○
母 △ ○ ○
仏 ― ○ ―
※「御仏(みほとけ)」「御仏様」ならアリ
公方(くぼう)― ○ ○
●名詞や形容動詞
疲れ ○ ― ○
世話 ○ ― ○
気の毒 ○ ― ○
苦労 ○ ― ○
はばかり ― ○ ―
馳走 ○ ― ○
粗末 ○ ― ○
o( ̄ー ̄;)ゞううむ
並べてみても何もわからない。よーく考えれば何かわかるかもしれないけど。とりあえず、「はばかり」が例外っぽいことはわかる。
ちょっと意地悪を書くと、本来は、このあたりまでは質問者がホニャラララ。
ちなみに「客」は「人を表す語」なのに「お客」と「お客様」がOK。これは珍しいのかも。一覧を見ると、しいて言えば「嬢」に近い?
さて、何もわからないので本題に移ろう(笑)。
「男性」には「お(ご)」も「様」もつきにくい。
ただ、恐ろしいことに尊称の「様」はつきにくくても蔑称?の「ども」をつけて「男ども」ならアリ。まあ、「女ども」もアリだけど。
そういう場合の代用表現が「男性の○○」。「男性のお客様」が当てはまらないなら「男性の方(かた)」でもいいだろう。
気持ちの悪い例では「男性の患者様」なんてのもある。
307)【「患者様」考】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1591634932&owner_id=5019671
「お客様」は許容範囲だけど、「患者様」や「学生様」は相当イヤ。とくに「学生様」になると揶揄にしか思えない。理由は不明。
【追記】
お(ご)だけでも 様だけでも 両方ついても
OK OK OK
●人を表す語
老公 ○ ― ○
大尽 ○ ― ○
金持ち ○ ― ―
上(うえ) ― ○ ―
上(かみ) ○ ? △
月 △ △ ○
天道 △ △ ○
非常にくだらない例がいろいろ浮かぶ。
「老公」。「ご老公」「ご老公様」はどちらも『水戸黄門』のドラマの中で耳にした気がするが、これって重言じゃないか?
「大尽」にも似たイメージがある。ただ、「大尽」は主として褒め言葉ではあるが、尊称の意味合いはないので重言ではなさそう。これが「金持ち」になるとさらに訳がわからない。
「上」は読み方によって意味がかわる。「上(かみ)」と呼ぶと主として2種類かな。
1)政府・官庁など
この場合は「お上」としか言わないような。
2)他人の妻や料理屋などの女主人
これを「お上」(女主人の場合は「女将」がフツーだろう)とすると、相当古くさい。「お上さん」は言うけど、「お上様」はないだろうな。
「月」はmoonの場合は「お月様」「お月さん」だろう。
例外は、「月様、雨が……」の場合。これは言わずと知れた月形半平太を表わすほぼ固有名詞。
杉良太郎を「杉様」と呼ぶのは、「月様」がファンのDNAに擦り込まれているのだろうか。
……なんの話をしておる。
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910
2010年10月23日 06:50
質問です。
<男性・女性>に様を付けるのは日本語として正しいのでしょうか?アルバイト先での接客用語で学生さんたちが「男性様はー」と言っているのを聞いて違和感を感じました。なので私は「男性のお客様」と言い換えてます^^;
どなたかご存知の方教えて下さい。
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ちなみに、「違和感を感じました」は重言だろう。
162【重言の話5──「まず第1に」「違和感を感じる」】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1454999593&owner_id=5019671
さらにちなみに、「ご存知の方」は誤用だろう。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1360790437&owner_id=5019671
なんという微妙なことを(笑)。
まずムダと思いつつ辞書をひく。
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さま【様/▽方】
【2】[接尾]
1 人を表す語(名詞・代名詞)または人名・役職名・団体名などに付いて、尊敬の意を表す。「お嬢―」「お殿―」「あなた―」「田中―」「社長―」「商店会御一行―」
2 名詞や形容動詞の語幹に「お」「ご(御)」を冠したものに付いて、「…なこと」の意を丁寧に言い表す。ときに「お」「ご」を冠しないこともある。「お疲れ―」「お世話―」「お気の毒―」「ご苦労―」「はばかり―」
================================
■Web辞書(『大辞林』から)
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3 (接尾)
〔1〕[1]
(ア)人を表す名詞または身分・居所などに付いて、尊敬の意を表す。
中村―
お母―
殿―
仏―
公方(くぼう)―
(イ)接頭語「お」「ご(御)」を冠した名詞または形容動詞に付いて、丁寧にいう場合に用いる。
御馳走(ごちそう)―
お粗末―
御苦労(ごくろう)―
================================
『大辞泉』と『大辞林』の記述はほぼ同じだが、違う点もある。
2つ目の意味で『大辞泉』にだけ〈ときに「お」「ご」を冠しないこともある〉とある。これは用例にある「はばかり―」のことなんだろう。よくこんな珍例を(笑)。
ほかにもあるかもしれない。課題にしたい。本題には関係ないし。(←オイ!)
