このコンビゆえのヒットか
マンガネタだから下記の続き。
【連載再開の『おせん』がジャニーズを真っ向批判!?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-164.html
『DEATH NOTE』コンビの新作『バクマン。』が、マンガ界を変える!?
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=746107&media_id=55
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「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)で連載中の『バクマン。』が好調だ。1月6日発売の単行本第1巻は、ORICON STYLE(オリコンスタイル)のコミック部門1月19日付週間ランキングで初登場4位。その1週間後に記録された推定累積売上部数は19万部を超えた。大ヒット作『DEATH NOTE』のコンビが再び「ジャンプ」に登場しているからだけでなく、発行部数第1位(※注1)のマンガ誌「ジャンプ」の舞台裏を描いている点が注目されている。
【詳細画像または表】
少年マンガの王道にして現実主義
異色のダークファンタジーだった『DEATH NOTE』から一転──大場つぐみ氏の「原作」、小畑健氏の「漫画」による新作は、真城最高(ましろもりたか、サイコー)と高木秋人(たかぎあきと、シュージン)の中学3年生コンビがマンガ家を目指す「青春漫画執筆活劇」(単行本帯より)。友情・努力・勝利をベースにした物語にプラトニックな恋愛が絡み、少年マンガの王道的な展開を盛り上げている。
一方で同作はリアリティの高さに特長がある。『ONE PIECE』を筆頭にファンタジー系の人気作がそろう「ジャンプ」誌上で、その現実主義は異質だ。マンガ家で成功することの難しさが冷静に分析され、マンガ制作の手順とマンガ家になるためのプロセスが一つひとつ丁寧に描かれる。「面白ければいいんだ」「計算で描くほうがハードルが高い」など、作中の編集者のアドバイスも率直でインパクトがある。
単行本にはまだ収録されていないが、連載では既にアンケートシステムや原稿料など、「ジャンプ」編集部の内幕が具体的な数字とともに描かれ、主人公たちが連載にいたるまでの道筋が、きわめて明確に示されている。もちろん、同作はあくまでフィクションではあるが、ここまで具体的な数字が挙げられると、読者としては、さすがにまるっきりの嘘とは信じにくい。
(※注1)社団法人日本雑誌協会によると約279万部。第2位は約172万部の『週刊少年マガジン』。続いて『月刊少年マガジン』『週刊ヤングジャンプ』『ヤングマガジン』『コロコロコミック』が90万部代に並ぶ。部数算定期間は2008年7月~9月。
2人それぞれのネームも公開
こうした「情報公開」は『バクマン。』という作品それ自体の成り立ちにまで及んでいる。第1巻には「原稿が出来るまで」というコーナーが設けられ、同作の「ネーム」の一部が収録された。ネームとは、どのようなコマ割りにするかを表現し、登場キャラクターのセリフなどを加えた「マンガの設計図」。このコーナーでは、大場氏のネームを基に、さらに小畑氏がネームを作るという2つの段階を経て、原稿が完成していることが明かされている。
大場氏は今回「原作」とクレジットされているが、一般にマンガの「原作」が何を指すのかはあまり明確ではない。実際、マンガ制作を第一に考えられた原作が作品として世の中に出回ることは、ほとんどない。
だが、ラフに描かれることが多いとはいえ、ネームはマンガの最大の特徴であるコマ割りを決定する作業。作品の出来はネーム次第といっても過言ではない。それゆえ同コーナーは、大場氏のネーム形式で書かれた原作、つまり「ネーム原作」の重要さが垣間見える貴重な機会となっている。
さらに注目すべきは、これがたんなる舞台裏の種明かしにとどまらず、ここに見られる大場・小畑両氏の関係に主人公2人の関係が重ねられること。同作の作中では、主人公たちが両氏の後を追うように、同じ分業システムを採用することを決定する経緯が、生々しく描かれているのだ。
分業を前提にした新たなマンガ家像
ネーム原作の可能性について早くから指摘している編集家の竹熊健太郎氏は、作画担当のサイコーが、原作担当のシュージンに「俺が納得できるネーム描けなきゃ組まない」と告げる場面に「時代が変わった」と驚いたという。
「従来、ネーム作りはマンガ家と編集者の聖域で、実際、90年代までマンガの原作といえば小説や脚本形式でした。ベテランのマンガ家がネーム原作までを手がけ、作画を他人に任せるケースを除けば、原作者がネームまで作ることはほとんどなかった。ところが、この場面ではマンガ家志望の少年が自ら、ネーム原作を依頼しているわけです」(竹熊氏)。
マンガ家が作品の核であるネームを他人に任せることを認めることは、構想から仕上げまで、作品全体を一人でコントロールするという従来のマンガ家像を打ち破る行為。たとえ、フィクションではあっても、大場・小畑両氏を含め「ジャンプ」編集部がそれを認める意味は小さくないという。この場面は「少なくとも小畑さんの了承がなければ、存在しなかったはず」(同)なのだ。
同じ場面には、サイコーがシュージンにネームの意味を教えるやりとりも含まれる。だが、そもそもなぜ、シュージンはネームの意味さえ知らないという設定だったのか。それは、ネーム原作の意味を一から説明するとともに、サイコーの主導により役割分担が決まる場面を導くためであり、さらには、その場面を描くことによって新たなマンガ家像を印象づけるため……というのは考え過ぎだろうか。
分業がマンガ界を変える?
