突然ですが問題です【日本語編28】──「から/ので」辞書へのツッコミ【解答?編】
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671
mixi日記2010年12月27日から
まず問題を再掲する。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1640878227&owner_id=5019671
次の日記を参考に、下記の辞書の記述に全力でツッコミを入れなさい。相手が泣くまで許してはいけません。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1635961440&owner_id=5019671
================================
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17210/m0u/%E3%81%AE%E3%81%A7/
から/ので
[共通する意味]
★原因・理由・根拠を表わす。
[使い方]
〔から〕▽(1)もう遅いから早く帰りなさい▽(2)家が近いから一緒に帰りましょう▽(3)明日は晴れるだろうから洗濯をした▽(4)遅刻したのは、電車が遅れたからです▽(5)子供だからといって、甘えてはいけない
〔ので〕▽(1)事故が多いので運転を休止した▽(2)下記に転居いたしましたので一度お越しください
[使い分け]
【1】接続助詞「から」と「ので」は、それぞれ「X(だ)からY(だ)」および「X(な)のでY(だ)」の文型で、後件Yの内容に対して前件Xがその原因・理由・根拠となることを表わす。
【2】「から」は、前件と後件とが主観的な立場で結びつけられるときに用いられやすい。したがって、後件が命令(例文(1))・禁止・勧誘(例文(2))などの表現のように、話し手の判断や気持ちを表わす場合には、「から」が用いられることが多い。また、前件が推量表現である場合に接続する用法(例文(3))は、「ので」にはない。「から」にはほかに、結果にあたる事柄を先に述べて原因を後で述べる用法(例文(4))や、「~からといって…(否定)」の形で、前件から帰結されるべき結論とは逆の内容を後件におく用法(例文(5))などがある。
【3】「ので」は、前件と後件との間に客観的な因果関係が認められる場合に用いられやすい(例文(1))。したがって、「ので」の後件には断定や事実の叙述などの表現がくることが多い。
【4】話し手の気持ちを表わす表現でも、「ので」の例文(2)のように、丁寧な表現や書き言葉では一般に「ので」が用いられる。これは、自分の気持ちを前面に出すのを避けるためである。このような場合に「から」を用いると、ぶっきらぼうな表現や押しつけがましい表現となりやすい。
[参照]
から⇒が/で/に/から/の・から/に・から/を・で/から・で/から/に・に/から
[対比表]
寒い…服を着た 相手は強そうだ…注意しろ 未熟者です…ご指導ください
から ○ ○ -
ので ○ - ○
================================
【解答例】
「カラ」が主観的で「ノデ」が客観的なんて言えるのだろうか、って話は【1】http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1635961440&owner_id=5019671で書いた。「対比表」が意味不明なことも【1】で書いた。
【1】にいただいたコメントから抜粋する。
================================
主観客観説は、主に、カラノデの主文の文末制約を説明するために、永野賢1952「「から」と「ので」とはどう違うのか」『国語と国文学』29-2によって提出されたものです。
しかし、多分実際は、カラは原因理由全般で使えるがノデは制限がある、という程度でしょう。
ガ・ケドとノニにも平行したことが言えると思います。
丁寧表現との絡みも永野が指摘していますが、これも、かなり修正されるべきでしょう。また、ンデになると事情も変わってきます。
================================
もっともらしい説が出てくると、何も考えずに同調する●●が出て、説だけが独り歩きを始めて曲解されて定説になる。怖い話だな。このコメントのような書き方なら、何も言う気はない。しかし、なんの根拠もなく〈「カラ」が主観的で「ノデ」が客観的〉なんて話が出てくると強い異和感がある。
【1】で紹介したYahoo!知恵袋を見ると、先行の3人が3人とも〈「カラ」が主観的で「ノデ」が客観的〉としている(書き方には多少差がある)。根拠を示したのは1人だけ。いったいどういう人たちなんだろう。
それぞれの例文を書きかえてみる。書きかえることによって客観的になったり、主観的になったりする例があるのだろうか。
〔から〕
(1)もう遅いから早く帰りなさい
→もう遅いので早く帰りなさい
(2)家が近いから一緒に帰りましょう
→家が近いので一緒に帰りましょう
(3)明日は晴れるだろうから洗濯をした
→明日は晴れそうなので洗濯をした
(4)遅刻したのは、電車が遅れたからです
→??
