2008年5月の朝日新聞から
5-1
9日
日ごろは他人事節の目立つ福田首相も、ギョーザには「断じてうやむやにできない」と強い言葉を繰り返した。(朝刊1面)
天下の「天声人語」。強い口調で繰り返した割には、ほとんどうやむやになってませんか? そんな政治絡みの話にコメントする気はない。気になったのは「他人事」に「ひとごと」ってルビが打ってある点。わざわざこんなルビを打つってことは、それだけ「たにんごと」と誤読することが多いってことなんですね。あーあ。
5-2
13日
朝刊の1面・34面に常用漢字の追加素案が出ている。
いいよ、そんなことしなくて。もう心身に染み付いているから(「ある程度」ですけど)、この柔軟性を失った旧式の脳みそには、いまさら新たに220字も登録できないよ。
5-3
20日
田中律子と筧利夫をリーダーに各4人ずつの女性チームと男性チームに分かれて競う。(朝刊32面)
書き手は菅野俊秀記者。テレビ番組の紹介欄。「各~ずつ」に関しては、けっこう微妙な場合もある。そもそも重言は罪が軽いんだし、これは許容してもいいか、と思うこともある。具体例は忘れた(キッパリ)。しかし、ここまでベタだとさすがに呆れる。どっちかとれよ。
22日(朝刊20面)
朝刊20面を読んでいて、頭がクラクラしてきた。順番に見ていく。
5-4
韓国に苦杯
書き手は稲垣康介記者と思われる。卓球(女子)の試合結果の記事の見出し。文章を読むだけでは、韓国と日本のどちらが格上なのかは不明。どうも、ほぼ互角らしい。
実力が互角の場合、「苦杯を喫する」「苦杯を嘗める」を使えるのだろうか。語感の問題なので、辞書はあまり役に立たない。当方の語感では、「大関が平幕に苦杯を喫する」ことはあっても、「大関が横綱に苦杯を喫する」ことはありえない。「とりこぼし」ほどは強くはないが、格下に負けたニュアンスがある。考えすぎだろうか。
5-5
外四つとなったが、「遠い上手より近くの上手」の格言が生きる。
琴欧州が朝青龍を破った一番の解説。「遠い上手より近くの上手」なんて間抜けな格言があるのだろうか。まず語呂が悪い。「遠い」「近い」か、「遠くの」「近くの」の組み合わせにしないと語調が整わない。さらに、格言にするなら「遠い下手より近くの上手」とかじゃないと美しくないだろ。まあ、「遠い下手」ってのはありえないとは思うけど。
だったら、「上手は近くとれ」くらいじゃないかな。これは格言というより、原則? 教え?
5-6
白鵬 連敗阻止
上の記事のすぐ下にある見出し。
これも相当おかしい。あえて言うなら「連敗回避」くらいかな。フツーは他者の連勝を阻止したりする。少しひねれば、他者の連敗を阻止するのもギャグとしてならアリかも。
5-7
25日
ダックスは各サイズごとに、毛によっても短毛のスムース、長毛のロング、剛毛のワイヤーに分けられる。(朝刊s2面)
書き手は本多昭彦記者。「剛毛のワイヤー」……と笑うところではない。まず「各サイズごと」。だからこういうベタな重言を使うのはやめようよ。「ごと」をとって「各サイズで」はなんか落ち着きが悪いので「サイズごとに」とするのが無難か。ところで、この文章を読む限り、ダックスのサイズはスタンダードとミニチュアの2種類。ということは、2×3といいたいのかな? わかりましぇーん。ちなみに、文中にも出てくるJKC(ジャパンケンネルクラブ)では、「ダックスフンド」と言ってることを、最近知った。英語読みを優先させているらしい。
5-8
28日
ろとは白ではなく、もちろん黒。白黒をずばりといわないこの言い回し、狭い碁界だけの比較的新しい表現かと思ったら、300年も昔の元禄時代のこっけい俳諧にあると読者が教えてくれた。
〈ろのまけとばかりはゆるせ碁の助言〉
助言は「じょごん」と読む。(朝刊14面)
碁の観戦記。書き手は春秋子記者。わけわかんないよー。「読者が教えてくれた」と言うのだから、どこか別のところで書いたことがあるのだろう。俳諧にあったら、「碁界だけ」じゃなくなるの? だって碁の様子を詠んでるんだから、単なる囲碁用語でしょ。しかも、これが「比較的新しい表現」なの? ちなみに当方が碁の関連の文章を読みはじめてけっこうたつけど、初めてみた。そのくらいマイナーな言葉なのかな。少なくとも、書き言葉ではほとんど見ない。滑稽俳諧の句意もちょっとわからない。「じょごん」の正誤も不明。
さて、本題はそこではない。なんで黒が「ろ」なの? 「くろ」「しろ」ともに「ろ」がつくんだから、略称にはなってないでしょう。むしろ、「烏鷺の戦い」(囲碁の異称)とか言うときは、「う」が黒で、「ろ」が白でしょ。
9日
