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2011年1月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html

【2011年1月】

11-01-1
11日
 初日の把瑠都に続き、魁皇と琴欧州に土がついた。横綱と優勝を争うのが大関の存在意義なのに、勝ちっ放しは初のカド番で連勝した自分だけになった。「このまま引っ張って頑張りたいですね」と言う日馬富士も、しかし、その表情は曇りがちだ。(朝刊21面)
 永田篤史記者。初場所の2日目の記事の冒頭。この気持ちの悪さをなんと表現すればいいのだろう。昔読んだ本で見た表現を借りると「ヘタクソな文学臭」だろうな。こういう文章は気持ち悪くて嫌い……が感情的なら、こういう文体は新聞にふさわしくない、と書いておく。とくに気になったのは、「自分だけ」。誰だよ。そりゃちゃんと読めば日馬富士だってことはわかる。そんなことをする必要があるのだろうか。「日馬富士だけ」でいいじゃん。それじゃ後ろにつながらないよな。後ろの文章をフツーの文章にしようね。「横綱と優勝を争うのが大関の存在意義」って、誰が決めたんだ? 相撲憲章にでも書いてあるのかな。
 イチバンに気になったのは、「しかし、」の使い方。この「しかし、」はまったく存在意義がない。削除しても、文脈によって逆接になっている。接続詞は文頭に使うのを原則にするべき。よほどのことがない限り、文中に使うべきではない。「そのほうがカッコいい」と思う人はどうぞご自由に。この場合、文頭に使いにくい気持ちはわかる。なぜ使いにくいのかを考えるのが先だろう。


11-01-2
11日
 稽古再開は年末から。(朝刊21面)
 ↑の記事の続き。「再開+から」が何がなんでもダメと言う気はない。でもできるだけ避けようよ。「稽古を再開したのは年末」「年末に稽古を再開した」あたりでいいでしょうに。


11-01-3
11日
他の大関陣がふがいなく、横綱が過去7敗(18勝)を喫して最も苦手とする26歳も不安な状況では、場所の興味は早々の薄まってしまう。
(朝刊21面)
 ↑の記事の結び。この「26歳」も相当気持ちが悪い。それ以上にヘンなのが「薄まってしまう」。こういうのは「薄れてしまう」って言うもんだろう。理由を訊かれても説明できないけどね。


11-01-4
16日
 夕食休憩入りした指了図の局面。防戦一方の三浦の心を折るような、次の一手は?(朝刊17面)
 佐藤圭司記者。「心を折る」って、どの程度市民権を得てるのだろう。もはや「臭さ」が強いので、ギャグ的にしか使えない気がする。どうやら元々あった表現だけど、ちょっと意味が違ったらしい。現在のような意味で使われるようになったのは、やはりジャッキー佐藤戦後の神取忍のコメントの影響が大きい(下記のコメントの「3」参照)。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=20472322
 バックナンバーだと下記かな。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-209.html
08-11-2/08-11-4


11-01-5
21日
角界の格言に「遠い上手より近くの上手」とあるように、相手の肩が邪魔で力が伝わらない。(朝刊25面)
 永田篤史記者。こんな格言がホントにあるのかな。前に見たときは記者名をメモしてないが、同じ記者のような気がする。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-178.html
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08-5-5
外四つとなったが、「遠い上手より近くの上手」の格言が生きる。
 琴欧州が朝青龍を破った一番の解説。「遠い上手より近くの上手」なんて間抜けな格言があるのだろうか。まず語呂が悪い。「遠い」「近い」か、「遠くの」「近くの」の組み合わせにしないと語調が整わない。さらに、格言にするなら「遠い下手より近くの上手」とかじゃないと美しくないだろ。まあ、「遠い下手」ってのはありえないとは思うけど。
 だったら、「上手は近くとれ」くらいじゃないかな。これは格言というより、原則? 教え?
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11-01-6
22日
折れぬ日本 成長の証し
みんな心が折れそうだった。

(夕刊9面)
 潮智史編集委員。サッカーのアジアカップ。苦戦の末にカタールを下した準々決勝の記事。2つ目の引用部は長谷部選手のコメントだからおかしくない。だが、1つ目の「折れぬ日本」は、相当危うい。


11-01-7
23日
勝てば勝つほど、苦しさもひとしおだよ。(朝刊19面)
 前田大輔記者。14日目で6連覇を決めた白鵬のコメント。けっこう微妙な話だが、「ひとしお」ってこういうときに使うのかな。
■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%8A&dtype=0&dname=0ss&stype=0&index=116492200000&pagenum=1
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ひとしお[―しほ] 02 【一▽入】
〔補説〕 2 が原義
1(副)
他の場合と比べて程度がますさま。いちだん。いっそう。
寒さが―身にしみる
感慨も―である
2(名)
染め物を一度染め液に浸すこと。
―も染むべきものか紫の雲より降れるをとめなりとも〔出典: 宇津保(菊の宴)〕
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 ( ̄~ ̄;) ウーン。「寒さがひとしお」ならアリかな。肯定的な感情に使うことが圧倒的に多いような。『大辞泉』の用例だと、「苦戦の末の優勝だけに喜びもひとしおだ」「懐しさがひとしおつのる」


11-01-8
23日
 朝刊35面。記者不明。コラムタイトルは「暮らし達人 モンジロー」でいいのだろうか。かなり大きなスペースでビジネスメールの常識を説明している。小見出しの〈件名・「以上」・♪注意〉は、「べからず集」。件名を手抜きしてはいけない。文末の「以上」は失礼。ある公的機関はお堅いイメージをかえようと署名欄を「♪」で囲んでいたが、おわびのメールにも使った。●●すぎる。
 オーイ。●●生命のNカムラGM。「Re:○○」ってタイトルをずーっと使い回しちゃダメなんだってー。「拝啓」で始めて「以上」で結ぶのもダメなんだよー。勉強しようね。


11-01-9
24日
「(心が)折れてしまっては、勝てない」(朝刊19面)
 藤島真人記者。卓球の全日本選手権で5連覇を飾った水谷選手のコメント。こんな表現を流行らすなよ。


11-01-10
26日
 市橋被告が26日に幻冬舎から発売する「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」で明らかにした。(朝刊38面)
 記者不明。こういう内容の書籍の出版に関してはノーコメント。問題は「発売する」。これだと、「市橋被告が発売する」と読めないか? もうひとつの問題は「から」と「する」のチグハグ感。フツーの文に書きかえると下記くらいか。通常は、「から&される」か「が&する」だろう。この場合、「市橋被告が」があるから、「から&される」のほうがいいだろう。

26日に幻冬舎から刊行される「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」で、市橋被告が明らかにした。
市橋被告が、26日に幻冬舎から刊行される「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」で明らかにした。


11-01-11
27日
相手の丸山忠久九段も3勝しか挙げておらず、互いに「負けられない」戦いだ。(夕刊11面)
 村上耕司記者。しょうがないか。でもわざわざ「 」をつけてまで、こういう表現を使うかな。いっそ「絶対に負けられない」とか「負けたら死ぬしかない」とかにすればいいのに。
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