「頑張れ」「がんばれ」
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671
mixi日記2010年12月20日から
テーマサイトは下記
【昔は「がんばれ」を「しっかり」と言った(か)】
http://yeemar.seesaa.net/archives/201008-1.html
これもどこかに書いたと思ったが見つからない。記憶障害の後遺症だろうか。
あえて言えば下記だろうか。こんなに古いことをよく覚えていたもんだ。
【2010年11月の朝日新聞から】(10-11-5)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1631167853&owner_id=5019671
================================
ちなみに、新聞には関係ないが、優勝が決まったあとのテレビインタビューで、白鵬は「豊ノ島関が頑張っていたから……」とか言っていた。そりゃ横綱は偉いけど、「頑張っていた」はどんなもんだろ。
================================
この「頑張れ」の評判が急落しているような気がする。
●余計なお世話
よく見聞するのは「がんばっている人に言ってはいけない」という意見。
当方がこのテの話を初めて聞いたのはテレビドラマ(それ以前は覚えていないだけだろうな)。
中居正広版の『白い影』で、末期ガンのいかりや長介が言っていた。
「いまでも精一杯頑張ってんだから、そういう患者に頑張ってなんて言っちゃいけねえよ」みたいなことを言っていた。たぶん原作にあるんだろう。原作『無影灯』の刊行は1972年だから、少なくともここまでは遡ることができる。
●応援の言葉としてはポピュラー
有名なのは1932年(昭和7年)のロサンゼルスオリンピックの「前畑頑張れ」だろうな。遡りすぎ?
現代だと、マラソン選手を応援する街頭の人が言ってそう。
あとは選挙の立候補者に対する「頑張ってください」。
●「頑張った」は上から目線?
印象に残るのは小泉首相が貴乃花にかけた言葉。
「痛みに耐えてよく頑張った! 感動した! おめでとう!」
これもかなり有名で、Wikipediaにも出てるほど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%B4%E4%B9%83%E8%8A%B1%E5%85%89%E5%8F%B8
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そして2001年(平成13年)5月場所は初日から13連勝して完全無敵の強さだった。しかし14日目の武双山戦で、土俵際で巻き落としを喰らって右膝半月板を損傷する大けがを負った。もはや立つことも困難なほどの重傷であり、本来休場するべきところであった。二子山親方ら関係者も休場するよう貴乃花に勧めたが、幕内優勝が掛かっていたため、周囲の休場勧告を振り切り、翌日の千秋楽は無理矢理強行出場した。しかし本割りの仕切り最中にすら右膝を引き摺るような仕草があり、勝負にならないことは明らかであった。予想通り千秋楽結びの一番の武蔵丸戦では、自ら負けるような内容で全く相撲にならず、武蔵丸と相星となった。
続く優勝決定戦は誰もが武蔵丸の勝利を確信せざるを得なかったが、大方の予想を覆し、武蔵丸を豪快な上手投げで破った。勝利を決めた直後の鬼の形相と奇跡的な優勝に、当時の首相であった小泉純一郎は表彰式で「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!」と貴乃花を賞賛した。後世相撲史に語り継がれる大一番となった。
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このシーンは中継をリアルタイムで見ていて、相当ムカツいた。
少し話は遡る。そもそもこの2001年(平成13年)5月場所の貴乃花はものすごく強かった。盤石の13連勝で迎えた14日目に武双山と対戦し、ユルフンに破れた。このときの武双山は、最初からまわしがゆるんでいるように見えた。おそらく同部屋の横綱・武蔵丸を援護するつもりだったのだろう。まわしを取られないようにかたく締めるという話は聞いたことがあるが、まわしを取られてもいいようにゆるめておくのは非常に危険な行為で反則だろう。案の定貴乃花はすっぽ抜けるような感じで転がされ、膝に大けがを負う。この段階で休場すればよかったに、責任感の塊だった貴乃花は強行出場する。
気の毒なのは人のよさで知られる対戦相手の武蔵丸。本割では貴乃花が自分から崩れるように倒れたため、優勝決定戦に。もはや相撲ではない。鬼の形相の貴乃花に気後れして(「遠慮」かな)、武蔵丸は半泣きの表情で勝ちを譲る。あれはなぜ「八百長」と言われないんだろう。
奇跡の優勝を遂げた貴乃花をたたえたのが、先述の小泉総理に言葉。
あのさ。総理大臣と横綱のどちらが偉いのかは知らない。しかし、少なくとも土俵の上では素人より横綱のほうが偉いに決まっている。それを「痛みに耐えてよく頑張った」だと。ふざけんな。それは子供に向かって言う「痛いのによく頑張ったね」とどう違うんだ。
スポーツ選手や立候補者を応援するのに「頑張って(ください)」「頑張れ」はアリだと思う。
しかし、「よく頑張った」なんて言えるのは、よほど格下の人間に対してだけだろう。
貴乃花の力士生命は、事実上あの千秋楽で終わったようなものだ。なぜ休場させなかったのか、いまでも惜しまれる。もちろんそれ以前に責められるべきはユルフン武双山だが、休場させなかった周囲も罪が重い。
何を書いているかわからなくなったが、とにもかくにも、このところ「頑張れ」って言葉の印象は悪くなる一方の気がする。
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mixi日記2010年12月20日から
テーマサイトは下記
【昔は「がんばれ」を「しっかり」と言った(か)】
http://yeemar.seesaa.net/archives/201008-1.html
これもどこかに書いたと思ったが見つからない。記憶障害の後遺症だろうか。
あえて言えば下記だろうか。こんなに古いことをよく覚えていたもんだ。
【2010年11月の朝日新聞から】(10-11-5)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1631167853&owner_id=5019671
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ちなみに、新聞には関係ないが、優勝が決まったあとのテレビインタビューで、白鵬は「豊ノ島関が頑張っていたから……」とか言っていた。そりゃ横綱は偉いけど、「頑張っていた」はどんなもんだろ。
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この「頑張れ」の評判が急落しているような気がする。
●余計なお世話
よく見聞するのは「がんばっている人に言ってはいけない」という意見。
当方がこのテの話を初めて聞いたのはテレビドラマ(それ以前は覚えていないだけだろうな)。
中居正広版の『白い影』で、末期ガンのいかりや長介が言っていた。
「いまでも精一杯頑張ってんだから、そういう患者に頑張ってなんて言っちゃいけねえよ」みたいなことを言っていた。たぶん原作にあるんだろう。原作『無影灯』の刊行は1972年だから、少なくともここまでは遡ることができる。
●応援の言葉としてはポピュラー
有名なのは1932年(昭和7年)のロサンゼルスオリンピックの「前畑頑張れ」だろうな。遡りすぎ?
