読書感想文/『続弾! 問題な日本語』(北原保雄編/大修館書店/2005年11月3日初版第1刷発行)【1】~【3】

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671


【1】
mixi日記2010年12月26日から

 下記の続き。
読書感想文/『問題な日本語』(北原保雄編/大修館書店/2004年12月10日初版第1刷発行)その1
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1574723654&owner_id=5019671

 20日にネット書店に注文し、昨日コンビニに到着していたのを今日(25日)ピックアップした。
 関連サイトは下記あたりか?
http://plaza.taishukan.co.jp/shop/Product/Detail/30512
http://www.taishukan.co.jp/item/zokudan_mon_nichi/koe.html
 とりあえず、目次と関連日記……etc.をあげておこう。

 [今どきの気になる日本語31]
10 千円からお預かりします
349)【バイト敬語の話──「~から」「~からお預かりします」考】1&2
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1570.html

18 ご負担いただくようなかたちになっております
24 コーヒーの味にこだわる
28 コーヒーで大丈夫ですか
294)【「大丈夫ですか」考 日本語】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1553.html

34 ご利用いただけます 
39 違和感を感じる
162【重言の話5──「まず第1に」「違和感を感じる」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1176.html

45 お申し出ください
213)「申し込み」「申し出」は謙譲語?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1213.html

49 ありえない
56 微妙
59 普通においしい
63 歌わさせていただきます
221)突然ですが問題です【日本語編10】──「~させていただく」【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1286.html

67 おタバコはご遠慮させていただきます
74 役立たせていただきます
80 三タテ
84 ご住所書いてもらっていいですか
90 汚名挽回
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=53633761&comm_id=398881

96 やばいよ、この味
100 ご挨拶
104 ふたたび、よろしかったでしょうか
351)【バイト敬語の話──「よろしかったでしょうか?」考 】【1】&【2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1572.html

110 間違ってるっぽい
116 すいません/すみません
120 見れる/見られる
24)【「ラ抜き言葉」を防ぐ方法】(2008年12月23日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-96.html
135【「ラ抜き言葉」に関するメモ】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1094.html

127 立ちあげる
【関連トピ紹介】4──立ち上げる(「自動詞」と「他動詞」を組み合わせた「複合動詞」)は不自然なのか?
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41778919

132 まじ
136 故障中
18)【「故障中」は誤用なのだろうか】(2008年11月10日)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-44.html

143 ありえる/ありうる
147 会議が煮詰まる
※いろいろあって……。

152 問題な日本語
160 お疲れ様・御苦労様
※いろいろあって……。

163 わけわかんないし。
170 足元がおぼつきません

[使うのはどっち?] 
1 したづつみ vs. したつづみ
2 いくvs. ゆく
3 いさぎよい vs. いさぎいい
4 ほほ vs. ほお
5 こまぬく vs. こまねく
※いろいろあって……。

6 ばわい・ばやい・ばあい
7 幕間(まくあい vs. まくま)
8 幕開け vs. 幕開き
9 万事窮す vs. 万事休す
10 短刀直入 vs. 単刀直入
11 腑に落ちない vs. 腑に落ちる
※いろいろあって……。

12 三日に上げず・三日をあけず
13 軌を一にする vs. 機を一にする
14 以心伝心 vs. 意心伝心
15 御頭つき vs. 尾頭つき
16 采配を振るう vs. 采配を振る
17 振りの客 vs. フリーの客
18 苦渋を嘗める vs. 苦汁を嘗める
169 突然ですが問題です【日本語編4】──「汁」の話 解答編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1180.html

19 負けず嫌い vs. 負け嫌い
※いろいろあって……。

20 親不孝 vs. 親不幸
21 おもねて vs. おもねって
22 雨が降らない前に帰ろう?
23 時をえて vs. 時をへて
24 留守を預かる vs. 留守を守る
25 金(かね vs. きん)の草鞋
26 大きいお世話 vs. 大きなお世話
153【つまらんダジャレは嫌いだぁ!61──「大きな」と「大きい」の違い】2010年01月21日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1149.html