(5)子供だからといって、甘えてはいけない
→子供なのでといって、甘えてはいけない
〔ので〕
(1)事故が多いので運転を休止した
→事故が多いから運転を休止した
(2)下記に転居いたしましたので一度お越しください
→下記に転居いたしましたから一度お越しください
「から」を「ので」にできないのは(4)だけ。まあ、(3)と(5)がちょっと不自然とは言えそう。でもこれが×なんて言えるの?
「ので」のほうは、問題なく「から」にできる。ってことは例文の大半は何を示したいかわからない。
「から」の例文をもう少し細かく見る。
(3)の書きかえの「明日は晴れそうなので洗濯をした」を「から」に戻すと「明日は晴れそうだから洗濯をした」になる。つまり、ちょっとズルだな(笑)。「だろうから」が「ので」にしにくいってことだろう。ただそれは接続の問題で「意味の違い」ではないし、「主観」と「客観」なんて関係ない。
(5)も少し苦しいかな。少し書きかえる。
(6)バカだからわかりません
→バカなのでわかりません
(7)バカだからってのは言い訳にならない
→バカなのでってのは言い訳にならない
(6)は問題がない。(7)は(5)よりほんの少し不自然。でもこんなのイチイチ×にしていいのだろうか。
最大のナゾは(4)。この形だとたしかに「ので」は使いにくい。
これも「意味の違い」ではなく、接続の具合だろう。
たとえば(2)を書きかえると、「ので」は使えなくなる。
(8)一緒に帰ったには家が近いからだ
→??
逆に、(4)を下記の形にすれば問題はない。「意味の違い」ではないし、「主観」と「客観」なんて関係ない。
(4)電車が遅れたから遅刻した
→電車が遅れたので遅刻した
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まず問題を再掲する。
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次の日記を参考に、下記の辞書の記述に全力でツッコミを入れなさい。相手が泣くまで許してはいけません。
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http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/thsrs/17210/m0u/%E3%81%AE%E3%81%A7/
から/ので
[共通する意味]
★原因・理由・根拠を表わす。
[使い方]
〔から〕▽(1)もう遅いから早く帰りなさい▽(2)家が近いから一緒に帰りましょう▽(3)明日は晴れるだろうから洗濯をした▽(4)遅刻したのは、電車が遅れたからです▽(5)子供だからといって、甘えてはいけない
〔ので〕▽(1)事故が多いので運転を休止した▽(2)下記に転居いたしましたので一度お越しください
[使い分け]
【1】接続助詞「から」と「ので」は、それぞれ「X(だ)からY(だ)」および「X(な)のでY(だ)」の文型で、後件Yの内容に対して前件Xがその原因・理由・根拠となることを表わす。
【2】「から」は、前件と後件とが主観的な立場で結びつけられるときに用いられやすい。したがって、後件が命令(例文(1))・禁止・勧誘(例文(2))などの表現のように、話し手の判断や気持ちを表わす場合には、「から」が用いられることが多い。また、前件が推量表現である場合に接続する用法(例文(3))は、「ので」にはない。「から」にはほかに、結果にあたる事柄を先に述べて原因を後で述べる用法(例文(4))や、「~からといって…(否定)」の形で、前件から帰結されるべき結論とは逆の内容を後件におく用法(例文(5))などがある。
【3】「ので」は、前件と後件との間に客観的な因果関係が認められる場合に用いられやすい(例文(1))。したがって、「ので」の後件には断定や事実の叙述などの表現がくることが多い。
【4】話し手の気持ちを表わす表現でも、「ので」の例文(2)のように、丁寧な表現や書き言葉では一般に「ので」が用いられる。これは、自分の気持ちを前面に出すのを避けるためである。このような場合に「から」を用いると、ぶっきらぼうな表現や押しつけがましい表現となりやすい。
[参照]