日ごろは他人事節の目立つ福田首相も、ギョーザには「断じてうやむやにできない」と強い言葉を繰り返した。(朝刊1面)
天下の「天声人語」。強い口調で繰り返した割には、ほとんどうやむやになってませんか? そんな政治絡みの話にコメントする気はない。気になったのは「他人事」に「ひとごと」ってルビが打ってある点。わざわざこんなルビを打つってことは、それだけ「たにんごと」と誤読することが多いってことなんですね。あーあ。
5-2
13日
朝刊の1面・34面に常用漢字の追加素案が出ている。
いいよ、そんなことしなくて。もう心身に染み付いているから(「ある程度」ですけど)、この柔軟性を失った旧式の脳みそには、いまさら新たに220字も登録できないよ。
5-3
20日
田中律子と筧利夫をリーダーに各4人ずつの女性チームと男性チームに分かれて競う。(朝刊32面)
書き手は菅野俊秀記者。テレビ番組の紹介欄。「各~ずつ」に関しては、けっこう微妙な場合もある。そもそも重言は罪が軽いんだし、これは許容してもいいか、と思うこともある。具体例は忘れた(キッパリ)。しかし、ここまでベタだとさすがに呆れる。どっちかとれよ。
22日(朝刊20面)
朝刊20面を読んでいて、頭がクラクラしてきた。順番に見ていく。
5-4
韓国に苦杯
書き手は稲垣康介記者と思われる。卓球(女子)の試合結果の記事の見出し。文章を読むだけでは、韓国と日本のどちらが格上なのかは不明。どうも、ほぼ互角らしい。
実力が互角の場合、「苦杯を喫する」「苦杯を嘗める」を使えるのだろうか。語感の問題なので、辞書はあまり役に立たない。当方の語感では、「大関が平幕に苦杯を喫する」ことはあっても、「大関が横綱に苦杯を喫する」ことはありえない。「とりこぼし」ほどは強くはないが、格下に負けたニュアンスがある。考えすぎだろうか。
5-5
外四つとなったが、「遠い上手より近くの上手」の格言が生きる。
琴欧州が朝青龍を破った一番の解説。「遠い上手より近くの上手」なんて間抜けな格言があるのだろうか。まず語呂が悪い。「遠い」「近い」か、「遠くの」「近くの」の組み合わせにしないと語調が整わない。さらに、格言にするなら「遠い下手より近くの上手」とかじゃないと美しくないだろ。まあ、「遠い下手」ってのはありえないとは思うけど。
だったら、「上手は近くとれ」くらいじゃないかな。これは格言というより、原則? 教え?
5-6
白鵬 連敗阻止
上の記事のすぐ下にある見出し。
これも相当おかしい。あえて言うなら「連敗回避」くらいかな。フツーは他者の連勝を阻止したりする。少しひねれば、他者の連敗を阻止するのもギャグとしてならアリかも。
5-7
25日
ダックスは各サイズごとに、毛によっても短毛のスムース、長毛のロング、剛毛のワイヤーに分けられる。(朝刊s2面)
書き手は本多昭彦記者。「剛毛のワイヤー」……と笑うところではない。まず「各サイズごと」。だからこういうベタな重言を使うのはやめようよ。「ごと」をとって「各サイズで」はなんか落ち着きが悪いので「サイズごとに」とするのが無難か。ところで、この文章を読む限り、ダックスのサイズはスタンダードとミニチュアの2種類。ということは、2×3といいたいのかな? わかりましぇーん。ちなみに、文中にも出てくるJKC(ジャパンケンネルクラブ)では、「ダックスフンド」と言ってることを、最近知った。英語読みを優先させているらしい。
5-8
28日
ろとは白ではなく、もちろん黒。白黒をずばりといわないこの言い回し、狭い碁界だけの比較的新しい表現かと思ったら、300年も昔の元禄時代のこっけい俳諧にあると読者が教えてくれた。
〈ろのまけとばかりはゆるせ碁の助言〉
助言は「じょごん」と読む。(朝刊14面)
碁の観戦記。書き手は春秋子記者。わけわかんないよー。「読者が教えてくれた」と言うのだから、どこか別のところで書いたことがあるのだろう。俳諧にあったら、「碁界だけ」じゃなくなるの? だって碁の様子を詠んでるんだから、単なる囲碁用語でしょ。しかも、これが「比較的新しい表現」なの? ちなみに当方が碁の関連の文章を読みはじめてけっこうたつけど、初めてみた。そのくらいマイナーな言葉なのかな。少なくとも、書き言葉ではほとんど見ない。滑稽俳諧の句意もちょっとわからない。「じょごん」の正誤も不明。
さて、本題はそこではない。なんで黒が「ろ」なの? 「くろ」「しろ」ともに「ろ」がつくんだから、略称にはなってないでしょう。むしろ、「烏鷺の戦い」(囲碁の異称)とか言うときは、「う」が黒で、「ろ」が白でしょ。
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