いずれにしても、絵を描くのは得意だが物語を考えてネームを作るのは苦手な者と、ネームを作るのは得意だが絵を描くのは苦手な者が、作業を分担してコンビを組むのは自然な成り行きでもあるだろう。竹熊氏はこう続ける。
「戦後のマンガ界では、手塚治虫という例外的な天才がマンガ家のスタンダードとして扱われてきましたが、そもそも週刊連載を一人でやることには無理があります。ジャンプには、それを解消するために分業化を進め、同時に、そうやって門戸を広げることでマンガ家志望者を集めたいという思惑があるのでしょう」
実際、同作の連載開始以来、「ジャンプ」編集部への「原稿の持ち込みや投稿者の年齢が若くなってきている」(※注2)とか。マンガ家志望者が増えれば、マンガ界の活性化にもつながるだろう。一方、近年は雑誌休刊のニュースが珍しくなく、マンガ誌も例外ではない。竹熊氏は今後、マンガ週刊誌は半減し、80年代始めのころの数に落ち着くと予想している。「ジャンプ」が爆発的に売れる前の時代に戻るわけだ。
「そんななか、マンガバブルの象徴とも言えるジャンプが、業界に先駆け、このような作品をプロデュースするわけですから、さすがマンガ界の中心的存在ですね」(同)
果たして『バクマン。』はマンガ界の「改革」を推進する作品となるのだろうか。今後の展開から目が離せない。
(※注2)『バクマン。』担当編集者、相田聡一氏の発言。『QuickJapan』81号より。
(文/西野基久)
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長えな。(←オ・マ・エ・が・言・う・な)33165
以下はできるだけ簡潔に。
過去にマンガネタはいくつか書いてきて、この作品のこともふれてきた。
マンガネタの始まりは下記。
【『このマンガがすごい2008』】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-65.html
さすが「井上雄彦と並ぶ平成の絵師」(マルCはtobirisu)の小畑健だけある。このテーマでもヒットですか。脱帽です。
たしか『このマンガがすごい』でも「来年の本命」扱いしていた。
あー。書かねばならぬマンガネタがたまっている。
何より、「最近の動き」について書きたいが、時間が……。
【連載再開の『おせん』がジャニーズを真っ向批判!?】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-164.html
『DEATH NOTE』コンビの新作『バクマン。』が、マンガ界を変える!?
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=746107&media_id=55
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「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)で連載中の『バクマン。』が好調だ。1月6日発売の単行本第1巻は、ORICON STYLE(オリコンスタイル)のコミック部門1月19日付週間ランキングで初登場4位。その1週間後に記録された推定累積売上部数は19万部を超えた。大ヒット作『DEATH NOTE』のコンビが再び「ジャンプ」に登場しているからだけでなく、発行部数第1位(※注1)のマンガ誌「ジャンプ」の舞台裏を描いている点が注目されている。
【詳細画像または表】
少年マンガの王道にして現実主義
異色のダークファンタジーだった『DEATH NOTE』から一転──大場つぐみ氏の「原作」、小畑健氏の「漫画」による新作は、真城最高(ましろもりたか、サイコー)と高木秋人(たかぎあきと、シュージン)の中学3年生コンビがマンガ家を目指す「青春漫画執筆活劇」(単行本帯より)。友情・努力・勝利をベースにした物語にプラトニックな恋愛が絡み、少年マンガの王道的な展開を盛り上げている。
一方で同作はリアリティの高さに特長がある。『ONE PIECE』を筆頭にファンタジー系の人気作がそろう「ジャンプ」誌上で、その現実主義は異質だ。マンガ家で成功することの難しさが冷静に分析され、マンガ制作の手順とマンガ家になるためのプロセスが一つひとつ丁寧に描かれる。「面白ければいいんだ」「計算で描くほうがハードルが高い」など、作中の編集者のアドバイスも率直でインパクトがある。
単行本にはまだ収録されていないが、連載では既にアンケートシステムや原稿料など、「ジャンプ」編集部の内幕が具体的な数字とともに描かれ、主人公たちが連載にいたるまでの道筋が、きわめて明確に示されている。もちろん、同作はあくまでフィクションではあるが、ここまで具体的な数字が挙げられると、読者としては、さすがにまるっきりの嘘とは信じにくい。
(※注1)社団法人日本雑誌協会によると約279万部。第2位は約172万部の『週刊少年マガジン』。続いて『月刊少年マガジン』『週刊ヤングジャンプ』『ヤングマガジン』『コロコロコミック』が90万部代に並ぶ。部数算定期間は2008年7月~9月。
2人それぞれのネームも公開