から⇒が/で/に/から/の・から/に・から/を・で/から・で/から/に・に/から
[対比表]
寒い…服を着た 相手は強そうだ…注意しろ 未熟者です…ご指導ください
から ○ ○ -
ので ○ - ○
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【解答例】
「カラ」が主観的で「ノデ」が客観的なんて言えるのだろうか、って話は【1】http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1635961440&owner_id=5019671で書いた。「対比表」が意味不明なことも【1】で書いた。
【1】にいただいたコメントから抜粋する。
================================
主観客観説は、主に、カラノデの主文の文末制約を説明するために、永野賢1952「「から」と「ので」とはどう違うのか」『国語と国文学』29-2によって提出されたものです。
しかし、多分実際は、カラは原因理由全般で使えるがノデは制限がある、という程度でしょう。
ガ・ケドとノニにも平行したことが言えると思います。
丁寧表現との絡みも永野が指摘していますが、これも、かなり修正されるべきでしょう。また、ンデになると事情も変わってきます。
================================
もっともらしい説が出てくると、何も考えずに同調する●●が出て、説だけが独り歩きを始めて曲解されて定説になる。怖い話だな。このコメントのような書き方なら、何も言う気はない。しかし、なんの根拠もなく〈「カラ」が主観的で「ノデ」が客観的〉なんて話が出てくると強い異和感がある。
【1】で紹介したYahoo!知恵袋を見ると、先行の3人が3人とも〈「カラ」が主観的で「ノデ」が客観的〉としている(書き方には多少差がある)。根拠を示したのは1人だけ。いったいどういう人たちなんだろう。
それぞれの例文を書きかえてみる。書きかえることによって客観的になったり、主観的になったりする例があるのだろうか。
〔から〕
(1)もう遅いから早く帰りなさい
→もう遅いので早く帰りなさい
(2)家が近いから一緒に帰りましょう
→家が近いので一緒に帰りましょう
(3)明日は晴れるだろうから洗濯をした
→明日は晴れそうなので洗濯をした
(4)遅刻したのは、電車が遅れたからです
→??
(5)子供だからといって、甘えてはいけない
→子供なのでといって、甘えてはいけない
〔ので〕
(1)事故が多いので運転を休止した
→事故が多いから運転を休止した
(2)下記に転居いたしましたので一度お越しください
→下記に転居いたしましたから一度お越しください
「から」を「ので」にできないのは(4)だけ。まあ、(3)と(5)がちょっと不自然とは言えそう。でもこれが×なんて言えるの?
「ので」のほうは、問題なく「から」にできる。ってことは例文の大半は何を示したいかわからない。
「から」の例文をもう少し細かく見る。
(3)の書きかえの「明日は晴れそうなので洗濯をした」を「から」に戻すと「明日は晴れそうだから洗濯をした」になる。つまり、ちょっとズルだな(笑)。「だろうから」が「ので」にしにくいってことだろう。ただそれは接続の問題で「意味の違い」ではないし、「主観」と「客観」なんて関係ない。
(5)も少し苦しいかな。少し書きかえる。
(6)バカだからわかりません
→バカなのでわかりません
(7)バカだからってのは言い訳にならない
→バカなのでってのは言い訳にならない
(6)は問題がない。(7)は(5)よりほんの少し不自然。でもこんなのイチイチ×にしていいのだろうか。
最大のナゾは(4)。この形だとたしかに「ので」は使いにくい。
これも「意味の違い」ではなく、接続の具合だろう。
たとえば(2)を書きかえると、「ので」は使えなくなる。
(8)一緒に帰ったには家が近いからだ
→??
逆に、(4)を下記の形にすれば問題はない。「意味の違い」ではないし、「主観」と「客観」なんて関係ない。
(4)電車が遅れたから遅刻した
→電車が遅れたので遅刻した
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