27 いちじるしい vs. いちぢるしい
28 こぢんまり vs. こじんまり
29 チジミ vs. チヂミ
30 おうい・おおい・おーい・オーイ
31 ち、ち、ちょっと vs. ちょ、ちょ、ちょっと
32 むずかしい・むつかしい・むづかしい
33 てなずける vs. てなづける
34 痛みをこらえる vs. 痛さをこらえる
35 厚みがある vs. 厚さがある
36 重いカバン vs. 重たいカバン
37 いず vs. いづ
38 執着(しゅうじゃく vs. しゅうぢゃく)
39 沈丁花(じんちょうげ vs. ぢんちょうげ)
40 地震(じしん vs. ぢしん)
41 どう?・どお?・どうお?
42 ぽっと・ぽうっと・ぽおっと
43 海藻サラダ vs. 海草サラダ
44 丼 vs. 丼ぶり
45 リンクを貼る vs. リンクを張る
46 早い vs. 速い
47 醤油 vs. 正油
48 仕合わせ vs. 幸せ
49 ご存知 vs. ご存じ
105)【ネットが広めた誤用……etc.2──「ご存じのとおり」か「ご存知のとおり」か】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-904.html

50 来たる五日 vs. 来る五日
51 四季折々 vs. 四季折り折り
52 並製品 vs. 並み製品、例年並 vs. 例年並み
53 女の子とばかり vs. 女の子ばかりと
54 自動車にばかり vs. 自動車ばかりに
55 体をさわる vs. 体にさわる
56 神社に参拝する vs. 神社を参拝する
57 取るに足らない vs. 取るに足りない
58 間違い vs. 間違え、間違う vs. 間違える
270)突然ですが問題です【日本語編16】──間違い/間違え 寝違い/根違え【解答編】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1437.html

59 事件が起きる vs. 事件が起こる
60 冷えづらい vs. 冷えにくい
61 完成させよ?
62 複雑極まる vs. 複雑極まりない
63 複雑極まりない vs. 複雑極まらない
64 ベートーベン・ヴェートーベン・ベートーヴェン
65 セルバンテス vs. セルヴァンテス
66 薬缶 vs. 薬罐
67 藝術 vs. 芸術
68 坐禅 vs. 座禅
69 濫獲 vs. 乱獲
70 欲望 vs. 慾望
71 唇 vs. 脣
72 銓衡 vs. 選考
73 雇用 vs. 雇傭
74 いい人そう vs. 人がよさそう
75 生蕎麦(なまそば vs. きそば)
76 大地震(だいじしん vs. おおじしん)
77 葦(あし vs. よし)
78 思惑(しわく vs. おもわく)
79 願わくば vs. 願わくは
80 七人(しちにん vs. ななにん)
81 茶葉(ちゃば vs. ちゃよう)
82 他人事(たにんごと vs. ひとごと)
83 「ひとごと」はどう書く?
84 輿論(よろん) vs. 世論(せろん・よろん・せいろん)
85 消耗(しょうもう vs. しょうこう)
86 情緒(じょうちょ vs. じょうしょ)
87 十階(じゅっかい vs. じっかい)
88 口腔(こうくう vs. こうこう)
89 施行(しこう vs. せこう)
90 掉尾(ちょうび vs. とうび)


【2】
『問題な日本語』を読んだときは、自らの不明を恥じる気持ちになった。このテの本は、読むとガッカリすることが多い。売れ行きがいい本ほど、その傾向が強い。そういう気持ちを味わいたくないから、避けていた。しかし、読んでみると、この数年話題になっているヘンな日本語に関する興味深い記述が多数あることがわかった。
 時間ができたらぜひ続編を読んでみたいと思った。やっと手にとって、読んでみた……思いっきり期待はずれ。
 文章が気になるところがアチコチにある。内容が「それはさすがにおかしいだろ」と思うところが何か所もある。
 とくに目についたところをあげておこう。

 とりあえず、読書メモから。

 p.22のコラム「9 万事窮す vs. 万事休す」。
 この説明はGJ。(←何様!)

 p.25のコラム「11 腑に落ちない vs. 腑に落ちる」。
 これはいずれ改めて。

 p.26のコラム「11 12 三日に上げず・三日をあけず」。
 何がなんだが。要は「三日に上げず」が正解らしい。こんな言葉は使わないほうが無難。

【引用部】
「大丈夫」は、語の形は自体は肯定ですが、「問題ない」「危なげない」などの表現と同様に否定の意味を含んでいます。この種の表現は、「うまいよ」「いいね」などと素直に肯定すればよいところを、少し斜に構えてひねった言い方をしているわけです。(p.31)
 文章がわかりにくいのは放置する。問題は「斜に構える」の使い方。「ひねった」を伴っているあたりは、「誤用」と考えるべきだろう。
97)「斜に構える」をめぐって【1】2009年12月02日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1353273124&owner_id=5019671

 p.34のコラム「16 采配を振るう vs. 采配を振る」。
 この説明はGJ。(←何様!)