両方に「名詞または形容動詞(の語幹)」につくとあるが、「形容動詞」ってどういう例? 「名詞」だけのような気が……。課題にしたい。本題には関係ないし。(←オイ!)
どっちにも出てないけど、真っ先にあげるべきは「お客様」じゃないかね。
2つ目の意味で〈「お」「ご」を冠しないこともある〉は「はばかり―」以外思いつかない。両方の意味で区別しないで考えると事情がかわってくる。
「お(ご)だけでもOK」「様だけでもOK」「両方ついてもOK」にわけると何かわかるかも(当然のことながら、両方ナシでも言葉としては成立する)。
辞書に出ている用例で考えてみよう。
お(ご)だけでも 様だけでも 両方ついても
OK OK OK
●人を表す語
嬢 △ ― ○
殿 ― ○ ○
あなた ― ○ ―
田中 ― ○ ―
社長 ― ○ ―
一行 ○ △ ○
母 △ ○ ○
仏 ― ○ ―
※「御仏(みほとけ)」「御仏様」ならアリ
公方(くぼう)― ○ ○
●名詞や形容動詞
疲れ ○ ― ○
世話 ○ ― ○
気の毒 ○ ― ○
苦労 ○ ― ○
はばかり ― ○ ―
馳走 ○ ― ○
粗末 ○ ― ○
o( ̄ー ̄;)ゞううむ
並べてみても何もわからない。よーく考えれば何かわかるかもしれないけど。とりあえず、「はばかり」が例外っぽいことはわかる。
ちょっと意地悪を書くと、本来は、このあたりまでは質問者がホニャラララ。
ちなみに「客」は「人を表す語」なのに「お客」と「お客様」がOK。これは珍しいのかも。一覧を見ると、しいて言えば「嬢」に近い?
さて、何もわからないので本題に移ろう(笑)。
「男性」には「お(ご)」も「様」もつきにくい。
ただ、恐ろしいことに尊称の「様」はつきにくくても蔑称?の「ども」をつけて「男ども」ならアリ。まあ、「女ども」もアリだけど。
そういう場合の代用表現が「男性の○○」。「男性のお客様」が当てはまらないなら「男性の方(かた)」でもいいだろう。
気持ちの悪い例では「男性の患者様」なんてのもある。
307)【「患者様」考】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1591634932&owner_id=5019671
「お客様」は許容範囲だけど、「患者様」や「学生様」は相当イヤ。とくに「学生様」になると揶揄にしか思えない。理由は不明。
【追記】
お(ご)だけでも 様だけでも 両方ついても
OK OK OK
●人を表す語
老公 ○ ― ○
大尽 ○ ― ○
金持ち ○ ― ―
上(うえ) ― ○ ―
上(かみ) ○ ? △
月 △ △ ○
天道 △ △ ○
非常にくだらない例がいろいろ浮かぶ。
「老公」。「ご老公」「ご老公様」はどちらも『水戸黄門』のドラマの中で耳にした気がするが、これって重言じゃないか?
「大尽」にも似たイメージがある。ただ、「大尽」は主として褒め言葉ではあるが、尊称の意味合いはないので重言ではなさそう。これが「金持ち」になるとさらに訳がわからない。
「上」は読み方によって意味がかわる。「上(かみ)」と呼ぶと主として2種類かな。
1)政府・官庁など
この場合は「お上」としか言わないような。
2)他人の妻や料理屋などの女主人
これを「お上」(女主人の場合は「女将」がフツーだろう)とすると、相当古くさい。「お上さん」は言うけど、「お上様」はないだろうな。
「月」はmoonの場合は「お月様」「お月さん」だろう。
例外は、「月様、雨が……」の場合。これは言わずと知れた月形半平太を表わすほぼ固有名詞。
杉良太郎を「杉様」と呼ぶのは、「月様」がファンのDNAに擦り込まれているのだろうか。
……なんの話をしておる。
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