こうした「情報公開」は『バクマン。』という作品それ自体の成り立ちにまで及んでいる。第1巻には「原稿が出来るまで」というコーナーが設けられ、同作の「ネーム」の一部が収録された。ネームとは、どのようなコマ割りにするかを表現し、登場キャラクターのセリフなどを加えた「マンガの設計図」。このコーナーでは、大場氏のネームを基に、さらに小畑氏がネームを作るという2つの段階を経て、原稿が完成していることが明かされている。
大場氏は今回「原作」とクレジットされているが、一般にマンガの「原作」が何を指すのかはあまり明確ではない。実際、マンガ制作を第一に考えられた原作が作品として世の中に出回ることは、ほとんどない。
だが、ラフに描かれることが多いとはいえ、ネームはマンガの最大の特徴であるコマ割りを決定する作業。作品の出来はネーム次第といっても過言ではない。それゆえ同コーナーは、大場氏のネーム形式で書かれた原作、つまり「ネーム原作」の重要さが垣間見える貴重な機会となっている。
さらに注目すべきは、これがたんなる舞台裏の種明かしにとどまらず、ここに見られる大場・小畑両氏の関係に主人公2人の関係が重ねられること。同作の作中では、主人公たちが両氏の後を追うように、同じ分業システムを採用することを決定する経緯が、生々しく描かれているのだ。
分業を前提にした新たなマンガ家像
ネーム原作の可能性について早くから指摘している編集家の竹熊健太郎氏は、作画担当のサイコーが、原作担当のシュージンに「俺が納得できるネーム描けなきゃ組まない」と告げる場面に「時代が変わった」と驚いたという。
「従来、ネーム作りはマンガ家と編集者の聖域で、実際、90年代までマンガの原作といえば小説や脚本形式でした。ベテランのマンガ家がネーム原作までを手がけ、作画を他人に任せるケースを除けば、原作者がネームまで作ることはほとんどなかった。ところが、この場面ではマンガ家志望の少年が自ら、ネーム原作を依頼しているわけです」(竹熊氏)。
マンガ家が作品の核であるネームを他人に任せることを認めることは、構想から仕上げまで、作品全体を一人でコントロールするという従来のマンガ家像を打ち破る行為。たとえ、フィクションではあっても、大場・小畑両氏を含め「ジャンプ」編集部がそれを認める意味は小さくないという。この場面は「少なくとも小畑さんの了承がなければ、存在しなかったはず」(同)なのだ。
同じ場面には、サイコーがシュージンにネームの意味を教えるやりとりも含まれる。だが、そもそもなぜ、シュージンはネームの意味さえ知らないという設定だったのか。それは、ネーム原作の意味を一から説明するとともに、サイコーの主導により役割分担が決まる場面を導くためであり、さらには、その場面を描くことによって新たなマンガ家像を印象づけるため……というのは考え過ぎだろうか。
分業がマンガ界を変える?
いずれにしても、絵を描くのは得意だが物語を考えてネームを作るのは苦手な者と、ネームを作るのは得意だが絵を描くのは苦手な者が、作業を分担してコンビを組むのは自然な成り行きでもあるだろう。竹熊氏はこう続ける。
「戦後のマンガ界では、手塚治虫という例外的な天才がマンガ家のスタンダードとして扱われてきましたが、そもそも週刊連載を一人でやることには無理があります。ジャンプには、それを解消するために分業化を進め、同時に、そうやって門戸を広げることでマンガ家志望者を集めたいという思惑があるのでしょう」
実際、同作の連載開始以来、「ジャンプ」編集部への「原稿の持ち込みや投稿者の年齢が若くなってきている」(※注2)とか。マンガ家志望者が増えれば、マンガ界の活性化にもつながるだろう。一方、近年は雑誌休刊のニュースが珍しくなく、マンガ誌も例外ではない。竹熊氏は今後、マンガ週刊誌は半減し、80年代始めのころの数に落ち着くと予想している。「ジャンプ」が爆発的に売れる前の時代に戻るわけだ。
「そんななか、マンガバブルの象徴とも言えるジャンプが、業界に先駆け、このような作品をプロデュースするわけですから、さすがマンガ界の中心的存在ですね」(同)
果たして『バクマン。』はマンガ界の「改革」を推進する作品となるのだろうか。今後の展開から目が離せない。
(※注2)『バクマン。』担当編集者、相田聡一氏の発言。『QuickJapan』81号より。
(文/西野基久)
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長えな。(←オ・マ・エ・が・言・う・な)33165
以下はできるだけ簡潔に。
過去にマンガネタはいくつか書いてきて、この作品のこともふれてきた。
マンガネタの始まりは下記。
【『このマンガがすごい2008』】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-65.html
さすが「井上雄彦と並ぶ平成の絵師」(マルCはtobirisu)の小畑健だけある。このテーマでもヒットですか。脱帽です。
たしか『このマンガがすごい』でも「来年の本命」扱いしていた。
あー。書かねばならぬマンガネタがたまっている。
何より、「最近の動き」について書きたいが、時間が……。
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