 p.49のコラム「26 大きいお世話 vs. 大きなお世話」。
「大きな部屋」のように体言を修飾するときは「大きな」が使われる傾向があるそうな。そいでもって「体の大きい人」のように主語う伴う場合は「大きい」が使われるそうな。単に語感の問題じゃないかな。「窓の大き○部屋」なら、どっち?
 
p.60のコラム「31 ち、ち、ちょっと vs. ちょ、ちょ、ちょっと 」。
「ちょ、ちょ、ちょっと」と「一音節(一拍)を単位として」書くのが「正当な表記法」だとか。根拠は知らない。

 p.70のコラム「37 いず vs. いづ」。
 何が書いてあるかわかんなーい。

【引用部】
これなら誰にでも素直に受け止めてもらえる言い方だろうと思います。(p.89)
 ほとんどインネン。「だろうと思います」って言い回しは相当イヤ。

 p.96のコラム「50 来たる五日 vs. 来る五日」。
【引用部】
常用漢字表では、「来」の音訓の欄に「きたる」、その例の欄に「来る◯日」掲げているので、「来る」と送るのが正解。常用漢字表は、「首相、きたる」などの動詞の用法に言及しないが、これは漢字表が文語を対象とはしないからだ。(p.96)
 いろいろツッコミを入れたくなるけど、すんごいたいへんなことになる予感が。とりあえずスルーしておく。

【引用部】
こうした二段活用の動詞などでは、終止形と連体形とは明確に語形が区別されていましたが、平安時代の終わりごろから、連体形終止法と呼ばれる現象が一般化し、次第に連体形が終止形に取って代わって使われるようになりました。(「ありえる/ありうる」p.144)
 書き手は小林賢次。内容は間違っていない。ただ、一読では理解できなかった。当方がバカだから……じゃないと思う。まず、一文が長すぎる。こういうむずかしい事柄に関する記述ほど、平易な文章で書いてくれないと。単純に「いましたが、」を「いました。しかし、」にするだけでもマシになる。
 もっと引っかかったのは「取って代わって使われるようになりました」の部分。結果的に「使われる」ようになったのは連体形なんだけど、一瞬逆に見えた。理由は簡単。「取って代わ」と来たら、フツーは「取って代わられる」と予想する。それだと「使われる」のは「終止形」になる。原文のようなことを言いたいなら、「取って」は不要だろう。さらに言うなら「終止形の代わりに連体形が使われるようになりました」のほうがスッキリする。

 ここらあたりまでは、インネンをつけてもたいしたことではない。ここからが本題。問題を感じた項目をジックリ見ていく。

「違和感を感じる」(p.39~)
【関連日記】http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1176.html