現代だと、マラソン選手を応援する街頭の人が言ってそう。
あとは選挙の立候補者に対する「頑張ってください」。
●「頑張った」は上から目線?
印象に残るのは小泉首相が貴乃花にかけた言葉。
「痛みに耐えてよく頑張った! 感動した! おめでとう!」
これもかなり有名で、Wikipediaにも出てるほど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%B4%E4%B9%83%E8%8A%B1%E5%85%89%E5%8F%B8
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そして2001年(平成13年)5月場所は初日から13連勝して完全無敵の強さだった。しかし14日目の武双山戦で、土俵際で巻き落としを喰らって右膝半月板を損傷する大けがを負った。もはや立つことも困難なほどの重傷であり、本来休場するべきところであった。二子山親方ら関係者も休場するよう貴乃花に勧めたが、幕内優勝が掛かっていたため、周囲の休場勧告を振り切り、翌日の千秋楽は無理矢理強行出場した。しかし本割りの仕切り最中にすら右膝を引き摺るような仕草があり、勝負にならないことは明らかであった。予想通り千秋楽結びの一番の武蔵丸戦では、自ら負けるような内容で全く相撲にならず、武蔵丸と相星となった。
続く優勝決定戦は誰もが武蔵丸の勝利を確信せざるを得なかったが、大方の予想を覆し、武蔵丸を豪快な上手投げで破った。勝利を決めた直後の鬼の形相と奇跡的な優勝に、当時の首相であった小泉純一郎は表彰式で「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!」と貴乃花を賞賛した。後世相撲史に語り継がれる大一番となった。
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このシーンは中継をリアルタイムで見ていて、相当ムカツいた。
少し話は遡る。そもそもこの2001年(平成13年)5月場所の貴乃花はものすごく強かった。盤石の13連勝で迎えた14日目に武双山と対戦し、ユルフンに破れた。このときの武双山は、最初からまわしがゆるんでいるように見えた。おそらく同部屋の横綱・武蔵丸を援護するつもりだったのだろう。まわしを取られないようにかたく締めるという話は聞いたことがあるが、まわしを取られてもいいようにゆるめておくのは非常に危険な行為で反則だろう。案の定貴乃花はすっぽ抜けるような感じで転がされ、膝に大けがを負う。この段階で休場すればよかったに、責任感の塊だった貴乃花は強行出場する。
気の毒なのは人のよさで知られる対戦相手の武蔵丸。本割では貴乃花が自分から崩れるように倒れたため、優勝決定戦に。もはや相撲ではない。鬼の形相の貴乃花に気後れして(「遠慮」かな)、武蔵丸は半泣きの表情で勝ちを譲る。あれはなぜ「八百長」と言われないんだろう。
奇跡の優勝を遂げた貴乃花をたたえたのが、先述の小泉総理に言葉。
あのさ。総理大臣と横綱のどちらが偉いのかは知らない。しかし、少なくとも土俵の上では素人より横綱のほうが偉いに決まっている。それを「痛みに耐えてよく頑張った」だと。ふざけんな。それは子供に向かって言う「痛いのによく頑張ったね」とどう違うんだ。
スポーツ選手や立候補者を応援するのに「頑張って(ください)」「頑張れ」はアリだと思う。
しかし、「よく頑張った」なんて言えるのは、よほど格下の人間に対してだけだろう。
貴乃花の力士生命は、事実上あの千秋楽で終わったようなものだ。なぜ休場させなかったのか、いまでも惜しまれる。もちろんそれ以前に責められるべきはユルフン武双山だが、休場させなかった周囲も罪が重い。
何を書いているかわからなくなったが、とにもかくにも、このところ「頑張れ」って言葉の印象は悪くなる一方の気がする。
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