 書き手は北原保雄。こんな大御所にインネンをつけていいのだろうか。
【引用部】
 確かに、「~感を感じる」は重複表現です。「感じを感じる」というのでは、表現に工夫がありませんし、新しい内容(情報)が何も加わっていません。しかし、「違和感を感じる」となりますと、「“違和の”感じを感じる」ということで、「違和の」という新しい情報が追加されます。(p.40~41)
※【修正】(p.40~41)ではなく(p.39~40)でした。
 ずいぶんクドい書き方だけど、説得力あるのかな。
 このあと、「新しい情報」が加われば「かなり自然」になる例として下記をあげる。
  1)昔の武士の“強い”侍
  2)“暴れる”馬から落馬した
  3)桜の花が開花する
  4)ノーベル賞を受賞する
  5)高額の金を借金する
 これって自然なの? 4)は言いかえがむずかしいからしかたがなく使うかもしれないが、ほかの4つはビキビキの重言だよ。簡単に避けられるんだから使う理由はない。
 1)は単なるギャグ。あえて直すなら「昔の強い侍」。2)は「暴れる馬から落ちた」でいいだろう。3)は「桜が開花した」か「桜の花が咲いた」。5)「高額の借金をする」か「高額の金を借りる」。
【引用部】
 以上のような論理を理解して、もう一度「違和感を感じる」について考えてみますと、単なる「感」を「感じる」というのであれば、全く意味のない、不自然な表現ですが、「“違和”感」を「感じる」というのですから、あまり不自然ではない言い方であるということになるでしょう。(p.41)
 なるかな? ならないと思う。「あるということになるでしょう」ってあたりに自信のなさが感じられる。
 このあと、さらにいろいろなこじつけをしている。
1)「ふと感じた違和感」のような連体用法になると自然度が増す
「自然度は増す」かもしれないが、重言であることにかわりはない。
2)「違和感を覚える」にいい換えたところで意味的には「感じる」と同じだからあまり違いはない
 考え方が逆。当方は、「違和感を感じる」は重言で、意味的には同じ「違和感を覚える」も重言風だから極力使いたくないと考えている。意味は同じでも「覚える」のほうが重言感が薄れるからずっとマシ。だったら使うとしたら迷わず「覚える」だろう。
3)「不安」や「不快」はそれ自体が「感じ」。「違和」や「一体」や「劣等」などはそれ自体は「感じ」ではないので、「違和を感じる」にはできない。
 意味不明。現実に「違和を感じる」とは言えるだろう。「一体を感じる」「劣等を感じる」はちょっとヘン。つまり、「違和」はどっちかと言うと「不安」や「不快」の仲間だろう。
 結局、なんだかんだ強引に理由をつけて「違和感を感じる」を正当化しようとしているとしか思えない。
 もっと簡単に考えればいいだろう。重言を許容できるか否かは、言いかえができるか否かで判断するのがわかりやすい。「違和感を感じる」は「違和感を覚える」にできるのだから許容する理由はない。
 なにより違和感があるのは、前弾の『問題な日本語』ではあれほど「違和感を感じる」を使っていたhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1574723654&owner_id=5019671のに、今回は1回も使っていないこと。当方が見た限りでは、「違和感を覚える」さえp.27で1回使っているだけ。ほかは「違和感を持っている」(p.105)、「違和感の生じる理由」(p.108)などを使っている。
 こういうのを見ると、なんか都合の悪いことでもあったのかな、と勘ぐってしまう。
 正当化しようと試みながら自分たちでは使わないという態度は矛盾している(そもそも使う機会がない語彙なら、話は別だけど)。
 こういう態度はどこかで見た(笑)。『日本語練習帳』って本は、「形容詞+です」を認めながら自分では使ってなかった。あとね。文章読本の文体って、自分で掲げた禁止事項を守っていることなんてめったにない。

【20120227追記】
 半ば予想どおりだが、『明鏡国語辞典 第二版』は「違和感を感じる」を例文にしているらしい。
 なんでわざわざそんなことするんだろ。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1381901983
================================引用開始
いわ‐かん【違和感】ヰワ━
〘名〙周りのものと調和がとれていないという感じ。しっくりしない感じ。ちぐはぐな感じ。
「━を覚える[抱く・持つ・感じる]」
[表記]「異和感」とは書かない。
[表現]「違和感を感じる」は、重言じゅうげんだが慣用で広く使う。→「重言」のコラム(コラム)

[気になることば]
違和感いわかん
「違和感を感じる」──慣用で用いる重言じゅうげん
→違和感[表現]

明鏡国語辞典 第二版 (C) Taishukan, 2011
================================引用終了


「ふたたび よろしかったでしょうか」(p.104~)
【関連日記】http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1572.html
 書き手は北原保雄。
 この問題は前弾でも扱っている。そのときの結論は下記。
================================
し終わった注文について「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」と言うのは、〈過去のことについての現在における評価〉を表す表現と理解できます。
================================

 この問題に対する意見はいろいろあるが、この説はけっこう珍しい。再度質問が来たのはこの説明では納得できない人が多かったからでは。
 今度の結論は下記。
================================
一連の流れの中で行われている事柄について「~た」と過去形を使うのは間違いではありませんが、「よろしかったでしょうか」の場合は、そもそも「よろしかった」があまり使われない表現であるため、不自然に感じられるのでしょう。
================================
 そうなのだろうか。文中の説明では、「昨日の料理はよかった」とは言えても「昨日の料理はよろしかった」はヘンだと言っている。
 ということは、「注文は以上でよかったでしょうか」ならおかしくないことになる。違うんじゃないかな。
「よかった」に比べると「よろしかった」のほうが丁寧で上品なイメージがある(説明は省略)。だから接客業では現在形なら「よろしいでしょうか」、過去形なら「よろしかったでしょうか」を使うほうが多い。これを「よかったでしょうか」ならOKなんてムチャだよ。
 これはやはり、過去形だろうが現在形だろうが、聞いた直後に確認するから押しつけがましいと考えるべきでは。


「足元がおぼつきません」(p.170~)
【引用部】
 では、「足元がおぼつかない」を丁寧に言いたいときは、どう言ったらよいでしょうか。これは、形容詞を丁寧表現にする言い方という一般的な問題になりますが、「おぼつかないです」のように「です」を直接付けるのは、特に文章語としては避けたいところです。「です」は「だ」の丁寧語ですが、形容詞に「だ」を付けて「大きいだ」などとは言わないところから、それを丁寧語にした「大きいです」もやや不自然な感を与えるからです。ただ、口頭語では「形容詞+です」は以前から使われてきましたし、国語審議会の「これからの敬語」(昭和二七年発表)でも、「大きいです」「小さいです」などは、平明・簡素な言い方として認めてよい、としています。ですから、一概に「形容詞+です」が不適切というわけではありませんが、「かたじけないです」「つつがないです」など、やや古風な、文章語的な形容詞に「です」を付けると違和感があるように、「おぼつかない」の場合も、「おぼつかないです」は避けたほうがよいと言えるでしょう。(p.172~173)
 書き手は小林賢次。つい長い引用になってしまった。最大の問題は、最後の一文が長すぎる。もう少しなんとかしてもらえませんか。それはそれとして、疑問点を列挙しようか。

1)「形容詞+です」を認めるか否か
 もし「大きいです」「小さいです」を認めるなら、「足元がおぼつかないです」も認めるしかないだろう。「古風な」とか「文章語的」とか言われても、そんなものはイメージでしかない。何を基準にして判断するの?

2)「形容詞+です」がダメな理由
「大きいだ」はダメだから「大きいです」もダメ。これでも説明になってるのかな。この論理が通用しない例があったと思う。思い出せないorz。
 とりあえず本多読本方式の説明が正解だろう。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-277.html

3)語尾が「ない」の形容詞の話
 これは【問題】にしようとしてずうっと課題になっている。
 ふと思ったんだけど「おぼつかぬ」は×で「飽き足りぬ」は○なのね。「かたじけぬ」はどっち? 「満ち足りぬ」は?
 あれ? これはまた問題が増えそうだ(笑)。


【3】
「違和感を感じる」関係の過去トピを調べてみた。
 重要と思われるコメントは回収しておく。


http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58994291&comment_count=0&comm_id=1736067

 下記で「違和感を感」で検索してみました。
【関連トピ紹介】5──正しい日本語に関するさまざまな話題を含むトピ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=41829800


1)【違和感を感じる表現】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26592514
※トピ名に冠しているせいか、「違和感を感」で全文検索すると、37件もヒットします(笑)。
「99」に書いたことを転載しておきます。この頃は当方も遠慮がちだった(笑)。
================================
99
2008年08月01日 11:35

tobirisu
 少し話が停滞している気がするので、古くて新しい話題を投入します。
 このトピ内で何度か話題になっている〈「違和感を感じる」は重言〉ということは皆さん納得されていると思います。
 では、その修正案として出てくる「違和感を覚える」は重言ではないのでしょうか。長い間気になっています。
 もし「違和感を感じる」が重言なら、類語に置き換えただけの「違和感を覚える」も重言ではないか、という気がします。もちろん、重言の度合いはずっと軽くなるので、「重言風」とでも呼ぶべきでしょうが。個人的には、「違和感を感じる」は使わない表現で、「違和感を覚える」はできるだけ使いたくない表現と考えています。
 以前、こんな話もありました。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=17612312&comm_id=125916&page=all

 ほかに似たようなケースがないか考えてみました。

  重言       重言風     正用1    正用2    
  1)炎天下の下   炎天下の中   炎天下/炎天の下
  2)被害を被る   被害を受ける  害を被る   被害にあう
  3)違和感を感じる 違和感を覚える 違和を感じる 違和感がある/違和感が生じる

 このうち「炎天下の中」は単なる重言の気もします。おそらく、「正用1」の「炎天下/炎天の下」がフツーに使われているので、「炎天下の中」はナジミが薄いせいだと思います。
 いずれも、類語に置きかえただけでは「重言風」であり、「正用1」のように重複する要素を取り除くか、「正用2」のようにちょっと別の形にするべきなのかな、と考えます。
 重言は誤用とは言い切れないケースもありますし、「犯罪を犯す」「立場に立つ」のように重言の形を避けにくい言葉もありますが、やはりできるだけ避けるべきではないでしょうか。
 重言に関しては、下記も参考になるかと思います。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=886320216&owner_id=5019671
================================

2)【日頃おかしいと思う日本語の使われ方】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=697073
24件

 そのほか。
3)【違和感を感じる】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43437987

4)【「難易度」が高いって、難しいの?たやすいの?】(↑でリンクを張ったトピ)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=17612312
「9」~「13」のやり取りはけっこう重要な気がするので、抜粋しておく。

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9
2007年04月24日 14:54
tobirisu

>8
>ん、違和感を(感じる|感じない)も変なのか?
一般には重言とされるようです。
「違和を感じる」は日本語としては正しいはずですが、ほとんど使われません。
「違和感がある」ならなんの問題もありませんが、新たに生まれた場合には使えないでしょう。
しかたがないので、「違和感を覚える」で代用するしかないようです。
(これも厳密に考えれば重言でしょうが)

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10
2007年04月24日 16:48

>9: tobirisuさん
> しかたがないので、「違和感を覚える」で代用するしかないようです。
> (これも厳密に考えれば重言でしょうが)

 いえ。全く問題ないのではないでしょうか。代用というより、こちらが本来の用法と思っていました。

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11
2007年04月24日 19:14
tobirisu

>10
言葉の問題は個人の感覚にもよるので、あまり厳密に考える気はありませんが……。
何をもって「本来の用法」というかはよくわかりませんが、
「違和感を感じる」
「違和を感じる」
のどちらがもともとの正しい日本語に近いかといえば、後者のはずです。「違和感を感じる」の字面の重複を避けて「覚える」を使っても、事情は変わらないはずです。
このあたりは、「嫌悪感」にもあてはまるでしょうか。
だから「違和感を覚える」はダメ、と主張する気はありません。こういう表現は「重言風」(重言ではないけど限りなくあやしい)なので、「自分で使うのはできるだけ避けたい」と考えている程度のことです。
重言の話は微妙なレベルになってくると辞書もあまり役に立たず、考え始めるとキリがありません。
似たような例で考えると、
「被害をこうむる」は重言
「被害を受ける」は重言風
「被害に遭う」はちょっとニュアンスが違う
と考えています。

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12
2007年04月24日 22:50

ううん。ちょっと誤解があるようですね。言葉足らずでしたらすみません。

>11: tobirisuさん
>> 「違和感を感じる」
>> 「違和を感じる」
>> のどちらがもともとの正しい日本語に近いかといえば、後者のはずです。

 これは仰る通り。異論ありません。

>> 「違和感を感じる」の字面の重複を避けて「覚える」を使っても

 むしろ『違和感を覚える』(これも問題ナシ)が先にあって、その後半が『感じる』に置き換わってしまったことで重言、重畳表現になってしまったと考えています。

 もちろん、こちらもtobirisuさんの感覚に異を唱えるつもりはありません。ですが、こうした言語表現そのものが現われた経緯に関しては意見が異なるようなので、そこは念のため。

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13
2007年04月24日 23:49
tobirisu

>12
趣旨は了解しました。
当方にも誤解があったようです。申し訳ない。
言葉の歴史のような話になると、当方はま~ったく(ふざけているわけではなく、単なる強調です)わかりません。
〈「違和感を覚える」が先にあった〉という考え方には、個人的には違和感がありますが、このあたりに関しては専門的な知識のあるかたに聞かないと、水掛け論になってしまいそうです。
ほかのかたのご意見もうかがいたいところです。

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5)『続弾! 問題な日本語』
「違和感を感じる」を擁護しているようですが、趣旨がよくわかりません。
 いろいろ差し障りがありそうなので、読書感想文のリンクを張るだけにします。
【読書感想文/『続弾! 問題な日本語』2】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1647366686&owner_id=5019671
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